JP4288122B2 - 高強度繊維複合材ケーブルの端末定着方法及び端末定着体 - Google Patents

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本発明は高強度繊維複合材ケーブルの端末定着方法および端末定着体に関する。
グラウンドアンカーテンドン、橋梁用ポストテンション緊張材(鉛直締め、横締め、軸方向ケーブル)橋梁用吊り橋ケーブル、橋梁用ステーケーブル等の用途に高強度繊維複合材ケーブルが用いられている。
かかる高強度繊維複合材ケーブルは、1×7構造,1×19構造,1×37構造で代表されるのシングルケーブル、これらを複数本集束し平行に束ねた平行線マルチケーブル、及び緩いツイストを入れたツイストマルチケーブル等があるが、いずれにしても前記用途に適用するためには、端末定着体が必要になる。
炭素繊維・エポキシ樹脂複合材等の高強度繊維複合材は、引張強度が高いが、せん断や側圧に弱いため、PC鋼より鋼線に使用されているクサビ定着を用いると高強度繊維複合材を損傷してしまい、本来の強度が出ない。そこで、従来、高強度繊維複合材ケーブルの端末定着方法として、次のような手法が採用されていた。
1)高強度繊維複合材ケーブルの端部を鋼管に挿入し、鋼管に、主材と硬化剤を調合したエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を充填し、樹脂を硬化させて、樹脂の接着により緊張材を定着する方法。
2)高強度繊維複合材ケーブルの端部を金型に装着し、金型内に低融点合金を注入して冷却することで端部に合金成形体を作り、この成形体をクサビで定着する方法。
しかし、1)の方法は、樹脂の調合機器や熱効果時の温度管理の設備、2)の方法は、合金の溶解炉や注入冷却装置などいずれも大掛かりな設備や機器を必要とする。このため、現地での加工には適さず、工場での定着加工形態をとらざるを得ずなかった。
しかし、工場加工の場合には、必要な設計長さの拾い出しや加工長さ管理が面倒である点、梱包や搬送時に定着部の取り扱いに手間がかかる点、定着部加工品のスリーブ径が最大外径となるため、ポストテンション緊張材の用途ではシース径を大きくする必要があり、グラウンドアンカー用途では削孔径を大きくする必要がある点に問題があった。
本発明は前記のような問題点を解消するためになされたもので、その目的とするところは、工場でなく現場で、簡易にしかも工場加工と同等の定着性品質を実現できる高強度繊維複合材ケーブルの端末定着方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、現場加工で製作できるものでありながらスリーブからの抜け出しや緊張力低下が生じず、かつ定着部径がコンパクトで、施工時のシース径や削孔径を小さくでき、配筋設計上及びコスト上有利な高強度繊維複合材ケーブルの端末定着体を提供することにある。
前記目的を達成するため本発明の高強度繊維複合材ケーブルの端末定着方法は、中央にケーブル挿通孔を、周囲に充填材通過用孔をそれぞれ貫設した可縮性の緩衝間仕切り材を用い、前記緩衝間仕切り材を高強度繊維複合材ケーブルの端末部分に外嵌した状態でスリーブ内所要位置にあるように高強度繊維複合材ケーブルを貫挿し、スリーブの両端位置に止水具を取り付けて膨張性充填材を注入し、膨張性充填材を前記緩衝間仕切り材の通過用孔を通してスリーブ内全体に充填させ、膨張性充填材の膨張圧による摩擦でケーブルを定着することを特徴としている。
また、本発明の高強度繊維複合材ケーブルの端末定着体は、高強度繊維複合材ケーブルの端末部分に設けられる端末定着体であって、外周に雄ねじを有し、高強度繊維複合材ケーブルを貫挿させたスリーブと、ケーブル挿通孔を中央に、周囲には充填材通過用孔をそれぞれ有し、スリーブ内を仕切る可縮性の緩衝間仕切り材と、スリーブ内に注入され前記緩衝間仕切り材の充填材通過用孔を通して分配充填された膨張性充填材からなり、前記緩衝間仕切り材の変形で膨張性充填材の膨張圧が緩衝され、スリーブ全長で膨張圧が平均化されていることを特徴としている。
