JP2018084307A - ダイナミックダンパの固定構造 - Google Patents

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美香 小原
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Abstract

【課題】締結バンドやボルト・ナット部材等を用いることなく、シャフトとダイナミックダンパとの優れた密着性(接合性)に優れたダイナミックダンパの固定構造を提供する。
【解決手段】回転する金属製のシャフトに装着されるダイナミックダンパの固定構造である。ダイナミックダンパは、シャフトに外嵌固定される取付筒部と、重り部材を収納する筒状本体部とを備える。取付筒部をシャフトの被取付面に外嵌した状態で、シャフトの被取付面の表層部分のみを高周波誘導により加熱する。金属製のシャフトの被取付面に接している樹脂製の取付筒部の境界部が分解温度以上の急速加熱で分解されて泡が発生する。これによって、取付筒部の内径面とシャフトの被取付面とを接合一体化する。
【選択図】図1

Description

本発明は、シャフトの振動を抑制するダイナミックダンパの固定構造に関する。
一般に、自動車等のドライブシャフト等の回転体には共振振動による振動増幅現象がある。自動車に要求される乗り心地、静粛性等を確保するためには、この共振振動を防止する必要が生じる。この共振振動を防止する方法としては、ドライブシャフトにダイナミックダンパを設けて、固有振動数を調整する方法があげられる。
このようなダイナミックダンパをドライブシャフトに固定させる方法としては、ダイナミックダンパとドライブシャフトとをボルトで固定する方法( 特許文献1等参照)がある。さらには、図11及び図12に示すように、ダイナミックダンパとドライブシャフトとを締結バンド で固定する方法等が行われている。
図11に示すダイナミックダンパは、回転するシャフト1に外嵌固定される一対の取付筒部2、2と、この一対の取付筒部2、2を連結するとともにシャフト1の外周面よりも大きな内周面を有する筒状本体部3と、前記筒状本体部3に収納される筒状の金属製の重り部材4とを有する。
一対の取付筒部2、2と筒状本体部3とは、ゴム等の弾性材からなる一体成形品であり、この場合、重り部材4をインサート部材として、金型を用いたインサート成形によって形成される。
そして、取付筒部2,2の外径面には周方向凹溝5が形成され、この周方向凹溝5に固定用バンド6が装着され、この固定用バンド6を締め付けることによって、取付筒部2,2をシャフト1の所定位置に固定できる。このように、シャフト1に装着した状態では、筒状本体部3の内周面3aと、これに対向するシャフト1の外周面1aとの間に環状隙間Sが形成される。また、取付筒部2,2と筒状本体部3とは繋部7にて接続されている。
図12に示すダイナミックダンパは、回転するシャフト1に外嵌固定される取付筒部8と、この取付筒部8の一方側の外周面に連結部9を介して外嵌される筒状本体部10と、この筒状本体部10に収容される重り部材11とを備える。
取付筒部8の他方側の外径面には周方向凹溝5が形成され、この周方向凹溝5に固定用バンド6が装着され、この固定用バンド6を締め付けることによって、取付筒部8をシャフト1の所定位置に固定できる。
また、特許文献2には、シャフトの外表面に環状突起部を設けるとともに、この環状突起部に対応するダイナミックダンパ側の内径面に、環状突起部が嵌合する溝や孔部を設けたものが記載されている。
特開平06−094075号公報 特開2007−071297号公報
特許文献1に示すように、ボルト部材にて固定するものでは、ドライブシャフトにボルトを嵌入するための貫通孔を設ける必要があり、ドライブシャフトの強度を低下させるおそれがある。しかも、部品点数も多く、固定する際に螺着作業を行う必要があり、使用中に緩むおそれもあった。
図11及び図12に示すような締結バンドを用いるものでは、部品点数も多く、固定する際にバンド締結作業を行う必要があり、使用中に緩むおそれもあった。特許文献2に記載のように、シャフトの外表面に所定の環状突起部を設けるものでは、シャフトに対して環状突起部を設ける追加工程を必要として生産性に劣ることになる。
