JP2018083161A - スクリューコンベア型分離装置及び排水処理システム - Google Patents

スクリューコンベア型分離装置及び排水処理システム Download PDF

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Abstract

【課題】分離液への対象物の混入を抑制する。【解決手段】スクリューコンベア型分離装置1は、ケージング10と、スクリュー軸12と、第1スクリュー羽根14と、第2スクリュー羽根16と、分離液隔壁部17とを有する。第1スクリュー羽根14は、スクリュー軸12の外周面に螺旋状に延在する。第2スクリュー羽根16は、中間位置40から、スクリュー軸12の外周面に螺旋状に延在する。第2スクリュー羽根16は、第1スクリュー羽根14との間に第1空間T1及び第2空間T2を形成する。分離液隔壁部17は、第1空間T1に設けられ、他方の端部22側への対象物Aの進入をせき止める。スクリューコンベア型分離装置1は、対象物Aを圧搾して分離液Cを分離し、分離液Cを第1空間T1内で移動させて分離液排出口26から排出し、圧搾した対象物Aを第2空間T2内で移動させて対象物排出口24から排出する。【選択図】図1

Description

本発明は、スクリューコンベア型分離装置及び排水処理システムに関する。
従来、濃縮機や脱水機などのいわゆる分離装置に採用されている方法として、遠心法、浮上濃縮法、およびスクリーン濃縮脱水法などを挙げることができる。また、対象物としての含水率が高い下水や工場排水等の汚泥を、円筒形状のケージング内に投入し、このケージング内に設けたスクリューを回転させることにより、対象物を搬送しつつ圧搾脱水するスクリューコンベア型分離装置が利用されている。例えば、特許文献1には、2つのスクリュー羽根を設けたスクリューを回転させて、対象物を搬送しつつ圧搾する装置が記載されている。この装置は、ケージング内部に、2つのスクリュー羽根に挟まれた第1領域と第2領域を形成する。この装置は、第1領域で対象物を搬送し、対象物の排出口から対象物を排出する。また、この装置は、第2領域で脱水により生じた分離液を搬送し、分離液の排出口から分離液を排出する。
国際公開第2015/186612号公報
特許文献1に記載の装置は、第2領域で、対象物と隔離した状態で分離液を搬送する。従って、第2領域に対象物が混入した場合、分離液に対象物が混入してしまう。特許文献1の装置は、第2領域への対象物の混入を防ぐため、第2領域を覆うカバーを設けている。このカバーは、対象物を装置内に投入する投入口と重なるように設けられている。そのため、この装置は、投入口から投入された対象物をカバーによりせき止め、第2領域への対象物の混入を防止している。
しかし、汚泥などの対象物は含水して滑りやすく、また、スクリューが回転しているため、対象物が、カバーを伝って第2領域内に進入してしまうおそれがある。このように、複数のスクリュー羽根を設けたスクリューを回転させて、対象物を搬送しつつ圧搾する装置においては、分離液への対象物の混入を抑制する点については、改善の余地がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、分離液への対象物の混入を抑制するスクリューコンベア型分離装置及び排水処理システムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示のスクリューコンベア型分離装置は、対象物投入口から投入された対象物を圧搾して、圧搾した前記対象物を対象物排出口から排出し、圧搾により前記対象物から分離された分離液を分離液排出口から排出するスクリューコンベア型分離装置であって、一方の端部に前記対象物排出口が開口し、他方の端部に前記分離液排出口が開口し、前記一方の端部と前記他方の端部との間の中間部に、前記対象物投入口が開口する筒状のケージングと、前記ケージングの内部に設けられ、前記一方の端部から前記他方の端部への方向である延在方向に沿って延在するスクリュー軸と、前記一方の端部と前記中間部との間の第1位置から、前記中間部と前記他方の端部との間の第2位置まで、前記スクリュー軸の外周面に螺旋状に延在する第1スクリュー羽根と、前記中間部よりも前記他方の端部側の中間位置から前記他方の端部側に向かって、前記第1スクリュー羽根に対して前記延在方向に沿って所定間隔を隔てるように、前記スクリュー軸の外周面に螺旋状に延在し、前記第1スクリュー羽根に対向する2面のうち一方の面と前記一方の面に対向する前記第1スクリュー羽根との間に第1空間を形成し、前記2面のうち他方の面と前記他方の面に対向する前記第1スクリュー羽根との間に第2空間を形成する第2スクリュー羽根と、前記第1空間に設けられ、設けられている位置よりも前記他方の端部側の前記第1空間への、前記対象物の進入をせき止める分離液隔壁部と、を有し、前記スクリュー軸の回転によって、前記対象物投入口から投入された前記対象物を圧搾して前記分離液を分離し、前記分離液を前記第1空間内で移動させて分離液排出口から排出し、圧搾した前記対象物を前記第2空間内で移動させて前記対象物排出口から排出する。
前記スクリューコンベア型分離装置において、前記分離液隔壁部は、前記スクリュー軸と前記第1スクリュー羽根と前記第2スクリュー羽根とに接し、設けられている位置で、前記一方の端部側と前記他方の端部側とを隔離することが好ましい。
前記スクリューコンベア型分離装置において、前記ケージングは、中心軸が、前記他方の端部に向かうに従って鉛直方向下方に移動する向きで傾斜していることが好ましい。
前記スクリューコンベア型分離装置は、前記ケージングの傾斜角度を調整する傾斜調整部を更に有することが好ましい。
前記スクリューコンベア型分離装置は、前記分離液隔壁部よりも前記他方の端部側の前記第2空間内に設けられ、前記第2空間内の前記対象物の前記分離液排出口への流出をせき止める対象物隔壁部を更に有することが好ましい。
前記スクリューコンベア型分離装置において、前記分離液排出口は、前記スクリュー軸よりも、鉛直方向上側に設けられていることが好ましい。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の排水処理システムは、有機性排水から汚泥を分離させる固液分離槽と、前記スクリューコンベア型分離装置と、を備えた排水処理システムであって、前記スクリューコンベア型分離装置が、前記固液分離槽から排出された汚泥を濃縮し、前記汚泥の濃縮時において生じる前記分離液を前記固液分離槽に返送可能に構成されていることが好ましい。
前記排水処理システムにおいて、スクリューコンベア型分離装置が前記固液分離槽内に設けられていることが好ましい。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の排水処理システムは、有機性排水に対して生物処理を行う反応槽と、前記有機性排水から汚泥を分離させる固液分離槽と、前記スクリューコンベア型分離装置と、を備えた排水処理システムであって、前記スクリューコンベア型分離装置が、前記反応槽から汚泥を引き抜いて濃縮し、前記濃縮された汚泥を前記反応槽に返送するとともに、前記汚泥の濃縮時において生じる前記分離液を前記固液分離槽に供給可能に構成されていることが好ましい。
