JP2018083876A - 木質系複合樹脂材料の製造方法と木質系複合樹脂材料 - Google Patents

木質系複合樹脂材料の製造方法と木質系複合樹脂材料 Download PDF

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Abstract

【課題】木質系材料をフィラー材に用いて環境性能が良く、高品質で十分な材料強度が得られ、製造工程もシンプルな木質系複合樹脂材料の製造方法と木質系複合樹脂材料を提供する。
【解決手段】木質系原料を180℃〜250℃の水蒸気温度で加圧水熱処理し、一部が炭化した状態で木質系原料を粉砕して木質系フィラー材12を形成する。木質系フィラー材12と潤滑剤である流動パラフィン14、熱可塑性樹脂原料16、及び酸変成剤18を混合し混練する。木質系フィラー材12は、ヘミセルロースが加水分解しセルロースとリグニンが分解せずに残っており、潤滑剤である流動パラフィン14及び熱可塑性樹脂原料16から成る。木質系フィラー材12の粒子は、流動パラフィン14を介して熱可塑性樹脂原料16中に均一に分散している。熱可塑性樹脂原料16は、不飽和カルボン酸の酸変成剤18により酸変性している。
【選択図】図1

Description

この発明は、熱可塑性樹脂と木質系材料を混合して形成した木質系複合樹脂材料の製造方法と木質系複合樹脂材料に関する。
従来、木を粉末にして樹脂と混練した複合樹脂材料は多々開発されており、複合樹脂材料の一般的な製造方法としては、木を乾燥させ機械で物理的に粉砕加工した木粉を用いている。例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂30〜60重量部を溶融し、5重量%以下の水分率を有する木粉40〜70重量部と混練して複合材料ペレットを作る方法であって、木粉を2軸押出機のサイドから供給し、2軸押出機中で熱可塑性樹脂及び木粉を溶融混合し、混合物を押出して複合材料チップを製造する複合材料の製造法方を開示している。また、特許文献2は、脂肪族ポリエステル樹脂(A成分)、木粉等のバイオマス材料(B成分)及び不飽和カルボン酸又はその誘導体(C成分)からなる複合樹脂組成物であって、A成分の少なくとも一部とB成分の少なくとも一部が、C成分を介して共有結合した物質を含む複合樹脂組成物を開示している。特許文献3は、木粉を25〜75重量%、及びイソブチレン−無水マレイン酸共重合体の変成品を0.3〜5重量%含有する熱可塑性樹脂組成物を開示している。
この他、特許文献4に開示されているように、合成高分子材料と木粉等のバイオマス由来成分を混合してなる高分子複合材料の製造方法であって、バイオマス由来成分の過剰含水物が少なくとも含まれる混練物を設定された混練温度で混練する混練工程と、前記混練温度における飽和蒸気圧よりも低くかつ大気圧よりも高い設定圧力で混練物を脱水する脱水工程と、脱水された混練物を取り出す取出工程とを含む高分子複合材料とその製造方法も提案されている。
特開平10−166355号公報 特開平11−124485号公報 特開2005−263852号公報 特開2008−296569号公報
しかしながら、上記特許文献1〜4に開示された複合樹脂材料の製造における課題として以下の点がある。
1.木粉を用いた場合、木粉の水分含有量が多く、乾燥に多くのコストまたは特別の処理工程や処理装置かかる。
2.木粉の粒度を調整した粉砕が必要である。
3.樹脂原料と木粉を混練する場合の溶融温度が120℃以上となるので、混練した木粉が高温に加熱され、木粉中に残留水分や、加熱により木粉から出る揮発成分がガス化して、樹脂中に気泡を発生させる等の問題がある。さらに、揮発成分があると、樹脂原料の混練を安定的に行い難く、混練装置内でのガス抜きする設備や、真空にしてガスを処理する装置などが必要になり、コストがかかるものである。
4.原料樹脂に木粉を混練すると、流動性だけでなく物性が低下し、射出成形や押出成形した時に気泡が残る可能性がある。
以上より、樹脂原料に木粉等のバイオマスを多く混練することは難しいものであった。
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、木質系材料をフィラー材に用いて環境性能が良く、高品質で十分な材料強度が得られ、製造工程もシンプルな木質系複合樹脂材料の製造方法と木質系複合樹脂材料を提供することを目的とする。
この発明は、木質系原料を180℃〜250℃の水蒸気温度で加圧水熱処理し、一部が炭化した状態で前記木質系原料を粉砕して木質系フィラー材を形成し、前記木質系フィラー材と、潤滑剤、熱可塑性樹脂原料、及び酸変成剤を混合し、前記熱可塑性樹脂原料が溶融する温度で混練して、前記熱可塑性樹脂原料を溶融させて前記酸変成剤により酸変性させるとともに、前記熱可塑性樹脂原料中に前記木質系フィラー材を均一に分散させて木質系複合樹脂材料を形成する木質系複合樹脂材料の製造方法である。
前記木質系原料の加圧水熱処理は、1.9MPa〜2.5MPaの圧力で行うことが好ましい。さらに、前記加圧水熱処理は、190℃〜240℃の水蒸気温度で行うことが好ましい。
前記木質系原料は、予めチップ状に粉砕したものを前記加圧水熱処理するものである。前記酸変成剤は、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン樹脂であり、添加量は、前記熱可塑性樹脂原料に対して1〜6質量%混合し製造する。
前記木質系フィラー材は、全体の20〜80質量%の割合で混合し、混練により前記木質系フィラー材を前記複合樹脂原料中に均一に分散させて押し出して成形し、ペレット状に形成して木質系複合樹脂材料とするものである。
またこの発明は、一部が炭化した状態の木質系原料から成る粉末状の木質系フィラー材と、潤滑剤及び熱可塑性樹脂原料から成り、前記木質系フィラー材の粒子が前記潤滑剤を介して前記熱可塑性樹脂原料中に均一に分散し、前記熱可塑性樹脂原料は不飽和カルボン酸の酸変成剤により酸変性されている木質系複合樹脂材料である。