本発明は、充填材通過孔を有する緩衝間仕切り材をスリーブ内に配置することで、長尺のスリーブ全体にわたって高強度繊維複合材ケーブルの直線性を確保でき、かつまた緩衝間仕切り材は膨張性充填材の通過用孔を軸方向に貫設しているので、高強度繊維複合材ケーブルとスリーブ内面との間隙およびケーブル構成部分同士の間隙を適正に確保した状態で膨張性充填材をスリーブの全長にわたり円滑に充填することができる。
膨張性充填材は養生時に膨張するが、緩衝間仕切り材が可縮性であるため膨張圧で軸方向に圧縮変形され、その変形で長尺スリーブの全体にわたって膨張圧を均一にすることができる。このため、スリーブ中央部分の歪と応力が高くなることによる変形でスリーブに螺合するナットが回らないとか、疲労性が低下するといった問題が起こらず、30MPa程度の低膨張圧で必要な定着強度が得られる。
また、高強度繊維複合材ケーブルと定着用の部材を別々にコンパクトな梱包で搬送し、現場合わせで定着体を得ることができるので、工場加工の場合に必要とされる設計長さの拾い出しや加工長さ管理等が不要になるなどの省力化を達成でき、現場作業において簡易な作業で工場加工と同等の品質の端末定着体を得ることができる。また、ケーブルを通過させる際にスリーブを通過させる必要がないためシース径や削孔径を小さくでき、配筋設計上及びコスト上有利となる。
好適には、スリーブとして、ケーブル径の10〜40倍の長さと、ケーブルの断面積の2〜4倍の内面積のものを使用し、膨張性充填材の膨張圧を長手方向で均一化すべく緩衝間仕切り材によりケーブル径の5〜20倍の長さに膨張性充填材のスリーブ内充填長さを分割して行なう
こうすれば、膨張圧を低くして必要な定着力を確実に得ることができ、また、スリーブが長いことによるスリーブ中央部の膨張圧が過度に高くなることを確実に防止することができる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1ないし図7は本発明による高強度繊維複合材ケーブルの端末定着方法の一例を示しており、図7は高強度繊維複合材ケーブルの端末定着体の一例を示している。
本発明は、現場加工で高強度繊維複合材ケーブルの端末定着を行うもので、資材として、図1のように、リールRに巻収した高強度繊維複合材ケーブル1と、鋼管などからなるスリーブ2と、スリーブ2内に装填される少なくとも1つの可縮性の緩衝間仕切り材3と、スリーブ2の両端に着脱可能に取付けられる止水具4、4’および膨張性セメントなどの膨張性充填材を使用する。
前記高強度繊維複合材ケーブル1は、炭素繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維などから選択される高強度低伸度繊維に、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などから選択される熱硬化性樹脂を含浸させて複合材とした、少なくとも1本の緊張材からなっている。かかる緊張材は、ロッド形態、組紐(編組体)形態など任意であるが、一般的には前記複合材からなる多数の複合素線100を撚り合せた構造のものが用いられる。
この場合のケーブルの形態は、前記素線を撚合し、1×7、1×19、1×37などの構造(多層構造を含む)とした1本の緊張材からなるシングルタイプ、前記シングルタイプの緊張材を複数本集束して平行状に束ねた平行マルチタイプ、緊張材の複数本を2〜12°のゆるい撚り角度で撚り合わせたツイストマルチタイプなど、使用目的や要求される強度などに応じて選択される。
図示するものは、1×7構造としたシングルタイプの緊張材1aを3本集束し、平行状に束ねた平行マルチタイプのケーブルとしている。
スリーブ2は定着体の外殻であると同時にケーブルに緊張力を導入する手段であり、外周の全体または所要範囲に雄ねじ20を設けている。スリーブ2は、本発明では30Mpa程度の低い膨張圧で必要な定着力を得るために、長さLを、高強度繊維複合材ケーブル径の10〜40倍の範囲としている。
