JP2018083504A - 操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】運転者に操舵部材が操舵限界位置近傍であることをより明確に認識させることができる操舵装置を提供すること。
【解決手段】係合部材21のベアリング21bは、ステアリングホイールの回転角度が操舵限界位置近傍(回転角度θth)に至った場合、第2の溝部30bにおける偏曲部30f,30gに進入する。ベアリング21bは、均曲部30eに沿って移動しているときにおけるステアリングシャフト11の軸心mに対して近接または離間する量よりも、さらに大きくステアリングシャフト11の回転中心に近接または離間するようになる。そのため、係合部材21の第1の端部から、均曲部30eの内側面にかかる荷重よりも、偏曲部30f,30gの内側面にかかる荷重の方が大きくなる。
【選択図】図3
【解決手段】係合部材21のベアリング21bは、ステアリングホイールの回転角度が操舵限界位置近傍(回転角度θth)に至った場合、第2の溝部30bにおける偏曲部30f,30gに進入する。ベアリング21bは、均曲部30eに沿って移動しているときにおけるステアリングシャフト11の軸心mに対して近接または離間する量よりも、さらに大きくステアリングシャフト11の回転中心に近接または離間するようになる。そのため、係合部材21の第1の端部から、均曲部30eの内側面にかかる荷重よりも、偏曲部30f,30gの内側面にかかる荷重の方が大きくなる。
【選択図】図3
Description
本発明は、操舵装置に関する。
従来、特許文献1に記載されるような、操作機構および転舵機構の機械的な連結が解除されているステアバイワイヤ式の操舵装置が知られている。
上記の操舵装置は、操舵部品の回転操作量を制限する回転制限機構を有している。回転制限機構は、回転可能部材としての第1プレートと、回転不能部材としての第2プレートと、第1プレートおよび第2プレートの軸方向における間に設けられている係合部材とを有している。第1プレートおよび第2プレートは軸方向において対向している。第1プレートはステアリングシャフトと一体回転可能に設けられている。第1プレートは、その径方向に延びる直線形状の第1の溝を有している。第2プレートには、ステアリングシャフトが挿通されている。第2プレートはステアリングシャフトに対して相対的に回転する。第2プレートは、ステアリングシャフトの回りを巻きまわされるように設けられた渦巻き形状の第2の溝を有している。第1の溝と第2の溝とは、ステアリングシャフトの軸方向において対向している。係合部材の第2の端部には、第1の溝に係合して案内されるガイド部、第1の端部には第2の溝に係合して案内される2つの摺動部材が設けられている。操舵部品の回転操作に伴い、第1プレートが回転することで、係合部材は、第2の溝に沿って移動するとともに第1の溝に沿ってステアリングシャフトの径方向に移動する。
上記の操舵装置は、操舵部品の回転操作量を制限する回転制限機構を有している。回転制限機構は、回転可能部材としての第1プレートと、回転不能部材としての第2プレートと、第1プレートおよび第2プレートの軸方向における間に設けられている係合部材とを有している。第1プレートおよび第2プレートは軸方向において対向している。第1プレートはステアリングシャフトと一体回転可能に設けられている。第1プレートは、その径方向に延びる直線形状の第1の溝を有している。第2プレートには、ステアリングシャフトが挿通されている。第2プレートはステアリングシャフトに対して相対的に回転する。第2プレートは、ステアリングシャフトの回りを巻きまわされるように設けられた渦巻き形状の第2の溝を有している。第1の溝と第2の溝とは、ステアリングシャフトの軸方向において対向している。係合部材の第2の端部には、第1の溝に係合して案内されるガイド部、第1の端部には第2の溝に係合して案内される2つの摺動部材が設けられている。操舵部品の回転操作に伴い、第1プレートが回転することで、係合部材は、第2の溝に沿って移動するとともに第1の溝に沿ってステアリングシャフトの径方向に移動する。
係合部材を第1の溝および第2の溝に対して摺動させることで摩擦力を発生させ、その摩擦力によって第1プレートに摩擦トルクが付与される。その摩擦トルクにより、運転者には、操舵部品から手応え感が付与される。
しかし、上記構成では、係合部材が第2プレートの外周側端部および内周側端部に接触するまでの間は、運転者は、操舵部品の回転限界近傍、すなわち操舵部品が操舵限界位置近傍にあることに気がつかないおそれがある。
本発明の目的は、運転者に操舵部材が操舵限界位置近傍であることをより明確に認識させることができる操舵装置を提供することである。
上記目的を達成し得る操舵装置は、操舵部材と転舵輪との間の機械的な連結が断たれており、前記操舵部材の回転操作量に応じて前記転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータを有する操舵装置において、前記操舵部材の回転操作に応じて回転する回転軸と、前記操舵部材の回転操作量を制限する回転制限機構と、前記回転制限機構を収容するハウジングと、を備えることを前提としている。前記回転制限機構は、前記回転軸と一体回転可能な回転可能部材と、前記回転軸の軸方向において前記回転可能部材と対向するとともに前記ハウジングに固定された回転不能部材と、前記回転軸の軸方向において前記回転可能部材と前記回転不能部材とにそれぞれ連結される係合部材と、を有し、前記回転可能部材および前記回転不能部材のいずれか一方は、前記回転軸の径方向に延び、前記係合部材の第1の端部を案内する第1の溝部を有し、前記回転可能部材および前記回転不能部材のいずれか他方には、前記回転軸の軸方向からみて、前記第1の溝部と交差するように周方向に沿って延び、且つ前記係合部材の第2の端部を案内する第2の溝部を有し、前記第2の溝部は、前記回転軸を中心とする曲率半径が一定、または前記曲率半径の変化量が一定である均曲部と、前記均曲部の両端に設けられ、前記曲率半径の変化量が前記均曲部よりも大きい偏曲部と、を有し、前記係合部材の第2の端部は、前記第2の溝部において、前記操舵部材が中立位置を基準として操舵限界位置の近傍位置まで回転操作されるとき、前記偏曲部に進入する。
上記構成によれば、操舵部材の回転操作に伴い、回転軸が回転する。回転軸の回転に伴い、回転可能部材が回転する。回転可能部材の回転に伴い、係合部材は、回転可能部材および回転不能部材の一方に設けられた第1の溝部の内部を回転軸の径方向に沿って移動しつつ、回転可能部材および回転不能部材の他方に設けられた第2の溝部の内部を移動する。操舵部材の回転操作が操舵限界位置まで余裕がある場合、係合部材の第2の端部は、第2の溝部における均曲部を移動する。係合部材の第2の端部は、操舵部材の回転操作が操舵限界位置近傍になった場合、第2の溝部における偏曲部に進入する。そのため、係合部材の第2の端部は、均曲部の内面にかかる荷重よりも、偏曲部の内面にかかる荷重の方が大きくなる。その荷重の変化が回転可能部材、回転軸を介して操舵部材に伝達される。したがって、運転者に操舵部材が操舵限界位置近傍であることをより明確に認識させることができる。
