JP2018080741A - 転がり軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】第一シールリップとシール摺接面との摺接部に作用する摩擦力が、軸受温度の変化に伴って増大する事を抑えられる構造を実現する。【解決手段】シールリング19のシール材33を構成する、第一、第二両シールリップ37、38の基端部同士を結合する。これと共に、シール材33のうち、第一、第二両シールリップ37、38の基端部同士の結合部50の径方向外側に隣接し、且つ、芯金32よりも径方向内側に位置する部分に、括れ部40を設ける。又、ハブ本体23の表面に設けたシール摺接面43のうち、内部空間31の圧力が第一リップ間空間48の圧力よりも所定量以上大きくなった場合にのみ第一シールリップ37の先端部が摺接する(乗り上がる)軸方向位置の円周方向複数箇所に、それぞれ径方向に凹入する状態で凹部(除肉部)52を設ける。【選択図】図2

Description

本発明は、各種機械装置の回転支持部分に組み込んで使用される転がり軸受装置の改良に関する。
自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為の転がり軸受装置として、車輪支持用転がり軸受ユニットが使用されている。この様な車輪支持用転がり軸受ユニットの1例として、特許文献1には、図9に示す様なシール構造を有するものが記載されている。
この車輪支持用転がり軸受ユニットは、懸架装置に支持固定された状態で使用時にも回転しない外輪1と、車輪を支持固定した状態で使用時にこの車輪と共に回転するハブ2と、外輪1の内周面に設けられた外輪軌道4とハブ2の外周面に設けられた内輪軌道5との間に転動自在に設けられた複数個の転動体3とを備える。
又、外輪1の内周面と内輪2の外周面との間に存在する、各転動体3が設けられた内部空間6の軸方向外端開口部は、シールリング7により塞がれている。これにより、内部空間6に封入された潤滑用のグリースが外部空間に漏洩するのを防止すると共に、外部空間から内部空間6に雨水等の異物が侵入する事を防止している。
尚、本明細書の全体で、軸方向に関して「外」とは、自動車への組み付け状態で車体の幅方向外側となる、各図の左側を言い、反対に車体の幅方向中央側となる、各図の右側を、軸方向に関して「内」と言う。
シールリング7は、外輪1の軸方向外端部に内嵌固定された円環状の芯金8と、この芯金8の全周に結合固定されたシール材9とを有する。このうちのシール材9は、内部空間6に近い側から、第一シールリップ10、第二シールリップ11、第三シールリップ12の順に配置された、3本のシールリップ10〜12を有する。そして、これら第一〜第三シールリップ10〜12の先端部を、それぞれハブ2の表面に設けられたシール摺接面13に全周に亙り摺接させている。
又、第一シールリップ10を、基端縁である外径側端縁から先端縁である内径側端縁に向かう程、内部空間6側に向かう方向に傾斜させている。これにより、第一シールリップ10による、グリース漏洩防止機能を高めている。又、第二シールリップ11及び第三シールリップ12を、それぞれ基端縁から先端縁に向かう程、外部空間側に向かう(内部空間6から遠ざかる)方向に傾斜させている。これにより、第二シールリップ11及び第三シールリップ12による、異物侵入防止機能を高めている。
特開2012−180922号公報
上述した様な車輪支持用転がり軸受ユニットの場合、ハブ2が回転すると、外輪軌道4及び内輪軌道5と各転動体3との転がり接触部や、第一〜第三シールリップ10〜12とシール摺接面13との摺接部(滑り接触部)等で、摩擦熱が発生する。これにより、軸受温度が上昇し、内部空間6と、第一、第二両シールリップ10、11同士の間に挟まれた第一リップ間空間14と、第二、第三両シールリップ11、12同士の間に挟まれた第二リップ間空間15との、それぞれの圧力が上昇する傾向となる。
ここで、第二シールリップ11及び第三シールリップ12は、それぞれ基端縁から先端縁に向かう程、外部空間側に向かう方向に傾斜している。この為、第一、第二両リップ間空間14、15の空気は、第二、第三両シールリップ11、12とシール摺接面13との摺接部を通じて、外部空間側に漏れ出し易くなっている。従って、第一、第二両リップ間空間14、15の圧力が上昇する傾向となった場合でも、これら第一、第二両リップ間空間14、15の空気が第二、第三両シールリップ11、12とシール摺接面13との摺接部を通じて外部空間側に漏れ出す事により、第一、第二両リップ間空間14、15の圧力の上昇を抑え易くなっている。
これに対して、第一シールリップ10は、基端縁から先端縁に向かう程、内部空間6側に向かう方向に傾斜している。この為、この内部空間6の空気は、第一シールリップ10とシール摺接面13との摺接部を通じて、外部空間側に漏れ出しにくくなっている。従って、内部空間6の圧力が上昇する傾向となった場合には、この圧力の上昇を抑えにくくなっている。
この為、内部空間6の圧力が上昇する傾向となった場合には、この圧力によって、第一シールリップ10が、シール摺接面13に押し付けられる(貼り付く)様に弾性変形し、これら第一シールリップ10とシール摺接面13との摺接部に作用する摩擦力が増大し易くなると言った問題がある。