スリーブ2の内面積は、高強度繊維複合材ケーブル1の断面積の2〜4倍としている。
本発明において、長いスリーブを採用した理由は、次のとおりである。すなわち、高強度繊維複合材ケーブルの端部をスリーブに挿入し、スリーブに膨張性充填材を充填し、膨張性充填材を養生して膨張圧を発生させ、膨張圧による摩擦で定着する工程を工場加工によって行なう場合、取り扱い上の理由でスリーブは長さがなるべく短いことが要求される。
そのためには膨張圧を50MPa以上にさせる必要があるが、50MPa以上の高い膨張圧にするためには、養生の温度調節(養生初期の冷却、養生中期以降の加熱)が重要であり、設備と温度管理が必要である。
しかし、現場環境においてこの設備を整備し、また温度管理をするのは難しく、また非常に煩雑である。そこで、本発明は、現場で冷却―加熱設備と特別な温度管理なしで加工を行える30MPa程度の比較的低い膨張圧で定着できるようにすべく、スリーブ2の長さLを、少なくとも高強度繊維複合材ケーブル径の10倍としたのである。
すなわち、膨張材による定着力は、ケーブル径×定着長さ×(付着係数+摩擦係数+膨張圧)となるが、本発明者は実験によりケーブル径の10倍以上のスリーブ長さにすれば、膨張圧30MPa程度で必要な定着力を得ることができることを見出したのである。
しかし、高強度繊維複合材ケーブル径の40倍を越える長さでは、定着体が過度に長くなるので、現場での取扱い性が低下し、また、曲げ引張補強などの用途において曲げ可能なケーブル部の長さが相対的に短くなるため、適当とはいえない。
スリーブ内面積を高強度繊維複合材ケーブル1張材の断面積の2〜4倍としたのは、この範囲にあれば膨張性充填材の養生に特別な温度管理をしなくても自然養生によって30MPaの膨張圧が得られるからである。
すなわち、内面積はケーブルの断面積+空隙であるが、膨張性充填材は養生によって体積が約2倍になる。この体積膨張を拘束することで膨張圧が生じ、したがって拘束条件により膨張圧が変わる。さらに膨張圧は養生条件によっても異なる。スリーブ2の空隙に充填された膨張材は養生によって体積膨張し、該膨張圧によってケーブルも変形する。たとえば、空隙が小さすぎると体積膨張に比べて相対的にケーブルの変形量も大きくなり、膨張圧はさほど上がらないことになる。実験によれば、自然養生の条件においては、ケーブルの断面積の1〜3倍の空隙があれば、30MPaの膨張圧を得ることができることが確認された。そのためには、スリーブはケーブルの断面積の2〜4倍の内面積を有していればよくなるからである。
緩衝間仕切り材3は、ゴムで代表される弾性的可縮性を有する材料の成形体からなる。この緩衝間仕切り材3は、図2ないし図4のように、中心部に高強度繊維複合材ケーブル1の断面輪郭と略一致する形状のケーブル挿通孔30を有するほか、該ケーブル挿通孔30よりも外径側に、複数個の充填材通過用孔31を有している。
本発明で緩衝間仕切り材3を使用するのは、前記スリーブ2内において、高強度繊維複合材ケーブル1の配置を整え、すなわちスリーブ内面と高強度繊維複合材ケーブルとの間隔を保持し、マルチタイプのケーブルにおいては平行性を保持するだけためであるが、それだけでなく、膨張圧を長手方向で均一化すべく、膨張性充填材のスリーブ内充填長さを分割するとともに、膨張性充填材の膨張圧で変形して膨張力を吸収するためである。
すなわち、本発明は、30MPa程度の比較的低い膨張圧で定着できるようにスリーブ2の長さを長くするが、養生とともに体積が約2倍になる膨張性充填材の性質上、スリーブ2を単純に長くしただけではスリーブ中央部の膨張圧が極度に高くなってしまい、この部分のひずみと応力が高くなる。その結果、雄ねじにナットを螺合して行くと途中で回らなくなり、緊張力を導入することができなくなったり、スリーブの疲労性が低下する等の問題が生じる。また、マルチタイプケーブルではスリーブ内の各緊張材の間隔や平行性を維持するのが難しくなる。
そこで、スリーブ2内の途中に緩衡間仕切り材3を設置し、膨張圧によって前記間仕切り材を変形させ、間仕切り材の付近の膨張圧が過度に高くならないようにし、またスリーブ内の各緊張材の間隔や平行性を維持させたのである。