また、従来の固定方法では、シャフトとダイナミックダンパとの接触乃至圧接面間への水等の液体の侵入を抑えられず、シャフト腐食によるシャフト径の減少が発生し、ドライブシャフトの強度低下を招くおそれがある。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて、締結バンドやボルト・ナット部材等を用いることなく、シャフトとダイナミックダンパとの優れた密着性(接合性)に優れたダイナミックダンパの固定構造を提供するものである。
本発明のダイナミックダンパの固定構造は、回転する金属製のシャフトに装着されるダイナミックダンパの固定構造であって、前記ダイナミックダンパは、前記シャフトに外嵌固定される取付筒部と、重り部材を収納する筒状本体部とを備え、取付筒部をシャフトの被取付面に外嵌した状態で、シャフトの被取付面の表層部分のみを高周波誘導により加熱し、金属製のシャフトの被取付面に接している樹脂製の取付筒部の境界部が分解温度以上の急速加熱で分解されて泡が発生することで、取付筒部の内径面とシャフトの被取付面とを接合一体化してなる接合部を設けたものである。
本発明のダイナミックダンパの固定構造によれば、シャフトの被取付面の表層部分のみを高周波誘導により加熱することができる。すなわち、電磁波誘導作用によって、導電体である金属製のシャフトの被取付面の表層部分は、鉄損(渦電流損とヒステリシス損の和)により発熱し、この熱で、シャフトの被取付面に接している取付筒部の境界部が分解温度以上に急速に加熱して分解され、泡が発生する。これにより、泡の周辺部分の高温の融液とシャフトの被取付面の表面に高温・高圧の条件が発生して、取付筒部の取付面とシャフトの被取付面との間に接合部が得られる。これによって、シャフトの被取付面に取付筒部が取付固定される。
取付筒部の内径面とシャフトの被取付面とを締め代とした状態で、高周波誘導の加熱にて形成される前記接合部を設けるようにするのが好ましい。これによって、取付筒部の内径面とシャフトの被取付面との密着度の向上を図ることができる。
取付筒部に外嵌される高周波誘導加熱コイルによる加熱にて形成される前記接合部を設けたダイナミックダンパの固定構造であって、高周波誘導加熱コイルの内径面と取付筒部の外径面とを締め代とした状態で、高周波誘導加熱コイルに高周波電流を通電して、シャフトの被取付面の表層部分のみを高周波誘導により加熱するものであってもよい。このように設定することによって、高周波誘導加熱コイルに高周波電流を通電すれば、安定して、シャフトの被取付面の表層部分のみを加熱することができる。
取付筒部に外嵌される高周波誘導加熱コイルによる加熱にて形成される前記接合部を設けたダイナミックダンパの固定構造であって、高周波誘導加熱コイルの内径面及び取付筒部の外径面を、ダンパ内部側からダンパ外部側に向って縮径するテーパ面としてもよい。このようにテーパ面とすることによって、コイル状に巻設してなる高周波誘導加熱コイルを、拡径している側を小径側から嵌入することができ、高周波誘導加熱コイルの装着の簡略化を図ることができる。
取付筒部の材質を熱可塑性エラストマーとするのが好ましい。熱可塑性エラストマーは、熱を加えると軟化して流動性を示し、冷却すればゴム状に戻る性質を持つエラストマーである。このため、分解温度以上の急速加熱で分解されて泡が発生し易く、接合一体化が安定する。特に、熱可塑性ポリエステル系エラストマーが好ましい。すなわち、熱可塑性ポリエステル系エラストマーは、機械的強度、成形性、弾性に優れており、ダイナミックダンパに必要とされる耐久性等の機能を具備させるものとして好ましい。
前記シャフトが、等速自在継手に取付られる継手用シャフトであるのが好ましい。
本発明のダイナミックダンパの固定構造では、高周波誘導により加熱するものであり、締結バンドやボルト部材等の固定具を用いる必要がなく、部品点数を削減して組立工程の簡素化および低コスト化を図ることができる。しかも、ダンパとシャフトの接合の密着性に優れ、水分等のダンパ内部への浸入を有効に防ぐことができるため、シャフトの発錆を防止できる。
