JP2018078221A - 光電変換素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】気泡の発生が十分に抑制された無機封止部を有する光電変換素子を製造することが可能な光電変換素子の製造方法を提供する。【解決手段】透明導電性基板10と、透明導電性基板10に対向する対向基板20と、透明導電性基板10と対向基板20とを連結する環状の封止部40と、封止部40の内側に配置される電解質50とを備え、封止部40が、透明導電性基板10上に設けられる無機封止部41を含む光電変換素子100を製造する光電変換素子100の製造方法であって、透明導電性基板10と、透明導電性基板10上に設けられる無機封止部41とを有する透明導電性基体を準備する透明導電性基体準備工程を含み、透明導電性基体準備工程が、透明導電性基板10上に、ガラスフリット及び無機着色剤を含む無機封止部前駆体を形成する無機封止部前駆体形成工程と、無機封止部前駆体を特定条件の焼成温度で焼成する、光電変換素子の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子の製造方法に関する。
光電変換素子として、安価で、高い発電効率が得られることから、色素を用いた光電変換素子が注目されており、色素を用いた光電変換素子に関して種々の開発が行われている。
色素を用いた光電変換素子は一般に、透明導電性基板と、透明導電性基板に対向する対向基板と、透透明導電性基板と対向基板とを連結する環状の封止部と、封止部の内側に配置される電解質とを備えている。
光電変換素子においては、透明導電性基板側から光電変換素子を見た場合に、封止部を通して対向基板が透けて見えることがある。そのため、透明導電性基板側から光電変換素子を見た場合に、封止部を通して対向基板が透けて見えることを抑制して、優れた外観を付与するために、封止部において、Cu−Cr−Mn系の黒色顔料などの無機着色剤を含むことにより発色した無機封止部を有する色素増感太陽電池が知られている(例えば下記特許文献1参照)。下記特許文献1には、透明導電性基板上に形成した無機封止部の前駆体を焼成して無機封止部を形成する工程を含む色素増感太陽電池の製造方法が開示されている。
特開2014−22180号公報(段落0098)
しかし、上記特許文献1に記載の色素増感太陽電池の製造方法は以下の課題を有していた。
すなわち、上記特許文献1においては、無機封止部の前駆体を焼成する際に、無機封止部の前駆体に気泡が発生する場合があり、得られる無機封止部において発生した気泡同士がつながり、無機封止部を経由した封止部の外側への電解質の漏洩や、無機封止部を経由した封止部の内側への水の侵入によって、発電性能の低下が起こる恐れがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、気泡の発生が十分に抑制された無機封止部を有する光電変換素子を製造することが可能な光電変換素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記特許文献1に記載の色素増感太陽電池の製造方法において上記課題が生じる原因について検討した。その結果、特許文献1に記載の色素増感太陽電池においては、無機封止部の前駆体を焼成して無機封止部を形成する際に、無機封止部前駆体に含まれるガラスフリットと無機着色剤とが反応することでガスが発生し、このガスによって無機封止部に気泡が発生するのではないかと本発明者は考えた。そこで、本発明者はさらに鋭意検討を重ねた結果、以下の発明により、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、透明導電性基板と、前記透明導電性基板に対向する対向基板と、前記透明導電性基板と前記対向基板とを連結する環状の封止部と、前記封止部の内側に配置される電解質とを備え、前記封止部が、前記透明導電性基板上に設けられる無機封止部を含む光電変換素子を製造する光電変換素子の製造方法であって、前記透明導電性基板と、前記透明導電性基板上に設けられる前記無機封止部とを有する透明導電性基体を準備する透明導電性基体準備工程を含み、前記透明導電性基体準備工程が、前記透明導電性基板上に、ガラスフリット及び無機着色剤を含む無機封止部前駆体を形成する無機封止部前駆体形成工程と、前記無機封止部前駆体を下記式(1)で表される焼成温度T(℃)で焼成することで前記透明導電性基板上に前記無機封止部を形成する無機封止部形成工程とを含む、光電変換素子の製造方法である。
GF−10≦T≦TGF+20・・・(1)
(上記式(1)中、TGFは前記ガラスフリットの軟化点を表す)
この光電変換素子の製造方法によれば、無機封止部前駆体の焼成温度Tを上記式(1)で表される範囲内とすることで、焼成の際にガラスフリットが軟化しにくくなり、ガラスフリットと無機着色剤との反応が十分に抑制される。その結果、無機封止部におけるガスの発生が十分に抑制される。従って、本発明の光電変換素子の製造方法によれば、気泡の発生が十分に抑制された無機封止部を有する光電変換素子を製造することが可能となる。