緩衝間仕切り材3は、スリーブ内でみだりに移動しないようにスリーブ内径Dとほぼ一致するかやや大きい外径D1を有するとともに、膨張圧を十分に吸収できる変形能を発揮できる長さL1を有している。 前記長さL1は緩衝間仕切り材の材質、ケーブル挿通孔の数や大きさなどケーブルの種類などによって調整するが、最大でもスリーブ内径Dと同程度でよく、これで緩衝間仕切り材3によりケーブル径の50〜20倍の長さにスリーブ内の膨張性充填材充填長さを分割することができる。
止水具4、4’は、高強度繊維複合材ケーブル1とスリーブとの間隔を保持するとともに、スリーブ2の両端を塞いで膨張性充填材が外部に漏れないようにするために用いられる。
止水具4、4’は、ケーシング4aと、ケーシング4aの端部で高強度繊維複合材ケーブル1の外殻形状に倣う粘土などの封止部材4bとから構成される。ケーシング4aは、中間に内フランジ部40を有し、ここに接続用プラグ41が挿着されている。
ケーシング4aは筒体からなっていてもよい。しかし、スリーブ2に高強度繊維複合材ケーブル1を挿通した状態でスリーブ2に容易に取り付けられるように、少なくとも一方のケーシング4aは、図5(a)(b)のように2部材400,400に分割され、バンドなどの締め部材401で一体化されるようにすることが好ましい。
他方のケーシング4aは同様な構成でもよいが、高強度繊維複合材ケーブル1の比較的短い端末に通せばよいので、図5(C)のように、内面にスリーブ2の雄ねじ20に対応する雌ねじを設けた円筒であってもよい。
本発明は種々の態様を採用できる。
1)緩衝間仕切り材3は、図示するものでは全体が一体に構成されているが、溝つき断面に分割した複数のものとし、高強度繊維複合材ケーブル1を側方から挟み、その状態で分割部体を接着などによって合体し一体状の筒としてもよい。
2)緩衝間仕切り材3は必ずしも1個である場合に限られず、2個以上を使用し、スリーブ2を等分する位置などに配置させてもよい。
3)高強度繊維複合材ケーブル1は、素線を撚り合せた1×7、1×19、1×37などの1本の緊張材1aからなるシングルタイプの場合も含み、また、図9のように、シングルタイプの片撚りケーブルからなる緊張材1aを心として中心に配置し、その周りに複数本(図面では6本)の緊張材1aを、側として配置した複撚り型のツイストマルチタイプなどを含んでいる。
本発明の定着方法について説明すると、現場には図1のように、リールRに巻収した高強度繊維複合材ケーブル1と、鋼管などからなるスリーブ2と、スリーブ2内に装填される少なくとも1つの可縮性の緩衝間仕切り材3と、スリーブ2の両端に着脱可能に取付けられる止水具4、4’および膨張性セメントなどの膨張性充填材を搬入する。
次いで、現場の状況に応じて高強度繊維複合材ケーブル1を所要の長さに切断し、高強度繊維複合材ケーブル1の端部をスリーブ2に貫挿する。スリーブ2に挿入する際に、高強度繊維複合材ケーブル1に所定間隔で緩衝間仕切り材3を取り付ける。
図2はこの状態を示しており、緩衝間仕切り材3に設けられている中央を貫通するケーブル挿通孔30を高強度繊維複合材ケーブル1に外嵌する。そして、図3(a)(b)のように緩衝間仕切り材3がスリーブ2の長手方向所定位置(この例では中央部)に存するように配置する。
しかし、緩衝間仕切り材3をあらかじめスリーブ2の所定位置に内嵌しておき、その状態でケーブル挿通孔30を貫いて高強度繊維複合材ケーブル1をスリーブ2に貫挿してもよい。
いずれにしても、上記緩衝間仕切り材3の挿入によりによりスリーブ2は区画され、高強度繊維複合材ケーブル径の5〜20倍の長さに膨張性充填材の充填長さを調整することができる。
次いで、スリーブ2の両端部に止水具4,4’のケーシング4a、4aを取り付け、粘土などの封止部材4bをケーシングに充填し、高強度繊維複合材ケーブル1の外殻形状に密着させて封止する。