本発明のダイナミックダンパの固定構造におけるダイナミックダンパとシャフトとの接合工程を示す断面図である。 図1に示すダイナミックダンパの固定構造の断面図である。 本発明のダイナミックダンパの固定構造にてダイナミックダンパがシャフトに固定されたドライブシャフトの断面図ある。 自動車の駆動系を示す簡略図である。 図1に示す高周波誘導加熱コイルと相違する高周波誘導加熱コイルを用いて接合部を形成している状態の断面図である。 図5に示す高周波誘導加熱コイルの断面図である。 図5に示す高周波誘導加熱コイルを用いて形成された接合部を有するダイナミックダンパの固定構造の断面図である。 図5に示す高周波誘導加熱コイルと相違する高周波誘導加熱コイルを用いて接合部を形成している状態の断面図である。 図8に示す高周波誘導加熱コイルの断面図である。 他のダイナミックダンパの固定構造の断面図である。 従来のダイナミックダンパの固定方法にて固定されたダイナミックダンパの断面図である。 従来の他のダイナミックダンパの断面図である。
以下本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。図4は自動車の駆動系(後輪駆動車の駆動系)を示し、エンジン100→トランスミッション101→プロペラシャフト102→デファレンシャルギア103→ドライブシャフト104→車輪(タイヤ)105というような力の伝達が行われる。
そして、本発明に係るダイナミックダンパは、プロペラシャフト102やドライブシャフト104に使用される。このダイナミックダンパを用いたドライブシャフト104を図3に示す。ドライブシャフト104は、固定式等速自在継手51と摺動式等速自在継手52とを、シャフト50にて連結してなるものである。この図例では、固定式等速自在継手51にバーフィールド型等速自在継手を用い、摺動式等速自在継手52にトリポード型等速自在継手を用いている。
固定式等速自在継手51は、軸方向に延びる複数のトラック溝13が内径面14に形成された外側継手部材15と、軸方向に延びる複数のトラック溝16が外径面17に円周方向等間隔に形成された内側継手部材18と、外側継手部材15のトラック溝13と内側継手部材18のトラック溝16との間に介在してトルクを伝達する複数のボール19と、外側継手部材15の内径面14と内側継手部材18の外径面17との間に介在してボール19を保持するケージ20とを備えている。
摺動式等速自在継手52は、内周に軸線方向に延びる三本のトラック溝21を設けると共に各トラック溝21の内側壁に互いに対向するローラ案内面21aを設けた外側継手部材22と、半径方向に突出した3つの脚軸23を備えたトリポード部材24と、トリポード部材24の脚軸23に装着されるローラユニット25とを備える。ローラユニット25は、ローラであるアウタリング26と、このアウタリング26の内側に配置されて脚軸23に外嵌されたインナリング27と、アウタリング26とインナリング27との間に介在された針状ころ28とで主要部が構成されている。
シャフト50は、その両端部に雄スプライン50a、50bが形成され、一方の雄スプライン50aが固定式等速自在継手51の内側継手部材18に嵌入され、他方の雄スプライン50bが摺動式等速自在継手52のトリポード部材24に嵌入される。内側継手部材18の軸心孔33に雌スプライン34が形成され、シャフト50の一方の雄スプライン50aが内側継手部材18の軸心孔33に嵌入されて、雌スプライン34に嵌合する。また、シャフト50の他方の雄スプライン50bがトリポード部材24のボス部29の軸心孔35に嵌入されて、この軸心孔35の雌スプライン36に噛合する。
そして、固定式等速自在継手51には外側継手部材15の開口部を密封するためのブーツ40Aが付設され、摺動式等速自在継手52には外側継手部材22の開口部を密封するためのブーツ40Bが付設されている。ブーツ40A,40Bは、大径端部40aと、小径端部40bと、大径端部40aと小径端部40bとを連結する蛇腹部40cとからなる。ブーツ40A,40Bの大径端部40aは外側継手部材15,22の開口端で締結バンド42A,42Bにより締め付け固定され、その小径端部40bはシャフトの所定部位で締結バンド43A、43Bにより締め付け固定されている。