本発明は、前記透明導電性基板が、透明基板と、前記透明基板上に設けられる透明導電層とを有し、前記無機封止部形成工程において、前記無機封止部が前記透明導電層上に形成される場合に特に有効である。
この光電変換素子の製造方法によれば、透明導電層と無機封止部前駆体に含まれる無機着色剤との反応によるガスの発生が十分に抑制され、無機封止部における気泡の発生が十分に抑制される。これは、本発明の光電変換素子の製造方法によれば、焼成温度において無機封止部前駆体中のガラスフリットが軟化しにくいため、焼成温度において溶け出した透明導電層の成分と無機封止部前駆体中の無機着色剤とが接触しにくいためである。
本発明によれば、気泡の発生が十分に抑制された無機封止部を有する光電変換素子を製造することが可能な光電変換素子の製造方法が提供される。
本発明に係る光電変換素子の製造方法の一実施形態により得られる光電変換素子を示す断面図である。 本発明に係る光電変換素子の製造方法の一実施形態に用いる透明導電性基体を示す切断面端面図である。 本発明に係る光電変換素子の製造方法の一実施形態に用いる透明導電性基板を示す断面図である。 図3の透明導電性基板上に無機封止部前駆体を形成した状態を示す切断面端面図である。 図2の透明導電性基体上に酸化物半導体層を形成した状態を示す切断面端面図である。 図5の酸化物半導体層を形成した透明導電性基体の無機封止部の内側に電解質を配置して得られる構造体を示す断面図である。 本発明に係る光電変換素子の製造方法の一実施形態に用いる対向基体を示す切断面端面図である。 図6の構造体と、図7の対向基体とを対向させている状態を示す切断面端面図である。 本発明に係る光電変換素子の製造方法の他の実施形態の一工程を示す切断面端面図である。
以下、本発明に係る光電変換素子の製造方法の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
はじめに、光電変換素子の製造方法の説明に先立ち、この製造方法により得られる光電変換素子100について図1を参照しながら説明する。図1は本発明に係る光電変換素子の製造方法の実施形態により得られる光電変換素子を示す断面図である。
図1に示すように、光電変換素子100は1つの光電変換セル60を備えており、光電変換セル60は、透明導電性基板10と、透明導電性基板10に対向する対向基板20と、透明導電性基板10上に設けられる酸化物半導体層30と、透明導電性基板10と対向基板20とを連結する環状の封止部40と、封止部40の内側に配置される電解質50とを備えている。
透明導電性基板10は、透明基板11と、透明基板11上に設けられる透明導電層12とを備えている。
対向基板20は、基板と電極を兼ねる導電性基板21と、導電性基板21の酸化物半導体層30側に設けられて電解質40の還元に寄与する導電性の触媒層22とを備えている。
酸化物半導体層30には色素が担持されている。
封止部40は、透明導電性基板10の透明導電層12上に設けられる環状の無機封止部41と、無機封止部41と対向基板20とを連結する環状の樹脂封止部42とを備えている。ここで、無機封止部41はガラス成分と無機着色剤とを含む。
次に、上述した光電変換素子100の製造方法について図2〜図8を参照しながら説明する。図2は、本発明に係る光電変換素子の製造方法の一実施形態に用いる透明導電性基体を示す切断面端面図、図3は、本発明に係る光電変換素子の製造方法の一実施形態に用いる透明導電性基板を示す断面図、図4は、図3の透明導電性基板上に無機封止部前駆体を形成した状態を示す切断面端面図、図5は、図2の透明導電性基体上に酸化物半導体層を形成した状態を示す切断面端面図、図6は、図5の酸化物半導体層を形成した透明導電性基体の無機封止部の内側に電解質を配置して得られる構造体を示す断面図、図7は、本発明に係る光電変換素子の製造方法の一実施形態に用いる対向基体を示す切断面端面図、図8は、図6の構造体と、図7の対向基体とを対向させている状態を示す切断面端面図である。
<透明導電性基体準備工程>
まず図2に示すように、透明導電性基板10と、透明導電性基板10のうち透明導電層12上に設けられた無機封止部41とを有する透明導電性基体13を準備する。本実施形態では、透明導電性基体準備工程は、図3に示すように、透明基板11と、透明基板11上に設けられる透明導電層12とを有する透明導電性基板10を準備する透明導電性基板準備工程と、図4に示すように、透明導電性基板10のうち透明導電層12上に、ガラスフリット及び無機着色剤を含む無機封止部前駆体41Aを形成する無機封止部前駆体形成工程と、図2に示すように、無機封止部前駆体41Aを下記式(1)で表される焼成温度T(℃)で焼成することで透明導電性基板10のうち透明導電層12上に無機封止部41を形成する無機封止部形成工程とを含む。
GF−10≦T≦TGF+20・・・(1)
(上記式(1)中、TGFは前記ガラスフリットの軟化点を表す)
<酸化物半導体層形成工程>
次に、図5に示すように、透明導電性基体13の透明導電層12上であって環状の無機封止部41の内側に酸化物半導体層30を形成する。こうして第1構造体を得る。
