JP2018080652A - インペラ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造コストが低く、耐久性に優れたインペラ及びその製造方法を提供する。【解決手段】インペラ1は、ハブ部2と、ハブ部2から突出した複数の翼部3とを備えている。インペラ1は、ターボチャージャにおけるコンプレッサに組み込むことができるように構成されている。インペラ1は、アルミニウム合金からなる母材Aと、ニッケルリンめっきからなり、最表面に露出した表面層Cと、母材Aと表面層Cとの間に介在し、表面層Cよりも軟らかいめっきからなる下地層Bとを有している。【選択図】図1

Description

本発明は、ターボチャージャのコンプレッサに組み込まれるインペラ及びその製造方法に関する。
ターボチャージャは、自動車や産業機器等の種々の分野において使用されている。従来、ターボチャージャのコンプレッサには、2000系アルミニウム合金や6000系アルミニウム合金等の高力アルミニウム合金からなるインペラが使用されることが多い。
また、ターボチャージャは、エンジン性能の向上や環境負荷の軽減を目的として、高圧EGR(排気再循環)システムと共にエンジンに組み込まれていることがある。高圧EGRシステムでは、エンジンから排出された排気ガスの一部を分岐させて直接エンジンの吸気経路へ導くことにより、エンジン性能の向上や環境負荷の軽減を図っている。
一方、近年では、高圧EGRシステムに替えて、低圧EGRシステムが採用され始めている。低圧EGRシステムでは、エンジンから排出され、排ガス浄化フィルタを通過した後の排気ガスの一部を分岐させてターボチャージャのコンプレッサへ導く。そして、コンプレッサ内において低圧排気ガスと外気とが混合され、この混合ガスがエンジンに供給される。この低圧排気ガス中には、排気ガス自身に含まれる凝集物や、排気ガスの通過時に生じる排ガス浄化フィルタの微粒子などの異物が含まれていることがある。
これらの異物がコンプレッサのインペラに接触すると、インペラが摩耗し、圧縮性能の低下を招く恐れがある。そこで、インペラの耐摩耗性を向上させるために、インペラに表面処理を行うことが検討されている。例えば、特許文献1には、インペラの表面に無電解ニッケルめっきからなる被覆層を形成する技術が提案されている。
特開2011−27104号公報
しかし、無電解ニッケルめっきからなる被覆層は比較的硬質であるため、インペラが高速回転したときに、遠心力等によって微細な割れが生じるおそれがある。そして、このような被覆層の割れがアルミニウム合金の母材まで到達すると、被覆層が母材から剥離するおそれがある。
また、無電解めっき法においては、めっきの析出速度を早くすることが難しいため、所望の厚みの被覆層を形成するためには比較的長い時間を要する。それ故、製造コストを低減することには限界がある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、製造コストが低く、耐久性に優れたインペラ及びその製造方法を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、ハブ部と、該ハブ部から突出した複数の翼部とを備え、ターボチャージャにおけるコンプレッサに組み込まれるインペラであって、
アルミニウム合金からなる母材と、
ニッケルリンめっきからなり、最表面に露出した表面層と
上記母材と上記表面層との間に介在し、上記表面層よりも軟らかいめっきからなる下地層とを有する、インペラにある。
本発明の他の態様は、上記の態様のインペラの製造方法であって、
上記ハブ部と、上記翼部とを備えた上記母材を準備し、
電気めっき法により上記母材上に上記下地層を形成し、
無電解めっき法により上記下地層上に上記表面層を形成する、インペラの製造方法にある。
上記インペラは、上記母材上に、上記下地層と、上記表面層とを有している。上記下地層は、上記表面層よりも軟らかいめっきから構成されているため、上記表面層と比べて優れた延性及び展性を有している。そのため、遠心力等によって上記表面層に微細な割れやせん断破壊、座屈等が生じた際に、上記下地層の存在により、これらの進展を抑制することができる。その結果、上記表面層の剥離を長期間に亘って抑制することができる。
