以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
さらに、本発明の実施形態の詳細な説明において、ある構成物と他の構成物の位置関係を規定する際、「上に」「下に」とは、ある構成物の直上あるいは直下に位置する場合のみでなく、特に断りの無い限りは、間にさらに他の構成物を介在する場合を含むものとする。
図1は、第1実施形態に係る感圧センサ付表示装置(以下、単に表示装置という)の全体構成の概略を示す斜視図である。表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス表示装置を例に挙げる。表示装置100は、例えば、赤、緑及び青からなる複数色の単位画素(サブピクセル)を組み合わせて、フルカラーの画素Pを形成し、フルカラーの画像を表示するようになっている。表示装置100は、第1基板10を有する。第1基板10は、複数の画素Pがマトリクス状に配置された表示領域Mを有する。表示領域Mは、複数の区画Dに分けられる。また、第1基板10は、表示領域Mの周辺に額縁領域Nを有する。さらに、第1基板10は、端子領域Tを有し、端子領域Tには、画像を表示するための素子を駆動するための集積回路チップ12が搭載される。なお、図示しないが、端子領域Tには外部との電気的接続のためにフレキシブル基板を接続してもよい。
図2は、第1実施形態の表示装置の全体構成を模式的に示す平面図である。図3は、図2に示す1区画における構成を示す平面図である。図4は、図3に示す感圧センサの構成を示す平面図である。
図2においては、表示領域Mが、X方向に4分割、Y方向に5分割され、20の区画Dに分けられる構成について示す。なお、これは一例であり、例えば、X方向に5分割、Y方向に6分割して、30の区画Dに分けても構わない。区画Dは、平面視において、一辺が2cm〜3cm程度の矩形の領域とするとよい。
各区画Dには、それぞれ感圧センサSが離散的に設けられる。図3においては、1の区画Dに13の感圧センサSが設けられる構成について示すが、感圧センサSの数や位置はこれに限られるものではない。感圧センサSは、平面視において、一辺が200um〜300um程度の矩形の形状とするとよいが、これに限られるものではなく、例えば平面視において円形としても構わない。
図4は、感圧センサSを対向基板70(図5参照)側から見た平面図を示す。感圧センサSは、第1電極56と、第2電極58と、第3電極66(図4においては不図示)と、弾力層67と、誘電体層68とで構成される。弾力層67は、絶縁性の可撓性樹脂からなる。絶縁性の可撓性樹脂としては、例えば、水分散ポリウレタンなどを用いるとよいが、弾性変形可能なものであればよい。弾力層67は、平面視において、一辺が15um〜20um程度の矩形の形状とするとよいが、これに限られるものではなく、例えば平面視において円形としても構わない。なお、感圧センサSの構成の詳細については、図5、図6等を参照して後述する。
図5は、第1実施形態の表示装置の断面図のうち、感圧センサを通る断面を示す断面図である。第1基板10は、樹脂又はガラスからなり、ポリイミドやポリエチレンテレフタラート等の可撓性を有するフィルムであってもよい。第1基板10上には、それ自体が含有する不純物に対するバリアとなるアンダーコート層14a、14b、14cが形成される。アンダーコート層14aはシリコン酸化膜からなり、アンダーコート層14bはシリコン窒化膜からなり、アンダーコート層14cはシリコン酸化膜からなる。アンダーコート層14aは、第1基板10とアンダーコート層14bとの密着性向上のために設けられる。アンダーコート層14bは、第1基板10側から、後に形成される薄膜トランジスタの半導体層への不純物拡散を防止するために設けられる。アンダーコート層14cは、アンダーコート層14bと、薄膜トランジスタを含む層との密着性向上、ならびに、アンダーコート層14bから、後に形成される薄膜トランジスタの半導体層への水素拡散を防止するために設けられる。なお、これら各アンダーコート層の材料は一例であり、また、第1基板10がガラスからなる場合においては、アンダーコート層14aを省略しても良い。
アンダーコート層14c上には半導体層16が形成されている。半導体層16を覆ってゲート絶縁膜22が形成されている。ゲート絶縁膜22上にはゲート電極24が形成され、ゲート電極24を覆って層間絶縁膜26a、26bが形成されている。層間絶縁膜26aは、例えばシリコン窒化膜からなり、層間絶縁膜26bは、例えばシリコン酸化膜からなる。