<酸化物半導体層形成工程>
次に、第1構造体の酸化物半導体層30に色素を担持させる。
<電解質配置工程>
次に、図6に示すように、第1構造体の無機封止部41の内側で且つ酸化物半導体層30の上に電解質50を配置する。こうして第2構造体を得る。
<対向基体準備工程>
一方、図7に示すように、対向基板20と、対向基板20の表面に設けられる樹脂封止部42とを有する対向基体23を準備する。
<積層体準備工程>
次に、図8に示すように、図6に示す第2構造体と対向基体23とを互いに対向させた後、互いに重ね合わせる。このとき、上記第2構造体の無機封止部41と対向基体23の樹脂封止部42とを互いに接触させる。こうして積層体を得る。
<貼合せ工程>
続いて、積層体において無機封止部41と樹脂封止部42とを接着させて封止部40を形成し、第2構造体と対向基体23とを貼り合せる。このとき、封止部40の形成は、大気圧下で行ってもよいが、減圧下で行うことが好ましい。
以上のようにして1つの光電変換セル60からなる光電変換素子100が得られる。
上記製造方法によれば、無機封止部前駆体41Aの焼成温度T(℃)を上記式(1)で表される範囲内とすることで、無機封止部前駆体41Aの焼成の際にガラスフリットが軟化しにくくなり、ガラスフリットと無機着色剤との反応が十分に抑制される。その結果、無機封止部41におけるガスの発生が十分に抑制される。従って、上記製造方法によれば、気泡の発生が十分に抑制された無機封止部41を有する光電変換素子100を製造することが可能となる。
また上記製造方法によれば、透明導電層12と無機封止部前駆体41A中の無機着色剤との反応によるガスの発生が十分に抑制され、無機封止部41における気泡の発生が十分に抑制される。これは、上記製造方法によれば、焼成温度において無機封止部前駆体41A中のガラスフリットが軟化しにくいため、焼成温度において溶け出した透明導電層12の成分と無機封止部前駆体41A中の無機着色剤とが接触しにくいためである。
さらに上記製造方法では、透明導電性基板10上に無機封止部41を形成した後に、透明導電性基板10上に酸化物半導体層30を形成している。この場合、無機封止部41と酸化物半導体層30との間に隙間が形成されにくくなる。その結果、上記製造方法によって製造される光電変換素子100を透明導電性基板10側から見た場合に、無機封止部41と酸化物半導体層30との隙間から対向基板20が透けて見えることが十分に抑制されるため、光電変換素子100に対して、より優れた外観を付与することができる。
次に、上述した透明導電性基体準備工程、酸化物半導体層形成工程、色素担持工程、電解質配置工程、対向基体準備工程、積層体準備工程、及び、貼合せ工程について詳細に説明する。
<透明導電性基体準備工程>
上述したように、透明導電性基体準備工程は、透明導電性基板準備工程、無機封止部前駆体形成工程、及び、無機封止部形成工程を含む。
(透明導電性基板準備工程)
透明導電性基板10は、透明基板11の上に透明導電層12を形成することによって得ることができる。
透明基板11を構成する材料は、例えば透明な材料であればよく、このような透明な材料としては、例えばホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、白板ガラス、石英ガラスなどのガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、及び、ポリエーテルスルフォン(PES)などの絶縁材料が挙げられる。透明基板11の厚さは、光電変換素子100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば50〜40000μmの範囲にすればよい。
透明導電層12を構成する材料としては、例えばスズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO)、及び、フッ素添加酸化スズ(FTO)などの導電性金属酸化物が挙げられる。透明導電層12は、単層でも、異なる導電性金属酸化物で構成される複数の層の積層体で構成されてもよい。透明導電層12が単層で構成される場合、透明導電層12は、高い耐熱性及び耐薬品性を有することから、FTOで構成されることが好ましい。透明導電層12の厚さは例えば0.01〜2μmの範囲にすればよい。
透明導電層12の形成方法としては、スパッタ法、蒸着法、スプレー熱分解法及びCVD法などが挙げられる。
(無機封止部前駆体形成工程)
無機封止部前駆体41Aの形成方法としては、例えば無機着色剤とガラスフリットとを含む無機封止部形成用ペーストを透明導電層12上に環状に印刷する方法などが挙げられる。
無機封止部形成用ペーストの印刷方法としては、例えばスクリーン印刷法、ドクターブレード法及びバーコート法などが挙げられる。
上述したように、無機封止部前駆体41Aは、ガラスフリットと無機着色剤とを含む。
