JP2018081247A - 騒音制御装置、騒音制御方法及び動力機械 - Google Patents

騒音制御装置、騒音制御方法及び動力機械 Download PDF

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Abstract

【課題】動力源の基本周波数の変化に対する追従性を高める。【解決手段】基本周波数算出部10は、エンジン3を駆動する点火パルス信号の基本周波数を算出する。信号生成部11は、基本周波数の倍数次の周波数のうちの特定次数の周波数の正弦波信号と、特定次数の周波数を基準としエンジン3の駆動周波数の変動特性に基づいて定められた範囲内の複数の異なる周波数の正弦波信号とを生成する。適応フィルタ部13は、LMSアルゴリズムに従って動作する適応フィルタ20が、信号生成部11で生成された複数の正弦波信号各々について設けられ、各適応フィルタ20は、対応する正弦波信号を参照信号として入力し、各適応フィルタ20が音声入力部12で入力された音声信号を誤差信号として入力し、各適応フィルタ20から出力された信号を加算して得られる出力信号を出力する。音声出力部14は、出力信号に対応する音声を出力する。【選択図】図1

Description

本発明は、騒音制御装置、騒音制御方法及び動力機械に関する。
動力源から発生する音の騒音対策の1つとして能動騒音制御(Active Noise Control, ANC)がある。ANCは、制御対象音に対して同振幅、逆位相の制御音を干渉させることにより、消音を行う技術である。ANCは、低域騒音に対して有効であり、設置場所として大きなスペースを必要としない。このため、ANCは、自動車内の車内騒音やエンジンのこもり音の低減などによく用いられている。
ANCを適用した騒音制御装置として、例えば、特許文献1には、動力源から発生する音に含まれる基本周波数の正弦波信号及びその倍数次の周波数の正弦波信号を参照信号とし、周囲の音を誤差信号とする適応フィルタに入力し、動力源で発生する騒音を制御する騒音制御装置が開示されている。この適応フィルタは、HFxLMS(Harmonic Filtered-xLeast Mean Square)アルゴリズムに従って動作する。
特開2014−153571号公報
動力源が、例えば自動二輪車のエンジン等である場合には、その加減速に伴ってエンジン音の基本周波数が変化する。しかし、適応フィルタは、時間とともにフィルタ特性を徐々に変化させる仕組みを有しているため、加減速によりエンジン音の周波数が変化すると、その変化に対して適応フィルタの更新に遅れが生じてしまうおそれがあった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、動力源の基本周波数の変化に対する追従性を高めることができる騒音制御装置、騒音制御方法及び動力機械を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る騒音制御装置は、
動力源を駆動するパルス信号の基本周波数を算出する基本周波数算出部と、
前記基本周波数の倍数次の周波数のうちの特定次数の周波数の正弦波信号と、前記特定次数の周波数を基準とし前記動力源の駆動周波数の変動特性に基づいて定められた範囲内の複数の異なる周波数の正弦波信号とを生成する信号生成部と、
前記動力源の周囲の音を入力する音声入力部と、
LMSアルゴリズムに従って動作する適応フィルタが、前記信号生成部で生成された複数の正弦波信号各々について設けられ、前記各適応フィルタは、対応する正弦波信号を参照信号として入力し、前記音声入力部で入力された音声信号を誤差信号として入力し、前記各適応フィルタから出力された信号を加算して得られる出力信号を出力する適応フィルタ部と、
前記適応フィルタ部の出力信号に対応する音声を出力する音声出力部と、
を備える。
この場合、前記信号生成部は、前記基本周波数の正弦波信号とその倍数次の周波数の正弦波信号とのそれぞれの信号について、前記動力源の駆動周波数の変動に基づいて定められ対応する周波数を基準とする範囲における複数の異なる周波数の正弦波信号を生成する、
こととしてもよい。
また、前記動力源はエンジンであり、
前記パルス信号は、前記エンジンの点火のタイミングを示す点火パルス信号である、
