JP4603506B2 - コンクリート構造物の補修構造並びに制振装置および補修工法 - Google Patents

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本発明は、繊維補強セメント複合材料を用いたコンクリート構造物の補修技術と該技術を組み込んだ制振装置に関するものである。
繊維補強セメント複合材料そのものは公知であり、この材料を用いたコンクリート構造物に耐震性を付与する構造についても、複数の技術が公知である。
ここで、特許文献1、2のような繊維補強セメント複合材料とは、セメント系材料に体積比で0.5〜数%の短繊維を混入し補強した材料で、曲げ、引張、圧縮、せん断力などの外力を受けると多数のひび割れ幅0.1mm以下の微細な複数ひび割れを分散して形成し、数%のひずみ能力を有し、高靭性で延性な挙動を示す。従って、従来のセメント系材料の「引張に脆い」という欠点を繊維補強セメント複合材料によって克服することができる。セメント系材料の補強用繊維としては、炭素繊維、アラミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ビニロン繊維などの有機繊維や鋼繊維などの短繊維を例示することができ、それらの繊維を単体あるいは2種類以上を混ぜ合わせて使用する。
このように、繊維補強セメント複合材料を用いることによって、補強用繊維が混入されているため通常の普通コンクリートのように破壊の進展にともなうコンクリートの剥落が生じず、耐力の急激な低下も見られない。さらに内部に鉄筋が配された繊維補強セメント複合材料が曲げ、引張、圧縮、せん断力を受けた場合であっても、普通コンクリートにくらべ、鉄筋のひずみが小さくなり、ひび割れ発生後も繊維補強セメント複合材料が応力を負担し、普通コンクリートで発生するような付着破壊も大幅に抑制される。ところで、繊維補強セメント複合材料は鋼材などと異なって部材にひび割れが発生するが、これ自体は欠点ではあるとしても、逆にその部材に生じたひび割れ状況を構造実験などで観察されたひび割れ発生状況と比較することで、外観から部材の損傷レベルを視覚的に検知が可能となる。以上のように、繊維補強セメント複合材料は高靭性でかつ損傷の程度を視覚的に判断できる材料として好適である。
一方、近年、地震や強風に対する構造形式として、建物に入力される地震や強風によるエネルギーを吸収する部材を付加し、建物応答を制御させる制震構造が注目され、様々な研究が行われている(例えば、特許文献3〜5や非特許文献1参照)。そして、鋼材、粘弾性材、オイルなどを用いた種々の優れたエネルギー吸収部材を組込んだ制振装置がすでに存在し、多くの建物で設置されている。
特開2001−322859号公報 特開2000−7395号公報 特開2000−336813号公報 特開2004−44207号公報 特開2004−44197号公報 石原誠一郎、三橋博三、金子佳生、和地正浩:ハイブリッド型繊維補強セメント系複合材料を用いたエネルギー吸収部材の構造性能に関する実験的研究、コンクリート工学年次論文集、Vol.25、No.2、p.1705-1710、2003
上記制振装置のうち、鋼材を用いた制振装置は、低降伏点鋼や鉛が用いられたエネルギー吸収部材の塑性化にともなう履歴エネルギー消散を減衰力として、地震や風によるエネルギーを吸収する。粘弾性材を用いた制振装置は、アクリル系、ジエン系化合物、アスファルト系化合物などを積層ゴムのように薄い粘弾性材を鋼板の間に挟みこみ、そのせん断抵抗力を減衰抵抗力としてエネルギーを吸収する。オイルを用いた制振装置は、管路流れの絞り抵抗で生ずる内圧を減衰抵抗力として、エネルギーを吸収する。粘弾性材、オイルを用いた制振装置は、強風や地震では損傷しないため、制振装置は強風や地震を受けても交換の必要がない。鋼材を用いた制振装置は、強風や中程度までの地震を受けても制振装置に組込まれたエネルギー吸収部材の鋼材が塑性化するため、特に交換の必要はない。ただ、想定外の大地震を受け大きく塑性化した場合には交換の必要があるが、通常ボルトの締め外しで取替えが可能な部材が多い。
