以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
また、本明細書及び図面において、X軸、Y軸及びZ軸は、三次元直交座標系の三軸を表しており、本実施の形態では、Y軸方向を鉛直方向(上下方向)とし、Y軸に垂直な方向(XZ平面に平行な方向)を水平方向としている。X軸及びZ軸は、互いに直交し、且つ、いずれもY軸に直交する軸である。なお、本実施の形態では、Y軸正方向側を上側(天井側)とし、Y軸負方向側を下側(光出射側)としている。
(実施の形態)
まず、実施の形態に係る照明装置1の全体構成について、図1〜図5を用いて説明する。図1は、実施の形態に係る照明装置1の外観斜視図である。図2は、同照明装置1の分解斜視図である。図3は、同照明装置1の取付け板に取り付けられる構成部品を取付け板から取り外した状態を示す図である。図4は、同照明装置1の断面図である。図5は、図4の破線で囲まれる領域Vの拡大図である。
図1〜図4に示されるように、照明装置1は、光源10と、レンズ20とを備える。光源10及びレンズ20は、照明装置1の発光部を構成している。
本実施の形態における照明装置1は、さらに、本体30と、取付け板40と、透光カバー50と、蓄電池60と、制御ユニット70と、端子台80とを備える。
照明装置1は、例えばシーリングライトとして天井又はブラケットライトとして壁面に取り付けられる。照明装置1は、例えばマンションの共用部又は非常階段等の半屋外空間で使用されるが、建物の屋内空間で使用されていてもよい。また、本実施の形態における照明装置1は、防災用、特に非常用の照明装置(非常用照明器具)であるので、火災時等の非常時にも使用できるように、照明装置1を構成する部品は、金属材料又はガラス等の不燃材料によって構成されているとよい。
このように照明装置1は非常用であるので、上記のように蓄電池60を内蔵している。このため、照明装置1は、定期的に蓄電池60の状態を確認する必要があり、蓄電池60として必要とされる能力を有していない状態であることが確認された場合、蓄電池60を交換する必要がある。したがって、照明装置1においては、本体30に取り付けられている蓄電池60を交換しやすくするために、取付け板40及び透光カバー50は、本体30に対して着脱可能に取り付けられている。また、このように取付け板40及び透光カバー50を本体30に対して着脱可能に取り付けることで、照明装置1を設置した後であっても光源10等の部品を容易に交換することもできる。
以下、照明装置1の各構成部品について、図1〜図5を参照しながら、詳細に説明する。
光源10は、例えばLEDを有するLED光源(LEDモジュール)であり、照明光として白色光を発する。図5に示すように、本実施の形態において、光源10は、COB(Chip On Board)構造であり、基板10aと、基板10aに実装された発光素子10bと、発光素子10bを封止する封止部材10cとを有する。
基板10aは、LEDを実装するための実装基板であって、例えば、セラミックス基板、樹脂基板、メタルベース基板又はガラス基板等である。なお、基板10aには、発光素子10bを発光させるための直流電力を外部から受電するための一対の電極端子と、LEDに電力を供給するための金属配線とが設けられている。一対の電極端子の各々には、リード線等の電線11が接続されている。電線11は、発光素子10bに電力を供給するための電力供給線であり、一端が電極端子に接続され、他端が制御ユニット70に接続されている。
発光素子10bは、電線11を介して制御ユニット70から供給される電力によって発光する。発光素子10bは、LEDであり、例えば単色の可視光を発するベアチップである。具体的には、発光素子10bは、通電されれば青色光を発する青色LEDチップである。発光素子10bは、例えば基板10aにマトリクス状に複数個配置されており、基板に形成された金属配線によって互いに電気的に接続されている。なお、発光素子10bは、少なくとも1つ配置されていればよい。
