JP2005048895A - シールリング及びシールリング付転がり軸受ユニット - Google Patents

シールリング及びシールリング付転がり軸受ユニット Download PDF

Info

Publication number
JP2005048895A
JP2005048895A JP2003282383A JP2003282383A JP2005048895A JP 2005048895 A JP2005048895 A JP 2005048895A JP 2003282383 A JP2003282383 A JP 2003282383A JP 2003282383 A JP2003282383 A JP 2003282383A JP 2005048895 A JP2005048895 A JP 2005048895A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ring
seal
diameter side
side seal
seal lip
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003282383A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4483220B2 (ja
JP2005048895A5 (ja
Inventor
Hiromitsu Asai
拡光 浅井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2003282383A priority Critical patent/JP4483220B2/ja
Publication of JP2005048895A publication Critical patent/JP2005048895A/ja
Publication of JP2005048895A5 publication Critical patent/JP2005048895A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4483220B2 publication Critical patent/JP4483220B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/72Sealings
    • F16C33/76Sealings of ball or roller bearings
    • F16C33/78Sealings of ball or roller bearings with a diaphragm, disc, or ring, with or without resilient members
    • F16C33/7869Sealings of ball or roller bearings with a diaphragm, disc, or ring, with or without resilient members mounted with a cylindrical portion to the inner surface of the outer race and having a radial portion extending inward
    • F16C33/7873Sealings of ball or roller bearings with a diaphragm, disc, or ring, with or without resilient members mounted with a cylindrical portion to the inner surface of the outer race and having a radial portion extending inward with a single sealing ring of generally L-shaped cross-section
    • F16C33/7876Sealings of ball or roller bearings with a diaphragm, disc, or ring, with or without resilient members mounted with a cylindrical portion to the inner surface of the outer race and having a radial portion extending inward with a single sealing ring of generally L-shaped cross-section with sealing lips
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C19/00Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement
    • F16C19/02Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows
    • F16C19/14Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for both radial and axial load
    • F16C19/18Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for both radial and axial load with two or more rows of balls
    • F16C19/181Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for both radial and axial load with two or more rows of balls with angular contact
    • F16C19/183Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for both radial and axial load with two or more rows of balls with angular contact with two rows at opposite angles
    • F16C19/184Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for both radial and axial load with two or more rows of balls with angular contact with two rows at opposite angles in O-arrangement
    • F16C19/186Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for both radial and axial load with two or more rows of balls with angular contact with two rows at opposite angles in O-arrangement with three raceways provided integrally on parts other than race rings, e.g. third generation hubs
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C2326/00Articles relating to transporting
    • F16C2326/01Parts of vehicles in general
    • F16C2326/02Wheel hubs or castors

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Sealing Of Bearings (AREA)
  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Abstract

【課題】 シール性の確保と低トルク化とを高次元で両立させると共に、外径側、内径側各サイドシールリップ18a、19bの締め代が変化する場合でも、これら各サイドシールリップ18a、19bの先端縁と相手面との摺接部での接触荷重を十分に抑える。
【解決手段】 上記各サイドシールリップ18a、19bの基端部近傍に厚さが最も小さい最小肉厚部28、29を設ける。これら各サイドシールリップ18a、19bの厚さを、これら最小肉厚部28、29から、先端縁の近傍に設けた最大肉厚部30、31に向かうに従って大きくする。上記各サイドシールリップ18a、19bの先端縁を、取付フランジ3の側面とこの側面と円筒面34との連続部である曲面部27に、全周に亙り摺接させる。
【選択図】 図2