止水具4,4’の接続用プラグ41、41には、それぞれ充填材導入用のホース5と空気抜き用のホース6を取り付け、充填材導入用のホース5は、膨張性充填材供給手段7と接続する。膨張性充填材供給手段7はポンプなどの圧送機能を有するものを使用してもよいし、じょうろとバケツなどの簡易な重力充填であってもよい。
この状態が図6であり、膨張性充填材8たとえば所定量の水と配合した膨張性セメントを膨張性充填材供給手段7によりスリーブ2に注入する。
高強度繊維複合材ケーブル1は緩衝間仕切り材3と両端の止水具4,4’に支持されることにより、スリーブ2の内面と所定の隙間が保たれているので、注入された膨張性充填材8は前記隙間を満たし、さらに緩衝間仕切り材3には複数個の通過用孔孔31が長手方向を貫通しているので、膨張性充填材8はこれらを通して他端側に流入し、スリーブ全体を満たす。
この状態で環境温度に応じて48時間〜7日程度の自然養生をし、膨張圧が30MPa程度に達した段階で養生を完了する。必要な膨張圧は30MPa程度と比較的低いため、特別な温度管理をせずにすむ。 養生後は両端の止水具4,4’を取り外す。この状態が図7であり、膨張圧によって中間にある緩衝間仕切り材3は両側からの圧縮を受けて長さがL2に変形される。かかる吸収作用により膨張圧が過度に高くならないように調整される。
図10は緩衝間仕切り材3をスリーブの中央部に配した場合の膨張圧の分布を示しており、図11は比較のために緩衝間仕切り材3を用いない場合の膨張圧の分布を示している。
図11の場合には、膨張性充填材が膨張したときに、スリーブの中央領域の膨張圧が極度に高くなり、スリーブの変形を招いたり、応力が過大になる。
これに対して、図10の場合には、スリーブの中央領域の膨張圧が高くならず、長手方向でほぼ均一になる。
以上で端末定着体が得られるので、スリーブ2にナット9を螺合して計画の緊張力を導入し、定着する。
図8は本発明をグランドアンカーに適用した例を示しており、Aは施工対象地盤であり、施工対象地盤Aに開けられ削孔Bにアンカー体として挿入され、頭部aとこれから下方の自由長部bおよび定着長部cとを備えている。
前記頭部aのスリーブ2は施工地盤Aの表面に配された受圧板Eを貫通し、外周の雄ねじ20をナット9と螺合することで引張り力が付与される。
自由長部bでは周囲にシースFが囲繞しており、該シースFの下端部は止水材Gを有している。シースF内には止水材Gを底として充填材Hが入れられる。
定着長部cでは、定着力を得るためケーブル1は複数の緊張材に分離されるとともにスペーサJで間隔が保持されており、先端は固定部材Kにより収束されている。自由長部bと定着長部cにはグラウトMが充填される。
なお、本発明の定着方法は、高強度繊維複合材ケーブル1を所定の長さに切断し、自由長部bと定着長部cの組立てを行った状態で、削孔内へ挿入し、鋼管を引抜いた後に実施してもよい。
本発明の具体的な例を説明する。
〔具体例1〕
1)心に1本、側に6本の7本撚り構成とした直径15.2mmの炭素繊維/エポキシ系高強度繊維複合材を緊張材とし、これの3本を1つの束にして図2および図4のマルチケーブルを構成した。マルチケーブル径は33mmである。
2)スリーブは、外径80mm、内径60mm、長さ500mmの鋼管を使用し、マルチケーブルに、長さ40mmで、中央にケーブル挿通孔を周囲に3つの注入材通過孔を有するゴム製の緩衝仕切り材を取り付け、緩衝仕切り材スリーブ端から250mmに位置させた。
3)スリーブの両端位置にそれぞれ止水具を取り付け、また止水具には透明ビニールホースを取り付けた。
2つのホースのうち、鉛直下側のホースから膨張性セメントを注入し、もう一方のホースから空気抜きをし、空気抜きホースに膨張材が達し内部に膨張材が十分に満たされたことを確認して充填を完了した。
4)気温が10から30℃の昼夜間温度変動のある夏場雰囲気において48時間の自然養生をして膨張圧が30MPaに達した時点で養生を完了し、止水具を取り外して、定着体を得た。
これを、ケーブルの保証引張荷重597kNの70%である418kNまで緊張し、ナット定着を行った。緊張作業中、及び定着後において、スリーブからの抜け出しや緊張力低下は見られなかった。
〔具体例2〕
