以下、実施形態について図面を参照して説明する。
第1実施形態に係る検査装置10は、空気入りタイヤTの内部の欠陥を検出するための非破壊検査装置である。図1及び図2に示すように、検査装置10は、送受信アンテナ部12と、回転手段14と、非接触変位計16と、アンテナ移動手段18と、制御部20とを含んで構成されている。
送受信アンテナ部12は、タイヤTに照射されるマイクロ波8を出力する送信アンテナ22と、該送信アンテナ22と空間的に分離されてタイヤTからのマイクロ波の反射波9を受信する受信アンテナ24とを備える。被測定物に照射されるマイクロ波は被測定物の表面と欠陥間の多重反射による干渉を生ずる周波数を含み、その周波数における反射波の強度を測定することにより被測定物の内部の欠陥を検出することができる。なお、マイクロ波の周波数は、300MHz〜300GHzの帯域内で選択可能である。また、送信アンテナ22によるマイクロ波8の照射範囲は特に限定されず、この例では約30mm角の範囲で欠陥を検出できるように構成されている。
送信アンテナ22と受信アンテナ24は、回路部26に接続されている。回路部22は、送信アンテナ22から出力されるマイクロ波8の波源の生成、及び受信アンテナ24で受信された反射波9からの検出信号の生成を行う。回路部26の具体的な構成は特に限定されず、例えば、特許文献1(特には段落0027〜0030及び図2,図3)及び特許文献2(特には段落0031〜0034及び図3,図4)に記載された構成を採用することができる。すなわち、例として、回路部26は、固定発振器と、掃引発振器(局部発振器)と、ミキサと、周波数フィルタと、IQミキサなどを含み、固定周波数のマイクロ波を発信する固定発振器により生成された信号に、掃引発振器により生成された掃引周波数の信号を合波して送信波を生成し、この送信波を送信アンテナ22から出力する。受信回路はヘテロダイン方式により構成されており、掃引発振器を局部発振器として、送信アンテナ22から出力されるマイクロ波の周波数と異なる周波数のマイクロ波である局部波を発信し、該局部波と受信アンテナ24で受信した受信信号とをミキサで合波して、両者の周波数の差の周波数を有する差周波数信号を生成し、周波数フィルタを通過させて差周波数信号のみを得る。この信号を計測信号としてIQミキサに入力し、IQミキサ内で固定発振器の周波数の参照波信号と合波され、検出信号が得られる。
回路部26で生成された検出信号は、パーソナルコンピュータなどの演算装置からなる制御部20に送られ、入力された信号に基づく演算などの信号処理がなされて、欠陥の有無を検出することができる。
回転手段14は、検査対象であるタイヤTをその全周にわたって測定可能にするべく、タイヤTを回転させる回転機構である。回転手段14は、タイヤTをセンタリングした状態で、タイヤ軸T0が垂直になるようにタイヤTを水平な姿勢に保持しつつ、タイヤTを矢印Aで示すようにタイヤ軸T0周りに回転させる。この例では、回転手段14は、タイヤTが載置されるテーブル28と、該テーブル28を回転駆動する駆動部30と、を備えてなる回転テーブルである。回転手段14は、制御部20に接続されており、制御部20からの信号に基づき、タイヤTを回転させる。
非接触変位計16は、タイヤ表面までの距離を検出する非接触の距離センサであり、例えば、レーザー変位計などを用いることができる。非接触変位計16は、回転手段14により回転するタイヤTに対して、非接触変位計16からタイヤ表面までのタイヤ径方向における距離を検出する装置であり、タイヤ周方向の各位置における当該距離を検出する。これにより、タイヤ軸T0からタイヤ表面までの距離をタイヤ周方向の各位置で求めることができ、タイヤの楕円形状などの周方向における形状バラツキを求めることができる。非接触変位計16は、制御部20に接続されており、制御部20からの信号に基づき、タイヤ表面にレーザー光7を照射し、その反射光を受信することで、タイヤ表面までの距離を検出し、検出結果を制御部20に出力する。
アンテナ移動手段18は、非接触変位計16の検出結果に基づいて、タイヤ表面からの距離を調整するように送受信アンテナ部12を移動させる手段である。アンテナ移動手段18は、回転手段14により回転するタイヤTに対して、タイヤ表面と送受信アンテナ部12との距離がタイヤ周方向において一定になるように、タイヤ表面に対して送受信アンテナ部12を矢印Bで示すタイヤ径方向に移動させる。アンテナ移動手段18は、制御部20に接続されており、制御部20からの信号に基づき、送受信アンテナ部12を移動させる。