本発明によれば、分離液への対象物の混入を抑制することができる。
本実施形態に係るスクリューコンベア型分離装置の一部断面図である。 本実施形態に係るスクリューコンベア型分離装置の動作を説明するための模式図である。 本実施形態に係るスクリューコンベア型分離装置の動作を説明するための模式図である。 第1の実施例による排水処理システムの一部を示す構成図である。 第1の実施例の変形例を説明するための沈殿池を示す略線図である。 第2の実施例による排水処理システムの一部を示す構成図である。
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
(スクリューコンベア型分離装置の構成)
本実施形態に係るスクリューコンベア型分離装置について説明する。図1は、本実施形態に係るスクリューコンベア型分離装置の一部断面図である。図1に示すように、本実施形態に係るスクリューコンベア型分離装置1は、ケージング10、スクリュー軸12、第1スクリュー羽根14、第2スクリュー羽根16、分離液隔壁部17、対象物隔壁部18、及び傾斜調整部19を有して構成されている。スクリューコンベア型分離装置1は、対象物投入口27から投入された対象物Aを圧搾して、圧搾した後の対象物Aを対象物排出口24から排出する。そして、スクリューコンベア型分離装置1は、圧搾により対象物Aから分離された分離液Cを、分離液排出口26から排出する。この対象物Aは、含水率が高い下水や工場排水等の汚泥である。対象物Aは、フロック化された固形物に液体成分が含まれたものとなっている。本実施形態においては、スクリューコンベア型分離装置1の前段に設けられた装置により、例えば凝集剤を添加することで、固形物成分をフロック化して、固形物に液体成分が含まれた対象物Aを生成してもよい。スクリューコンベア型分離装置1は、この装置が生成した対象物Aが、対象物投入口27から投入される。ただし、この装置による固形物成分のフロック化は、凝集剤の添加に限られない。
ケージング10は、延在方向Eに沿って、一方の端部20から他方の端部22まで延在する筒状の部材である。ケージング10は、円筒状の部材であるが、一方の端部20側が縮径されている。延在方向Eは、ケージング10の軸方向である。延在方向Eは、他方の端部22側に向かうに従って、水平方向Xに対して鉛直方向Zの下方側に傾斜している。すなわち、ケージング10は、延在方向Eに沿った中心軸が、他方の端部22に向かうに従って、鉛直方向Zの下方側に移動する(位置する)向きで、傾斜している。
ケージング10は、一方の端部20に、対象物排出口24が開口している。対象物排出口24は、スクリュー軸12が内部を貫通可能になっている。また、ケージング10は、他方の端部22に、分離液排出口26が開口している。分離液排出口26は、スクリュー軸12が通る穴とは別の開口であり、スクリュー軸12よりも鉛直方向Zの上側に設けられている。また、ケージング10は、中間部23に、対象物投入口27が開口している。中間部23は、延在方向Eに沿った一方の端部20と他方の端部22との間の箇所である。中間部23は、延在方向Eに沿ったケージング10の中央近傍の位置であることが好ましい。例えば、一方の端部20から中間部23までの延在方向Eに沿った長さが、延在方向Eに沿ったケージング10の全長に対し、40%以上60%以下であることが好ましい。ただし、中間部23は、一方の端部20と他方の端部22との間であれば、その位置は任意であり、例えばケージング10の中央よりも一方の端部20側に位置していてもよい。対象物投入口27は、中間部23の位置におけるケージング10の外周に開口している。
スクリュー軸12は、円柱形状を有しており、ケージング10の内部に設けられて延在方向Eに沿って延在している。スクリュー軸12は、ケージング10の内部において、延在方向Eに沿ってケージング10を貫通するように設けられている。すなわち、スクリュー軸12の一方の端部30は、ケージング10の一方の端部20側に位置しており、ケージング10の一方の端部20から、ケージング10の外側に突出している。同様に、スクリュー軸12の他方の端部32は、ケージング10の他方の端部22側に位置しており、ケージング10の他方の端部22から、ケージング10の外側に突出している。スクリュー軸12は、一方の端部30又は他方の端部32の少なくともいずれかが、軸受けによって軸指示されたモータ(いずれも図示せず)に連結されている。スクリュー軸12は、このモータにより、延在方向Eを軸中心として、方向Rに回転される。
第1スクリュー羽根14は、第1位置34から第2位置36まで、スクリュー軸12の外周面に螺旋状に延在するよう設けられている。第1位置34は、第1スクリュー羽根14の一方の端部の位置、すなわち第1スクリュー羽根14の巻回が開始される位置である。第1位置34は、ケージング10の一方の端部20と中間部23との間の位置となっている。また、第2位置36は、第1スクリュー羽根14の他方の端部の位置、すなわち第1スクリュー羽根14の巻回が終わる位置である。第2位置36は、ケージング10の中間部23と他方の端部22との間の位置となっている。すなわち、第1スクリュー羽根14は、ケージング10内において、対象物投入口27が設けられている位置を通るよう設けられている。
第1スクリュー羽根14は、第2位置36から第1位置34に向かって、スクリュー軸12の回転方向である方向Rと同じ方向に巻回されている。すなわち、スクリュー軸12の回転方向(方向R)が、他方の端部32から一方の端部30を見て時計回りの場合は、第1スクリュー羽根14は、いわゆるZ巻き(右手)の螺旋状(スパイラル状)に設けられる。反対に、スクリュー軸12の回転方向(方向R)が、他方の端部32から一方の端部30を見て反時計回りの場合は、第1スクリュー羽根14は、いわゆるS巻き(左手)の螺旋状に設けられる。第1スクリュー羽根14は、スクリュー軸12の回転に伴い、回転する。
第2スクリュー羽根16は、中間位置40から他方の端部32側に向かって、スクリュー軸12の外周面に螺旋状に延在するよう設けられている。第2スクリュー羽根16は、延在方向Eに沿って、第1スクリュー羽根14に対して所定間隔を隔ててずれた位置に併設されている。中間位置40は、第2スクリュー羽根16の一方の端部の位置、すなわち第2スクリュー羽根16の巻回が開始する位置である。中間位置40は、ケージング10の中間部23と他方の端部22との間の位置となっており、中間部23よりも他方の端部22側の位置である。さらに言えば、中間位置40は、第1スクリュー羽根14の第2位置36よりも、一方の端部20側の位置にある。中間位置40は、ケージング10の中間部23よりも他方の端部22側の位置であるが、他方の端部22よりも中間部23に近い位置であることが好ましい。