また、上記表面層は、比較的硬質なニッケルリンめっきから構成されているため、高い耐摩耗性を有している。そのため、上記インペラは、例えば異物との接触などが起きた場合に、表面の損傷を抑制することができる。
このように、上記インペラは、比較的軟らかい上記下地層と、比較的硬い上記表面層との2層の金属被覆を有していることにより、上記表面層の剥離を抑制し、長期間に亘って高い耐摩耗性を維持することができる。それ故、上記インペラは、上記下地層を有しない場合に比べて優れた耐久性を有している。
また、上記インペラは、上記の態様の製造方法により作製することができる。上記製造方法においては、電気めっき法により上記母材上に上記下地層を形成し、次いで無電解めっき法により上記下地層上に上記表面層を形成する。これらのめっき法は、いずれも比較的均一なめっき被膜を容易に形成することができる。それ故、上記母材の形状を損なうことなく上記下地層及び上記表面層を設けることができる。
また、上記電気めっき法は、上記無電解めっき法に比べてめっき被膜の析出速度を大きくすることができる。それ故、上記製造方法によれば、無電解めっき法のみを用いる場合に比べて短時間で上記下地層と上記表面層との合計の膜厚を所望の範囲にすることができる。その結果、上記インペラの製造コストを容易に低減することができる。
以上のように、上記インペラは、製造コストが低く、耐久性に優れている。さらに、上記インペラは、表面の形状精度にも優れている。そのため、低圧EGRシステムに組み込まれるコンプレッサ用インペラとして好適である。
実施例における、インペラを翼部側から視た斜視図である。 実施例における、インペラを底面側から視た斜視図である。 実施例における、翼部表面の一部拡大断面図である。 実験例における、曲げ試験の説明図である。 実験例における、テストピースTP2の下地層及び表面層の図面代用写真である。
上記インペラにおいて、上記ハブ部は、上記ターボチャージャにおけるシャフトが挿入される貫通穴と、該貫通穴が開口している一対の開口端面とを有しており、上記貫通穴の内表面及び上記一対の開口端面において、上記母材が露出していることが好ましい。即ち、上記貫通穴の内表面及び上記一対の開口端面は、上記下地層及び上記表面層を有しないことが好ましい。
貫通穴の内表面は、ターボチャージャにおけるシャフトに当接する。また、上記一対の開口端面は、ターボチャージャにおけるシャフト(スペーサーカラーを含む)やインペラとシャフトとを締結するための締結ナットに当接する。そのため、これらの領域においては、インペラの取り付けを精度良く行うために、高い寸法精度が要求される。
上記貫通穴の内表面及び上記一対の開口端面において上記母材を露出させることにより、下地層及び表面層の形成による寸法変化を回避し、機械加工時の寸法精度を維持することができる。その結果、上記インペラの取り付け精度の悪化を回避することができる。
上記母材としては、例えば、2000系合金や6000系合金等の高力アルミニウム合金を使用することができる。
上記下地層としては、上記表面層よりも軟らかいめっきであれば、種々のめっきを採用することができる。例えば、下地層としては、銅めっきや半光沢ニッケルめっきなどを採用することができる。
上記下地層の厚みは、1〜10μmであることが好ましい。下地層の厚みを1μm以上とすることにより、表面層の剥離抑制効果をより高めることができる。しかし、下地層の厚みを厚くしようとすると、下地層の形成に長時間を要し、製造コストの増大を招くおそれがある。下地層の厚みを10μm以下とすることにより、上述の効果を得つつ製造コストの過度の増大を容易に回避することができる。
