JP2018085257A - 印刷方式による有機el表示パネルの製造方法、及び、有機el表示パネル - Google Patents

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Abstract

【課題】製造工程におけるロスを招くことなく、画面インチ数や解像度が異なる様々な製品モデルの生産に対応することができる有機EL表示パネルの製造方法を提供する。【解決手段】有機発光層形成に使用するインク材のインクの固形成分濃度が、複数の列バンクの間隔から定まる画素密度よりも、高い画素密度を適応範囲としている場合、行バンク及び列バンクで囲まれた間隙領域のうち、列バンクから所定のインク材による成膜が可能となる間隔だけ隔てた位置に、列バンクと同じ方向に伸長するサブバンクを配置する【選択図】図11

Description

本開示は、有機EL表示パネルの製造方法に関し、特に、インクに含まれる固形成分の重量濃度により定まる画素密度の制限を緩和する改良に関する。
有機EL表示パネルのバンクとは、基板上又は基板の上方に行列状に配置された絶縁材料の隔壁のことであり、行方向に延伸する行バンク、列方向に延伸する列バンクの2種がある。
以下、従来の有機発光層形成工程の概要について説明する。従来の有機EL表示パネルの製造方法では、基板上に複数の行バンク、複数の列バンクを形成しておいて、列バンクの間隙となる領域(間隙領域)に有機発光層を形成する。有機発光層の形成には真空蒸着方式が広く用いられているが、将来の大型化・低コスト化のためウェット方式が注目されている。ウェット方式では、高分子や低分子の機能性材料を含むインク滴をインクジェットヘッドから吐出して、間隙領域に着弾させることにより有機発光層を形成する。上記ウェット方式による有機発光層の形成にあたっては、インク滴を着弾させるべき間隙領域の大きさが、製造しようとする有機EL表示パネルの画面インチ数や解像度に応じて、大きく変化する。そのため、従来の有機発光層の形成工程にあたっては、当該間隙領域の大きさに応じて、有機発光層形成に用いるべき、インク材の固形成分濃度を変化させていた。尚、有機発光層形成についての先行技術としては、以下の特許文献1、2に記載されたものがある。特許文献1は、行バンクを分岐し、列方向に延伸することで形成されるサブバンクを開示している。特許文献2は、1つの画素領域を、領域A1、A2に分割する分割壁112dを有したピクセルバンクを開示する。
国際公開公報WO2015/155971号公報 特開2004−335180号公報
しかしながら、画面インチ数や解像度が異なる様々な機種の有機EL表示パネルの製造に対応しようとする場合、それらの機種毎に、有機発光層形成に用いるインク材を取り換えるのは、製造工程の中断を生むという問題があった。
本開示の目的は、製造工程の中断をもたらすことなく、画面インチ数や解像度が異なる様々な機種の有機EL表示パネルの製造に対応することができる有機EL表示パネルの製造方法を提供することである。
上記課題は、基板上の各画素に相当する部位に画素電極を形成する第1工程と、
前記各画素電極の行方向における端縁を覆い、列方向に延伸する複数の列バンクを基板上に設ける第2工程と、
前記複数の列バンクのうち、隣接する列バンクの間隔が所定の間隔を上回るとき、隣接する列バンクにより囲まれる部分に、列方向に延伸するサブバンクを1つ設ける第3工程と、
隣接する列バンクの間隔が所定の間隔を上回るときは、画素電極のうち列バンクと、サブバンクとにより囲まれている部分、隣接する列バンクの間隔が所定の間隔以下であるときは、画素電極のうち隣接する列バンクによって囲まれている部分に、有機発光材料を含むインクを塗布して乾燥することで有機発光層を形成する第4工程と、
複数の有機発光層を、共通電極で覆う第5工程とを含む有機EL表示パネルの製造方法により解決される。
上記製造方法によれば、有機発光層形成に用いるインク材を取り換えることなく、
画面インチ数や解像度が異なる様々な機種の有機EL表示パネルの製造に対応することができる。
図1(a)は、高精細パネル、低精細パネルを一律に扱う製造ラインを模式的に示し、図1(b)は、インク吐出の位置精度が不足したことによる混色を示し、図1(c)は、インクが溢れることによる混色を示す。図1(d)は膜ムラを示し、図1(e)は、膜の孤立を示す。 図2(a)は、実施の形態1に係る有機EL表示パネル10を具備した有機EL表示装置1000の回路構成を示し、図2(b)は、有機EL表示パネル10に含まれる複数の有機発光素子に相当する回路を示す。図2(c)は、素子回路の共通の回路構成を示す。 列バンク11c11、11c21、11c31、11c41、11c51、11c61が列方向に、行バンク12r11、12r12、12r13が行方向に配された有機EL表示パネルの表示面を示す。 図4(a)は、図3のうち赤色画素を構成する一対の間隙領域を拡大して示し、図4(b)は、図4(a)の部位を、一点鎖線A−A'の位置で切断した場合の断面構成を示す。 図5は、本開示の実施形態に係る製造方法の全体工程を示すフローチャートである。 図6は、列バンク及びサブバンクの形成工程の詳細を示すフローチャートである。 図7(a)は、複数インク濃度のそれぞれに適応可能な適応可能範囲を示すグラフである。図7(b)は、Sub_Duration(y)<Low_Duration(x)となるようなサブバンク数iと、Sub_Duration(y)とを求める過程を示す。図7(c)は、80ppiの間隔で形成されたサブバンクを示す。図7(d)は、サブバンク形成による適応可能範囲の拡大を示す。 図8(a)は、初期状態であり、基板100上に、TFT層101と、絶縁層102とが形成され、画素電極103、ホール注入層105とが形成された状態を示す。図8(b)は、列バンク11c11〜11c21を形成するためのバンク材料11μm(ネガ型感光性樹脂組成物)を、基板上に一様に塗布した状態を示す。図8(c)は、列バンク11c11〜11c71及びサブバンク13c11〜13c71に対応する開口部を有したフォトマスクを示す。図8(d)は、フォトマスクを用いてUV照射がなされている状態を示す。図8(e)は、アルカリ現像液を用いることで、バンク材料11μmのうち、UV照射がなされなかった部位を取り除いた状態を示す。 複数の間隙領域のそれぞれに設定された着弾目標を示す。 図10(a)〜(c)は、ホール輸送層106が形成される過程を示し、図10(d)〜(f)は、有機発光層107が形成される過程を示す。 図11(a)は高精細パネルと、サブバンクが形成された低精細パネルとを一律に製造する製造ラインを模式的に示す。図11(b)は、高精細パネルの1対の列バンクの断面構造を示し、図11(c)は、低精細パネルの一対の列バンクの断面構造を示す。 図12(a)〜(e)は、サブバンクを形成しない製法で230ppi、180ppi、80ppi、60ppi、30ppiの精細度の有機発光層を形成する場合の膜形状を示す。 図13(a)〜(e)は、本開示の実施形態の製法(列バンクの間にサブバンク13を形成する製法)で230ppi、180ppi、80ppi、60ppi、30ppiの精細度の有機発光層を形成する場合の膜形状を示す。
<本開示の一態様に至った経緯>
近年、有機EL表示パネル製造の現場では、複数の機種の有機EL表示パネルの製造に、対応することが求められる傾向がある。具体的にいうと、例えば、スマートフォン向け有機EL表示パネルの製造現場では、高級スマートフォン向けの高精細パネルから格安スマートフォン向け低精細パネルまで、画面インチ数や解像度が異なる、様々なタイプの有機EL表示パネルの製造に対応せねばならない。
図1(a)は、高精細パネル300High、低精細パネル300Lowを一律に扱う製造ラインを模式的に示す。