又、上述の様に第一シールリップ10とシール摺接面13との摺接部に作用する摩擦力が増大すると、これら第一シールリップ10とシール摺接面13との摺接部で発生する摩擦熱が増大する。そして、この摩擦熱の影響を受け易い、第一リップ間空間14の温度が更に上昇する傾向となる。そして、この状態からハブ2の回転が停止して軸受温度が低下すると、第一リップ間空間14の空気が収縮して、この第一リップ間空間14に強い負圧が発生する傾向となる。そして、この強い負圧により、第一、第二両シールリップ10、11がシール摺接面13に貼り付く様に弾性変形して、これら第一、第二両シールリップ10、11とシール摺接面13との摺接部に作用する摩擦力が増大し易くなると言った問題がある。
本発明は、上述の様な事情に鑑み、第一シールリップとシール摺接面との摺接部に作用する摩擦力が、軸受温度の変化に伴って増大する事を抑えられる構造を実現すべく発明したものである。
本発明の転がり軸受装置は、外径側軌道輪と、内径側軌道輪と、複数個の転動体と、シールリングとを備えている。
このうちの外径側軌道輪は、内周面に外輪軌道を有し、使用時にも回転しない。
又、前記内径側軌道輪は、使用時に回転する。
又、前記複数個の転動体は、前記外輪軌道と前記内輪軌道との間に転動自在に設けられている。
又、前記シールリングは、前記外径側軌道輪の内周面と前記内径側軌道輪の外周面との間に存在する前記複数個の転動体が設けられた内部空間の軸方向端部開口を塞いでいる。
又、前記シールリングは、前記外径側軌道輪の軸方向端部に固定された円環状の芯金と、この芯金の全周に固定されたシール材とを有している。
又、前記シール材は、前記内部空間に接する位置に配置されると共に基端部から先端部に向かう程前記内部空間側に向かう方向に伸長(傾斜)した第一シールリップと、この第一シールリップに対して前記内部空間と反対側に隣り合う位置に配置された第二シールリップと有する。そして、これら第一、第二両シールリップの先端部を、前記内径側軌道輪又はこの内径側軌道輪に固定された他の部材の表面に設けられたシール摺接面にそれぞれ摺接させている。
特に、本発明の転がり軸受装置の場合、前記シール材は、前記第一、第二両シールリップの基端部同士を結合すると共に、これら第一、第二両シールリップの基端部同士の結合部の径方向外側に隣接し且つ前記芯金よりも径方向内側に位置する部分に括れ部を有している。
又、前記シール摺接面のうち、前記第一、第二両シールリップ同士の間部分で前記第一シールリップの近傍に位置する円周方向1乃至複数箇所に、径方向に凹入する状態で除肉部が設けられている。
本発明を実施する場合には、例えば、前記シール摺接面が、前記内径側軌道輪の表面に設けられていると共に、前記シール摺接面のうちの少なくとも一部分が、軸方向に関して前記内部空間と反対側に向かう程外径寸法が大きくなる方向に傾斜した傾斜面部になっており、前記除肉部が、前記傾斜面部に設けられている構成を採用する事ができる。
本発明を実施する場合には、例えば、前記シール摺接面が、前記内径側軌道輪に固定された他の部材である摺接環の表面に設けられており、前記除肉部が、前記摺接環を(例えば径方向に)貫通する状態で設けられている構成を採用する事ができる。
上述の様な構成を有する本発明の転がり軸受装置によれば、第一シールリップとシール摺接面との摺接部に作用する摩擦力が、軸受温度の変化に伴って増大する事を抑えられる。
本発明の実施の形態の第1例に関する、シール構造を簡略化して示す車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図。 同じく、シール構造を具体化して示す、図1のA部拡大図。 同じく、図2のB部拡大図。 同じく、除肉部をハブの径方向外側から見た図(a)(b)(c)。 本発明の実施の形態の第2例に関する、図2と同様の図。 同じく、除肉部をハブの径方向外側から見た図。 本発明の実施の形態の第3例に関する、図2と同様の図。 本発明の実施の形態の第4例に関する、シール構造を具体化して示す、図1のC部に相当する拡大図。 車輪支持用転がり軸受ユニットの従来構造の1例を示す部分断面図。
[実施の形態の第1例]
本発明の実施の形態の第1例に就いて、図1〜4により説明する。
本例の車輪支持用転がり軸受ユニットは、駆動輪用であり、外輪16と、ハブ17と、複数個の転動体18、18と、シールリング19、20とを備える。
外輪16は、特許請求の範囲に記載した外径側軌道輪に相当するもので、外周面に静止側フランジ21を、内周面に複列の外輪軌道22a、22bを、それぞれ有している。この様な外輪16は、使用時に、静止側フランジ21を、懸架装置のナックルに結合固定する事により、この懸架装置に支持された状態で回転しない。
ハブ17は、特許請求の範囲に記載した内径側軌道輪に相当するもので、ハブ本体23と内輪24とを結合する事により構成されており、外輪16の内径側にこの外輪16と同軸(同心)に配置されている。