より詳しくは、第2スクリュー羽根16は、中間位置40から端部位置42まで、スクリュー軸12の外周面に螺旋状に延在するよう設けられている。端部位置42は、第2スクリュー羽根16の他方の端部の位置、すなわち第2スクリュー羽根16の巻回が終了する位置である。端部位置42は、中間位置40とケージング10の他方の端部22との間の位置である。すなわち、第2スクリュー羽根16は、ケージング10内において、対象物投入口27が設けられている位置を通らない。なお、第2スクリュー羽根16も、第1スクリュー羽根14と同じ巻回方向で巻回されている。第2スクリュー羽根16も、スクリュー軸12の回転に伴い、回転する。
このように、第1スクリュー羽根14は、第1位置34から第2位置36まで、スクリュー軸12の外周面に螺旋状に設けられている。そして、第2スクリュー羽根16は、中間位置40から端部位置42まで、第1スクリュー羽根14と所定間隔を隔てて、スクリュー軸12の外周面に螺旋状に設けられている。第2スクリュー羽根16の中間位置40(巻回が開始する位置)は、第1スクリュー羽根14の第1位置34(巻回が開始する位置)よりも、他方の端部22側に位置している。そして、第2スクリュー羽根16の端部位置42(巻回が終了する位置)は、第1スクリュー羽根14の第2位置36(巻回が終了する位置)と、延在方向Eに沿って同じ位置となっている。ただし、端部位置42と第2位置36とは、延在方向Eに沿ってずれた位置となっていてもよい。
スクリューコンベア型分離装置1は、第1スクリュー羽根14と第2スクリュー羽根16が延在する区間が、このように異なる。従って、スクリューコンベア型分離装置1は、第1位置34から中間位置40までのシングルスクリュー区間K1と、中間位置40から端部位置42までのダブルスクリュー区間K2との、延在方向Eに沿った2つの区間に区分されているということができる。シングルスクリュー区間K1は、第1スクリュー羽根14と第2スクリュー羽根16とのうち、第1スクリュー羽根14のみが設けられた区間である。ダブルスクリュー区間K2は、第1スクリュー羽根14と第2スクリュー羽根16との双方が設けられた区間である。シングルスクリュー区間K1は、一方の端部20側の区間、すなわち対象物排出口24が設けられた側の区間であり、その区間内に、中間部23、すなわち対象物投入口27が設けられている。ダブルスクリュー区間K2は、シングルスクリュー区間K1の他方の端部22側に隣接した区間であり、対象物投入口27が設けられていない区間である。
シングルスクリュー区間K1内において、第1スクリュー羽根14は、延在方向Eに沿って隣接する第1スクリュー羽根14同士の間に、投入空間T0を形成する。また、ここで、第2スクリュー羽根16の延在方向Eに沿った一方の端部20側の面を、一方の面16aとする。そして、第2スクリュー羽根16の延在方向Eに沿った他方の端部22側の面を、他方の面16bとする。この一方の面16aと他方の面16bとの2面は、延在方向Eに沿って、それぞれ第1スクリュー羽根14に対向する。具体的には、一方の面16aは、一方の端部20側の第1スクリュー羽根14に対向する。また、他方の面16bは、他方の端部22側の第1スクリュー羽根14に対向する。第2スクリュー羽根16は、ダブルスクリュー区間K2内において、一方の面16aと、一方の面16aに対向する第1スクリュー羽根14との間に、第1空間T1を形成する。また、第2スクリュー羽根16は、ダブルスクリュー区間K2内において、他方の面16bと、他方の面16bに対向する第1スクリュー羽根14との間に、第2空間T2を形成する。
投入空間T0は、対象物投入口27に連通している空間であり、対象物投入口27からの対象物Aが投入される。第1空間T1は、後述する分離液隔壁部17よりも他方の端部22側において、分離液Cが搬送される空間である。第1空間T1は、分離液隔壁部17よりも他方の端部22側が、分離液隔壁部17により、投入空間T0から隔離されている。また、第1空間T1は、第1スクリュー羽根14及び第2スクリュー羽根16によって、第2空間T2から隔離されている。第2空間T2は、対象物Aが搬送される空間である。第2空間T2は、投入空間T0に連通している。
また、第1スクリュー羽根14の外周部とケージング10の内周面との間、および第2スクリュー羽根16の外周部とケージング10の内周面との間は、微小の間隙であるスリットHが生じるように構成されている。この微小の間隙であるスリットHは、フロック化した対象物Aの固形成分、及び圧搾された対象物Aの通過をせき止める程度の大きさとなっている。すなわち、スリットHは、フロック化した固形成分の径よりも小さくなるよう設定されている。また、スリットHは、分離液Cなどの液体成分が通過可能となっている。スリットHは、具体的には、例えば1〜2mm程度の隙間である。これにより、投入空間T0と第1空間T1とは、スリットHの領域において連通した状態となっている一方、スリットHの領域以外において互いに遮断されている。同様に、第1空間T1と第2空間T2とは、スリットHの領域において連通した状態となっている一方、スリットHの領域以外において互いに遮断されている。
また、第1スクリュー羽根14の外周部と第2スクリュー羽根16の外周部には、第1空間T1と第2空間T2を覆うカバーは設けられていない。すなわち、ケージング10の内周面と第1空間T1との間は、開放されている。同様に、ケージング10の内周面と第2空間T2との間は、開放されている。また、ケージング10の内周面と投入空間T0との間も、開放されている。スクリューコンベア型分離装置1は、このようなカバーが設けられていないことで、ケージング10の内周面に対象物A中の固形成分が詰まることを抑制し、詰りによる装置の停止リスクを低減することが可能となる。
分離液隔壁部17は、設置された位置よりも他方の端部22側の第1空間T1内への、対象物Aの進入をせき止めるバッフルである。分離液隔壁部17は、第1空間T1内であって、第2スクリュー羽根16の巻回が開始する中間位置40に設けられている。分離液隔壁部17は、中間位置40において、スクリュー軸12と第1スクリュー羽根14と第2スクリュー羽根16とに接している。さらに言えば、分離液隔壁部17は、中間位置40において、スクリュー軸12と第1スクリュー羽根14と第2スクリュー羽根16とで囲われる領域に対して、重ねて配置されている。従って、分離液隔壁部17は、設置された位置(中間位置40)において、一方の端部20側と他方の端部22側とを隔離している。
具体的には、分離液隔壁部17は、スクリュー軸12の外周面の第1スクリュー羽根14と第2スクリュー羽根16との間から、スクリュー軸12の放射方向外側に向かって延在している。すなわち、分離液隔壁部17は、スクリュー軸12の外周面に末端部が取り付けられ、先端部に向けて放射方向外側に向けて延在する板状の部材である。分離液隔壁部17は、一方の端部20側の一方の側面が第1スクリュー羽根14に接続され、他方の端部22側の他方の側面が第2スクリュー羽根16に接続されており、一方の側面から他方の側面に向けて、延在方向Eに沿って延在している。そして、分離液隔壁部17の先端部は、スクリュー軸12の放射方向に沿って、第1スクリュー羽根14及び第2スクリュー羽根16の先端部と同じ位置まで延在している。すなわち、分離液隔壁部17は、第1スクリュー羽根14及び第2スクリュー羽根16と同様に、ケージング10の内周面との間にスリットHを形成している。