Description

この発明は、例えば車両(自動車)の車輪を懸架装置に支持する為の車輪支持用転がり軸受ユニット等、各種機械装置の回転支持部に組み込む転がり軸受の開口端部を塞ぐ為のシールリング及びこのシールリングを備えたシールリング付転がり軸受ユニットの改良に関する。
各種機械装置の回転支持部に、玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受等の転がり軸受が組み込まれている。この様な転がり軸受には密封装置を組み込んで、この転がり軸受の内部空間に封入したグリースが外部に漏洩する事を防止すると共に、外部に存在する雨水、泥、塵等の各種異物が転がり軸受の内部に入り込む事を防止している。図9は、この様な密封装置の一種であるシールリングを備えた、シールリング付転がり軸受ユニットの1例として、車両の従動輪(FF車の後輪、FR車、RR車の前輪)を懸架装置に回転自在に支持する為の構造を示している。
上記シールリング付転がり軸受ユニットは、次述する内輪素子1と共に内輪相当部材を構成するハブ2の外(軸方向に関して外とは、車両への組み付け状態で幅方向外寄りとなる側を言い、図1〜3、9〜11の左側。これに対して、軸方向に関して内とは、幅方向中央寄りとなる側を言い、図1〜3、9〜11の右側。本明細書全体で同じ。)端部外周面に、車輪を結合固定する為の外向フランジ3を形成している。又、上記ハブ2の中間部外周面に、内輪軌道4aと段部5とを形成している。又、このハブ2の内端寄り部分外周面に、その外周面に内輪軌道4bを形成した内輪素子1を、その外端面を上記段部5に突き当てた状態で、外嵌支持している。
又、上記ハブ1の内端部には、雄ねじ部6を形成している。そして、この雄ねじ部6にナット7を螺合し、更に緊締する事により、上記内輪素子1をハブ2の外周面の所定部分に固定している。このハブ2の周囲に配置した外輪相当部材である、外輪8の中間部外周面にはこの外輪8を懸架装置に固定する為の、外向フランジ状の取付部9を設けている。又、この外輪8の内周面には、それぞれが上記各内輪軌道4a、4bに対向する、外輪軌道10a、10bを形成している。そして、これら各内輪軌道4a、4bと各外輪軌道10a、10bとの間に、それぞれ複数個ずつの転動体11、11を設けて、上記外輪8の内側での上記ハブ2の回転を自在としている。尚、これら各転動体11、11は、各列毎にそれぞれ保持器12、12により転動自在に保持している。
又、上記外輪8の外端部内周面とハブ2の外周面との間には、シールリング13を装着している。そして、このシールリング13により、外輪8の内周面と上記ハブ2及び内輪素子1の外周面との間に存在し、上記複数個の転動体11、11を設けた内部空間14の外端開口部を塞いでいる。又、上記外輪8の内端開口部をカバー15で塞ぐ事により、この内端開口部から上記内部空間14内への塵芥や雨水等の異物の侵入防止及びこの内部空間14内に充填したグリースの外部への漏洩防止を図っている。
上記内部空間14内への異物侵入防止とこの内部空間14内に充填したグリースの漏洩防止とを十分に図る為には、上記シールリング13のシール性能を確保する必要がある。この様な目的で考えられた従来構造の第1例のシールリングとして、特許文献1に、図10に示す様な形状のシールリング13が記載されている。このシールリング13は、それぞれが円輪状に形成された芯金16とシール材17とから構成している。このうちの芯金16は、金属板により造り、外輪8の外端部に内嵌固定している。又、上記シール材17は、ゴムの如きエラストマー等の弾性材により造り、上記芯金16に、焼き付け等により結合固定している。又、このシール材17は、外径側、内径側、2本のサイドシールリップ18、19と、1本のラジアルシールリップ20とを備える。そして、これら2本のサイドシールリップ18、19を、先端縁に向かう程直径方向外方に向かう方向に傾斜させている。又、このラジアルシールリップ20を、先端縁に向かう程軸方向内方に傾斜させている。そして、上記外径側、内径側各サイドシールリップ18、19の先端縁を、ハブ2に設けた外向フランジ3の内側面に摺接させると共に、上記ラジアルシールリップ20の先端縁を、このハブ2の中間部外周面に摺接させている。又、上記外径側、内径側各サイドシールリップ18、19及びラジアルシールリップ20の厚さを、全長に亙りほぼ同じとしている。又、これら外径側、内径側各サイドシールリップ18、19を、互いに同形状に形成している。
尚、図9に示したシールリング付転がり軸受ユニットの場合には、前記内部空間14の内端開口部をカバー15により塞いでいるが、この内端開口部を、円環状のシールリングにより塞ぐ場合もある。
上述の図10に示した従来構造の第1例のシールリング13の場合には、次の様な問題がある。即ち、この第1例のシールリング13の場合には、外径側、内径側両サイドシールリップ18、19を互いに同形状に形成すると共に、これら各サイドシールリップ18、19の厚さを、それぞれ全長に亙りほぼ同じとしている。この様なシールリング13の場合には、これら各サイドシールリップ18、19の全体が大きく湾曲変形する事により、これら各サイドシールリップ18、19の先端縁と相手面との接触部に作用する接触圧を受ける。
又、上記シールリング13により十分なシール性を確保しようとすると、ハブ2を回転させる為に要するトルク(摺動トルク)が増大する。そして、このトルク増大に基づき、シールリング付転がり軸受ユニットを組み込んだ自動車の燃費性能及び運動性能が悪化する。即ち、上記シール性を確保する為には、上記各サイドシールリップ18、19の剛性、特に直接異物に曝される外径側サイドシールリップ18の剛性を向上させて、この外径側サイドシールリップ18の先端縁と外向フランジ3の側面との当接圧(接触荷重)を高くしたり、この外径側サイドシールリップ8の締め代を大きくする必要がある。これに対して、図10に示した従来構造の第1例のシールリング13の場合には、上記外径側、内径側各サイドシールリップ18、19を互いに同形状に形成しているので、上記外径側サイドシールリップ18の先端縁と外向フランジ3の側面との当接圧を高くすると、この側面と上記内径側サイドシールリップ19との当接圧も高くなって、上記トルクの増大が過大になる。
又、上記シール性を確保すべく、上記外径側サイドシールリップ18の締め代を大きくする場合には、この外径側サイドシールリップ18の全体が大きくしなり、この外径側サイドシールリップ18の先端縁の接触部の形状が大きく変化する。この為、この先端縁と外向フランジ3の側面との接触面積が大きくなり、摺動トルクが増大する。これに対して、上記締め代を小さくすると、この接触面積が小さくなり、摺動トルクが小さくなるが、十分なシール性を確保する事が難しくなり、寿命が低下する。この様に、従来構造の第1例の場合には、十分なシール性を確保しつつ低トルク化を図る事は難しい。
この様な事情に鑑みて、特許文献2には、図11に示す様に、十分なシール性を確保しつつトルク低減を図る事を目的として考えられたシールリング13aが記載されている。この特許文献2に記載された、従来構造の第2例のシールリング13aの場合には、内径側サイドシールリップ19aの厚さを、外径側サイドシールリップ18の厚さよりも小さくしている。この為、従来構造の第2例のシールリング13aの場合には、上述の図10に示した従来構造の第1例のシールリング13よりは摺動トルクを小さくできる。但し、従来構造の第2例の場合も、上述の従来構造の第1例の場合と同様に、上記各サイドシールリップ18、19aの厚さを全長に亙りほぼ同じとしている。この為、シール性の更なる向上を図るべく、これら各サイドシールリップ18、19aの締め代を大きくした場合に、これら各サイドシールリップ18、19aの先端縁の接触部の形状が大きく変化して、この先端縁と外向フランジの側面との接触面積が大きくなり、摺動トルクが増大する可能性がある。この為、従来構造の第2例の場合には、十分なシール性を確保しつつ低トルク化を図る事には未だ改良の余地がある。