こととしてもよい。
前記各適応フィルタは、並行して動作可能な別々のプロセッサ又はプログラマブルロジック回路に実装されている、
こととしてもよい。
本発明の第2の観点に係る動力機械は、
本発明の騒音制御装置と、
動力源で発生する動力により動作する本体装置と、
を備える。
本発明の第3の観点に係る騒音制御方法は、
動力源を駆動するパルス信号の基本周波数を算出する基本周波数算出工程と、
前記基本周波数の倍数次の周波数のうちの特定次数の周波数の正弦波信号と、前記特定次数の周波数を基準とし前記動力源の駆動周波数の変動特性に基づいて定められた範囲内の複数の異なる周波数の正弦波信号とを生成する信号生成工程と、
前記動力源の周囲の音を入力する音声入力工程と、
前記信号生成工程で生成された複数の正弦波信号各々について設けられたLMSアルゴリズムに従って動作する複数の適応フィルタが、対応する正弦波信号を参照信号として入力するとともに前記音声入力工程で入力された音声信号を誤差信号として入力し、前記適応フィルタの出力の和に相当する出力信号を出力する適応フィルタ工程と、
前記適応フィルタ工程で出力された出力信号に対応する音声を出力する音声出力工程と、
を繰り返し実行する。
本発明によれば、適応フィルタが、動力源を駆動するパルス信号の特定周波数だけでなく、特定周波数を基準とする範囲内の他の周波数の正弦波信号について設けられ、適応フィルタの出力が加算されて騒音を制御するための出力信号が生成される。このようにすれば、動力源の基本周波数が変化しても、変化した基本周波数で収束係数等の内部パラメータが最適化された状態となっているため、基本周波数の変化に迅速に追従することができる。この結果、動力源の基本周波数の変化に対する追従性を高めることができる。
本発明の実施の形態1に係る騒音制御装置の構成を示すブロック図である。 点火パルス信号の一例を示すグラフである。 エンジンの周波数特性を示すグラフである。 図1の騒音制御装置における参照信号とその周波数との関係を示すテーブルである。 駆動周波数の時間変化と正弦波信号周波数の範囲との関係を示すグラフである。 LMSアルゴリズムに従って動作する適応フィルタ部を中心とする制御系のエンジン音の制御ブロック図である。 図1の騒音制御装置の動作のフローチャートである。 定常走行時に得られるエンジン音を模擬的に発生させた環境下での騒音制御装置の制御結果を示すグラフである。 図9(A)は、従来の騒音制御装置の制御結果を示すグラフである。図9(B)は、図1の騒音制御装置の制御結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態2に係る騒音制御装置の構成を示すブロック図である。 図10の騒音制御装置における参照信号と周波数との関係を示すテーブルである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
実施の形態1.
まず、本発明の実施の形態1について説明する。
本実施の形態に係る騒音制御装置1は、車両本体(本体装置)2に取り付けられている。騒音制御装置1と車両本体2とで動力機械100が構成されている。車両本体2は、エンジン3と、エンジン3を駆動する駆動部4とを備えている。騒音制御装置1は、駆動部4から出力されエンジン3の点火のタイミングを示す点火パルス信号で駆動されるエンジン3から発生する騒音(エンジン音)を制御するのに用いられる。騒音制御装置1は、異なる周波数に対応するデジタルフィルタとしての適応フィルタ20を複数備えることにより、エンジン音の周波数の変化に対応している。このような対応を実現するための騒音制御装置1の詳細な構成について説明する。
図1に示すように、騒音制御装置1は、基本周波数算出部10と、信号生成部11と、音声入力部12と、適応フィルタ部13と、音声出力部14と、を備える。
基本周波数算出部10は、動力源を駆動するパルス信号の基本周波数を算出する。本実施の形態では、動力源はエンジン3である。パルス信号は、エンジン3の点火のタイミングを示す点火パルス信号である。図2には、点火パルス信号の一例が示されている。図中の矢印は、パルス周期を示している。エンジン3が直列4気筒4サイクルエンジンである場合、パルス周期は、以下の数式で表される。