前記木質系フィラー材は、前記木質系原料が半炭化したもので、ヘミセルロースが加水分解し、セルロースとリグニンが分解せずに残っているものである。前記木質系フィラー材のセルロースは、一部が変性しているものである。
前記酸変成剤は、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン樹脂である。前記潤滑剤は、主成分が流動パラフィンから成るものである。前記木質系フィラー材は、全体の20〜80質量%の割合で混合して成るものである。
この発明の木質系複合樹脂材料の製造方法と木質系複合樹脂材料によれば、木質系フィラー材と潤滑剤、及び熱可塑性樹脂原料を混合して混練するので、混練により熱可塑性樹脂原料に木質系フィラー材粒子が均一分散して混ざり合う。熱可塑性樹脂原料は、特に酸変成剤である無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン樹脂等により酸変性され、潤滑剤ともに木質系フィラー材粒子の中にも確実に入り込み、より強度の高い木質系複合樹脂材料を形成することができる。しかも、この製造方法は、工程が短く、製造装置をシンプルにすることができ、熱可塑性樹脂原料の熱変性を抑えることができ、木質系複合樹脂材料を高品質で製品強度の高い樹脂材料として提供することができる。
さらに、合成樹脂は、石油100%の材料で、リサイクルされてはいるが、最終処分される際には燃焼される。従ってこの時に排出される多量の二酸化炭素は、地球温暖化の一因となる。しかし、この発明による木質系複合樹脂材料によれば、カーボンニュートラルであるバイオマスを原料にした木質系フィラー材を多く用いて複合樹脂材料を提供するものであり、最終的に二酸化炭素排出量を削減することができる。この他、この発明の木質系複合樹脂材料の製造方法は、葉や小枝など木質部のすべての材料が含まれていても処理が可能であり、これまで資源化されていなかったバイオマスを有効に利用することができる。
また、バイオマスは加熱すると、木等が強く吸着している吸着水や木等の導管等に含まれている自由水、木質や葉などに含まれているオイルなどの揮発性分やタールなどからガスが発生する可能性が高い。従って、熱可塑性樹脂原料にバイオマス原料を混練する場合、このガスは複合樹脂材料を製造するときの阻害要因となり、ガスが発生しにくいフィラー材が好ましい。さらに、バイオマスを粉砕して木粉として混練する場合、木粉の粒径や形状、木粉の持つ有機成分の有無以外に、混練するときに溶融した熱可塑性樹脂原料の溶融温度で変性しない材料であることが重要である。これらの課題もこの発明の木質系複合樹脂材料は解決したもので、この発明の木質系フィラー材は、加圧水熱処理により半炭化されているので、熱可塑性樹脂原料混練時に変性せず、熱可塑性樹脂原料との混練時に影響しないものであり、混練及び成形により良好な品質の木質系複合樹脂材料を提供することができる。
この発明の一実施形態の木質系複合樹脂材料の成形工程を示す図である。 この実施形態の木質系複合樹脂材料の製造装置を示す模式図と概略縦断面図(a)と、概略横断面図(b)である。 この発明の実施例の木質系複合樹脂材料のメルトマスフローレート(MFR)の測定結果を示すグラフである。 この発明の実施例の木質系複合樹脂材料の比重の測定結果を示すグラフである。 この発明の実施例の木質系複合樹脂材料の衝撃値の測定結果を示すグラフである。 この発明の実施例の木質系複合樹脂材料の曲げ弾性率の測定結果を示すグラフである。 この発明の実施例の木質系複合樹脂材料の曲げ応力の測定結果を示すグラフである。 この発明の実施例の木質系複合樹脂材料の引張応力の測定結果を示すグラフである。 この発明の実施例の木質系複合樹脂材料の吸水試験の測定結果を示すグラフである。
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1はこの発明の一実施形態の製造工程を示すもので、この実施形態の木質系複合樹脂材料10は、木質系フィラー材12と潤滑剤である流動パラフィン14、及び適宜の熱可塑性樹脂原料16を混練して成る。流動パラフィン14は、後述するように木質系フィラー材12に混合され、多孔質の木質系フィラー材12の粒子表面及び孔中に浸透している。そして、木質系フィラー材12は、流動パラフィン14が潤滑剤及び界面活性剤として機能し、熱可塑性樹脂原料16中に均一に分散して成るものである。熱可塑性樹脂原料16は、不飽和カルボン酸である無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン樹脂の酸変成剤18が添加されて酸変性され、界面活性が改善され、強度も向上しているものである。
先ず、木質系複合樹脂材料10の製造に用いる各材料について以下に説明する。熱可塑性樹脂原料16は、熱可塑性樹脂が好適に用いられる。熱可塑性樹脂原料16として採用することができる熱可塑性樹脂は、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のポリオレフィン系の樹脂が好適である。またこれらに限定されることなく、その他、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリスチレン(PS)、アクリル・ブチレン・スチレン(ABS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリカプロラクトン(PCL)、テグラノボン(商標)や、マクロテク・リサーチ社(米国)のECMマスターバッチ(商品名)等、加熱により熱流動する性質を有し押出成形が可能なものであれば、特に制限無く用いることができる。さらに、これら熱可塑性樹脂は、二種以上混合して使用してもよい。