特に、上述の様なシールリング13、13aを組み込んだ、自動車の車輪支持用の転がり軸受ユニットの場合には、外径側、内径側各サイドシールリップ18、19、19aと相手面との摺接状態が、車両の走行時に於ける各部の弾性変形により不適正になり易い。即ち、自動車の車輪支持用のシールリング付転がり軸受ユニットの場合には、車両の旋回走行時に車輪を構成するタイヤの接地面から外向フランジ3を介してハブ2に加わるモーメント等に基づく転がり軸受ユニットの構成各部材の弾性変形により、ハブ2の中心軸が中立状態に対し急激に傾斜したり、この中心軸が中立状態に対しずれる(偏心する)場合がある。この様な場合には、上記各サイドシールリップ18、19、19aの先端縁と相手面との摺接状態が円周方向に関して不均一になる可能性がある。例えば、ハブ2の中心軸が中立状態に対し急激に傾斜した場合には、上記各サイドシールリップ18、19、19aと相手面との摺接部の円周方向一部で、これら各サイドシールリップ18、19、19aの締め代が低下し、この一部と径方向反対側部分で、この締め代が増大する。又、上記中心軸が偏心した場合には、上記各サイドシールリップ18、19、19aの先端縁の円周方向一部のみが、取付フランジ3の側面とハブ2の外周面に設けた円筒面との連続部である曲面部に摺接して、円周方向一部で締め代が増大する可能性がある。この様に、上記摺接状態が円周方向に関して不均一になる為、上記各サイドシールリップ18、19、19aの摺動トルクの増大やシール性能の低下と言った問題を生じ易い。
実開平7−34224号公報 特開平9−287619号公報
本発明のシールリング及びシールリング付転がり軸受ユニットは、上述の様な事情に鑑みて、組み付け誤差や車両の旋回走行等に基づき、外径側、内径側各サイドシールリップと相手面との締め代が変化する場合でも、当該摺接部での接触荷重の変化を十分に抑える事ができ、しかも、シール性(密封性)の確保と低トルク化とを高次元で両立できる構造を実現すべく発明したものである。
本発明のシールリング及びシールリング付転がり軸受ユニットのうち、請求項1に記載したシールリングは、前述した従来から知られているシールリングと同様に、互いに相対回転する内輪相当部材の外周面と外輪相当部材の内周面との間を塞ぐ為、弾性材により全体を円環状に造られたシール材を備え、このシール材が、使用時に、それぞれの先端縁を側方に存在する側面若しくは径方向に存在する円筒面とこの側面との連続部に存在する曲面部に全周に亙り摺接させる外径側サイドシールリップ及び内径側サイドシールリップと、その先端縁を径方向に存在する円筒面に全周に亙り摺接させるラジアルシールリップとを備えたものである。
特に、本発明のシールリングに於いては、上記外径側、内径側両サイドシールリップのうちの少なくとも一方のサイドシールリップは、基端部近傍に厚さが最も小さい最小肉厚部が存在し、この最小肉厚部から先端縁に向かう程厚さが漸増しており、この先端縁の近傍に厚さが最も大きい最大肉厚部が存在する形状を有するものである。
上述の様に構成する本発明のシールリング及びこれを組み込んだシールリング付転がり軸受ユニットの場合には、外径側、内径側各サイドシールリップのうちの少なくとも一方のサイドシールリップを、基端部近傍に設けた最小肉厚部から先端縁の近傍に存在する最大肉厚部に向けて厚さが漸増する形状としている。この為、上記一方のサイドシールリップの先端寄り部分を大きく湾曲させる事なく、この一方のサイドシールリップの基端部近傍を変形させる事により、締め代を大きくして、シール性(密封性)を確保できる。又、上記一方のサイドシールリップの先端縁の近傍に最大肉厚部を設けている為、この先端縁が摩耗した場合でも、この一方のサイドシールリップの先端寄り部分が大きく変形する事を防止できる。従って、当該摺接部での接触荷重の増大を抑える事ができ、シール性の確保と低トルク化とを高次元で両立させる事ができる。
更に、上記一方のサイドシールリップの締め代が変化する場合でも、当該摺接部での接触荷重の変化を十分に抑える事ができる。即ち、上記一方のサイドシールリップは、基端部近傍に設けた最小肉厚部から先端縁の近傍に存在する最大肉厚部に向けて厚さが漸増する形状としている。この為、上記一方のサイドシールリップの先端縁を相手面に当接させた場合で、各部の寸法誤差や、組み付け誤差や、旋回走行時に生じるハブの中心軸の傾斜等に起因して、上記一方のサイドシールリップの締め代が変化した場合でも、この一方のサイドシールリップの先端寄り部分が大きく湾曲する事を防止できる。従って、当該摺接部での接触面積の変化を抑えて、この摺接部での接触荷重の変化を十分に抑える事ができ、低トルク化を図り易くなる。
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、シール性の確保と低トルク化とを高次元で両立させる事ができ、しかも、外径側サイドシールリップの締め代が変化する場合でも、当該摺接部での接触荷重の変化を十分に抑える事ができる。
又、好ましくは、請求項2に記載した様に、上記ラジアルシールリップを、基端部近傍に厚さが最も小さい最小肉厚部が存在し、この最小肉厚部から先端縁に向かう程厚さが漸増しており、この先端縁の近傍に厚さが最も大きい最大肉厚部が存在する形状を有するものとする。
この様に構成すれば、ラジアルシールリップの先端縁の締め代の変化に対する、当該摺接部での接触荷重の変化も抑える事ができる。この為、シール性の確保と低トルク化とを高次元で両立させる事ができる。
又、請求項3に記載したシールリング付転がり軸受ユニットは、やはり前述した従来から知られているシールリング付転がり軸受ユニットと同様に、内周面に複列の外輪軌道を有する外輪相当部材と、外周面の一部でこれら各外輪軌道と対向する部分に複列の内輪軌道を、外周面の残部で上記外輪相当部材の一端開口から突出した部分に外向フランジを、それぞれ有する内輪相当部材と、上記各外輪軌道と各内輪軌道との間にそれぞれ複数個ずつ転動自在に設けられた転動体と、上記外輪相当部材の一端開口部と上記内輪相当部材との間の環状隙間を塞ぐシールリングとを備える。
特に、上記請求項3に記載したシールリング付転がり軸受ユニットに於いては、上記シールリングが、上述した請求項1又は請求項2の何れかに記載したシールリングである。 尚、上記シールリング付転がり軸受ユニットには、外輪相当部材と内輪相当部材とのうちの一方の部材で使用時に回転する部材が、使用時に車輪を結合固定するハブであり、上記外輪相当部材と内輪相当部材とのうちの他方の部材で使用時にも回転しない部材が、使用時に懸架装置に支持される静止輪である、所謂ハブユニットを含む。
図1〜2は、本発明の実施例1を示している。尚、本例の特徴は、複数の転動体11を設けた内部空間14の外端開口部を塞ぐシールリング13bを構成する外径側、内径側各サイドシールリップ18a、19bの形状を工夫する事により、シール性の確保と低トルク化とを高次元で両立させると共に、上記各サイドシールリップ18a、19bの締め代が変化する場合でも、当該摺接部での接触荷重の変化を十分に抑える点にある。その他の転がり軸受部分の構造は、前述の図9に示した従来構造とほぼ同様であるから、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略し、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合には、シールリング13bを、芯金16とシール材17とから構成している。このうちの芯金16は、鋼板等の金属板にプレス加工等の打ち抜き加工並びに塑性加工を施す等により、全体を円環状に造っている。即ち、この芯金16は、嵌合筒部21と、この嵌合筒部21の軸方向外端縁から直径方向内方に折れ曲がった支持板部22とを備える。このうちの嵌合筒部21は、外輪8の外端部内周面に締り嵌めにより内嵌固定自在としている。この為に、この嵌合筒部21の自由状態での外径を、上記外輪8の外端開口部の内径よりも僅かに大きくしている。又、上記支持板部22は、略S字形の断面形状を有し、径方向内方に向かう程軸方向外側に向かう方向に傾斜した外径側傾斜筒部23と、この外径側傾斜筒部23の内周縁から連続して、径方向内方に向かう程軸方向内側に向かう方向に傾斜した内径側傾斜筒部24と、この内径側傾斜筒部24の内周縁から径方向内方に向かう方向に連続した円輪部25とを備える。
