JP2018080411A - 繊維強化プラスチック製ケーブルの端末定着構造およびこれを備える繊維強化プラスチック製ケーブル - Google Patents

繊維強化プラスチック製ケーブルの端末定着構造およびこれを備える繊維強化プラスチック製ケーブル Download PDF

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【課題】非常に大きな引張力が加えられる繊維強化プラスチック製ケーブルに好適な端末定着構造の提供。【解決手段】内部に中空を有する両端が開口した端末ソケット11の一方の開口から,樹脂が含浸された炭素繊維束14が複数本束ねられた炭素繊維ケーブル13の末端部分が端末ソケット11内に挿入されている端末定着構造。端末ソケット11内において炭素繊維ケーブル13の末端部分が炭素繊維束14にばらされており、端末ソケット11内に膨張剤30が充填され,ばらされた複数本の炭素繊維束14が膨張剤30に埋め込まれている端末定着構造。【選択図】図3

Description

この発明は,係留索,斜張橋,吊り橋などの橋梁,その他の建築物等に用いられる繊維強化プラスチック製ケーブルの端末定着構造,およびこの端末定着構造を備える繊維強化プラスチック製ケーブルに関する。
繊維(合成繊維)およびプラスチックの複合材によって構成されるFRP(Fiber Reinforced Plastics )(繊維強化プラスチック)を用いて作製されたケーブルは,同径の鋼製ケーブルに比べて軽量で,高耐食性,非磁性などの優れた特性を持つ。炭素繊維,ガラス繊維,アラミド繊維などがFRPに使用する繊維として,エポキシ樹脂,ポリアミド樹脂,フェノール樹脂などがFRPに使用するプラスチックとして,それぞれ用いられる。
FRPケーブルは,その長手方向への引っ張りについては鋼製ケーブルと同等の高い強度を有する一方,局部的なせん断力や表面のキズについては弱い。このため,鋼製ケーブルと同じようにくさびを直接にかませてその末端部分にソケットを固定すると,せん断破壊による切断や表層破壊によるすべりが発生し,ケーブル端末部とソケットとの高い定着効率を得ることができない。
特許文献1は,FRPケーブルの末端部分を挿入したソケット内にエポキシ樹脂を充填して硬化させることで,FRPケーブルの端末部分にソケットを定着するものを記載する。しかしながら,非常に大きな引張力がFRPケーブルに加えられる場合,エポキシ樹脂によって発揮される定着力よりもさらに大きな定着力が求められることがある。
特開平9−209501号公報
この発明は,非常に大きな引張力が加えられる繊維強化プラスチック製ケーブルに好適な端末定着構造を提供することを目的とする。
この発明による端末定着構造は,繊維強化プラスチック製ケーブルの末端部分に端末ソケットを定着させるための構造である。繊維強化プラスチック製ケーブルは,多数本の炭素繊維,ガラス繊維等の合成繊維に,エポキシ樹脂,ポリアミド樹脂,フェノール樹脂等の樹脂材料を含浸させ,上記樹脂を硬化することで形成される繊維束(繊維強化プラスチック製の繊維束)を,さらに複数本束ねることによって形成される。
この発明による繊維強化プラスチック製ケーブルの端末定着構造は,内部に中空を有する両端が開口した端末ソケットの一方の開口部から,樹脂が含浸された繊維束を複数本束ねた繊維強化プラスチック製ケーブルの末端部分が上記端末ソケット内に挿入されており,上記端末ソケット内において上記繊維強化プラスチック製ケーブルの末端部分が繊維束にばらされており,上記端末ソケット内に充填された膨張剤に,上記ばらされた複数本の繊維束が埋め込まれていることを特徴とする。
端末ソケットの材料には,鉄もしくは鉄系合金,またはS45Cのような炭素綱を用いることができる。また,海水中の環境下等ではSUS304やSUS316のようなステンレス鋼を用いてもよい。必要な強度および耐久性を満たせばこれらの材料に特に限定されるものではない。
膨張剤は,たとえば初期状態において液状もしくはスラリー状のもので,硬化(凝固)の過程において体積膨張する樹脂またはコンクリート等である。成型収縮防止用の膨張剤を多量に配合した生コンクリート,あるいはコンクリート構造物等の破壊時に使用される石灰系の静的破砕剤も,端末ソケット内に充填する膨張剤として用いることができる。また,端末ソケットが鉄または鉄系合金から作られているときには塩基性の膨張剤を用いるのが好ましい。端末ソケットの内部腐食が防止され,海洋構造物等,海水中または高湿度環境下における利用に適するものとなる。
この発明によると,端末ソケット内の繊維強化プラスチック製ケーブルの末端部分が繊維束にばらされているので,端末ソケット内では複数本の繊維束の間のそれぞれに膨張剤が充填され,膨張剤中に複数本の繊維束のそれぞれが埋め込まれる。端末ソケット内において膨張剤が膨張することによって生じる膨張圧によって,ばらされた繊維束のそれぞれに大きな拘束力が作用する。繊維強化プラスチック製ケーブルの末端部分に端末ソケットを強固に定着(固定)することができる。繊維束は多数本の繊維(合成繊維)を束ねたものであるのでその表面に細かな凹凸構造を持ち,この凹凸構造も繊維束の拘束力の向上に寄与する。
端末ソケットの内部には円柱形または円錐台形の中空が形成される。一実施態様では,端末ソケットが円柱形の中空を備え,繊維強化プラスチック製ケーブルの末端部分が一方の開口部から上記端末ソケット内に挿入されている。他の実施態様では上記端末ソケットが円錐台形の中空を備え,繊維強化プラスチック製ケーブルの末端部分が小径の開口部から上記端末ソケット内に挿入されている。
上述したように,端末ソケット内において膨張剤が膨張することによって生じる膨張圧によって,繊維強化プラスチック製ケーブルの末端部分に端末ソケットが強固に定着(固定)する。特に円錐台形の中空を採用すると,膨張剤が膨張することで作用する膨張圧によって,繊維強化プラスチック製ケーブルを端末ソケット内に引き込む方向の分力が生じるので,繊維強化プラスチック製ケーブルを端末ソケットから抜け出にくくすることができ,定着効率が向上する。定着効率の向上のために端末ソケットの長さ(端末ソケット内に挿入されて膨張剤に埋め込まれる繊維強化プラスチック製ケーブルの末端部分の長さ)を長くする必要がないので,円錐台形の中空を採用することによって端末ソケットの長さを短くすることもできる。円錐台形の中空の勾配角は,好ましくは6.0°〜12.0°に設計される。
好ましくは,上記端末ソケットの先端部分の開口が蓋部材によって閉じられている。膨張剤が端末ソケットの先端部開口から漏れ出ることが防止される。
上記蓋部材は,多くの場合,端末ソケットと同一または同一系統の材料で形成され,たとえば上記端末ソケットの先端部分にねじ止めされる。端末ソケットに蓋部材をしっかりと固定することができる。膨張剤を端末ソケット内に注入した後,膨張剤が硬化する前に蓋部材をねじ止めするとよい。膨張剤の膨張によって生じる端末ソケット内の内圧を保持することが可能となり,また内圧によってねじ部に力が加わり,ねじのゆるみによる蓋部材の脱落を防止することができる。さらに,膨張剤が大気や海水に触れないので,特に塩基性の膨張剤を用いる場合に,大気中に存在する二酸化炭素による劣化や海中におけるアルカリ成分の溶出による劣化を防止することが可能となる。
一実施態様では,上記端末ソケットの末端部分の開口内に封止材が詰められている。端末ソケットの末端部分の開口からの膨張剤の漏れも防止される。
繊維強化プラスチック製ケーブルの末端は繊維束にばらされていることが必要であり,好ましくは,ばらされた繊維束のそれぞれが,上記端末ソケット内に設けられたスペーサの孔に1本ずつ通されている。端末ソケット内において,ばらされた繊維束同士の間に膨張剤が入る隙間を確保することができる。より好ましくは上記スペーサの孔は等間隔にあけられており,これによってばらされた繊維束同士の間に等間隔の隙間を確保することができる。ばらされた繊維束のそれぞれを強く拘束することができる。
上述した端末定着構造は,繊維強化プラスチック製ケーブルの両末端部分のうちの少なくとも一方に設けられる。この発明は,上述した端末定着構造を両末端部分のうちの少なくとも一方に備える繊維強化プラスチック製ケーブルも提供する。この発明による繊維強化プラスチック製ケーブルは,大きな引張力が加わったとしても端末ソケットから繊維強化プラスチック製ケーブルの末端部分が抜け出にくいものとなる。たとえば20,000kN〜36,000kN程度の非常に大きな引張力に耐えうる繊維強化プラスチック製ケーブルが実現される。
一実施態様では,複数本の繊維束が低角度,たとえば3.0°〜4.0°の撚り角によって撚り合わされている。平行線ケーブルに近い構造を持つように複数本の繊維束を撚り合わせることで,繊維強化プラスチック製ケーブルの単位面積当たりの引張強度を高めることができる。
浮遊式洋上プラットフォームを概略的に示す。 テンドンの末端部分を拡大して示している。 テンドンの末端部分の分解断面図である。 図3のIV−IV線に沿う拡大断面図である。 スペーサの拡大正面図である。 端末定着構造の製造工程を示している。 端末定着構造の製造工程を示している。 変形例のテンドンの末端部分の分解断面図である。 他の実施例のテンドンの末端部分の断面図である。
図1は浮遊式洋上プラットフォームを概略的に示している。
図1に示すプラットフォーム1は緊張係留式プラットフォーム(Tension Leg Platform,TLP)と呼ばれるもので,強制的に半潜水させた浮体構造物と海底に打設した基礎とをテンドンと呼ばれる係留ケーブルによって接続し,浮体構造物の浮力によってテンドンに生じる緊張力を利用して,浮体構造物を係留する洋上プラットフォームである。
TLP1の浮体構造物は,方形の四隅に相当する位置に垂直方向に配置された4本の垂直コラム2と,4本の垂直コラム2のそれぞれの下端部の内側に固定された水平部材3とを備えている。4本の垂直コラム2および水平部材3はいずれも中空であり,これによって浮体構造物に大きな浮力が生じる。4本の垂直コラム2の上端部にはデッキ4が設置され,デッキ4上に掘削リグ9などの様々な生産設備が設けられる。
4本の垂直コラム2のそれぞれの下端部の外側にテンドン支持具5が固定されている。テンドン10は,その上端部がテンドン支持具5に固定され,下端部が海底に打設された基礎8に固定される。浮体構造物には浮力によって上向きの力が働き,かつその力と同じ大きさの下向きの力がテンドン10に働くことで垂直方向の力の均衡がとられる。テンドン10に垂直方向に強い力が働くことによって,TLP1は動揺が小さくなり,台風等の悪天候の海象条件においても安定した姿勢を保つことができる。
デッキ4から海底に設置されたウェルヘッド7にかけてライザー6が設置され,ライザー6を通じて海底岩盤の穿孔,石油,ガス等の掘削などが行われる。
図2はテンドン10の末端部分を拡大して示している。図3はテンドン10の末端部分の分解断面図である。図4は図3のIV−IV線に沿う炭素繊維ケーブルの拡大断面図である。
テンドン10は,炭素繊維ケーブル13と,炭素繊維ケーブル13の末端部分に定着(固定)される端末ソケット11と,端末ソケット11の先端部分に固定される蓋体12とを備えている。端末ソケット11は金属(たとえば鉄,鉄系合金,炭素鋼,ステンレス鋼,ニッケルクロム鋼,クロムモリブデン鋼など)製のもので円柱状の外形を有している。端末ソケット11の内部は中空であり,その中央部に円錐台形の空間11aが形成され,その両端部に大径の円柱形空間11bと小径の円柱形空間11cとがつながっている。以下,大径の円柱形空間11bが形成されている端末ソケット11の端部を先端部分と呼び,反対がわの小径の円柱形空間11bが形成されている端部を末端部分と呼ぶ。円錐台形空間11aの長さに比べてその両端部の大径および小径の円柱形空間11b,11cの長さは短く,端末ソケット11の中空の大部分は円錐台形空間11aによって占められている。なお,端末ソケット11の外形は円柱状である必要は必ずしもなく,たとえば多角柱の外形を有してもよい。円錐台形空間11aの勾配角は6.0°〜12.0°程度とされる。図3に示す円錐台形空間11aは約8.0°の勾配角を有している。
図4を参照して,炭素繊維ケーブル13は,複数本ここでは91本の断面円形の炭素繊維束14を最密に束ねたものである。端末ソケット11の外に出ている炭素繊維ケーブル13の表面には好ましくは高密度ポリエチレン(図示略)が被覆される。炭素繊維束14の直径および本数はテンドン10に要求される引張強度に応じて適宜調整され,端末ソケット11の大きさおよび端末ソケット11内の中空の大きさも,テンドン10に要求される引張強度に応じて適宜調整される。炭素繊維束14のそれぞれは,数十万本,たとえば10万本〜70万本程度の細い炭素繊維フィラメントにたとえばエポキシ樹脂を含浸させて撚り合わせ,エポキシ樹脂を硬化させることで形成される,いわゆる炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics:CFRP)製のものである。多数本の炭素繊維フィラメントは撚り合わせずに束ねてもよい。いずれにしても炭素繊維束14の表面には多数本の炭素繊維フィラメントを束ねることによって生じる細かい凹凸構造がある。炭素繊維束14を束ねることで形成される炭素繊維ケーブル13は,たとえば100mm〜180mm程度の断面における対角線長を持つ。
複数本の炭素繊維束14は3.0°〜4.0°程度の低角度の撚り角度を持って撚られることで炭素繊維ケーブル13を構成しており,炭素繊維ケーブル13は撚り線ケーブルよりも平行線ケーブルに近い構造を持つ。図2,図3には,分かりやすくするために,複数本の炭素繊維束14の撚り角度がやや強調して図示されている。
図4を参照して,平行線ケーブルの構造を備える炭素繊維ケーブル13をその断面から見ると,その外形(外縁)は正六角形の形状を持つ。平行線ケーブルの構造を備える炭素繊維ケーブル13は,撚り線ケーブルに比べて撚りによる強度低下がなく,テンドン10としての利用に適している。また低角度の撚り角度によって複数本の炭素繊維束14を撚り合わせることで,単位面積当たりの引張強度を高く維持しつつ,炭素繊維ケーブル13を型崩れさせることなくリールに巻き付けることができるようになる。
図3を参照して,炭素繊維ケーブル13の末端部分が端末ソケット11内に挿入され,端末ソケット11の内部において炭素繊維束14にばらされている。ばらされた複数の炭素繊維束14のそれぞれは,端末ソケット11の内部に設けられたスペーサ20にあけられた複数の孔21に,1本ずつ通されている。
図5はスペーサ20の外観を示す拡大正面図である。スペーサ20は金属製またはプラスチック製のもので正面から見て円形の外形を持つ。スペーサ20の直径は端末ソケット11の大径の円柱形空間11bの直径よりもやや小さく,またスペーサ20の肉厚は大径の円柱形空間11bの長さにほぼ等しい。スペーサ20は,端末ソケット11の大径の円柱形空間11b内にすっぽりと嵌め込まれる。
スペーサ20には炭素繊維ケーブル13を構成する複数本の炭素繊維束14の数と等しい数の孔21が等間隔であけられており,複数の孔21の配列は,炭素繊維ケーブル13を構成する炭素繊維束14の配列に合わせられている。このため,スペーサ20にあけられた複数の孔21のうちの最外周のもの同士を直線で結ぶと,炭素繊維ケーブル13の断面形状と同じ正六角形となる。
上述のように,ほぐされた炭素繊維束14がスペーサ20の孔21のそれぞれに1本ずつ通され,これによって円錐台形空間11a内において隣り合う炭素繊維束14の間に,大径の円柱形空間11bに向かうにしたがって広がりを持つ等間隔の隙間が確保される。
端末ソケット11の内部空間に膨張剤30が充填され,ほぐされた炭素繊維束14は端末ソケット11内で膨張剤30中に埋め込まれている。なお,図示は省略するが,上述したスペーサ20と円柱形空間11bにおける端末ソケット11の内面との間のわずかな隙間にも膨張剤30が入ることもある。膨張剤30は適切な温度管理下において適度な膨張を生じる。膨張剤30が膨張することによって生じる膨張圧によって摩擦力が高められるので,端末ソケット11内における炭素繊維束14の拘束力が高められる。炭素繊維束14の表面の凹凸構造も拘束力の向上に寄与する。また,スペーサ20によって隣り合う炭素繊維束14との間のそれぞれに間隔が設けられているので,炭素繊維束14のそれぞれに膨張剤30による拘束力が作用し,これによって炭素繊維束14(炭素繊維ケーブル13の末端部分)は端末ソケット11から非常に抜けにくくなる。膨張剤30には,たとえば酸化カルシウムを主成分とする,水と反応して膨張するものを用いることができる。
端末ソケット11内に充填された膨張剤30が膨張すると,膨張圧によって端末ソケット11は外向きに押されることになる。端末ソケット11の素材,肉厚などは膨張圧によって端末ソケット11が変形することがないように設計される。
端末ソケット11の内部空間が円錐台形であるので,膨張剤30が膨張して膨張圧が外向きに作用すると,炭素繊維ケーブル13を端末ソケット11内に引き込む方向の分力が生じる。これにより炭素繊維ケーブル13を端末ソケット11から抜け出にくくすることができ,高い定着効率が達成される。テンドン10に大きな引張力が加わったとしても端末ソケット11から炭素繊維ケーブル13の末端部分が抜け出てしまうことがなく,結果的にテンドン10を,20,000kN〜36,000kN程度の非常に大きな引張力に耐えうるものとすることができる。これは,メキシコ湾,ブラジル沖,西アフリカ沖などの水深16,000mを超える超大水深海域におけるTLP1の設置を可能にする。また,定着効率の向上のために端末ソケット11の長さ(端末ソケット11内に挿入されて膨張剤30中に埋め込まれる炭素繊維ケーブル13の末端部分の長さ)を必要以上に長くする必要もなくなる。
端末ソケット11の大径の円柱形空間11bを持つ先端部分の外周面に雄ねじ11dが形成されており,そこに内周面に雌ねじ12aが形成された蓋体12がねじ結合されることで,蓋体12が端末ソケット11の先端部分に強く固定され,大径の円柱形空間11bの開口が蓋体12によって閉じられる。膨張した膨張剤30が端末ソケット11の大径の円柱形空間11bの開口から外に漏れ出すことはない。また,膨張圧によってスペーサ20が押されても,スペーサ20が円柱形空間11bの開口から抜け出てしまうこともない。
さらに,端末ソケット11の末端部分の小径の円柱形空間11cには封止材(たとえばエポキシ樹脂)40が詰められており,端末ソケット11の小径の円柱形空間11cの開口からも膨張した膨張剤30が漏れ出すことはない。
図6および図7は端末定着構造の製造工程を示している。
図6を参照して,端末ソケット11の小径の円柱形空間11cの開口から炭素繊維ケーブル13の末端部分を端末ソケット11内に挿入し,端末ソケット11の大径の円柱形空間11bの開口から外に出す。図7を参照して,端末ソケット11の大径の円柱形空間11bの開口から外に出ている炭素繊維ケーブル13の末端部分を炭素繊維束14にほぐし,炭素繊維束14のそれぞれをスペーサ20の孔21に1本ずつ通す。端末ソケット11を炭素繊維ケーブル13の末端部分に移動させることで,炭素繊維ケーブル13の末端部分(ほぐされた炭素繊維束14)が端末ソケット11の円錐台形空間11aに引き込まれ,かつスペーサ20が端末ソケット11の大径の円柱形空間11bに嵌め込まれる。蓋体12を端末ソケット11の先端部分にねじ止めすることで,端末ソケット11の大径の円柱形空間11bの開口が閉じられる。
端末ソケット11を垂直に立て,小径の円柱形空間11cの開口(円柱形空間11cの内面と炭素繊維ケーブル13の間の隙間)から水を混ぜた膨張剤30を円錐台形空間11aに充填し,最後に円柱形空間11cの隙間に封止材40を詰める。
所定時間後,膨張剤30は固化しその後に膨張が発現する。端末ソケット11の内部に膨張圧が加わる。ほぐされた炭素繊維束14は膨張圧によって端末ソケット11内に強く拘束され,これによって炭素繊維ケーブル13の末端部分に端末ソケット11が強力に定着する。
図8は変形例を示すもので,蓋体12Aに雄ねじ12bが形成され,端末ソケット11Aの大径の円柱形空間11bの内面に雌ねじ11eが形成されている点が,上述した蓋体12および端末ソケット11と異なる。蓋体12Aの雄ねじ12bと端末ソケット11Aの雌ねじ11eとがねじ結合されることで,端末ソケット11Aの先端部分に蓋体12Aがしっかりと固定され,大径の円柱形空間11bの開口が閉じられる。
図9は他の実施例を示すもので,図3に相当するテンドンの末端部分の断面図を示している。
端末ソケット11Bは,上述した端末ソケット11,11Aに比べて長さが長く,その内部には,端末ソケット11Bの全長にわたって円柱形の空間11fが形成されている。円柱形空間11fに膨張剤30が充填され,充填された膨張剤30中にほぐされた炭素繊維束14が埋め込まれている。
