JP2018082074A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】絶縁膜、コイル、磁性体膜を備えた半導体装置であって、磁性体膜を備えない半導体装置の製造ラインを一部利用して製造でき、磁気特性の低下を抑えた安価な半導体装置およびその製造方法を実現する。
【解決手段】表裏の関係にある表面10aと裏面10bとを有する基板10の該表面上に絶縁膜20および該絶縁膜内に設けられ、該表面に対する法線方向を軸として巻回されると共に、該基板と電気的に絶縁されているコイル30が形成されると共に、該裏面上磁性体膜40とが形成された半導体装置とする。当該半導体装置の製造方法は、絶縁膜20およびコイル30を形成した基板10を表面10aの反対側から薄肉化して該基板の該表面の反対側に裏面10bを形成することと、該裏面上に磁性体膜40を形成することと、を含む。これにより、既存の半導体装置の製造ラインを一部利用して製造でき、磁気特性の低下を抑え、集積化にも適する半導体装置となる。
【選択図】図2
【解決手段】表裏の関係にある表面10aと裏面10bとを有する基板10の該表面上に絶縁膜20および該絶縁膜内に設けられ、該表面に対する法線方向を軸として巻回されると共に、該基板と電気的に絶縁されているコイル30が形成されると共に、該裏面上磁性体膜40とが形成された半導体装置とする。当該半導体装置の製造方法は、絶縁膜20およびコイル30を形成した基板10を表面10aの反対側から薄肉化して該基板の該表面の反対側に裏面10bを形成することと、該裏面上に磁性体膜40を形成することと、を含む。これにより、既存の半導体装置の製造ラインを一部利用して製造でき、磁気特性の低下を抑え、集積化にも適する半導体装置となる。
【選択図】図2
Description
本発明は、コイル構造を有するコイル形成領域を備えた半導体装置およびその製造方法に関する。
従来より、電磁誘導作用を利用したコイル形成領域、例えばコイルに通電した際の磁束を発生させるインダクタや空隙を介して対向させたコイル間で非接触に電力を伝送するトランスとして機能する領域を備えた半導体装置などが知られている。コイルと磁性体膜とを有してなるコイル形成領域を備えた半導体装置は、携帯機器などに実装され、実装される機器の小型化や薄型化に伴って、薄型化された構成とされている。このような半導体装置としては、例えば特許文献1に記載のものが挙げられる。
特許文献1に記載の半導体装置は、半導体基板上に交互に積層された絶縁膜および磁性体膜と、この絶縁膜を介して2つの磁性体膜に挟まれるように形成された渦巻き状の平面コイルとを備えた構造とされている。また、特許文献1に記載の半導体装置は、半導体基板の法線方向における平面コイルの厚みを半導体基板の平面方向における当該平面コイルのコイル間の溝の幅で割った値が1を超える構造とされている。これにより、特許文献1に記載の半導体装置は、薄型化しつつも、コイルの抵抗増加を抑制し、磁気特性の低下を抑えた半導体装置となる。
ここで、半導体装置のうちコイル形成領域を構成する磁性体膜は、例えば磁性体膜を備えない半導体装置、例えばトランジスタなどの回路領域を備えた半導体装置などには使用されない物質を含んでいる。また、このような磁性体膜として用いられるフェライトなどの材料は、硬くてもろいため、半導体基板を薄型化するための研磨工程などにおいて破損しやすい。結果として、半導体装置を製造する際に磁性体膜にクラックや欠けが発生することにより、クラックや欠けにより生じる磁性体材料の破片が、当該半導体装置の他の製造工程にて混入するコンタミや製造装置の汚染などを引き起し得る。
そのため、一般的に、コイル形成領域を備える半導体装置は、コンタミや製造装置の汚染の懸念があるため、磁性体膜を備えない半導体装置を製造するために作られた流れ作業による組み立て工程(以下「製造ライン」という)により製造されない。これに対して、磁性体膜を備えない半導体装置は、その種類が異なっていても、特有の物質を含んでいない限り、共通の製造ラインを利用して製造できることが多い。
言い換えると、コイル形成領域を備える半導体装置は、磁性体膜を備えない半導体装置の製造ラインとは別の専用の製造ラインにより製造する必要があることを意味する。これにより、磁性体膜を備える半導体装置においては、磁性体膜を備えない半導体装置の製造ラインを利用して製造することができず、製造コストが高くなってしまう。