分離液隔壁部17は、第1空間T1内に設けられているため、投入空間T0と自身よりも他方の端部22側の第1空間T1とを遮断している。すなわち、分離液隔壁部17は、投入空間T0内の対象物Aをせき止め、自身よりも他方の端部22側の第1空間T1への対象物Aの進入を抑制している。分離液隔壁部17は、中間位置40に設けられているため、対象物投入口27が設けられた位置よりも、他方の端部22側に位置している。なお、分離液隔壁部17は、中間位置40、すなわち第1空間T1の投入空間T0に対する境界位置に設けられている。しかし、分離液隔壁部17は、第1空間T1内であれば、中間位置40に設けられていることに限られず、中間位置40と端部位置42との間に設けられていればよい。ただし、分離液隔壁部17は、端部位置42よりも中間位置40側に設けられていることが好ましい。
対象物隔壁部18は、対象物Aの分離液排出口26への流出をせき止めるバッフルである。対象物隔壁部18は、分離液隔壁部17よりも他方の端部22側であって、第2空間T2内に設けられている。対象物隔壁部18は、第2空間T2の他方の端部22側の末尾(ここでは第2位置36)に設けられることがより好ましい。対象物隔壁部18は、第2空間T2において、スクリュー軸12と第1スクリュー羽根14と第2スクリュー羽根16とに接している。さらに言えば、対象物隔壁部18は、スクリュー軸12と第1スクリュー羽根14と第2スクリュー羽根16とで囲われる領域に対して、重ねて配置されている。従って、分離液隔壁部17は、設置された位置(第2位置36)において、一方の端部20側と他方の端部22側とを隔離している。
具体的には、対象物隔壁部18は、スクリュー軸12の外周面の第1スクリュー羽根14と第2スクリュー羽根16との間から、スクリュー軸12の放射方向外側に向かって延在している。すなわち、対象物隔壁部18は、スクリュー軸12の外周面に末端部が取り付けられ、先端部に向けて放射方向外側に向けて延在する板状の部材である。対象物隔壁部18は、一方の端部20側の一方の側面が第2スクリュー羽根16に接続され、他方の端部22側の他方の側面が第1スクリュー羽根14に接続されており、一方の側面から他方の側面に向けて、延在方向Eに沿って延在している。そして、対象物隔壁部18の先端部は、スクリュー軸12の放射方向に沿って、第1スクリュー羽根14及び第2スクリュー羽根16の先端部と同じ位置まで延在している。すなわち、対象物隔壁部18は、第1スクリュー羽根14及び第2スクリュー羽根16と同様に、ケージング10の内周面との間にスリットHを形成している。
ここで、第1スクリュー羽根14の第2位置36(第1スクリュー羽根14の巻回が終了する箇所)と他方の端部22との間の空間を分離液排出空間T3とする。分離液排出空間T3は、分離液排出口26と連通する空間である。対象物隔壁部18は、第2空間T2内に設けられているため、自身よりも一方の端部20側の第2空間T2と、この分離液排出空間T3とを遮断している。すなわち、対象物隔壁部18は、自身よりも一方の端部20側の第2空間T2内の対象物Aをせき止め、対象物Aの分離液排出空間T3(分離液排出口26)への進入を抑制している。なお、この分離液排出空間T3は、対象物隔壁部18よりも他方の端部22側の第2空間T2には連通している。また、分離液排出空間T3は、分離液隔壁部17よりも他方の端部22側の第1空間T1と連通している。
傾斜調整部19は、ケージング10に取付けられている。傾斜調整部19は、ケージング10の傾斜角度θを調整する。傾斜角度θは、ケージング10の延在方向Eに沿った中心軸の、水平方向X(地表面G)に対する傾斜角度である。傾斜調整部19は、ケージング10の中心軸が、他方の端部22に向かうに従って、鉛直方向Zに沿った下方に位置するよう、傾斜角度θの値を調整している。ただし、傾斜調整部19は、ケージング10の中心軸が水平方向Xに沿うように、すなわち延在方向Eが水平方向Xに平行となるように、傾斜角度θの値を調整してもよい。
(スクリューコンベア型分離装置の動作)
次に、上述のように構成されたスクリューコンベア型分離装置1の動作および対象物の挙動について説明する。図2及び図3は、本実施形態に係るスクリューコンベア型分離装置の動作を説明するための模式図である。
図2のステップS10に示すように、スクリューコンベア型分離装置1は、対象物投入口27から、対象物Aがケージング10内に投入される。対象物投入口27は、シングルスクリュー区間K1に開口している。従って、対象物Aは、投入空間T0内に投入される。ここで、ケージング10は、他方の端部22側が鉛直方向Zの下方に傾斜している。そして、対象物Aは、液体成分を含有しており流動性を有する。従って、投入空間T0内の対象物Aは、スクリュー軸12よりも鉛直方向Zに沿った上側まで堆積すると、スクリュー軸12を乗り越えて、第1スクリュー羽根14に沿って方向E1側に螺旋状に移動する。この対象物Aは、ダブルスクリュー区間K2内の第2空間T2に流入する。なお、方向E1とは、延在方向Eに沿った方向であり、一方の端部20から他方の端部22に向かう方向である。また、後述する方向E2は、方向E1と反対方向、すなわち他方の端部22から一方の端部20に向かう方向である。なお、ステップS10の例では、スクリュー軸12の回転前に対象物Aを投入したが、スクリュー軸12を回転させた状態で対象物Aの投入を開始してもよい。
第2空間T2内に流入した対象物Aは、第2空間T2内でスクリュー軸12よりも鉛直方向Zに沿った上側まで堆積すると、第2空間T2内を、螺旋状に方向E1に移動する。第2空間T2内の他方の端部22側の末尾には、対象物隔壁部18が設けられている。従って、対象物Aは、対象物隔壁部18に阻まれて第2空間T2内に留まり、分離液排出空間T3に進入しない。
投入空間T0内の対象物Aは、分離液隔壁部17に阻まれて、分離液隔壁部17よりも他方の端部22側の第1空間T1内には進入しない。投入空間T0と第1空間T1との間には、スリットHが設けられているが、上述のように、対象物A(の固形成分)は、スリットHを通過できない。従って、分離液隔壁部17よりも他方の端部22側の第1空間T1内には、投入空間T0内の対象物Aが流入されない。同様に、第2空間T2内の対象物Aも、分離液隔壁部17よりも他方の端部22側の第1空間T1内に流入しない。
対象物Aには、液体成分が含有されている。上述のように、スリットHは、対象物中の液体成分、すなわち分離液Cを導通する。従って、投入空間T0内の対象物Aからの分離液Cは、スリットHを介して第1空間T1内に導入される。同様に、第1空間T1内に流入した対象物Aからも、分離液Cが、スリットHを介して第1空間T1内に導入される。