上記の製造ラインで高精細パネルの有機発光層を形成する場合の留意点を説明する。高精細パネル300Highは、低精細パネル300Lowと画面サイズが同程度であるにも係らず、列バンクの幅が小さく、隣接する列バンクとの間隔が切り詰められている。低精細パネルの列バンクと、高精細パネルの列バンクとが同じ撥液性のバンク材で構成される場合、列バンクのうち、単位面積あたりの部分で保持されるインクの量(以下、インク保持量)が低下するため、溢れ混色が発生する(図1(b)参照)。このようなインク保持量の低下を補うため、高精細パネルの有機発光層を形成するにあたっては、有機発光層形成に用いる固形成分濃度を高めて、インクを高濃度化する。ほかに、列バンク301間の間隙領域に着弾したインク材307が間隙領域から溢れだすことによる混色(図1(c)参照)が発生する。このような混色を避けるため、高精細パネル300Highの有機発光層の形成にあたっては、固形成分濃度が高いインク材を使用する。しかし、かかる固形成分濃度が高いインク材は、低精細パネル300Lowの有機発光層形成には適さない。低精細パネル300Lowでは、列バンク301の間隔が広く開いているため、インクジェットヘッドから吐出され、間隙領域に着弾したインク滴307の広がりが一方の列バンクに到達せず、有機発光層の膜ムラ(図1(d)参照)が生じてしまうからである。また、インクジェットヘッドの吐出角に係らず、インク滴307が大きな膜厚をなし、列バンク301間の間隙領域の中央部において孤立した形態(図1(e)参照)になることもある。
以上のように、高精細パネルの製造にあたっては、着弾精度不足やインク溢れによる混色を危惧せねばならず、低精細パネルの製造にあたっては、膜の途切れや孤立を危惧する必要があるから、多機種対応を実現する場合、製造すべき有機EL表示パネルを変更する際のインク材の交換は不可欠とされていた。しかし、高精細パネルと、低精細パネルとを同一の製造ラインで製造する場合、かかるインク材の交換は、製造工程の中断をもたらす。本願の発明者らは、画面インチ数や解像度が異なる有機EL表示パネルを、同一の製造ラインで製造する場合でも、インク材交換による製造工程の中断を発生させないような有機EL表示パネルについて検討を行い、本開示の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法に想到するに至った。
<本開示の態様>
本開示の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法は、
複数の画素が行列状に配された有機EL表示パネルを製造する方法であって、
基板上の各画素に相当する部位に画素電極を形成する第1工程と、
前記各画素電極の行方向における端縁を覆い、列方向に延伸する複数の列バンクを基板上に設ける第2工程と、
前記複数の列バンクのうち、隣接する列バンクの間隔が所定の間隔を上回るとき、隣接する列バンクにより囲まれる部分に、列方向に延伸するサブバンクを1つ設ける第3工程と、
隣接する列バンクの間隔が所定の間隔を上回るときは、画素電極のうち列バンクと、サブバンクとにより囲まれている部分、隣接する列バンクの間隔が所定の間隔以下であるときは、画素電極のうち隣接する列バンクによって囲まれている部分に、有機発光材料を含むインクを塗布して乾燥することで有機発光層を形成する第4工程と、
複数の有機発光層を、共通電極で覆う第5工程と
を含む。上記製造方法によると、サブバンクは、行方向において列バンクから所定間隔以下となる間隔だけ隔てた位置に形成されるから、たとえ隣接する列バンクとの間隔が広く開いている場合でも、インクの固形成分濃度が高いインク材を用いた有機発光層の成膜が可能となる。これにより、高精細な機種から低精細の機種まで、様々な機種の有機ELディスプレイを製造することができる。
ここでサブバンク形成の具体的な態様としては、以下のようにすることができる。つまり、前記画素電極のうち、隣接する列バンクにより囲まれる部分に、サブバンクを2以上設けることで、前記サブバンクと、前記サブバンクとの間隔、及び、サブバンクと、サブバンクとの間隔が所定の間隔以下になった場合、前記第4工程は、サブバンクと、サブバンクとにより囲まれている部分に、有機発光材料を含むインクを塗布して乾燥することで有機発光層を形成するものでもよい。列バンクの間隔が広く広がっている場合、サブバンクを2以上設けることで、インクを塗布すべき部分の面積を詰めるので、インク滴が溢れだす現象の発生を回避することができる。
サブバンクの形成については、条件付きで実行することができる。つまり、前記基板の単位面積当たりの領域には、前記インクに含まれる固形成分の重量濃度に応じた画素数の有機発光層が形成され、
前記所定の間隔は、前記単位面積当たりの領域の行方向の幅と、当該領域の行方向に含まれる画素数とから算出される間隔であり、
製造しようとする機種における有機EL表示パネルの単位面積当たりの画素数が、前記重量濃度から定まる単位面積当たりの画素数を下回る場合、製造しようとする機種における有機EL表示パネルの列バンクの間隔が、所定の間隔を上回ると判定して、第3工程においてサブバンクを設けもよい。製造しようとする有機EL表示パネルの精細度が、インクの固形成分濃度により適応可能となる精細度範囲に含まれる場合、サブバンクの形成は行われない。これにより、サブバンクの形成が、有機発光素子の高密度化を妨げることはなくなる。
列バンクの間隔が、所定の間隔未満となるかどうかの判定は、以下のようにすることができる。つまり、製造しようとする機種における有機EL表示パネルの単位面積当たりの画素数が、前記重量濃度から定まる単位面積当たりの画素数と等しいか、これを上回る場合、製造しようとする機種における有機EL表示パネルの列バンクの間隔が、所定の間隔以下であるとして、第3工程によるサブバンクを設けない、としてもよい。様々な機種の有機EL表示パネル製造に対応しようとする場合、各機種の画素密度が、所定のインクの固形成分濃度で適応可能となる画素密度の範囲に含まれるかどうかを判定することができる。製造が予定されている有機EL表示パネルの複数の機種のうち、サブバンクを形成しなくて済む機種がどれであるかを見極めることができるので、有機EL表示パネルの多機種対応を好適に実現することができる。
サブバンクの構成としては、以下のようにすることができる。つまり、前記列バンクは、高さ方向の所定の部位が撥液性部材で構成されており、
前記第3工程は、前記サブバンクの高さを前記各列バンクと同じ高さとし、前記サブバンクのうち、前記列バンクの前記所定の部位に対応する部分を、撥液性部材を用いて形成してもよい。列バンクの高さ方向の所定の部位、及び、サブバンクの対応する部分は同様の撥液性を有するので、インクジェットヘッドから吐出されたインク滴は、列バンク及びサブバンクの双方からはじかれ、列バンクとの間の領域に留まる。これにより、有機発光層の形成を安定的に行うことができる。
製造方法では更なる構成要素を付加することができる。具体的にいうと、前記第2工程は、前記画素電極の列方向における端縁を覆い、行方向に延伸する行バンクを設け、前記行バンクの高さは、前記列バンクよりも低くしてもよい。行バンクは、列バンクの高さよりも低いので、間隙領域の列方向にはインク材の流動が発生する。これにより、筋ムラの発生を回避することができる。
多機種対応を実現する態様としては、以下のようにしてもよい。つまり。複数の機種の有機EL表示パネルを製造するに当たり、有機発光層の形成に固形成分濃度が同じインク材を用いることとしてもよい。高精細パネルにおいて、有機発光層形成に使用するインク材を、低精細パネルの有機発光層に使用することができるから、インク材交換による製造ロスを回避することができる。
インクの固形成分濃度の具体的な数値としては、以下のように定める。つまり、前記インクの固形成分濃度が3.0重量%である場合、1インチ当たりの領域に対し、80個から230個までの画素セットの形成が可能となり、当該画素セットは、R画素、G画素、B画素の組からなるとしてもよい。インクの固形成分濃度を高めの値とすることで、後述の実験結果に示すように、有機発光層が形成されるサブ画素の幅は、23〜266μmとなり、画素密度は30〜220ppiの範囲となるから、対応可能な精細度の範囲を格段に広げることができる。
有機EL表示パネルの開示としては、基板と、
基板上の複数の画素のそれぞれに対応する位置に配置された画素電極と、
画素電極の行方向における端縁を覆い、列方向に延伸する複数の列バンクと、