又、上記シール材17は、ゴムの如きエラストマー等の弾性材により造ったもので、射出成形、圧縮成形等により、上記芯金16に対しインサート成形している。このシール材17は、この芯金16に対し、成形時の接着等により接合固定している。この様なシール材17の外周縁部は、この芯金16の支持板部22を構成する外径側傾斜筒部23の外周面を覆っている。そして、このシール材17の一部でこの外径側傾斜筒部23の外周面を覆っている部分の自由状態での外径を、上記外輪8の外端開口部の内径よりも少し大きくしている。従って、上記嵌合筒部21を上記外輪8の外端開口部に内嵌固定した状態で、上記シール材17の外周縁部で上記外径側傾斜筒部23の外周面を覆っている部分が、この外径側傾斜筒部23の外周面と上記外輪8の外端開口部内周面と間で弾性的に押圧され、当該部分のシール性を確保する。
更に、上記シール材17の基部26は、上記支持板部22の外側面を、全周に亙り完全に覆っている。そして、この基部26の外側面及び内周縁に、外径側、内径側、2本のサイドシールリップ18a、19bと、1本のラジアルシールリップ20とを形成している。そして、この様なシールリング13bを上記外輪8の外端開口部内周面に、締り嵌めにより内嵌固定した状態で、ハブ2の外周面に設けた外向フランジ3の内側面で、この内側面とこのハブ2の外周面に設けた円筒面34との連続部である、曲面部27よりも外径側に外れた部分に、上記外径側サイドシールリップ18aの先端縁を、全周に亙り摺接させている。又、上記内径側サイドシールリップ19bの先端縁を、上記曲面部27に、全周に亙り摺接させている。更に、上記ラジアルシールリップ20の先端縁を、上記ハブ2の外周面に設けた円筒面34に、全周に亙り摺接させている。そして、上記外径側、内径側、2本のサイドシールリップ18a、19b及び1本のラジアルシールリップ20と、ハブ2とにより形成される空間に、グリースを封入している。
尚、上記外径側、内径側各サイドシールリップ18a、19bは、先端縁に向かう程、直径方向外方に傾斜させている。又、上記ラジアルシールリップ20は、先端縁に向かう程、軸方向内方に傾斜させている。
特に、本例の場合には、上記外径側、内径側各サイドシールリップ18a、19bの基端部を、外周面側から厚さ方向中央部に向け括れさせる事により、この基端部に最小肉厚部28、29を設けている。即ち、これら最小肉厚部28、29の外周面を、内径側に凹んだ凹形状としている。又、これら最小肉厚部28、29の内周面を、内径側に突出する凸形状としている。そして、上記各サイドシールリップ18a、19bを、上記各最小肉厚部28、29から先端縁に向かうに従って、厚さが漸増する形状に形成すると共に、これら各サイドシールリップ28、29の先端縁近傍に、厚さが最大になった最大肉厚部30、31を設けている。
更に、上記各サイドシールリップ18a、19bの先端寄り部分で、上記各最大肉厚部30、31よりも先端寄りに位置する部分を、外径寄り部分を全周に亙り除去した、先細り形状としている。又、本例の場合には、上記各最大肉厚部30、31の厚さt30、t31(図2)を、これら各最大肉厚部30、31と対応する、上記各最小肉厚部28、29の厚さt28、t29(図2)の2倍以上としている(t30≧2t28且つt31≧2t29)。又、本例の場合には、上記外向フランジ3の内側面及び曲面部27と摺接する、上記外径側、内径側各サイドシールリップ18a、19bの先端縁を含む部分に、微小な曲率半径を有する断面円弧形の曲面部を、全周に亙り設けている。又、本例の場合には、前記ラジアルシールリップ20の厚さを、全長に亙りほぼ同じとしている。
又、本例の場合には、上記各サイドシールリップ18a、19bの基端部の外周面を内径側に凹んだ凹形状とし、この基端部の内周面を内径側に突出した凸形状とすると共に、この凸形状を、上記各サイドシールリップ18a、19bの内周面でこの基端部から外れた部分と滑らかに連続させている。
上述の様に構成する本発明のシールリング及びこれを組み込んだシールリング付転がり軸受ユニットの場合には、外径側、内径側各サイドシールリップ18a、19bを、基端部近傍に設けた最小肉厚部28、29から先端縁の近傍に存在する最大肉厚部30、31に向けて厚さが漸増する形状としている。この為、上記各サイドシールリップ18a、19bの先端寄り部分を大きく湾曲させる事なく、これら各サイドシールリップ18a、19bの基端部近傍を変形させる事により、締め代を大きくして、シール性(密封性)を確保できる。又、これら各サイドシールリップ18a、19bの先端縁の近傍に最大肉厚部30、31を設けている為、この先端縁が摩耗した場合でも、これら各サイドシールリップ18a、19bの先端寄り部分が大きく変形する事を防止できる。従って、当該摺接部での接触荷重の増大を抑える事ができ、シール性の確保と低トルク化とを高次元で両立させる事ができる。
又、上記各サイドシールリップ18a、19bの締め代が変化する場合でも、当該摺接部での接触荷重の変化を十分に抑える事ができる。即ち、上記各サイドシールリップ18a、19bは、基端部近傍に設けた最小肉厚部28、29から先端縁の近傍に存在する最大肉厚部30、31に向けて厚さが漸増する形状としている。この為、上記各サイドシールリップ18a、19bの先端縁を相手面に当接させた場合で、各部の寸法誤差や、組み付け誤差や、旋回走行時に生じるハブ2の中心軸の傾斜等に起因して、上記各サイドシールリップ18a、19bの締め代が変化した場合でも、これら各サイドシールリップ18a、19bの先端寄り部分が大きく湾曲する事を防止できる。従って、これら各サイドシールリップ18a、19bの先端縁と外向フランジ3の内側面及び曲面部27との接触角度α1 、α2 を十分に確保でき、当該摺接部での接触面積の変化を抑えて、この摺接部での接触荷重の変化を十分に抑える事ができ、低トルク化を図り易くなる。
又、本例の場合には、前記外向フランジ3の内側面及び曲面部27と摺接させる、上記外径側、内径側各サイドシールリップ18a、19bの先端縁を含む部分に、微小な曲率半径を有する断面円弧形の曲面部を、全周に亙り設けている。この為、本例の場合には、当該摺接部での接触荷重の変化に対する、この摺接部での接触面積の変化(トルク変動)を、より小さくできる。例えば、上記各サイドシールリップ18a、19bの先端縁と上記外向フランジ3の内側面及び曲面部27との締め代が大きくなった場合には、この先端縁部分に設けた曲面部部分が弾性変形して当該接触圧力を受ける。又、この曲面部部分の弾性変形により、上記外向フランジ3の内側面及び曲面部27と摺接する、上記各サイドシールリップ18a、19bの先端縁の形状が大きく変化する事を防止できる。この為、この先端縁と上記外向フランジ3の内側面及び曲面部27との摺接部の接触面積が増大するのをより抑える事ができて、摺動トルクが増大したり、摩耗が促進されるのをより抑える事ができる。
尚、上記各サイドシールリップ18a、19bの先端縁を含む部分に設けた曲面部の曲率半径は、0.02〜0.1mmとする事が好ましい。これに対して、この曲率半径が0.02mmよりも小さくなった場合には、上記各サイドシールリップ18a、19bの先端縁と外向フランジ3の内側面及び曲面部27とに加わる接触荷重に基づく、これら各サイドシールリップ18a、19bの先端縁近傍での弾性変形量が過大になる。この為、この接触荷重の変動に拘らず、上記摺接部での接触幅(接触面積)の変化を小さくできると言った効果を得られなくなる。逆に、上記各サイドシールリップ18a、19bの先端縁を含む部分に設けた曲面部の曲率半径が0.1mmよりも大きくなった場合には、上記接触幅(接触面積)が過大になり、上記摺動トルクが大きくなるだけでなく、上記摺接部で、塵芥等の異物を噛み込み易くなり、摩耗が促進される。更に、シール材17を構成するゴム等の弾性材の硬さにより接触荷重と弾性変形量との関係は多少変化するが、より好ましくは、上記各サイドシールリップに設ける曲面部の曲率半径を、0.03〜0.08mmとする。