上記下地層は、銅めっきまたは半光沢ニッケルめっきから構成されていることが好ましい。これらのめっきは、比較的柔軟であり、延性及び展性にも優れている。それ故、銅めっきまたは半光沢ニッケルめっきからなる下地層を採用することにより、表面層に発生する微細な割れ等の進展をより効果的に抑制することができる。さらに、これらのめっきは、母材を構成する高力アルミニウム合金及び表面層を構成する高リン型無電解ニッケルめっきの両方に対する密着性に優れている。そのため、仮に表面層の割れが下地層にまで到達した場合にも、表面層の剥離を長期間に亘って抑制することができる。また、上記インペラは、表面層の剥離が抑制されるため、より長期間に亘って高い耐摩耗性を維持することができる。これらの結果、上記インペラの耐久性をより向上させることができる。
上述の作用効果をより確実に得る観点からは、下地層として、より延性及び展性に優れた銅めっきを採用することが好ましい。
表面層は、ニッケルリンめっきから構成されている。表面層としては、中リン型または高リン型の無電解ニッケルリンめっきを採用することが好ましい。これらの無電解ニッケルリンめっきは、比較的硬度が高いため、インペラの耐摩耗性をより高めることができる。インペラの耐摩耗性を更に高める観点からは、表面層に高リン型の無電解ニッケルリンめっきを採用することがより好ましい。なお、中リン型の無電解ニッケルリンめっき中には、通常、7〜10質量%のリンが含まれている。また、高リン型の無電解ニッケルリンめっき中には、通常、10〜15質量%のリンが含まれている。
上記表面層の厚みは7〜20μmであることが好ましい。表面層の厚みを7μm以上とすることにより、耐摩耗性をより高めることができる。耐摩耗性を更に高める観点からは、表面層の厚みを10μm以上とすることがより好ましい。しかし、表面層の厚みを厚くしようとすると、表面層の形成に長時間を要し、製造コストの増大を招くおそれがある。表面層の厚みを20μm以下とすることにより、上述の効果を得つつ製造コストの過度の増大を容易に回避することができる。製造コストの過度の増大をより確実に回避する観点からは、表面層の厚みを15μm以下とすることがより好ましい。
上記表面層の算術平均粗さRaは1.6μm以下であることが好ましい。この場合には、インペラ表面がより平滑になるため、ターボチャージャの圧縮性能をより向上させることができる。また、この場合には、コンプレッサ内において、低圧排気ガス中の凝集物がインペラ表面により付着しにくくなる。その結果、インペラの耐久性をより向上させることができる。
上記表面層のビッカース硬さは500HV以上であることが好ましい。この場合には、インペラの耐摩耗性をより向上させることができ、ひいてはインペラの耐久性をより向上させることができる。
上記インペラの製造方法においては、まず、ハブ部と、翼部とを備えた上記母材を準備する。母材は、アルミニウム合金からなる素材に機械加工等を施すことにより形成することができる。母材を所望の形状に成形した後、必要に応じて、脱脂洗浄やエッチング、デスマット処理、ジンケート処理等の前処理を行ってもよい。また、インペラ表面に、例えばハブ部における上記一対の開口端面等の母材が露出した領域を設ける場合には、当該領域をマスキング材で被覆する処理を行ってもよい。
次いで、電気めっき法により母材上に下地層を形成する。電気めっき法におけるめっき浴の組成は、下地層の材種に応じた公知の浴組成から適宜選択することができる。例えば、半光沢ニッケルめっきからなる下地層を母材上に形成する場合には、ウッド浴及びワット浴等の公知のニッケルめっき浴中で上記電気めっき法を実施することができる。
銅めっきからなる下地層を母材上に形成する場合には、例えば、硫酸銅浴、ほうフッ化銅浴、シアン化銅浴及びピロリン酸銅浴等の公知の銅めっき浴中で上記電気めっき法を実施することができる。
銅めっきからなる下地層を母材上に形成する場合には、ピロリン酸銅浴中で上記電気めっきを実施することが好ましい。ピロリン酸銅浴は、弱アルカリ性のため、母材への腐食性が小さい。それ故、母材の形状を損なうことなく上記下地層を形成することができる。また、ピロリン酸銅浴は、排水処理を比較的容易に行うことができ、環境負荷も小さい。また、ピロリン酸銅浴は、めっきの均一電着性に優れているため、母材上における下地層の厚みのばらつきをより容易に低減することができる。さらに、ピロリン酸銅浴から析出された銅めっきは、平滑性が高く、有孔度が小さい。そのため、ピロリン酸銅浴中で上記電気めっきを実施することにより、上記インペラの平滑性をより向上させることができ、ひいてはターボチャージャの圧縮性能をより向上させることができる。