ハブ本体23の外周面のうち、外輪16の軸方向外端開口から軸方向外方に突出した部分には、車輪(駆動輪)及び制動用回転部材を支持固定する為の円輪状の回転側フランジ25が設けられている。又、ハブ本体23の外周面のうち、外輪16の内周面に設けられた軸方向外側列の外輪軌道22aと対向する部分には、軸方向外側列の内輪軌道26aが設けられている。又、ハブ本体23の外周面のうち、外輪16の内周面に設けられた軸方向内側列の外輪軌道22bと対向する軸方向内端部には、小径段部27が設けられている。又、ハブ本体23の径方向中心部には、駆動軸であるスプライン軸を係合させる為のスプライン孔28が設けられている。
内輪24の外周面には、軸方向内側列の内輪軌道26bが設けられている。この様な内輪24は、ハブ本体23の小径段部27に締り嵌めにより外嵌固定された状態で、ハブ本体23の軸方向内端部に形成されたかしめ部29により軸方向内端面を抑え付けられている。
転動体18、18は、軸方向外側列の外輪軌道22aと内輪軌道26aとの間部分、及び、軸方向内側列の外輪軌道22bと内輪軌道26bとの間部分に、それぞれ複数個ずつ、保持器30a、30bにより保持された状態で転動自在に設けられている。尚、図示の例では、転動体18、18として玉を使用しているが、重量が嵩む自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、玉に代えて円すいころを使用する場合もある。
シールリング19、20のうち、軸方向外方のシールリング19は、外輪16の内周面とハブ17の外周面との間に存在する、複数個の転動体18、18が設けられた内部空間31の軸方向外端開口を塞いでおり、軸方向内方のシールリング20は、内部空間31の軸方向内端開口を塞いでいる。これにより、内部空間31に封入された潤滑用のグリースが外部空間に漏洩するのを防止すると共に、外部空間から内部空間31に雨水等の異物が侵入する事を防止している。
一方のシールリング19は、芯金32と、シール材33とから構成されている。
このうちの芯金32は、鋼板等の金属板に打ち抜き及び曲げ等のプレス加工を施す事により、全体を円環状に構成されており、円筒状の嵌合筒部34と、嵌合筒部34の軸方向外端部から径方向外方に向けて折れ曲がった外向鍔部35と、嵌合筒部34の軸方向内端部から軸方向外側に向けて折り返されると共に径方向内方に向けて折れ曲がった内径支持部36とを有している。そして、このうちの嵌合筒部34を、外輪16の軸方向外端部に締り嵌めで内嵌すると共に、外向鍔部35の軸方向内側面を、外輪16の軸方向外端面に当接させている。これにより、芯金32を、軸方向の位置決めを図った状態で、外輪16の軸方向外端部に支持固定している。
シール材33は、ゴムの如きエラストマー等の弾性材製で、芯金32の全周に結合固定されている。この様なシール材33は、3本のシールリップ37〜39と、括れ部40と、外径側覆部41と、補助リップ42とを有している。
3本のシールリップ37〜39は、内部空間31に近い側から、第一シールリップ37、第二シールリップ38、第三シールリップ39の順に配置されており、それぞれの先端部を、ハブ本体23の表面に設けられたシール摺接面43に全周に亙り摺接させている。より具体的には、このシール摺接面43は、回転側フランジ25の軸方向内側面の径方向内端部に設けられた、径方向に関して軸方向位置が変化しない円輪面部44と、この円輪面部44の径方向内側に隣接して設けられた、径方向内側に向かう程軸方向内側に向かう方向に曲線的に傾斜した、母線形状が凹円弧形の曲面部(隅R部)45と、この曲面部45の軸方向内側に隣接して設けられた、軸方向に関して外径寸法が変化しない円筒面部46とから構成されている。尚、この円筒面部46と軸方向外側列の内輪軌道26aとの間には、面取り部47が設けられている。そして、本例の場合には、円筒面部46に第一シールリップ37の先端部を、曲面部45に第二シールリップ38の先端部を、円輪面部44に第三シールリップ39の先端部を、それぞれ全周に亙り摺接させている。又、この状態で、シール材33とシール摺接面43との間には、第一、第二両シールリップ37、38同士の間に挟まれた第一リップ間空間48と、第二、第三両シールリップ38、39同士の間に挟まれた第二リップ間空間49とが形成されている。
又、第一シールリップ37を、基端縁である外径側端縁から先端縁である内径側端縁に向かう程、内部空間31側に向かう方向に伸長(傾斜)させている。これにより、第一シールリップ37による、グリース漏洩防止機能を高めている。又、第二シールリップ38及び第三シールリップ39を、それぞれ基端縁から先端縁に向かう程、外部空間側に向かう(内部空間31から遠ざかる)方向に伸長(傾斜)させている。これにより、第二シールリップ38及び第三シールリップ39による、異物侵入防止機能を高めている。
又、第一〜第三シールリップ37〜39のうち、内部空間31に接する位置に配置された第一シールリップ37の基端部と、この第一シールリップ37に対して内部空間31と反対側に隣り合う位置に配置された第二シールリップ38の基端部とを、互いに結合すると共に、これら第一、第二両シールリップ37、38の基端部同士の結合部50を、芯金32よりも径方向内側に配置している。