前記第2の溝部は、前記回転軸を中心とする渦巻き形状を有しており、前記均曲部の曲率半径は、前記回転軸の回転中心に近接するほど小さくなるように、前記回転軸から離れるほど大きくなるように設定されて、前記均曲部における前記回転軸に近接している端部に設けられている前記偏曲部の曲率半径は、前記回転軸に近接するにつれてより小さくなるように変化し、前記均曲部における前記回転軸から離れている端部に設けられている前記偏曲部の曲率半径は、前記回転軸から離れるにつれてより大きくなるように設けられていることが好ましい。
前記回転制限機構は、前記係合部材の第1の端部の前記第1の溝部に沿った移動に抗する反力を付与する弾性体を有していることが好ましい。
上記構成によれば、操舵部材の操舵限界位置近傍において、係合部材の第2の端部が第2の溝部の均曲部から偏曲部に進入した以降、係合部材の第1の端部は、均曲部を移動しているときよりも偏曲部を移動しているときの方が、回転軸により大きく近接または離間する。すなわち、係合部材の第1の端部が回転軸の径方向に大きく近接または離間するため、係合部材の第1の端部が弾性体から受けるその移動に抗する反力が急激に大きくなる。このため、係合部材の第2の端部が均曲部から偏曲部に進入したことによる係合部材の第2の端部に生じる荷重の変化に加えて、係合部材の第1の端部が弾性体から受ける反力が急激に大きくなるため、運転者は、操舵部材が操舵限界位置近傍に達していることをさらに明確に認識することができる。
上記構成によれば、操舵部材の操舵限界位置近傍において、係合部材の第2の端部が第2の溝部の均曲部から偏曲部に進入した以降、係合部材の第1の端部は、均曲部を移動しているときよりも偏曲部を移動しているときの方が、回転軸により大きく近接または離間する。すなわち、係合部材の第1の端部が回転軸の径方向に大きく近接または離間するため、係合部材の第1の端部が弾性体から受けるその移動に抗する反力が急激に大きくなる。このため、係合部材の第2の端部が均曲部から偏曲部に進入したことによる係合部材の第2の端部に生じる荷重の変化に加えて、係合部材の第1の端部が弾性体から受ける反力が急激に大きくなるため、運転者は、操舵部材が操舵限界位置近傍に達していることをさらに明確に認識することができる。
前記係合部材の第2の端部には、低摩擦部材が装着されていることが好ましい。
係合部材の第1の端部が、低摩擦部材で構成されることで、係合部材の第2の端部は、第2の溝部の内部において摩擦力が小さい状態で移動することができる。そのため、係合部材の第2の端部と第2の溝部の内部との間に必要以上に摩擦力が生じにくくなる。摩擦力が生じにくくなることにより、操舵部材の操舵限界位置近傍よりも手前の領域において、運転者に対する必要以上の手応え感が抑制される。
係合部材の第1の端部が、低摩擦部材で構成されることで、係合部材の第2の端部は、第2の溝部の内部において摩擦力が小さい状態で移動することができる。そのため、係合部材の第2の端部と第2の溝部の内部との間に必要以上に摩擦力が生じにくくなる。摩擦力が生じにくくなることにより、操舵部材の操舵限界位置近傍よりも手前の領域において、運転者に対する必要以上の手応え感が抑制される。
本発明の操舵装置によれば、運転者に操舵部品が操舵限界位置近傍であることをより明確に認識させることができる。
<第1の実施形態>
以下、操舵装置を車両に搭載した場合に具体化した第1の実施形態を説明する。
図1に示すように、操舵装置1は、操作機構10と、転舵機構50と、制御装置80とを有している。操作機構10と転舵機構50との間は、機械的に分離されている。
以下、操舵装置を車両に搭載した場合に具体化した第1の実施形態を説明する。
図1に示すように、操舵装置1は、操作機構10と、転舵機構50と、制御装置80とを有している。操作機構10と転舵機構50との間は、機械的に分離されている。
操作機構10は、回転軸としてのステアリングシャフト11、反力アクチュエータ12、舵角センサ13、トルクセンサ14、および回転制限機構20を有している。
ステアリングシャフト11の端部には、ステアリングホイール2が連結されている。ステアリングシャフト11は、ステアリングホイール2と一体回転する。ステアリングシャフト11は車体に対して回転可能に支持されている。
ステアリングシャフト11の端部には、ステアリングホイール2が連結されている。ステアリングシャフト11は、ステアリングホイール2と一体回転する。ステアリングシャフト11は車体に対して回転可能に支持されている。
反力アクチュエータ12は、ステアリングシャフト11におけるステアリングホイール2と反対側の端部に接続されている。反力アクチュエータ12は、操舵反力を発生させ、この操舵反力をステアリングシャフト11を介してステアリングホイール2に付与する。反力アクチュエータ12は、反力モータを有している。反力アクチュエータ12は、反力モータの出力軸の回転トルクをステアリングシャフト11に付与する。
舵角センサ13は、ステアリングシャフト11に設けられている。舵角センサ13は、ステアリングシャフト11の回転角度を、ステアリングホイール2の操舵角θsとして検出する。
トルクセンサ14は、ステアリングシャフト11における舵角センサ13と反力アクチュエータ12との間に設けられている。トルクセンサ14は、ステアリングホイール2の操作を通じてステアリングシャフト11に加えられる操舵トルクThを検出する。
回転制限機構20は、ステアリングシャフト11におけるトルクセンサ14と反力アクチュエータ12との間に設けられている。回転制限機構20は、ステアリングホイール2の回転操作を、定められた角度範囲に機械的に制限する。
転舵機構50は、ステアリングホイール2の回転操作に基づいて転舵輪3,3を転舵させる機構である。転舵機構50は、車速センサ15、ラックシャフト51、ラックシャフト51の両端に連結されるタイロッド52、転舵アクチュエータ53、転舵角センサ54、を有している。
タイロッド52のラックシャフト51と反対側の端部は、転舵輪3,3に連結されている。
転舵アクチュエータ53は、ラックシャフト51に取り付けられている。転舵アクチュエータ53は、転舵モータを有している。転舵アクチュエータ53は、転舵モータを駆動させてボールねじ機構のガイド軸ナットを回転させることによりラックシャフト51をその軸方向に往復直線運動させる。このラックシャフト51の往復直線運動が、タイロッド52を介して転舵輪3,3に伝達されることにより、転舵輪3,3の転舵角θtが変更される。