又、本例の場合には、上記最大肉厚部の厚さt30、t31を上記最小肉厚部28、29の厚さt28、t29の2倍以上としている。この為、上記各サイドシールリップ18a、19bの締め代が変化する場合でも、当該摺接部での接触面積の変化をより抑えて、この摺接部での接触荷重の変化をより抑える事ができる。この為、上記各サイドシールリップ18a、19bの摺動抵抗を、より小さく抑える事ができ、これら各サイドシールリップ18a、19bの耐久性の向上を図れる。又、これら各サイドシールリップ18a、19bの先端縁が摩耗した場合でも、これら各サイドシールリップ18a、19bの先端部の剛性を十分に確保して、この先端部をより変形しにくくできる。
又、本例の場合には、上記各サイドシールリップ18a、19bの基端部の外周面を内径側に凹んだ凹形状とし、この基端部の内周面を内径側に突出した凸形状とすると共に、この凸形状を、上記各サイドシールリップ22bの内周面でこの基端部から外れた部分と滑らかに連続させている。この為、これら各サイドシールリップ18a、19bの基端部の全体を弾性変形し易くでき、この基端部の内周面の近傍に過大な引っ張り応力が集中する事を防止できる。この為、この基端部にへたりや応力緩和を生じにくくでき、当該摺接部での接触面圧の低下を抑える事ができる。従って、良好な密封性を長期間に亙り維持できると共に、組み付け時のこの接触面圧を小さくする事により、摺動トルクをより低減できると共に、耐久性の向上を図れる。
尚、好ましくは、上記外径側、内径側各サイドシールリップ18a、19bのうちの内径側シールリップ19bの最小肉厚部29の厚さt29を、外径側サイドシールリップ18の最小肉厚部28の厚さt28よりも小さくし(t29<t28)、上記内径側サイドシールリップ19bの先端縁に作用する当接圧を上記外径側サイドシールリップ18aの場合の当接圧よりも低くする。この様な構成を採用した場合には、シール性を十分に確保しつつ、トルクの低減をより図り易くできる。即ち、前記内部空間14内への異物侵入防止作用の殆どは、この異物が存在する外部空間と直接対向する、上記外径側サイドシールリップ18aが果たす。上記内径側サイドシールリップ19bは、この外径側サイドシールリップ18aと前記外向フランジ3の内側面との摺接部から漏洩した異物の侵入を阻止するだけである。この為、上述の様にして、上記内径側サイドシールリップ19bの当接圧を上記外径側サイドシールリップ18aの当接圧よりも低くしても、密封装置全体でのシール性能を十分に確保できる。従って、上記内径側サイドシールリップ19bの当接圧を低くする事により、十分なシール性を確保しつつ、トルクの低減をより図り易くできる。
次に、図3は、本発明の実施例2を示している。本例のシールリング13cの場合には、上述した実施例1の場合と異なり、外径側、内径側各サイドシールリップ18a、19bだけでなく、ラジアルシールリップ20aも、基端部近傍に厚さが最も小さい最小肉厚部32が存在し、この最小肉厚部32から先端縁に向かう程厚さが漸増しており、この先端縁の近傍に厚さが最も大きい最大肉厚部33が存在する形状を有するものとしている。又、この最大肉厚部33の厚さを、上記最小肉厚部32の厚さの2倍以上としている。又、ハブ2に設けた円筒面34と摺接する、上記ラジアルシールリップ20aの先端縁を含む部分に、微小な曲率半径を有する断面円弧形の曲面部を、全周に亙り設けている。
この様に構成する本例の場合には、上記ラジアルシールリップ20aの先端縁の締め代の変化に対する、当該摺接部での接触荷重の変化も抑える事ができる。この為、低トルク化とシール性の確保とを、より高次元で両立させる事ができる。
その他の構成及び作用に就いては、上述した実施例1の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
又、シールリング付転がり軸受ユニットの基本構造に関しても、前述の図9に示した様な内輪回転の構造に限らず、外輪回転の構造に適用する事もできる。更には、上記図9に示す様な、ハブ2に直接内輪軌道4aを形成した、所謂第3世代のハブユニットに限らず、あらゆる構造のハブユニットにも適用できる。更には、転動体として玉を使用した構造に限らず、転動体に円すいころ等、玉以外を用いたハブユニットにも本発明を適用できる。
次に、前述の図1〜2に示した実施例1の効果を確認する為に行なった実験の結果に就いて説明する。先ず、第一の実験では、シール寿命を、必要とする基準時間である200時間達成できた場合の条件での、シールリング付転がり軸受ユニットの回転トルクを求めた。この第一の実験は、本発明の技術的範囲に属する実施例と、この技術的範囲から外れる比較例1、2との3種類のシールリングを用いた。又、このうちの実施例として、前述の図1〜2に示した実施例1と同様の構造を有するシールリングで、内径側サイドシールリップ19bの最小肉厚部29の厚さt29(図2)を外径側サイドシールリップ18aの最小肉厚部28の厚さt28(図2)よりも小さくしたものを用いた。又、上記比較例1として、前述の図10に示した従来構造の第1例のシールリングと同様の構造を有するものを、上記比較例2として、前述の図11に示した従来構造の第2例のシールリングと同様の構造を有するものを、それぞれ用いた。そして、実施例と比較例1、2との、3種類のシールリングを、順に、前述の図9に示した様な転がり軸受に組み込んでシールリング付転がり軸受ユニットとし、中心軸位置迄、関東ローム粉と塩とを溶かした泥水を給排するサイクルを、一定時間毎に繰り返した。又、ハブ2と外輪8との相対回転数を1000min-1 とし、外輪8に対しハブ(軸)を0.4mmTIR(トータルインジケータリーディング)させた。尚、「TIR」とは、偏心量、傾斜度等を含んだ全振れ量を言う。
そして、上記第一の実験は、この様な条件の下で、3種類のシールリング付転がり軸受ユニットでシール寿命が200時間に達した場合の条件での、回転トルクを求めた。尚、泥水がラジアルシールリップ20よりも内側に侵入した(泥水が3枚のシールリップ18a、19b、20を通過した)時点を、シール寿命に達したとした。又、第一の実験での各シールリップ18a、19b、20の締め代の影響を排除すべく、上記3種類のシールリング付転がり軸受ユニット同士でこれら各シールリップ18a、19b、20の締め代を同じとした。そして、これら3種類のシールリング付転がり軸受ユニット毎に、外径側、内径側各サイドシールリップ18a、19bの厚さを種々に変える事により、これら各サイドシールリップ18a、19bの先端縁と相手面との当接圧を種々に変えて、シール寿命が200時間に達する様にした。そして、このシール寿命が200時間に達した場合の条件(各サイドシールリップ18a、19bの厚さ)での、各シールリング付転がり軸受ユニットの回転トルクを求めた。
図4は、この様にして行なった第一の実験の結果を示している。尚、図4の縦軸は、各シールリング付転がり軸受ユニットの回転トルクを、比較例1での回転トルクを10とした場合の相対値として表している。図4に示した第一の実験結果から明らかな様に、本発明のシールリング付転がり軸受ユニットの場合には、シール性能を十分に確保できた場合に、回転トルクを、比較例1に対して約50%、比較例2に対して約35%と、それぞれ減少できた。
