JP2018079065A - マウスピース - Google Patents

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信之 石井
Nobuyuki Ishii
信之 石井
鈴木 二郎
Jiro Suzuki
二郎 鈴木
徳子 武藤
Noriko Muto
徳子 武藤
幸一郎 室町
Koichiro Muromachi
幸一郎 室町
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Abstract

【課題】唾液の分泌を促進するとともに、口腔内に装着したことによる違和感の少ない、マウスピースを提供する。【解決手段】本発明に係るマウスピースは、口腔内において上顎歯列または下顎歯列に装着されるマウスピースであって、前記上顎歯列又は前記下顎歯列の左右の前歯部のみを一体に覆うように被覆部位が構成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、唾液の分泌を促進するとともに、口腔内に装着した際に違和感の少ない、マウスピースに関する。
歯科分野における予防医学の一環として近年、顎関節治療用途、歯ぎしり用途、矯正用途、3DS用途、ブリーチング用途、スポーツ用途など、各種のマウスピースが提案されている。ここで、3DSとは、デンタルドラッグデリバリーシステムの略称であり、マウスピースを用いることで、薬剤が唾液に溶け込むことを防止する処置である。ブリーチング用途とは、歯を漂白して白くする処置である。
3DS用途やブリーチング用途のマウスピースとして、薬剤が唾液に溶け込むことが防止できるマウスピースが開示されている(特許文献1)。このマウスピースは、前歯から奥歯まで全ての歯を一括して覆い、かつ、歯の先端から歯茎まで覆う形状をなしている。ゆえに、薬剤が唾液に溶け込むことが防止できる反面、歯の先端から歯茎まで覆う形状により、装着時に受ける大きな違和感は免れない。特に、発音時の舌の接触状態が影響を受け、たとえば、ら行の発音の滑舌性が失われる傾向となり、会話を行う際に支障を来す状況にあった。
歯ぎしり用途のマウスピースは通常、就寝時に装着するためのものであり、かつ、前歯から奥歯まで全ての歯を一括して覆う形状をなしている。このため、日常生活は考慮されていないので、会話などを行うためには支障を来すものであった。
このような不具合は、上述した3DS用途やブリーチング用途、歯ぎしり用途に限定されるものではなく、矯正用途や顎関節治療用途、スポーツ用途など、何れのマウスピースでも同様である。
一方、日本人の約3千万人以上がスギ花粉症と考えられ、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、涙目等の鼻炎アレルギー症状に悩まされている。花粉症は、春のスギ花粉やヒノキ花粉、秋のブタクサ花粉が代表的原因物質であり、国民病として定着している。花粉症の患者は、このような症状の影響により、集中力や仕事効率の低下にも悩まされている。この症状を改善するには、薬局および医師の処方薬を内服するが、花粉症患者は症状が改善するものの副作用により眠気や口喝感に悩まされる、という問題を抱えている。
口臭の防止を目的とした、唾液分泌促進マウスピースが開示されている(特許文献2)。この唾液分泌促進マウスピースは、奥歯に着脱可能な嵌合部を有するマウスピースと、このマウスピースの表面から突出した突状部を備え、この突状部の先端が、第一乃至第三大臼歯近傍の歯茎部分と口腔内面部分の少なくとも一方に接触するように形成された構成である。この発明(唾液分泌促進マウスピース)は、「奥歯に装着すること」と「突状部の先端が歯茎部分及び/又は口腔内面に接触すること」が必須条件である。ゆえに、唾液の分泌が促進されるという長所がある反面、この唾液分泌促進マウスピースを装着した状態では、会話等は極めて困難であり、装着時に受ける大きな違和感は免れない。