本発明に係るダイナミックダンパ59は、図1と図2に示すように、回転するシャフト50に外嵌固定される一対の取付筒部60(60A、60B)と、この一対の取付筒部60A、60Bを連結するとともにシャフト50の外周面よりも大きな内周面を有する筒状本体部61と、シャフト50の外周面よりも大きな内周面を有し前記筒状本体部61に収納される筒状の金属製の重り部材62とを有する。
図2に示すように、一対の取付筒部60A、60Bと筒状本体部61とは、熱可塑性樹脂等の弾性材からなる一体成形品であり、この場合、重り部材62をインサート部材として、金型を用いたインサート成形によって形成される。すなわち、重り部材62以外の材質を熱可塑性樹脂とし、好ましくは、ポリエステル系、シリコーン系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリスチレン系、塩化ビニル系、フッ素系等の熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂材料で形成される。本実施形態ではこの中でも、コストに対して機械的強度、耐熱性、耐油性等に優れた特性を示すポリエステル系の熱可塑性エラストマー(熱可塑性ポリエステルエラストマー)を主成分とする樹脂材料で形成される。
熱可塑性ポリエステルエラストマーでは、分解温度が400℃〜500℃程度であり、電磁誘導加熱で得られやすい温度帯であり、このダンパ固定方法に用いる取付筒部60A、60Bの材料として最適である。また、熱可塑性ポリエステルエラストマーは弾性を持つエラストマーであり、ダンパ内径(取付筒部60A、60Bの内径)よりも大きい外径を持ったシャフト50にも装着(圧入)できる。この場合、シャフト50の径は、取付筒部ける60A、60Bも拡径の大きさで決まる。
また、一対の取付筒部60A、60Bの外径面63(63A,63B)は、ダンパ内部側から順次縮径するテーパ面63Aa,63Baとされている。一対の取付筒部60A、60Bの内径面64(64A,64B)と、シャフト50の外径面の被取付面65(65A,65B)とが、後述するような高周波誘導加熱コイル70(70A,70B)(図1参照)を用いて接合されて、ダンパがシャフト50に装着される。このような装着状態では、筒状本体部61の内周面61aと、これに対向するシャフト50の外周面66との間に環状隙間Sが形成される。また、取付筒部60A,60Bと筒状本体部61とは繋部67にて接続されている。なお、テーパ面63Aa,63Baの傾斜角度としては、例えば、5°〜30°程度とされる。
図1に示すように、高周波誘導加熱コイル70(70A,70B)はリング体をなし、その内径面72(72A,72B)は、ダンパ内部側からダンパ外部側に向って縮径するテーパ面72Aa、72Baとされる。このテーパ面72Aa、72Bbの傾斜角度θ1としても、5°〜30°程度に設定される。これらの高周波誘導加熱コイル70A,70Bは導電性のある銅線等からなり、中実体であっても、中空体であってもよい。中空体であれば、内部に冷却水を通すことができる。また、中実体であれば、この高周波誘導加熱コイル70A,70Bとは別に冷却ジャケットを設けてもよい。
次に、高周波誘導加熱コイル70A,70Bを用いてダンパの固定方法(取付方法)を説明する。まず、シャフト50のダンパ装着部位に、ダンパを外嵌した状態とする。その後、その外嵌した状態で、仮想線で示すように、各高周波誘導加熱コイル70A,70Bをダンパの取付筒部60A,60Bよりも軸方向外方位置から矢印Aで示すようダンパ側へ移動させて嵌入させる。
この際、高周波誘導加熱コイル70A,70Bの内径面72(72A,72B)が、ダンパ内部側からダンパ外部側に向って縮径するテーパ面72Aa、72Baとされ、ダンパの取付筒部60A、60Bの外径面も、ダンパ内部側から順次縮径するテーパ面63Aa,63Baとされている。このため、この嵌入では、コイル70A、70Bの取付筒部側の内径寸法DAが大となり、取付筒部60A,60Bの軸方向外端側の外径寸法Daが小となっている。すなわち、DA>Daであり、このように設定されることにより、滑らかに嵌入することができる。この嵌入完了時には、高周波誘導加熱コイル70A、70Bのテーパ面72Aa、72Bbと取付筒部60A,60Bのテーパ面63Aa,63Baとが密接している。