次に、図2のステップS12に示すように、スクリューコンベア型分離装置1は、対象物Aが投入され続けながら、スクリュー軸12を、方向Rに沿って回転させる。第1スクリュー羽根14と第2スクリュー羽根16とは、スクリュー軸12の回転に伴い回転する。対象物Aは、第1スクリュー羽根14と第2スクリュー羽根16との回転によって、方向E2に向かって螺旋状に移動する。また、対象物Aは、この回転による移動、及び回転に伴うケージング10の内周面との摩擦によって、徐々に圧搾される。これにより、対象物Aから分離液Cが分離され、対象物Aの含水率が低下する。そして、圧搾された対象物Aは、第2空間T2内を、方向E2に向かって螺旋状に移動して、投入空間T0内に進入する。投入空間T0内に進入した圧搾後の対象物Aは、回転により投入空間T0内を方向E2に向かって、更に圧搾されつつ螺旋状に移動して、対象物排出口24から外部に排出される。
一方、対象物Aから分離された分離液Cは、スリットHを通じて第1空間T1内に徐々に進入し、第1空間T1に貯留される。第1空間T1は、スリットH以外の領域において、第2空間T2と隔離されている。そのため、分離液Cは、スリットHの領域以外において、対象物Aから隔離されて非接触状態になる。これにより、分離液Cは、第1空間T1に貯留されて徐々に増加する。
また、分離液隔壁部17よりも他方の端部22側の第1空間T1は、空間的に螺旋状に連続している。従って、第1空間T1内の分離液Cの水位がスクリュー軸12の鉛直方向Zよりも上側になると、分離液Cは、スクリュー軸12を乗り越えて、方向E1に向かって螺旋状に移動する。第1空間T1を方向E1に向かって順次移動した分離液Cは、最終的に分離液排出空間T3に進入し、分離液排出口26から排出される。さらに、ケージング10は、他方の端部22側が鉛直方向Zに沿った下方に傾斜している。従って、第1空間T1内の分離液Cは、水位がスクリュー軸12よりも高くなりやすく、方向E1に向かってより多くの量が移動する。そのため、スクリューコンベア型分離装置1は、分離液Cの排出量を多くすることができる。また、第1空間T1の分離液Cの水位が高くなっても、分離液隔壁部17により、分離液Cの投入空間T0への進入は、抑制される。従って、対象物Aの脱水効率(分離効率)の低下が抑制される。
このように、スクリューコンベア型分離装置1は、対象物Aを投入空間T0に投入し、分離液隔壁部17により、分離液隔壁部17よりも他方の端部22側の第1空間T1への、対象物Aの進入をせき止める。従って、このスクリューコンベア型分離装置1は、第1スクリュー羽根14と第2スクリュー羽根16との回転により対象物Aの脱水を適切に行いつつ、脱水により分離した分離液Cへの、対象物Aの混入を抑制することが可能となる。
なお、図2の例では、ケージング10の他方の端部22を、鉛直方向Zに沿った下方に傾斜した例で説明した。しかし、図3に示すように、ケージング10が水平方向Xに沿っていた場合でも、対象物Aの脱水を適切に行いつつ、分離液Cへの対象物Aの混入を抑制することができる。図3のステップS20に示すように、投入空間T0に投入された対象物Aは、スクリュー軸12よりも鉛直方向Zに沿った上側まで堆積すると、スクリュー軸12を乗り越えて、第1スクリュー羽根14に沿って方向E1及び方向E2の両方に移動する。方向E1に移動した対象物Aは、ダブルスクリュー区間K2内の第2空間T2に流入する。ただし、対象物Aは、分離液隔壁部17に阻まれて、分離液隔壁部17よりも他方の端部22側の第1空間T1へは進入しない。一方、分離液Cは、スリットHを介して第1空間T1内に進入する。
次に、図3のステップS22に示すように、スクリューコンベア型分離装置1は、対象物Aが投入され続けながら、スクリュー軸12を、方向Rに沿って回転させる。投入された対象物Aは、第2空間T2まで移動しつつ堆積され、スクリュー軸12を乗り越えて、方向E1に移動する。ただし、第2空間T2内の対象物Aは、対象物隔壁部18に阻まれて第2空間T2内に留まり、分離液排出空間T3に進入しない。一方、スクリュー軸12の回転により、対象物Aは、方向E2に向かって、圧搾されつつ螺旋状に移動する。これにより、圧搾された対象物Aは、投入空間T0内を方向E2に向かって螺旋状に移動して、対象物排出口24から外部に排出される。
また、対象物Aから分離された分離液Cは、第1空間T1内に貯留されて、水位が徐々に増加する。第1空間T1内の分離液Cの水位が、スクリュー軸12の鉛直方向Zよりも上側になると、分離液Cは、スクリュー軸12を乗り越えて、方向E1及びE2に向かって、螺旋状に移動する。しかし、第1空間T1には、分離液隔壁部17が設けられている。そのため、方向E2への移動、すなわち投入空間T0への移動は、分離液隔壁部17により阻まれる。また、分離液Cは、投入空間T0内に堆積した対象物Aにも阻まれて、投入空間T0への移動が制限される。従って、分離液Cは、分離液排出空間T3を介して分離液排出口26から排出される。
このように、スクリューコンベア型分離装置1は、ケージング10が水平方向Xに沿っていた場合でも、対象物Aの脱水を適切に行いつつ、分離液Cへの対象物Aの混入を抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態に係るスクリューコンベア型分離装置1は、ケージング10と、スクリュー軸12と、第1スクリュー羽根14と、第2スクリュー羽根16と、分離液隔壁部17とを有する。ケージング10は、一方の端部20に対象物排出口24が開口し、他方の端部22に分離液排出口26が開口し、中間部23に対象物投入口27が開口する筒状の部材である。スクリュー軸12は、ケージング10の内部に設けられ、延在方向Eに沿って延在する。第1スクリュー羽根14は、一方の端部20と中間部23との間の第1位置34から、中間部23と他方の端部22との間の第2位置36まで、スクリュー軸12の外周面に螺旋状に延在する。第2スクリュー羽根16は、中間部23よりも他方の端部22側の中間位置40から、他方の端部22側に向かって、第1スクリュー羽根14に対して延在方向Eに沿って所定間隔を隔てるように、スクリュー軸12の外周面に螺旋状に延在する。第2スクリュー羽根16は、第1スクリュー羽根14に対向する2面のうち一方の面16aと、一方の面16aに対向する第1スクリュー羽根14との間に、第1空間T1を形成する。また、第2スクリュー羽根16は、第1スクリュー羽根14に対向する2面のうち他方の面16bと、他方の面16bに対向する第1スクリュー羽根14との間に、第2空間T2を形成する。分離液隔壁部17は、第1空間T1に設けられ、設けられている位置よりも他方の端部22側の第1空間T1への、対象物Aの進入をせき止める。スクリューコンベア型分離装置1は、スクリュー軸12の回転によって、対象物投入口27から投入された対象物Aを圧搾して分離液Cを分離し、分離液Cを第1空間T1内で移動させて分離液排出口26から排出し、圧搾した対象物Aを第2空間T2内で移動させて対象物排出口24から排出する。