ところが、歯ぎしり防止のためにマウスピースを使用した場合、装着時に唾液の流量が増加するとともに、花粉症の症状が軽減したとの事例が、本発明者らによって確認された。この事例を活用することができれば、上述した花粉症患者の症状を緩和できると、本発明者らは推察した。すなわち、本発明者らは、昼間の日常生活において使用した際に、唾液の分泌を促進するとともに、口腔内に装着したことによる違和感の少ない、マウスピースの開発を目指した。
特開2005−385号公報 特許第5784251号公報
本発明は、このような従来の実情に鑑みて考案されたものであり、唾液の分泌を促進するとともに、口腔内に装着したことによる違和感の少ない、マウスピースを提供することを目的とする。
本発明の請求項1に記載のマウスピースは、口腔内において上顎歯列または下顎歯列に装着されるマウスピースであって、前記上顎歯列又は前記下顎歯列の左右の前歯部のみを一体に覆うように被覆部位が構成されている、ことを特徴とする。
本発明の請求項2に記載のマウスピースは、請求項1において、前記被覆部位は、該前歯部を構成する各歯の頂部と、該頂部から見て唇側の側部Aと、該頂部から見て舌側の側部Bからなり、前記側部Aと前記側部Bの終端位置と歯の茎部との間に位置する各歯の側面が露呈するように、前記被覆部位が構成されている、ことを特徴とする。
本発明の請求項3に記載のマウスピースは、請求項1又は2において、前記被覆部位は、前記側部Aと前記側部Bの終端位置が最大でも豊隆部までとされている、ことを特徴とする。
本発明の請求項4に記載のマウスピースは、請求項1乃至3のいずれか一項において、前記被覆部位は、前記側部Aの終端位置に比べて前記側部Bの終端位置が、各歯の頂部から見て短く構成されている、ことを特徴とする。
本発明の請求項5に記載のマウスピースは、請求項1乃至4のいずれか一項において、前記被覆部位は、前記側部Aと前記側部Bの終端位置が、面取りされている、ことを特徴とする。
本発明のマウスピースは、口腔内において上顎歯列または下顎歯列に装着されるマウスピースであって、前記上顎歯列又は前記下顎歯列の左右の前歯部のみを一体に覆うように被覆部位が構成されている。
本発明のマウスピースが装着される左右の前歯部においては、上顎歯列と下顎歯列との間に下顎安静位空隙が存在する。下顎安静位(カガクアンセイイ)では上下顎歯の咬合接触はなく、上下顎歯の咬合面の間には中切歯部で約2〜3mmの垂直的空隙があり、この空隙が安静位空隙と呼ばれる。ゆえに、前歯部のみを一体に覆うように被覆部位が構成されている、本発明のマウスピースは、この下顎安静位空隙を利用できる。すなわち、本発明のマウスピースが装着された前歯部では、上顎歯列又は前記下顎歯列の接触状態が生じにくい。
よって、本発明のマウスピースは、従来のマウスピース(上顎歯列又は下顎歯列の全て歯部を覆う構成)に比べて、装着時の違和感が大幅に軽減される。
また、被覆部位が、前歯部のみ覆う構成とした場合でも、全ての歯を覆う構成とした場合と、発生する唾液分泌量には殆ど変化が無いことを、本発明者らは実験により確認した。
したがって、本発明は、唾液の分泌を促進するとともに、口腔内に装着したことによる違和感の少ない、マウスピースの提供に貢献する。
本発明に係るマウスピースの外観を示す模式図。 マウスピースを歯に装着した状態の一例(タイプA)を示す断面図。 マウスピースを歯に装着した状態の他の一例(タイプB)を示す断面図。 マウスピースを歯に装着した状態の他の一例(タイプC)を示す断面図。 マウスピースを歯に装着した状態の他の一例(タイプD)を示す断面図。 マウスピースを歯に装着した状態の他の一例(タイプE)を示す断面図。 下顎歯列の歯形模型(ステップ1)を示す図。(a)斜視図、(b)平面図。 前歯部のみの歯形模型(ステップ2)を示す図。(a)斜視図、(b)平面図。 マウスピース製作工程(ステップ3:成形材シートの被覆前)を示す断面図。 マウスピース製作工程(ステップ4成形材シートの被覆後)を示す断面図。 従来のマウスピースの外観を示す模式図。