流動パラフィン14は、原油から精製された潤滑剤の、炭素原子の数が20以上のアルカンであるパラフィンのうち、オレフィン系炭化水素に富み常温では液体の油である。流動パラフィン14以外に、用いることができる潤滑剤としては、潤滑油や作動油等として用いられる油でも良い。流動パラフィン14は、動粘度が40℃のとき、10mm/s〜100mm/s、好ましくは20mm/s〜40mm/s、100℃のとき、2.5mm/s〜11.5mm/s、好ましくは4.0mm/s〜7.0mm/sである。流動パラフィン14等のここで用いる潤滑剤の気化温度は、熱可塑性樹脂原料16の溶融温度よりも高いものであり、熱可塑性樹脂原料16の溶融時にも容易に気化ぜず、木質系フィラー材12及び熱可塑性樹脂原料16の均一な混合及び混練に寄与するものである。
酸変成剤18は、溶融状態における異種の樹脂同士の結合を助けたり、加工性の改善や、ガラス繊維、エラストマー、難燃剤の均一な分散のために使用される機能性樹脂である。例えば、無水マレイン酸が用いられ、具体的には、一例として無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン樹脂であるデュポン株式会社製FUSABOND(登録商標)P613RESINを用いることができる。添加量は、熱可塑性樹脂原料16に対して1〜6質量%混合する。
次に、この発明の木質系複合樹脂材料10の木質系フィラー材12について、以下に詳述する。木質系フィラー材12は、木粉の製造工程に着目し、従来の木粉の製造方法のように、単に木を乾燥させて機械で粉砕するという発想を転換し、バイオマスを釜の中にいれて加圧水熱処理により木粉を製造するものである。この発明では、木類のみならず、竹、稲わら、籾殻、及びこれらを加工した合成材、集成材、合板類、その他ダムの流木、剪定枝葉などの廃棄する木質系材料などの木質系原料をバイオマスと総称する。この発明は、この加圧水熱処理で粉砕したバイオマスを分級し、木質系フィラー材12として、後述するように熱可塑性樹脂原料16と混練し、バイオマス混練複合樹脂である木質系複合樹脂材料10を成形するものである。
ここで、バイオマスを水蒸気で処理をする方法はいくつかあるので、以下に説明する。バイオマスは木材利用以外に製紙業などで多く使われているが、近年は、二酸化炭素を放出しないカーボンニュートラルの燃料として、バイオマスのエネルギー化が行なわれている。バイオマスをエネルギーに転換する方法として、バイオマスを炭化したりガス化したりしており、効率の高いエネルギーに転換しようとする試みが行なわれている。バイオマスをガス化したり炭化物にする方法には主に、1.水蒸気改質、2.急速熱分解、3.炭化、4.水熱ガス化があり、以下に簡単に説明する。
水蒸気改質とは水蒸気でバイオマスに熱分解や加水分解を生じさせ、炭素化を進行させる事と定義されている。水蒸気改質では高温高圧で水蒸気の体積を小さくし、短時間で炭化を可能にする方法である。バイオマスのエネルギー分野で「水蒸気改質」という言葉は、炭化水素やバイオマスを水蒸気と反応させ、合成ガスを発生させる技術を言う。
急速熱分解とは、バイオマスを急速に500℃〜600℃に加温し熱分解させると、メタノールや酢酸を含む熱分解液(木酢液やタール)がガスになり、残りは炭化物になる。加熱過程で、ヘミセルロースは180℃〜300℃、セルロースは240℃〜400℃、リグニンは280℃〜500℃で分解するといわれている。
炭化は、木質系バイオマスを加熱する場合、酸素を極端に制限して400℃〜600℃に加熱すると、気体(木ガス)、液体(木酢液)、及び炭化した固体(炭)が得られる。これは常圧窒素中における熱分解である。この炭化による炭化物の収率(収炭率)は、400℃で処理すると30〜40%程度、900℃になると25〜30%に減少する。これらを熱効率で表すと、熱効率=(炭+油+ガスの熱量合計/原料の熱量)の式より、炭の場合熱効率は45.4%になる。また、ガスが大気中に放出されエネルギーとして利用できないと、炭のエネルギー効率は14.1%に低下すると試算されている。
水熱ガス化は、加圧加熱下でバイオマスを処理して可燃性ガスを得ることを言う。水は大気圧で加熱すると100℃で沸騰して水蒸気となり、同時に体積が1000倍に膨張する。このとき、大気圧より加圧した状態で加熱すると、沸騰する温度も上がり水蒸気の膨張率は小さくなる。1MPaの圧力下では、水は181℃で沸騰し水蒸気の膨張率は180倍になる。つまり普通の大気圧の下で高温にすると、水蒸気になると水の体積は大きくなるが、高圧力下では、高温でも大きくならない水蒸気が得られる。さらに水を臨界温度、臨界圧力(373℃、22.1MPa)にすると、水蒸気の膨張率は1になり、液体と気体の区別がなくなり沸騰も起こらなくなる。この状態を臨界状態と呼ぶが、この状態では有機物の熱分解も進むことから、この状態でバイオマスを反応させると、効率よく可燃性ガスに転換することが可能になる。水熱ガス化は、このような加圧加熱下でバイオマスを処理して可燃性ガスを得るものである。
また、バイオマスを混練した木質系複合樹脂材料10を製造するには、バイオマスを微粉砕し水分や揮発分がないこと、混練する熱可塑性樹脂原料16の溶融温度に耐え得る素材であること、安価で大量に製造できること、保管が容易であることなどが条件になる。この発明は、バイオマスの処理方法として、上述の水熱ガス化を応用した加圧水熱処理を施して処理するのが最適であることを見いだしたものである。加圧水熱処理は、バイオマスを入れた圧力釜の中に高温の加圧水蒸気を封じ込めて、これを外部から加熱することで温度や圧力を維持し、水蒸気の力でバイオマスを半炭化させるものである。装置は、圧力釜の中に、加圧水熱蒸気を注入して封じ込めが出来るものであれば良く、比較的低温度の水蒸気でも高圧力化で処理できれば、バイオマスを半炭化状態に変性させることができる。この発明の半炭化とは、バイオマスを加熱・加圧して完全脱水分解状態や、炭化して熱分解に至る前の状態であって、燃焼には寄与しない水分の脱水と、セルロースやヘミセルロースを変性・分解させ、リグニンは変性していない状態をいう。