各列バンクから所定の間隔だけ行方向に隔てた位置の画素電極の一部を覆い、列方向に延伸する複数のサブバンクと、
複数の隣接する列バンクと、サブバンクとの間の画素電極の上方に形成された複数の有機発光層と、
前記複数の有機発光層を覆い、複数の画素電極に対向する共通電極と
を備える、有機EL表示パネルとしてもよい。有機発光層は、サブバンクで分割された態様で形成されるから、有機発光層の形成にあたっては、比較的固形成分濃度が高いインク材を使用することができる。低精細パネルと、高精細パネルとを共通の製造ラインで、インク材の交換なしに製造することができる。
ここでサブバンクの具体的な態様としては、以下のようにすることができる。つまり、前記列バンクは、高さ方向の所定の部位が撥液性部材で構成されており、
前記サブバンクの高さは前記各列バンクと同じ高さであり、前記サブバンクのうち、前記列バンクの前記所定の部位に対応する部分は、前記撥液性部材を用いて構成されるとしてもよい。列バンクの高さ方向の所定の部位、及び、サブバンクの対応する部分は同様の撥液性を有するので、インクジェットヘッドから吐出されたインク滴は、列バンク及びサブバンクの双方からはじかれ、列バンクとの間の間隙領域に留まる。これにより、インク滴が間隙領域から溢れだす現象の発生を回避することができる。
ここで、更なる構成要件を追加することができる。具体的にいうと、前記画素電極の列方向の端縁は、行バンクにより覆われており、前記行バンクの高さは、前記列バンクよりも低いとしてもよい。行バンクは、列バンクの高さよりも低いので、間隙領域の列方向にはインク材の流動が発生する。これにより、筋ムラの発生を回避することができる。
[実施の形態1]
以下、図面を参照しながら、本開示の一態様に係る有機EL表示パネルの実施形態、及び、その製造方法の実施形態について説明する。本実施形態に係る製造方法は、多機種対応を可能としている。ここでの「多機種対応」とは、精細度が異なる様々な機器向けの有機EL表示パネルの製造に対応することをいう。製造時に定められた画面インチ数の基板に、有機発光素子の行列状配列を形成する際の単位面積当たりのRGBセット(RGBセットについては後述する)の密度を「精細度」という。本明細書では、精細度の単位として1インチ当たりのRGBセットの数(ppi(=pixel per inch))を使用する。
[有機EL表示装置の構成]
はじめに、本開示の一態様に係る有機EL表示パネルと、これに対応する駆動回路とを具備した有機EL表示装置の構成について説明する。図2(a)は、実施の形態1に係る有機EL表示パネルを具備した有機EL表示装置1000の概略構成を示す図である。本図に示すように、有機EL表示装置1000は、有機EL表示パネル10と、走査線駆動回路20と、信号線駆動回路30とで構成される。
有機EL表示パネル10は、基板上に複数の有機発光素子を行列状に配置することで構成される。
走査線駆動回路20は、表示しようとするフレーム画像を構成する複数の画素ラインのうち、何れかを選択する内容の走査線信号を出力する。
信号線駆動回路30は、複数の画素ラインのうち、何れかを選択する内容の走査線信号が走査線駆動回路20から出力された際、当該走査線信号により選択された画素ラインの行に属する複数の有機発光素子に対して、ライン画素信号を出力する。ライン画素信号は、ライン画素の個々の画素の原色成分毎の輝度値(各画素の原色成分のそれぞれがどれだけの明るさをもつかを示す)からなり、選択された行に位置する複数の有機発光素子のうち、位置的に対応するものに、当該輝度値を供給する。
有機EL表示パネル10は、複数の有機発光素子のそれぞれに対応する回路(以下素子回路という)を含む。図2(b)は、有機EL表示パネル10における複数の有機発光素子に対応する素子回路40R(1,1)、40G(1,1)、40B(1,1)、40R(2,1)・・・・・、40R(1,2)、40G(1,2)、40B(1,2)、40R(2,2)、40G(2,2)・・・・・、40R(1,3)、40G(1,3)、40B(1,3)、40R(2,3)、40G(2,3)・・・・を示す。素子回路の参照符号のうち、R,G,Bの部分は、対応する間隙領域により構成される発光素子が赤色を発光するか、緑色を発光するか、青色を発光するかの違いを示す。括弧書きの座標は、対応する発光素子の画素の平面座標を示す。個々の素子回路は、行列状に配置された複数の原色毎の画素のそれぞれに対応していて、図2(c)に示すような共通の回路構成を有する。具体的にいうと、素子回路40R(1,1)、40G(1,1)、40B(1,1)、40R(2,1)・・・・・のそれぞれは、図2(c)に示すように、駆動トランジスタTr1と、スィッチングトランジスタTr2と、キャパシタCsと、有機発光素子OLEとで構成される。尚、本実施形態において、個々の有機発光素子は、座標(i,j)で特定されるものとする。1番目の原色成分は赤色、2番目の原色成分は青色、3番目の原色成分を緑色とし、これらの原色成分は変数kで指示するものとする。スィッチングトランジスタTr2のゲート極に、ラインjを特定する走査線信号が入力され、駆動トランジスタTr1に、表示しようとするフレーム画像のうち、平面座標(i,j)に位置する画素の、k番目の原色成分の輝度値Y(i,j,k)が供給された場合、有機発光素子OLEのアノード電極には、座標(i,j)に位置する画素のk番目の原色成分の輝度を表す増幅電流Id(Y(i,j,k))が供給される。
[有機EL表示パネル10の平面構成]
次に、実施の形態1に係る有機EL表示パネルの表示領域について説明する。図3は、有機EL表示パネル10の表示領域の一部の平面構成を表した図である。図3に示すように、有機EL表示パネル10の表示面に、列バンク11c11、11c21、11c31、11c41が行方向に形成される。また行バンク12r11、12r12、12r13が列方向に形成される。また、行方向において複数の列バンクの間に、サブバンク13c11、13c21、13c31、13c41が行方向に形成され、列方向に延伸している。
有機EL表示パネルの表示面には、列バンク及び行バンクの井桁構造により、複数の間隙領域RL(1,1)、RR(1,1)、GL(1,1),GR(1,1)、BL(1,1)、BR(1,1)、RL(1,2)、RR(1,2)、GL(1,2),GR(1,2)、BL(1,2)、BR(1,2)、RL(1,3)、RR(1,3)、GL(1,3),GR(1,3)、BL(1,3)、BR(1,3)が形成される。これらの間隙領域の参照符号(RGBの区別を示すアルファベットと、座標値との組み合わせからなるもの)のうち、添え字のR、Lの部分は、当該間隙領域が有機発光素子の左半分であるか、右半分であるかを示す。同一の座標値が付され、L,Rの添え字が異なる2つの間隙領域は、一原色の発光素子を構成する。図3において、図3における赤色画素Rpixel、緑色画素Gpixel、青色画素Bpixelは、一対の間隙領域(RL(1,1)及びRR(1,1)の対、GL(1,1)及びGR(1,1)の対、BL(1,1)及びBR(1,1)の対)に形成された有機発光層で構成される。これらの赤色画素、青色画素、緑色画素からなるRGBセットの下方には、有機発光素子と、対応する駆動回路とが存在する。行方向に並ぶ赤色画素、緑色画素、青色画素の有機発光素子に輝度を設定して同時に発光させることで、RGBの各原色が、独自の階調を有した自然色画素を構成することができる。なお、図3における赤色画素Rpixel、緑色画素Gpixel、青色画素Bpixeのそれぞれを「サブ画素」又は「サブピクセル」という。本開示の「画素」は、RGBセット、サブ画素(RGBの原色毎の画素)の双方を包含する概念であり、表現する対象物によってこれらを使い分ける。画素の精細度については、1インチ当たりのRGBセットの数(ppi)を用いて表現することにし、画素の幅、高さについては、サブ画素の幅、高さ(行バンク、列バンクで仕切られる間隙領域の幅、高さになる)を用いて表現することにする。特に断らない限り、本明細書では、このサブ画素の幅を、「画素の幅」として記載することにする。
[有機EL表示パネル10の断面構成]