封止部材10cは、例えば透光性樹脂である。本実施の形態における封止部材10cは、発光素子10bからの光を波長変換する波長変換材として蛍光体を含んでいる。封止部材10cは、例えば、シリコーン樹脂に蛍光体を分散させた蛍光体含有樹脂である。蛍光体粒子としては、発光素子10bが青色LEDチップである場合、白色光を得るために、例えばYAG系の黄色蛍光体を用いることができる。本実施の形態において、封止部材10cは、全ての発光素子10bを一括封止するように平面視が円形状に形成されている。つまり、光源10は、円形の発光領域を有する。なお、封止部材10cの形状は、円形に限るものではなく、複数の発光素子10bを列ごとに封止するようにライン状に形成されていてもよいし、各発光素子10bを1つずつ個別に封止するように形成されていてもよい。
このように、本実施の形態における光源10は、青色LEDチップと黄色蛍光体とによって構成されたB−Yタイプの白色LED光源である。黄色蛍光体は、青色LEDチップが発した青色光の一部を吸収して励起されて黄色光を放出する。そして、この黄色光と黄色蛍光体に吸収されなかった青色光とが混ざって白色光となり、光源10からは白色光が放出する。
このように構成される光源10は、取付け板40に保持されている。具体的には、図3及び図5に示すように、光源10は、取付け板40の載置面42aに載置されて取付け板40に固定されている。また、図4に示すように、光源10は、透光カバー50の光透過部材51と取付け板40との間に配置されており、透光カバー50に向けて光を発する。なお、図5に示すように、光源10と載置面42aとの間には熱伝導シート12が挿入されている。
レンズ20は、光源10から出射する光の配光を制御する光学部材である。本実施の形態において、レンズ20は、光源10から出射する光を広角に配光する。したがって、光源10から出射した光は、レンズ20を通過することで配光角が大きくなる。
レンズ20は、例えば、ソーダガラス又は無アルカリガラス等のガラスによって構成されている。なお、レンズ20の材料は、ガラスに限るものではなく、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)又はポリカーボネート樹脂(PC)等の透光性樹脂材料であってもよいが、本実施の形態における照明装置1は防災用であるので、レンズ20は、ガラス等の不燃材料によって構成されているとよい。
レンズ20は、光源10の光出射側に配置されている。レンズ20の光軸は、光源10の光軸と一致している。また、レンズ20の外周端部にはフランジ部が形成されている。なお、レンズ20の詳細な構成は、後述する。
図5に示すように、光源10及びレンズ20は、ホルダ91、モジュールカバー92及びネジ93によって、取付け板40に固定されている。ホルダ91は、封止部材10cを露出させる開口部を有し、基板10aの周辺部を覆うように配置されている。モジュールカバー92は、ホルダ91の上に載置されたレンズ20を露出させる開口部を有し、レンズ20の外周のフランジ部を覆うように配置されている。
基板10a、レンズ20及び熱伝導シート12をモジュールカバー92と取付け板40とで挟んだ状態でネジ93を締め付けることで、光源10及びレンズ20が取付け板40に固定される。具体的には、モジュールカバー92及び取付け板40をネジ93で共締めすることで、モジュールカバー92がレンズ20のフランジ部を押さえ付けるとともに、モジュールカバー92及びレンズ20で押さえ付けられたホルダ91が基板10aを押さえ付ける。これにより、光源10及びレンズ20が取付け板40に保持された状態となる。
本体30は、天井又は壁面などの構造物の施工面に取り付けられる。本体30は、アルミニウム等の金属材料によって構成されている。具体的には、本体30は、アルミダイカスト製である。なお、本体30の材料は、金属材料に限るものではなく、樹脂材料であってもよいが、本実施の形態における照明装置1は防災用であるので、本体30は、金属材料等の不燃材料によって構成されているとよい。
図2及び図4に示すように、本体30は、平面視形状が円形の平板状のベース部31と、ベース部31の周縁から立設した側壁部32と、側壁部32から突出する一対の脚部33とを有する。
ベース部31の主面には、蓄電池60、制御ユニット70及び端子台80が載置される。蓄電池60、制御ユニット70及び端子台80はベース部31に固定されている。ベース部31は、主面とは反対側の面が構造物の施工面に取り付けられる。一対の脚部33は、取付け板40を本体30に取り付けるための取付構造であり、互いに対向する位置に配置されている。一対の脚部33の各々は、板ばね33aと支持板33bとによって構成されている。板ばね33a及び支持板33bは、ベース部31又は側壁部32に固定されている。