よって、フェライトなどの磁性体材料を基板として用い、当該基板上にコイル形成領域を設けた従来公知の半導体装置や特許文献1に記載の半導体装置は、上記の事情から磁性体膜を備えない半導体装置の製造ラインを利用できず、その製造コストが高くなる。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、磁性体膜を備えない半導体装置の製造ラインを利用して製造することができる構成にされると共に、磁気特性の低下を抑えた安価な半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の半導体装置は、表裏の関係にある表面(10a)と裏面(10b)とを有する基板(10)と、表面上に設けられた絶縁膜(20)と、絶縁膜内に設けられ、表面に対する法線方向を軸として巻回されると共に、基板と電気的に絶縁されているコイル(30)と、裏面上に設けられた磁性体膜(40)と、を備える。
これにより、磁性体膜を備えない半導体装置の製造ラインを利用して製造できる構成とされると共に、磁気特性の低下を抑えた安価な半導体装置となる。
請求項5に記載の半導体装置の製造方法は、表面(10a)を有する基板(10)を用意することと、表面上に絶縁膜(20)の一部を形成した後、絶縁膜の一部上に、表面に対する法線方向を軸として巻回されるようにコイル(30)を形成することと、コイルを覆うように絶縁膜の残りを形成することにより、コイルを膜内に有する絶縁膜を形成することと、絶縁膜を形成した後に、表面の反対側から基板を薄肉化することにより基板の表面の反対側に裏面(10b)を形成することと、裏面上に磁性体膜(40)を形成することと、を含む。
これにより、磁性体膜の配置を変更し、磁性体膜を備えない半導体装置の製造ラインを利用して製造できる構成にすると共に、磁気特性の低下を抑えた半導体装置を安価に製造することができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
第1実施形態について、図1〜図3を参照して述べる。図1では、図2に示す半導体装置S1のコイル30の配置を分かり易くするため、後述するコイル30および第2磁性体膜42以外の構成要素を省略している。また、図1では、第2磁性体膜42により覆われ、目視確認できないコイル30については破線で示している。図2では、図1に示した一点鎖線II−II間の断面構成を示している。図3では、後述する絶縁膜20の形成工程の説明のため、便宜的に絶縁膜20を2層に分けつつ、その境界を破線で示している。
第1実施形態について、図1〜図3を参照して述べる。図1では、図2に示す半導体装置S1のコイル30の配置を分かり易くするため、後述するコイル30および第2磁性体膜42以外の構成要素を省略している。また、図1では、第2磁性体膜42により覆われ、目視確認できないコイル30については破線で示している。図2では、図1に示した一点鎖線II−II間の断面構成を示している。図3では、後述する絶縁膜20の形成工程の説明のため、便宜的に絶縁膜20を2層に分けつつ、その境界を破線で示している。
本実施形態の半導体装置S1は、図2に示すように、表裏の関係にある表面10aおよび裏面10bを有する基板10と、表面10a上に形成された絶縁膜20と、絶縁膜20内に形成されたコイル30と、磁性体膜40とを有してなる。このような構成において、磁性体膜40は、基板10の裏面10b上と絶縁膜20上に形成されている。
なお、半導体装置S1には、図1もしくは図2で示されていない領域やコイル30の下の領域に例えばトランジスタなどを備えた回路領域やその回路配線などが形成されていてもよい。
基板10は、例えば表裏の関係にある表面10aおよび裏面10bを有する矩形板状とされ、例えばシリコン、ガラスや樹脂材料などにより構成されている。基板10は、磁性体膜40を備えない半導体装置において通常使用される材料であって、コイル30から生じる磁束を通し、後述する研削を行うことができるものであればよく、上記の材料以外の他の公知の材料が用いられてもよい。なお、基板10は、板状であれば、円状、楕円状などであってもよく、他の形状とすることもできる。
なお、基板10は、後述する製造工程の当初においては表面10aを有する板状の基板であるが、後述する半導体装置S1の製造工程のうち薄肉化工程にて、表面10aの反対側から研削等によって薄肉化されることにより裏面10bを備えた構成とされる。
絶縁膜20は、図2に示すように、基板10の表面10a上に設けられ、例えばポリイミドやフェノール樹脂等の樹脂材料やSiO2、Si3N4などの無機絶縁材料、もしくは樹脂材料と無機絶縁材料の積層体により構成されている。絶縁膜20は、次に説明するコイル30を覆うように形成されている。絶縁膜20は、例えば絶縁性材料を含む溶液をスピンコートなどの成膜法により塗布して乾燥することにより形成されるが、テープ状の絶縁性材料を貼り付けて形成されてもよい。