図4(a)の平面図は、図3のうち赤色画素R_Pixelを構成する一対の間隙領域を拡大して示している。図4(b)は、図4(a)の部位を、一点鎖線A−A'の位置で切断した場合の断面構成を示す。本図に示すように、有機EL表示パネル10は、基板100、TFT層101、絶縁層102、画素電極103、ホール注入層105、ホール輸送層106、有機発光層107、電子輸送層108、共通電極109、封止層110、平滑化層111、カラーフィルタ基板112、ブラックマトリクス113、上部基板114で構成される。
基板100は、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、硫化モリブデン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属基板、ガリウム砒素基などの半導体基板、プラスチック基板等を用いて形成されている。プラスチック基板としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂を用いてもよい。
TFT層101は、図2(b)に示した複数の素子回路40(特に、素子回路40R(1,1))の駆動トランジスタTr1、スイッチングトランジスタTr2のゲート極、ソース極、ドレイン極、半導体層、バッシベーション層で構成され、図示しないコンタクトホールを介して、画素毎の電極(画素電極)103と電気的に接続される。
絶縁層102は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、アクリル系樹脂などの有機化合物で形成される。
画素電極103は、図2(b)に示した有機発光素子OLEのアノード電極であり、銀(Ag)またはアルミニウム(Al)を含む金属材料からなる単層構造、又は、金属層と透明導電層との積層構造として構成される。透明導電層の材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)が挙げられる。図4(a)に示すように、画素電極103を平面視 した際の形状は矩形形状であり、行方向端縁部eg1,eg2が一対の列バンク(列バンク11c11、11c12)によって覆われており、列方向端縁部eg3,eg4が一対の行バンク(行バンク12r11、12r12)によって覆われている。
ホール注入層105は、例えば、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)などの酸化物、あるいは、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料からなり、画素電極103から正孔(ホール)を注入する。ホール注入層105の上部中央部md1に、サブバンク13c11が配置されている。上部に位置するホール輸送層106及び有機発光層107は、サブバンク13c11を境界として左半分、右半分に仕切られている。この左半分の部分が、画素電極103を底部とし、行バンク12r11、12r12、列バンク11c11、サブバンク13c11を側面とした間隙領域RL(1,1)であり、右半分の部分が、画素電極103を底部とし、行バンク12r11、12r12、列バンク11c12、サブバンク13c11を側面とした間隙領域RR(1,1)である。
ホール輸送層106は、間隙領域RL(1,1)、及び、間隙領域RR(1,1)の内側に形成され、ホール注入層105により画素電極103から注入された正孔を上位の有機発光層107にまで輸送する。ホール輸送層106は例えば、ポリフルオレンやその誘導体、あるいはポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物を用いて形成される。
列バンク11は、感光性有機材料と、撥液性材料とで構成され、高さ方向の上方部位(上面及び側面上端)に撥液性を有する。感光性有機材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂などが挙げられる。撥液性材料としては、フッ素系樹脂がある。
行バンク12は、感光性の有機材料又は無機絶縁材料で形成する。有機材料の具体例としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂などが挙げられる。無機絶縁材料としては、SiO2(酸化シリコン)、SiN(窒化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)などがある。
サブバンク13は、列バンクと同一材料(感光性有機材料、撥液性材料)で構成され、列バンク11と同一箇所(上面及び側面上端)に撥液性を有する。
有機発光層107は、間隙領域RL(1,1)、及び、間隙領域RR(1,1)の内側において、ホール輸送層106を覆うように形成され、ホール輸送層106から輸送されてきた正孔と、電子輸送層108から輸送されてきた電子とを結合させることで発光する。サブバンク13c11により仕切られているものの、有機発光層107は、共通の画素電極103(アノード電極)上に存在するから、走査線と接続されたスィッチングトランジスタTr2のゲート電極がオンになり、座標(i,j)における画素のk番目の原色成分の輝度が駆動トランジスタTr1に入力された場合、駆動トランジスタTr1に流れる増幅電流Id(Y(i,j,k))により、有機発光層107のうち、サブバンク13により仕切られた2つの部分が同時に発光する。有機発光層107の構成材料としては、リパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリフルオレン、オキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体等の蛍光物質等を用いることができる。
電子輸送層108は、有機発光層107及びサブバンク13を覆うよう形成され、共通電極109から有機発光層107への電子輸送を行う。例えば、電子輸送層108は、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などで形成される。
共通電極109は、図2(b)に示した有機発光素子OLEカソード電極であり、電子輸送層108を覆う。共通電極109は光透過性の材料で形成され、画素電極103と、共通電極109とで挟まれる部分に電位差を生じさせる。光透光性材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)若しくは酸化インジウム亜鉛(IZO)などがある。
封止層110は、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などで構成され、複数画素で共通となる共通電極109を覆い、水分や空気の進入を阻止する。
樹脂層111は、透明樹脂材料(例えばエポキシ系樹脂材料)、シリコン系樹脂などで構成され、列バンク11c11〜11c12をはじめとする複数の列バンク11、行バンク12r11を含む複数の行バンク12を覆い、複数の列バンク、複数の行バンクが存在することによる起伏を平滑化する。
カラーフィルタ基板112は、RGBのカラーフィルタを行列状に配置して、ブラックマトリクス113の井桁構造で仕切ることにより構成され、接着剤を用いて樹脂層111に貼り合わせられる。カラーフィルタ基板112のカラーフィルタは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色の波長域の可視光を選択的に透過する材料、例えば公知のアクリル樹脂をベースにした材料で形成される。
ブラックマトリクス113は、光吸収性および遮光性に優れる黒色顔料を含む紫外線硬化樹脂材料で形成され、有機発光層から発せられる光を透過し、複数の行バンク12、複数の列バンク11にあたる部分を遮蔽する役割をもつ。紫外線硬化樹脂としては、アクリル系の紫外線硬化樹脂材料が挙げられる。
基板114は、上記基板100と同様、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、硫化モリブデン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属基板、ガリウム砒素基などの半導体基板、プラスチック基板等を用いて構成される。