板ばね33aは、バネ復元力を有する弾性部材であり、取付け板40を着脱可能に保持する。具体的には、板ばね33aに設けられた凸部33a1が取付け板40の接続部41に形成された開口部41aに係合することにより、取付け板40が板ばね33aに保持される。板ばね33aは、例えば、ステンレス鋼材等の金属板によって形成されている。
支持板33bは、板ばね33aを支持する板材であり、例えば亜鉛めっき鋼板によって形成されている。また、支持板33bの端部には、取付け板40の鉛直方向の動きを規制する規制部33b1が設けられている。規制部33b1は、支持板33bの端部が直角に折り曲げられた部分であり、規制部33b1には取付け板40が載置される。規制部33b1に載置された取付け板40は、板ばね33aによって本体30に保持される。
図4に示すように、取付け板40は、本体30に取り付けられる取付け部材であり、光源10及びレンズ20を保持した状態で本体30に着脱可能に取り付けられる。取付け板40は、本体30のベース部31の主面に載置された、蓄電池60、制御ユニット70及び端子台80を覆うように本体30に取り付けられる。また、取付け板40は、本体30のベース部31と透光カバー50の光透過部材51との間に配置される。
本実施の形態において、取付け板40は、反射板であり、レンズ20から出射した光を反射する機能を有する。取付け板40は、例えば漏斗形状であり、光源10から離れるにつれて開口径が漸次大きくなるように構成されている。取付け板40は、例えばアルミニウム等の金属材料によって構成されているが、樹脂材料によって構成されていてもよい。ただし、本実施の形態における照明装置1は防災用であるので、取付け板40は、金属材料等の不燃材料によって構成されているとよい。
図3に示されるように、取付け板40は、載置面42aと反射面42bとを有する主面42を有する。載置面42aは、光源10が載置される面であり、取付け板40の略中心部に位置する円形の平面である。反射面42bは、レンズ20から出射した光を光透過部材51に向けて反射する面であり、載置面42aの周囲を囲むように載置面42aと連続的に形成されている。反射面42bは、取付け板40の表面に形成された白色塗装膜や金属蒸着膜、金属材料で形成された取付け板40の表面(金属表面)、又は、白色樹脂材料で形成された取付け板40の表面(白色面)等である。
取付け板40の周縁部には、一対の接続部41が設けられている。各接続部41は、本体30の脚部33の端部に対応して本体30に向かって直角に折れ曲がっている。一対の接続部41の各々には、開口部41aと係止部41bとが形成されている。図4に示すように、開口部41aは、本体30の板ばね33aに形成された凸部33a1が係合する孔である。係止部41bは、本体30の脚部33に係止される。図3に示すように、係止部41bは、取付け板40が本体30の脚部33に取り付けられる際に、凸部33a1と開口部41aが適切に係合されるために取付け板40の動きを制限する構造となっている。具体的には、係止部41bは、接続部41の端部が直角に折れ曲げられた形状であり、取付け板40をスライド挿入させて脚部33に取り付ける際、係止部43が脚部33に引っかかることで取付け板40のスライド方向の動きが規制される。
図1に示すように、透光カバー50は、照明装置1の外郭筐体の一部を構成するカバー部材であり、本体30と着脱可能となっている。透光カバー50は、光透過部材51と筒体52とを備える。
図2及び図4に示すように、光透過部材51は、筒体52の開口を塞ぐように筒体52に取り付けられる。光透過部材51は、略円形ドーム状の透光性を有する透光カバー(グローブ)である。光透過部材51は、例えば、ガラスによって構成されている。なお、光透過部材51の材料は、ガラスに限るものではなく、PMMA又はPC等の透光性樹脂材料であってもよいが、本実施の形態における照明装置1は防災用であるので、光透過部材51は、ガラス等の不燃材料によって構成されているとよい。本実施の形態では、光透過部材51として、ガラスに焼き付け塗装されたガラスカバーを用いている。