電気めっき法により下地層を形成した後、無電解めっき法により下地層上に表面層を形成する。上記無電解めっき用におけるめっき浴の組成は、表面層の材種に応じた公知の浴組成から適宜選択することができる。
以上により、インペラを作製することができる。このインペラは、そのままターボチャージャに組み込んで使用することができる。上記無電解めっき法においては、アモルファス状態のニッケルリンめっきからなる表面層が形成される。インペラをターボチャージャに組み込むと、コンプレッサにおける吸気の断熱圧縮に伴って、150〜200℃程度までインペラの温度が上昇する。そのため、ターボチャージャの運転中に、上記の温度上昇によってニッケルリンめっきが結晶化し、リン化ニッケル(Ni3P)の微細な結晶が生成される。これにより、表面層の硬度を自然に向上させることができる。
インペラをターボチャージャに組み込む前に、予めインペラを加熱してニッケルリンめっきを結晶化させてもよい。
(実施例)
上記インペラの実施例について、図を用いて説明する。図1に示すように、インペラ1は、ハブ部2と、ハブ部2から突出した複数の翼部3(3a、3b)とを備えている。図には示さないが、本例のインペラ1は、ターボチャージャにおけるコンプレッサに組み込むことができるように構成されている。図3に示すように、インペラ1は、アルミニウム合金からなる母材Aと、ニッケルリンめっきからなり、最表面に露出した表面層Cと、母材Aと表面層Cとの間に介在し、表面層Cよりも軟らかいめっきからなる下地層Bとを有している。
図1及び図2に示すように、本例のハブ部2は略円錐台状を呈している。インペラ1は、ハブ部2の底部21がタービンハウジング側を向き、頂部22がその反対側を向くようにしてコンプレッサに組み込まれる。図1に示すように、頂部22と底部21との間は、頂部22と底部21との中間部分が凹となるように滑らかに湾曲しているハブ面23により接続されている。
また、ハブ部2は、ターボチャージャにおけるシャフトが挿入される貫通穴24と、貫通穴24の開口部を備えた一対の開口端面25(25a、25b)とを有しており、貫通穴24の内表面及び一対の開口端面25において、母材Aが露出している。即ち、本例の下地層B及び表面層Cは、インペラ1における、貫通穴24の内表面及び一対の開口端面25を除いた部分に設けられている。
貫通穴24は、図1及び図2に示すようにハブ部2の中心軸上に形成されている。図1に示すように、一対の開口端面25のうち一方の開口端面25aは、ハブ部2の頂部22に設けられている。また、開口端面25aの中央には貫通穴24が開口している。この開口端面25aには、シャフトの先端に取り付けられ、インペラ1とシャフトとを締結する締結ナットが当接する。また、図2に示すように、他方の開口端面25bは、ハブ部2の底部21に設けられており、周囲よりもハブ部2の中心軸方向の外方に突出している。開口端面25bの中央には貫通穴24が開口している。この開口端面25bには、シャフト(スペーサーカラーを含む)が当接する。
複数の翼部3は、ハブ面23に設けられている。本例の翼部3は、長翼部3aと、長翼部3aよりも回転軸方向の翼長が短い短翼部3bとを有している。長翼部3aと短翼部3bとは、インペラ1の回転方向において交互に配置されている。
次に、本例のインペラ1の製造方法の例について説明する。まず、アルミニウム合金からなり、ハブ部2と、翼部3とを備えた母材Aを準備する。この母材Aに脱脂洗浄を施した後、一対の開口端面25及び貫通穴24の開口面をマスキング材で被覆する。これにより、一対の開口端面25及び貫通穴24の内表面へのめっき被膜の付着を防止することができる。その後、母材Aの表面に下地層Bを形成するための前処理として、母材Aに対し、脱脂洗浄、エッチング、デスマット処理及びダブルジンケート処理を順次実施する。