転舵アクチュエータ53は、ラックシャフト51に取り付けられている。転舵アクチュエータ53は、転舵モータを有している。転舵アクチュエータ53は、転舵モータを駆動させてボールねじ機構のガイド軸ナットを回転させることによりラックシャフト51をその軸方向に往復直線運動させる。このラックシャフト51の往復直線運動が、タイロッド52を介して転舵輪3,3に伝達されることにより、転舵輪3,3の転舵角θtが変更される。
転舵角センサ54は、転舵アクチュエータ53の近傍に設けられている。転舵角センサ54は、転舵輪3,3の転舵角θtを検出する。
車速センサ15は、車両の車速Vを検出する。
車速センサ15は、車両の車速Vを検出する。
制御装置80は、各種センサ(舵角センサ13、トルクセンサ14、転舵角センサ54、車速センサ15)を通じて取得される操舵角θs、操舵トルクTh、転舵角θt、および車速Vに基づいて反力アクチュエータ12および転舵アクチュエータ53を制御する。制御装置80は、操舵トルクThおよび車速Vに基づきステアリングホイール2の目標操舵角を演算する。制御装置80は、演算した目標操舵角と、実際の操舵角θsとの偏差に基づいて反力アクチュエータ12(反力モータ)の駆動をフィードバック制御する。
また、制御装置80は、目標操舵角に基づき演算される目標転舵角と、実際の転舵角θtとの偏差に基づいて転舵アクチュエータ53(転舵モータ)の駆動をフィードバック制御する。
次に、回転制限機構20の構成を詳細に説明する。
図2(a)に示すように、回転制限機構20は、ハウジング90に収容されている。回転制限機構20は、回転可能部材としてのプレート30と、回転不能部材としての直方体状のボックス40と、係合部材21とを有している。
図2(a)に示すように、回転制限機構20は、ハウジング90に収容されている。回転制限機構20は、回転可能部材としてのプレート30と、回転不能部材としての直方体状のボックス40と、係合部材21とを有している。
係合部材21は、カムフォロアである。係合部材21は、棒21aと、低摩擦部材としての円筒状のベアリング21bと、を有している。棒21aの第2の端部は、円柱状をなしている。棒21aの第1の端部は、直方体状をなしている。棒21aの第2の端部にはベアリング21bが設けられている。
図2(b)に示すように、ベアリング21bは、内輪21c、複数のボール21d、および外輪21eを有している。内輪21cと外輪21eとの間には、複数のボール21dが介在されている。内輪21cは、棒21aの第2の端部に嵌合固定されている。外輪21eは、内輪21cに対して相対的に回転可能に設けられている。
図2(a)に示すように、ボックス40は、ハウジング90の内部の溝部90aに固定されている。ボックス40は、その長手方向がプレート30の半径方向に沿う向きに設けられている。ステアリングシャフト11の軸方向において、プレート30およびボックス40は互いに対向している。本実施形態では、ボックス40は、ステアリングシャフト11の軸方向からみて、ハウジング90のステアリングシャフト11が貫通する部分を除いた領域に設けられている。
ボックス40において、プレート30と対向する側の壁には、第1の溝部40cが設けられている。第1の溝部40cは、プレート30の回転中心を通り半径方向に延びる直線に沿って延びている。第1の溝部40cには、棒21aの第1の端部が挿入されている(相対回転不能)。ボックス40の内部には、弾性体としての付勢部材40aおよび付勢部材40bが収容されている。付勢部材40a,40bは、圧縮コイルばねである。付勢部材40aと付勢部材40bとの間には棒21aの第1の端部が介在されている。付勢部材40aは、その一方の端部が、ボックス40の長手方向におけるステアリングシャフト11側の内壁面に、他方の端部が棒21aの第1の端部の平面部分に接触して受けられている。付勢部材40bは、その一方の端部が、ボックス40の長手方向におけるステアリングシャフト11と反対側の内壁面に、他方の端部は棒21aの第1の端部の平面部分に接触して受けられている。付勢部材40a,40bは、ボックス40の内部において、自然長よりも若干圧縮された状態で収容されている。付勢部材40a,40bは、互いに同じばね特性を有している。尚、付勢部材40a,40bとしては、線形ばねまたは非線形ばねが採用されてもよい。係合部材21の棒21aは、付勢部材40aまたは付勢部材40bの弾性力に抗して、第1の溝部40cの一方の端部から他方の端部までの間を移動する。
プレート30は、ステアリングシャフト11が一体回転可能に挿通されている貫通孔30aと、第2の溝部30bを有している。貫通孔30aは、プレート30の中央部分に設けられている。したがって、プレート30の回転中心とステアリングシャフト11の軸心mは一致している。第2の溝部30bは、プレート30の厚み方向に貫通している。第2の溝部30bの溝幅は、ベアリング21bの外径より若干大きく設定されている。第2の溝部30bには、係合部材21のベアリング21bが挿入されている。
図3に示すように、プレート30は、円板状をなしている。第2の溝部30bは、内周側端部30cと外周側端部30dとを有し、内周側端部30cから旋回するにつれて貫通孔30aから遠ざかる渦巻き形状を有している。第2の溝部30bは、ステアリングシャフト11の軸方向(図3中の軸心mの方向)からみて、ボックス40の第1の溝部40cに交わるように設けられている。つまり、第2の溝部30bは、ステアリングシャフト11の軸方向からみて、プレート30上に第1の溝部40cのステアリングシャフト11から最も遠い端部と軸心mとの距離を半径とする仮想的な円を描いたとして、その円内に収まるように設けられている。
そして、第1の溝部40cと第2の溝部30bの交差部分に係合部材21が位置する。具体的には、交差部分の第2の溝部30bに係合部材21のベアリング21bが位置し、交差部分の第1の溝部40cに係合部材21の棒21aが位置する。ステアリングホイール2とステアリングシャフト11とプレート30は一体回転するように構成されているので、ステアリングホイール2とプレート30の回転角は同一である。ステアリングホイール2の回転に伴って、プレート30が回転し、そのとき係合部材21は、第1の溝部40c内と第2の溝部30b内とを移動する。図3の右旋回方向にプレート30(ステアリングホイール2)が回転すると、係合部材21は、第1の溝部40cと第2の溝部30bを軸心mとの距離が大きくなる方向に移動する。左旋回方向の場合は、係合部材21は、逆に軸心mとの距離が小さくなる方向に移動する。係合部材21が第1の溝部40c、あるいは第2の溝部30bのそれぞれの端部に当接したときにプレート30の回転が止められ、ステアリングホイール2がそれ以上回転しないようになっている。本実施形態では、係合部材21が第2の溝部30bの内周側端部30cあるいは外周側端部30dの端部に当接したときにプレート30の回転が止められるようになっており、第2の溝部30bの内周側端部30cから外周側端部30dまでの巻数はステアリングホイール2の最大操舵角に相当する。