無機封止部前駆体41Aに含まれるガラスフリットは、特に限定されるものではないが、ガラスフリットとしては、例えばBiO、ZnO及びBを含むビスマス系ガラス、及び、ZnO、SiO及びBを含む亜鉛系ガラスなどが挙げられる。また無機封止部前駆体41A中のガラスフリットの軟化点TGFは、上記式(1)を満たす限り、特に限定されるものではないが、上記式(1)を満たし且つ460〜520℃であることが好ましい。この場合、酸化物半導体層30と同温度で焼成できる。無機封止部前駆体41A中のガラスフリットの軟化点TGFは、上記式(1)を満たし且つ490〜520℃であることがより好ましく、上記式(1)を満たし且つ495〜510℃であることがより好ましい。
また無機封止部前駆体41Aに含まれる無機着色剤は、無機材料からなり且つ有色であれば特に限定されるものではない。無機材料としては、例えば複合酸化物、及び、ケイ酸塩などが挙げられる。また、無機着色剤は有色であれば如何なる色を有してもよいが、黒色であることが好ましい。無機着色剤の例としては、Caの酸化物、Tiの酸化物及びMnの酸化物を含む複合酸化物、Mnの酸化物、Feの酸化物,Cuの酸化物及びCoの酸化物を含む複合酸化物、及び、Crの酸化物及びCuの酸化物を含む複合酸化物などが挙げられる。無機封止部前駆体41Aにおいて、無機着色剤は、ガラスフリット100質量部に対して、5〜40質量部の割合で含まれることが好ましい。この場合、無機封止部41全体を着色させ、かつ無機封止部41の形成を阻害しにくくなる。
無機封止部前駆体41Aは、ガラスフリット及び無機着色剤の他に、セルロース系樹脂などのバインダ樹脂や溶媒などを含んでいてもよい。
(無機封止部形成工程)
無機封止部41は、透明導電層13上に形成した無機封止部前駆体41Aを焼成することでガラスフリットを互いに連結させることによって得ることができる。このとき、ガラスフリットが焼成によって互いに連結することによりガラス成分が得られる。
無機封止部前駆体41Aの焼成温度T(℃)は、上記式(1)で表される範囲内である。この場合、無機封止部前駆体41Aの焼成温度Tが、(TGF+20)℃を超える場合と比べて、気泡の発生がより十分に抑制された無機封止部41を形成することができる。一方、無機封止部前駆体41Aの焼成温度T(℃)が(TGF−10)℃未満である場合には、無機封止部41が形成できない恐れがある。無機封止部前駆体41Aの焼成温度は、(TGF−5)〜(TGF+15)℃であることが好ましい。この場合、気泡の発生がより十分に抑制された無機封止部41を形成できる。
また無機封止部前駆体41Aの焼成時間は、特に限定されるものではないが、通常は、0.5〜4時間であり、好ましくは1〜2時間である。この場合、同時に焼成する酸化物半導体層30の比表面積が大きくなり、より高性能な光電変換素子100が得られる。
<酸化物半導体層形成工程>
酸化物半導体層30は以下のようにして形成できる。すなわち、透明導電性基体13の無機封止部41の内側の透明導電層12上に酸化物半導体層形成用ペーストを印刷した後、焼成することで酸化物半導体層30を形成することができる。
酸化物半導体層形成用ペーストは、酸化物半導体粒子のほか、ポリエチレングリコールなどの樹脂及び、テレピネオールなどの溶媒を含む。
酸化物半導体粒子は、特に限定されるものではないが、例えば酸化チタン(TiO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)、酸化ニオブ(Nb)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化スズ(SnO)又はこれらの2種以上で構成される。
酸化物半導体層30の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば0.1〜100μmとすればよい。
酸化物半導体層形成用ペーストの印刷方法としては、例えばスクリーン印刷法、ドクターブレード法、バーコート法などを用いることができる。
酸化物半導体層形成用ペーストの焼成温度は酸化物半導体粒子の材質により異なるが、通常は350〜600℃であり、焼成時間も、酸化物半導体粒子の材質により異なるが、通常は1〜5時間である。
<色素担持工程>
酸化物半導体層30の表面に色素を担持させるためには、例えば酸化物半導体層30を、色素を含有する溶液の中に浸漬させ、その色素を酸化物半導体層30に担持させた後に上記溶液の溶媒成分で余分な色素を洗い流し、乾燥させればよい。
色素としては、例えばビピリジン構造、ターピリジン構造などを含む配位子を有するルテニウム錯体、ポルフィリン、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素などの光増感色素や、ハロゲン化鉛系ペロブスカイト結晶などの有機−無機複合色素などが挙げられる。ハロゲン化鉛系ペロブスカイトとしては、例えばCHNHPbX(X=Cl、Br、I)が用いられる。ここで、色素として光増感色素を用いる場合には、光電変換素子100は色素増感光電変換素子となり、光電変換セル60は色素増感光電変換セルとなる。
上記色素の中でも、ビピリジン構造又はターピリジン構造を含む配位子を有するルテニウム錯体からなる光増感色素が好ましい。この場合、光電変換素子100の光電変換特性をより向上させることができる。