前処理を行った後、電気めっき法により母材A上に下地層Bを形成する。電気めっき法は、例えば、ウッド浴やワット浴等のニッケルめっき浴、または、硫酸銅浴、ほうフッ化銅浴、シアン化銅浴またはピロリン酸銅浴等の銅めっき浴等の浴中で実施することができる。下地層Bの膜厚は、1〜10μmとすることができる。
次いで、無電解めっき法により下地層B上に表面層Cを形成する。無電解めっき法は、例えば、中リン型または高リン型の無電解ニッケルリンめっき浴中で実施することができる。表面層Cの膜厚は、7〜20μmとすることができる。
以上により、インペラ1を作製することができる。得られたインペラ1は、そのままターボチャージャのコンプレッサに組み込んでもよいし、加熱により表面層Cのニッケルリンめっきを結晶化させた後にコンプレッサに組み込んでもよい。
次に、本例の作用効果を説明する。本例のインペラ1は、母材A上に、比較的軟らかい下地層Bと、比較的硬い表面層Cとの2層の金属被覆を有している。そのため、表面層Cの剥離を抑制し、長期間に亘って高い耐摩耗性を維持することができる。それ故、インペラ1は、優れた耐久性を有している。
また、インペラ1の製造方法においては、電気めっき法により母材A上に下地層Bを形成し、次いで無電解めっき法により下地層B上に表面層Cを形成する。そのため、母材Aの形状を損なうことなく下地層B及び表面層Cを設けることができる。
更に、電気めっき法と無電解めっき法とを併用することにより、無電解めっき法のみを用いる場合に比べて短時間で下地層Bと表面層Cとの合計の膜厚を所望の範囲にすることができる。その結果、インペラ1の製造コストを容易に低減することができる。
以上のように、インペラ1は、製造コストが低く、耐久性及び表面の形状精度に優れている。そのため、低圧EGRシステムに組み込まれるコンプレッサ用インペラとして好適である。
(実験例)
本例は、テストピースを用いて下地層による密着性向上効果の評価を行った例である。本例においては、高力アルミニウム合金からなり、長さ46.5mm、幅7mm、厚み3mmの短冊状を呈する母材Aを準備した。この母材Aに、脱脂洗浄、エッチング、デスマット処理及びダブルジンケート処理を順次実施した。これらの前処理の後、電気めっき法及び無電解めっき法を順次行い、下地層Bの異なる2種のテストピースTP1、TP2を作製した。
・テストピースTP1
ダブルジンケート処理の後、電気めっき法により、半光沢ニッケルめっきからなる下地層Bを母材A上に形成した。下地層の膜厚は3〜5μmとした。次いで、無電解めっき法により、高リン型の無電解ニッケルリンめっきからなる表面層Cを下地層B上に形成した。表面層Cの膜厚は9〜11μmとした。以上により、テストピースTP1を得た。マイクロビッカース硬度計を用い、0.05gfの試験力にてテストピースTP1の表面(表面層C)のビッカース硬さを測定したところ、ビッカース硬さは500HV以上であった。
・テストピースTP2
ダブルジンケート処理の後、電気めっき法により、銅めっきからなる下地層Bを母材A上に形成した。下地層の膜厚は2〜4μmとした。次いで、無電解めっき法により、高リン型の無電解ニッケルリンめっきからなる表面層Cを下地層B上に形成した。表面層Cの膜厚は9〜11μmとした。以上により、テストピースTP2を得た。マイクロビッカース硬度計を用い、0.05gfの試験力にてテストピースTP2の表面(表面層C)のビッカース硬さを測定したところ、ビッカース硬さは500HV以上であった。
・テストピースTP3
また、これらのテストピースTP1、TP2との比較のため、母材A上に高リン型の無電解ニッケルリンめっきからなる表面層Cを直接形成したテストピースTP3を作製した。TP3における表面層Cの膜厚は13〜15μmとした。マイクロビッカース硬度計を用い、0.05gfの試験力にてテストピースTP3の表面(表面層C)のビッカース硬さを測定したところ、ビッカース硬さは500HV以上であった。