ここで、第2の溝部30bの巻数は、第2の溝部30bの溝幅の中心を結ぶ曲線の内周側端部30cでの端部と、軸心mとを結ぶ仮想的な直線を基準線として、第2の溝部30bの溝幅の中心を結ぶ曲線上を仮想点が内周側端部30cから外周側端部30dの端部まで移動したときの点と軸心mとを結ぶ仮想的な直線と、基準線とのなす角度αの0からの積算値を360で除算した数と定義する。第2の溝部30bの巻数は4.5回転に設定されている。これは、ステアリングホイール2におけるロックツーロック(右操舵端から左操舵端)で1620度(4.5回転)、ステアリングホイール2の操舵中立位置から右ロック位置、左ロック位置まで各810度(2.25回転)に対応する。
第2の溝部30bは、渦巻き形状をなす均曲部30eならびに内周側端部30cおよび外周側端部30dの近傍の2つの偏曲部30f,30gを有している。偏曲部30fは、第2の溝部30bにおける内周側端部30cの近傍に、偏曲部30gは、第2の溝部30bにおける外周側端部30dの近傍に設けられている。すなわち、均曲部30eおよび偏曲部30f,30gの境界部分は、ステアリングホイール2が操舵限界位置の近傍の回転角度θthまで回転操作されたときの係合部材21の棒21aの中心の位置に対応する。ここで、具体的に、均曲部30eおよび偏曲部30fとの境界部分の位置は、ステアリングホイール2の操舵中立位置(図3中のベアリング21bの位置)からステアリングホイール2を左方向に回転角度θthだけ回転させたときの係合部材21の棒21aの中心の位置P1である。また、均曲部30eおよび偏曲部30gとの境界部分の位置は、ステアリングホイール2の操舵中立位置からステアリングホイール2を右方向に回転角度θthだけ回転させたときの係合部材21の棒21aの中心の位置P2である。
均曲部30eは、第2の溝部30bのプレート30の軸心mを曲率中心とする曲率半径の変化量が一定である。偏曲部30f,30gのプレート30の軸心mを中心とする曲率半径の変化量は、均曲部30eの曲率半径の変化量よりも大きい。ここで、曲率半径とは、ステアリングシャフト11の軸方向からみて、内周側端部30cから外周側端部30dまでの範囲における第2の溝部30bの溝幅の中心を結ぶ前記仮想点の近傍を局所的に円弧とみなしたときの円の半径である。均曲部30eは、第2の溝部30bにおいて、内周側端部30c側から外周側端部30d側に向かうにつれて、前記角度αの増加に対して曲率半径が一定の割合で大きくなっている。また、均曲部30eは、外周側端部30d側から内周側端部30c側に向かうにつれて、前記角度αの減少に対して曲率半径が一定の割合で小さくなっている。すなわち、均曲部30eの曲率半径は、ステアリングホイール2の回転操作(プレート30の回転)による前記角度αの変化に応じて、第2の溝部30bに挿入されているベアリング21bがプレート30の径方向において、プレート30の軸心mから一定の割合で離間、またはプレート30の軸心mに一定の割合で近接するように設定されており、曲率半径の変化量が一定という。
偏曲部30gの曲率半径は、外周側端部30dに向かうにつれてより大きくなる。また、偏曲部30fの曲率半径は、内周側端部30c側に向かうにつれてより小さくなる。すなわち、偏曲部30gの曲率半径は、プレート30の径方向において、ベアリング21bが均曲部30eの内部をプレート30の軸心mから一定の割合で離間していくよりもさらに大きくプレート30の軸心mから離間していくように設定されている。偏曲部30fの曲率半径は、プレート30の径方向において、ベアリング21bが均曲部30eの内部をプレート30の軸心mから一定の割合で近接するよりもさらに大きくプレート30の軸心mに近接するように設定されている。
次に、ステアリングホイール2を右旋回させた場合と、左旋回させた場合における回転制限機構20の動作を説明する。
図3に示すように、ステアリングホイール2の操舵中立位置を基準として、ステアリングホイール2を右旋回した場合、係合部材21のベアリング21bの外輪21eは、プレート30の第2の溝部30bの内側面に押し付けられながら、その内側面に沿って、外周側端部30dに向けて転がる。係合部材21の棒21aは、第1の溝部40cに沿って、ステアリングシャフト11の径方向外側に移動する。尚、ベアリング21bが第2の溝部30bにおける均曲部30eの内側面に押し付けられながら移動しているとき、ベアリング21bが内側面から受ける荷重は一定である。それは、均曲部30eの曲率半径の変化量が一定であり、ベアリング21bがプレート30の径方向において、プレート30の軸心mから一定の割合で離間するためである。
図3に示すように、ステアリングホイール2の操舵中立位置を基準として、ステアリングホイール2を右旋回した場合、係合部材21のベアリング21bの外輪21eは、プレート30の第2の溝部30bの内側面に押し付けられながら、その内側面に沿って、外周側端部30dに向けて転がる。係合部材21の棒21aは、第1の溝部40cに沿って、ステアリングシャフト11の径方向外側に移動する。尚、ベアリング21bが第2の溝部30bにおける均曲部30eの内側面に押し付けられながら移動しているとき、ベアリング21bが内側面から受ける荷重は一定である。それは、均曲部30eの曲率半径の変化量が一定であり、ベアリング21bがプレート30の径方向において、プレート30の軸心mから一定の割合で離間するためである。
図2(a)に示すように、棒21aがプレート30の径方向外側に移動するにつれて、ボックス40の内部の付勢部材40bは、棒21aによってステアリングシャフト11の径方向外側に向けて押圧されることにより徐々に圧縮される。この圧縮される付勢部材40bの弾性力が棒21aに対して、その移動に抗する向き(図2中のステアリングシャフト11の径方向内側)の反力Fとして作用する。運転者は、ステアリングホイール2を介して反力Fをその回転操作に抗する向きの力として手応え感を感じることができる。
図4に示すように、ステアリングホイール2が右旋回されるほど、棒21aはプレート30の径方向外側へ移動して付勢部材40bがより圧縮されるため、付勢部材40bから棒21aに付与される反力Fは徐々に大きくなる。運転者がステアリングホイール2から感じる手応えも徐々に大きくなる。
図3に示すように、反力Fが徐々に大きくなる理由は、均曲部30eにおける曲率半径の変化量が一定であるためである。すなわち、ベアリング21bがプレート30の径方向外側に向けて、プレート30の回転中心から一定の割合で離れていくためである。ベアリング21bが、均曲部30eの内部を外周側端部30dに向けて渦巻き状に移動することにより、ベアリング21bは、プレート30の径方向外側に徐々に移動し、ひいては、棒21aもボックス40の第1の溝部40cの内部をステアリングシャフト11の径方向外側に向けて徐々に移動するためである。