また、光透過部材51は、光拡散性(光散乱性)を有する拡散カバーである。この場合、光透過部材51を乳白色にすることで光透過部材51に光拡散性を持たせることができる。具体的には、光透過部材51の内部に光拡散粒子を分散させさせることで光透過部材51に光拡散性を持たせてもよいし、光透過部材51の内面又は外面に乳白色の光拡散膜を形成することによって光透過部材51に光拡散性を持たせてもよい。また、光透過部材51の表面に複数の光拡散ドット又は複数の微小凹凸(シボ)を形成することによって光透過部材51に光拡散性を持たせてもよい。
筒体52は、筒状筐体であり、例えば円筒状である。筒体52には本体30が接続される。具体的には、筒体52を回動することで、筒体52は本体30に固定される。筒体52は、アルミニウム等の金属材料によって構成されている。具体的には、筒体52は、アルミダイカスト製である。なお、筒体52の材料は、金属材料に限るものではなく、樹脂材料であってもよいが、本実施の形態における照明装置1は防災用であるので、筒体52は、不燃材料によって構成されているとよい。
図2及び図4に示される蓄電池60は、光源10に電力を供給する電源である。蓄電池60は、例えば、外部からの交流電力の供給が停止されたときに、非常用の電源として使用される。蓄電池60は、例えば、ニッケル水素電池である。蓄電池60は、充電及び放電が可能な電池であればよく、リチウムイオン電池又は鉛蓄電池等であってもよい。蓄電池60は、蓄電池カバー61によって覆われている。蓄電池カバー61は、例えば、金属材料によって構成されているが、樹脂材料によって構成されてもよい。
図2及び図4に示される制御ユニット70は、照明装置1の外部から供給される交流電力を直流電力に変換して光源10に供給する電源回路ユニットである。具体的には、制御ユニット70は、基板に回路部品が実装されることにより形成された電源回路と、電源回路を覆うカバーとを有する。
電源回路は、整流回路及びインバータ回路などを含む。また、電源回路には、蓄電池60を充電する充電回路が含まれる。充電回路は、照明装置1の外部から供給される交流電力を蓄電池60の充電に適した直流電力に変換し、直流電力によって蓄電池60を充電する。本実施の形態においては、停電時などの非常時においても照明装置1の使用が可能なように、蓄電池60はトリクル充電される。さらに、電源回路には、外部からの交流電力の供給の停止(停電)を検出する検出回路、及び、蓄電池60を放電する放電回路も含まれていてもよい。検出回路によって停電が検出されると、放電回路は、蓄電池60を放電させる。この結果、蓄電池60は、光源10に直流電力を供給する。これにより、照明装置1は、停電時も発光を継続することができる。
図2に示される端子台80は、外部交流電源と制御ユニット70とを電気的に接続させるために電線が差し込まれる端子ユニットである。端子台80に差し込まれた電線(不図示)を介して外部交流電源から制御ユニット70に交流電力が供給される。
次に、取付け板40を本体30に取り付ける方法について、図6を用いて説明する。図6は、取付け板40を本体30に取り付けるときの様子を説明するための図である。
取付け板40は、本体30の側方から取付け板40をスライド挿入することで、本体30に取り付けられる。具体的には、光源10及びレンズ20が取り付けられた取付け板40をX軸正方向にスライドすることで、本体30の一対の脚部33に取付け板40の一対の接続部41を接続させる。
このとき、取付け板40をスライドさせることで取付け板40の接続部41が脚部33の板ばね33aに当接して板ばね33aが弾性変形する。そして、取付け板40をさらにスライドして押し込むことで、接続部41に形成された開口部41aに脚部33の板ばね33aの凸部33a1を係合(嵌合)させることができる。これにより、取付け板40が脚部33に保持された状態で本体30に固定される。また、この状態において、接続部41は、脚部33の支持板33bの規制部33b1によって鉛直方向の動きが規制される。
なお、取付け板40を本体30から取り外す場合は、取付け板40を逆方向(X軸負方向)にスライドさせることで開口部41aと凸部33a1との係合状態が解除され、取付け板40を本体30から簡単に取り外すことができる。
次に、レンズ20の詳細な構成について、図5を参照しながら、図7〜図9を用いて説明する。図7は、第1面21側から見たときの実施の形態に係るレンズ20の斜視図である。図8は、同レンズ20の断面図である。図9は、図8の破線で囲まれる領域IXの拡大断面図である。