ソース電極18及びドレイン電極20は、ゲート絶縁膜22及び層間絶縁膜26a、26bを貫通するコンタクトホールを介して半導体層16に電気的に接続している。半導体層16、ソース電極18、ドレイン電極20及びゲート電極24によって薄膜トランジスタが構成される。薄膜トランジスタ上には、平坦化層32が設けられている。平坦化層32は、少なくとも画素電極34が設けられる面が平坦になるように形成される。平坦化層32としては、感光性アクリル樹脂等の有機材料が多く用いられる。平坦化層32上には、複数の単位画素(サブピクセル)それぞれに対応するように構成された複数の画素電極34(例えば陽極)が設けられている。画素電極34は、平坦化層32及びパッシベーション膜30を貫通するコンタクトホール36によって、半導体層16上のソース電極18及びドレイン電極20の一方に電気的に接続している。平坦化層32及び画素電極34上には、絶縁層(バンク)38が形成され、バンク38に設けられた開口部を介して、画素電極34の一部が露出している。
画素電極34上に発光層40が設けられている。発光層40は、画素電極34毎に別々に設けられ、絶縁層38にも載るようになっている。発光層40は、画素電極34と接して設けられる領域で発光する。発光層40のうち発光する領域を以下発光領域Lと呼ぶ。
発光層40は、各画素に対応して青、赤、緑で発光するようになる。各画素に対応する色はこれに限られず、例えば、黄、白等でもよい。発光層40は、例えば、蒸着により形成される。また、発光層40は、表示領域M(図1参照)を覆う全面に、複数の画素に亘るように形成してもよい。つまり、発光層40を絶縁層38上で連続するように形成してもよい。発光層40は溶媒分散による塗布により形成されてもよい。発光層40を複数の画素に亘るように形成する場合は、全サブピクセルにおいて白色で発光し、図示しないカラーフィルタを通して所望の色波長部分を取り出す構成になる。
発光層40上には、対向電極42(共通電極又は陰極)が設けられている。対向電極42は、バンクとなる絶縁層38上に載る。発光層40並びに発光層40を挟む画素電極34及び対向電極42を含む発光素子44が構成される。複数の画素のそれぞれが発光素子44を有する。発光層40は、画素電極34及び対向電極42に挟まれ、両者間を流れる電流によって輝度が制御されて発光する。発光層40と画素電極34との間には、図示しない正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも一層を設けてもよい。発光層40と対向電極42との間には、図示しない電子輸送層及び電子注入層の少なくとも一層を設けてもよい。
発光素子44は、対向電極42上に設けられる封止膜46によって覆われることで封止されて水分から遮断される。封止膜46は、窒化ケイ素(SiN)などからなる少なくとも一層の無機絶縁層を含み、複数の絶縁層による積層構造であってもよい。図5に示すように、第1実施形態においては、一対の無機絶縁層48,50の間に樹脂などからなる有機絶縁層52を挟む積層構造とした。封止膜46は、表示領域Mを覆う。
表示装置100は、無機絶縁層50(封止膜46)上に感圧センサSを有する。感圧センサSは、第1電極56と、第2電極58と、第3電極66と、誘電体層68と、弾力層67とを有する。なお、図中においては、弾力層67として断面形状が円形のものを示すが、その形状はそれに限られるものではない。
第1電極56は、封止膜46上であって、少なくとも表示領域Mと重畳する箇所に離散的に複数設けられる(図3〜図5参照)。誘電体層68は、各第1電極56上にそれぞれ離散的に複数設けられる(図4、図5参照)。第2電極58は、誘電体層68上にそれぞれ設けられる。すなわち、第2電極58は、各誘電体層68に対応するように複数設けられる。弾力層67は、各第1電極上であって、誘電体層68及び第2電極58と重畳しない領域に複数設けられる(図4、図5参照)。第3電極66は、複数の第1電極56、複数の誘電体層68、複数の第2電極58、及び複数の弾力層67に重畳する領域に、連続的に設けられる(図5参照)。
また、誘電体層68及び第2電極58は、平面的に見て発光領域Lと重畳しない領域に設けられる。誘電体層68及び第2電極58により、遮光されてしまうことを防止するためである。
さらに、図6、図7を参照して、第1実施形態の感圧センサSの詳細について説明する。図6は、第1実施形態の感圧センサによるタッチの検出について説明する図である。図7は、コンデンサを構成する感圧センサを模式的に示す図である。
感圧センサSは、表示装置100の表示領域M(表示画面)に、指やタッチ用のペン等によるタッチがあったことを検出するために用いられる。すなわち、感圧センサSは、指等で表示領域Mを押したときの押圧を検出するセンサともいえる。第1実施形態においては、センシングの方式としていわゆる静電容量方式を採用する。感圧センサSは、第1電極56、第2電極58、第3電極66、誘電体層68によりコンデンサを構成する。感圧センサSを構成する複数のコンデンサは並列接続するよう設けられる。