コイル30は、本実施形態では、基板10の表面10aに対する法線方向(以下「表面法線方向」という)から見て、四角形を描くように旋回するにつれて一辺の長さが短くなる渦巻き状の平面コイルとされる。コイル30は、例えばCu、Au、Alなどの導電性材料により構成されている。コイル30は、本実施形態では、渦巻き状の1層の平面コイルとされているが、渦を巻くような形状であればよく、四角形状に限らず、円形状、楕円形状、多角形状や螺旋形状などにしてもよく、他の形状としてもよい。
コイル30は、本実施形態では、図1に示すように、絶縁膜20内に設けられている。なお、ここでいう「絶縁膜20内に設けられている」とは、基板10上に形成された絶縁膜20内にコイル30が形成されている構造だけでなく、基板10の表面10a上に形成されたコイル30が絶縁膜20に覆われた構造も含む。例えば、シリコンによりなる基板10の表面10a上にコイル30を形成する場合には、基板10の表面10a上に熱酸化等により絶縁性材料による層を形成した後に、蒸着などによりコイル30を形成することで、基板10と電気的に絶縁されたコイル30となる。そして、このコイル30を覆う絶縁膜20を形成することで、絶縁膜20内に設けられたコイル30となる。
また、表面法線方向から見て、コイル30の最も内周側の端部と最外周側の端部には、図1には示していない回路配線等、例えばコイル30への通電用のパッド部やトランジスタなどを備えた回路領域へ接続された回路配線などが接続されていてもよい。
なお、この場合、回路領域や回路配線等については蒸着やスパッタなどにより、これらを覆う絶縁層等については化学気相成長法(CVD)や熱酸化などの公知の半導体装置の製造工程により形成される。
磁性体膜40は、本実施形態では、図2に示すように、基板10の裏面10b上に形成された第1磁性体膜41と絶縁膜20上に形成された第2磁性体膜42とにより構成され、例えば矩形板状とされている。磁性体膜40は、板状であれば、円形板状、楕円形板状などであってもよく、他の板形状とすることもできる。
磁性体膜40を構成する磁性体材料としては、例えばニッケル、マンガン亜鉛などを有するフェライト粉末等などが用いられるが、半導体装置S1のコイル形成領域の設計に応じて、他の公知材料や市販材料が用いられてもよい。また、磁性体膜40は、上記磁性体材料の他に樹脂バインダーなどを含む構成とされていてもよい。樹脂バインダーとしては、例えばエポキシ樹脂などが用いられるが、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)やポリビニルピロリドン(PVP)などが用いられてもよく、他の公知材料や市販材料が用いられてもよい。
磁性体膜40は、次に説明する製造工程により形成されるが、貼り合わせによって形成される場合には、図示しない粘着層を介して基板10の裏面10b上もしくは絶縁膜20上に形成される。磁性体膜40は、貼り合わせ以外の製造工程、例えば後述する塗布やスパッタリングなどにより形成される場合には、粘着層を介さずに基板10の裏面10b上もしくは絶縁膜20上に形成される。
次に、本実施形態の半導体装置S1の製造方法について、図3を参照して説明する。
まず、図3(a)に示すように、表面10aを有する基板10を用意する。次に、図3(b)に示すように、基板10の表面10a上に、例えばスピンコートなどの成膜法にて絶縁膜材料を含む溶液を塗布し、その後乾燥することにより、絶縁膜20の一部領域である第1絶縁膜21を形成する。
続けて、図3(c)に示すように、例えばセミアディティブ法などの電解メッキにより第1絶縁膜21上にコイル30を形成する。コイル30の形成後、例えばスピンコートなどの成膜法にて絶縁膜材料を含む溶液を塗布し、その後乾燥し、第1絶縁膜21およびコイル30を覆う絶縁膜20の残り領域である第2絶縁膜22を形成する。このようにして、図3(d)に示すように絶縁膜20を形成する。
次に、絶縁膜20およびコイル30が表面10a上に形成された基板10(以下「コイル形成基板」という)を、図示しない支持基板および研削装置を用いて表面10aの反対側の面から研削する。具体的には、コイル形成基板の表面10a側に研削の間コイル形成基板を固定するためのサポート基板を貼り付ける。そして、サポート基板に固定したコイル形成基板を、図示しない研削装置により表面10aの反対側の面から研削することにより、図3(e)に示す裏面10bが形成され、薄肉化された基板10を形成する。
なお、基板10の薄肉化工程については、基板10を薄肉化できればよく、研削以外に切削、ラッピングや砥石による研磨、エッチングなどにより行ってもよい。また、基板10の薄肉化工程については、これらの組み合わせであってもよく、他の公知手段により行ってもよい。