次に、上記第一の実験で用いた実施例により、外径側サイドシールリップ18aの締め代が変化する場合でも、この外径側サイドシールリップ18aの先端縁と相手面との摺接部での接触荷重の変化を抑える事ができると言った効果を得られる事を確認する為に行なった、第一のシミュレーションの結果に就いて説明する。この第一のシミュレーションは、上記実施例と、上記第一の実験で用いた比較例1との2種類のシールリングを組み込んだシールリング付転がり軸受ユニットの構造で行なった。尚、内径側サイドシールリップ19bの先端縁は、ハブ2の外周面に存在する曲面部27に摺接させる為、この先端縁と曲面部27との締め代や接触荷重等を測定する事が難しく、測定誤差も大きくなる可能性がある。この為、第一のシミュレーションを含めて以下に説明するシミュレーション及び実験では、外径側、内径側各サイドシールリップ18a、19bのうちの外径側サイドシールリップ18aのみに就いて行なった。又、上記第一の実験でシール寿命を200時間確保できた場合での、外径側サイドシールリップ18aの形状及び厚さは、比較例1と比較例2とでほぼ同じであった。この為、第一のシミュレーションを含めて以下に説明するシミュレーション及び実験では、比較例1のみを実施例と比較した。
上記第一のシミュレーションは、上記実施例と比較例1との2種類のシールリングを組み込んだシールリング付転がり軸受ユニットで、外径側サイドシールリップ18aの締め代の変化に対する、当該摺接部での接触荷重の変化を求めた。又、この締め代は、シール材17等の各部の寸法誤差や、組立誤差に基づいて変動する締め代の、最小値と最大値と中間値との3種類とした。図5は、この様にして行なった第一のシミュレーションの結果を示している。尚、図5に横軸で示した「min 」は上記締め代の最小値を、「mid 」はこの締め代の中間値を、「max 」はこの締め代の最大値を、それぞれ表している。又、図5に縦軸で示した接触荷重は、比較例1の締め代が「max 」での接触荷重を10とした場合の相対値として表している。図5に示した第一のシミュレーションの結果から明らかな様に、実施例の場合には、外径側サイドシールリップ18aの基端部近傍に厚さが最小になった最小肉厚部28を設けている為、上記締め代が変化した場合でも、当該摺接部での接触荷重の変化を抑える事ができた。これに対して、比較例1の場合には、締め代が変化した場合に、当該摺接部での接触荷重が大きく変化した。
次に、第二のシミュレーションとして、上記第一のシミュレーションで使用した実施例と比較例1との2種類のシールリングを組み込んだシールリング付転がり軸受ユニットで、外径側サイドシールリップ18aの締め代の変化に対する、この外径側サイドシールリップ18aの先端縁と外向フランジ3の内側面との接触角度の変化を求めた。又、上記締め代は、シール材17等の各部の寸法誤差や、組立誤差に基づいて変動する締め代の最小値と最大値と中間値との3種類に、締め代が0である状態(外径側サイドシールリップ18aの自由状態)を含めた4種類とした。又、締め代が0である場合の接触角度は、シールリング13bと外向フランジ3とを同軸上に配置した状態で、外径側サイドシールリップ18aの自由状態での先端縁と、この外向フランジ3の内側面とのなす角度とした。図6は、この様にして行なった第二のシミュレーションの結果を示している。尚、この図6に横軸で示した「min 」、「mid 」、「max 」が表す意味は、上述の図5の場合と同様である。又、図6に縦軸で示した接触角度は、外径側サイドシールリップ18aの締め代が0での接触角度を10とした場合の相対値として表している。図6に示した第二のシミュレーションの結果から明らかな様に、上記実施例の場合には、上記締め代が変化した場合でも、外径側サイドシールリップ18aの先端縁と外向フランジ3の内側面との接触角度を良好に確保できた。
次に、第三のシミュレーションとして、上記第一、第二のシミュレーションで使用した実施例と比較例1との2種類のシールリングを組み込んだシールリング付転がり軸受ユニットで、外径側サイドシールリップ18aの締め代の変化に対する、当該摺接部の径方向の寸法(接触幅)の変化を求めた。又、この締め代は、上述した第一のシミュレーションの場合と同様に、シール材17等の各部の寸法誤差や、組立誤差に基づいて変動する締め代の最小値と最大値と中間値との3種類とした。図7は、この様にして行なった第三のシミュレーションの結果を示している。尚、この図7に横軸で示した「min 」、「mid 」、「max 」が表す意味は、上述の図5〜6の場合と同様である。又、図7に縦軸で示した接触幅は、比較例1の外径側サイドシールリップ18aの締め代が「max 」での接触幅を10とした場合の相対値として表している。図7に示した第三のシミュレーションの結果から明らかな様に、上記実施例の場合には、上記締め代が変化した場合でも、外径側サイドシールリップ18aの先端縁と外向フランジ3の内側面との接触部の面積の増大を抑える事ができた。
次に、前述の図1〜2に示した実施例1の構造により、長期間経過後でも外径側サイドシールリップ18aのへたりを抑える事ができると言った効果を得られる事を確認する為に行なった、第二の実験に就いて説明する。この第二の実験は、前述した第一の実験で用いた実施例と比較例1との2種類のシールリングを組み込んだシールリング付転がり軸受ユニットを用いた。又、これら実施例及び比較例1での、外径側サイドシールリップ18aの先端縁と外向フランジ3との軸方向の締め代は、シール材等の各部の寸法誤差や、組立誤差に基づいて変動する締め代の中間値(mid )とした。そして、この様な実施例と、比較例1とを、60℃の温度の恒温槽中に放置した後、一定時間経過毎に取り出して、外径側サイドシールリップ18aの自由状態での軸方向寸法(高さ)の変化を、へたり量として求めた。又、上記実施例の外径側サイドシールリップ18aのへたりがほぼ収まった時点で、実験を終了した。図8は、この様にして行なった第二の実験の結果を示している。尚、図8に縦軸で示したへたり量は、実験終了時の比較例1のへたり量を10とした場合の相対値として表している。
図8に示した第二の実験結果から明らかな様に、上記実施例の場合には、外径側サイドシールリップ18aの一部に過大な応力が集中する事を抑える事ができ、長期間経過後でもこの外径側サイドシールリップ18aのへたり量を少なくできた。
本発明の実施例1を示す、図10と同様の図。 図1の部分拡大断面図。 本発明の実施例2を示す、図1と同様の図。 実施例1の効果を確認する為に行なった第一の実験結果を、シール寿命が200時間に達した場合の条件での、回転トルクを比較して示すグラフ。 同じく第一のシミュレーションの結果を、外径側サイドシールリップの締め代と当該摺接部での接触荷重との関係で示す線図。 同じく第二のシミュレーションの結果を、外径側サイドシールリップの締め代と当該摺接部での接触角度との関係で示す線図。 同じく第三のシミュレーションの結果を、外径側サイドシールリップの締め代と当該摺接部での接触幅(径方向に関する寸法)との関係で示す線図。 同じく第二の実験結果を、経過時間と外径側サイドシールリップのへたり量との関係で示す線図。 本発明の対象となるシールリング付転がり軸受ユニットの1例を示す断面図。 従来構造の第1例のシールリングを示す、図9のA部拡大相当図。 同第2例のシールリングを示す、図10と同様の図。
符号の説明
1 内輪素子
2 ハブ
3 外向フランジ
4a、4b 内輪軌道
5 段部
6 雄ねじ部
7 ナット
8 外輪
9 取付部
10a、10b 外輪軌道
11 転動体
12 保持器
13、13a〜13c シールリング
14 内部空間
15 カバー
16 芯金
17 シール材
18、18a 外径側サイドシールリップ
19、19a、19b 内径側サイドシールリップ
20、20a ラジアルシールリップ
21 嵌合筒部
22 支持板部
23 外径側傾斜筒部
24 内径側傾斜筒部
25 円輪部
26 基部
27 曲面部
28 最小肉厚部
29 最小肉厚部
30 最大肉厚部
31 最大肉厚部
32 最小肉厚部
33 最大肉厚部