括れ部40は、第一、第二両シールリップ37、38の基端部同士の結合部50の径方向外側に隣接し且つ芯金32(内径支持部36の内径側端部)よりも径方向内側に位置する部分に設けられている。括れ部40は、その軸方向両側面をそれぞれ軸方向に凹んだ断面円弧形状として、径方向中間部分の肉厚が径方向両端部分の肉厚に比べて小さくなる(括れる)様に形成されている。又、括れ部40の径方向外端部は、芯金32(内径支持部36)の内径側端部に近接している。そして、本例の場合には、この様な括れ部40を揺動中心として第一、第二両シールリップ37、38が揺動する事に基づき、これら第一、第二両シールリップ37、38が軸方向に関して若干移動し得る様になっている。特に、本例の場合、括れ部40の径方向外端部は、芯金32の内径側端部に近接しており、換言すれば、括れ部40の径方向外端部は、金属製で剛性の高い芯金32に支持されている。従って、この様な括れ部40を揺動中心として、第一、第二両シールリップ37、38は、安定した揺動を行える様になっている。
外径側覆部41は、芯金32を構成する外向鍔部35の軸方向外側面及び径方向外端縁面を覆う様に設けられており、外輪16の軸方向外端部外周面よりも径方向外側に突出している。
補助リップ42は、外径側覆部41の軸方向外側面の外端寄り部分から軸方向外側に突出する状態で全周に亙り設けられている。又、補助リップ42は、軸方向外側に向かう程、径方向外側に向かう方向に傾斜している。そして、この補助リップ42の先端部を、回転側フランジ25の軸方向内側面の径方向内端寄り部分に設けられた、径方向内側に向かう程軸方向内側に向かう方向に曲線状に湾曲した段部51に対し、微小隙間を介して近接対向させている。これにより、補助リップ42の先端部と段部51との間に、ラビリンスシールを形成している。
又、本例の場合、シール摺接面43のうち、第一、第二両シールリップ37、38同士の間部分で第一シールリップ37の近傍に位置する円周方向複数箇所に、それぞれ径方向内側に凹入する状態で断面円弧形状の凹部52、52が設けられている。より具体的には、シール摺接面43(円筒面部46)のうち、内部空間31の圧力P1と第一リップ間空間48の圧力P2とが互いに等しい(P1=P2の)状態で第一シールリップ37の先端部が摺接する部分に対して、軸方向外側(内部空間31と反対側)に隣り合う部分(隣接する部分又は小さい軸方向距離を置いて離間した部分)の円周方向等間隔となる複数箇所に、それぞれ径方向内側に凹入する状態で断面円弧形状の凹部52、52が設けられている。尚、本例の場合には、これら各凹部52、52のそれぞれが、特許請求の範囲に記載した除肉部に相当する。本例の場合、径方向外側から見た各凹部52、52の形状は、図4の(a)に示す様な円形状としている。但し、本発明を実施する場合、径方向外側から見た各凹部52、52の形状は、図4の(b)に示す様な円周方向に伸長する長円形状や、図4の(c)に示す様な軸方向に伸長する長円形状や、多角形等、各種の形状を採用する事ができる。
尚、本例では詳しい図示は省略するが、シールリング19、20のうち、軸方向内方のシールリング20は、単体で、又は、摺接環(スリンガ)と共に組み合わせシールリングを構成した状態で、内部空間31の軸方向内端開口部に組み付けられている。
上述の様に構成する本例の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合、ハブ17が回転すると、外輪軌道22a、22b及び内輪軌道26a、26bと各転動体18、18との転がり接触部や、第一〜第三シールリップ37〜39とシール摺接面43との摺接部(滑り接触部)等で、摩擦熱が発生する。これにより、軸受温度が上昇し、内部空間31と、第一リップ間空間48と、第二リップ間空間49との、それぞれの圧力が上昇する傾向となる。
ここで、第二シールリップ38及び第三シールリップ39は、それぞれ基端縁から先端縁に向かう程、外部空間側に向かう方向に傾斜している。この為、第一、第二両リップ間空間48、49の空気は、第二、第三両シールリップ38、39とシール摺接面43との摺接部を通じて、外部空間側に漏れ出し易くなっている。従って、第一、第二両リップ間空間48、49の圧力が上昇する傾向となった場合でも、これら第一、第二両リップ間空間48、49の空気が第二、第三両シールリップ38、39とシール摺接面43との摺接部を通じて外部空間側に漏れ出す事により、第一、第二両リップ間空間48、49の圧力の上昇を抑え易くなっている。
これに対して、第一シールリップ37は、基端縁から先端縁に向かう程、内部空間31側に向かう方向に傾斜している。即ち、第一シールリップ37の姿勢は、第一リップ間空間48の空気が、第一シールリップ37とシール摺接面43との摺接部を通じて内部空間31側に漏れ出し易い姿勢になっている反面、内部空間31の空気が、第一シールリップ37とシール摺接面43との摺接部を通じて第一リップ間空間48側(外部空間側)に漏れ出しにくい姿勢になっている。
しかしながら、本例の場合、内部空間31の圧力が上昇する事により、この内部空間31の圧力P1が第一リップ間空間48の圧力P2よりも高くなる(P1>P2の)傾向となった場合には、括れ部40を揺動中心として第一、第二両シールリップ37、38が揺動する事に基づき、これら第一、第二両シールリップ37、38が軸方向外側に向け若干移動する。これと共に、第一シールリップ37が内部空間31の圧力P1に押されて湾曲する。これにより、内部空間31の圧力P1が第一リップ間空間48の圧力P2よりも所定量以上大きくなった段階で、第一シールリップ37の先端部が、シール摺接面43のうちで各凹部52が設けられた軸方向範囲に乗り上がる{図3の(a)(b)参照}。