ここまでの半導体装置S1の製造工程については、磁性体膜を備えない半導体装置に使用されない材料を用いていないため、磁性体膜を備えない半導体装置の製造ラインを利用して行うことができる。
次に、例えばフェライトなどの磁性体材料を用いて焼結体を形成し、他の基材、例えばポリイミドフィルムなどに粘着層を介して焼結体を固定し、この焼結体上に図示しない粘着層を形成したものを貼り合わせる。具体的には、サポート基板に固定された薄肉化済みのコイル形成基板の裏面10bに粘着層を介して焼結体を貼り合わせることで第1磁性体膜41を形成する。続けて、第1磁性体膜41が形成されたコイル形成基板をサポート基板から取り外し、第1磁性体膜41の形成と同様の操作により、コイル形成基板の絶縁膜20上に第2磁性体膜42を形成する。これにより、図3(f)に示す半導体装置S1を製造することができる。粘着層を用いる場合、粘着層は、基板10もしくは絶縁膜20と磁性体膜40となる焼結体とを密着させて接合できるものであればよい。そのため、例えばフェノール系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂などの有機系の公知の粘着性材料や市販の粘着性材料などを粘着層として用いることができる。
なお、磁性体膜40の形成については、ペースト状の磁性体材料を印刷して焼成したり、磁性体材料としてのNi、Zn、Feなどの金属の硝酸塩を含むゾルゲル溶液をディップコートなどにより塗布して焼成したりすることにより行ってもよい。また、磁性体膜40の形成については、Fe、Ni、Znによる合金をターゲットとして用いてスパッタリングをすることにより行うこともできる。
また、第1磁性体膜41が形成されたコイル形成基板が薄く、そのハンドリングが難しい場合には、次のような工程により第2磁性体膜42を形成することができる。まず、第1磁性体膜41が形成されたコイル形成基板をサポート基板から取り外す前に、第1磁性体膜41側に別のサポート基板を貼り付ける。そして、コイル形成基板の表面10a側に貼り付けたサポート基板を取り外して、上記と同様に磁性体材料によりなる焼結体をコイル形成基板の絶縁膜20上に貼り付けて第2磁性体膜42を形成する。その後、コイル形成基板に形成された第1磁性体膜側に取り付けたサポート基板を取り外す。
なお、コイル形成基板の表面法線方向における厚み(以下単に「厚み」という)が厚く、薄肉化前後において十分ハンドリングできる場合には、サポート基板を用いなくてもよい。このような場合には、薄肉化前のコイル形成基板の絶縁膜20上に保護テープなどの公知の保護部材を貼って保護し、薄肉化工程および磁性体膜40の形成工程を行えばよい。また、サポート基板は、一時的にコイル形成基板を貼り付けて固定できるものであればよく、公知の固定用基板などを用いることができる。
このような製造方法により、本実施形態の半導体装置S1を製造することができる。
よってはサポート基板なしで保護テープ等でもよく、その他の一般的な方法でもよい。
よってはサポート基板なしで保護テープ等でもよく、その他の一般的な方法でもよい。
従来の磁性体膜を備える半導体装置(以下単に「従来の半導体装置」という)は、半導体基板の一面と絶縁膜もしくはコイルとの間に磁性体膜を有するかまたは半導体基板の代わりに磁性体材料により構成された基板を用いた構造とされていた。また、磁性体膜もしくは基板を構成する磁性体材料は、磁性体膜を備えない半導体装置には使用されない物質を含んでいる。そして、硬く脆い性質である磁性体材料により構成された磁性体膜を形成した基板は、基板の薄肉化工程にてクラックや欠けが生じ得るため、コンタミや製造設備の汚染の原因となり得る。そのため、従来の半導体装置は、磁性体膜を備えない半導体装置の製造ラインを利用して製造することができず、専用の製造ラインを設ける必要があったため、その製造コストが高くなってしまう。
これに対して、本実施形態の半導体装置S1は、基板10の表面10aと絶縁膜20およびコイル30との間に磁性体膜40を形成せず、磁性体膜40の配置を基板10の裏面10b上および絶縁膜20上に変更した構成とされている。そのため、本実施形態の半導体装置S1は、基板10の薄肉化工程においては、まだ硬くて脆い磁性体膜40を有しない基板となっている。すなわち、本実施形態の半導体装置S1は、基板10の薄肉化工程にて磁性体膜40のクラック等に起因するコンタミや製造設備の汚染を生じるおそれがなく、磁性体膜を備えない半導体装置の製造ラインをその製造工程の一部に利用して製造できる構造とされている。
したがって、本実施形態の半導体装置S1は、既存の磁性体膜を備えない半導体装置の製造ラインを利用することができる構造であることから、その製造コストが従来の半導体装置に比べて低い。