やがてステアリングホイール2の回転角度θthに達するとき、ベアリング21bは位置P2に位置する。ステアリングホイール2の操作を通じてプレート30をさらに右回転させた場合、ベアリング21bは、第2の溝部30bにおける均曲部30eから偏曲部30gに進入する。その後、プレート30の右回りするのに伴い、棒21aが外周側端部30dに向けて移動する場合、ベアリング21bは、均曲部30eの内部を移動していたときよりもプレート30の径方向外側により大きく移動する。ひいては、係合部材21の棒21aも、第1の溝部40cに沿って、ステアリングシャフト11の径方向外側により大きく移動する。これは、偏曲部30gの曲率半径の変化量が、均曲部30eの曲率半径の変化量よりも大きくなるためである。すなわち、偏曲部30gの曲率半径は、プレート30の径方向において、ベアリング21bが均曲部30eの内部をプレート30の軸心mから一定の割合で離間していくよりもさらに大きくプレート30の軸心mから離間していくように設定されているためである。
このため、ステアリングホイール2の回転操作が回転角度θthに達した以降、ステアリングホイール2の操作を通じてベアリング21bが偏曲部30gの内部を外周側端部30dに向けて移動するにつれて、ベアリング21bは第2の溝部30bの内側面により強く押し付けられる。そのため、ベアリング21bが第2の溝部30bの内側面から受ける荷重がさらに大きくなる。また、棒21aが第1の溝部40cに沿ってより大きく移動することに伴い、付勢部材40bは、ステアリングシャフト11の径方向外側に向けて急激に押圧される。
図4に示すように、ステアリングホイール2の回転操作が回転角度θthに達した以降、付勢部材40bから棒21aに付与される反力Fは急激に大きくなる。すなわち、運転者がステアリングホイール2から感じる手応え感が急激に大きくなる。
図3に示すように、ベアリング21bが外周側端部30dに当接したとき、プレート30の右回転、すなわちステアリングホイール2の右旋回が規制される。運転者は、ステアリングホイール2を介して突き当たり感を感じ、操舵限界位置であることを認識する。
図2(a)に示すように、ベアリング21bが外周側端部30dに当接した状態において、係合部材21の棒21aの付勢部材40bに対する押圧が止まる。
次に、ステアリングホイール2を左旋回させた場合の回転制限機構20の動作を説明する。
次に、ステアリングホイール2を左旋回させた場合の回転制限機構20の動作を説明する。
図3に示すように、ステアリングホイール2の操舵中立位置を基準として、ステアリングホイール2を左旋回した場合、係合部材21のベアリング21bの外輪21eは、プレート30の第2の溝部30bの内側面に押し付けられながら、その内側面に沿って、内周側端部30cに向けて転がる。係合部材21の棒21aは、第1の溝部40cに沿って、ステアリングシャフト11の径方向内側に移動する。尚、ベアリング21bが第2の溝部30bにおける均曲部30eの内側面に押し付けられながら移動しているとき、ベアリング21bが内側面から受ける荷重は一定である。それは、均曲部30eの曲率半径の変化量が一定であり、ベアリング21bがプレート30の軸心mに一定の割合で近接するためである。
図2に示すように、棒21aがプレート30の径方向内側に移動するにつれて、ボックス40の内部の付勢部材40aは、棒21aによってステアリングシャフト11の径方向内側に向けて押圧されることにより徐々に圧縮される。この圧縮される付勢部材40aの弾性力が棒21aに対して、その移動に抗する向き(図2中のステアリングシャフト11の径方向外側)の反力Fとして作用する。運転者は、ステアリングホイール2を介して反力Fをその回転操作に抗する向きの力として手応え感を感じることができる。
図4に示すように、ステアリングホイール2が左旋回されるほど、棒21aはプレート30の径方向外側へ移動して付勢部材40aがより圧縮されるため、付勢部材40aから棒21aに付与される反力Fは徐々に大きくなる。運転者がステアリングホイール2から感じる手応えも徐々に大きくなる。
図3に示すように、反力Fが徐々に大きくなる理由は、均曲部30eにおける曲率半径の変化量が一定であるためである。すなわち、ベアリング21bがプレート30の径方向内側に向けて、プレート30の回転中心から一定の割合で近接していくためである。ベアリング21bが、均曲部30eの内部を内周側端部30cに向けて渦巻き状に移動することにより、ベアリング21bは、プレート30の径方向内側に徐々に移動し、ひいては、棒21aもボックス40の第1の溝部40cの内部をステアリングシャフト11の径方向内側に向けて徐々に移動するためである。
やがてステアリングホイール2の回転角度θthに達する時、ベアリング21bは位置P1に位置する。ステアリングホイール2の操作を通じてプレート30をさらに左回転させた場合、ベアリング21bは、第2の溝部30bにおける均曲部30eから偏曲部30fに進入する。その後、プレート30の左回りするのに伴い、棒21aが内周側端部30cに向けて移動する場合、ベアリング21bは、均曲部30eの内部を移動していたときよりもプレート30の径方向内側により大きく移動する。ひいては、係合部材21の棒21aも、第1の溝部40cに沿って、ステアリングシャフト11の径方向内側により大きく移動する。これは、偏曲部30fの曲率半径の変化量が、均曲部30eの曲率半径の変化量よりも大きくなるためである。すなわち、偏曲部30fの曲率半径は、プレート30の径方向において、ベアリング21bが均曲部30eの内部をプレート30の軸心mから一定の割合で近接するよりもさらに大きくプレート30の軸心mに近接するように設定されているためである。
このため、ステアリングホイール2の回転操作が回転角度θthに達した以降、ステアリングホイール2の操作を通じてベアリング21bが偏曲部30fの内部を内周側端部30cに向けて移動するにつれて、ベアリング21bは第2の溝部30bの内側面により強く押し付けられる。そのため、ベアリング21bが第2の溝部30bの内側面から受ける荷重がさらに大きくなる。また、棒21aが第1の溝部40cに沿ってより大きく移動することに伴い、付勢部材40aは、ステアリングシャフト11の径方向内側に向けて急激に押圧される。
図4に示すように、ステアリングホイール2の回転操作が回転角度θthに達した以降、付勢部材40aから棒21aに付与される反力Fは急激に大きくなる。すなわち、運転者がステアリングホイール2から感じる手応え感が急激に大きくなる。
図3に示すように、ベアリング21bが内周側端部30cに当接したとき、プレート30の左回転、すなわちステアリングホイール2の左旋回が規制される。運転者は、ステアリングホイール2を介して突き当たりを感じ、操舵限界位置であることを認識する。