この結果、例えば図3(b)に示す様に、第一シールリップ37の先端部のうち凹部52に掛った部分が、先端縁部をシール摺接面43から少し浮き上がらせる様な態様で弾性変形する。そして、この様な弾性変形が生じた部分(第一シールリップ37の先端部のうち凹部52に掛った部分)を通じて、内部空間31の空気が第一リップ間空間48に漏れ出し易く(移動し易く)なる。或いは、図示は省略するが、第一シールリップ37の先端部のうち凹部52に掛った部分で、内部空間31と第一リップ間空間48とが凹部52を通じて連通する。そして、この様に連通した部分を通じて、内部空間31の空気が第一リップ間空間48に、より漏れ出し易くなる。
従って、本例の場合には、内部空間31の圧力P1が第一リップ間空間48の圧力P2よりも高くなる(P1>P2の)傾向となった場合でも、上述の様に第一シールリップ37の先端部のうち凹部52に掛った部分を通じて内部空間31の空気が第一リップ間空間48側に漏れ出す事により、これら内部空間31と第一リップ間空間48との圧力差を低減又は解消する事ができる。これにより、第一シールリップ37とシール摺接面43との摺接部に作用する摩擦力の増大を抑制する事ができる。
更に、本例の場合には、その後、ハブ17の回転が停止して軸受温度が低下する事により、第一リップ間空間48の空気が収縮して、この第一リップ間空間48の圧力P2が内部空間31の圧力P1よりも低くなる(P1>P2の)傾向となった場合に関しても、上述した内部空間31の圧力上昇時と同様の作用により、第一シールリップ37の先端部が凹部52に掛かり、この凹部52に掛った部分を通じて、内部空間31の空気が第一リップ間空間48側に漏れ出す事により、これら内部空間31と第一リップ間空間48との圧力差を低減又は解消する事ができる。これにより、第一シールリップ37とシール摺接面43との摺接部に作用する摩擦力の増大を抑制する事ができる。
尚、本発明を実施する場合、内部空間31の圧力P1が第一リップ間空間48の圧力P2よりも所定量以上大きくなった段階で、第一シールリップ37の先端部のうち凹部52に掛った部分(この部分に形成された隙間)を通じて、内部空間31の空気が第一リップ間空間48側に漏れ出し易くなると言った効果を得られるのであれば、凹部52の深さ(径方向幅寸法)は、特に問わない。本例の場合には、その様な条件下で、凹部52の深さを、第一シールリップ37の先端部の肉厚以下の大きさとしている。
又、本例の場合、凹部52の内面とシール摺接面43との連続部(凹部52の開口縁部)は、滑らかな面(面取り部)とする事により、第一シールリップ37の先端部のうち凹部52に掛った部分が損傷するのを防止できる様にしている。
又、本例の場合、内部空間31の圧力が上昇した場合に、第二シールリップ38の先端部は括れ部40を揺動中心として軸方向外側且つ径方向外側に僅かに揺動変位するが、第二シールリップ38の先端部は、断面円弧形状の曲面部45に摺接している。この為、内部空間31の圧力が上昇した場合にも、曲面部45に対する第二シールリップ38の先端部の締め代の変化を小さく抑えられる。
[実施の形態の第2例]
本発明の実施の形態の第2例に就いて、図5〜6により説明する。
本例の場合には、シール摺接面43aのうち、各凹部52a、52が設けられた部分の形状が、上述した実施の形態の第1例の場合と異なる。
即ち、本例の場合、シール摺接面43aは、曲面部45と円筒面部46との間部分に、軸方向外側(軸方向に関して内部空間31と反対側)に向かう程径方向外側に向かう方向に傾斜した、母線形状が直線形状である傾斜面部(テーパ面部)53を有している。そして、この傾斜面部53の軸方向内端部の円周方向等間隔となる複数箇所に凹部52a、52aがそれぞれ設けられている。
一方、本例の場合、内部空間31の圧力P1と第一リップ間空間48の圧力P2とが互いに等しい(P1=P2の)状態で、第一シールリップ37の先端部を、円筒面部46の軸方向外端部に全周に亙り摺接させている。従って、本例の場合も、シール摺接面43aのうち、内部空間31の圧力P1と第一リップ間空間48の圧力P2とが互いに等しい(P1=P2の)状態で第一シールリップ37の先端部が摺接する部分に対して、軸方向外側(内部空間31と反対側)に隣り合う部分の円周方向複数箇所に凹部52a、52aが設けられている。
上述の様な構成を有する本例の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、ハブ本体23を造る為の中間素材に鍛造加工を施す事により、この中間素材の外周面に傾斜面部53を形成するのと同時に、各凹部52a、52aを形成する事ができる。
即ち、この場合には、当該鍛造加工を行う為の金型(鍛造型)の内周面に、傾斜面部53を形成する為の円すい凹面部と、各凹部52a、52aを形成する為の複数の凸部とを設けておく。そして、この金型の内径側に前記中間素材を軸方向外側から押し込む事により、この中間素材の外周面に傾斜面部53と各凹部52a、52aとを同時に形成する。この様に形成された各凹部52a、52aの軸方向内端部は軸方向内側に開口している為、その後、前記金型の内径側から前記中間素材を軸方向外側に引き抜く事ができる。