以下では、本発明に係るマウスピースの一実施形態について図面に基づいて説明する。
<マウスピース>
図1は、本発明に係るマウスピースの外観を示す模式図である。
図1に示すように、本発明のマウスピース1は、口腔内において上顎歯列または下顎歯列に装着されるマウスピースであって、前記上顎歯列又は前記下顎歯列の左右の前歯部(左の前歯部:TL1〜3、右の前歯部:TR1〜3)のみを一体に覆うように被覆部位2が構成されている。
ここで、前歯部を構成する各歯とは、上顎歯列又は前記下顎歯列において、左に位置する3本(中切歯TL1、側切歯TL2、犬歯TL3)と右に位置する3本(中切歯TR1、側切歯TR2、犬歯TR3)の計6本を意味する。
本発明に係るマウスピース1は、前歯部のみ覆うように被覆部位2が配されており、その被覆部位2を設ける領域が異なる構成例が、後述する5種類(タイプA〜E)である。
以下では、図2〜図6を参照して、5種類(タイプA〜E)の構成例について詳述する。ただし、図2〜図6は何れも、下顎歯列において左の犬歯TL3の断面図である。
(第一実施形態)
図2は、マウスピースを歯に装着した状態の一例(タイプAと呼称する)を示す断面図である。タイプAのマウスピース1a(1)は、被覆部位2A(2)が、前歯部を構成する各歯の頂部11Aと、該頂部11Aから見て唇側S1の側部12Aaと、該頂部11Aから見て舌側S2の側部12Abからなる。前記側部12Aaの終端位置4Aa、及び、前記側部12Abの終端位置4Abが各々、歯の茎部14a、14bまで至るように、被覆部位2Aが構成されている。これにより、前歯部を構成する各歯の表面は全域がマウスピース1aにより覆われた状態となる(すなわち、露呈部のない状態となる)。なお、図2において、符号13Aa、13Abは歯の最大豊隆部を、符号16は歯茎を示す。
つまり、タイプAのマウスピース1aは、上顎歯列又は前記下顎歯列において、前歯部のみに装着して使用されるので、従来のマウスピース(上顎歯列又は下顎歯列の全て歯部を覆う構成)に比べて、被覆している歯が前歯部のみに限定される。
マウスピース1aが装着される左右の前歯部においては、上顎歯列と下顎歯列との間に下顎安静位空隙が存在するため、上下顎歯の咬合接触はない。この下顎安静位空隙を利用できるので、タイプAのマウスピース1aが装着された前歯部では、上顎歯列又は前記下顎歯列の接触状態が生じにくい。
これに対して、図11に示すような従来のマウスピース(全ての歯を覆う構成とした場合)では、前歯部のみならず、奥歯部(臼歯部)まで被覆する構成とされている。ゆえに、奥歯部(臼歯部)においては、上下顎歯の咬合接触がある。このため、従来のマウスピース100は常時、装着時の違和感が生じる。
よって、本発明のマウスピース1aは、従来のマウスピース(上顎歯列又は下顎歯列の全て歯部を覆う構成)に比べて、装着時の違和感が大幅に軽減される。
表1は、発生する唾液分泌速度を評価した結果である。表1において、タイプAはマウスピース1a(前歯部のみ覆う構成とした場合)の結果を、タイプZは従来のマウスピース(全ての歯を覆う構成とした場合)の結果を、それぞれ表わしている。表1には、「装着時の違和感」や「発音障害」についても併記した。
なお、上記の唾液分泌速度は、以下の手順により唾液を採取し、評価した。
口腔内に装着(上もしくは下の歯に装着)し、マウスピース装着前後における唾液を採取し、下記の方法で解析を行う。
被験者に対する唾液採取は、付属病院にて日内変動を考慮した時間に洗口した5分後にサリベット(フナコシ、東京)を用いて正確に一分間唾液を採取し、唾液分泌量を秤量し、唾液分泌速度(g/min)を計測する。
Figure 2018079065
表1から、以下の点が明らかとなった。
(A1)被覆部位が、タイプA(前歯部のみ覆う構成とした場合)のマウスピースは、タイプZ(全ての歯を覆う構成とした場合)のマウスピースと比較して、口腔内に装着したことによる違和感が著しく改善された。
