JP2018079065A - マウスピース - Google Patents
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このような不具合は、上述した3DS用途やブリーチング用途、歯ぎしり用途に限定されるものではなく、矯正用途や顎関節治療用途、スポーツ用途など、何れのマウスピースでも同様である。
本発明の請求項2に記載のマウスピースは、請求項1において、前記被覆部位は、該前歯部を構成する各歯の頂部と、該頂部から見て唇側の側部Aと、該頂部から見て舌側の側部Bからなり、前記側部Aと前記側部Bの終端位置と歯の茎部との間に位置する各歯の側面が露呈するように、前記被覆部位が構成されている、ことを特徴とする。
本発明の請求項3に記載のマウスピースは、請求項1又は2において、前記被覆部位は、前記側部Aと前記側部Bの終端位置が最大でも豊隆部までとされている、ことを特徴とする。
本発明の請求項4に記載のマウスピースは、請求項1乃至3のいずれか一項において、前記被覆部位は、前記側部Aの終端位置に比べて前記側部Bの終端位置が、各歯の頂部から見て短く構成されている、ことを特徴とする。
本発明の請求項5に記載のマウスピースは、請求項1乃至4のいずれか一項において、前記被覆部位は、前記側部Aと前記側部Bの終端位置が、面取りされている、ことを特徴とする。
本発明のマウスピースが装着される左右の前歯部においては、上顎歯列と下顎歯列との間に下顎安静位空隙が存在する。下顎安静位(カガクアンセイイ)では上下顎歯の咬合接触はなく、上下顎歯の咬合面の間には中切歯部で約2〜3mmの垂直的空隙があり、この空隙が安静位空隙と呼ばれる。ゆえに、前歯部のみを一体に覆うように被覆部位が構成されている、本発明のマウスピースは、この下顎安静位空隙を利用できる。すなわち、本発明のマウスピースが装着された前歯部では、上顎歯列又は前記下顎歯列の接触状態が生じにくい。
よって、本発明のマウスピースは、従来のマウスピース(上顎歯列又は下顎歯列の全て歯部を覆う構成)に比べて、装着時の違和感が大幅に軽減される。
また、被覆部位が、前歯部のみ覆う構成とした場合でも、全ての歯を覆う構成とした場合と、発生する唾液分泌量には殆ど変化が無いことを、本発明者らは実験により確認した。
したがって、本発明は、唾液の分泌を促進するとともに、口腔内に装着したことによる違和感の少ない、マウスピースの提供に貢献する。
図1は、本発明に係るマウスピースの外観を示す模式図である。
図1に示すように、本発明のマウスピース1は、口腔内において上顎歯列または下顎歯列に装着されるマウスピースであって、前記上顎歯列又は前記下顎歯列の左右の前歯部(左の前歯部:TL1〜3、右の前歯部:TR1〜3)のみを一体に覆うように被覆部位2が構成されている。
ここで、前歯部を構成する各歯とは、上顎歯列又は前記下顎歯列において、左に位置する3本(中切歯TL1、側切歯TL2、犬歯TL3)と右に位置する3本(中切歯TR1、側切歯TR2、犬歯TR3)の計6本を意味する。
以下では、図2〜図6を参照して、5種類(タイプA〜E)の構成例について詳述する。ただし、図2〜図6は何れも、下顎歯列において左の犬歯TL3の断面図である。
図2は、マウスピースを歯に装着した状態の一例(タイプAと呼称する)を示す断面図である。タイプAのマウスピース1a(1)は、被覆部位2A(2)が、前歯部を構成する各歯の頂部11Aと、該頂部11Aから見て唇側S1の側部12Aaと、該頂部11Aから見て舌側S2の側部12Abからなる。前記側部12Aaの終端位置4Aa、及び、前記側部12Abの終端位置4Abが各々、歯の茎部14a、14bまで至るように、被覆部位2Aが構成されている。これにより、前歯部を構成する各歯の表面は全域がマウスピース1aにより覆われた状態となる(すなわち、露呈部のない状態となる)。なお、図2において、符号13Aa、13Abは歯の最大豊隆部を、符号16は歯茎を示す。