一方、繊維補強セメント複合材料の中に鉄筋を配した部材を組込んだ制振装置を建物の適所に配して、強風や地震時に建物に入力されるエネルギーをその部材で吸収させ、建物の損傷を小さくすることを目指す研究は非特許文献1に示すように以前から行われている。しかし、現在のところ、繊維補強セメント複合材料を用いたエネルギー吸収部材を組込んだ制振装置を建物に適用した例は報告されていない。適用されない原因としては、以下のような理由があると考えられる。
まず、繊維補強セメント複合材料を用いた制振装置は、例えば図3に示すように設置される。同図中、1は基礎、2は躯体柱、3は各階梁、4a、4bは各階ごとに設けられたスタブ、5はエネルギー吸収部材(ダンパー部)である。そして、強風や地震などの外力を受けるとエネルギー吸収部材5が微細な複数ひび割れを分散して形成し、当該部材5中に配された鉄筋の塑性化にともなう履歴エネルギー消散を減衰力として、地震や風によるエネルギーを吸収する。しかし、大地震を受けてエネルギー吸収部材5が大きく変形して数%以上のひずみが生じると、分散していたひび割れがいくつかに局所化し、ひび割れ幅が拡大し、変形の程度によっては数ミリ程度にまでひび割れが拡幅してしまう。当該部材5にひび割れが発生し損傷することは、損傷が生じても交換が可能な鋼材、損傷が生じない粘弾性材、オイルなどを用いた制振装置に比べ、明らかに性能が落ちるため使用されない原因となっている。
次に、繊維補強セメント複合材料を用いた制振装置は、補強用繊維が混入されているため通常のコンクリートのように破壊の進展によるコンクリートの剥落は生じないが、大きなひび割れが生じてエネルギー吸収部材5が損傷する。損傷した制振装置は、前記部材5内に鉄筋が配されており、その上下には上述のスタブ4a、4bも取り付いているため重量が1トン程度と重く、居住者のいる建物内での取替えは非常に困難である。さらに繊維補強セメント複合材料を用いた制振装置は、エネルギー吸収部材5に補強用繊維が混入されているため高靭性であるが、そのため逆に通常のコンクリートのようにブレーカーによる解体も容易でなく、非常に手間がかかるため、解体による取替えも困難である。このように、交換および取替えが難しいことも適用されない原因である。
なお、繊維補強セメント複合材料を用いた制振装置は、ひび割れが発生し、さらに交換および取替えが難しいなどの問題があることが建物への適用を困難としているが、他の制振装置に比べ安価なため、部材のひび割れにセメントペーストやエポキシ樹脂を注入して補修し再使用することで交換や取り替えの困難さを解決することが考えられる。しかし、繊維補強セメント複合材料は、外力を受けると多数の微細な複数ひび割れを分散して形成し、高靭性な性能をもつことを特徴としているため、繊維補強セメント複合材料で損傷した部材を補修することは考えられてこなかったのが現状である。さらに、補修するにしても外側から補修できるのは一部の局所化した大きなひび割れのみで、繊維補強セメント複合材料の損傷は微細なひび割れが多いために、外側から部材のひび割れにセメントペーストやエポキシ樹脂を注入することは困難で、内部への補修材の充填状況が確認できないなど問題がある。また、外部から補修する場合、注入口以外のひび割れを外側から塞ぎ、セメントペーストやエポキシ樹脂を注入するため、部材の外側がセメントペーストやエポキシ樹脂で汚れてしまい、外観からエネルギー吸収部材の損傷レベルを視覚的に検知することができなくなるなどの問題があった。
上述したような繊維補強セメント複合材料を用いた従来の制振装置のもつ問題点を解決するために、本発明では繊維補強セメント複合材料を用いたコンクリート構造物の新たな補修技術を提供することを目的とするものである。
上述した目的を達成するため、本発明の補修構造は、繊維補強セメント複合材料を使用したコンクリート構造物の補修構造であって、前記繊維補強セメント複合材料の構築部に埋設され、前記構築部内に外部から補修材が注入可能な注入管路を設けることによって構成される。繊維補強セメント複合材料による構築部は、地震や強風などを外力とする振動によってひび割れが生じるもので、本発明では、当該現象を積極的に利用することで振動エネルギーを吸収し、建物の壊滅的被害を防ぐことを前提とするものであるが、さらに繊維補強セメント複合材料による構築部はセメント系材料が混入した短繊維によってつなぎ止められるため、剥離のない状態でひび割れが発生する利点に着目し、予め前記構築部内に注入管路を埋設しておき、外部から注入管路を介して補修材を構築部内に圧送することで、前記ひび割れに補修材を充填し、補修する作用を行う。補修材としては、セメントペーストやエポキシ樹脂を例示することができる。