図2(a)に示すように、ベアリング21bが内周側端部30cに当接した状態において、係合部材21の棒21aの付勢部材40aに対する押圧が止まる。
以上詳述したように、本実施の形態にかかる操舵装置1によれば、次の作用および効果が得られる。
以上詳述したように、本実施の形態にかかる操舵装置1によれば、次の作用および効果が得られる。
(1)ステアリングホイール2の回転角度が操舵限界位置近傍の角度(回転角度θth)に達した場合、係合部材21のベアリング21bは、第2の溝部30bにおける偏曲部30f,30gに進入する。ベアリング21bが偏曲部30f,30gに進入した以降、ベアリング21bは、均曲部30eに沿って移動しているときよりも、さらに大きくステアリングシャフト11の軸心mに近接または離間するようになる。そのため、係合部材21の第1の端部から、均曲部30eの内面にかかる荷重よりも、偏曲部30f,30gの内面にかかる荷重の方が大きくなる。その荷重の変化がプレート30、ステアリングシャフト11を介してステアリングホイール2に伝達される。
したがって、運転者が運転者にステアリングホイール2が操舵限界位置近傍であることをより明確に認識させることができる。
(2)ステアリングホイール2の操舵限界位置近傍において、ベアリング21bが均曲部30eから偏曲部30f,30gに進入したとき、係合部材21の棒21aが付勢部材40aまたは付勢部材40bから受けるその移動に抗する反力Fが急激に大きくなる。このため、ベアリング21bが均曲部30eから偏曲部30f,30gに進入したことによって、棒21aが付勢部材40a,40bから受ける反力が急激に大きくなるため、運転者は、ステアリングホイール2が操舵限界位置近傍に達していることをさらに明確に認識することができる。
(2)ステアリングホイール2の操舵限界位置近傍において、ベアリング21bが均曲部30eから偏曲部30f,30gに進入したとき、係合部材21の棒21aが付勢部材40aまたは付勢部材40bから受けるその移動に抗する反力Fが急激に大きくなる。このため、ベアリング21bが均曲部30eから偏曲部30f,30gに進入したことによって、棒21aが付勢部材40a,40bから受ける反力が急激に大きくなるため、運転者は、ステアリングホイール2が操舵限界位置近傍に達していることをさらに明確に認識することができる。
(3)係合部材21の棒21aの第2の端部には、ベアリング21bが設けられている。このため、係合部材21の第2の端部は、第2の溝部30bに対して摺動することなく、ベアリング21bを介して第2の溝部30bに接触する。外輪21eは、第2の溝部30bの内面との接触に伴い、内輪21cに対して回転しながら第2の溝部30bに沿って移動する。そのため、係合部材21の第2の端部と第2の溝部30bの内部との間に必要以上に摩擦力が生じにくくなる。したがって、ステアリングホイール2の操舵限界位置近傍よりも手前の領域(第2の溝部30bの均曲部30e)において、運転者に対して必要以上の手応えを感じさせることが抑制される。
<第2の実施形態>
以下、操舵装置の第2の実施形態を説明する。本実施の形態の操舵装置は、基本的には、先の図1〜4に示される第1の実施形態と同様の構成を備えている。ただし、第1の実施形態における回転制限機構20を配置する位置が異なっている。このため、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその詳細な説明は割愛する。
以下、操舵装置の第2の実施形態を説明する。本実施の形態の操舵装置は、基本的には、先の図1〜4に示される第1の実施形態と同様の構成を備えている。ただし、第1の実施形態における回転制限機構20を配置する位置が異なっている。このため、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその詳細な説明は割愛する。
図5に示すように、操作機構10は、ステアリングシャフト11、反力アクチュエータ12、舵角センサ13、トルクセンサ14、回転軸としての減速シャフト60、減速機構95、および回転制限機構20を有している。反力アクチュエータ12の反力モータの出力軸12aは、ステアリングシャフト11と平行に設けられている。減速機構95は、たとえば、互いに噛み合う2つの歯車95a,95bを有している。歯車95aは、ステアリングシャフト11におけるステアリングホイール2と反対側の端部に固定されている。歯車95bは、反力アクチュエータ12(反力モータ)の出力軸12aに固定されている。反力アクチュエータ12の出力軸12aの回転トルクは減速機構95を介してステアリングシャフト11に付与される。
回転制限機構20および減速シャフト60の一部分は車体に固定されるハウジング90に収容されている。減速シャフト60は、回転制限機構20に挿入されている。減速シャフト60は、ハウジング90に対して回転可能に支持されている。減速シャフト60におけるハウジング90から外部に突出する端部には、歯車60aが固定されている。歯車60aは、減速機構95の歯車95aと噛み合っている。すなわち、ステアリングホイール2の回転は、ステアリングシャフト11、減速機構95、および減速シャフト60を介して回転制限機構20に伝達される。減速機構95の歯車95aの歯数と減速シャフト60に設けられた歯車60aの歯数との比は、ステアリングホイール2が4.5回転したときに、減速シャフト60が1回転するように設定されている。
図6に示すように、プレート30は、減速シャフト60に一体回転可能に嵌合固定されている。
図7に示すように、プレート30の第2の溝部30bは、内周側端部30cから旋回するにつれて貫通孔30aから遠ざかる渦巻き形状を有している。プレート30の第2の溝部30bの巻数は、第2の溝部30bの溝幅の中心を結ぶ曲線の内周側端部30cでの端部と、軸心mとを結ぶ仮想的な直線を基準線として、第2の溝部30bの溝幅の中心を結ぶ曲線上を仮想点が内周側端部30cから外周側端部30dの端部まで移動したときの点と軸心mとを結ぶ仮想的な直線と、基準線とのなす角度αの0からの積算値を360で除算した数と定義する。第2の溝部30bの巻数は1回転に設定されている。これは、ステアリングホイール2におけるロックツーロック(右操舵端から左操舵端)で1620度(4.5回転)、ステアリングホイール2の操舵中立位置から右ロック位置、左ロック位置まで各810度(2.25回転)に対応しているが、減速機構95の歯車95aの歯数と、減速シャフト60に設けられた歯車60aの歯数の比により、ステアリングホイール2における1620度(4.5回転)の回転操作量が、プレート30の360度(1回転)の回転操作に変換されているためである。