図3は、検査対象であるタイヤTの内部構造を示した断面図である。タイヤTは、リム組みされる一対のビード部T1,T1と、該ビード部T1からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール部T2,T2と、該一対のサイドウォール部T2,T2間に設けられた路面に接地するトレッド部T3とから構成される。一対のビード部T1,T1には、それぞれビードコアT4が埋設され、繊維コードからなるカーカスプライT5が左右のビード部T1,T1間に架け渡して設けられている。また、トレッド部T3におけるカーカスプライT5の外周側には、スチールコードからなるベルトT6が設けられている。カーカスプライT5の内側にはタイヤ内面の全体にわたってインナーライナーT7が設けられている。
トレッド部T3の表面(即ち、外周面)には、タイヤ周方向に延びる複数の主溝T8が設けられている。また、図4に示すように、トレッド部T3には、タイヤ幅方向に延びる複数の横溝T9が設けられ、トレッドパターンが形成されている。この例では、主溝T8はタイヤ周方向の全周にわたってストレート状に連続して設けられている。また、トレッド部T3のタイヤ赤道CL上に位置するセンター陸部T10には、横溝T9が設けられておらず、そのため、センター陸部T10は、タイヤ周方向の全周にわたってストレート状に連続して設けられている。一方、その他の陸部T11は、横溝T9によりタイヤ周方向において分断された陸部として形成されている。
本実施形態の検査装置10は、回転手段14によりタイヤTを回転させながら、アンテナ移動手段18により送受信アンテナ部12を移動させて、送信アンテナ22によるマイクロ波8の出力と受信アンテナ24による反射波9の受信を行う。詳細には、第1実施形態は、トレッド部T3の表面側を検査する装置であり、そのため、図1及び図2に示すように、送受信アンテナ部12は、送信アンテナ22がトレッド部T3の表面にマイクロ波8を照射するようにタイヤTの外側に設置され、また、非接触変位計16は、トレッド部T3の表面までの距離を検出するようにタイヤTの外側に設置されている。
トレッド部T3の表面にマイクロ波8を照射する場合、マイクロ波8は、タイヤ内部のベルトT6において反射されるため、トレッド部T3の表面とベルトT6との間の欠陥(空気や異物等)を検出することができる。すなわち、マイクロ波8は、トレッド表面、ベルトT6、及びトレッド表面とベルトT6間の欠陥により反射するので、これらの反射波の合成波をデータ処理することにより、トレッド部T3での欠陥を検出することができる。
図2に示すように、非接触変位計16は、トレッド表面に対してタイヤ径方向において対向する位置に設置されている。非接触変位計16によるトレッド表面までのタイヤ径方向における距離の検出は、タイヤ幅方向における複数箇所で行ってもよいが、上記タイヤの楕円形状は、タイヤ幅方向においては同じ傾向を示すため、通常はタイヤ幅方向における1箇所で測定すればよい。その場合、上記のようにトレッド部T3の表面にはトレッドパターンが形成されているため、楕円形状の検出にはトレッドパターンの凹凸を考慮する必要があり、次のように構成すればよい。
例えば、タイヤTは、タイヤ周方向の全周にわたってストレート状に連続する主溝T8を有するため、この溝部(より詳細には溝底)において、非接触変位計16からタイヤ表面までの距離を検出すればよい。すなわち、非接触変位計16を矢印Dで示すタイヤ幅方向に移動させる移動手段としての変位計昇降部32を用いて、非接触変位計16から出力されるレーザー光7が主溝T8の溝底に照射されるように位置合わせする。これにより、当該溝部T8での非接触変位計16からの距離を、非接触変位計16からタイヤ表面までの距離として検出することができる。そのため、トレッドパターンの凹凸によらないタイヤTの楕円形状を検出することができる。