尚、図4(a)、(b)では、行方向のサブバンクの個数を1つとしたが、これは一例に過ぎない。かかるサブバンクの個数は、有機発光層形成用のインク材で成膜可能となるインク膜の幅の下限値や、画素幅に応じて定められる。また、2以上のサブバンクが形成された場合、有機発光層は、この2以上のサブバンクで分断された形態により形成される。
以上で、有機EL表示パネル10の構成についての説明を終える。続いて、有機EL表示パネルの製造工程について説明を始める。
[有機EL表示パネルの製造方法]
以下、図5のフローチャートを参照しながら、実施の形態1の製造方法による製造工程について説明する。図5のフローチャートは、多機種を実現する場合、1つの機種の有機EL表示パネルの製造工程を示すものである。尚、以降の説明にあたっては、図6のフローチャートと、図8〜図10の説明図とを適宜参照する
はじめに、TFT層101が積層された基板100を準備し(ステップS1)、当該基板100に、有機化合物材料を印刷するか、又は、有機化合物材料を塗布することで絶縁層102を形成する(ステップS2)。その一方、画面インチ数、解像度入力を受け付けて(ステップS3)、画面インチ数、解像度に応じた画素電極のサイズ、及び、画素電極のピッチを算出する(ステップS4)。そして、絶縁層102が形成された基板100に対して金属材料、透明伝導層材料を用いた蒸着・スパッタリングを施し、算出されたサイズに応じた画素電極103を、算出されたピッチに応じた間隔で形成する(ステップS4)。
その後、酸化物材料、伝導性ポリマー材料を用いて蒸着・スパッタリングを行い、画素電極103を覆うように、ホール注入層105を形成する(ステップS5)。感光性材料を、ホール注入層105上に一様に塗布して、塗布された感光性材料に、列バンク11、行バンク12、サブバンク13のパターンに合わせた開口を有するフォトマスクを重ね合わせ、UV照射して露光し、未硬化の余分な感光性材料をエッチング液で除去する。これにより列バンク11、行バンク12の形成を行う(ステップS6)。
[列バンク、及び、サブバンクの形成過程]
図6は、列バンク、及び、サブバンクの形成過程の詳細を示すフローチャートである。
本フローチャートにおいて「x」は、有機発光層の形成に利用しようとするインクの固形成分濃度を表す変数である。High_ppi(x)は、インクの固形成分濃度xで適応することができる精細度の上限値を示し、Low_ppi(x)は、インクの固形成分濃度xで適応することができる精細度の下限値を示す。
ppi(y)は、製造しようとする有機EL表示パネルのパネルサイズ、解像度から定まる精細度を示す変数であり、Pixel_W(y)は、精細度yの有機EL表示パネルの画素幅である。Sub_Duration(y)は、精細度yの有機EL表示パネルで形成されるi本のサブバンク間隔を示す。尚、サブバンク間隔とは、列バンクの間隙中にサブバンクを形成することで確保される、有機発光層形成のための間隔であり、列バンクからサブバンクまでの間隔、及び、サブバンクとサブバンクとの間の間隔の双方を意味する。
画面インチ数、解像度に応じたN個の列バンク、及び、M個の行バンクの配置を決定し(ステップS21)、画面インチ数、解像度から精細度ppi(y)を算出する(ステップS22)。続いて、有機発光層107の形成に用いられるインク材のインクの固形成分濃度xを取得し(ステップS23)、画面インチ数、解像度に応じて算出された精細度ppi(y)が取得したインクの固形成分濃度xに応じた適応可能範囲の上限値High_ppi(x)を上回るかどうかを判定する(ステップS24)。画面インチ数、解像度に応じて算出された精細度ppi(y)が取得したインクの固形成分濃度xに応じた適応可能範囲の上限値High_ppi(x)を下回る場合(ステップS24でNo)、画面インチ数、解像度に応じて算出された精細度ppi(y)が、インクの固形成分濃度xに応じた適応可能範囲の下限値Low_ppi(x)を下回るかどうかを判定する(ステップS25)。
図7(a)〜(d)を参照しながら、ステップS24、S25の判断(有機発光層107の形成に用いるインク材のインクの固形成分濃度が適正であるかどうかの判断)の詳細について説明する。図7(a)は、精細度範囲を示す。本図の縦軸は、0ppiから300ppiまでの精細度の範囲を示し、横軸は0wt%から5wt%(重量パーセント)までのインクの固形成分濃度を示す。上限曲線cv1、上限直線ln1、下限直線ln2で囲まれる範囲(ハッチングht1を付した範囲)は、横軸のインクの固形成分濃度を用いて、形成することができる有機EL表示パネルの精細度を示す。
製造しようとする有機EL表示パネルが低精細パネルであり、精細度ppi(y)が230ppiである場合のインクの固形成分濃度の選定について説明する。図7(a)の曲線cv1において、230ppiに対応するインクの固形成分濃度は2.9wt%であるから、インクの固形成分濃度xを2.9wt%とすれば、図6のステップS24の判定がNo、ステップS25の判定がNoとなり、インクの固形成分濃度が適正であると判定される。尚、適応可能範囲の上限値を上回る場合、ステップS24がYesとなり、インクの固形成分濃度が不適切であるとしてエラーでリターンする。
一方、画面インチ数、解像度に応じて算出された精細度ppi(y)が、インクの固形成分濃度xに応じた適応可能範囲の下限値Low_ppi(x)を下回る場合(ステップS25でYes)、適応可能範囲の下限値Low_ppi(x)に対応する下限間隔Low_Duration(x)を算出し、(ステップS26)、サブバンク幅Sub_Wを固定値として、Pixel_W(y)=Sub_w・i+Sub_Duration(y)・(i+1)であり、かつ、Sub_Duration(y)≦Low_Duration(x)となるようなサブバンク数iと、Sub_Duration(y)とを求める(ステップS27)。具体的にいうと、このステップS27では、図7(b)の関係を満たすようなサブバンク数iと、Sub_Duration(y)を求める。つまり、Sub_wの幅のサブバンクがi本(図7(b)では3本)存在していて、列バンク11c11と、サブバンク13との間、及び、サブバンク間の共通の間隔Sub_Duration(y)が、Low_Duration(x)以下になるようなサブバンク数i、サブバンク間隔Sub_Duration(y)を算出する(ステップS27)。
このステップS27の計算は、サブバンクの本数i、サブバンク間隔Sub_Durationを、画素幅と、サブバンク幅との大小関係に応じて定めるものである。先ず、i=1として以下の計算を行う。画素幅Pixel_Wからサブバンク幅Sub_Wを引いて、2(=i+1)で割った商を求めて、これをSub_Durationとする。そうして求めたSub_Durationが、適応可能範囲の下限値Low_Durationを下回るか否かを判定する。下回る場合、サブバンクの本数を1とする。Sub_Durationが適応可能範囲の下限値Low_Durationを上回る場合、iを増加させてi=2とし、上記の計算を繰り返す。
画素幅Pixel_Wからサブバンク幅Sub_Wに2(i=2)をかけた値を引いて、3(=i+1)で割った商をSub_Durationとし、Sub_Durationが適応可能範囲の下限値Low_Durationを下回るかどうかを判定する。下回る場合、変数iをインクリメントして、Sub_Duration がLow_Durationを下回ると判定されるまで、上記の動作を繰り返す。上記の計算を経て、サブバンク本数iと、サブバンク間隔Sub_Durationとが定まれば、サブバンク間隔Sub_Duration(y)を空けて、幅Sub_Wのサブバンクをi個配置するものとして、バンク配置位置を決定する(ステップS28)。