本実施形態に係るスクリューコンベア型分離装置1は、第1空間T1内で分離液Cを移動させて、分離液Cを排出する。そして、スクリューコンベア型分離装置1は、第2空間T2内で対象物Aを移動させて、分離液Cを分離した対象物Aを排出する。スクリューコンベア型分離装置1は、このように分離液Cを搬送する空間と圧搾した対象物Aを搬送する空間とを分けることにより、対象物Aと分離液Cとが混ざることを抑制することで、対象物Aの脱水効率を向上させている。
さらに、本実施形態においては、脱水前の対象物Aを投入する対象物投入口27の箇所には、第1スクリュー羽根14のみを設けており、第2スクリュー羽根16を、対象物投入口27よりも他方の端部22側に設けている。すなわち、本実施形態において、第1空間T1は、対象物投入口27よりも他方の端部22側に設けられている。そして、この第1空間T1には、対象物Aの進入をせき止める分離液隔壁部17が設けられている。スクリューコンベア型分離装置1は、分離液隔壁部17よりも他方の端部22側の第1空間T1で、分離液Cを搬送して排出する。そして、スクリューコンベア型分離装置1は、この分離液隔壁部17により、分離液隔壁部17よりも他方の端部22側の第1空間T1に、対象物Aが進入することを抑制している。従って、本実施形態に係るスクリューコンベア型分離装置1は、分離した分離液Cへの対象物Aの混入を抑制することができる。
また、分離液隔壁部17は、スクリュー軸12と第1スクリュー羽根14と第2スクリュー羽根16とに接し、設けられている位置で、一方の端部20側と他方の端部22側とを隔離する。この分離液隔壁部17は、第1空間T1において、一方の端部20側と他方の端部22側とを隔離する。従って、この分離液隔壁部17は、自身より他方の端部22側の第1空間T1への、対象物Aの進入をより好適に抑制することができる。
また、ケージング10は、中心軸が、他方の端部22に向かうに従って鉛直方向Zの下方に移動する向きで傾斜している。そのため、このスクリューコンベア型分離装置1は、対象物投入口27よりも他方の端部22側に設けられた第1空間T1において、スクリュー軸12に対する分離液Cの相対的な水位を高くすることができる。従って、このスクリューコンベア型分離装置1は、分離液Cを他方の端部22側に流れやすくし、他方の端部22に設けられた分離液排出口26からの分離液Cの排出を、好適に行うことが可能となる。また、第1空間T1の分離液Cの水位が高くなっても、分離液隔壁部17は、分離液Cが一方の端部20側に流れることをある程度抑制し、分離液Cが対象物Aに再混入する量を低減する。従って、スクリューコンベア型分離装置1は、対象物Aの脱水効率(分離効率)の低下を抑制することができる。
また、スクリューコンベア型分離装置1は、傾斜調整部19を更に有する。傾斜調整部19は、ケージング10の傾斜角度を調整する。スクリューコンベア型分離装置1は、ケージング10の傾斜角度を調整することにより、分離液Cの排出量を適切に制御することが可能となる。
また、スクリューコンベア型分離装置1は、対象物隔壁部18を更に有する。対象物隔壁部18は、分離液隔壁部17よりも他方の端部22側の第2空間T2内に設けられ、第2空間T2内の対象物Aの分離液排出口26への流出をせき止める。この対象物隔壁部18は、例えば第2空間T2内に対象物Aが多く堆積した場合においても、対象物Aが分離液排出口26に流出することを抑制する。従って、このスクリューコンベア型分離装置1は、対象物Aをより確実に対象物排出口24から排出することで、対象物Aの脱水効率(分離効率)の低下を抑制することができる。ただし、対象物隔壁部18は、必ずしも設けられていなくてもよい。対象物隔壁部18が設けられていない場合は、例えば、ケージング10の他方の端部22の、分離液排出口26よりも鉛直方向Zの下側の領域で、対象物Aの流出をせき止めることが可能である。
また、分離液排出口26は、スクリュー軸12よりも鉛直方向Zに沿った上側に設けられている。分離液排出口26は、スクリュー軸12よりも上側に設けられているため、もし他方の端部22まで対象物Aが流出してきた場合でも、この対象物Aがスクリュー軸12よりも上方まで堆積するまで、対象物Aの分離液排出口26からの流出を抑制することができる。分離液排出口26は、対象物隔壁部18が設けられていない際に、スクリュー軸12よりも鉛直方向Zに沿った上側に設けられていることが好ましい。ただし、分離液排出口26は、スクリュー軸12と鉛直方向Zに沿った同じ位置、又はスクリュー軸12よりも鉛直方向Zに沿った下側に設けられていてもよい。
(第1の実施例)
次に、上述したスクリューコンベア型分離装置1を備えた第1の実施例としての排水処理システムについて説明する。図4は、第1の実施例による排水処理システムの一部を示す構成図である。
図4に示すように、この第1の実施例による排水処理システム100は、沈殿池101、沈殿池101の前段に配設された前段設備102、沈殿池101の後段に配設された後段設備103、引き抜きポンプ104、およびスクリューコンベア型分離装置1を備える。沈殿池101は、前段設備102から供給された被処理水を、分離液と汚泥とに沈降分離する固液分離槽である。前段設備102は、例えば下水などの有機性排水を処理する、反応槽などの種々の処理槽を有して構成される設備である。後段設備103は、例えば焼却炉等を備え、スクリューコンベア型分離装置1から排出された汚泥(濃縮汚泥)に対して、焼却処理や廃棄処理を行う設備である。引き抜きポンプ104は、沈殿池101から汚泥を引き抜いてスクリューコンベア型分離装置1に供給するための汚泥引き抜き手段である。
この排水処理システム100においては、前段設備102から排出された被処理水の少なくとも一部は、沈殿池101に供給される。沈殿池101においては、供給された被処理水を分離液と汚泥とに沈降分離させる。そして、分離された汚泥は、引き抜きポンプ104によって沈殿池101の下部から引き抜かれて、スクリューコンベア型分離装置1に供給される。引き抜かれた汚泥は、対象物投入口27(図1参照)を通じて、対象物Aとしてスクリューコンベア型分離装置1の内部に搬入される。
スクリューコンベア型分離装置1においては、上述した実施形態と同様にして分離液Cを分離させる。分離された分離液Cは、沈殿池101に返送される。分離された後(圧搾脱水された後)の対象物Aは、濃縮汚泥として後段設備103に搬送され、焼却処理や廃棄処理が行われる。以上により、この第1の実施例による排水処理が実行される。