また、本実施形態の半導体装置S1は、基板10の厚みを薄くした構成とされることで、コイル30と基板10の裏面10b上に設けた第1磁性体膜41との表面法線方向における距離が短くなる。これにより、本実施形態の半導体装置S1は、コイル30から生じる磁束の基板10による減衰を抑え、磁気特性の低下を抑えた半導体装置となる。
さらに、本実施形態の半導体装置S1を集積化する場合、例えばコイル30やコイル30に接続された配線を用いてインダクタを形成する場合、基板10の表面10a側および裏面10b側の両面に磁性体膜40が形成されることでインダクタンスが向上する。
加えて、本実施形態の半導体装置S1を備えた半導体チップを製造したり、プリント基板上に搭載したりする場合、半導体装置S1の第1磁性体膜41側にはリードフレームやプリント基板の配線等の金属が存在することとなる。このような場合であっても、これらの金属に近接する第1磁性体膜41により、これらの金属からインダクタンスの低下を招く渦電流が生じることを抑制できるため、磁気特性の低下を抑えた半導体装置S1となる。
また、半導体装置に回路領域を形成する場合、従来の半導体装置では、磁性体膜の上にコイルが形成された構造とする必要があるため、回路領域と同じ膜平面内にコイルを形成し、これらが接続された構造とすることができなかった。そのため、回路領域が形成された従来の半導体装置は、回路領域とコイルとが磁性体膜を介して接続された構造としなければならない。その結果、この回路領域とコイルとを接続する配線が長くなり、この寄生成分によりインダクタンスの効果低減や損失が発生してしまう。
これに対して、本実施形態の半導体装置は、磁性体膜40が基板10の裏面10b側に形成された構造とされている。そのため、回路領域を形成する場合には、回路領域と同じ膜平面内にコイル30を形成し、これらが接続された構造としつつも、コイル30と回路領域とを接続する接続配線が短い構造とすることも可能である。このように、回路領域と同じ膜平面内でコイルを形成してこれらを接続したり、磁性体膜を介さずに回路領域とコイル30とを接続したりすることが可能なため、回路領域とコイルを接続する配線が短くできる。したがって、本実施形態の半導体装置S1は、従来の半導体装置に比べて寄生成分が減少するため、インダクタンスの効果低減や損失が抑制された半導体装置となる。
これに対して、本実施形態の半導体装置は、磁性体膜40が基板10の裏面10b側に形成された構造とされている。そのため、回路領域を形成する場合には、回路領域と同じ膜平面内にコイル30を形成し、これらが接続された構造としつつも、コイル30と回路領域とを接続する接続配線が短い構造とすることも可能である。このように、回路領域と同じ膜平面内でコイルを形成してこれらを接続したり、磁性体膜を介さずに回路領域とコイル30とを接続したりすることが可能なため、回路領域とコイルを接続する配線が短くできる。したがって、本実施形態の半導体装置S1は、従来の半導体装置に比べて寄生成分が減少するため、インダクタンスの効果低減や損失が抑制された半導体装置となる。
なお、本実施形態の半導体装置S1は、基板10が薄肉化されることから、半導体装置全体の厚みが薄くなり、低背化された半導体装置となる。このため、半導体装置S1は、半導体装置S1を搭載したモールドパッケージを製造する場合に、モールド樹脂による封止の際に半導体装置の厚みに起因して生じるボイド、すなわちモールドボイドを抑制するのに適した厚みの半導体装置となる。
また、上記のように基板10の薄肉化工程まで既存の磁性体膜を備えない半導体装置の製造ラインを利用できる製造工程とすることにより、従来の半導体装置に比べて低い製造コストで本実施形態の半導体装置S1を製造することができる。つまり、磁性体膜を備えない半導体装置の既存の製造ライン、すなわち既存技術を適宜利用して製造できることから、製造ラインの選択肢が増えると共に、信頼性の高い半導体装置S1を製造できる。
(第2実施形態)
第2実施形態について、図4〜図7を参照して述べる。図4では、図5に示す半導体装置S2の後述する第2層平面コイル32の配置を分かり易くするため、図1と同様に第2層平面コイル32および第2磁性体膜42以外の構成要素を省略している。また、図4では、第2磁性体膜42により覆われ、目視確認できない第2層平面コイル32については破線で示している。図5では、図1に示した一点鎖線V−V間の断面構成を示している。図6では、後述する絶縁膜20の形成工程の説明のため、便宜的に絶縁膜20を3層に分けつつ、その境界を破線で示している。