マウスピース1aが装着される左右の前歯部においては、上顎歯列と下顎歯列との間に下顎安静位空隙が存在するため、上下顎歯の咬合接触はない。この下顎安静位空隙を利用できるので、タイプAのマウスピース1aが装着された前歯部では、上顎歯列又は前記下顎歯列の接触状態が生じにくい。
よって、本発明のマウスピース1aは、従来のマウスピース(上顎歯列又は下顎歯列の全て歯部を覆う構成)に比べて、装着時の違和感が大幅に軽減される。
なお、上記の唾液分泌速度は、以下の手順により唾液を採取し、評価した。
口腔内に装着(上もしくは下の歯に装着)し、マウスピース装着前後における唾液を採取し、下記の方法で解析を行う。
被験者に対する唾液採取は、付属病院にて日内変動を考慮した時間に洗口した5分後にサリベット(フナコシ、東京)を用いて正確に一分間唾液を採取し、唾液分泌量を秤量し、唾液分泌速度(g/min)を計測する。
(A1)被覆部位が、タイプA(前歯部のみ覆う構成とした場合)のマウスピースは、タイプZ(全ての歯を覆う構成とした場合)のマウスピースと比較して、口腔内に装着したことによる違和感が著しく改善された。
(A2)被覆部位が、タイプAのマウスピースでも、タイプZのマウスピースと同等の唾液分泌速度が得られる。また、被覆部位がタイプAのマウスピースは、タイプZのマウスピースと同様に、装着する前(術前)より装着した後(術後)、唾液分泌速度が大幅に増加する。
(A3)被覆部位が、タイプAのマウスピースは、タイプZのマウスピースと比較して、発音時の舌の接触する部位が大幅に減る。これにより、ら行などの発音の滑舌性が改善し、会話を行う際に支障を来すことが少なくなった。
したがって、本実施形態によれば、唾液の分泌を促進するとともに、口腔内に装着したことによる違和感の少ない、マウスピース(タイプA)を提供できる。
花粉症臨床症状の診断は、参照文献[鼻アレルギー診療ガイドライン−通年性鼻炎と花粉症(牧原靖一郎、岡野光博著、岡山医学会雑誌、127巻、55−57、2015)]に基づき、「くしゃみ発作」、「鼻汁」、「鼻閉」、及び「日常生活の支障度」の4項目を各々5点満点として点数化し、合計(最高スコア20点)することにより評価した結果である。各項目における表記「X±Y」は、Xが平均値、Yが標準偏差を表わす。
(B1)被覆部位が前歯部のみ覆う構成のマウスピース(タイプA)を装着することにより、花粉症臨床症状(スコア)が劇的に改善する(12.5→7.31)。
(B2)被覆部位が前歯部のみ覆う構成のマウスピース(タイプA)を装着することにより、唾液分泌速度が2倍以上に増える(1.0→2.2)。
したがって、本実施形態のマウスピース(タイプA)は、唾液の分泌を著しく促進することにより、花粉症臨床症状の改善にも寄与することが判明した。
換言すると、本発明に係るマウスピースの装着は、唾液分泌速度の増加をもたらすと共に、花粉症臨床症状(スコア)の改善に貢献することを、本発明者らは表1および表2の実験結果から見出した。
マウスピースは基本的に夜間装着とするが、日中の花粉症症状(くしゃみ、鼻水、鼻ずまり)発症時は必要に応じて日中でも装着を行う。しかしながら、日中の長時間装着は顎関節異常や咬合異常を誘発する可能性があるため、最小限の装着にとどめるように指導する。マウスピースの調整に要する時間は5〜15分で、唾液採取時間は1分間要する。
図3は、マウスピースを歯に装着した状態の他の一例(タイプBと呼称する)を示す断面図である。タイプBのマウスピース1b(1)は、被覆部位2B(2)が、前歯部を構成する各歯の頂部11Bと、該頂部11Bから見て唇側S1の側部12Baと、該頂部11Bから見て舌側S2の側部12Bbからなる。前記側部12Baの終端位置4Ba、及び、前記側部12Bbの終端位置4Bbが何れも、歯の茎部14a、14bまで至らない。なお、図3において、符号13Ba、13Bbは歯の最大豊隆部を、符号16は歯茎を示す。
これにより、前歯部を構成する各歯の表面は、唇側S1と舌側S2の何れにおいても、歯の茎部5a、5bの近傍がマウスピース1aにより覆われていない状態(すなわち、露呈部が存在する状態)となる。