(A2)被覆部位が、タイプAのマウスピースでも、タイプZのマウスピースと同等の唾液分泌速度が得られる。また、被覆部位がタイプAのマウスピースは、タイプZのマウスピースと同様に、装着する前(術前)より装着した後(術後)、唾液分泌速度が大幅に増加する。
(A3)被覆部位が、タイプAのマウスピースは、タイプZのマウスピースと比較して、発音時の舌の接触する部位が大幅に減る。これにより、ら行などの発音の滑舌性が改善し、会話を行う際に支障を来すことが少なくなった。
したがって、本実施形態によれば、唾液の分泌を促進するとともに、口腔内に装着したことによる違和感の少ない、マウスピース(タイプA)を提供できる。
被覆部位が前歯部のみ覆う構成とした場合(タイプA)については特に、マウスピース装着の有無における、花粉症臨床症状(スコア)と唾液分泌速度(相対値)を評価した。いずれも、被験者13名に対して個別評価した結果の平均値である。
花粉症臨床症状の診断は、参照文献[鼻アレルギー診療ガイドライン−通年性鼻炎と花粉症(牧原靖一郎、岡野光博著、岡山医学会雑誌、127巻、55−57、2015)]に基づき、「くしゃみ発作」、「鼻汁」、「鼻閉」、及び「日常生活の支障度」の4項目を各々5点満点として点数化し、合計(最高スコア20点)することにより評価した結果である。各項目における表記「X±Y」は、Xが平均値、Yが標準偏差を表わす。
Figure 2018079065
表2から、以下の点が明らかとなった。
(B1)被覆部位が前歯部のみ覆う構成のマウスピース(タイプA)を装着することにより、花粉症臨床症状(スコア)が劇的に改善する(12.5→7.31)。
(B2)被覆部位が前歯部のみ覆う構成のマウスピース(タイプA)を装着することにより、唾液分泌速度が2倍以上に増える(1.0→2.2)。
したがって、本実施形態のマウスピース(タイプA)は、唾液の分泌を著しく促進することにより、花粉症臨床症状の改善にも寄与することが判明した。
換言すると、本発明に係るマウスピースの装着は、唾液分泌速度の増加をもたらすと共に、花粉症臨床症状(スコア)の改善に貢献することを、本発明者らは表1および表2の実験結果から見出した。
<マウスピースの装着時間および調整>
マウスピースは基本的に夜間装着とするが、日中の花粉症症状(くしゃみ、鼻水、鼻ずまり)発症時は必要に応じて日中でも装着を行う。しかしながら、日中の長時間装着は顎関節異常や咬合異常を誘発する可能性があるため、最小限の装着にとどめるように指導する。マウスピースの調整に要する時間は5〜15分で、唾液採取時間は1分間要する。
(第二実施形態)
図3は、マウスピースを歯に装着した状態の他の一例(タイプBと呼称する)を示す断面図である。タイプBのマウスピース1b(1)は、被覆部位2B(2)が、前歯部を構成する各歯の頂部11Bと、該頂部11Bから見て唇側S1の側部12Baと、該頂部11Bから見て舌側S2の側部12Bbからなる。前記側部12Baの終端位置4Ba、及び、前記側部12Bbの終端位置4Bbが何れも、歯の茎部14a、14bまで至らない。なお、図3において、符号13Ba、13Bbは歯の最大豊隆部を、符号16は歯茎を示す。
すなわち、前記側部12Baの終端位置4Baと歯の茎部14aとの間、及び、前記側部12Bbの終端位置4Bbが歯の茎部14bとの間に、各歯の側部の一部15Ba、15Bbが露呈するように、前記被覆部位2Bが構成されている。
これにより、前歯部を構成する各歯の表面は、唇側S1と舌側S2の何れにおいても、歯の茎部5a、5bの近傍がマウスピース1aにより覆われていない状態(すなわち、露呈部が存在する状態)となる。
つまり、タイプBのマウスピース1bは、上顎歯列又は前記下顎歯列において、前歯部のみに装着して使用される際に、歯の茎部5a、5bの近傍がマウスピース1aにより覆わず、露呈部が存在する。ゆえに、マウスピース1bの装着時、歯の茎部5a、5bの近傍は、マウスピース1bから開放された状態となる。