図7に示すように、プレート30の第2の溝部30bは、内周側端部30cから旋回するにつれて貫通孔30aから遠ざかる渦巻き形状を有している。プレート30の第2の溝部30bの巻数は、第2の溝部30bの溝幅の中心を結ぶ曲線の内周側端部30cでの端部と、軸心mとを結ぶ仮想的な直線を基準線として、第2の溝部30bの溝幅の中心を結ぶ曲線上を仮想点が内周側端部30cから外周側端部30dの端部まで移動したときの点と軸心mとを結ぶ仮想的な直線と、基準線とのなす角度αの0からの積算値を360で除算した数と定義する。第2の溝部30bの巻数は1回転に設定されている。これは、ステアリングホイール2におけるロックツーロック(右操舵端から左操舵端)で1620度(4.5回転)、ステアリングホイール2の操舵中立位置から右ロック位置、左ロック位置まで各810度(2.25回転)に対応しているが、減速機構95の歯車95aの歯数と、減速シャフト60に設けられた歯車60aの歯数の比により、ステアリングホイール2における1620度(4.5回転)の回転操作量が、プレート30の360度(1回転)の回転操作に変換されているためである。
尚、ステアリングホイール2を右旋回させた場合、係合部材21のベアリング21bは、内周側端部30cに向けて移動する。ステアリングホイール2を左旋回させた場合、係合部材21のベアリング21bは、外周側端部30dに向けて移動するものとする。
本実施の形態によれば、ステアリングホイール2の回転が減速機構95および減速シャフト60を介して回転制限機構20に伝達されることにより第1の実施形態の(1)〜(3)の効果を得られる。
尚、本実施の形態は、技術的に矛盾が生じない範囲で以下のように変更してもよい。
・第1および第2の実施形態において、係合部材21の第2の端部には、ベアリング21bを設けていたが、円筒状の樹脂部材を設けてもよい。このようにしても、係合部材21が第2の溝部30bの偏曲部30f,30gに進入したとき、係合部材21が第2の溝部30bの内面から受ける荷重をステアリングホイール2に伝達することができる。また、係合部材21を、上記の樹脂部材で構成してもよい。尚、係合部材21の第2の端部または係合部材21を樹脂部材で構成した場合、その外径は第2の溝部30bの溝幅と略同一とすることが好ましい。
・第1および第2の実施形態において、係合部材21の第2の端部には、ベアリング21bを設けていたが、円筒状の樹脂部材を設けてもよい。このようにしても、係合部材21が第2の溝部30bの偏曲部30f,30gに進入したとき、係合部材21が第2の溝部30bの内面から受ける荷重をステアリングホイール2に伝達することができる。また、係合部材21を、上記の樹脂部材で構成してもよい。尚、係合部材21の第2の端部または係合部材21を樹脂部材で構成した場合、その外径は第2の溝部30bの溝幅と略同一とすることが好ましい。
・第1および第2の実施形態において、付勢部材40a,40bには、圧縮コイルばねが採用されていたが、これに限らない。例えば、板ばね、またはエラストマー等の弾性力を有するものとしてもよい。
・第1および第2の実施形態において、付勢部材40a,40bは、ステアリングホイール2が操舵中立位置に保たれている場合、係合部材21が第1の溝部40cにおける中間位置に位置しているときに、係合部材21の棒21aにその一端が固定されていたがこれに限らない。例えば、係合部材21が第1の溝部40cにおける中間位置に位置しているときに、付勢部材40a,40bは棒21aに固定せず、ステアリングホイール2が操舵限界位置近傍(回転角度θth)に至ったときに初めて棒21aが付勢部材40a,40bに接触するようにしてもよい。そのようにすることで、係合部材21のベアリング21bがプレート30の第2の溝部30bにおける均曲部30eを移動しているとき、すなわち、ステアリングホイール2が操舵限界位置近傍に対して余裕があるときに、運転者に必要以上に手応え感を付与せず、係合部材21が第2の溝部30bにおける偏曲部30f,30gに進入してから手応え感を急激に大きくすることができる。このため、ステアリングホイール2の操舵限界位置近傍においてのみ、運転者により明確な手応え感を付与することができる。
・第1および第2の実施形態において、ステアリングホイール2の機械的な操舵限界位置を、プレート30の内周側端部30cおよび外周側端部30dにより規定していたが、これに限らない。例えば、係合部材21の棒21aに対して付与する反力Fを急激に大きくするように付勢部材40a,40bのばね特性を変えることで、ステアリングホイール2の機械的な操舵限界位置を規定してもよい。
・第1および第2の実施形態において、ボックス40はプレート30の径方向(ステアリングシャフト11の径方向、または減速シャフト60の径方向)に沿って設けられていたがこれに限らない。例えば、ボックス40は、プレート30の径方向に対して傾きをもって設けてもよい。ただし、プレート30の径方向と直交させないように配置することが好ましい。
・第1および第2の実施形態において、ボックス40および付勢部材40a,40bを割愛してもよい。そのようにしても、係合部材21の第2の端部が、プレート30の第2の溝部30bにおける偏曲部30f,30gに進入することで、運転者にステアリングホイール2の操舵限界位置近傍であることを認識させることができる。
・また、第1および第2の実施形態において、第1の溝部40cおよび第2の溝部30bは、例えば、有底状の穴部としてもよい。この場合、第2の溝部30bは、少なくとも係合部材21のベアリング21bを収容できるように溝幅等を設定し、第1の溝部40cは、係合部材21の棒21aの第2の端部を収容できるように溝幅等を設定する。ただし、第1の溝部40cを有底状の穴部とする場合、付勢部材40a,40bが割愛される。また、この場合、係合部材21の棒21aの端部と第1の溝部40cとの間で摺動させる、すなわち、摩擦力が生じるようにすることが好ましい。係合部材21のベアリング21bが第2の溝部30bにおける均曲部30eから偏曲部30f,30gに進入するとき、棒21aと第1の溝部40cの内面との間に生じるこの摩擦力は、急激に大きくなる。急激に大きくなった摩擦力は、係合部材21からプレート30、ステアリングシャフト11(または減速シャフト60)を介してステアリングホイール2に伝達されるため、運転者にステアリングホイール2が操舵限界位置近傍にあることを明確に認識させることができる。
・第2の実施形態において、プレート30の第2の溝部30bは、プレート30の回転中心(減速シャフト60の回転中心)を中心とする渦巻き形状を有していたがこれに限らない。例えば、第2の溝部30bの均曲部30eにおける減速シャフト60の回転中心(図6中の軸心m)に近い側の内側面を可能な限り、プレート30の貫通孔30aに近づけるように肉抜きをしてもよい。この場合、均曲部30eにおける減速シャフト60の回転中心から離間している方の内側面に沿って、係合部材21のベアリング21bが移動し、ひいては偏曲部30f,30gに進入する。