これにより、タイプAのマウスピース1a(前歯部のみに装着して歯の茎部5a、5bの近傍まで覆われた状態のマウスピース1a)に比べて、タイプBのマウスピース1bは装着時の違和感がさらに軽減される。
なお、上記の唾液分泌速度は、上述した「被覆部位が前歯部のみ覆う構成とした場合(タイプA)」と同様の手順により唾液を採取し、評価した。
(C1)マウスピースの被覆部位が、タイプB(上顎歯列又は前記下顎歯列において、前歯部のみに装着して使用される際に、歯の茎部5a、5bの近傍がマウスピース1aにより覆わず、露呈部が存在する場合)は、タイプZ(全ての歯を覆う構成とした場合)と比較して、口腔内に装着したことによる違和感が著しく改善された。
(C2)被覆部位が、タイプBのマウスピースでも、タイプAのマウスピースやタイプZのマウスピースと同等の唾液分泌速度が得られる。また、被覆部位がタイプBのマウスピースは、タイプAやタイプZのマウスピースと同様に、装着する前(術前)より装着した後(術後)、唾液分泌速度が大幅に増加する。
(C3)被覆部位が、タイプBのマウスピースは、タイプZのマウスピースと比較して、発音時の舌の接触する部位が大幅に減ることから、ら行などの発音の滑舌性が改善し、会話を行う際に支障を来すことが少なくなった。
したがって、本実施形態によれば、唾液の分泌を促進するとともに、口腔内に装着したことによる違和感の少ない、マウスピース(タイプB)を提供できる。
図4は、マウスピースを歯に装着した状態の他の一例(タイプCと呼称する)を示す断面図である。タイプCのマウスピース1c(1)は、被覆部位2C(2)が、前歯部を構成する各歯の頂部11Cと、該頂部11Cから見て唇側S1の側部12Caと、該頂部11Cから見て舌側S2の側部12Cbからなる。前記側部12Caの終端位置4Ca、及び、前記側部12Cbの終端位置4Cbが各々、歯の最大豊隆部13Ca、13Cbまで至るように、被覆部位2Cは構成されている。なお、図4において、符号16は歯茎を示す。
これにより、マウスピース1cにおいて前歯部を構成する各歯の表面は、唇側S1と舌側S2の何れにおいても、歯の茎部5a、5bの近傍がマウスピース1bに比べて、さらに覆われていない状態(すなわち、露呈部が広く存在する状態)となる。
これにより、前歯部に装着した際の固定具合を維持しつつ、被覆部位2Cの領域を最小限にすることができるので、タイプAのマウスピース1aやタイプBのマウスピース1bに比べて、タイプCのマウスピース1cは装着時の違和感がさらに軽減される。
ゆえに、タイプAのマウスピース1aやタイプBのマウスピース1bに比べて、タイプCのマウスピース1cは、良好な発音(発声)状態をもたらす。よって、本実施形態によれば、日常生活における会話において、支障の少ないマウスピース1cが得られる。
図5は、マウスピースを歯に装着した状態の他の一例(タイプDと呼称する)を示す断面図である。
タイプDのマウスピース1d(1)は、第三実施形態(タイプC)の変形例である。マウスピース1d(1)の被覆部位2Dは、唇側S1の側部12Daの終端位置4Daに比べて、舌側S2の側部12Dbの終端位置4Dbが、各歯の頂部Dから見て短く構成されている点が、第三実施形態(タイプC)と異なる。なお、図5において、符号13Da、13Dbは歯の最大豊隆部を、符号16は歯茎を示す。
これにより、前歯部に装着した際の固定具合を唇側S1の被覆部位2Dで維持しつつ、舌側S2の被覆部位2Dをさらに小さくできるので、タイプCのマウスピース1cに比べて、タイプDのマウスピース1dは装着時の違和感が一段と軽減される。
図6は、マウスピースを歯に装着した状態の他の一例(タイプEと呼称する)を示す断面図である。
タイプEのマウスピース1d(1)は、第一乃至第四実施例(タイプA〜D)の変形例である。図6のマウスピース1d(1)は、図4に示す第三実施形態(タイプC)に適用した場合を表している。