このように、高周波誘導加熱コイル70(70A,70B)が、それぞれ、図1に示すように、セットされた状態において、コイル70A,70Bに高周波電流を流す。この際、電磁誘導作用によって導電体である金属(シャフト50)は、鉄損(渦電流損とヒステリシス損の和)により発熱し、この熱で、金属(シャフト50)に接している樹脂(取付筒部60A,60B)の境界部が分解温度以上に急速に加熱して分解され、泡が発生する。これにより、前記した泡の周辺部分の高温の融液と金属(シャフト50の被取付面65)の表面に高温・高圧の条件が発生して、図1に示すように、取付筒部60A,60Bの内径面64(64A,64B)とシャフト50の被取付面65(65A,65B)との間には、接合部73(73A、73B)が得られる。
この結果、図2に示すように、ダンパの取付筒部60A,60Bの内径面64(64A,64B)とシャフト50の被取付面65(65A,65B)がそれぞれ接合一体化し、ダンパをシャフトへ50取付固定することができる。
本発明のダイナミックダンパの固定構造によれば、シャフト50の被取付面65(65A,65B)の表層部分のみを高周波誘導により加熱することができる。すなわち、電磁波誘導作用によって、導電体である金属製のシャフト50の被取付面65(65A,65B)の表層部分は、鉄損(渦電流損とヒステリシス損の和)により発熱し、この熱で、シャフト50の被取付面65に接している取付筒部60の境界部が分解温度以上に急速に加熱して分解され、泡が発生する。これにより、泡の周辺部分の高温の融液とシャフトの被取付面の表面に高温・高圧の条件が発生して、取付筒部60の内径面64とシャフト50の被取付面65との間に接合部73が得られる。これによって、シャフト50の被取付面65に取付筒部60が取付固定される。
このため、高周波誘導により加熱するものであり、締結バンドやボルト部材等の固定具を用いる必要がなく、部品点数を削減して組立工程の簡素化および低コスト化を図ることができる。しかも、ダンパとシャフト50の接合の密着性に優れ、水分等のダンパ内部への浸入を有効に防ぐことできるため、シャフト50の発錆を防止できる。
高周波誘導加熱コイル70(70A、70B)の内径面72(72A,72B)及び取付筒部60(60A,60B)の外径面63(63A,63B)を、ダンパ内部側からダンパ外部側に向って縮径するテーパ面72Aa,72Ba、63Aa,63Baとすることによって、コイル状に巻設してなる高周波誘導加熱コイル70(70A、70B)を、その拡径している側を小径側から嵌入することができ、高周波誘導加熱コイル70(70A、70B)の装着の簡略化を図ることができる。
ところで、前記重り部材62として、非磁性物質とするのが好ましい。非磁性物質であれば、重り部材62が電磁誘導により加熱されないからである。しかしながら、磁性物質であっても、電磁誘導による温度上昇がダンパ性能として影響のない範囲であれば、使用可能である。
また、取付筒部60A、60Bの内径面64(64A,64B)とシャフト50の被取付面65(65A,65B)との直径比を0.995〜0.98の締め代とするのが好ましい。締め代が0.995以上では、金属(シャフト50)とダンプ材のミクロ的な密着が不足し、0.98より大きい締め代では、取付筒部60A、60Bの圧入抵抗が大きく、組立に支障が出るおそれがある。
このように、締め代とすることによって、取付筒部60A、60Bとシャフト50との密着度が高まり、接合の信頼性の向上を図ることができる。
次に、図5は、高周波誘導加熱コイル70A,70Bが、それぞれ、一対の円弧状体75A,75B(図6参照)を組み合わせてなる分割可能なリング体である。このため、高周波誘導加熱コイル70A,70Bの内径面72(72A,72B)が円筒面72Ab,72Bbとされ、取付筒部60A,60Bの外径面63(63A,63B)が円筒面63Ab,63Bbに形成される。
従って、この分割タイプの高周波誘導加熱コイル70A,70Bとしては、図6に示すように、円弧状体75A,75Bを、取付筒部60A,60Bの外径側から取付筒部60A,60Bに外嵌することができる。