図7及び図8に示すように、レンズ20は、光源10側の面である第1面21と、光源10側とは反対側の面である第2面22とを有する。つまり、第1面21は、光入射側の面であり、第2面22は、光出射側の面である。
図8に示すように、第1面21は、光制御面21aと凹凸面21bとを含む。本実施の形態において、第1面21は、さらに、非光制御面21cを含む。第1面21において、凹凸面21b及び非光制御面21cは、レンズ20の底面を構成している。
第1面21において、光制御面21aは、光源10から出射する光の配光を制御する面である。具体的には、光制御面21aは、光源10から出射する光を広角に配光する面である。光制御面21aは、第1面21の中央に位置しており、光源10から出射した光の多くが入射する主光入射面となっている。このため、図5に示すように、光制御面21aは、光源10の発光領域(封止部材10c)に対向する位置に形成されている。
光制御面21aは、レンズ20の内方に凹んだ凹面である。光制御面21aは、例えば、断面形状が放物線をなす放物面又は断面形状が円弧をなす球面等の湾曲面である。また、光制御面21aにおける凹部の開口形状は円形であり、図5に示すように、この凹部の開口側の径寸法は、光源10の発光領域(封止部材10c)の径寸法より大きい。つまり、光制御面21aは、光源10の発光領域(封止部材10c)と対向しており、平面視において、光源10の発光領域とオーバーラップしている。
また、第1面21において、凹凸面21bは、複数の凸部又は複数の凹部が同心環状に形成された面である。図9に示すように、本実施の形態において、凹凸面21bには凹凸部23が形成されている。凹凸部23は、凸部23aと凹部23bとが同心円環状に径方向に交互に繰り返して形成されている。つまり、凹凸面21bは、円環状の凸部23aと円環状の凹部23bとが漸次直径が大きくなるように同心で交互に複数繰り返して形成された面である。このように形成された凹凸面21bは、光源10からの光を拡散(散乱)させる光拡散面である。
各凸部23a及び各凹部23bの断面形状は、例えばサインカーブ又は円弧等の曲線であるが、これに限るものではない。また、各凸部23aの頂点及び各凹部23bの底部は、所定の曲率を有している。
本実施の形態において、凸部23aの高さと凹部23bの深さとは同じである。また、凹部23bの深さd(凸部23aの高さ)は、40μm以上であるとよい。一例として、凹部23bの深さdは、d=48μm(0.048mm)であり、凸部23aの頂部の曲率半径が0.4mmで、凹部23bの底部の曲率半径が0.45mmである。この場合、隣り合う凸部23aのピッチPは0.54mmである。
また、凹凸面21bは、光制御面21aを囲む面である。本実施の形態において、凹凸面21bは、平面視において一定幅の円環状の領域であって、光制御面21aと非光制御面21cとの間に位置している。凹凸面21bは、光源10から出射する光が入射する光入射面ではあるが、光制御面21aのように光源10から出射する光を広角に配光する面ではない。つまり、凹凸面21bは、凹凸面21bに入射する光の割合は光制御面21aに入射する光の割合よりも小さい副光入射面である。本実施の形態において、凹凸面21bは、光源10の発光領域(封止部材10c)と対向しておらず、平面視において、光源10の発光領域とオーバーラップしていない。
また、図8及び図9に示すように、凹凸面21bは、非光制御面21cと段差24を有するように形成されている。つまり、凹凸面21bは、段差24によってレンズ20の底面が一段奥まった領域となっている。具体的には、凹凸面21bは、非光制御面21cよりも一段奥まった位置に存在している。本実施の形態において、段差24は、レンズ20の光源10側の面の一部を、一定幅の円環状に切り欠くように形成された領域である。
また、第1面21において、非光制御面21cは、光源10から出射した光を制御しない面である。つまり、非光制御面21cは、基本的には、光源10から出射した光が入射しない非光入射面である。具体的には、非光制御面21cは、光源10の基板10aの表面と平行な平坦な平面である。非光制御面21cは、光源10の発光領域(封止部材10c)に対向していないだけではなく、基板10aにも対向していない。つまり、非光制御面21cは、光源10には対向していない位置に存在する。
また、非光制御面21cは、凹凸面21bを囲む面である。本実施の形態において、非光制御面21cは、平面視において一定幅の円環状の領域であって、第1面21の最外周に位置している。