製造しようとする有機EL表示パネルが低精細パネルであり、精細度ppi(y)が40ppiであり、インクの固形成分濃度を2.9%とする場合のSub_Duration(y)の決定について説明する。図7(a)において、下限直線ln2において、2.9%に対応する精細度の下限値Low_ppi(x)は80ppiであるから、図7(c)に示すようにLow_Durationを86μm(80ppiに対応するバンクピッチ106μmから、20μmのバンク幅を引いた値)とする。そして、このLow_Duration(y)以下となる長さにSub_Duration(y)を定めて、Sub_Duration(y)だけ隔てた位置にサブバンクを配置する。そして、一画素に対応する画素領域において、サブバンクで隔てられた形態で、有機発光層を形成する。サブバンクの設置により、実質的な精細度は80ppi以下になるから、図7(d)に示すように適応可能な精細度範囲を下方向に拡大することができる。
図8(a)〜(f)を参照しながら、列バンク11c11、11c21、サブバンク12c11の形成過程について説明する。図8(a)は、初期状態であり、基板100上に、TFT層101と、絶縁層102とが形成され、画素電極103、ホール注入層105が形成された状態を示す。また、行バンクが形成されている。かかる状態で、行バンクの形成を開始する。図8(b)に示すように、列バンク11c11〜11c21を含む複数の列バンク11を形成するためのバンク材料11m(ネガ型感光性樹脂組成物)を、基板上に一様に塗布する。次に、図8(c)に示すように、列バンク11c11〜11c71及びサブバンク13c11〜13c71に対応する開口部を有したフォトマスクを作成する。そして図8(d)に示すように、当該フォトマスクを用いて、列バンク11c11〜11c71、サブバンク13c11〜13c71以外の部位を遮蔽した状態でUV照射を行う。その後、図8(d)に示すように、アルカリ現像液を用いることで、バンク材料11mのうち、UV照射がなされなかった部位を取り除く。これにより、列バンク11c11〜11c21、行バンク12r11、サブバンク13c11を完成させる。
[ホール輸送層106の生成過程]
インク材塗布によるホール輸送層形成の詳細について説明する。誘電体材料、高分子化学材料を所定の固形成分濃度で溶解したインク液を列バンク11、行バンク12で仕切られた間隙領域に吐出し、乾燥する。これにより、間隙領域を覆うように、ホール輸送層106を形成する(図5のステップS7)。
はじめに、各画素の長手方向がY方向、各画素の幅方向がX方向となるように基板を液滴吐出装置の作業テーブル上に載置する。図9に示すように、液滴吐出装置のインクジェットヘッド600は、吐出口601r1,r2,r3,r4,r5・・・・・がY方向に沿ってライン状に配置されている。複数の吐出口601r1,r2,r3,r4,r5・・・・・からのインク吐出時の着弾目標として、間隙領域の行方向の中心線上に、複数の着弾目標を設ける。
以上の載置と、着弾目標の設置とを行った後、インクジェットヘッドを、X方向に走査させる。そしてインクジェットヘッド600の吐出口が、間隙領域の中心線上の複数の着弾目標に到達した段階で、インク材の吐出を行う。
図10(a)〜(c)を参照しながら、ホール輸送層106が形成される過程について説明する。バンク形成が完了した基板100の表面に沿ってノズルヘッドを走査させながら、各間隙領域の内部に設定された着弾点に対して、ホール輸送層形成のためのインク材の吐出を行う。ここで吐出されるインク材は、ホール輸送層106の形成材料を、高精細パネル向けの濃度で溶解させたものである。
間隙領域RL(1,1),RR(1,1)の中央部分に設定された着弾点に、ホール輸送層形成用のインクが着弾すると、図10(a)に示すように、間隙領域RL(1,1),RR(1,1)は、ホール輸送層形成のためのインク材の液滴106mで満たされる。
続いて、各間隙領域RL(1,1),RR(1,1)に配置されたインク材の液滴106mを、減圧乾燥法によって乾燥する。これにより、図10(b)に示すように、間隙領域RL(1、1)、及び、間隙領域RR(1,1)を満たすインク材の液滴106mの体積が減少してゆく。最終的に、図10(c)に示すように、間隙領域RL(1、1)と、間隙領域RR(1,1)とにホール輸送層106が形成される。
[有機発光層107の生成過程]
続いて、金属錯体、蛍光物質といった有機発光層形成材料を、所定の固形成分濃度で溶解したインク液を同じ間隙領域に塗布し、乾燥して、その後に焼成することで、有機発光層107を形成する(図5のステップS8)。
図10(d)〜(f)を参照しながら、有機発光層107が形成される過程について説明する。ホール輸送層106の形成が完了すると、バンク形成が完了した基板100の表面に沿ってインクジェットヘッドを走査させながら、各間隙領域の内部に設定された着弾点に対して、有機発光層形成のためのインク材の吐出を行う。ここで吐出されるインク材は、有機発光層107の形成材料を、高精細パネル向けのインクの固形成分濃度で溶解させたものである。
間隙領域RL(1,1),RR(1,1)の中央部分に設定された着弾点に、有機発光層形成用のインクが着弾すると、図10(d)に示すように、間隙領域RL(1,1),RR(1,1)は、インク材の液滴107mで満たされる。
続いて、各間隙領域RL(1,1),RR(1,1)に配置されたインク材の液滴107mを、減圧乾燥法によって乾燥する。これにより、図10(e)に示すように、間隙領域RL(1、1)、及び、間隙領域RR(1,1)を満たすインク材の液滴107mの体積が減少してゆく。最終的に、焼成を行うことで、図10(f)に示すように、間隙領域RL(1、1)と、間隙領域RR(1,1)とに有機発光層107が形成される。
次に、誘導体材料を用いて真空蒸着を行うことで、各画素電極を覆うように、電子輸送層108を形成し(ステップS9)、透過性材料を用いて蒸着、スパッタリングを行うことで、複数の画素電極103に共通となる共通電極109を形成する(ステップS10)。最後に、CVD法等により封止層110を形成し(ステップS11)、別途に作成したカラーフィルタ基板112を貼り合わせることで、有機EL表示パネル10を完成させる(ステップS12)。
[多機種対応]
精細度が異なる複数機種の伊有機EL表示パネルを製造する際の具体例について、説明する。かかる具体例では、精細度が高い有機EL表示パネルと、精細度が低い有機EL表示パネルとを連続して製造するケースを想定する。精細度が高い有機EL表示パネルでは、列バンク、行バンクがなす間隔が微細になっているので、有機EL表示パネルの形成には、高めの固形成分濃度のインク材を使用する。かかるインク材により、図11(a)の有機EL表示パネル100Highを製造する。有機EL表示パネル100Highでは、予め定められた画面インチ数の基板に、高密度で有機発光素子を形成するから、図5のステップS4で算出される画素電極のサイズ及びピッチは極めて小さいものとなる。微細な画素電極103上に有機発光素子を形成しようとするため、図6のステップS23で取得するインクの固形成分濃度は、高い目の値となる。かかる高精細パネルの画面インチ数、解像度から定まる精細度ppi(y)は、インク濃度xに適応する適応可能範囲の上限値を下回り(S24でNo)、下限値を上回るので(S25でNo)、サブバンクを形成することなく、列バンク、行バンクの配置を決定する。
製造しようとする機種が低精細パネル、つまり、図11(b)の有機EL表示パネル100Lowであれば、画面インチ数や解像度から定まる精細度ppi(y)は低めの値となる(図6のS22)。一方、インク材交換によるロスをなくすため、高精細パネル100Highと同じインク材を用いるとすると、インクの固形成分濃度から定まる精細度ppi(y)は、インクの固形成分濃度xのインク材により適応可能な適応可能範囲の下限値を下回る(S25でYes)。そこで、S26、S27の処理により、1本又は2本以上のサブバンクを形成することで、有機発光層を形成するための間隔を確保する。つまり図11(a)の低精細パネルは、RGBの画素の中央部にサブバンク13c11〜13c71が存在していて、R,G,Bの原色毎の発光領域は、サブバンク13c11〜13c71により、左右の2つの領域に分割される。図11(b)は、高精細パネルの1対の列バンクの断面構造を示し、図11(c)は、低精細パネルの一対の列バンク11c11〜11c71の断面構造を示す。低精細パネルにおける列バンク11c11からサブバンク13c11までの間隔(duration2)は、高精細パネルにおける一対の列バンクの間隔(duration1)とほぼ等しいから(duration1≒duration2)、高精細パネルにおける有機発光層の成膜と、低精細パネルにおける有機発光層の成膜とで同じ固形成分濃度のインク材を用いた場合でも、膜ムラや膜の孤立が存在することはない。