このため、図5に示すように、シャフト50に装着(外嵌)されているダンパに対して、取付筒部60A,60Bに各高周波誘導加熱コイル70A,70Bを外嵌して、各高周波誘導加熱コイル70A,70Bに高周波電流を通電すれば、図1に示す場合と同様、シャフト50の被取付面65に接している取付筒部60の境界部が分解温度以上に急速に加熱して分解され、泡が発生する。これにより、泡の周辺部分の高温の融液とシャフト50の被取付面65の表面に高温・高圧の条件が発生して、取付筒部60(60A,60B)の内径面64(64A,64B)とシャフト50の被取付面65(65A,65B)との間に接合部73(73A,73B)が得られる。これによって、図7に示すように、シャフト50の被取付面65(65A,65B)に取付筒部60(60A,60B)が取付固定される。
図6に示すように、分離タイプの高周波誘導加熱コイル70(70A,70B)を用いれば、この内径面72(72A,72B)と取付筒部60の外径面63(63A,63B)との接触を締め代とするのが好ましい。取付筒部60(60A,60B)が少しでも締め代状態となると、接合部73(73A,73B)の周方向でのギャップ量が安定する。また、締め代が大きくなりすぎると高周波誘導加熱コイル70A,70Bを完全に閉じることができなくなり、その機能を果たせない(高周波誘導加熱コイル70A,70Bを構成しない)。このため、この場合、0.05mm〜0.3mmの締め代とするのが好ましい。
なお、取付筒部60A、60Bとコイル70A、70Bの内径差は、コイル70A、70Bを閉じたときにブーツ材質の弾性変形により完全に密着できる範囲内であれば問題ないが、0mm〜0.3mmの範囲であってもよい。
このように、締め代とすることによって、取付筒部60A、60Bとシャフト50との密着度が高まり、接合の信頼性の向上を図ることができる。
図8に示す高周波誘導加熱コイル70A、70Bでは、その内径面72(72A,72B)の内径寸法を、シャフト50の被取付面65(65A,65B)に外嵌される取付筒部60A、60Bの外径寸法よりも大きく設定している。このため、高周波誘導加熱コイル70A、70Bの内径面72(72A,72B)の内径寸法をD1とし、取付筒部60A、60Bの外径面63(63A,63B)の外径寸法をD2とした場合、D1>D2とされ、(D1−D2)としては、1mm〜10mmとされる。
すなわち、(D1−D2)が大き過ぎると、相手部材(シャフト50)と高周波誘導加熱コイル70A,70BのギャップGAが大きくなりすぎて、高周波誘導加熱による接合性が劣り、逆に小さ過ぎると高周波誘導加熱コイル70A,70Bを、シャフト50に外嵌された取付筒部60A、60Bの外周側に配設することができないおそれがある。
図8に示すように、高周波誘導加熱コイル70A、70Bでは、その内径面72(72A,72B)の内径寸法を、シャフト50の被取付面65(65A,65B)に外嵌される取付筒部60A、60Bの外径寸法よりも大きく設定した場合、高周波誘導加熱コイル70A、70Bを分離タイプとすることなく、図8に示すように、取付筒部60A、60Bに、ダンパ外部側から、ダンパ内部側へスライドさせることによって、装着できる。
この図8に示す状態において、各高周波誘導加熱コイル70A,70Bに高周波電流を通電すれば、図1に示す場合と同様、シャフト50の被取付面65(65A,65B)に接している取付筒部60の境界部が分解温度以上に急速に加熱して分解され、泡が発生する。これにより、泡の周辺部分の高温の融液とシャフト50の被取付面65(65A,65B)の表面に高温・高圧の条件が発生して、取付筒部60(60A、60B)の内径面64(64A,64B)とシャフト50の被取付面65との間に接合部73(73A,73B)が得られる。これによって、図7に示すように、シャフト50の被取付面65に取付筒部60(60A,60B)が取付固定される。
図10に示すダイナミックダンパは、図12に示すように、回転するシャフト50に外嵌固定される取付筒部78と、この取付筒部78の一方側の外周面に連結部79を介して外嵌される筒状本体部80と、この筒状本体部80に収容される重り部材81とを備える。