本発明において注入管路は、少なくとも一端を開口し、この開口端を注入口として外部から構築部内に補修材を圧送できる概念を有するものであるが、具体的には、管壁に複数の孔を設けた多孔パイプ、あるいは、構築部に埋設した管状の発泡スチロールを繊維補強セメント複合材料の硬化後に、酸により溶出して形成される空洞孔、さらに、構築部に埋設した鋼棒を繊維補強セメント複合材料の凝結後で、且つ、完全硬化前に前記構築部から引き抜いて形成される空洞孔によって構成することができる。多孔パイプの場合、管壁の孔から補修材が圧出されてひび割れに補修材を充填する。また、空洞孔の場合、管壁はないが、孔全体が開放されているため、ひび割れと連通して補修材を充填するものである。なお、施工性の面で言えば、注入管路を多孔パイプにより構成した場合、酸による溶出工程や引き抜き工程を必要としない分、有利である。
また、ひび割れを隈無く補修するには、柱や梁、壁といった構築部ごとに注入管路を複数設けることが有効であるが、この場合、ある注入管路から見れば、他の注入管路が恰もひび割れのように機能して、他の注入管路に補修材が充填されることが想定される。そこで、本発明では、一の構築部に複数の注入管路を設ける場合、当該注入管路は、中心孔から放射状に排出孔を設けると共に、前記排出孔が開口する管外壁に凹陥部を形成した硬質プラスチック製の多孔パイプと、該多孔パイプの前記凹陥部に配され、注入圧により弾性変形して前記排出孔を開く弾性弁とから構成するという手段を用いた。当該手段によれば、自己の注入圧のみによって排出孔が開弁して補修材の注入作業が可能となる一方、弁に対して、構築部内のコンクリート圧、他の注入管路からの注入圧、さらには自己の中心孔内で吸引圧が作用した場合、当該弁は逆止弁として機能するため、他の注入管路から補修材が流れ込むことを防止することができる。
なお、本発明の補修構造は、繊維補強セメント複合材料を使用した構築部であれば、柱や梁、壁等に適用することができるが、但し、適用される構築部(構造物の部材)はこれらに限定されない。即ち、柱梁架構の上下の梁間に両端を一体化するように挿入設置され、少なくともその一端部側の梁接合部が中央部分よりも平断面積を拡大されたスタブ状に形成され、該中央部分が上下の梁の層間変位に伴い柱梁架構よりも早期に降伏して振動エネルギーを吸収するダンパー部とした制振装置に適用することも可能である。
さらに、本発明の目的は、繊維補強セメント複合材料を使用した構造物の補修工法であって、前記繊維補強セメント複合材料を打設する際、事前の構造実験や耐震シミュレーション等で想定されるひび割れの発生箇所に、外部から補修材が注入可能な注入管路を埋設し、注入した補修材が前記ひび割れの表出亀裂から外部に漏出するまで補修材を注入するという工法によっても実現することができる。この手段によれば、ひび割れの表出亀裂から補修材が漏出したことをもって、構築部内のひび割れに補修材が充填されたことを視覚的に確認することができる。
上述したように本発明によれば、繊維補強セメント複合材料の構築部内に補修材の注入管路を埋設してなるので、繊維補強セメント複合材料を使用したコンクリート構造物への適用が容易で、また補修も極めて簡単に行うことができる。さらに、それ単独または従来の制振装置と併用することで、繊維補強セメント複合材料による利点を踏襲したまま、さらに制振性および補修性に優れたコンクリート構造物の提供も可能となる。つまり、繊維補強セメント複合材料の利点であり、同時に欠点でもあった、エネルギー吸収のために発生するひび割れを容易に補修することができる。また、本発明によれば、一の構築部に複数の注入管路を設けることで、構築部内のひび割れを隈無く補修することができると共に、注入した補修材がひび割れを流路として他の注入管路に流れ込むこともなく、補修することができる。さらに、本発明では構築部に埋設した注入管路によって、補修材を直接構築部内に注入するものであるため、構築部の外観を汚さず、且つ、ひび割れの視認による損傷の程度を判断することも担保することができる。しかも、構築部の外表面に表出する亀裂から補修材が漏出するのを確認することで、構築部内のひび割れに補修材が行き渡ったことを視覚的に判断できるなど、その実用的効果は高い。