図6(a)は、指などにより表示領域Mが押されていない状態における感圧センサを示す断面図である。すなわち、図6(a)は表示領域Mに負荷が加わっていない状態における感圧センサを示す。図7(a)は、図6(a)の状態におけるコンデンサの状態を示す概念図である。この状態において、第3電極66は、第2電極58から離間している。この状態から、表示領域Mを指などで、後述する力F1よりも弱い力で押すと、対向基板70及び第3電極66は、指で押された箇所(指圧の中心部)で、第2電極58に近づくように撓む。すなわち、第3電極66と第2電極58の間の距離が近づく。
図6(b)は、指などにより表示領域Mが押された状態における感圧センサを示す図である。指で押された対向基板70及び第3電極66は、指で押された箇所(指圧の中心部)において撓む。第3電極66が撓むことにより、弾力層67は、第3電極66に押されることにより圧縮される。そして、図6(b)に示すように、所定の力F1で表示領域Mを押した場合に、第3電極66は第2電極58に接触する。図7(b)は、図6(b)の状態におけるコンデンサの状態を示す概念図である。この状態における合成静電容量はC2となる。
図6(c)は、指などにより、力F1よりも強い力F2で表示領域Mが押された状態における感圧センサを示す図である。この場合、力F1で表示領域Mを押した時よりも、第3電極66が第2電極58に接触する箇所が多くなる。図7(c)は、図6(c)の状態におけるコンデンサの状態を示す概念図である。この状態における合成静電容量はC1+C2+C3である。すなわち、表示領域Mを押す力が強いほど、感圧センサSを構成するコンデンサの合成静電容量は大きくなる。なお、図6(c)においては、第3電極66が全ての第2電極58と接触した図となっているが、指などで押された箇所(指圧の中心部)から離れた領域においては、第3電極66は撓んでおらず、第2電極58と非接触となっている。
単に第3電極66と第2電極58とを平板状に対向するように形成し、押圧によって変化する両者間の距離の変化、すなわち相互の静電容量の変化量は、その値を検出して押圧の強弱を認識するにはあまりに微小な変化量である。一方、第1実施形態の構成によると、第3電極66と第2電極58の接触箇所の数に応じて、静電容量が、押圧の強弱を認識するのに十分な変化量でリニア(線形)に変化する。すなわち、第1実施形態においては、並列接続されたコンデンサの数に応じて、タッチがあったことを検出している。このような構成を採用するため、より確実に静電容量の変化を検出することが可能である。すなわち、より精度良くタッチを検出することが可能である。
図8は、第1実施形態の第1変形例の感圧センサを示す断面図である。図6で示した感圧センサSにおいては、複数の誘電体層68がそれぞれ略同じ膜厚である構成について示したが、図8においては、膜厚の異なる誘電体層を含む感圧センサSについて示す。なお、誘電体層の膜厚が異なることを除いて、他の構成に関しては、図1〜図7で説明した構成と同様であるため、同じ構成については同じ符号を用いてその説明は省略する。
第1変形例の感圧センサSは、誘電体層68aと、誘電体層68aよりも膜厚の薄い誘電体層68bとを含む。誘電体68a及び誘電体層68bの上には、それぞれ略同じ膜厚の第2電極58が設けられる。そのため、第3電極66と、誘電体層68a上の第2電極58との距離は、第3電極66と、誘電体層68b上の第2電極58との距離よりも短い。
表示領域Mを指などで押すと、第3電極66が撓み、弾力層67が圧縮される。そして、第3電極66が、誘電体層68a上の第2電極58に接触した時、コンデンサが形成されて静電容量が大きく変化する。さらに強い力で表示領域Mを押すと、さらに弾力層67が圧縮され、第3電極66が誘電体層68b上の第2電極58に接触した時、コンデンサが形成され静電容量が大きく変化する。このように、第3電極66に対する第2電極58の距離が異なる領域を設けることにより、表示領域Mを押す力に応じて静電容量が大きく変化する段階をより明確に区別できる。そのため、より精度良くタッチを検出することが可能となる。
なお、図8においては、誘電体層68aと誘電体層68bが交互に並べられる構成について示したが、これに限られるものではない。例えば、2つの誘電体層68aが並んで設けられ、その隣に、2つの誘電体層68bが並んで設けられるような構成であってもよい。
図9は、第1実施形態の第2変形例の感圧センサを示す断面図である。第1実施形態の第2変形例においても、第1変形例と同様に、膜厚の異なる誘電体層を含む構成について示すが、膜厚の異なる誘電体層の数、配置が第1変形例に示した構成と異なる。