・第2の実施形態において、例えば、偏曲部30fを偏曲部30gと同じように設定してもよい。このとき、減速シャフト60の軸方向からみて、第2の溝部30bは、馬蹄型をなす。このようにしても係合部材21のベアリング21bが第2の溝部30bの均曲部30eから偏曲部30f,30gに進入したときに、運転者にステアリングホイール2が操舵限界位置近傍であることを明確に認識させることができる。尚、この場合、ボックス40の内部に収容している付勢部材40aは割愛してもよい。
・第2の実施形態において、第2の溝部30bの均曲部30eは、減速シャフト60の回転中心からの曲率半径の変化量が一定であったが、曲率半径の変化量が「0」、すなわち、曲率半径を一定としてもよい。
・第1および第2の実施形態において、プレート30がステアリングシャフト11または減速シャフト60と一体回転し、ボックス40はハウジング90に固定された状態であったが、これに限らない。例えば、ボックス40をステアリングシャフト11または減速シャフト60と一体回転させ、プレート30をハウジング90の内部に固定させてもよい。この場合、プレート30の貫通孔30aをステアリングシャフト11の外径または減速シャフト60の外径よりも大きく設定し、プレート30と、ステアリングシャフト11および減速シャフト60とが一体回転しないようにし、且つプレート30をハウジング90の内部の上面に固定させる。ボックス40は、その長手方向の一端部をステアリングシャフト11または減速シャフト60に固定し、ステアリングシャフト11または減速シャフト60と一体回転可能に設ける。このようにしても第1および第2の実施形態と同様の効果が得られる。
・第1の実施形態において、回転制限機構20は、反力アクチュエータ12のステアリングホイール2側に設けられていたが、回転制限機構20を反力アクチュエータ12のステアリングホイール2と反対側に設けてもよい。また、ステアリングシャフト11におけるステアリングホイール2と反対側の端部に回転制限機構20を設け、回転制限機構20とトルクセンサ14との間に第2の実施形態における減速機構95を設け、反力アクチュエータ12を減速機構95に連結させてもよい。
・第2の実施形態において、ステアリングシャフト11には、ウォームホイールが設けられていてもよい。このとき、減速シャフト60の端部には、ウォームが設けられる。ウォームホイールと減速シャフト60に設けられたウォームとが互いにかみ合う。ステアリングホイール2の回転はウォームホイールおよび減速シャフト60を介して回転制限機構20に伝達される。
・第1および第2の実施形態において、回転制限機構20は、ステアリングホイール2および転舵輪3,3の機械的な転結が解除されている状態のステアバイワイヤ式の操舵装置に適用していたが、これに限らない。例えば、ステアリングシャフト11およびラックシャフト51の連結を断続することができるクラッチを有するステアバイワイヤ式の操舵装置に適用してもよい。
1…操舵装置、2…ステアリングホイール、3…転舵輪、11…ステアリングシャフト、20…回転制限機構、21…係合部材、21a…棒部、21b…ベアリング、30…プレート、30b…第2の溝部、30e…均曲部、30f,30g…偏曲部、40…ボックス、40a,40b…付勢部材、40c…第1の溝部、53…転舵アクチュエータ、90…ハウジング、F…反力。
Claims (4)
- 操舵部材と転舵輪との間の機械的な連結が断たれており、前記操舵部材の回転操作量に応じて前記転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータを有する操舵装置において、
前記操舵部材の回転操作に応じて回転する回転軸と、
前記操舵部材の回転操作量を制限する回転制限機構と、
前記回転制限機構を収容するハウジングと、を備え、
前記回転制限機構は、前記回転軸と一体回転可能な回転可能部材と、前記回転軸の軸方向において前記回転可能部材と対向するとともに前記ハウジングに固定された回転不能部材と、前記回転軸の軸方向において前記回転可能部材と前記回転不能部材とにそれぞれ連結される係合部材と、を有し、
前記回転可能部材および前記回転不能部材のいずれか一方は、前記回転軸の径方向に延び、前記係合部材の第1の端部を案内する第1の溝部を有し、
前記回転可能部材および前記回転不能部材のいずれか他方には、前記回転軸の軸方向からみて、前記第1の溝部と交差するように周方向に沿って延び、且つ前記係合部材の第2の端部を案内する第2の溝部を有し、
前記第2の溝部は、前記回転軸を中心とする曲率半径が一定、または前記曲率半径の変化量が一定である均曲部と、前記均曲部の両端に設けられ、前記曲率半径の変化量が前記均曲部よりも大きい偏曲部と、を有し、
前記係合部材の第2の端部は、前記第2の溝部において、前記操舵部材が中立位置を基準として操舵限界位置の近傍位置まで回転操作されるとき、前記偏曲部に進入する操舵装置。 - 前記第2の溝部は、前記回転軸を中心とする渦巻き形状を有しており、
前記均曲部の曲率半径は、前記回転軸の回転中心に近接するほど小さくなるように、前記回転軸から離れるほど大きくなるように設定されて、
前記均曲部における前記回転軸に近接している端部に設けられている前記偏曲部の曲率半径は、前記回転軸に近接するにつれてより小さくなるように変化し、
前記均曲部における前記回転軸から離れている端部に設けられている前記偏曲部の曲率半径は、前記回転軸から離れるにつれてより大きくなるように設けられている請求項1に記載の操舵装置。 - 前記回転制限機構は、前記係合部材の第1の端部の前記第1の溝部に沿った移動に抗する反力を付与する弾性体を有している請求項1または請求項2に記載の操舵装置。
- 前記係合部材の第2の端部には、低摩擦部材が装着されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の操舵装置。
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JP2016227045A JP2018083504A (ja) | 2016-11-22 | 2016-11-22 | 操舵装置 |
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Cited By (2)
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WO2021166678A1 (ja) * | 2020-02-18 | 2021-08-26 | 日立Astemo株式会社 | 操舵装置 |
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2016
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