取付筒部78と筒状本体部80とは、熱可塑性樹脂等の弾性材からなる一体成形品であり、この場合も、重り部材81をインサート部材として、金型を用いたインサート成形によって形成される。すなわち、重り部材81以外の材質を熱可塑性樹脂とし、好ましくは、ポリエステル系、シリコーン系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリスチレン系、塩化ビニル系、フッ素系等の熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂材料で形成される。本実施形態ではこの中でも、コストに対して機械的強度、耐熱性、耐油性等に優れた特性を示すポリエステル系の熱可塑性エラストマー(熱可塑性ポリエステルエラストマー)を主成分とする樹脂材料で形成される。
前記重り部材62として、前記図1に示す重り部材81と同様、非磁性物質とするのが好ましい。磁性物質であっても、電磁誘導による温度上昇がダンパ性能として影響のない範囲であれば、使用可能である。
この場合も、筒状本体部80から軸方向に突出した取付筒部78の突出部78aに、高周波誘導加熱コイル70を外嵌状として、高周波電流を通電すれば、図1に示す場合と同様、シャフト50の被取付面65に接している取付筒部60の境界部が分解温度以上に急速に加熱して分解され、泡が発生する。これにより、泡の周辺部分の高温の融液とシャフト50の被取付面65の表面に高温・高圧の条件が発生して、取付筒部60の内径面64とシャフト50の被取付面65との間に接合部73が得られる。これによって、図10に示すように、シャフト50の被取付面65に取付筒部60が取付固定される。
また、図10に示すダイナミックダンパに対しても、取付筒部78の反筒部本体部側の外径面端部に、筒部本体部側から反筒部本体部側に向って順次縮径するテーパ面を形成すれば、図1に示すような、その内径面をテーパ面とした高周波誘導加熱コイル70を用いることができる。
図10では、高周波誘導加熱コイル70では、円弧状体75A,75Bを有する分離タイプのものを用いることになるが、図8に示すように、さらに、取付筒部78の外径寸法よりも内径寸法が大きいものを用いれば、高周波誘導加熱コイル70を分離タイプとする必要はない。
高周波誘導加熱コイル70として、取付筒部78の外径寸法よりも内径寸法が大きいものを用いない場合、取付筒部78の内径面64とシャフト50の取付面65とを締め代とするのが好ましい。
また、高周波誘導加熱コイル70に内径面72と取付筒部78の外径面63(取付筒部78の凹部90の底面)とを締め代とするのが好ましい。なお、図10において、取付筒部78の外径面に、高周波誘導加熱コイル70が嵌合する凹部90を設けているが、このような凹部を設けなくてもよい。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、高周波誘導加熱コイル70と取付筒部60との間に断熱材を介在させてもよい。断熱材としては、セラミックス、グラスウール、セラミックスファイバー、セメント板、シリコーンゴムなどの一般的な断熱材を使用することができる。この場合、耐熱性の高いセラミックスやグラスウールなどの無機系材料からなるのが好ましく、さらには、断熱性が高いこれらの発泡体にても構成できる。なお、断熱材の肉厚寸法としては、任意に設定できるが、被加熱物である相手部材と高周波誘導加熱コイル70のギャップが大きく成り過ぎて、相手部材を十分に加熱できなくなる寸法にならないように設定する必要がある。
図1に示すように、高周波誘導加熱コイル70に内径面72及び取付筒部60の外径面64を、ダンパ内部側からダンパ外部側に向って縮径するテーパ面とする場合、前記実施形態のように、5°〜30に限るものではないが、この範囲に設定するのが好ましい。すなわち、5°未満では、コイルの嵌入性に劣り、30°を越えれば、被加熱部に対する高周波誘導加熱コイル70のギャップが軸方向端部において大きな差が生じて、相手部材の表面温度にバラツキが生じるおそれがある。