あるいはまた、タイヤTは、タイヤ周方向の全周にわたってストレート状に連続するセンター陸部T10を有するため、この陸部T10において、非接触変位計16からタイヤ表面までの距離を検出してもよい。すなわち、変位計昇降部32を用いて、非接触変位計16から出力されるレーザー光7がセンター陸部T10に照射されるように位置合わせする。これにより、当該陸部T10での非接触変位計16からの距離を、非接触変位計16からタイヤ表面までの距離として検出することができる。そのため、トレッドパターンの凹凸によらないタイヤTの楕円形状を検出することができる。
あるいはまた、タイヤTは、横溝T9によりタイヤ周方向において分断された陸部T11を有するため、この陸部T11において、非接触変位計16からタイヤ表面までの距離を検出してもよい。すなわち、変位計昇降部32を用いて、非接触変位計16から出力されるレーザー光7が陸部T11に照射されるように位置合わせして、当該陸部T11での非接触変位計16からの距離を、非接触変位計16からタイヤ表面までの距離として検出してもよい。
但し、この場合、横溝T9があるため、次のようにしてタイヤ表面までの距離を検出する。非接触変位計16を用いて、横溝T9を除いた陸部T11におけるタイヤ表面までの距離データを取得する。すなわち、陸部T11の全周をスキャンするものの、検出距離が急激に変化する横溝T9における距離データは除いて、陸部T11のみの距離データを取得する。そして、横溝T9でのタイヤ表面までの距離データは、図5において二点鎖線Eで示すように、陸部T11での距離データに基づいて補間する。かかる補間は、横溝T9の両側の陸部T11,T11の外形ラインをなめらかに繋げるように、公知の補間法を用いて行うことができる。これにより、横溝T9で分断された陸部T11に対して、トレッドパターンの凹凸によらない、タイヤ表面までの距離を検出することができる。この方法は、タイヤ周方向の全周にわたってストレート状に連続する陸部又は溝部を持たないタイヤに対して、その楕円形状の検出を可能にする点で有利である。
送受信アンテナ部12は、図2に示すように、トレッド表面に対してタイヤ径方向において対向する位置に設置されている。送受信アンテナ部12によるマイクロ波を用いた測定は、タイヤ幅方向における1箇所で行ってもよいが、通常はタイヤ幅方向の全幅で行う。そのため、送受信アンテナ部12を矢印Fで示すタイヤ幅方向に移動させる移動手段としてアンテナ昇降部34が設けられている。アンテナ昇降部34は、制御部20に接続されており、制御部20からの信号に基づき、送受信アンテナ部12を上下(即ち、タイヤ幅方向)に移動させる。
送受信アンテナ部12と非接触変位計16は、タイヤ周方向の同じ位置に設けられてもよいが、この例ではタイヤ周方向の別の位置に設けられている。すなわち、非接触変位計16は、送受信アンテナ部12とタイヤ表面との距離をタイヤ周方向において一定するために設けられた距離センサであるため、タイヤ表面に対して送受信アンテナ部12と対応する位置に設けられていれば、タイヤ周方向における別の位置に設けられてもよい。
次に、この検査装置10を用いたタイヤTの検査方法について説明する。まず、タイヤTを回転手段14のテーブル28上にセンタリングした状態で載置する。
その後、変位計昇降部32を動作させて、非接触変位計16をタイヤ幅方向における所定箇所での測定を可能にするべく位置合わせする。この所定箇所としては、上記のように、ストレート状に連続する主溝T8に設定してもよく、ストレート状に連続する陸部T10に設定してもよく、あるいはまた、横溝T9での距離データを補完することを条件に横溝T9で分断された陸部T11に設定してもよい。また、アンテナ昇降部34を動作させて、送受信アンテナ部12を、タイヤ幅方向における所定箇所、例えば幅方向の一端部に配置させる。
非接触変位計16を位置合わせした後、回転手段14によりタイヤTを回転させながら、非接触変位計16を用いてタイヤ表面までの距離を検出する。
次いで、回転手段14によりタイヤTを回転させながら、非接触変位計16の検出結果に基づいてタイヤ表面からの距離を調整するように送受信アンテナ部12を移動させて、送信アンテナ22によるマイクロ波8の出力と受信アンテナ24による反射波9の受信を行う。すなわち、非接触変位計16により検出したトレッド表面の形状に応じて、送受信アンテナ部12をタイヤ径方向Bに移動させて、タイヤ表面と送受信アンテナ部12との距離がタイヤ周方向において一定になるように制御しつつ、送受信アンテナ部12による測定を実施する。