これにより、タイプAのマウスピース1a(前歯部のみに装着して歯の茎部5a、5bの近傍まで覆われた状態のマウスピース1a)に比べて、タイプBのマウスピース1bは装着時の違和感がさらに軽減される。
表3は、発生する唾液分泌速度を評価した結果である。表3において、タイプBは、マウスピース1b(前歯部のみ覆い、かつ、歯の茎部の近傍は露呈する構成とした場合)の結果を、タイプAとタイプZは表1に示した結果を、それぞれ表わしている。表3には、「装着時の違和感」や「発音障害」についても併記した。
なお、上記の唾液分泌速度は、上述した「被覆部位が前歯部のみ覆う構成とした場合(タイプA)」と同様の手順により唾液を採取し、評価した。
Figure 2018079065
表3から、以下の点が明らかとなった。
(C1)マウスピースの被覆部位が、タイプB(上顎歯列又は前記下顎歯列において、前歯部のみに装着して使用される際に、歯の茎部5a、5bの近傍がマウスピース1aにより覆わず、露呈部が存在する場合)は、タイプZ(全ての歯を覆う構成とした場合)と比較して、口腔内に装着したことによる違和感が著しく改善された。
(C2)被覆部位が、タイプBのマウスピースでも、タイプAのマウスピースやタイプZのマウスピースと同等の唾液分泌速度が得られる。また、被覆部位がタイプBのマウスピースは、タイプAやタイプZのマウスピースと同様に、装着する前(術前)より装着した後(術後)、唾液分泌速度が大幅に増加する。
(C3)被覆部位が、タイプBのマウスピースは、タイプZのマウスピースと比較して、発音時の舌の接触する部位が大幅に減ることから、ら行などの発音の滑舌性が改善し、会話を行う際に支障を来すことが少なくなった。
したがって、本実施形態によれば、唾液の分泌を促進するとともに、口腔内に装着したことによる違和感の少ない、マウスピース(タイプB)を提供できる。
(第三実施形態)
図4は、マウスピースを歯に装着した状態の他の一例(タイプCと呼称する)を示す断面図である。タイプCのマウスピース1c(1)は、被覆部位2C(2)が、前歯部を構成する各歯の頂部11Cと、該頂部11Cから見て唇側S1の側部12Caと、該頂部11Cから見て舌側S2の側部12Cbからなる。前記側部12Caの終端位置4Ca、及び、前記側部12Cbの終端位置4Cbが各々、歯の最大豊隆部13Ca、13Cbまで至るように、被覆部位2Cは構成されている。なお、図4において、符号16は歯茎を示す。
すなわち、前記側部12Caの終端位置4Caと歯の茎部14aとの間、及び、前記側部12Cbの終端位置4Cbが歯の茎部14bとの間に、各歯の側部の一部15Ca、15Cbが露呈するように、前記被覆部位2Cが構成されている。ここで、符号15Caが唇側S1の露呈部、符号15Cbが舌側の露呈部である。
これにより、マウスピース1cにおいて前歯部を構成する各歯の表面は、唇側S1と舌側S2の何れにおいても、歯の茎部5a、5bの近傍がマウスピース1bに比べて、さらに覆われていない状態(すなわち、露呈部が広く存在する状態)となる。
つまり、マウスピース1cにおける被覆部位2Cは、唇側S1の側部12Caの終端位置4Caと、舌側S2の側部12Cbの終端位置4Cbが各々、歯の最大豊隆部13Ca、13Cbまで至るように構成されている。
これにより、前歯部に装着した際の固定具合を維持しつつ、被覆部位2Cの領域を最小限にすることができるので、タイプAのマウスピース1aやタイプBのマウスピース1bに比べて、タイプCのマウスピース1cは装着時の違和感がさらに軽減される。
日本語の言葉は母音と子音によって成り立っており、子音には舌を歯の裏側(舌側)にくっつけて発音するもの(たとえば,サ行、タ行、ナ行、ラ行)がある。タイプCのマウスピース1cにおいては特に、歯の最大豊隆部13Ca、13Cbから歯の茎部5a、5bの近傍まで、各歯の側部の一部15Ca、15Cbが露呈するように構成した。これにより、ラ行などの言葉を発する際に、この露呈した箇所を舌が擦ることができる。つまり、マウスピース1cは障害物となる部位が少ないので、良好な発音が可能となる。