半炭化には3種類の状態があり、I炭、II炭、III炭と分類される。バイオマスから余分な水分を脱水し木質部を軟化させヘミセルロースを分解(140℃〜)し、セルロースのOH基がはずれて一部のセルロースが変性した状態になったものをI炭という。木質バイオマスをI炭の状態で止めることは可能であるが、温度を上げていくと、II炭の状態では、セルロースの熱分解(240℃〜250℃)が起きて急激に質量の減少が生じる。さらに温度を上げると、リグニンが分解(350℃〜)して火炎燃焼が生じ、III炭の状態となる。II炭、III炭の状態では、半炭化から炭化への進行を止めることが出来ず、完全炭化に移行していく。
ここで、使用した材料が半炭化物か否かはTG−DTA試験(TG−DTA試験とは、試料及び基準物質の温度をプログラムに従って変化させながら、試料の重量変化測定、及び試料と基準物質の温度差を測定する示差熱測定を同時に行うもの。)で証明することができる。TG−DTA試験で分析すると質量が、I炭はセルロース、ヘミセルロース成分がほぼ50質量%、リグニン成分がほぼ40質量%となる。セルロースはOH基がはずれ、変性したセルロースに変っているが、エネルギー的ロスはほとんど生じていない。ヘミセルロースは、水分の揮発とともに揮発分が放出されているので変化しているが、質量的には大きくロスはしていない。リグニンは、全く影響を受けていない。
この発明の木質系フィラー材12はI炭の状態のものであり、発熱ピークが高く燃焼に近い発熱を示す。TG−DTA試験ではI炭は400℃で熱分解、450℃で燃焼に近い発熱が見られるが、通常の木粉は、水や木の揮発成分等が多く残っており、発熱を妨げる物質となっているので、熱分解、発熱現象も400℃以下である。したがって、I炭状態は、一般の木粉に比べ揮発成分が少ない状態である。
木質系複合樹脂材料10は、溶かした熱可塑性樹脂原料16に混練可能なサイズの粉体を混ぜた複合材料で、元の熱可塑性樹脂原料16に新しい機能を持たせ、強度を低下させずに熱可塑性樹脂原料16の使用量の削減等の利点がある。従来の木質系複合樹脂材料に混合する木粉は、生の木を乾燥させて粉砕して作ることが一般的であり、木の水分が十分に除去されていない場合や、熱可塑性樹脂原料に混練するときに、熱可塑性樹脂原料の溶融温度で木粉から揮発成分が出て熱可塑性樹脂原料に気泡が出来るなどの問題がある。そこで、この発明では、これらの課題を解消できる材料として、半炭化木粉である木質系フィラー材12を使用するものである。
この発明の実施形態での木質系フィラー材12の製造は、水蒸気温度約200℃〜250℃のボイラーを用い、密閉された圧力釜内に水蒸気を送り、釜の圧力を高めることで水蒸気の体積を少し小さくし、高温の水蒸気で木を軟化し、内部の攪拌機を回転させてバイオマスである木等を粉砕するものである。水蒸気温度が200℃〜250℃と低いが、この温度帯ではバイオマス中のセルロースやリグニンなどを分解しないことから、木のエネルギー収率はほとんど減少しない。また、短時間で木の水分や揮発分を取り除けることや、水蒸気で熱処理するので僅かに炭化した状態で取り出すことができる。
木質系原料であるバイオマスをI炭の状態に半炭化するには、加水分解による熱分解が生じない温度帯及び加圧下で処理する。この温度帯としては処理温度が190℃〜240℃、1.9MPa以上の圧力が好ましい。I炭の範囲に処理するには、バイオマスが軟化し始める温度である180℃と、熱分解が開始する直前の温度が240℃であることを考慮して、処理温度帯は、180℃〜250℃の水蒸気温度、好ましくは加圧水熱処理温度帯が190℃以上〜240℃で行うと良いものである。
この実施形態で用いる装置は、1.9MPa以上2.5MPa以下、好ましくは2MPa以上2.5MPa以下の圧力を維持できる装置で、加圧水熱処理中に釜の温度が下がらない構造を備えたものである。例えば、釜の外側をソケットでつつみ、その間に同様の水蒸気を投入して温度が低下しないようにした2重構造などで、内部に樹木を攪拌できる装置が好ましい。この装置でバイオマスを回転させ、高温高圧水蒸気雰囲気下による処理で、半炭化した木粉である木質系フィラー材12を製造する。
バイオマスの加圧水熱処理方法は、図1に示すように、予めバイオマスをチップ状に粗粉砕し、例えば3〜7mで所定の圧力をかけることが可能な釜に、チップ状に粗粉砕したバイオマスを入れ、釜の中に水蒸気を注入する。釜の中が200℃を超えて水蒸気圧が2MPa以上になったら釜の圧力や温度を維持し、釜内の回転翼を動かし、30分程度回転させ加圧水熱処理を行う。その後、釜の圧力を徐々に下げて、大気圧になったら釜の取り出し口から取り出すと、チップで入れた樹木が、粉体となって出てくるものである。さらに、これを例えば天日で乾燥し保管する。半炭化物は、細胞が吸着した水分がないことから、自然乾燥でも含水量10%程度に下げることが可能である。
木質系複合樹脂材料10を製造する木質系フィラー材12として使うときは、水分量を確認し、さらに1%程度までに乾燥させ、簡易な回転式粉砕機で粉砕し粒度を調整して用いる。乾燥物は大きな木粉が残っている可能性もあるので、フィラーとして利用する場合、一度ミルで粉砕工程を入れると、精度の良い木質系フィラー材12とすることができる。ここで利用するミルは、半炭化物を粉砕するミルなので、木粉に比べて物理的強度が低下していることから粉砕エネルギーも少なくて済む。その後、後述する製造法方のように、熱可塑性樹脂原料16と混練するときは、熱可塑性樹脂原料16の溶融温度や複合樹脂の用途等にあわせて、所定の配合比率で混合した樹脂材料等を混練機に入れて複合材料を製造する。
次に、この実施形態の木質系フィラー材12を用いた木質系複合樹脂材料10の製造方法について、図1、図2に基づいて説明する。まず、ホッパー20に粒状の熱可塑性樹脂原料16を入れ、ホッパー22には木質系フィラー材12を入れ、隣接するホッパー24に酸変成剤18を入れる。熱可塑性樹脂原料16はポリプロピレンであり、例えば商品名ノバテックPPMA3(日本ポリプロ株式会社製)である。酸変成剤18として、例えば上記FUSABOND(登録商標)を入れる。