また、色素を含有する溶液の溶媒は、特に限定されるものではないが、このような溶媒としては、アセトニトリル及びt−ブタノールの混合溶媒が好ましい。この場合、色素粉末をより十分に溶解させることができる。また、色素を含有する溶液における色素の濃度は、0.05〜0.4mmol/Lであることが好ましい。この場合、作製した光電変換素子100においてより大きい電流が得られる。
<電解質配置工程>
電解質50は、例えばヨウ化物イオン(ヨウ素イオン)/ポリヨウ化物イオンなどの酸化還元対と有機溶媒とを含んでいる。有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、バレロニトリル、ピバロニトリルなどを用いることができる。酸化還元対としては、ヨウ化物イオン/ポリヨウ化物イオン(例えばI/I )のほか、臭化物イオン(臭素イオン)/ポリ臭化物イオン、亜鉛錯体、鉄錯体、コバルト錯体などのレドックス対が挙げられる。なお、ヨウ化物イオン/ポリヨウ化物イオンは、ヨウ素(I)と、アニオンとしてのアイオダイド(I)を含む塩(イオン性液体や固体塩)とによって形成することができる。アニオンとしてアイオダイドを有するイオン性液体を用いる場合には、ヨウ素のみ添加すればよく、有機溶媒や、アニオンとしてアイオダイド以外のイオン性液体を用いる場合には、LiIやテトラブチルアンモニウムアイオダイドなどのアニオンとしてアイオダイド(I)を含む塩を添加すればよい。
また電解質50は、有機溶媒に代えて、イオン液体を用いてもよい。イオン液体としては、例えばピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の既知のヨウ素塩であって、室温付近で溶融状態にある常温溶融塩が用いられる。このような常温溶融塩としては、例えば、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、又は、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイドが好適に用いられる。
また、電解質50は、上記有機溶媒に代えて、上記イオン液体と上記有機溶媒との混合物を用いてもよい。
また電解質50には添加剤を加えることができる。添加剤としては、LiI、4−t−ブチルピリジン、グアニジウムチオシアネート、1−メチルベンゾイミダゾール、1−ブチルベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
さらに電解質50としては、上記電解質にSiO、TiO、カーボンナノチューブなどのナノ粒子を混練してゲル様となった擬固体電解質であるナノコンポジットゲル電解質を用いてもよく、また、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド誘導体、アミノ酸誘導体などの有機系ゲル化剤を用いてゲル化した電解質を用いてもよい。
なお、電解質50は、ヨウ化物イオン/ポリヨウ化物イオン(例えばI/I )からなる酸化還元対を含み、ポリヨウ化物イオンの濃度が0.006mol/L以下であることが好ましい。この場合、電子を運ぶポリヨウ化物イオンの濃度が低いため、漏れ電流をより減少させることができる。このため、開放電圧をより増加させることができるため、光電変換特性をより向上させることができる。特に、ポリヨウ化物イオンの濃度は0.005mol/L以下であることが好ましく、0〜6×10−6mol/Lであることがより好ましく、0〜6×10−8mol/Lであることがさらに好ましい。この場合、光電変換素子100を透明導電性基板10の光入射側から見た場合に、電解質50の色を目立たなくすることができる。
<対向基体準備工程>
対向基体23は以下のようにして得ることができる。
すなわち、対向基体23は対向基板20に対して環状の樹脂封止部42を固定することによって得ることができる。対向基板20の上に環状の樹脂封止部42を固定するには、この環状の樹脂封止部42を対向基板20の上に配置し、環状の樹脂封止部42を対向基板20に接着させればよい。
樹脂封止部42を構成する材料としては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、紫外線硬化樹脂、及び、ビニルアルコール重合体などが挙げられる。なお、樹脂封止部42は樹脂のみで構成されている必要はなく、樹脂と無機フィラーとで構成されていてもよい。
樹脂封止部42を対向基板20に接着させる方法としては、例えば樹脂封止部42が熱可塑性樹脂を含む場合には、対向基板20上に環状の樹脂封止部42を配置し、環状の樹脂封止部を加熱することにより溶融させて対向基板20に接着させる方法が用いられる。
対向基板20は、導電性基板21の上に触媒層22を形成することによって得ることができる。
導電性基板21は、例えばチタン、ニッケル、白金、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ステンレス等の耐食性の金属材料で構成される。また、基板と電極を分けて、上述した絶縁性の透明基板11に電極としてITO、FTO等の導電性酸化物からなる透明導電層を形成した積層体で構成されてもよい。