Claims (3)

  1. 互いに相対回転する内輪相当部材の外周面と外輪相当部材の内周面との間を塞ぐ為、弾性材により全体を円環状に造られたシール材を備え、このシール材が、使用時に、それぞれの先端縁を側方に存在する側面若しくは径方向に存在する円筒面とこの側面との連続部に存在する曲面部に全周に亙り摺接させる外径側サイドシールリップ及び内径側サイドシールリップと、その先端縁を径方向に存在する円筒面に全周に亙り摺接させるラジアルシールリップとを備えたものであるシールリングに於いて、上記外径側、内径側両サイドシールリップのうちの少なくとも一方のサイドシールリップは、基端部近傍に厚さが最も小さい最小肉厚部が存在し、この最小肉厚部から先端縁に向かう程厚さが漸増しており、この先端縁の近傍に厚さが最も大きい最大肉厚部が存在する形状を有するものである事を特徴とするシールリング。
  2. ラジアルシールリップが、基端部近傍に厚さが最も小さい最小肉厚部が存在し、この最小肉厚部から先端縁に向かう程厚さが漸増しており、この先端縁の近傍に厚さが最も大きい最大肉厚部が存在する形状を有するものである、請求項1に記載したシールリング。
  3. 内周面に複列の外輪軌道を有する外輪相当部材と、外周面の一部でこれら各外輪軌道と対向する部分に複列の内輪軌道を、外周面の残部で上記外輪相当部材の一端開口から突出した部分に外向フランジを、それぞれ有する内輪相当部材と、上記各外輪軌道と各内輪軌道との間にそれぞれ複数個ずつ転動自在に設けられた転動体と、上記外輪相当部材の一端開口部と上記内輪相当部材との間の環状隙間を塞ぐシールリングとを備えたシールリング付転がり軸受ユニットに於いて、このシールリングが、請求項1又は請求項2に記載したシールリングである事を特徴とするシールリング付転がり軸受ユニット。
JP2003282383A 2003-07-30 2003-07-30 シールリング付車輪支持用転がり軸受ユニット Expired - Fee Related JP4483220B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003282383A JP4483220B2 (ja) 2003-07-30 2003-07-30 シールリング付車輪支持用転がり軸受ユニット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003282383A JP4483220B2 (ja) 2003-07-30 2003-07-30 シールリング付車輪支持用転がり軸受ユニット