混合工程では、ホッパー20,22,24の下方に設けられたミキサー26に、木質系フィラー材12、流動パラフィン14、熱可塑性樹脂原料16、及び酸変成剤18を、各ホッパー20,22,24等から入れる。流動パラフィン14は、例えば商品名ハイコールK−230(カネダ株式会社製)である。流動パラフィン14の添加量は、木質系フィラー材12に対して0.2〜0.7質量%となるものであり、好ましくは0.4〜0.5質量%であり、気温、湿度、その他の添加剤の量によって変える。これにより、木質系フィラー材12及び粒状の熱可塑性樹脂原料16の表面に、流動パラフィン14が付着し、木質系フィラー材12と粒状の熱可塑性樹脂原料16がスムーズに均一に混合される。
酸変成剤18の添加量は、熱可塑性樹脂原料16に対して1〜6質量%程度、好ましくは3〜5質量%であり、熱可塑性樹脂原料16の状態や、木質系フィラー材12に混練する流動パラフィン14の量によって変える。熱可塑性樹脂原料16と木質系フィラー材12の混合質量比は、8:2〜2:8、例えば1:1、または3:7等、適宜変更可能である。
混合工程により作られた混合物9は、木質系複合樹脂材料10を混練するための後述する2軸押出機32の上に配置された計量攪拌機28に投入される。計量攪拌機28の下方には定量供給装置30が設けられ、計量攪拌機28から、混合物9を定量供給装置30により2軸押出機32に投入し、加圧加熱下で混練する混練工程を行って、木質系複合樹脂材料10を作る。
ここで、一般的な2軸押出機32について説明する。図2に示すように、2軸押出機32は、混合物9を投入する投入口34が上流側に設けられ、混練して作られた木質系複合樹脂材料10が押し出される押出口36が下流側端部に設けられている。シリンダ38には、シリンダ38の内部で軸回転し上流から下流に向かって混合物9を押し出しながら入熱させて混練するスクリュー39と、混合物9から分離したガス成分をシリンダ38から排出するベント部40が設けられている。この実施形態では、木質系フィラー材12からはほとんどガス成分は発生しないが、混練時に僅かでも気体成分が残ると、成形された木質系複合樹脂材料10に気泡として残留するため、確実に排出しておく。スクリュー39は、2本が互いに平行に設けられ、螺旋方向が同じで同方向に回転するスクリューである。
シリンダ38の外周面には、ヒータ42が設けられ、シリンダ38の長手方向に沿って区画されたC1〜C3の各ゾーンを適切な温度に制御する。上流側の端部に位置するゾーンC1は、混合物9が投入されて下流に送られる送りゾーンである。ゾーンC1には混合物9を投入する投入口34が設けられ、ゾーンC1の下流側に位置する部分は、混合物9に含まれる熱可塑性樹脂原料16を溶融する部分である。
ゾーンC1の下流側のゾーンC2は、溶融した熱可塑性樹脂原料16に木質系フィラー材12を均一に分散させて混練する分散・練り領域及び、混合物9を移動させる送り領域である。ゾーンC2には、混合物9から分離したガス成分を大気中に排出するベント部40が設けられている。ベント部40は、大気圧下に解放されている。
ゾーンC2の下流側に、混合物9をスクリュー39により加圧する圧縮領域であるゾーンC3が設けられている。ゾーンC3の下流側部分には、混合物9が加圧加熱下で混練されて形成された木質系複合樹脂材料10を排出する押出口36が設けられている。2軸押出機32の押出口36には、図示しない一般的なペレタイズシステムが設けられている。ペレタイズシステムは、押出口36からストランド状に押し出された木質系複合樹脂材料10を、ペレット状に切断するペレット化工程を行うものである。
次に、2軸押出機32による木質系複合樹脂材料10の混練工程について説明する。計量攪拌機28の下方に設けられた定量供給装置30を動かし、計量攪拌機28に入れられた混合物9を、定量供給装置30を介して、2軸押出機32の投入口34に落として入れる。投入された混合物9は、加圧加熱下でシリンダ38内を通過する間に熱可塑性樹脂原料16が溶融し木質系フィラー材12と混練される。熱可塑性樹脂原料16は、溶融されて酸変成剤18により酸変性され、界面接着性が改善される。混練時の温度は、熱可塑性樹脂原料16の溶融温度よりも高く、木質系フィラー材12の製造時の加圧水熱処理温度よりも低い温度に設定する。流動パラフィン14は、混合物9の流動性を高める働きをすると共に、木質系フィラー材12の粒子表面に付着した状態で木質系フィラー材12の表面の界面活性を高め、溶融した熱可塑性樹脂原料16中での木質系フィラー材12の均一な分散を促進させる。これらにより、流動パラフィン14が付着した木質系フィラー材12の粒子同士の間に、酸変性された溶融状態の熱可塑性樹脂原料16が入り込んで混練され、木質系フィラー材12が、溶融した熱可塑性樹脂原料16中に均一に分散した木質系複合樹脂材料10が製造される。
混練された木質系複合樹脂材料10は、押出口36からストランド状に押し出される。押し出された木質系複合樹脂材料10は、押出口36に取り付けられた図示しないペレタイズシステムによりペレット化される。
ペレット状に形成された熱可塑性の木質系複合樹脂材料10は、生活用品や建材その他の様々な製品を成形する樹脂原料として使用されるもので、再溶融して様々な用途の製品に成形される。成形された製品は、高い成形強度であるとともに、その製品の廃棄時には再溶融して他の製品に利用されたり、他の廃棄物と一緒に燃焼され、高いカロリーを発生する。
この実施形態の木質系複合樹脂材料10によれば、木質系フィラー材12の粒子が熱可塑性樹脂原料16中に均一に分散しているので、樹脂製品の成形に用いても基の熱可塑性樹脂原料16の強度と同様の強度を得ることができる。さらに、木質系フィラー材12を用いているので、以下のような特徴、効果を有する。