送受信アンテナ部12による測定は、タイヤTが1回転するごとに、アンテナ昇降部34を用いて送受信アンテナ部12をタイヤ幅方向に所定間隔ずつ移動させ、トレッド部T3の全幅で測定が完了するまで行う。
受信アンテナ24で受信した反射波9から回路部26において検出信号が生成され、該検出信号が制御部20にて信号処理されて、図6に示すような波形データが得られる。得られた信号の強度が閾値を超えているか否かにより欠陥(空気や異物等)の有無を検出することができる。
以上よりなる本実施形態であると、測定センサである送受信アンテナ部12と測定対象のタイヤ表面との距離をタイヤ周方向で一定にすることができるので、マイクロ波8の照射条件が一定となる。そのため、反射してくる受信波9の信号強度がある一定パターンに安定化され、安定した波形データが得られる。すなわち、同じタイヤで測定開始点の角度を変え、何回測定しても同じ結果が得られるようになる。このように安定した測定データが得られるので、楕円形状のような周方向に形状バラツキがあるタイヤについても、精度の高い欠陥の検出が可能になる。
図7は、第2実施形態に係る検査装置10Aを模式的に示した図である。第2実施形態は、トレッド部T3の内面側を検査する装置であり、そのため、送受信アンテナ部12は、送信アンテナ22がトレッド部T3の内側面にマイクロ波8を照射するようにタイヤTの内側に設置され、また、非接触変位計16は、トレッド部T3の内側面までの距離を検出するようにタイヤTの内側に設置されており、この点で第1実施形態とは異なる。
トレッド部T3の内側面にマイクロ波8を照射する場合、マイクロ波8は、タイヤ内部のベルトT6(図3参照)において反射するため、トレッド部T3の内側面とベルトT6との間の欠陥、詳細にはインナーライナーT7及びカーカスプライT5での欠陥を検出することができる。
図7に示すように、非接触変位計16は、トレッド部T3の内側面に対してタイヤ径方向において対向する位置に設置されている。また、送受信アンテナ部12は、トレッド部T3の内側面に対してタイヤ径方向において対向する位置に設置されている。送受信アンテナ部12と非接触変位計16は、これらをタイヤTの内側にセットするための昇降装置36に取り付けられている。昇降装置36は、制御部20に接続されており、制御部20からの信号に基づき、送受信アンテナ部12と非接触変位計16を矢印Gで示すように上下(即ち、タイヤ幅方向)に移動可能に構成されている。
第2実施形態の検査装置10Aでも、第1実施形態の場合と同様、まず、タイヤTを回転手段14のテーブル28上にセンタリングした状態で載置する。その後、昇降装置36を動作させて、非接触変位計16をタイヤ幅方向における所定箇所での測定を可能にするべく位置合わせした後、回転手段14によりタイヤTを回転させながら、非接触変位計16を用いてトレッド部T3の内側面までの距離を検出する。次いで、昇降装置36を動作させて、送受信アンテナ部12を、タイヤ幅方向における所定箇所、例えば幅方向の一端部に配置させる。そして、回転手段14によりタイヤTを回転させながら、非接触変位計16の検出結果に基づいてトレッド部T3の内側面からの距離を調整するように送受信アンテナ部12を移動させて、送信アンテナ22によるマイクロ波8の出力と受信アンテナ24による反射波9の受信を行う。すなわち、非接触変位計16により検出したトレッド部T3の内側面の形状に応じて、送受信アンテナ部12をタイヤ径方向に移動させて、トレッド部T3の内側面と送受信アンテナ部12との距離がタイヤ周方向において一定になるように制御しつつ、送受信アンテナ部12による測定を実施する。
このように、トレッド部T3の内側面と送受信アンテナ部12との距離をタイヤ周方向で一定にすることができるので、第1実施形態と同様、マイクロ波8の照射条件が一定となり、安定した波形データが得られる。第2実施形態について、その他の構成及び作用効果については第1実施形態と同様であり、説明は省略する。
図8は、第3実施形態に係る検査装置10Bを模式的に示した図である。第3実施形態は、サイドウォール部T2を検査する装置であり、そのため、送受信アンテナ部12は、送信アンテナ22がサイドウォール部T2の表面にマイクロ波8を照射するようにタイヤTの外側に設置され、また、非接触変位計16は、サイドウォール部T2の表面までの距離を検出するようにタイヤTの外側に設置されており、この点で第1実施形態とは異なる。