導電性基板21の厚さは、光電変換素子100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば0.005〜4mmとすればよい。
触媒層22は、白金、炭素系材料又は導電性高分子などから構成される。ここで、炭素系材料としては、カーボンナノチューブが好適に用いられる。なお、対向基板20は、導電性基板21が触媒機能を有する場合(例えばカーボンなどを含有する場合)には触媒層22を有していなくてもよい。
触媒層22の形成方法としては、スパッタ法、蒸着法などが用いられる。
<積層体準備工程>
上述した積層体は、図8に示すように、無機封止部41の内側に酸化物半導体層30及び電解質50を配置した透明導電性基体13と対向基体23とを互いに対向させた後、無機封止部41と樹脂封止部42とが接触するように重ね合わせることで得られる。積層体の準備は大気圧下で行ってもよいし、減圧下で行ってもよい。
<貼合せ工程>
透明導電性基体13と対向基体23との貼合せは、例えば樹脂封止部42が熱可塑性樹脂からなる場合には、無機封止部41及び樹脂封止部42を加圧しながら加熱することにより行うことができる。
貼合せは、大気圧下で行ってもよいし、減圧下で行ってもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態においては、積層体準備工程において、図6に示す第2構造体と対向基体23とを重ね合わせる際、樹脂封止部42は対向基板20上に設けられているが、樹脂封止部42は、対向基板20上ではなく第2構造体の無機封止部41上に設けられていてもよい。この場合、積層体準備工程では、無機封止部41上に設けられた樹脂封止部42と、対向基板20とを接着させることで積層体が得られる。
また上記実施形態では、酸化物半導体層形成工程が、透明導電性基体準備工程の後に行われているが、酸化物半導体層形成工程は、透明導電性基体準備工程よりも前に行ってもよい。この場合、酸化物半導体層30を形成する際には、透明導電性基板10上に無機封止部41がまだ形成されていないため、酸化物半導体層30を形成する際に、無機封止部41に熱が加わることがない。そのため、無機封止部41に気泡が発生することをより十分に抑制できる。
さらにまた上記実施形態では、封止部40が樹脂封止部42と無機封止部41とで構成されているが、封止部40には、樹脂封止部42の代わりに、無機材料からなる第2の無機封止部を用いてもよい。但し、第2の無機封止部に気泡が発生することを抑制する観点から、第2の無機封止部には無機着色剤が含まれないことが好ましい。
また上記実施形態では、無機封止部形成工程において、無機封止部41は、透明導電層12上に形成されているが、無機封止部41は透明基板11上に直接形成されてもよい。この場合、無機封止部形成工程において無機封止部前駆体41Aを焼成して無機封止部41を形成する際に、溶け出した透明導電層12の成分と無機封止部前駆体41A中の無機着色剤とが反応することがより十分に抑制される。このため、無機封止部41において、透明導電層12と無機着色剤との反応により発生したガスによる気泡の発生をより十分に抑制できる。
また、上記実施形態において、無機封止部41が環状となっているが、無機封止部41は必ずしも環状でなくてもよい。
上記実施形態によって製造される光電変換素子100は、一つの光電変換セル60を有しているが、光電変換素子は、光電変換セル60を複数有していてもよい。
また上記実施形態によって製造される光電変換素子100は、バックシートを有していないが、光電変換素子は、光電変換セル60を透明導電性基板10のうち透明導電層12が設けられている面側で覆うように設けられるバックシートをさらに有していてもよい。この場合、バックシートを有していない場合と比べて、封止部40の内側に水分が浸入することが十分に抑制される。このため、光電変換素子の耐久性の低下を十分に抑制することが可能となる。ここで、光電変換素子は、バックシートの内側に乾燥材をさらに有していてもよい。この場合、封止部40の内側に水分が浸入することがより十分に抑制されるため、光電変換素子の耐久性の低下をより十分に抑制することが可能となる。
さらに上記実施形態では、対向基板20を有する対向基体23が用いられているが、図9に示すように、対向基板20に代えて絶縁性基板220を用いた絶縁性基体223が用いられてもよい。ここで、絶縁性基体223は絶縁性基板220上に樹脂封止部42を有する。この場合、透明導電性基体13上に構造体211が設けられる。構造体211は、透明導電性基体13のうち透明導電層12上に設けられる。構造体211は、透明導電性基体13側から順に、酸化物半導体層30、絶縁層212及び対極214で構成される。また酸化物半導体層30及び絶縁層212の内部には電解質50が含浸されている。ここで、絶縁性基板220としては、例えばガラス基板又は樹脂フィルムなどを用いることができる。