[実験結果]
本開示の実施形態による有機発光層形成の優位性を確認するため、以下の検証1、2を行い、230ppi,180ppi,80ppi,60ppi,30ppiといった精細度の有機EL表示パネルを製造する場合の有機発光層成膜の成否を確認することにした。
(検証1.)列バンク間にサブバンクを設ける工程を取り入れない製法で、精細度が異なる複数の有機EL表示パネルを製造する。
(検証2.)列バンク間にサブバンクを設ける工程を取り入れる製法(本開示の実施形態の製造方法)で、精細度が異なる複数の有機EL表示パネルを製造する。図12(a)〜(e)は、検証1の結果を示す。以下、図12(a)〜(e)を参照しながら、検証1による有機発光層形成の成否を説明する。尚、検証1、2を行うにあたって、上記の2つの製法で製造される列バンクのバンク幅は14μmで固定されているものとする。
尚、列バンク11及びサブバンク13の高さ(絶縁層102上面からの高さ)は1μmであり、行バンク12の高さ(絶縁層102上面からの高さ)は0.5μm、行バンク12の幅は15〜20μm、画素領域(有機発光層が形成される間隙領域)の列方向の長さは300μm以下であるものとする。
230ppi,180ppi,80ppiといった精細度は、3wt%のインクの固形成分濃度で適応可能な精細度範囲に含まれるから、3wt%のインク材による成膜がなされる。これにより、図12(a)〜(c)に示すように、23μm、33μm、92μmの画素幅の有機発光層107が形成される。ところが、60ppiの精細度では列バンクの間隙である画素幅がおおきくなる(125μm)。そうすると、固形成分濃度を溶かしたインク溶液の広がりが、一方の列バンクには到達するものの、他方の列バンクにまで到達しない。これにより、図12(d)に示すような膜ムラが発生する。
インクの固形成分濃度が30ppiであると、列バンクの間隙幅である画素幅のひらきが更に大きくなる(266μm)。そうすると、インクジェットヘッドの吐出角に係らず、インクに含まれる固形成分は、列バンク間の間隙の中央部分で、膜厚が大きい塊をなす。この場合、インク溶液の広がりが、両側の列バンクの何れにも到達しないので、図12(e)に示すように、膜の孤立が発生する。以上が、検証1の結果である。続いて、検証2の結果について説明する。
230ppi,180ppi,80ppiといった精細度は、3wt%のインクの固形成分濃度で適応可能な精細度範囲に含まれるから、図6のステップS24の判定がNo、ステップS25の判定がNoとなり、固形成分濃度が3.0wt%のインク材による成膜がなされる。これにより、図13(a)〜(c)に示すように、23μm、33μm、92μmの画素幅の有機発光層が形成される。ところが、60ppi,30ppiの精細度は、3.0wt%のインクの固形成分濃度の適応可能範囲に含まれない。よって60ppi,30ppiの精細度では、図6のステップ24の判定がNo、ステップS25の判定がYesとなり、サブバンクの形成を行う。尚、サブバンクの幅は固定長(10μm)であるとしている。
製造すべき有機EL表示パネルの精細度が60ppiである場合、画素幅は125μmになるから、サブバンク数iを1とし、サブバンク幅を17μmとすれば、サブバンク間隔は57.5μm(=(125−10)/2)となり、3.0wt%のインクの固形成分濃度で成膜可能な間隔(92μm)を下回る。よって60ppiの精細度では、図13(d)に示すように、中央部がサブバンクで区切られた態様で有機発光層を形成する。
製造すべき有機EL表示パネルの精細度が30ppiである場合、画素幅は266μmになるから、サブバンク数iを2とすれば、サブバンク幅は82μm(=(266−2・10)/3)となり、3.0wt%のインクの固形成分濃度で成膜可能な間隔(92μm)を下回る。よって30ppiの精細度では、図13(e)に示すように、列バンク間の間隙が、2つのサブバンクで区切られた態様で有機発光層を形成する。
以上の検証1においてサブバンクを設けない製法で精細度が異なる複数機種の有機発光層を形成しようとしてみたところ、3.0wt%のインク材では、60ppiの精細度、30ppiの精細度については、有機発光層の形成を行うことはできなかった。これに対して検証2においてサブバンクを設ける製法(本開示の実施形態による製造方法)により有機発光層を形成しようとしてみたところ、3.0wt%のインク材を使用した場合でも、60ppiの精細度、30ppiの精細度の有機発光層形成が可能になることがわかった。
また今回の検証2による実験結果を、特許文献1に記載された実験結果(図7(a)〜(e)、段落0161〜0167参照)と比較すると、有機発光層の形成が可能となる画素幅の範囲が広く(特許文献1で形成可能となる画素幅は60μm、80μm、100μm、130μm、175μmである)、精細度の範囲が実質的に拡大していることがわかる(特許文献1の精細度は50〜170ppi)。本開示の実施形態による製法は、特許文献1に開示された有機EL表示パネルの製造方法と比較して優位性を有することが分かった。
[その他の変形例]
以上、実施の形態に係る有機EL表示パネル10について説明したが、有機EL表示パネル10を以下のように変形することも可能であり、本開示が上述の実施の形態で示した通りの有機EL表示パネル10の構成に限られないことは勿論である。
(1)上記実施の形態では、ホール輸送層106及び有機発光層107がサブバンク13で区画された2つの溝領域部分に分かれて存在していたが、例えば、ホール輸送層106は形成せず、有機発光層107だけがサブバンク13で区画された2つの溝領域部に分かれて形成されてもよい。この場合も、同様に有機発光層107の膜厚を均一化する効果を奏する。
(2)上記実施の形態では、列バンク11と、サブバンク13とを同じ工程で一括形成したが、列バンク11と、サブバンク13とを別の工程で形成してもよい。また上記実施の形態では、列バンク11と、サブバンク13とを同じ高さに形成したが、列バンクの高さとサブバンクの高さは異なっていてもよい。感光性のバンク材料層を露光して硬化させるときに、ハーフトーンマスクを使い、列バンク11の部分は十分硬化させ、サブバンクの部分は半硬化とすることによって、サブバンク13の高さを列バンクよりも低く形成することもできる。行バンク12は、列バンク11やサブバンク13と比較して、ホール輸送層106や有機発光層107を形成するインクに対する撥液性を低く設定することが望ましい。この行バンク12及びサブバンク13における撥液性の調整は、行バンクの形成、列バンクの形成に使用するバンク材料を変えることによって、あるいは、バンクに対するUV処理条件を変えることによってなされる。
(4)尚、間隙領域にサブバンク13を形成すると、サブバンク13の幅だけ溝領域の発光面積が小さくなり、開口率が下がるので、サブバンク13の幅はできるだけ狭い方が望ましい。ただし、製造技術上、サブバンク13の幅を狭くするにも限界があり、10μm以下のバンク幅で製造するのは難しい。
(4)尚、上記実施の形態では、有機発光層で発生した光を共通電極109側から取り出す場合(トップエミッション)を例として説明したが、有機発光層で発生した光を画素電極103側から取り出すことも可能である(ボトムエミッション)。その場合、画素電極103は、ITO,IZO(登録商標),またはSnO2などの透明電極により構成され、共通電極109は、金(Au),白金(Pt),ニッケル(Ni),クロム(Cr),銅(Cu),タングステン(W),アルミニウム(Al),モリブデン(Mo)あるいは銀(Ag)などの金属元素の単体または合金よりなる反射電極により構成すべきである。共通電極109は反射電極と透明電極との複合膜により構成されていてもよい。また、ボトムエミッションの場合には、カラーフィルタ基板112は、例えば基板におけるTFT層101と絶縁層102との間に設けることが可能である。