サイドウォール部T2の表面にマイクロ波8を照射する場合、カーカスプライT5がスチールコードからなるものでなければ、マイクロ波8はサイドウォール部T2を透過するので、サイドウォール部T2の厚み方向全体で欠陥を検出することができる。
図8に示すように、非接触変位計16は、サイドウォール部T2の表面に対してタイヤ軸方向において対向する位置に設置されており、回転手段14により回転するタイヤTに対して、非接触変位計16からサイドウォール表面までのタイヤ軸方向における距離を検出し、即ちタイヤ周方向の各位置における当該距離を検出する。なお、図示しないが、非接触変位計16には、タイヤ径方向における検出位置の位置合わせをするために、タイヤ径方向に移動させる移動手段が設けられている。
また、送受信アンテナ部12は、サイドウォール部T2の表面に対してタイヤ軸方向において対向する位置に設置されている。アンテナ移動手段18は、非接触変位計16の検出結果に基づいて、タイヤ表面からの距離を調整するように送受信アンテナ部12を矢印Hで示すタイヤ軸方向に移動させる手段である。アンテナ移動手段18は、回転手段14により回転するタイヤTに対して、サイドウォール表面と送受信アンテナ部12との距離がタイヤ周方向において一定になるように、サイドウォール表面に対して送受信アンテナ部12をタイヤ軸方向に移動させる。なお、図示しないが、送受信アンテナ部12には、サイドウォール部T2のタイヤ径方向全体での測定を可能にするべく、送受信アンテナ部12をタイヤ径方向に移動させる移動手段が設けられている。
タイヤTの内側には、送信アンテナ22から照射されサイドウォール部T2を透過したマイクロ波8を反射するための金属板38が設けられている。金属板38は、サイドウォール部T2を挟んで送受信アンテナ部12に対向する位置に設けられている。金属板38は設置しなくても測定は可能であるが、金属板38を設置することにより反射波9の強度を高めることができるので好ましい。
第3実施形態の検査装置10Bでも、第1実施形態の場合と同様、まず、タイヤTを回転手段14のテーブル28上にセンタリングした状態で載置する。その後、非接触変位計16をタイヤ径方向における所定箇所での測定を可能にするべく位置合わせした後、回転手段14によりタイヤTを回転させながら、非接触変位計16を用いてサイドウォール部T2の表面までの距離を検出する。次いで、送受信アンテナ部12を、タイヤ径方向における所定箇所、例えば径方向の一端部に配置させる。そして、回転手段14によりタイヤTを回転させながら、非接触変位計16の検出結果に基づいてサイドウォール部T2の表面からの距離を調整するように送受信アンテナ部12を移動させて、送信アンテナ22によるマイクロ波8の出力と受信アンテナ24による反射波9の受信を行う。すなわち、非接触変位計16により検出したサイドウォール部T2の表面形状に応じて、送受信アンテナ部12をタイヤ軸方向に移動させて、サイドウォール部T2の表面と送受信アンテナ部12との距離がタイヤ周方向において一定になるように制御しつつ、送受信アンテナ部12による測定を実施する。
このように、サイドウォール部T2の表面と送受信アンテナ部12との距離をタイヤ周方向で一定にすることができるので、第1実施形態と同様、マイクロ波8の照射条件が一定となり、安定した波形データが得られる。第3実施形態について、その他の構成及び作用効果については第1実施形態と同様であり、説明は省略する。
なお、上記実施形態では、まずタイヤTを回転させて非接触変位計16による測定を行った後、送受信アンテナ部12による測定を行ったが、タイヤTを回転させて非接触変位計16による測定を行いながら、その同じ回転時に送受信アンテナ部12による測定を実施するようにしてもよい。また、その場合、送受信アンテナ部12により測定する全ての位置で非接触変位計16により距離を測定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、検査対象を、加硫後の製品タイヤとした場合について説明したが、未加硫のグリーンタイヤ(生タイヤ)を検査対象としてもよい。すなわち、本発明においてタイヤは、製品タイヤだけでなく、グリーンタイヤも含む概念で用いている。好ましくは製品タイヤを検査対象とすることである。
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。