また対極214としては、導電性基板21と同様のものを用いることができる。あるいは、対極214は、例えばカーボン等を含む多孔質の単一の層で構成されてもよい。絶縁層212は、主として、酸化物半導体層30と対極214との物理的接触を防ぎ、電解質50を内部に含浸させるためのものである。このような絶縁層212としては、例えば酸化物の焼成体を用いることができる。なお、図9に示す透明導電性基体13上には、1つの構造体211のみが設けられているが、複数の構造体211が設けられていてもよい。また、絶縁層212は、酸化物半導体層30と対極214との間に設けられているが、酸化物半導体層30を囲むように、透明導電性基体13と対極214との間に設けてもよい。この構成でも、酸化物半導体層30と対極214との物理的接触を防ぐことができる。
以下、本発明の内容を、実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
はじめに、112mm×56mm×2.2mmの透明導電層付きガラス(商品名「TEC−a7」、ピルキントン社製)を透明導電性基板として準備した。
次に、BiO、ZnO及びBを含むビスマス系ガラスからなるガラスフリットA(商品名「GF3470」、奥野製薬工業社製、軟化点TGF:470℃)100質量部に対して、無機着色剤A(Caの酸化物、Tiの酸化物及びMnの酸化物を含む複合酸化物)18質量部、セルロース系樹脂からなる増粘剤3質量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート17質量部及びターピネオール8質量部を配合することで無機封止部形成用ペーストを得た。
次に、上記のようにして得られた無機封止部形成用ペーストを透明導電性基板上に四角環状に塗布することで、透明導電性基板上に四角環状の無機封止部前駆体を形成した。このとき、塗布した無機封止部形成用ペーストの内周寸法は、96.6mm×42mmとし、幅は6mmとし、厚さは25μmとした。また、無機封止部形成用ペーストはスクリーン印刷によって透明導電性基板の透明導電層上に塗布し、スクリーン印刷の際におけるスクリーン紗としては、「SX150」(製品名、ムラカミ社製)を用いた。
次に、無機封止部前駆体を形成した透明導電性基板をオーブン(製品名「ローラーハース式連続炉」、光洋サーモシステム社製)を使用し460℃で30分間焼成し、透明導電性基板上に無機封止部を形成した。これを透明導電性基体とした。
次に、この透明導電性基体の透明導電層上であって無機封止部の内側全面と、無機封止部に0.2mmかかる領域に、スクリーン印刷法によって酸化チタンペースト(商品名「DPF1−0004」、住友大阪セメント社製)を塗布した。そして、この酸化チタンペーストを塗布した透明導電性基体をオーブン(製品名「ローラーハース式連続炉」、光洋サーモシステム社製)を使用して475℃で1時間焼成し、透明導電性基体上に97mm×42.4mm×12μmの酸化物半導体層を形成し、第1構造体を得た。
次に、第1構造体を、色素溶液に16時間浸漬し、第1構造体の酸化物半導体層に色素を担持させた。色素溶液としては、Z907(商品名「DNH2」、Dyesol社製)をアセトニトリル:t−ブタノールを1:1で混合した溶媒に0.2mMの濃度となるように溶解させたものを用いた。
次に、第1構造体における無機封止部の内側に電解質を配置した。電解質としては、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド(商品名「DMPrZ−I」、四国化成社製)をメトキシプロピオニトリルに0.6Mの濃度となるように溶解させたものを用いた。こうして第2構造体を得た。
一方、100.2mm×45.6mm×40μmのチタンからなる金属基板を準備した。そして、金属基板上に、スパッタリング法により、白金からなる厚さ10nmの触媒層を形成した。こうして対向基板を得た。
次に、無水マレイン酸変性ポリエチレンであるバイネル(商品名、デュポン社製)からなる100.2mm×45.6mm×55μmのシートの中央に、96.6mm×42mm×55μmの開口を形成した四角環状の樹脂シートを準備した。そして、この樹脂シートを、対向基板上の触媒層の表面に配置した。そして、この樹脂シートを150℃で3分間加熱し溶融させることによって対向基板の触媒層の表面に接着し、対向基板の触媒層の表面に四角環状の樹脂封止部を固定した。こうして対向基体を得た。
次に、対向基体を第2構造体に対向させ、大気圧下で、第2構造体の無機封止部と対向基体の樹脂封止部とを重ね合わせ、積層体を得た。
そして、上記のようにして得られた積層体を600Paの減圧下で、プレス機を用いて、樹脂封止部と無機封止部とを全体厚みが140μmとなるよう加圧しながら205℃で加熱して、樹脂封止部を溶融させ、無機封止部と樹脂封止部とを接着させることで封止部を形成した。こうして光電変換素子が得られた。
(実施例2〜4及び比較例1〜5)
無機封止部前駆体の焼成温度T(℃)、及び、無機封止部前駆体の焼成温度T(℃)とガラスフリットの軟化点TGF(℃)との差(T−TGF)℃を表1に示す通りにしたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。