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1は、本発明の第一実施形態を示したもので、図3に示した制振装置に本発明構造を適用したものである。即ち、図1において、10は上下の梁の層間変位に伴い柱梁架構よりも早期に鉄筋が降伏して振動エネルギーを吸収することで制振装置のダンパーとして機能するエネルギー吸収部材、11a・11bはエネルギー吸収部材10の上下梁接合部が中央部分よりも平断面積を拡大されたスタブであり、これらは繊維補強セメント複合材料によって構築されると共に、鉄筋12を配筋している。
そして、本発明構造は、繊維補強セメント複合材料を打設する際、鉄筋12を配したエネルギー吸収部材10に、補修材の注入管路としての多孔パイプ13を、前もって行った構造実験などで想定されるひび割れの損傷が集中すると考えられる箇所に埋設して構成されている。多孔パイプ13は、部材10内のひび割れ発生に追随して伸縮する素材からなり、その一端はエネルギー吸収部材10内に埋設され、他端は注入口としてスタブ11a・11b外に開口した状態で制振装置内に埋設されている。なお、多孔パイプ13の両端とも外部に開口することも本発明に含む。
また、多孔パイプ13は、この実施形態の場合、一の制振装置に対して上下左右にそれぞれ1本ずつ、合計4本が配されている。このように、一の構築部に複数本の多孔パイプ13を配する場合、注入するパイプ以外のパイプ内にひび割れを介して補修材が流入する恐れがあるため、この実施形態のように複数本の多孔パイプ13を配する場合には、図2に示すように、逆止弁として機能する弾性弁をもつ構成を採用することが好ましい。
即ち、図2に示す多孔パイプ13は、中心孔13aから放射状(本実施形態の場合、十文字)に排出孔13bを形成すると共に、前記排出孔13bが開口する管外壁に凹陥部13cを形成したパイプ本体13dを硬質プラスチックによって成型すると共に、前記凹陥部13cに配され、注入圧により弾性変形して前記排出孔13bを開弁する弾性弁13eをネオプレンゴム等の弾性素材によって成型している。なお、パイプ本体13dはコンクリート圧等によって中心孔13aが閉塞しないことを条件として上記硬質プラスチック以外の素材によっても成型することができる。また、弁13eの素材としてのネオプレンゴムは耐候性や耐薬品性に優れている合成ゴムの代表例であるが、素材として他の合成ゴムを採用することも可能である。
上述した本実施形態の多孔パイプ13によれば、コンクリートの打設圧によって弾性弁13eが排出孔13bに密着し、パイプ内へのコンクリート進入を防止する(図2(a)参照)。コンクリートは硬化後、収縮するため、これに埋設した多孔パイプ13の周囲には収縮間隙14が形成される(図2(b)参照)。そして、その埋設箇所周辺にひび割れ15が発生すれば、多孔パイプ13にセメントペーストやエポキシ樹脂などの補修材を一定値以上の圧力によって圧送して補修材の注入作業を行うのであるが、この注入圧によって弾性弁13eは半径方向外向きに弾性変形して、排出孔13bを開くと共に、排出孔13bから注出される補修材は前記収縮間隙14を介してひび割れ15に充填されるのである(図2(c)参照)。このとき、ひび割れの外表面に表出する亀裂から補修材が漏出するまで行うことによって、内在するひび割れに補修材が完全に充填されたと判断することができる。この間、仮に他の多孔パイプ13からひび割れ15を介して収縮間隙14に補修材が流入してきたとしても、その流入圧によって弾性弁13eは排出孔13bに密着して、当該排出孔13bを閉じるから、他の多孔パイプ13からの補修材が不用意に入り込むことはない。そして、補修材の注入後には、中心孔13aにかかる吸引圧によって弁13eが排出孔13bに密着して閉弁されるから、多孔パイプ13内に残留した補修材のみを吸引することができる(図2(d)参照)。ここで、図2に示すパイプ13の長さ方向に直交するように形成されたひび割れにも、同様のメカニズムで補修材が注入される。