尚、本例の場合、各凹部52a、52aを形成する為の鍛造加工は、傾斜面部53を形成する為の鍛造加工を行った後に、別途行う事もできる。
何れにしても、上述の様に各凹部52a、52aを鍛造加工により形成した後は、これら各凹部52a、52aが形成された傾斜面部53に、仕上げの切削加工や研削加工を施す。尚、本例の場合、傾斜面部53は部分円すい面形状である為、径方向外側から見た各凹部52a、52aの形状は、例えば図6に示す様な、軸方向内側に向かう程円周方向の幅寸法が小さくなる略三角形状(滴形状)となる。
上述の様に本例の場合には、各凹部52a、52aを形成するのが容易となる為、製造コストの低減を図れる。
尚、本発明を実施する場合には、図5に鎖線αで示す様に、円筒面部46が存在する軸方向範囲まで、傾斜面部53を軸方向内側に延長して設ける事もできる。この場合には、この延長した部分に、第一シールリップ37の先端部を全周に亙り摺接させる。
その他の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第3例]
本発明の実施の形態の第3例に就いて、図7により説明する。
本例の場合には、シール摺接面43bを、ハブ本体23とは別体に造られた摺接環(スリンガ)54の表面に設けている点が、上述した実施の形態の第1例の場合と異なる。
摺接環54は、防錆性能を持つ鋼板等の金属板に打ち抜き及び曲げ等のプレス加工を施す事により、断面略C字形で全体を円環状に構成されており、ハブ本体23の外周面のうち、回転側フランジ25の軸方向内側に隣接する部分に外嵌固定されている。
より具体的には、摺接環54は、内径側円筒部55と、この内径側円筒部55の軸方向外端部に軸方向内端部を連続させた、軸方向外側に向かう程径方向外側に向かう方向に曲線的に傾斜した断面円弧形の内径側曲板部56と、この内径側曲板部56の径方向外端部に径方向内端部を連続させた円輪板部57と、この円輪板部57の径方向外端部に径方向内端部を連続させた、径方向外側に向かう程軸方向内側に向かう方向に曲線的に傾斜した断面円弧形の外径側曲板部58と、この外径側曲板部58の軸方向内端部に軸方向外端部を連続させた、外径側円筒部59とを有する。そして、このうちの内径側円筒部55を、ハブ本体23の外周面のうち、回転側フランジ25の軸方向内側に隣接する部分(円筒面部46)に締り嵌めで外嵌固定している。これと共に、円輪板部57の軸方向外側面を、回転側フランジ25の軸方向内側面の径方向内端部(円輪面部44)に当接させている。
又、本例の場合、シール摺接面43bは、円輪板部57の軸方向内側面と、内径側曲板部56の外周面と、内径側円筒部55の外周面とから構成されている。そして、本例の場合には、このうちの内径側円筒部55の外周面に第一シールリップ37の先端部を、内径側曲板部56の外周面に第二シールリップ38の先端部を、円輪板部57の軸方向内側面に第三シールリップ39の先端部を、それぞれ全周に亙り摺接させている。又、この状態で、シールリング19aを構成するシール材33aとシール摺接面43bとの間には、第一、第二両シールリップ37、38同士の間に挟まれた第一リップ間空間48と、第二、第三両シールリップ38、39同士の間に挟まれた第二リップ間空間49とが形成されている。
又、本例の場合、シール摺接面43b(内径側円筒部55の外周面)のうち、内部空間31の圧力P1と第一リップ間空間48の圧力P2とが互いに等しい(P1=P2の)状態で第一シールリップ37の先端部が摺接する部分に対して、軸方向外側に隣り合う部分の円周方向等間隔となる複数箇所に、それぞれ径方向に凹入する状態で貫通孔60が設けられている。尚、本例の場合には、これら各貫通孔60が、それぞれ特許請求の範囲に記載した除肉部に相当する。これら各貫通孔60は、それぞれ内径側円筒部55を径方向に貫通する状態で設けられている。
又、本例の場合、径方向外側から見た各貫通孔60の形状は、図4の(a)に示した各凹部52、52と同様の円形状としている。但し、本発明を実施する場合、径方向外側から見た各貫通孔60の形状は、図4の(b)に示した各凹部52、52と同様の、円周方向に伸長する長円形状や、図4の(c)に示した各凹部52、52と同様の、軸方向に伸長する長円形状や、多角形等、各種の形状を採用する事ができる。
又、本例の場合、シールリング19aを構成するシール材33aは、補助リップ42(図2参照)を有していない。その代わりに、このシール材33aは、外径側覆い部41の径方向外端部を、摺接環54を構成する外径側円筒部59の内周面に対し、微小隙間を介して近接対向させている。これにより、外径側覆い部41の径方向外端部と外径側円筒部59の内周面との間に、ラビリンスシールを形成している。
上述の様な構成を有する本例の場合には、それぞれが除肉部である各貫通孔60を、摺接環54の成形時にプレス加工によって容易且つ低コストで形成できる。
その他の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第4例]
本発明の実施の形態の第4例に就いて、図8により説明する。
本例の場合には、内部空間31の軸方向内端開口を塞ぐシールリング20及びその周辺部分の構造を工夫した点が、上述した実施の形態の第1例の場合と異なる。