マウスピース1e(1)の被覆部位2Dは、唇側S1の側部12Daの終端位置4Eaと、舌側S2の側部12Ebの終端位置4Ebが、面取りされており、その先端に近づくほど薄肉となるように構成されている点が、第三実施形態(タイプC)と異なる。なお、図6において、符号13Ea、13Ebは歯の最大豊隆部を、符号16は歯茎を示す。
これにより、前歯部を構成する各歯の表面は、マウスピース1eが覆っている終端位置4Ea、4Ebにおいて、露呈部15Ea、15Ebとの段差を小さくできる。ゆえに、マウスピース1e(1)は、終端位置4Ea、4Ebに面取りがあることにより、この部位に舌や唇が接した場合、前歯部にマウスピースが装着されるという感触をさらに低減できる。
よって、終端位置4Ea、4Ebに面取りを施したタイプEのマウスピース1eは、第一乃至第四実施例(タイプA〜D)の何れのマウスピースに比べて、装着時の違和感がさらに一段と軽減される。
図7において、符号TL1〜TL7が下顎歯列において左に位置する7本であり、中央手前から順に、中切歯TL1、側切歯TL2、犬歯TL3、第一小臼歯TL4、第二小臼歯TL5、第一大臼歯TL6、第二大臼歯TL7、を表している。符号TR1〜TR7が下顎歯列において右に位置する7本であり、中央手前から順に、中切歯TR1、側切歯TR2、犬歯TR3、第一小臼歯TR4、第二小臼歯TR5、第一大臼歯TR6、第二大臼歯TR7、を表している。
ここで、前歯部を構成する各歯とは、前記下顎歯列において、左に位置する3本(中切歯TL1、側切歯TL2、犬歯TL3)と右に位置する3本(中切歯TR1、側切歯TR2、犬歯TR3)の計6本である。
その後、前歯部のみの下顎模型30Aから、成形材シート51をは外し、たとえば歯茎部に沿って所望の切断手段や加工手段によって、余分な箇所を切除する。これにより、上述したマウスピース1(1a〜1e)が完成する。
したがって、本発明は、唾液の分泌を促進するとともに、口腔内に装着したことによる違和感の少ない、マウスピースの提供に貢献する。
Claims (5)
- 口腔内において上顎歯列または下顎歯列に装着されるマウスピースであって、
前記上顎歯列又は前記下顎歯列の左右の前歯部のみを一体に覆うように被覆部位が構成されている、ことを特徴とするマウスピース。 - 前記被覆部位は、該前歯部を構成する各歯の頂部と、該頂部から見て唇側の側部Aと、該頂部から見て舌側の側部Bからなり、
前記側部Aと前記側部Bの終端位置と歯の茎部との間に位置する各歯の側面が露呈するように、前記被覆部位が構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のマウスピース。 - 前記被覆部位は、前記側部Aと前記側部Bの終端位置が最大でも豊隆部までとされている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のマウスピース。
- 前記被覆部位は、前記側部Aの終端位置に比べて前記側部Bの終端位置が、各歯の頂部から見て短く構成されている、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマウスピース。
- 前記被覆部位は、前記側部Aと前記側部Bの終端位置が、面取りされている、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマウスピース。
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JP2003521486A (ja) * | 2000-01-31 | 2003-07-15 | ウルトラデント・プロダクツ・インコーポレーテッド | 歯を白くし且つ感受性を減じるための組成物および方法 |
JP2006528495A (ja) * | 2003-07-25 | 2006-12-21 | マイオヘルス ピーティーワイ エルティーディー | 改良オクルーザルスプリント |
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