これらのテストピースTP1〜TP3にVブロック法による曲げ試験を行い、試験後における下地層B及び表面層Cの割れの有無を観察した。具体的には、図4に示すように、各テストピースTPの長手方向における両端がVブロック8の壁面81に当接するようにして、テストピースTPをVブロック8に載置した。次いで、テストピースTPの長手方向における中央に、半径5mmの円柱状を呈する押金具82を当接させた。この状態から押金具82を2mm押し込み(矢印821)、テストピースTPに曲げ加工を施した。
曲げ加工を行った後、テストピースTPをその幅方向における中心線に沿って切断し、断面を露出させた。そして、押金具82を押し込んだ位置からテストピースTPの全長の1/6程度離れた位置における、外周側表面83の下地層B及び表面層Cの割れの有無を、光学顕微鏡を用いて観察した。
曲げ加工後の下地層B及び表面層Cの一例として、図5に、テストピースTP2の断面を観察した顕微鏡像を示す。テストピースTP2においては、図5に示すように、曲げ加工後に表面層Cに割れ84が発生した。しかし、この表面層Cの割れ84の進展は下地層Bとの境界842で止まり、母材Aの露出を抑制することができた。また、割れ84の近傍において、母材Aと下地層Bとの界面841及び下地層Bと表面層Cとの界面842に剥離は生じていなかった。なお、図には示さないが、テストピースTP1についても、テストピースTP2と同様の結果が得られた。
これに対し、母材A上に表面層Cを直接形成したテストピースTP3については、図には示さないが、曲げ加工後に表面層Cに割れが発生し、母材Aが露出した。また、割れの近傍において、母材Aと表面層Cとの界面に剥離が生じている個所も存在していた。
これらの結果から、母材A上に比較的軟らかい下地層Bと比較的硬い表面層Cとの2層構造のめっきを設けることにより、遠心力等によって表面層Cに微細な割れやせん断破壊、座屈等が生じた際に、これらの進展を抑制できることが容易に理解できる。
1 インペラ
2 ハブ部
3 翼部
A 母材
B 下地層
C 表面層

Claims (9)

  1. ハブ部と、該ハブ部から突出した複数の翼部とを備え、ターボチャージャにおけるコンプレッサに組み込まれるインペラであって、
    アルミニウム合金からなる母材と、
    ニッケルリンめっきからなり、最表面に露出した表面層と、
    上記母材と上記表面層との間に介在し、上記表面層よりも軟らかいめっきからなる下地層とを有する、インペラ。
  2. 上記ハブ部は、上記ターボチャージャにおけるシャフトが挿入される貫通穴と、該貫通穴が開口している一対の開口端面とを有しており、上記貫通穴の内表面及び上記一対の開口端面において、上記母材が露出している、請求項1に記載のインペラ。
  3. 上記下地層は、銅めっきまたは半光沢ニッケルめっきからなる、請求項1または2に記載のインペラ。
  4. 上記下地層の厚みは1〜10μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインペラ。
  5. 上記表面層は、中リン型ニッケルリンめっきまたは高リン型ニッケルリンめっきからなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインペラ。
  6. 上記表面層の厚みは7〜20μmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインペラ。
  7. 上記表面層の算術平均粗さRaは1.6μm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインペラ。
  8. 上記表面層のビッカース硬さは500HV以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインペラ。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のインペラの製造方法であって、
    上記ハブ部と、上記翼部とを備えた上記母材を準備し、
    電気めっき法により上記母材上に上記下地層を形成し、
    無電解めっき法により上記下地層上に上記表面層を形成する、インペラの製造方法。
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