第1の面21とは反対側の第2面22は、第1面21から入射した光がレンズ20を透過してレンズ20の外部に出射する面である。第2面22は、所定形状の湾曲面である。また、本実施の形態において、第2面22の平面視形状は円形である。
このように構成されたレンズ20に光源10の光が入射すると、レンズ20に入射した光源10の光は配光角が大きくなるように広角に配光制御される。具体的には、光制御面21aに入射した光源10の光は、光制御面21aで外に広がるように屈折してレンズ20内に入射し、レンズ20内を直進導光して第2面22から外部に出射する。なお、第2面から光が出射する再、第2面22の形状にしたがって第2面22においても光は屈折してもよい。
また、光源10から出射した光の一部は、凹凸面21bに入射する。この場合、凹凸面21bに入射した光源10の光は、複数の凸部23a及び複数の凹部23bが同心環状に形成され凹凸面21bによって拡散(散乱)される。
以上、本実施の形態における照明装置1は、光源10と、光源10から出射する光を広角に配光するレンズ20とを備えている。そして、レンズ20は、光源10側の面である第1面21と、第1面21から入射した光がレンズ20を透過して外部に出射する第2面22とを有し、第1面21は、光源10から出射する光を広角に配光する光制御面21aと、光制御面21aを囲むように複数の凸部又は複数の凹部が同心環状に形成された凹凸面21bとを含む。
これにより、光源10から出射してレンズ20の第1面21に入射した光のうち光制御面21aに入射せずに凹凸面21bに入射した光を、凹凸面21bにおける同心環状に形成された複数の凸部(又は複数の凹部)によって拡散させることができる。したがって、輝線の発生を抑制することができる。特に、凹凸面21bは、シボ面ではなく、複数の凸部(又は複数の凹部)が同心環状に形成された構成となっているので、シボ面と比べて効果的に輝線の発生を抑制することができる。
また、本実施の形態において、凹凸面21bは、レンズ20の第1面21の一部に形成されたものであるので、輝線の発生を抑制するために反射シート等を別途設ける必要がない。このため、部品点数の増加によって部品コストが増加したり部品間の位置合わせ等によって組み立てコストが増加したりすることがないので、製造コストの増加を抑制できる。
このように、本実施の形態における照明装置1によれば、製造コストの増加を抑制しつつ、輝線の発生を効果的に抑制することができる。
また、本実施の形態における照明装置1において、第1面21は、さらに、凹凸面21bを囲み、かつ、光源10から出射した光を制御しない非光制御面21cを含んでおり、凹凸面21bは、非光制御面21cと段差24を有するように形成されている。
このように、レンズ20に段差24を形成することで、光源10から側方に進行する光を前方側(上方側)に屈折するように配光することができる。この点について、図10及び図11を用いて説明する。
図10に示すように、段差24が形成されていないレンズ20Xの場合、光源10から出射した光のうち浅い角度で側方に進行する光は、開口部付近の光制御面21aに入射して、そのまま浅い角度でレンズ20Xの側方から出射する。
これに対して、本実施の形態のように、段差24が形成されたレンズ20の場合、光源10から出射した光のうち浅い角度で側方に進行する光は、凹凸面21bに入射して、凹凸面21bで前方側(上方側)に屈折する。これにより、光源10から浅い角度で側方に進行する光の向きを光透過部材51(図4参照)に向けることができるので、照明装置1の光取り出し効率を向上させることができる。
しかも、段差24を形成したとしても凹凸面21bではなく平坦な平面であると、輝線となって光透過部材51に入射してしまうが、本実施の形態では、段差24の部分が、複数の凸部23a及び複数の凹部23bが同心環状に形成された凹凸面21bになっているので、図11に示すように、輝線の発生を効果的に抑制することができる。
また、本実施の形態における照明装置1において、レンズ20は、ガラスによって構成されている。
これにより、火災時等の高温環境下でも光学性能を維持できるレンズ20を実現できるので、信頼性の高い非常用の照明装置を実現できる。