本例の場合、シールリング20は、摺接環(スリンガ)61と組み合わせる事で、組み合わせシールリングを構成している。
このうちの摺接環61は、防錆性能を持つ鋼板等の金属板に打ち抜き及び曲げ等のプレス加工を施す事により、断面L字形で全体を円環状に構成されたもので、回転側円筒部62と、この回転側円筒部62の軸方向内端部から径方向外方に折れ曲がる状態で設けられた円輪状の回転側側板部63とを有する。そして、これら回転側円筒部62の外周面及び回転側側板部63の軸方向外側面を、シール摺接面64としている。この様な摺接環61は、回転側円筒部62を、ハブ17を構成する内輪24の軸方向内端部に締り嵌めで外嵌した状態で、このハブ17に支持固定されている。
又、シールリング20は、芯金65と、シール材66とから構成されている。
このうちの芯金65は、鋼板等の金属板に打ち抜き及び曲げ等のプレス加工を施す事により、断面L字形で全体を円環状に構成されたもので、静止側円筒部67と、この静止側円筒部67の軸方向外端部から径方向内方に折れ曲がる状態で設けられた略円輪状の静止側側板部68とを有する。この様な芯金65は、静止側円筒部67を外輪16の軸方向内端部に締り嵌めで内嵌した状態で、この外輪16に支持固定されている。
シール材66は、ゴムの如きエラストマー等の弾性材製で、芯金65の全周に結合固定されている。この様なシール材66は、3本のシールリップ69〜71と、括れ部72とを有している。
3本のシールリップ69〜71は、内部空間31に近い側から、第一シールリップ69、第二シールリップ70、第三シールリップ71の順に配置されており、それぞれの先端部を、シール摺接面64に全周に亙り摺接させている。より具体的には、このシール摺接面64を構成する回転側円筒部62の外周面に第一、第二両シールリップ69、70の先端部を、同じく回転側側板部63の軸方向外側面に第三シールリップ71の先端部を、それぞれ全周に亙り摺接させている。又、この状態で、シール材66とシール摺接面64との間には、第一、第二両シールリップ69、70同士の間に挟まれた第一リップ間空間73と、第二、第三両シールリップ70、71同士の間に挟まれた第二リップ間空間74とが形成されている。
又、第一シールリップ69を、基端縁である外径側端縁から先端縁である内径側端縁に向かう程、内部空間31側に向かう方向に伸長(傾斜)させている。これにより、第一シールリップ69による、グリース漏洩防止機能を高めている。又、第二シールリップ70及び第三シールリップ71を、それぞれ基端縁から先端縁に向かう程、外部空間側に向かう(内部空間31から遠ざかる)方向に伸長(傾斜)させている。これにより、第二シールリップ70及び第三シールリップ71による、異物侵入防止機能を高めている。
又、第一〜第三シールリップ69〜71のうち、内部空間31に接する位置に配置された第一シールリップ69の基端部と、この第一シールリップ69に対して内部空間31と反対側に隣り合う位置に配置された第二シールリップ70の基端部とを、互いに結合すると共に、これら第一、第二両シールリップ69、70の基端部同士の結合部75を、芯金65(静止側側板部68の内径側端部)よりも径方向内側に配置している。
括れ部72は、第一、第二両シールリップ69、70の基端部同士の結合部75の径方向外側に隣接し且つ芯金65(静止側側板部68の内径側端部)よりも径方向内側に位置する部分に設けられている。括れ部40の径方向外端部は、芯金65(静止側側板部68)の内径側端部に近接している。そして、本例の場合には、この様な括れ部72を揺動中心として第一、第二両シールリップ69、70が揺動する事に基づき、これら第一、第二両シールリップ69、70が軸方向に関して若干移動し得る様になっている。
又、本例の場合、シール摺接面64(回転側円筒部62の外周面)のうち、内部空間31の圧力P1と第一リップ間空間73の圧力P2とが互いに等しい(P1=P2の)状態で第一シールリップ69の先端部が摺接する部分に対して、軸方向内側(内部空間31と反対側)に隣り合う部分(隣接する部分又は小さい軸方向距離を置いて離間した部分)の円周方向等間隔となる複数箇所に、それぞれ径方向に凹入する状態で貫通孔76が設けられている。尚、本例の場合には、これら各貫通孔76のそれぞれが、特許請求の範囲に記載した除肉部に相当する。
又、本例の場合、径方向外側から見た各貫通孔76の形状は、図4の(a)に示した各凹部52、52と同様の円形状としている。但し、本発明を実施する場合、径方向外側から見た各貫通孔76の形状は、図4の(b)に示した各凹部52、52と同様の、円周方向に伸長する長円形状や、図4の(c)に示した各凹部52、52と同様の、軸方向に伸長する長円形状や、多角形等、各種の形状を採用する事ができる。
上述の様な構成を有する本例の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合、内部空間31の圧力P1が第一リップ間空間73の圧力P2よりも高くなる(P1>P2の)傾向となった場合には、内部空間31の軸方向外端開口を塞ぐシールリング19(図2参照)の場合と同様の態様で、括れ部72及び第一、第二両シールリップ69、70が弾性変形及び軸方向移動する事により、第一シールリップ69とシール摺接面64との摺接部のうち、各貫通孔76に掛かった部分を通じて、内部空間31の空気が第一リップ間空間73側に漏れ出し易くなる。この為、内部空間31の圧力P1が第一リップ間空間73の圧力P2よりも高くなる(P1>P2の)傾向となった場合でも、内部空間31の空気が各貫通孔76に対応する部分を通じて第一リップ間空間73側に漏れ出す事により、これら内部空間31と第一リップ間空間73との圧力差を低減又は解消する事ができる。これにより、第一シールリップ69とシール摺接面64との摺接部に作用する摩擦力の増大を抑制する事ができる。