第2実施形態について、図4〜図7を参照して述べる。図4では、図5に示す半導体装置S2の後述する第2層平面コイル32の配置を分かり易くするため、図1と同様に第2層平面コイル32および第2磁性体膜42以外の構成要素を省略している。また、図4では、第2磁性体膜42により覆われ、目視確認できない第2層平面コイル32については破線で示している。図5では、図1に示した一点鎖線V−V間の断面構成を示している。図6では、後述する絶縁膜20の形成工程の説明のため、便宜的に絶縁膜20を3層に分けつつ、その境界を破線で示している。
本実施形態の半導体装置S2は、互いに電気的に絶縁され、基板10の表面10a側に形成された第1層平面コイル31と第2磁性体膜42側に形成された第2層平面コイル32とによりコイル30が構成され、トランスとして機能する領域を備えた構造とされる。半導体装置S2は、この点が上記第1実施形態と異なる。本実施形態では、この相違点を主に説明する。
絶縁膜20は、図5に示すように、次に説明する第1層平面コイル31および第2層平面コイル32により構成されるコイル30を覆うように形成されている。
コイル30は、本実施形態では、上記のように第1層平面コイル31と第2層平面コイル32とにより構成されている。
第1層平面コイル31および第2層平面コイル32は、本実施形態では、上記第1実施形態で説明したのと同様に渦巻き状の平面コイルとされており、表面法線方向から見て、重なるように形成されている。すなわち、第1層平面コイル31は、表面法線方向から見て、第2層平面コイル32に隠れて見えない状態となっている。
なお、第1層平面コイル31と第2層平面コイル32は、同一形状でなくてもよく、例えば、配線幅が異なっていたり、外径が異なっていたりしてもよい。また、表面法線方向から見て、第1層平面コイル31および第2層平面コイル32の最も内周側の端部と最外周側の端部には、上記第1実施形態で説明したのと同様に、図示していない回路配線等が接続されていてもよい。
次に、第2実施形態の半導体装置S2の製造方法について、図6、図7を参照して説明する。
まず、上記第1実施形態の半導体装置S1の製造工程で説明したのと同様に、図6(a)、図6(b)で示しように、表面10aを有する基板10を用意し、表面10a上に絶縁膜20の一部領域である第1絶縁膜21をスピンコート等により形成する。
続けて、上記第1実施形態で説明したのと同様に、第1絶縁膜21上に電解メッキ等により図6(c)に示す第1層平面コイル31を形成し、その後、第1層平面コイル31を覆う図6(d)に示す第2絶縁膜22をスピンコート等により形成する。
次に、図7(a)、図7(b)に示すように、第2絶縁膜22上に電解メッキ等により第2層平面コイル32を形成し、その後、第2層平面コイル32を覆う第3絶縁膜23をスピンコート等により形成する。このようにして、コイル30を膜内に有する絶縁膜20を形成する。
次に、図7(c)に示すように、基板10を表面10aの反対側から研削して薄肉化し、裏面10bを備える基板10とする。続けて、上記第1実施形態と同様に、例えばフェライトなどの磁性体材料により別の基板に形成された焼結体上に粘着層を形成したものを貼り付ける。具体的には、図7(b)に示すように、基板10の裏面10b上に第1磁性体膜41を形成し、絶縁膜20上に第2磁性体膜42を形成して、磁性体膜40を形成する。このようにして、本実施形態の半導体装置S2を製造することができる。
本実施形態の半導体装置S2は、上記第1実施形態と同様に、磁性体膜40を形成するまでは従来の磁性体膜を備えない半導体装置の製造ラインを利用して製造できる構成とされている。また、本実施形態の半導体装置S2は、基板10を薄くした構成とされることで、上記第1実施形態と同様の理由により、磁気特性の低下を抑えた半導体装置となる。
また、上記のように基板10の薄肉化工程まで既存の磁性体膜を備えない半導体装置の製造ラインを利用できる製造工程とすることにより、従来の半導体装置に比べて低い製造コストで本実施形態の半導体装置S2を製造することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態について、図8を参照して述べる。図8では、図9に示す半導体装置S3のうち後述する第1層平面コイル31および第2層平面コイル32の配置を分かり易くするため、図1と同様に第2層平面コイル31、第2層平面コイル32および第2磁性体膜42以外の構成要素を省略している。また、図8では、第2磁性体膜42により覆われ、目視確認できない第1層平面コイル31および第2層平面コイル32については破線で示している。図9では、図8に示した一点鎖線IX−IX間の断面構成を示している。