以上説明した第1の実施例によれば、上述した実施形態によるスクリューコンベア型分離装置1を用いて、沈殿池101から引き抜いた対象物Aを濃縮し、分離液Cを沈殿池101に返送している。これにより、対象物Aの濃縮濃度を改善できるとともに、沈殿池101の維持管理性を大幅に改善できる。すなわち、沈殿池101内において多くの場合、中間水が存在する。このような中間水が存在すると、汚泥(対象物A)の引き抜き時に汚泥(対象物A)よりも水分の方が優先的に引き抜かれてしまう。そのため、汚泥(対象物A)を圧縮しても濃縮濃度が増加しないという問題がある。この問題に対して上述した第1の実施例によれば、沈殿池101の後段にスクリューコンベア型分離装置1を配設していることにより、引き抜いた汚泥(対象物A)から中間水だけを分離して沈殿池101に返送できる。そのため、汚泥(対象物A)の濃縮濃度を向上させることができるので、従来のように沈殿池101内において中間水が含まれた状態であっても汚泥(対象物A)の濃縮濃度を向上できる。その上、上述したスクリューコンベア型分離装置1は低コストで製造できるので、排水処理システム100も低コストで実現できる。さらに、汚泥(対象物A)がケージング10内において目詰まりした場合であっても、スクリュー軸12を方向Rに対して逆回転させれば、目詰まりを容易に除去することができる。
(第1の実施例の第1変形例)
次に、上述した第1の実施例の変形例について説明する。図5は、第1の実施例の変形例を説明するための沈殿池を示す略線図である。図5に示すように第1変形例においては、沈殿池101の下部に一実施形態によるスクリューコンベア型分離装置1を設ける。そして、沈殿池101の下部に沈降した汚泥を、漏斗などの汚泥回収装置(図示せず)を用いて、対象物投入口27(図1参照)を通じてスクリューコンベア型分離装置1の内部に、対象物Aとして供給する。スクリューコンベア型分離装置1は、濃縮した汚泥(対象物A)を外部に排出し、分離した分離液Cを配管(図示せず)などによって内部または外部を通じて、沈殿池101内に返送する。なお、分離液Cを外部に排出することも可能である。その他の構成は、上述した第1の実施例と同様である。
(第1の実施例の第2変形例)
また、第2変形例として、スクリューコンベア型分離装置1の前段に沈殿池101などの重力沈降槽を設けた場合、沈殿池101内に、汚泥を掻き寄せるレーキの上辺に直立させた棒状部材からなる、ピケットフェンス(図示せず)を設けることも可能である。ピケットフェンスを設けることにより、沈殿池101内において汚泥の沈降を促進でき、いわゆる凝集が促進される。したがって、スクリューコンベア型分離装置1による対象物Aと分離液Cとの分離をより一層効率化でき、固液分離性を大きく改善できる。
(第2の実施例)
次に、上述した一実施形態によるスクリューコンベア型分離装置1を備えた第2の実施例としての排水処理システムについて説明する。図6は、第2の実施例による排水処理システムの一部を示す構成図である。
図6に示すように、この第2の実施例による排水処理システム200は、反応槽201、反応槽201の前段に配設された前段設備202、反応槽201の後段に配設された沈殿池204、引き抜きポンプ203a,203b、およびスクリューコンベア型分離装置1を備える。
反応槽201は、例えば複数の生物反応槽から構成される。反応槽201を構成する生物反応槽は、例えば嫌気槽、無酸素槽、および好気槽などの種々の生物反応槽である。前段設備202は、例えば下水などの有機性排水を処理する、沈砂池や傾斜板沈殿池などを有して構成される設備である。引き抜きポンプ203aは、反応槽201から活性汚泥などの汚泥を引き抜いて、対象物Aとしてスクリューコンベア型分離装置1に供給するための汚泥引き抜き手段である。同様に引き抜きポンプ203bは、反応槽201から汚泥を引き抜いて、後段の沈殿池204に供給するための汚泥引き抜き手段である。沈殿池204は、反応槽201やスクリューコンベア型分離装置1からそれぞれ供給される被処理水や分離液Cを、分離液Cと汚泥(対象物A)とに沈降分離する固液分離槽である。
この第2の実施例による排水処理システム200においては、前段設備202から排出された被処理水の少なくとも一部は、反応槽201に供給される。反応槽201においては、被処理水に対して硝化処理や脱窒処理などの生物処理を行う。反応槽201内の活性汚泥は、引き抜きポンプ203a,203bにより引き抜かれる。引き抜きポンプ203aにより引き抜かれた汚泥は、対象物Aとしてスクリューコンベア型分離装置1に供給され、対象物投入口27(図1参照)を通じて内部に搬入される。
スクリューコンベア型分離装置1においては、搬入された汚泥(対象物A)が濃縮されて分離液Cが分離される。分離された分離液Cは、後段の沈殿池204に供給される。一方、反応槽201から引き抜きポンプ203bにより引き抜かれた汚泥および被処理水は、沈殿池204に供給される。沈殿池204においては、第1の実施例と同様に重力沈降による固液分離処理が実行される。以上により、この第2の実施例による排水処理が実行される。
以上説明した第2の実施例によれば、スクリューコンベア型分離装置1を用いて、反応槽201から汚泥(対象物A)を引き抜いて圧縮濃縮し、圧縮濃縮した汚泥(対象物A)を反応槽201に返送するとともに、分離液Cを固液分離槽としての沈殿池204に供給している。これにより、次のような問題点を解決することができる。
すなわち、従来、沈殿池204から反応槽201に向けて汚泥(対象物A)を返送するための返送ポンプ(図示せず)の稼働に使用する電力は極めて大きかった。これに対し、この第2の実施例によれば、スクリューコンベア型分離装置1を用いて圧縮濃縮した汚泥(対象物A)を反応槽201に返送できるので、汚泥(対象物A)の返送に要する電力を大幅に低減できる。さらに、このスクリューコンベア型分離装置1を用いることによって、十分に固液分離を行うことができる。これにより、沈殿池204における汚泥の引き抜きの頻度を低減することができるので、排水処理システム200において電力を削減して省エネルギー化を図ることができる。
また、従来、反応槽201内に分離膜を設ける構成の場合、初期コストおよび設備のメンテナンスに要する負担が大きいという問題があった。これに対し、分離膜に代えて、低コストのスクリューコンベア型分離装置1を導入することができるので、初期のコストを低減できる。また、スクリューコンベア型分離装置1の維持管理が容易であることから、メンテナンスの負担を低減できるので、メンテナンスコストを低減できる。
さらに、この第2の実施例によれば、反応槽201を高MLSS化することができるので、沈殿池204における負荷を低減でき、反応槽201からの汚泥の引き抜きに使用する引き抜きポンプ203a,203bの消費電力を低減することができる。したがって、排水処理システム200において省エネルギー化を図ることができる。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。例えば、上述の実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
上述の実施形態においては、スクリュー軸12を円柱状の軸から構成しているが、必ずしもこの形状に限定されるものではない。例えば、スクリュー軸12を、ケージング10の他方の端部22から一方の端部20側に向けて径が徐々に大きくなる、いわゆる拡径形状にすることも可能である。
また、上述の実施形態においては、汚泥フロックを固形分と水分とに分離する固液分離装置を例にしているが、必ずしも汚泥フロックの固液分離に限定されるものではなく、固体と液体とを分離する種々の方法に適用することも可能である。