ゆえに、タイプAのマウスピース1aやタイプBのマウスピース1bに比べて、タイプCのマウスピース1cは、良好な発音(発声)状態をもたらす。よって、本実施形態によれば、日常生活における会話において、支障の少ないマウスピース1cが得られる。
(第四実施形態)
図5は、マウスピースを歯に装着した状態の他の一例(タイプDと呼称する)を示す断面図である。
タイプDのマウスピース1d(1)は、第三実施形態(タイプC)の変形例である。マウスピース1d(1)の被覆部位2Dは、唇側S1の側部12Daの終端位置4Daに比べて、舌側S2の側部12Dbの終端位置4Dbが、各歯の頂部Dから見て短く構成されている点が、第三実施形態(タイプC)と異なる。なお、図5において、符号13Da、13Dbは歯の最大豊隆部を、符号16は歯茎を示す。
換言すると、マウスピース1d(1)においては、前記側部12Daの終端位置4Daと歯の茎部14aとの間、及び、前記側部12Dbの終端位置4Dbが歯の茎部14bとの間に、各歯の側部の一部15Da、15Dbが露呈するように、前記被覆部位2Dが構成されている。ここで、符号15Daが唇側S1の露呈部、符号15Dbが舌側の露呈部であり、マウスピース1d(1)においては、舌側の露呈部15Dbが、唇側S1の露呈部に比べて、大きく露呈している。
これにより、マウスピース1dにおいて前歯部を構成する各歯の表面は、舌側S2において、歯の茎部5bの近傍がマウスピース1cに比べて、さらに覆われていない状態(すなわち、舌側S2の露呈部15Dbが広く存在する状態)となる。一方、歯の茎部5aの近傍がマウスピース1cに比べて、より多く覆われた状態(すなわち、唇側S1の露呈部15Daが狭く存在する状態)となる。
これにより、前歯部に装着した際の固定具合を唇側S1の被覆部位2Dで維持しつつ、舌側S2の被覆部位2Dをさらに小さくできるので、タイプCのマウスピース1cに比べて、タイプDのマウスピース1dは装着時の違和感が一段と軽減される。
タイプDのマウスピース1dにおける上記構成は、前述したタイプCのマウスピース1cと同様に、良好な発音(発声)状態をもたらす。よって、本実施形態によれば、日常生活における会話において、支障の少ないマウスピース1dが得られる。
(第五実施形態)
図6は、マウスピースを歯に装着した状態の他の一例(タイプEと呼称する)を示す断面図である。
タイプEのマウスピース1d(1)は、第一乃至第四実施例(タイプA〜D)の変形例である。図6のマウスピース1d(1)は、図4に示す第三実施形態(タイプC)に適用した場合を表している。
マウスピース1e(1)の被覆部位2Dは、唇側S1の側部12Daの終端位置4Eaと、舌側S2の側部12Ebの終端位置4Ebが、面取りされており、その先端に近づくほど薄肉となるように構成されている点が、第三実施形態(タイプC)と異なる。なお、図6において、符号13Ea、13Ebは歯の最大豊隆部を、符号16は歯茎を示す。
換言すると、マウスピース1e(1)においては、被覆部位2Dのうち、終端位置を除く大部分の領域は所定の厚みを保ち構成されているのに対して、終端位置4Ea、4Ebのみ先端に近づくほど厚みが薄くなるように、面取り加工が施されている。
これにより、前歯部を構成する各歯の表面は、マウスピース1eが覆っている終端位置4Ea、4Ebにおいて、露呈部15Ea、15Ebとの段差を小さくできる。ゆえに、マウスピース1e(1)は、終端位置4Ea、4Ebに面取りがあることにより、この部位に舌や唇が接した場合、前歯部にマウスピースが装着されるという感触をさらに低減できる。
なお、本実施形態のマウスピース1e(1)では、第三実施形態(タイプC)において、終端位置4Ea、4Ebに面取りを設ける構成を詳述したが、第一乃至第四実施例(タイプA〜D)の何れのマウスピースに対しても適用することが可能である。