その他の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例又は第3例の場合と同様である。
本発明は、上述した各実施の形態の構成を適宜組み合わせて実施する事ができる。
又、本発明を実施する場合、凹部や貫通孔等の除肉部は、シール摺接面の円周方向1箇所にのみ設ける構成を採用する事もできる。
本発明の転がり軸受装置は、駆動輪用の車輪支持用転がり軸受ユニットに限らず、従動輪用の車輪支持用転がり軸受ユニットにも適用可能である。
又、本発明の転がり軸受装置は、車輪支持用転がり軸受ユニットに限らず、各種機械装置の回転支持部分に組み込まれる転がり軸受装置に適用可能である。
1 外輪
2 ハブ
3 転動体
4 外輪軌道
5 内輪軌道
6 内部空間
7 シールリング
8 芯金
9 シール材
10 第一シールリップ
11 第二シールリップ
12 第三シールリップ
13 シール摺接面
14 第一リップ間空間
15 第二リップ間空間
16 外輪
17 ハブ
18 転動体
19、19a シールリング
20 シールリング
21 静止側フランジ
22a、22b 外輪軌道
23 ハブ本体
24 内輪
25 回転側フランジ
26a、26b 内輪軌道
27 小径段部
28 スプライン孔
29 かしめ部
30a、30b 保持器
31 内部空間
32 芯金
33、33a シール材
34 嵌合筒部
35 外向鍔部
36 内径支持部
37 第一シールリップ
38 第二シールリップ
39 第三シールリップ
40 括れ部
41 外径側覆い部
42 補助リップ
43、43a、43b シール摺接面
44 円輪面部
45 曲面部
46 円筒面部
47 面取り部
48 第一リップ間空間
49 第二リップ間空間
50 結合部
51 段部
52、52a 凹部
53 傾斜面部
54 摺接環
55 内径側円筒部
56 内径側曲板部
57 円輪板部
58 外径側曲板部
59 外径側円筒部
60 貫通孔
61 摺接環
62 回転側円筒部
63 回転側側板部
64 シール摺接面
65 芯金
66 シール材
67 静止側円筒部
68 静止側側板部
69 第一シールリップ
70 第二シールリップ
71 第三シールリップ
72 括れ部
73 第一リップ間空間
74 第二リップ間空間
75 結合部
76 貫通孔

Claims (3)

  1. 内周面に外輪軌道を有し、使用時にも回転しない外径側軌道輪と、
    外周面に内輪軌道を有し、使用時に回転する内径側軌道輪と、
    前記外輪軌道と前記内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体と、
    前記外径側軌道輪の内周面と前記内径側軌道輪の外周面との間に存在する前記複数個の転動体が設けられた内部空間の軸方向端部開口を塞ぐシールリングとを備え、
    前記シールリングは、前記外径側軌道輪の軸方向端部に固定された円環状の芯金と、この芯金の全周に固定されたシール材とを有しており、
    前記シール材は、前記内部空間に接する位置に配置されると共に基端部から先端部に向かう程前記内部空間側に向かう方向に伸長した第一シールリップと、この第一シールリップに対して前記内部空間と反対側に隣り合う位置に配置された第二シールリップと有し、これら第一、第二両シールリップの先端部を、前記内径側軌道輪又はこの内径側軌道輪に固定された他の部材の表面に設けられたシール摺接面にそれぞれ摺接させている
    転がり軸受装置であって、
    前記シール材は、前記第一、第二両シールリップの基端部同士を結合すると共に、これら第一、第二両シールリップの基端部同士の結合部の径方向外側に隣接し且つ前記芯金よりも径方向内側に位置する部分に括れ部を有しており、
    前記シール摺接面のうち、前記第一、第二両シールリップ同士の間部分で前記第一シールリップの近傍に位置する円周方向1乃至複数箇所に、径方向に凹入する状態で除肉部が設けられている
    事を特徴とする転がり軸受装置。
  2. 前記シール摺接面が、前記内径側軌道輪の表面に設けられていると共に、前記シール摺接面のうちの少なくとも一部分が、軸方向に関して前記内部空間と反対側に向かう程外径寸法が大きくなる方向に傾斜した傾斜面部になっており、
    前記除肉部が、前記傾斜面部に設けられている
    請求項1に記載した転がり軸受装置。
  3. 前記シール摺接面が、前記内径側軌道輪に固定された他の部材である摺接環の表面に設けられており、
    前記除肉部が、前記摺接環を貫通する状態で設けられている
    請求項1に記載した転がり軸受装置。
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