なお、上記実施形態では、補修材の注入管路として弾性弁13eを有する多孔パイプ13を採用したが、このほか、単に管壁に排出孔を形成した有孔パイプを採用することもできる。さらに、パイプ状の発泡スチロールを配して繊維補強セメント複合材料が硬化後に、酸などで溶かし、パイプ状の空洞孔を形成してもよい。また、部材製造時に鋼棒を配し、凝結を始め完全に硬化するまでの間に引き抜き、パイプ状の空洞孔を形成してもよい。
このように本実施形態によれば、繊維補強セメント複合材料を用いたエネルギー吸収部材が強風や大きな地震により損傷を受けて、ひび割れた場合に、パイプの注入口からセメントペーストやエポキシ樹脂などの補修材を注入し、部材内に埋設されたパイプを通り、そのパイプの孔から出た補修材がひび割れに入り込み、ひび割れ部分が補修材で満たされ、最後にひび割れが部材表面に表出する亀裂から補修材が漏出する。ひび割れの表出亀裂からの漏出により、部材内のひび割れに補修材が確実に充填されていることが確認される。なお、通常のコンクリートでは大きな変形時にはコンクリートが剥落してしまうので、部材内部にパイプを配して補修材を注入しようとしても、剥落したコンクリートはもとにもどらないため、この方法では補修できない。しかし、鉄筋を配した繊維補強セメント複合材料を使用したコンクリート構造物の場合、地震や強風等で大きく変形することによって、ひび割れ等が生じたとしても、繊維補強セメント複合材料は剥落しないため、本発明によって補修が可能である。また、ひび割れ等の損傷によって低下した構造物の耐力も本発明の補修技術によって回復させることができる。さらに、内在させたパイプに補修材を注入することでひび割れの確実な補修が可能となり、さらに外部からの補修ではないので部材表面を汚さないため損傷の程度を視覚的に判断できる性能は維持できる。
なお、本構造は、繊維補強セメント複合材料を用いたエネルギー吸収部材(制振装置)だけでなく、適用可能な構築部として、繊維補強セメント複合材料を用いた柱、梁、壁などの部材においても、ひび割れの想定される箇所に前もって注入管路を配することで同様なひび割れの補修が可能である。
本発明の一実施形態に係る補修構造を示した概略図 同実施形態における多孔パイプと注入工程を示した説明図 繊維補強セメント複合材料を使用した制振装置の概略説明図
符号の説明
10 エネルギー吸収部材
11a・11b スタブ
12 鉄筋
13 多孔パイプ
13b 排出孔
13e 弾性弁
14 収縮間隙
15 ひび割れ

Claims (2)

  1. 繊維補強セメント複合材料を使用したコンクリート構造物の補修構造であって、前記繊維補強セメント複合材料の構築部に少なくとも一端が該構築部外に開口して注入口を確保した状態で埋設され、外部から前記構築部内で発生したひび割れに補修材が充填可能な注入管路を設けた構造物の補修構造で、前記一の構築部に複数の注入管路を設けるものであって、各注入管路は、中心孔から放射状に排出孔を設けると共に、前記排出孔が開口する管外壁に凹陥部を形成した硬質プラスチック製の多孔パイプと、該多孔パイプの前記凹陥部に配され、注入圧により弾性変形して前記排出孔を開く弾性弁とからなることを特徴とするコンクリート構造物の補修構造。
  2. 柱梁架構の上下の梁間に両端を一体化するように挿入設置され、少なくともその一端部側の梁接合部が中央部分よりも平断面積を拡大されたスタブ状に形成され、該中央部分が上下の梁の層間変位に伴い柱梁架構よりも早期に降伏して振動エネルギーを吸収するダンパー部とした制震装置であって、少なくとも前記ダンパー部を繊維補強セメント複合材料により構築すると共に、請求項1の補修構造を設けたことを特徴とするコンクリート構造物の制震装置。
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