1)心に1本、側に6本の7本撚り構成とした直径12.5mmの炭素繊維/エポキシ系高強度繊維複合材を緊張材に用い、これを心に1本、側に6本配置し、撚り合わせて7×7複撚り構成のマルチケーブルを得た。
2)スリーブは、外径70mm、内径55mm、長さ450mmとし、マルチケーブルに、長さ35mmで、中央にケーブル挿通孔を周囲に3つの注入材通過孔を有するゴム製の緩衝仕切り材を取り付け、この緩衝仕切り材をスリーブ端から225mmに位置させた。スリーブの両端に止水具を取り付け、2つのホースのうち、鉛直下側のホースから膨張性セメントを注入し、もう一方のホースから空気抜きをし、空気抜きホースに膨張性セメントが達し内部に膨張性セメントが十分に満たされたことを確認して充填を完了した。
3)気温が0℃から15℃の昼夜間温度変動のある冬期雰囲気において、スリーブに保温用断熱材を巻きつけ、低温側を5℃以上に雰囲気調整し、5日の自然養生をして膨張圧が30MPaに達した時点で養生を完了とし、止水具を取り外して、定着体を得た。
4)これを、連続繊維緊張材の保証引張荷重895kNの70%(627kN)まで緊張し、ナット定着を行った。緊張作業中、及び定着後において、スリーブからの抜け出しや緊張力低下は見られなかった。
本発明はグラウンドアンカーテンドン、橋梁用ポストテンション緊張材(鉛直締め、横締め、軸方向ケーブル)橋梁用吊り橋ケーブル、橋梁用ステーケーブル等の用途に好適である。
本発明による高強度繊維複合材ケーブルの端末定着方法に使用する資材の斜視図である。 緩衝仕切り材と高強度繊維複合材ケーブルの取り合いを示す斜視図である。 (a)はスリーブへの貫挿・配置状態を示す断面図、(b)はスリーブへの貫挿・配置を終えた状態の断面図である。 図3(b)のIV−IV線に沿う拡大断面図である。 (a)(b)(c)は止水具の例を示す断面図である。 膨張性充填材の注入時の状態を示す断面図である。 得られた定着体の断面図である。 本発明の定着体つき高強度繊維複合材ケーブルの使用例を示す断面図である。 本発明の他の例を示す部分切欠斜視図である。 本発明を適用した場合の膨張性充填材の膨張圧分布を示す線図である。 本発明を適用しない場合の膨張性充填材の膨張圧分布を示す線図である。
符号の説明
1 高強度繊維複合材ケーブル
2 スリーブ
3 緩衝仕切り材
4、4’ 止水材
8 膨張性充填材
30 ケーブル挿通孔
31 充填材通過孔

Claims (3)

  1. 中央にケーブル挿通孔を、周囲に充填材通過用孔をそれぞれ貫設した可縮性の緩衝間仕切り材を用い、前記緩衝間仕切り材を高強度繊維複合材ケーブルの端末部分に外嵌した状態でスリーブ内所要位置にあるように高強度繊維複合材ケーブルを貫挿し、スリーブの両端位置に止水具を取り付けて膨張性充填材を注入し、膨張性充填材を前記緩衝間仕切り材の通過用孔を通してスリーブ内全体に充填させ、膨張性充填材の膨張圧による摩擦でケーブルを定着することを特徴とする高強度繊維複合材ケーブルの端末定着方法。
  2. スリーブとして、ケーブル径の10〜40倍の長さと、ケーブルの断面積の2〜4倍の内面積のものを使用し、膨張性充填材の膨張圧を長手方向で均一化すべく緩衝間仕切り材によりケーブル径の5〜20倍の長さに膨張性充填材のスリーブ内充填長さを分割して行なう請求項1に記載の高強度繊維複合材ケーブルの端末定着方法。
  3. 高強度繊維複合材ケーブルの端末部分に設けられる端末定着体であって、外周に雄ねじを有し、高強度繊維複合材ケーブルを貫挿させたスリーブと、ケーブル挿通孔を中央に、周囲には充填材通過用孔をそれぞれ有し、スリーブ内を仕切る可縮性の緩衝間仕切り材と、スリーブ内に注入され前記緩衝間仕切り材の充填材通過用孔を通して分配充填された膨張性充填材からなり、前記緩衝間仕切り材の変形で膨張性充填材の膨張圧が緩衝され、スリーブ全長で膨張圧が平均化されていることを特徴とする高強度繊維複合材ケーブルの端末定着体。
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