一般に、木質系原料を木粉にするには乾燥が必用であり、木の細胞に強く吸着している水分を強制的に除去するには大きなエネルギーが必用である。しかし、この実施形態の加圧水熱処理によれば、水蒸気を加圧してあることで水蒸気の粒子が小さくなり、脱水と木の揮発分を除去することが容易であり、使用エネルギーが少なくて良い。木を加圧水熱処理することで、熱可塑性樹脂原料16と混練した時に樹脂原料の溶融温度が高くても、半炭化時に高温度の雰囲気下で処理されているので、新たな揮発成分が出ず、熱可塑性樹脂原料16の溶融温度より高い温度で半炭化しているので、木質系フィラー材12は変性しない。従って、熱可塑性樹脂原料16と混練することにより、安定した木質系複合樹脂材料を作ることができる。しかも、バイオマスの粉砕は低エネルギーで大量に粉砕が可能であり、製造コストもかからない。また、燃焼時の二酸化炭素は、バイオマス由来のものが含まれ、温室効果ガスの排出を抑えることができる。
さらに、半炭化した木粉をフィラー材として使うことによる効果としては、以下の点がある。チップ化したバイオマスを釜の中にいれ、2MPa以上の飽和水蒸気中で30分攪拌すると、バイオマスを構成するヘミセルロースやセルロースが軟化し、物理的にカッターで粉砕しなくても一度に大量の木粉が得られる。バイオマスは、生木の芯材だけでなく葉や樹皮、端材なども分別せずに利用でき、木の幹材を粉砕してつくる木粉より安価に製造ができる。さらに、土砂などが混じっているダム流木は、従来は機械粉砕が出来ないことから産業廃棄物として廃棄処理するしか方法が無かったが、流木を荒粉砕し釜の中にいれて半炭化し、半炭化粉砕後に質量で選別することで、流木も容易に木と砂などが分離できる。MDFのような木の繊維質を固めて作った板材には接着剤などが多量に含まれており、そのまま木粉にして熱可塑性樹脂原料16と混練した場合、混練温度が100℃を超える高い温度帯だと、MDFから接着材などが揮発分として溶出することから使うことが難しい。しかし、半炭化すると、半炭化の過程で高温高圧の雰囲気下におかれることで、これらの成分が溶脱し、残った木質のみがフィラー材として利用することができ、安全に使用することができる。半炭化した木質系フィラー材12は疎水性で、ペレット化して保存することが出来、長期保存も可能である。その他、木の種類や部位を選ばずに半炭化出来き、生木からの木粉製造方法に比べて半炭化木粉の収率が高い。半炭化木粉の燃焼カロリーが生木木粉の1.5倍程度(約6,000kcal/kg)あることから、熱可塑性樹脂原料16に混練して、製品化された後の廃棄時に燃焼しても、大きな燃焼エネルギーが得られる。また、木系バイオマスだけでなく竹などのバイオマスも半炭化が可能で、フィラー材として混練できる。
さらに、この実施形態の木質系複合樹脂材料10によれば、木質系フィラー材12の粒子が熱可塑性樹脂原料16中に均一且つ緻密に分散し、多孔質の木質系フィラー材12の粒子の孔中にも熱可塑性樹脂原料16が確実に入り込み、成形強度が高い木質系複合樹脂材料10による樹脂成形品を製造することができる。木質系フィラー材12を多く含んでも、内部に気泡がきわめて少なく、高い強度を得ることができるため、木質系フィラー材12の比率を高くして木質系フィラー材12の消費を促進し、木質系フィラー材12を資源として有効利用することができる。
また、この実施形態の木質系複合樹脂材料10の製造法方によれば、流動パラフィン14が多孔質の木質系フィラー材12の粒子表面及び孔中に良好に浸透しているので、木質系フィラー材12の表面の界面活性を高めて、熱可塑性樹脂原料16中に木質系フィラー材12を均一に分散させ、木質系フィラー材12の表面及び孔中に熱可塑性樹脂原料16が確実に付着して、強度の高い木質系複合樹脂材料10を形成することができる。流動パラフィン14は、混合物9の流動性を高める働きをするため混練性が格段に向上し、溶融した熱可塑性樹脂原料16中に木質系フィラー材12の粒子の塊を作ることなく均一に分散配合させることができる。しかも、混練工程の抵抗を少なくすることができ、2軸押出機32の負担も軽減される。また、流動パラフィン14の添加割合により合樹脂材料10の流動性を調節することができ、ペレット化工程での押出状態を、装置や環境その他の状況に合わせて任意に調節することができる。流動パラフィン14は、高温安定性が高いため、混練条件の設定がしやすく、熱可塑性樹脂原料16の溶融温度よりも気化温度が高いものを使用することで、混練温度を熱可塑性樹脂原料16に合わせて設定することができるとともに、混練温度及び圧力を必要最小限の状態で処理を行うことができる。これにより、熱可塑性樹脂原料16への熱履歴を軽減し、変色や分解などの劣化が起こりにくく、木質系複合樹脂材料10の品質を向上させることができる。また流動パラフィン14は、木質系フィラー材12に生じる静電気を低減し、原料を混ぜ合わせる各混合作業を効率よく行うことができる。
熱可塑性樹脂原料16は無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン樹脂の酸変成剤18により酸変性され、熱可塑性樹脂原料16と木質系フィラー材12との界面接着性が改善されているため、無水マレイン酸単体により酸変性された熱可塑性樹脂原料16を使用したものに比べて、成形品の機械的強度を大きく向上させることができ、木質系フィラー材12の混入量を増加させても高性能を維持することができる。熱可塑性樹脂原料16は酸変成剤18により分子の結合が強くなり、ガスが発生しないため、混練工程で木質系複合樹脂材料10中に混入する気泡が少なくなり密度が高まり、この点からも高い強度を得ることもできる。また、気泡が少ないことから成形品の表面の凹凸が少なくなり、外観が良好となる。無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン樹脂である酸変成剤18は、オレフィン系炭化水素を多く含む流動パラフィン14と良くなじみ、強度を高めることができる