(実施例5)
無機着色剤として、無機着色剤Aに代えて無機着色剤B(Mnの酸化物、Feの酸化物、Cuの酸化物及びCoの酸化物を含む複合酸化物、商品名「CFP−4010BK」、奥野製薬工業株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。
(実施例6〜8及び比較例6〜10)
無機封止部前駆体の焼成温度T(℃)、及び、無機封止部前駆体の焼成温度T(℃)とガラスフリットの軟化点TGF(℃)との差(T−TGF)℃を表2に示す通りにしたこと以外は実施例5と同様にして光電変換素子を作製した。
(実施例9)
無機封止部形成用ペースト中のガラスフリットとして、ガラスフリットAに代えて、比率を変更したBiO、ZnO及びBを含むビスマス系ガラスからなるガラスフリットB(商品名奥野製薬工業社製、軟化点:500℃)を用い、無機封止部前駆体の焼成温度T(℃)、及び、無機封止部前駆体の焼成温度T(℃)とガラスフリットの軟化点TGF(℃)との差(T−TGF)℃を表3に示す通りにしたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。
(実施例10〜12及び比較例11〜15)
無機封止部前駆体の焼成温度T(℃)、及び、無機封止部前駆体の焼成温度T(℃)とガラスフリットの軟化点TGF(℃)との差(T−TGF)℃を表3に示す通りにしたこと以外は実施例9と同様にして光電変換素子を作製した。
(実施例13)
無機着色剤として、無機着色剤Aに代えて無機着色剤B(商品名「CFP−4010BK」、奥野製薬工業株式会社製)を用いたこと以外は実施例9と同様にして光電変換素子を作製した。
(実施例14〜16及び比較例16〜20)
無機封止部前駆体の焼成温度T(℃)、及び、無機封止部前駆体の焼成温度T(℃)とガラスフリットの軟化点TGF(℃)との差(T−TGF)℃との差を表4に示す通りにしたこと以外は実施例13と同様にして光電変換素子を作製した。
(気泡発生の抑制効果)
実施例1〜16及び比較例1〜20の光電変換素子を、ガラススクライバを用いて図1の断面が見えるように切断した後、研磨し、切断面のうち無機封止部の切断面を電子顕微鏡(FE−SEM、製品名「ULTRA55」、ZEISS社製)により観察し、画像解析ソフト(製品名「analySIS」、Soft Imaging System社製)を用いて無機封止部に占める気泡の面積割合を測定した。結果を表1〜4に示す。なお、無機封止部が形成できなかった比較例については、気泡発生の抑制効果を測定できなかったため、「−」と表記した。

また、気泡発生の抑制効果の合格基準は以下の通りとした。

(合格基準) 無機封止部に占める気泡の面積割合が20面積%以下

Figure 2018078221
Figure 2018078221
Figure 2018078221
Figure 2018078221
表1〜4に示す結果より、実施例1〜16はいずれも合格基準を満たしていた。一方、比較例1〜20は合格基準を満たしていなかった。
このことから、本発明の光電変換素子の製造方法によれば、気泡の発生が十分に抑制された無機封止部を有する光電変換素子を製造することが可能であることが確認された。
10…透明導電性基板
11…透明基板
12…透明導電層
13…透明導電性基体
20…対向基板
30…酸化物半導体層
40…封止部
41…無機封止部
41A…無機封止部前駆体
50…電解質
60…光電変換セル
100…光電変換素子

Claims (2)

  1. 透明導電性基板と、前記透明導電性基板に対向する対向基板と、前記透明導電性基板と前記対向基板とを連結する環状の封止部と、前記封止部の内側に配置される電解質とを備え、前記封止部が、前記透明導電性基板上に設けられる無機封止部を含む光電変換素子を製造する光電変換素子の製造方法であって、
    前記透明導電性基板と、前記透明導電性基板上に設けられる前記無機封止部とを有する透明導電性基体を準備する透明導電性基体準備工程を含み、
    前記透明導電性基体準備工程が、
    前記透明導電性基板上に、ガラスフリット及び無機着色剤を含む無機封止部前駆体を形成する無機封止部前駆体形成工程と、
    前記無機封止部前駆体を下記式(1)で表される焼成温度T(℃)で焼成することで前記透明導電性基板上に前記無機封止部を形成する無機封止部形成工程とを含む、光電変換素子の製造方法。
    GF−10≦T≦TGF+20・・・(1)
    (上記式(1)中、TGFは前記ガラスフリットの軟化点を表す)
  2. 前記透明導電性基板が、透明基板と、前記透明基板上に設けられる透明導電層とを有し、
    前記無機封止部形成工程において、前記無機封止部が前記透明導電層上に形成される、請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
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