第3実施形態について、図8を参照して述べる。図8では、図9に示す半導体装置S3のうち後述する第1層平面コイル31および第2層平面コイル32の配置を分かり易くするため、図1と同様に第2層平面コイル31、第2層平面コイル32および第2磁性体膜42以外の構成要素を省略している。また、図8では、第2磁性体膜42により覆われ、目視確認できない第1層平面コイル31および第2層平面コイル32については破線で示している。図9では、図8に示した一点鎖線IX−IX間の断面構成を示している。
図8に示す本実施形態の半導体装置S3は、コイル30が第1層平面コイル31と第2層平面コイル32とを接続部33により接続された構成とされ、インダクタとして機能する領域を有する構成とされている点で上記第2実施形態と異なる。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
コイル30は、基板10の表面10a側に設けられた第1層平面コイル31と第2磁性体膜42側に設けられた第2層平面コイル32とが接続部33により接続された構成とされている。第1平面コイル31は、本実施形態では、表面法線方向から見て、例えば反時計回りに旋回するにつれて一辺の長さが短くなる渦巻き状とされている。第2層平面コイル32は、本実施形態では、図8に示すように、表面法線方向から見て、例えば時計回りに旋回するにつれて一辺の長さが短くなる渦巻き状とされている。第1平面コイル31と第2層平面コイル32は、表面法線方向から見て、それぞれの最内周側の端部において接続部33を介して電気的に接続され、全体としてコイル30を構成している。
なお、接続部33は、第1層平面コイル31および第2層平面コイル32と同様の導電性材料により構成されるが、樹脂材料を含んだ導電性材料などが用いられてもよいし、他の公知の導電性材料が用いられてもよい。接続部33は、第1層平面コイル31および第2層平面コイル32と同様に電解メッキなどにより形成されてもよく、スパッタや蒸着により形成されてもよく、ペースト状の導電性材料を塗布して乾燥することにより形成されてもよく、他の方法で形成されてもよい。
次に、第3実施形態の半導体装置S3の製造方法について説明する。半導体装置S3の製造方法は、接続部33を設ける工程を含む点が上記第2実施形態と相違するため、ここでは、この相違点以外については簡単に説明する。
上記第2実施形態において図6(a)〜図6(c)で説明したのと同様に、基板10の表面10a上に第1絶縁膜21、第1層平面コイル31を形成する。その後、例えば第1層平面コイル31のうち接続部33を形成する部分のみを覆う図示しないレジスト層を形成し、続けて図6(d)で説明したのと同様に、第1層平面コイル31を覆う第2絶縁膜22をスピンコート等により形成する。そして、レジスト層の剥離液を除去した後、例えば電解メッキなどにより接続部33を形成し、その後、第2層平面コイル32を電解メッキなどにより形成する。次に、図7(c)、図7(d)で説明したのと同様に、基板10の薄肉化を行った後に、磁性体膜40を形成する。このようにして、本実施形態の半導体装置S3を製造することができる。
なお、レジスト層は、例えば図示しないマスクを用いて、フォトリソグラフィ法などにより露光・現像を行うことで形成され、例えば感光性材料などが用いられる。感光性材料を用いる場合には、ポジ型レジスト、ネガ型レジストのどちらの感光性材料をレジスト層として用いてもよく、例えばポリイミド系、アクリル樹脂系、ノボラック樹脂系、フルオレン系等の市販の材料等をレジスト層として使用することができる
本実施形態の半導体装置S3は、上記第2実施形態と同様に、磁性体膜40を形成するまでは従来の磁性体膜を備えない半導体装置の製造ラインを利用して製造できる構成とされている。また、本実施形態の半導体装置S3は、基板10を薄くした構成とされることで、上記第1実施形態と同様の理由により、磁気特性の低下を抑えた半導体装置となる。
本実施形態の半導体装置S3は、上記第2実施形態と同様に、磁性体膜40を形成するまでは従来の磁性体膜を備えない半導体装置の製造ラインを利用して製造できる構成とされている。また、本実施形態の半導体装置S3は、基板10を薄くした構成とされることで、上記第1実施形態と同様の理由により、磁気特性の低下を抑えた半導体装置となる。
また、上記のように基板10の薄肉化工程まで既存の磁性体膜を備えない半導体装置の製造ラインを利用できる製造工程とすることにより、従来の半導体装置に比べて低い製造コストで本実施形態の半導体装置S3を製造することができる。
(他の実施形態)
なお、上記した各実施形態に示した半導体装置およびその製造方法は、本発明の一例を示したものであり、上記の各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