また、例えば、上記実施の形態において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などは限定されるものではない。また、上記実施の形態では、TFT層が設けられた基板100に近い側にアノード極である画素電極、遠い側にカソード極である共通電極を設けていた。これに限らず、TFT層が設けられた基板100に近い側にカソード極、遠い側にアノード極が設けられている場合も、同様に実施できる。
(5)製造にあたっては、代表的な解像度を提示し、これら解像度の選択をユーザから受け付け、受け付けた解像度と、画面インチ数とから精細度を算出し、サブバンク形成の要否を判定してもよい。代表的な解像度としては、1920×1080(2K画質)、3840×2160(4K画質)、7680×4320(8K画質)、 640×480 (SD画質)、1280×720、960×540、720×576、720×480がある。
(6)以上で説明した実施の形態は、いずれも本開示の実施形態の好ましい一具体例を示すものである。実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、工程の順序などは一例であり、本開示の実施形態を限定する主旨ではない。また、実施の形態における構成要素のうち、本開示の実施形態の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない工程については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。また、発明の理解の容易のため、上記各実施の形態で挙げた各図の構成要素の縮尺は実際のものと異なる場合がある。また本開示の実施形態は上記各実施の形態の記載によって限定されるものではなく、本開示の実施形態の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。さらに、有機EL表示パネルにおいては基板上に回路部品、リード線等の部材も存在するが、電気的配線、電気回路について当該技術分野における通常の知識に基づいて様々な態様を実施可能であり、本開示の実施形態の説明として直接的には無関係のため、説明を省略している。尚、上記示した各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
本開示の一態様に係る有機EL表示パネル10は、例えば、家庭用もしくは公共施設、あるいは業務用の各種表示装置、テレビジョン装置、携帯型電子機器用ディスプレイ等に用いられる有機EL表示装置に利用可能である。
10 有機EL表示パネル
11 列バンク
12 行バンク
20 走査線駆動回路
30 信号線駆動回路
100 基板
101 TFT層
102 絶縁層
103 画素電極
105 ホール注入層
106 ホール輸送層
107 有機発光層
108 電子輸送層
109 共通電極
110 封止層
111 樹脂層
112 カラーフィルタ基板
113 ブラックマトリクス
200 素子回路

Claims (11)

  1. 複数の画素が行列状に配された有機EL表示パネルを製造する方法であって、
    基板上の各画素に相当する部位に画素電極を形成する第1工程と、
    前記各画素電極の行方向における端縁を覆い、列方向に延伸する複数の列バンクを基板上に設ける第2工程と、
    前記複数の列バンクのうち、隣接する列バンクの間隔が所定の間隔を上回るとき、隣接する列バンクにより囲まれる部分に、列方向に延伸するサブバンクを1つ設ける第3工程と、
    隣接する列バンクの間隔が所定の間隔を上回るときは、画素電極のうち列バンクと、サブバンクとにより囲まれている部分、隣接する列バンクの間隔が所定の間隔以下であるときは、画素電極のうち隣接する列バンクによって囲まれている部分に、有機発光材料を含むインクを塗布して乾燥することで有機発光層を形成する第4工程と、
    複数の有機発光層を、共通電極で覆う第5工程と
    を含む有機EL表示パネルの製造方法。
  2. 前記画素電極のうち、隣接する列バンクにより囲まれる部分に、サブバンクを2以上設けることで、前記サブバンクと、前記サブバンクとの間隔、及び、サブバンクと、サブバンクとの間隔が所定の間隔以下になった場合、前記第4工程は、サブバンクと、サブバンクとにより囲まれている部分に、有機発光材料を含むインクを塗布して乾燥することで有機発光層を形成する、請求項1記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  3. 前記基板の単位面積当たりの領域には、前記インクに含まれる固形成分の重量濃度に応じた画素数の有機発光層が形成され、
    前記所定の間隔は、前記単位面積当たりの領域の行方向の幅と、当該領域の行方向に含まれる画素数とから算出される間隔であり、
    製造しようとする機種における有機EL表示パネルの単位面積当たりの画素数が、前記重量濃度から定まる単位面積当たりの画素数を下回る場合、製造しようとする機種における有機EL表示パネルの列バンクの間隔が、所定の間隔を上回ると判定して、第3工程においてサブバンクを設ける
    請求項1記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  4. 製造しようとする機種における有機EL表示パネルの単位面積当たりの画素数が、前記重量濃度から定まる単位面積当たりの画素数と等しいか、これを上回る場合、製造しようとする機種における有機EL表示パネルの列バンクの間隔が、所定の間隔以下であるとして、第3工程によるサブバンクを設けない、ことを特徴とする請求項3記載の製造方法。
  5. 前記列バンクは、高さ方向の所定の部位が撥液性部材で構成されており、
    前記第3工程は、前記サブバンクの高さを前記各列バンクと同じ高さとし、前記サブバンクのうち、前記列バンクの前記所定の部位に対応する部分を、撥液性部材を用いて形成する、請求項1記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  6. 前記第2工程は、前記画素電極の列方向における端縁を覆い、行方向に延伸する行バンクを設け、前記行バンクの高さは、前記列バンクよりも低い請求項1記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  7. 複数の機種の有機EL表示パネルを製造するに当たり、有機発光層の形成に固形成分濃度が同じインク材を用いる、請求項6記載の製造方法。
  8. 前記インクの固形成分濃度が3.0重量%である場合、1インチ当たりの領域に対し、80個から230個までの画素セットの形成が可能となり、当該画素セットは、R画素、G画素、B画素の組からなる、請求項7記載の製造方法。
  9. 複数の画素が行列状に配された有機EL表示パネルであって、
    基板と、
    基板上の複数の画素のそれぞれに対応する位置に配置された画素電極と、
    画素電極の行方向における端縁を覆い、列方向に延伸する複数の列バンクと、
    各列バンクから所定の間隔だけ行方向に隔てた位置の画素電極の一部を覆い、列方向に延伸する複数のサブバンクと、
    複数の隣接する列バンクと、サブバンクとの間の画素電極の上方に形成された複数の有機発光層と、
    前記複数の有機発光層を覆い、複数の画素電極に対向する共通電極と
    を備える、有機EL表示パネル。
  10. 前記列バンクは、高さ方向の所定の部位が撥液性部材で構成されており、
    前記サブバンクの高さは前記各列バンクと同じ高さであり、前記サブバンクのうち、前記列バンクの前記所定の部位に対応する部分は、前記撥液性部材を用いて構成される、請求項9記載の有機EL表示パネル。
  11. 前記画素電極の列方向の端縁は、行バンクにより覆われており、前記行バンクの高さは、前記列バンクよりも低い、請求項9記載の有機EL表示パネル。
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