さらに、レンズ20の素材としてガラスを用いて輝線の発生を抑制できる凹凸面21bをレンズ20に形成する場合であっても、凹凸面21bを有するレンズ20を形成するためのプレス金型の修復費用を抑制することができる。この点について、以下説明する。
ガラス製のレンズにシボ面を形成する場合、シボ面を有するレンズを形成するためのプレス金型は、継続使用によって金型のシボ面が徐々に消えていってしまう。このため、金型をメンテナンスする際の金型の修復費用が高くなる。
これに対して、本実施の形態における凹凸面21bは、シボ面ではなく、複数の凸部(又は複数の凹部)が同心環状に形成された構成となっている。これにより、凹凸面21bを有するレンズ20を形成するためのプレス金型は、継続使用されたとしても金型の凹凸面が消えにくい。このため、金型をメンテナンスする際の金型の修復費用を安く抑えることができる。
また、本実施の形態における照明装置1において、凸部23aの高さ又は凹部23bの深さは、40μm以上である。
これにより、凹凸面21bにおける凸部23aの高さ又は凹部23bの深さをシボ加工による凹凸の高さ(深さ)よりも大きくできるので、輝線の発生をさらに効果的に抑制することができる。
なお、凹凸面21の凹凸部23において、凹部23bの深さ(又は凸部23aの高さ)をdとし、凸部23a(又は凹部23b)の幅をWとすると、d/Wの値はできるだけ大きい方がよい。これにより、輝線の発生をさらに効果的に抑制することができる。
(変形例)
以上、本発明に係る照明装置等について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態において、レンズ20に段差24を設けたが、段差24は必ずしも設ける必要はない。つまり、光制御面21aを囲むように凹凸面21bが形成されていれば、図10に示されるレンズ20Xのような形状であってもよい。
また、上記実施の形態において、凹凸面21bの凹凸部23における凸部23aの頂部及び凹部23bの底部は、曲率を有するように構成されていたが、これに限らない。例えば、図12に示すように、凹凸面の凹凸部23Aにおける凸部23Aaの頂部及び凹部23Abの底部は、頂角を有するように屈曲した形状であってもよい。
また、上記実施の形態において、凹凸面21bの凹凸部23における凸部23a及び凹部23bの表面は湾曲面であったが、これに限らない。例えば、図13に示すように、凹凸面の凹凸部23Bにおける凸部23Ba及び凹部23Bbは、頂部及び底部は曲率を有し、かつ、頂部と底部の間に直線部を有する形状であってもよい。
また、上記実施の形態では、段差面となる凹凸面21bの基準平面が非光制御面21cと平行となるように段差24を形成したが、これに限らない。例えば、図14に示されるレンズ20Yのように、段差面となる凹凸面21bの基準平面が非光制御面21cに対して傾斜するように段差24を形成してもよい。また、図15に示されるレンズ20Zのように、凹凸面21bが全体として湾曲するように段差24を形成してもよい。
また、上記実施の形態において、照明装置1は、例えば平面視形状が円形の扁平形状としたが、これに限るものではない。例えば、照明装置1の平面視形状は、楕円形又は多角形等であってもよい。
また、上記実施の形態において、光源10は、基板10a上にLEDチップを直接実装したCOBタイプのLEDモジュールとしたが、これに限らない。例えば、COBタイプのLEDモジュールに代えて、SMD(Surface Mount Device)タイプのLEDモジュールを用いても構わない。SMDタイプのLEDモジュールは、樹脂製のパッケージ(容器)の凹部の中にLEDチップを実装して当該凹部内に封止部材(蛍光体含有樹脂)を封入したパッケージ型のLED素子(SMD型LED素子)を用いて、これを1個又は複数個、基板10aに実装した構成である。
また、上記実施の形態において、光源10にLEDチップを用いたが、これに限らない。例えば、光源10に、半導体レーザ等の半導体発光素子、又は、有機EL(Electro Luminescence)や無機EL等、LEDチップ以外の固体発光素子を用いてもよい。あるいは、光源10として、蛍光管、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、又は、ネオン管等の既存光源を用いてもよい。
その他、上記実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。