円柱形空間11fには2つのスペーサ20A,20Bが間隔をあけて嵌め込まれており,一方のスペーサ20Aは端末ソケット11Bの先端部分の近くに,他方のスペーサ20Bは端末ソケット11Bの末端部分の近くにそれぞれ位置している。これらのスペーサ20A,20Bにもほぐされた炭素繊維束14の数と同じ数の複数の孔があけられており,複数の孔のそれぞれに炭素繊維束14が1本ずつ通されている。スペーサ20A,20Bによって確保される炭素繊維束14同士の間の隙間に膨張剤30が充填するので,端末ソケット11B内において炭素繊維束14(炭素繊維ケーブル13の末端部分)を強く拘束することができ,炭素繊維ケーブル13の末端部分に端末ソケット11Bをしっかりと定着することができる。円柱形空間11fの先端部分の内面に形成された雌ねじ15aが用いられて端末ソケット11Bの先端部分に蓋体(図示略)が固定され,蓋体によって端末ソケット11Bの先端部分の円柱形空間11fの開口が閉じられる。
上述した端末ソケット11,11A,11Bは,炭素繊維ケーブル13の両末端部分に定着してもよい。また,一端部または両端部に端末ソケットを定着させた炭素繊維ケーブルは,テンドン(係留索)10としての用途に限定されるものではなく,斜張橋,吊り橋等の橋梁,吊り屋根その他の建築物の用途にも用いることができる。
上述した実施例では,複数本の炭素繊維束14を束ねた炭素繊維ケーブル13を用いる例を説明したが,炭素繊維に代えて,ガラス繊維,アラミド繊維その他の合成繊維を用いてもよく,また,炭素繊維束14に含浸される樹脂についても,エポキシ樹脂に代えて,ポリアミド樹脂,フェノール樹脂その他の樹脂を用いてもよい。
1 プラットフォーム
10 テンドン
11,11A,11B 端末ソケット
11a 円錐台形空間
11b,11c,11f 円柱形空間
11d,12b,15a 雄ねじ
11e,12a 雌ねじ
12,12A 蓋体
13 炭素繊維ケーブル
14 炭素繊維束
20,20A,20B スペーサ
21 孔
40 封止材

Claims (11)

  1. 内部に中空を有する両端が開口した端末ソケットの一方の開口部から,樹脂が含浸された繊維束を複数本束ねた繊維強化プラスチック製ケーブルの末端部分が上記端末ソケット内に挿入されており,
    上記端末ソケット内において上記繊維強化プラスチック製ケーブルの末端部分が繊維束にばらされており,
    上記端末ソケット内に充填された膨張剤に,上記ばらされた複数本の繊維束が埋め込まれている,
    繊維強化プラスチック製ケーブルの端末定着構造。
  2. 端末ソケットが円柱形の中空を備えている,
    請求項1に記載の繊維強化プラスチック製ケーブルの端末定着構造。
  3. 端末ソケットが円錐台形の中空を備え,
    繊維強化プラスチック製ケーブルの末端部分が小径の開口部から上記端末ソケット内に挿入されている,
    請求項1に記載の繊維強化プラスチック製ケーブルの端末定着構造。
  4. 円錐台形の中空が6.0°〜12.0°の勾配角を有している,請求項3に記載の繊維強化プラスチック製ケーブルの端末定着構造。
  5. 上記端末ソケットの先端部分の開口が蓋部材によって閉じられている,
    請求項1から4のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック製ケーブルの端末定着構造。
  6. 上記蓋部材が,上記端末ソケットの先端部分にねじ止めされている,
    請求項5に記載の繊維強化プラスチック製ケーブルの端末定着構造。
  7. 上記端末ソケットの末端部分の開口内に封止材が詰められている,
    請求項1から6のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック製ケーブルの端末定着構造。
  8. ばらされた繊維束のそれぞれが,上記端末ソケット内に設けられたスペーサの孔に1本ずつ通されている,
    請求項1から7のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック製ケーブルの端末定着構造。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の端末定着構造を,両末端部のうちの少なくとも一方に備えている,
    繊維強化プラスチック製ケーブル。
  10. 複数本の繊維束が低角度の撚り角によって撚り合わされている,
    請求項9に記載の繊維強化プラスチック製ケーブル。
  11. 上記繊維束が炭素繊維束である,
    請求項9または10に記載の繊維強化プラスチック製ケーブル。
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