パルス周期=(エンジン回転数[rpm]/時間[s])−1
直列4気筒4サイクルエンジンは、クランクシャフトが2回転する間に、吸入、圧縮、爆発(点火)、排気を順に行う。4気筒であれば、1回転で2回爆発する。
エンジン3の音の周波数特性は、エンジン3の駆動回転数に従って変化する。例えば、エンジン3の回転数が2700rpmから2900rpmに変化した場合、エンジン音の周波数特性は、図3に示すように変化する。騒音制御装置1は、このようなエンジン音の変化に追従する構成を有している。
図1に戻り、信号生成部11は、基本周波数算出部10で算出された基本周波数fとその倍数次の周波数2f、3fb、…、すなわち基本周波数fの倍数次f、2f、3fb、…、の周波数のうちの特定次数の特定周波数の正弦波信号を生成する。なお、本明細書では、特定の周波数で変動する信号を、正弦波信号と定義し、その信号は余弦波状のものも含むものとする。また、倍数次の周波数は、例えば1.5次の周波数であってもよい。この正弦波信号はデジタル信号である。このデジタル信号のサンプリング番号をn(nは自然数)とする。本実施の形態では、信号生成部11は、基本周波数f(図4参照)の正弦波信号x(n)を生成する。
さらに、信号生成部11は、特定周波数を基準とする周波数帯域の範囲内の複数の異なる周波数の正弦波信号x(n)〜x(n)を生成する。Nは生成される正弦波信号の数である。本実施の形態では、これらの周波数を、f±1、f±2、…、f±m(Hz)(mは自然数)とする。なお、この間隔は0.5などの小数を含む場合もある。
正弦波信号x(n)〜x(n)が生成される周波数の範囲は、エンジン3の駆動周波数の変動特性に基づいて定められている。すなわち、エンジン3の駆動周波数の時間変化に対して、許容時間以上の遅れが出ないような範囲に設定されている。また、この範囲から選択される周波数の数は、後述する適応フィルタ部13が実装されるプロセッサ又はプログラマブルロジック回路の能力等によって決定することができる。周波数の間隔が細ければそれだけ高精度な騒音の追従制御が可能となる。
音声入力部12は、動力源(エンジン3)を含む周囲の音を入力する。音声入力部12としては、例えば小型のマイクロフォンが用いられる。本実施の形態では、音声入力部12で入力されたデジタル音声信号が、騒音制御装置1における誤差信号e(n)となる。
図1に戻り、適応フィルタ部13は、信号処理を行うコンピュータ又はプログラマブルロジック回路等に実装されたデジタルフィルタである。コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Sound Processor)等のプロセッサを中心として構成される。プロセッサが、メモリに格納されたLMSアルゴリズムの処理プログラムを実行するか、プログラマブルロジック回路が動作することによって適応フィルタ20の処理が実行される。
適応フィルタ部13は、LMSアルゴリズムに従って動作する適応フィルタ20を複数備える。LMSアルゴリズムについては後述する。適応フィルタ20は、信号生成部11で生成された複数の正弦波信号x(n)〜x(n)各々について設けられている。各適応フィルタ20は、対応する正弦波信号を参照信号x(n)(k=1〜Nの自然数のいずれか)として入力し、音声入力部12で入力された音声信号を誤差信号e(n)として入力する。
図4に示すように、参照信号x(n)が、基本周波数f(Hz)の正弦波信号となり、x(n)、x(n)が基本周波数f±Δf(Hz)の正弦波信号となる。また、x(n)、x(n)が基本周波数f±Δf(Hz)の正弦波信号となり、xN−1(n)、x(n)が基本周波数f±Δf(Hz)の正弦波信号となる。
適応フィルタ部13の各適応フィルタ20は、周波数帯域f−Δf〜f+Δfの範囲内の複数の異なる周波数の正弦波信号x(n)を参照信号として入力し、対応する周波数に対する適応フィルタ20の演算結果を出力する。
さらに、適応フィルタ部13は、加算部21を備えている。加算部21は、各適応フィルタ20から出力された信号を加算する。適応フィルタ部13は、加算部21で得られた出力信号を出力する。