また、上述の実施形態において、分離液排出口26の位置は種々変更可能な構成にすることも可能である。
また、上述の実施形態においては、分離液Cの第2空間T2から第1空間T1への移動はスリットHを通じて行われているが、必ずしもスリットHの構成に限定されるものではない。例えば、第1スクリュー羽根14や第2スクリュー羽根16の少なくとも一部に、メッシュ状や多数の微小孔を有するろ過手段を併せて設け、分離液Cを第2空間T2から第1空間T1に移動可能に構成してもよい。
また、上述した実施形態によるスクリューコンベア型分離装置1を、脱水機の前濃縮機、民需用簡易濃縮機、および合流改善スクリーンなどとして利用することも可能である。
上述の一実施形態における第1の実施例においては、引き抜きポンプ104により引き抜かれる汚泥を、沈殿池101内に沈降した汚泥としているが、必ずしも沈降した汚泥に限定されない。例えば、夏季などに沈殿池101内では浮上汚泥が発生しやすくなるが、この浮上汚泥を引き抜きポンプ104によって引き抜いて、スクリューコンベア型分離装置1に供給することも可能である。
また、上述の第1の実施例においては、一実施形態によるスクリューコンベア型分離装置1を沈殿池101と組み合わせた例について説明したが、必ずしもこの形態に限定されない。具体的に例えば、ろ過濃縮装置とスクリューコンベア型分離装置1とを組み合わせることも可能である。この場合、ろ過濃縮装置における汚泥を引き抜くラインやろ過濃縮装置の底部に、上述したスクリューコンベア型分離装置1を設置することが可能である。ここで、ろ過濃縮装置においては、運転が間欠運転であるため、濃縮された汚泥はろ過濃縮装置内に一時的に貯留され、汚泥の引き抜きは下部から行われる。そのため、この一時的に貯留された時に汚泥の上部に貯留される上澄み液が濃縮された汚泥とともに引き抜かれる。これにより、上述した第1の実施例における問題と同様の問題が存在するが、この一実施形態によるスクリューコンベア型分離装置1を用いることにより、汚泥を引き抜く際に、上澄み液(上澄み水)を分離することができるので、濃縮された汚泥の濃縮濃度を安定的に高濃度化することが可能になる。
1 スクリューコンベア型分離装置
10 ケージング
12 スクリュー軸
14 第1スクリュー羽根
16 第2スクリュー羽根
16a 一方の面
16b 他方の面
17 分離液隔壁部
18 対象物隔壁部
19 傾斜調整部
20 一方の端部
22 他方の端部
23 中間部
24 対象物排出口
26 分離液排出口
27 対象物投入口
34 第1位置
36 第2位置
40 中間位置
E 延在方向
T0 投入空間
T1 第1空間
T2 第2空間
T3 分離液排出空間

Claims (9)

  1. 対象物投入口から投入された対象物を圧搾して、圧搾した前記対象物を対象物排出口から排出し、圧搾により前記対象物から分離された分離液を分離液排出口から排出するスクリューコンベア型分離装置であって、
    一方の端部に前記対象物排出口が開口し、他方の端部に前記分離液排出口が開口し、前記一方の端部と前記他方の端部との間の中間部に、前記対象物投入口が開口する筒状のケージングと、
    前記ケージングの内部に設けられ、前記一方の端部から前記他方の端部への方向である延在方向に沿って延在するスクリュー軸と、
    前記一方の端部と前記中間部との間の第1位置から、前記中間部と前記他方の端部との間の第2位置まで、前記スクリュー軸の外周面に螺旋状に延在する第1スクリュー羽根と、
    前記中間部よりも前記他方の端部側の中間位置から前記他方の端部側に向かって、前記第1スクリュー羽根に対して前記延在方向に沿って所定間隔を隔てるように、前記スクリュー軸の外周面に螺旋状に延在し、前記第1スクリュー羽根に対向する2面のうち一方の面と前記一方の面に対向する前記第1スクリュー羽根との間に第1空間を形成し、前記2面のうち他方の面と前記他方の面に対向する前記第1スクリュー羽根との間に第2空間を形成する第2スクリュー羽根と、
    前記第1空間に設けられ、設けられている位置よりも前記他方の端部側の前記第1空間への、前記対象物の進入をせき止める分離液隔壁部と、
    を有し、
    前記スクリュー軸の回転によって、前記対象物投入口から投入された前記対象物を圧搾して前記分離液を分離し、前記分離液を前記第1空間内で移動させて分離液排出口から排出し、圧搾した前記対象物を前記第2空間内で移動させて前記対象物排出口から排出する、
    スクリューコンベア型分離装置。
  2. 前記分離液隔壁部は、前記スクリュー軸と前記第1スクリュー羽根と前記第2スクリュー羽根とに接し、設けられている位置で、前記一方の端部側と前記他方の端部側とを隔離する、請求項1に記載のスクリューコンベア型分離装置。
  3. 前記ケージングは、中心軸が、前記他方の端部に向かうに従って鉛直方向下方に移動する向きで傾斜している、請求項1又は請求項2に記載のスクリューコンベア型分離装置。
  4. 前記ケージングの傾斜角度を調整する傾斜調整部を更に有する、請求項3に記載のスクリューコンベア型分離装置。
  5. 前記分離液隔壁部よりも前記他方の端部側の前記第2空間内に設けられ、前記第2空間内の前記対象物の前記分離液排出口への流出をせき止める対象物隔壁部を更に有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のスクリューコンベア装置。
  6. 前記分離液排出口は、前記スクリュー軸よりも、鉛直方向上側に設けられている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のスクリューコンベア型分離装置。
  7. 有機性排水から汚泥を分離させる固液分離槽と、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のスクリューコンベア型分離装置と、を備えた排水処理システムであって、
    前記スクリューコンベア型分離装置が、前記固液分離槽から排出された汚泥を濃縮し、前記汚泥の濃縮時において生じる前記分離液を前記固液分離槽に返送可能に構成されている、排水処理システム。
  8. 前記スクリューコンベア型分離装置が前記固液分離槽内に設けられている、請求項7に記載の排水処理システム。
  9. 有機性排水に対して生物処理を行う反応槽と、前記有機性排水から汚泥を分離させる固液分離槽と、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のスクリューコンベア型分離装置と、を備えた排水処理システムであって、
    前記スクリューコンベア型分離装置が、前記反応槽から汚泥を引き抜いて濃縮し、前記濃縮された汚泥を前記反応槽に返送するとともに、前記汚泥の濃縮時において生じる前記分離液を前記固液分離槽に供給可能に構成されている、排水処理システム。
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