木質系複合樹脂材料10を溶融させ成形するとき、木質系複合樹脂材料10が一定以上に吸水していると成形不良が発生しやすくなるが、この木質系複合樹脂材料10は、流動パラフィン14の混合により流動パラフィン14が木質系複合樹脂材料10中に残っており、木質系複合樹脂材料10が吸湿しにくくなり、樹脂製品成形用の樹脂材料として保管上非常に有利である。例えば、樹脂成形工場等でこの木質系複合樹脂材料10を成形用の樹脂材料として保管する場合も、保管条件(気温、湿度、期間等)の管理が容易になり、高品質の成形を行うことができる。
また、木質系複合樹脂材料10の製造方法は、混合工程で、木質系フィラー材12、流動パラフィン14、酸変成剤18、及び熱可塑性樹脂原料16を一度に混合するため、熱可塑性樹脂原料16に木質系フィラー材12の粒子が容易に均一に分散して混ざり合い、多孔質の木質系フィラー材12の粒子表面の凹凸の孔中にも熱可塑性樹脂原料16が確実に入り込むものである。またこの製造方法は、工程が短く、製造装置をシンプルにすることができ、熱可塑性樹脂原料16の熱変性も抑えることができ、製造効率が高く、木質系複合樹脂材料10の品質や製品強度を向上させることができる。さらに、工程をシンプルにすることで、装置の簡易化や混練エネルギーの削減を図ることができ、この点でも製造コストの低減に寄与する。
なお、この発明の木質系複合樹脂材料及びその製造方法は、上記実施の形態に限定されるものではなく、混練工程で用いる混練装置は、上記の2軸押出機以外でもよく、製造する木質系複合樹脂材料の材料や量、用途等により適宜選択される。ホッパーや、ミキサー、計量攪拌機、定量供給装置、ペレット化装置等、適宜自由に選択可能である。木質系フィラー材、流動パラフィン、熱可塑性樹脂原料、酸変成剤酸は、上記以外でもよく、同じ機能を有する物質であれば適宜変更可能である。
次に、この発明の木質系複合樹脂材料の実施例について以下に説明する。先ず、従来の木粉とこの発明の半炭化した木質系フィラー材との違いを確認した。確認は、赤外線分光分析により行った。用いた装置は、日本分光(株)FT/IR−680、測定方法はATR1回反射法による。
その結果、測定材料はセルロースを主成分とする材料で、木質系フィラー材である半炭化木粉は、木粉に比較して1730cm-1、1650cm-1のピークが小さくなっており、エステル基やカルボニル基を持つ精油成分、油脂成分(1730cm-1)および水分(1650cm-1)等が半炭化により減少していることが確認できた。したがって、半炭化することで揮発分が減少しており、熱可塑性樹脂原料混練時に揮発分が発生することが少ない。
次に、TG−DTA測定を行った。(装置:株式会社リガク製TG−8120、測定条件:温度条件:室温から10℃/minで、500℃(10min)に昇温、雰囲気:空気(200ml/min)または窒素(500ml/min)、試料パン材質:Al、基準試料:Alパン、試料質量:1mg)
一般的な木粉のTG測定では、120℃程度までが、水分や揮発成分の蒸発による質量減少、200℃〜300℃がヘミセルロースの熱分解による質量減少、300℃〜400℃がセルロースの熱分解による質量減少、200℃〜900℃がリグニンの熱分解による質量減少が起きるとされている。これに対して、表1に示すTGにおける温度範囲と質量減少割合を見ると、半炭化木粉の空気気流中の測定では、試料中、水分や揮発成分:3.1%、ヘミセルロース・セルロース成分:52.1%、リグニン成分:39.8%の割合で含まれており、木粉と比較すると、半炭化木粉は水分や揮発成分、ヘミセルロース・セルロース成分が少ない結果となった。従って、半炭化により、水分や揮発成分と、ヘミセルロース・セルロース成分の一部が除かれると考えられる。TGチャートを見ると半炭化木粉は、木粉に比較して120℃〜350℃における質量減少が低い温度から起き、半炭化することで熱分解が起こした成分に変化していることが分かった。窒素気流中で350℃〜500℃における質量減少が明確に見られなかったことから、リグニン成分への熱分解はないと考えられる。以上の結果から、半炭化物はI炭であることが分かる。
Figure 2018083876
次に、実際に杉の芯材をチップ化し、3mの圧力釜で攪拌しながら210℃の高圧水蒸気で30分処理し、処理後は天日乾燥をおこない、粒度を整えるために粉砕機を通過させた。材料は、伐採した生木をすぐにチップ化した材料である。木の揮発成分を分析するためにX線分析した結果、揮発成分として精油成分、油脂成分、水分が減少し、熱重量示唆熱分析結果では、半炭化物の中で残っている揮発成分は3.1%、ヘミセルロース、セルロース成分は、52.1%、リグニン成分は39.8%であった。また、粒度分布を調べたところ、表2に示すように粒度幅は、富山県産半炭化杉では、Dv10:8.39μm、Dv50:48.8μm、Dv90:207μmと細かく粉砕されており、富山県産杉の木粉及びドイツ産ホワイトウッドの木分と比較して、この発明の処理方法が、熱可塑性樹脂原料混練用のフィラー材製造に適していることが分かった。(装置は、スペクトリス株式会社マルバーン事業部 マスターサイザー3000を用い、乾式測定セルで測定)また、処理に使用する加熱水蒸気の温度が200℃程度であることから、熱可塑性樹脂原料混練時に熱可塑性樹脂原料を溶融する温度帯で、揮発分の影響を受けない材料が製造できることが分かった。
Figure 2018083876
次に、この発明の木質系複合樹脂材料10について、各種の性能試験を行った結果を、図3〜図8を基にして、以下に示す。試料は、上記実施形態に示す木質系フィラー材12、流動パラフィン14、ポリプロピレン(PP)の熱可塑性樹脂原料16、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン樹脂である酸変成剤18により、上記実施形態に示す製造方法で作られたものであり、木質系フィラー材12の配合量が異なる4種類を製造した。木質系複合樹脂材料10の全量に対して木質系フィラー材12の割合は、50質量%、60質量%、70質量%、80質量%である。