図5に示すように、適応フィルタ部13は、それぞれ周波数帯域f−Δf〜f+Δfの範囲内の複数の異なる周波数の正弦波信号x(n)について適応フィルタ20を適用することで、基本周波数fを中心に制御対象となる周波数帯域をf−Δf〜f+Δfに拡大している。各適応フィルタ20は、f−Δf〜f+Δfの範囲内の複数の異なる周波数の正弦波信号x(n)を入力しつつ、誤差信号e(n)を入力し、後述のように、LMSアルゴリズムに従って動作し、それぞれの出力信号y(n)を出力する。音声出力部14からは、各適応フィルタ20の出力y(n)を加算した信号が出力される。すなわち音声出力部14から出力される出力信号は、常に各適応フィルタ20の出力y(n)を加算した信号となる。各適応フィルタ20は、誤差信号e(n)にしたがって、内部パラメータが最適化される。
図5に示すように、時刻0〜t1の期間において、エンジン音の周波数がfで一定である場合、誤差信号e(n)には主として周波数fの成分が含まれるようになるので、音声出力部14から出力される出力信号に含まれる成分としては、周波数fの正弦波信号xk(n)を入力する適応フィルタ20の出力y(n)が最大となるが、その周波数f周辺の周波数に対応する他の適応フィルタ20も最適化され、出力yk(n)も0にはならず、ある程度の大きさを持つようになっている。すなわち、適応フィルタ部13では、各適応フィルタ20が誤差信号e(n)のフィードバックにより最適化されて動作し、それぞれの出力が重み付けされた状態で、全体でエンジン音を打ち消す出力信号を生成している。
時刻t1〜t2の期間において、加速によりエンジン音の周波数が高くなり、周波数fb+Δfに達すると、周波数fの正弦波信号xk(n)を入力する適応フィルタ20の出力y(n)は、その周波数の変化に対して遅れが出る。しかしながら、適応フィルタ部13では、周波数fb+Δfの正弦波信号xk(n)を入力する適応フィルタ20がすでにその周波数で最適化されており、この周波数の変化に対応した出力y(n)を出力している。この出力y(n)により、適応フィルタ部13は、単一周波数の正弦波信号を入力とする適応フィルタに対して追従性を高めることができる。
同様に、時刻t2〜t3、t3〜t4の期間において、エンジン音の周波数がf+Δf〜f+Δf、f+Δf〜f+Δfと高くなった場合でも、それぞれの周波数に対応する適応フィルタ20が対応する周波数ですでに最適化された状態で稼働しているため、対応する周波数の適応フィルタ20の出力y(n)により、周波数の急激な変化に迅速に対応することができる。
なお、加速に応じて基本周波数算出部10で算出される基本周波数も変化し、各適応フィルタ20に入力される正弦波信号x(n)の周波数も変化する。しかしながら、適応フィルタ部13では、このような正弦波信号x(n)の周波数の変化に先んじて、周波数の変化に迅速に追従することができる。以上のことは、エンジン3が減速し、エンジン音の周波数が低下した場合でも同様である。
音声出力部14は、適応フィルタ部13の出力信号に対応する音声を出力する。音声出力部14としては、例えばスピーカが用いられる。このスピーカは、例えば、車両本体2のエンジン3の上部であってシートの前側において吸気口からエンジン3に空気を送る配管の近傍に設置される。しかしながら、スピーカの設置場所は、これには限られず、オーディオ用スピーカの共用をはじめ、騒音の因果性を満たす位置が望ましい。
次に、騒音を制御する制御系について、適応フィルタ部13を中心に説明する。この制御系における適応フィルタ20の更新式を、以下に示す。
Figure 2018081247
ここで、Nは、音が発生する空間の伝達関数G(n)の長さである。
図6に示すように、この制御系では、参照信号x(n)〜x(n)が、対応する内部パラメータ(インパルス応答)W(n)〜W(n)のフィルタに入力される。フィルタは、x(n)〜x(n)とW(n)〜W(n)の畳込み演算により、出力y(n)〜y(n)を制御信号として出力する。
エンジン3の周囲には、出力y(n)〜y(n)を加算した音声信号が出力される。この音声信号が、周囲の空間を伝搬する。図6のG(n)は、この空間の音の伝達関数である。この伝搬される音声信号が上記式(1)の右辺第2項に相当する。この音声信号は、エンジン3からの音(所望信号)d(n)と干渉し合い、上記式(1)に示すように、誤差信号e(n)として取得される。
一方、参照信号x(n)〜x(n)は、G(n)のモデリング伝達関数