また、取付筒部60と高周波誘導加熱コイル70とは、接触していても接触していなくてもいずれでもよいが、被加熱物(相手部材)とコイルとのギャップは周方向全周において均一であるのが好ましいので、接触するのが好ましい。
適用(使用)する部位として、ドライブシャフトに限るものではなく、プロペラシャフトであっても、さらには、後輪駆動車の駆動軸に限るものではなく、前輪駆動車および4WD車のフロント駆動軸であってもよい。また、このような自動車の動力伝達系以外にも、回転するシャフトを有する種々の一般機械、電気機械、又は輸送機械等にも使用可能である。
図3に示すドライブシャフトにおいて、固定式等速自在継手51として、前記実施形態では、バーフィールドタイプであったが、アンダーカットフリータイプの固定式等速自在継手であってもよく、摺動式等速自在継手52としても、トリポードタイプに限らず、ダブルオフセットタイプやクロスグルーブタイプの摺動式等速自在継手であってもよい。また、摺動式等速自在継手52としてトリポードタイプを用いる場合、シングルローラタイプであっても、ダブルローラタイプであってもよい。
50 シャフト
60、60A,60B 取付筒部
61 筒状本体部
62 重り部材
63、63A,63B 外径面
63Aa,63Bb テーパ面
64、64A,64B 内径面
65 被取付面
70、70A,70B 高周波誘導加熱コイル
72、72A,72B 内径面
72Aa,72Ba テーパ面
73、73A、73B 接合部

Claims (6)

  1. 回転する金属製のシャフトに装着されるダイナミックダンパの固定構造であって、
    前記ダイナミックダンパは、前記シャフトに外嵌固定される取付筒部と、重り部材を収納する筒状本体部とを備え、
    取付筒部をシャフトの被取付面に外嵌した状態で、シャフトの被取付面の表層部分のみを高周波誘導により加熱し、金属製のシャフトの被取付面に接している樹脂製の取付筒部の境界部が分解温度以上の急速加熱で分解されて泡が発生することで、取付筒部の内径面とシャフトの被取付面とを接合一体化してなる接合部を設けたことを特徴とするダイナミックダンパの固定構造。
  2. 取付筒部の内径面とシャフトの被取付面とを締め代とした状態で、高周波誘導の加熱にて形成される前記接合部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のダイナミックダンパの固定構造。
  3. 取付筒部に外嵌される高周波誘導加熱コイルによる加熱にて形成される前記接合部を設けたダイナミックダンパの固定構造であって、高周波誘導加熱コイルの内径面と取付筒部の外径面とを締め代とした状態で、高周波誘導加熱コイルに高周波電流を通電して、シャフトの被取付面の表層部分のみを高周波誘導により加熱することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のダイナミックダンパの固定構造。
  4. 取付筒部に外嵌される高周波誘導加熱コイルによる加熱にて形成される前記接合部を設けたダイナミックダンパの固定構造であって、高周波誘導加熱コイルの内径面及び取付筒部の外径面を、ダンパ内部側からダンパ外部側に向って縮径するテーパ面とすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のダイナミックダンパの固定構造。
  5. 取付筒部の材質を熱可塑性エラストマーとすることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のダイナミックダンパの固定構造。
  6. 前記シャフトが、等速自在継手に取付られる継手用シャフトであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のダイナミックダンパの固定構造。
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CN117489750A (zh) * 2023-12-18 2024-02-02 浙江富杰德汽车系统股份有限公司 一种用于汽车电机驱动轴的减振装置

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