先ず、流動性を示すメルトマスフローレート(MFR)を測定した。図3に示すように、MFRは、木質系フィラー材12の割合が多くなるに従い低下している。次に比重を測定した結果、図4に示すように、木質系フィラー材12の割合が多くなるに従い、比重の値も大きくなっている。これらの結果は、ポリプロピレンに異質の木質系フィラー材12を混合したことによる結果である。
次に、衝撃値を測定した結果を図5に示す。衝撃値は、木質系フィラー材12の割合が80質量%で低下しているが、70質量%までは、ほとんど低下が認められなかった。ポリプロピレン100%の値が3.5kj/mであるので、木質系フィラー材12を70質量%程度まで添加しても、衝撃に対しする耐性である衝撃値はそれほど低下しないことが確かめられた。
また、曲げ弾性率を測定した結果を図6に示す。曲げ弾性率は、ポリプロピレン100%の値が約1500MPaであるが、図6に示すように、混練率が上がるに従い大きくなっており、木質系フィラー材12を混合することにより、硬くなることが分かった。
次に、曲げ最大応力を測定した結果を、図7に示す。曲げ最大応力は、ポリプロピレン100%の値が約35MPaであり、木質系フィラー材12を混練するとポリプロピレン100%の値よりも高くなり、木質系フィラー材12の混練率が70質量%までは、混練率が上がるに僅かながら従い大きくなっている。混練率が80質量%で値が小さくなっているのは、木質系フィラー材12が多いことにより、曲げに対する強度が低下したことを示している。
次に、引張最大応力を測定した結果を、図8に示す。引張最大応力も、ポリプロピレン100%の値が約43MPaであるが、木質系フィラー材12を混練するとポリプロピレン100%の値よりも低下するものの、混練率が70質量%までは、混練率が上がるに従い僅かながら大きくなっている。混練率が80質量%で値が小さくなっているのは、木質系フィラー材12が多いことにより、引っ張りに対する強度が低下したことを示している。
上記の各性能試験の結果から、この発明の木質系複合樹脂材料10は、木質系フィラー材12の添加量が多くても、熱可塑性樹脂原料100%の場合と比較して強度の大きな低下がないことがわかった。
次に、木質系複合樹脂材料10の吸湿性について、測定した結果を図9に示す。木粉を含んだ複合材料は、一般に吸水性が高い。そこで。杉木粉50%を混練して作った従来の複合材料(WPC50)と、この発明の半炭化した木質系フィラー材である杉木粉を50%混練したで作った木質系複合樹脂材料(TPC50)で、吸水量の試験を行った。その結果図9に示すように、WPC50は吸水試験を始めてすぐから水を吸い始め、TPC50に比べて約2倍の吸水量を示した。
この結果から、木質系複合樹脂材料は、空気中の水分を吸湿しにくく、保管及び管理が容易であり、取り扱い性が良好な材料であることが分かった。
10 木質系複合樹脂材料
12 木質系フィラー材
14 流動パラフィン
16 熱可塑性樹脂原料
18 酸変成剤
26 ミキサー
28 計量攪拌機
32 2軸押出機

Claims (12)

  1. 木質系原料を180℃〜250℃の水蒸気温度で加圧水熱処理し、一部が炭化した状態で前記木質系原料を粉砕して木質系フィラー材を形成し、
    前記木質系フィラー材と、潤滑剤、熱可塑性樹脂原料、及び酸変成剤を混合し、前記熱可塑性樹脂原料が溶融する温度で混練して、前記熱可塑性樹脂原料を溶融させて前記酸変成剤により酸変性させるとともに、前記熱可塑性樹脂原料中に前記木質系フィラー材を均一に分散させて木質系複合樹脂材料を形成することを特徴とする木質系複合樹脂材料の製造方法。
  2. 前記木質系原料の加圧水熱処理は、1.9MPa〜2.5MPaの圧力下で行う請求項1記載の木質系複合樹脂材料の製造方法。
  3. 前記加圧水熱処理は、190℃〜240℃の水蒸気温度で行う請求項1又は2記載の木質系複合樹脂材料の製造方法。
  4. 前記木質系原料は、予めチップ状に粉砕したものを前記加圧水熱処理する請求項2又は3記載の木質系複合樹脂材料の製造方法。
  5. 前記酸変成剤は、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン樹脂であり、添加量は、前記熱可塑性樹脂原料に対して1〜6質量%混合し製造する請求項2又は3記載の木質系複合樹脂材料の製造方法。
  6. 前記木質系フィラー材は、全体の20〜80質量%の割合で混合し、混練により前記木質系フィラー材を前記複合樹脂原料中に均一に分散させて押し出して成形する請求項1及至5のいずれか記載の木質系複合樹脂材料の製造方法。
  7. 一部が炭化した状態の木質系原料から成る粉末状の木質系フィラー材と、潤滑剤及び熱可塑性樹脂原料から成り、前記木質系フィラー材の粒子が前記潤滑剤を介して前記熱可塑性樹脂原料中に均一に分散し、前記熱可塑性樹脂原料は不飽和カルボン酸の酸変成剤により酸変性されていることを特徴とする木質系複合樹脂材料。
  8. 前記木質系フィラー材は、前記木質系原料が半炭化したもので、ヘミセルロースが加水分解し、セルロースとリグニンが分解せずに残っている請求項7記載の木質系複合樹脂材料。
  9. 前記木質系フィラー材のセルロースは、一部が変性している請求項8記載の木質系複合樹脂材料。
  10. 前記酸変成剤は、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン樹脂である請求項7又は8記載の木質系複合樹脂材料。
  11. 前記潤滑剤は、主成分が流動パラフィンから成るものである請求項7又は8記載の木質系複合樹脂材料。
  12. 前記木質系フィラー材は、全体の20〜80質量%の割合で混合して成る請求項7及至11のいずれか記載の木質系複合樹脂材料。
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