Figure 2018081247
に入力される。また、誤差信号e(n)は、収束係数μ(n)に掛け合わされ、LMSに入力される。LMSでは、上記式(2)を演算して、サンプリング番号n+1における内部パラメータW(n+1)を求め、フィルタに設定する。
LMSアルゴリズムは、二乗平均誤差が最小となるようにフィルタの内部パラメータを変化させる。上記式(2)の右辺第2項は、二乗平均誤差が最小となる最適解に近づくための誤差項である。
LMSアルゴリズムの手順は、概略以下の通りである。
(A)スタート時刻n=0では、W(n)に適当な初期値を与える。W(n)の要素の初期値はすべて全て0か最適値と考えられる初期値でもよい。
(B)時刻nにおけるフィルタの出力y(n)を、x(n)とW(n)とに基づいて求め、y(n)の加算値である出力信号を出力する。そして、誤差信号e(n)が得られる。
(C)x(n)とe(n)を用いて、図6のLMSにおいて上記式(2)を用いてW(n+1)を求め、適応フィルタに設定する。
(D)nをn+1に更新し、(B)に戻る。
適応フィルタ20では、上記処理の繰り返しで、逐次計算によりW(n)が変更され、誤差信号e(n)が最小となるように内部パラメータW(n)が最適化される。
次に、騒音制御装置1の動作について説明する。
図7に示すように、まず、エンジン3が始動するか否かを判定する(ステップS1)。始動していなければ(ステップS1;No)、騒音制御装置1は、エンジン3が始動するまで待つ。
エンジン3が始動すると(ステップS1;Yes)、基本周波数算出部10は、エンジン3を駆動する点火パルス信号の基本周波数fを算出する(ステップS2;基本周波数算出工程)。
続いて、信号生成部11は、基本周波数fとその倍数次の周波数とのうちの特定次数の周波数(ここでは1次の周波数)fの正弦波信号x(n)と、エンジン3の駆動周波数の変動に基づいて定められ周波数fを基準とする範囲における複数の異なる周波数(基本周波数fとその倍音だけでなく、それらの周辺の周波数)f±Δf等の正弦波信号x(n)〜x(n)とを生成する(ステップS3;信号生成工程)。
続いて、音声入力部12は、エンジン3の周囲の音を入力する(ステップS4;音声入力工程)。入力された音声信号が、誤差信号e(n)となる。
続いて、適応フィルタ部13は、信号生成部11で生成された複数の正弦波信号各々について設けられたLMSアルゴリズムに従って動作する複数の適応フィルタ20が、対応する正弦波信号を参照信号x(n)として入力するとともに音声入力部12で入力された音声信号を誤差信号e(n)として入力し、適応フィルタ20の出力の和に相当する出力信号を生成して出力する(ステップS5;適応フィルタ工程)。
続いて、音声出力部14は、適応フィルタ部13の出力信号に対応する音声を出力する(ステップS6;音声出力工程)。この音声は、エンジン3の音を打ち消す音となる。
続いて、騒音制御装置1は、ステップS1に戻り、エンジンが停止していなければ(ステップS1;Yes)、ステップS2〜S6を繰り返し行う。この繰り返しは、一定のサンプリング間隔で行われ、1回の処理はサンプリング時間の範囲内で行われる。また、ステップS2、S3、S4の実行順は図7に示すものに限られず、ほぼ同時に行われる。
定常走行時に得られるエンジン音を模擬的に発生させた環境下での騒音制御装置1の制御結果を図8に示す。図中の破線は制御前の周波数特性を示し、実線は制御中の周波数特性を示している。図8に示すように、騒音制御装置1による制御を実行した場合、制御対象とした100Hz(基本周波数f)での音圧レベルが25dB以上低減した。また、制御対象の周波数以外での追従性能の悪化も見られず、安定した制御が実現されている。このように、本実施の形態に係る騒音制御装置1は、複数の正弦波信号を入力としつつも、加減速のない定常走行時において、良好にエンジン音を低減している。
図9(A)には、加速走行時の従来のHFxLMSアルゴリズムを用いて制御した場合の制御結果が示されている。また、図9(B)には、加速走行時の本実施の形態に係る騒音制御装置1による制御の結果が示されている。図9(A)と図9(B)とを比較するとわかるように、定常走行時(およそ0〜4秒)では、制御結果にほとんど差がみられない。しかし、加速が始まるとHFxLMSアルゴリズムによる騒音制御では、周波数の変化に追従できず消音できていないのに対し、本実施の形態に係る騒音制御装置1では、周波数の変化に迅速に追従しており、騒音が著しく低減している。