第2変形例においては、膜厚が互いに異なる3種類の誘電体層68c、68d、68eを含む構成を採用した。また、第1変形例と同様に、それら誘電体層68c、68d、68e上に設けられる第2電極58の膜厚は略同じとした。
第2変形例においても、表示領域Mを指などで押すと、第3電極66が撓み、弾力層67が圧縮される。そして、第3電極66が、誘電体層68c上の第2電極58と接触した時、コンデンサが形成されて静電容量が大きく変化する。さらに強い力で表示領域Mを押すと、さらに弾力層67が圧縮され、第3電極66が誘電体層68d上の第2電極58に接触した時、コンデンサが形成され静電容量が大きく変化する。そこからさらに、強い力で表示領域Mを押すと、さらに弾力層67が圧縮され、第3電極66が誘電体層68e上の第2電極58に接触した時、コンデンサが形成され静電容量が大きく変化する。このように、第3電極66に対する第2電極58の距離が異なる領域を設けることにより、表示領域Mを押す力に応じて静電容量が大きく変化する段階をより明確に区別できる。そのため、より精度良くタッチを検出することが可能となる。なお、誘電体層68c、誘電体層68d、誘電体層68eの並びは図9に示すものに限られるものではない。
次に、図10、図11を参照して、第2実施形態について説明する。図10は、第2実施形態の感圧センサを示す断面図である。図11は、第2実施形態の感圧センサを示す平面図である。
第2実施形態の感圧センサSは、第1電極156と、誘電体層168と、第2電極166と、弾力層67とを有する。第1電極156は、封止膜46上に設けられる。誘電体層168は、第1電極156と同層で、第1電極156間に設けられる。第2電極166は、第1電極156に重畳し、かつ離間して、対向基板70の下面に設けられる。弾力層67は、対向基板70と封止膜46に接して設けられる。
表示領域Mを指などで押すと、対向基板70が撓み、弾力層67が圧縮される。そして、第2電極166が第1電極156に接触すると、第1電極156、第2電極166、誘電体層168とでコンデンサが形成され、静電容量が大きく変化する。このような構成を採用することにより、第1実施形態と同様に、精度良くタッチ検出をすることができる。また、誘電体層168を第1電極156と同層に設けるため、第1実施形態の構成と比較して、感圧センサSの薄型化が可能となる。
図12は、第2実施形態の変形例の感圧センサを示す断面図である。第2実施形態の変形例においては、膜厚の異なる誘電体層及び第1電極を含む点で図10で示した構成と異なる。その他の構成については同じであるため、同じ構成については同じ符号を用いてその説明は省略する。
図12に示すように、第2実施形態の変形例の感圧センサSは、第1電極156aと、第1電極156aと同層に設けられ略同じ膜厚の誘電体層168aと、を有する。さらに、第1電極156bと、第1電極156bと同層に設けられ略同じ膜厚の誘電体層168bと、第1電極156cと、第1電極156cと同層に設けられ略同じ膜厚の誘電体層168cと、を有する。
表示領域Mを指等で押すと、対向基板70が撓み、弾力層67が圧縮される。そして、第2電極166が第1電極156cに接触した時、コンデンサが形成され静電容量が大きく変化する。さらに強い力で表示領域Mを押すと、さらに弾力層67が圧縮され、第2電極166が第1電極156bに接触した時、コンデンサが形成され静電容量が大きく変化する。そこからさらに強い力で表示領域Mを押すと、さらに弾力層67が圧縮され、第2電極166が第1電極156aに接触した時、コンデンサが形成され静電容量が大きく変化する。このように、第2電極に対する第1電極の距離が異なる領域を設けることにより、表示領域Mを押す力に応じて静電容量が大きく変化する段階をより明確に区別できる。そのため、より精度良くタッチを検出することが可能となる。
なお、図12においては、膜厚の異なる3種類の第1電極及び誘電体層を有する構成について示したが、これに限られるものではなく、例えば、膜厚の異なる2種類の第1電極及び誘電体層を有する構成であってもよい。また、第1電極及び誘電体層の並びは図12に示すものに限られるものではない。
なお、上述した実施形態においては、特に説明しないが、感圧センサS上に、さらにタッチの位置検出が可能なタッチパネルを備えてもよい。
なお、表示装置は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置には限定されず、量子ドット発光素子(QLED:Quantum‐Dot Light Emitting Diode)のような発光素子を各画素に備えた表示装置であってもよいし、液晶表示装置であってもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。