よって、終端位置4Ea、4Ebに面取りを施したタイプEのマウスピース1eは、第一乃至第四実施例(タイプA〜D)の何れのマウスピースに比べて、装着時の違和感がさらに一段と軽減される。
タイプDのマウスピース1dにおける上記構成は、前述したタイプCのマウスピース1cと同様に、良好な発音(発声)状態をもたらす。よって、本実施形態によれば、日常生活における会話において、支障の少ないマウスピース1dが得られる。
以下では、本発明に係るマウスピースの製造方法の一実施形態について図7〜10に基づいて説明する。ここでは、下顎歯列の前歯部に適用するマウスピースの製作手順について述べるが、上顎歯列の前歯部に適用するも同様である。
図7は、下顎歯列の歯形模型(ステップ1)を示す図であり、図7(a)が斜視図、図7(b)が平面図である。図8は、前歯部のみの歯形模型(ステップ2)を示す図であり、図8(a)斜視図、図8(b)は平面図である。図9は、マウスピース製作工程(ステップ3:成形材シートの被覆前)を示す断面図である。図10は、マウスピース製作工程(ステップ4成形材シートの被覆後)を示す断面図である。
(1)被験者の歯型印象を採取する(歯の型を取る)ために、被験者の口腔内に印象用のトレーを入れて型取りし、硬石膏等によって歯形模型を作製する使用して、図7に示す下顎模型(下顎歯列の歯形模型)30を作製する[ステップ1]。図7において、符号23は疑似下顎歯列、符号25は疑似歯肉部、符号40は仮想基台である。
図7において、符号TL1〜TL7が下顎歯列において左に位置する7本であり、中央手前から順に、中切歯TL1、側切歯TL2、犬歯TL3、第一小臼歯TL4、第二小臼歯TL5、第一大臼歯TL6、第二大臼歯TL7、を表している。符号TR1〜TR7が下顎歯列において右に位置する7本であり、中央手前から順に、中切歯TR1、側切歯TR2、犬歯TR3、第一小臼歯TR4、第二小臼歯TR5、第一大臼歯TR6、第二大臼歯TR7、を表している。
(2)ライン32、33の位置で、下顎模型(下顎歯列の歯形模型)30を分割加工することにより、図8に示す前歯部のみの下顎模型(下顎歯列の歯形模型)30Aを作製する[ステップ2]。
ここで、前歯部を構成する各歯とは、前記下顎歯列において、左に位置する3本(中切歯TL1、側切歯TL2、犬歯TL3)と右に位置する3本(中切歯TR1、側切歯TR2、犬歯TR3)の計6本である。
(3)図9に示すように、前歯部のみの下顎模型30Aが、メッシュ状あるいは貫通孔を設けた支持板50に載置され、支持板50の下方から真空ポンプ等の排気手段(不図示)により吸引可能なように配置される。マウスピース成形材シート51が、前歯部のみの下顎模型30Aの上方に配置される。さらに、マウスピース成形材シート51の上方には、加熱手段52が配置される[ステップ3]。その際、前歯部のみの下顎模型30Aとマウスピース成形材シート51との間、及び、マウスピース成形材シート51と加熱手段52との間には、それぞれ所定の間隔が設けられる。マウスピース成形材シート51は、たとえば、直径約12cm、厚さ約0.5mm〜1mmの円板形状のプラスチックシートが用いられる。
(4)図10に示すように、加熱手段52を用いて成形材シート51を成形可能な状態に軟化させた後、成形材シート51の保持手段(不図示)を降下させ、成形材シート51にて前歯部のみの下顎模型30Aが覆われた状態とする。この状態において、排気手段(不図示)を駆動させて、符号53の方向へ吸引することにより、成形材シート51を前歯部のみの下顎模型30Aに密着させる。成形材シート51が前歯部のみの下顎模型30Aに密着した状態を保ちながら、冷却あるいは放冷することにより、マウスピースの成形が終了する[ステップ4]。
その後、前歯部のみの下顎模型30Aから、成形材シート51をは外し、たとえば歯茎部に沿って所望の切断手段や加工手段によって、余分な箇所を切除する。これにより、上述したマウスピース1(1a〜1e)が完成する。