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、適応フィルタ20が、エンジン3を駆動する点火パルス信号の特定周波数だけでなく、特定周波数を基準とする範囲内の他の周波数の正弦波信号について設けられ、適応フィルタ20の出力が加算されて騒音を制御するための出力信号が生成される。このようにすれば、エンジン3の基本周波数が変化しても、変化した基本周波数で収束係数等の内部パラメータが最適化された状態となっているため、基本周波数の変化に迅速に追従することができる。この結果、エンジン3の基本周波数の変化に対する追従性を高めることができる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
上記実施の形態では、基本周波数f及びその倍数次の周波数のいずれか1つの周波数の正弦波信号を生成する周波数とした。本実施の形態では、図10に示すように、信号生成部11は、基本周波数f周辺の正弦波信号だけでなく、基本周波数fの倍数次の周波数2f,3fを有する正弦波信号のそれぞれの信号について、エンジン3の駆動周波数の変動に基づいて定められ周波数を基準とする範囲における複数の異なる周波数の正弦波信号を生成する。
より具体的には、信号生成部11は、図11に示すように、基本周波数f周辺の基本周波数帯域の周波数f−Δf〜f+Δfの正弦波信号を参照信号x(n)〜x(n)として適応フィルタ部13に入力する。さらに、信号生成部11は、2倍の周波数2f周辺の2倍周波数帯域の周波数2f−Δf〜2f+Δfの正弦波信号を参照信号xM+1(n)〜x2M(n)として適応フィルタ部13に入力する。さらに、信号生成部11は、3倍の周波数3f周辺の3倍周波数帯域の周波数3f−Δf〜3f+Δfの正弦波信号を参照信号x2M+1(n)〜x3M(n)として適応フィルタ部13に入力する。
このように、基本周波数fの周辺だけでなく。その倍数次の周波数2f,3fの周辺の複数の周波数について適応フィルタ20を並列に動作させることにより、さらに加減速に伴う倍数次成分の周波数2f,3fの変化にも対応することができる。
なお、上記実施の形態では、特定周波数を基準とする周波数帯域の範囲における複数の異なる周波数を、例えば、f±Δf、f±Δf、…、f±Δf(Hz)としたが、本発明はこれには限られない。例えば、これらの周辺の周波数を、0.998f,0.999f,1.001f,1.002fとしてもよい。周波数の数及び間隔について任意に設定可能である。また、周波数の間隔がすべて同じである必要はない。
上記各実施の形態では、エンジン3を直列4気筒4サイクルエンジンとしたが、エンジン3がこれには限られないことは勿論である。
また、上記各実施の形態では、基本周波数を算出するために点火パルス信号を用いたが、本発明はこれには限られない。カム軸の回転位置を検出するカムポジションセンサ信号やクランク軸の回転角を検出するクランクアングルセンサ信号等のエンジンの回転状態を判別することができる他のパルス信号を、単独で、あるいは組み合わせて基本周波数算出に用いることも可能である。
なお、上記各実施の形態では、騒音制御装置1は、車両本体2のエンジン3の騒音を制御するのに用いられたが、本発明はこれには限られない。例えば、自動車の他、各乗り物のエンジンの騒音の制御に用いてもよい。この場合、動力源はエンジンには限られず、モータ等であってもよい。また、本発明が適用されるのは乗り物には限られず、動力源を有する工作機械等の各種動力機械にも適用することができる。例えば、本発明を、エンジンやモータなどの回転機構を有する動力機械に適用することができる。
また、各適応フィルタ20は、並行して動作可能な別々のプロセッサ又はプログラマブルロジック回路に実装されるようにしてもよい。このようにすれば、プロセッサ又はプログラマブルロジック回路の負荷を増大させることなく、適応フィルタ部13の処理能力を高めることができる。
その他、適応フィルタ部13(コンピュータ)のハードウエア構成やソフトウエア構成は一例であり、任意に変更および修正が可能である。
コンピュータの処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行するコンピュータを構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することでコンピュータを構成してもよい。
コンピュータの機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS, Bulletin Board System)にコンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介してコンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
本発明は、動力源から発生する騒音を制御するのに適用することができる。
1 騒音制御装置、2 車両本体、3 エンジン、4 駆動部、10 基本周波数算出部、11 信号生成部、12 音声入力部、13 適応フィルタ部、14 音声出力部、20 適応フィルタ、21 加算部、100 動力機械

Claims (6)

  1. 動力源を駆動するパルス信号の基本周波数を算出する基本周波数算出部と、
    前記基本周波数の倍数次の周波数のうちの特定次数の周波数の正弦波信号と、前記特定次数の周波数を基準とし前記動力源の駆動周波数の変動特性に基づいて定められた範囲内の複数の異なる周波数の正弦波信号とを生成する信号生成部と、
    前記動力源の周囲の音を入力する音声入力部と、
    LMSアルゴリズムに従って動作する適応フィルタが、前記信号生成部で生成された複数の正弦波信号各々について設けられ、前記各適応フィルタは、対応する正弦波信号を参照信号として入力し、前記音声入力部で入力された音声信号を誤差信号として入力し、前記各適応フィルタから出力された信号を加算して得られる出力信号を出力する適応フィルタ部と、
    前記適応フィルタ部の出力信号に対応する音声を出力する音声出力部と、
    を備える騒音制御装置。
  2. 前記信号生成部は、前記基本周波数の正弦波信号とその倍数次の周波数の正弦波信号とのそれぞれの信号について、前記動力源の駆動周波数の変動に基づいて定められ対応する周波数を基準とする範囲における複数の異なる周波数の正弦波信号を生成する、
    請求項1に記載の騒音制御装置。
  3. 前記動力源はエンジンであり、
    前記パルス信号は、前記エンジンの点火のタイミングを示す点火パルス信号である、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の騒音制御装置。
  4. 前記各適応フィルタは、並行して動作可能な別々のプロセッサ又はプログラマブルロジック回路に実装されている、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の騒音制御装置。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の騒音制御装置と、
    動力源で発生する動力により動作する本体装置と、
    を備える動力機械。
  6. 動力源を駆動するパルス信号の基本周波数を算出する基本周波数算出工程と、
    前記基本周波数の倍数次の周波数のうちの特定次数の周波数の正弦波信号と、前記特定次数の周波数を基準とし前記動力源の駆動周波数の変動特性に基づいて定められた範囲内の複数の異なる周波数の正弦波信号とを生成する信号生成工程と、
    前記動力源の周囲の音を入力する音声入力工程と、
    前記信号生成工程で生成された複数の正弦波信号各々について設けられたLMSアルゴリズムに従って動作する複数の適応フィルタが、対応する正弦波信号を参照信号として入力するとともに前記音声入力工程で入力された音声信号を誤差信号として入力し、前記適応フィルタの出力の和に相当する出力信号を出力する適応フィルタ工程と、
    前記適応フィルタ工程で出力された出力信号に対応する音声を出力する音声出力工程と、
    を繰り返し実行する騒音制御方法。
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