なお、上記した各実施形態に示した半導体装置およびその製造方法は、本発明の一例を示したものであり、上記の各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、上記第1実施形態の半導体装置S1では、基板10の裏面10b上に第1磁性体膜41が設けられると共に、絶縁膜20上に第2磁性体膜42が配置され、絶縁膜20およびコイル30が磁性体膜40に挟まれている構造とされた例について述べた。しかし、半導体装置S1は、インダクタとして機能しつつも、磁性体膜40を形成する前まで既存の半導体装置の製造ラインにて製造できる構成であればよいため、図10に示すような構造とされてもよい。
具体的には、図10に示す半導体装置は、半導体装置S1と同様に基板10の表面10a上に絶縁膜20と絶縁膜20に埋設されたコイル30とが形成され、基板10の裏面10b上にのみ磁性体膜40が形成された構造とされている。
また、上記第1実施形態や図10では、コイル30が一層の平面コイルにより構成されている例について説明している。しかし、半導体装置をインダクタとして機能させる場合、コイル30は、上記第3実施形態のように2層の平面コイルを繋げた形状とされていてもよく、3層以上の平面コイルを繋げた形状とされていてもよく、螺旋形状などの他の形状にされていてもよい。
上記第1実施形態などでは、コイル30が表面法線方向から見て、四角形状が渦を巻くコイルとされた例について説明したが、コイル30は、四角形状だけでなく、円形状、楕円形状や多角形状などが渦を巻くように形成されてもよく、他の形状とされていてもよい。また、コイル30の巻き数、巻き形状や積層する数などについては、半導体装置の磁気特性などの設計に合わせて適宜変更されてもよい。
上記第1実施形態では、コイル30が基板10の表面10a上に形成された構造とされてもよい旨を述べたが、上記第2実施形態、第3実施形態および他の実施形態においても同様である。
10 基板
20 絶縁膜
30 コイル
31 第1コイル
32 第2コイル
40 磁性体膜
41 第1磁性体膜
42 第2磁性体膜
20 絶縁膜
30 コイル
31 第1コイル
32 第2コイル
40 磁性体膜
41 第1磁性体膜
42 第2磁性体膜
Claims (6)
- 表裏の関係にある表面(10a)と裏面(10b)とを有する基板(10)と、
前記表面上に設けられた絶縁膜(20)と、
前記絶縁膜内に設けられ、前記表面に対する法線方向を軸として巻回されると共に、前記基板と電気的に絶縁されているコイル(30)と、
前記裏面上に設けられた磁性体膜(40)と、を備える半導体装置。 - 前記裏面上に設けられた前記磁性体膜を第1磁性体膜(41)として、前記絶縁膜上に第2磁性体膜(42)が形成されている請求項1に記載の半導体装置。
- 前記基板は、シリコン、ガラスもしくは樹脂材料のいずれか1つにより構成されている請求項1または2に記載の半導体装置。
- 前記絶縁膜は、樹脂材料により構成されている請求項1から3のいずれか1つに記載の半導体装置。
- 表面(10a)を有する基板(10)を用意することと、
前記表面上に絶縁膜(20)の一部を形成した後、前記絶縁膜の一部上に、前記表面に対する法線方向を軸として巻回されるようにコイル(30)を形成することと、
前記コイルを覆うように前記絶縁膜の残りを形成することにより、前記コイルを膜内に有する前記絶縁膜を形成することと、
前記絶縁膜を形成した後に、前記表面の反対側から前記基板を薄肉化することにより前記基板の前記表面の反対側に裏面(10b)を形成することと、
前記裏面上に磁性体膜(40)を形成することと、を含む半導体装置の製造方法。 - 前記裏面上に形成する前記磁性体膜を第1磁性体膜(41)として、前記裏面を形成した後に、前記絶縁膜上に第2磁性体膜(42)を形成する請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
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JP2016223972A JP2018082074A (ja) | 2016-11-17 | 2016-11-17 | 半導体装置およびその製造方法 |
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2016
- 2016-11-17 JP JP2016223972A patent/JP2018082074A/ja active Pending
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