上述した成形装置としては、たとえばエルゴプレス等(プラスチックシートを熱で加工し歯型に会わせる装置)が好適に用いられる。また、成形材シート51としては、プラスチックシートが用いられ、たとえば、エルコフレックス(マウスピース作製に使用するプラスチックシート)0.5mm〜1mm(ERKODENT社J80462LOT10780Germany)が挙げられる。
本発明に係るマウスピース1(1a〜1e)は、上顎歯列又は前記下顎歯列の左右の前歯部のみを(一体に)覆うように被覆部位が構成されている。ゆえに、本発明のマウスピース1(1a〜1e)は、従来のマウスピース(上顎歯列又は下顎歯列の全て歯部を覆う構成)100に比べて、装着時の違和感が大幅に軽減される。また、被覆部位が、前歯部のみ覆う構成とした場合でも、全ての歯を覆う構成とした場合と、発生する唾液分泌量には殆ど変化が無いことを、本発明者らは実験により確認した。
本発明に係るマウスピース1(1a〜1e)の中でも、上顎歯列を覆う構成とした場合に比べて、下顎歯列を覆う構成とした場合の方が、装着時に目立たないという利点を備えている。ゆえに、下顎歯列を覆う構成としたマウスピース1(1a〜1e)は、装着時の違和感が少なく、発音障害も改善するとともに、装着していることを相手に感じさせないことから、夜間のみならず日中においても使用可能な、ストレスフリーの仕様を実現するものである。
したがって、本発明は、唾液の分泌を促進するとともに、口腔内に装着したことによる違和感の少ない、マウスピースの提供に貢献する。
以上、本発明のマウスピースについて説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
本発明は、唾液の分泌を促進するとともに、口腔内に装着したことによる違和感の少ない、マウスピースを提供に寄与する。また、アレルギー性の疾患を抑制あるいは改善するためのマウスピースとして広く適用可能である。
S1 唇側、S2 舌側、TL1〜3 左の前歯部、TR1〜3 右の前歯部、1(1A、1B、1C、1D、1E) マウスピース、2(2A、2B、2C、2D、2E) 被覆部位、4Aa、4Ab 終端位置、12Aa、12Ab 側部、13Aa、13Ab 歯の最大豊隆部、14a、14b 歯の茎部、16 歯茎。

Claims (5)

  1. 口腔内において上顎歯列または下顎歯列に装着されるマウスピースであって、
    前記上顎歯列又は前記下顎歯列の左右の前歯部のみを一体に覆うように被覆部位が構成されている、ことを特徴とするマウスピース。
  2. 前記被覆部位は、該前歯部を構成する各歯の頂部と、該頂部から見て唇側の側部Aと、該頂部から見て舌側の側部Bからなり、
    前記側部Aと前記側部Bの終端位置と歯の茎部との間に位置する各歯の側面が露呈するように、前記被覆部位が構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のマウスピース。
  3. 前記被覆部位は、前記側部Aと前記側部Bの終端位置が最大でも豊隆部までとされている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のマウスピース。
  4. 前記被覆部位は、前記側部Aの終端位置に比べて前記側部Bの終端位置が、各歯の頂部から見て短く構成されている、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマウスピース。
  5. 前記被覆部位は、前記側部Aと前記側部Bの終端位置が、面取りされている、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマウスピース。
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