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005048895A true JP2005048895A (ja) 2005-02-24
JP2005048895A5 JP2005048895A5 (ja) 2006-09-07
JP4483220B2 JP4483220B2 (ja) 2010-06-16

Family

ID=34267606

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003282383A Expired - Fee Related JP4483220B2 (ja) 2003-07-30 2003-07-30 シールリング付車輪支持用転がり軸受ユニット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4483220B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018080741A (ja) * 2016-11-16 2018-05-24 日本精工株式会社 転がり軸受装置
JP2018119681A (ja) * 2017-01-23 2018-08-02 ナブテスコ株式会社 回転機械のシール構造、回転機械及びシール部材

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018080741A (ja) * 2016-11-16 2018-05-24 日本精工株式会社 転がり軸受装置
JP2018119681A (ja) * 2017-01-23 2018-08-02 ナブテスコ株式会社 回転機械のシール構造、回転機械及びシール部材

Also Published As

Publication number Publication date
JP4483220B2 (ja) 2010-06-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10479139B2 (en) Wheel bearing apparatus
US7942584B2 (en) Wheel bearing apparatus
US9090122B2 (en) Wheel bearing apparatus for a vehicle
US9102196B2 (en) Wheel bearing apparatus for a vehicle
US7021830B2 (en) Seal ring and rolling bearing unit with seal ring
JP6111740B2 (ja) 車輪支持用転がり軸受ユニット
US20100247014A1 (en) Sealing device
CN104246323A (zh) 密封结构
JP4466112B2 (ja) 車輪支持用転がり軸受ユニット
JP2005291450A (ja) シールリング及びシールリング付転がり軸受ユニット
US7758249B2 (en) Wheel support rolling bearing unit with seal ring
JP6392531B2 (ja) 車輪用軸受装置
JP2010261598A (ja) 密封装置及び密封装置付転がり軸受ユニット
JP4483220B2 (ja) シールリング付車輪支持用転がり軸受ユニット
JP2004068844A (ja) シールリング及びシールリング付転がり軸受ユニット
JP2005016603A (ja) 密封装置及び密封装置付転がり軸受ユニット
JP7119992B2 (ja) ハブユニット軸受
JP6981143B2 (ja) シール付き玉軸受
JP5790109B2 (ja) 転がり軸受装置
JP2017172718A (ja) 車輪用軸受装置
JP2008221864A (ja) 車輪支持装置のシール構造
JP4983374B2 (ja) パックシール転がり軸受
JP2013224725A (ja) ハブユニット軸受
JP2019128018A (ja) 車輪用軸受装置
JP2015158228A (ja) 密封装置およびこれを備えた車輪用軸受装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060720

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060720

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060720

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090428

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090430

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090601

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090908

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091104

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091208

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100204

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100302

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100315

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130402

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130402

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140402

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees