JP7218580B2 - 空気入りタイヤの検査方法及び空気入りタイヤの検査装置 - Google Patents
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このため、静電気が蓄積されないように、トレッドゴム部材の一部として、導電性の高いゴムをタイヤ幅方向の一部の位置に配置する場合がある。
例えば、空気入りタイヤの生産現場において、完成した空気入りタイヤ内で、構成部材が正しい個所に設けられるか否かを迅速に検査することができる低コストのタイヤ検査方法および装置が知られている(特許文献1)。
前記空気入りタイヤの前記トレッドゴム部材を配置した部分にX線を照射してX線透過画像を得るステップと、
前記X線透過画像に基づいて、前記空気入りタイヤにおける前記第1のトレッドゴムの配置位置あるいは前記第2のトレッドゴムの配置位置を求めることにより、前記トレッドゴム部材を検査するステップと、を備える。
前記検査するステップでは、前記第2のトレッドゴムの、前記空気入りタイヤにおけるタイヤ幅方向の配置位置を求める、ことが好ましい。
前記ベルト材の前記端の位置を用いて、前記第2のトレッドゴムの前記配置位置を基準とした、前記ベルト材の前記タイヤ幅方向における相対位置を求めることにより、前記タイヤ幅方向における前記トレッドゴム部材に対する前記ベルト材の位置ずれを評価すること、及び、前記ベルト材の前記端の位置から求めた前記ベルト材の中心位置を基準とした、前記第2のトレッドゴムの前記タイヤ幅方向における相対位置を求めることにより、前記タイヤ幅方向における前記ベルト材の前記中心位置に対する前記第2のトレッドゴム部材の位置ずれを評価すること、の一方を行うステップと、を備える、ことが好ましい。
前記周方向溝の位置を用いて、前記第2のトレッドゴムの前記配置位置を基準とした、前記周方向溝の前記タイヤ幅方向における相対位置を求めることにより、前記空気入りタイヤの製造過程で用いる加硫金型に入れる加硫前タイヤ構造体の前記加硫金型に対する位置ずれを評価するステップと、を備える、ことが好ましい。
前記空気入りタイヤの前記トレッドゴム部材を配置した部分にX線を照射してX線透過画像を得る撮像装置と、
前記X線透過画像に基づいて、前記空気入りタイヤにおける前記第1のトレッドゴムの配置位置あるいは前記第2のトレッドゴムの配置位置を求める位置特定部と、求めた前記配置位置を用いて前記トレッドゴム部材を検査する検査部と、を備える処理装置と、を備える。
前記位置特定部は、前記X線透過画像に基づいて前記空気入りタイヤのベルト材の前記タイヤ幅方向の端の位置を求め、
前記検査部は、前記ベルト材の前記端の位置を用いて、前記第2のトレッドゴムの前記配置位置を基準とした、前記ベルト材の前記タイヤ幅方向における相対位置を求めることにより、前記タイヤ幅方向における前記トレッドゴム部材に対する前記ベルト材の位置ずれを評価すること、及び、前記ベルト材の前記端の位置から求めた前記ベルト材の中心位置を基準とした、前記第2のトレッドゴムの前記タイヤ幅方向における相対位置を求めることにより、前記タイヤ幅方向における前記ベルト材の前記中心位置に対する前記第2のトレッドゴム部材の位置ずれを評価すること、の一方を行う、ことが好ましい。
前記位置特定部は、前記X線透過画像に基づいて前記空気入りタイヤのタイヤ周方向に延びる周方向溝の前記タイヤ幅方向の位置を求め、
前記検査部は、前記周方向溝の位置を用いて、前記第2のトレッドゴムの前記配置位置を基準とした、前記周方向溝の前記タイヤ幅方向における相対位置を求めることにより、前記空気入りタイヤの製造過程で用いる加硫金型に入れる加硫前タイヤ構造体の前記加硫金型に対する位置ずれを評価する、ことが好ましい。
本発明に用いる空気入りタイヤは、第1のトレッドゴムと、X線の透過率が第1のトレッドゴムと異なり、第1のトレッドゴムと接する第2のトレッドゴムを含むトレッドゴム部材を有する。第2のトレッドゴムは、例えば、第1のトレッドゴムに比べて電気伝導度が高いゴムである。第2のトレッドゴムには、カーボンブラックまたは導電性の高いフィラーを第1のトレッドゴムに比べて多く配合したゴムである。第1のトレッドゴムに、転がり抵抗低減のためにシリカ含有量を従来に比べて多くした空気入りタイヤの場合、この空気入りタイヤは、路面と接地しても路面に静電気を逃がす能力が低い。このため、導電性が第1のトレッドゴムに比べて高い第2のトレッドゴムが配置される。
このような第2のトレッドゴムの、X線の透過率は第1のトレッドゴムと異なっている。例えばカーボンブラックが多く配合された第2のトレッドゴムの場合、X線の透過率は第1のトレッドゴムに比べて高くなることが分かっている。したがって、トレッドゴム部材のX線透過画像において、第2のトレッドゴムを、第1のトレッドゴムと区別して識別することができる。このため、第2のトレッドゴムの像を識別可能に含むX線透過画像に基づいて、空気入りタイヤにおける第1のトレッドゴムの配置位置あるいは第2のトレッドゴムの配置位置を精度よく求めることができるので、トレッドゴム部材の第1のトレッドゴム及び第2のトレッドゴムが、目標通り配置されているか否かを検査することができる。
図1に示す空気入りタイヤの検査装置10は、X線を用いた撮像装置10と処理装置20と、を有する。
撮像装置10は、X線を発するX線源12と、空気入りタイヤ1を透過したX線を受信する検出器13と、を備える。
空気入りタイヤ1は、空気入りタイヤ1は、測定治具14上に組みつけられる。測定治具14は、空気入りタイヤ1をタイヤ周方向に回転させることができるように、測定治具14の回転軸15は図示されない駆動源によって回転する。回転軸15が回転することにより空気入りタイヤ1はタイヤ周方向に一周回転する。このとき、検出器13が空気入りタイヤ1を透過したX線を受信することにより、空気入りタイヤ1の一周分のトレッドゴム部材のX線透過画像を得ることができる。
なお、空気入りタイヤ1のトレッド部に配置されるトレッドゴム部材には、第1のトレッドゴム2及び第2のトレッドゴム3が設けられ、トレッドゴム部材の表面にはタイヤ周方向に延びる周方向溝4a,4b,4c,4dが設けられている。
処理装置20には、ディスプレイ30及び入力操作系32が接続される。ディスプレイ30は、撮像装置10で得られるX線透過画像を表示する他、X線透過画像を画像処理した処理結果の画像を表示し、また、画像処理に必要な処理条件や検査内容を設定するための条件設定画面を表示し、さらに、処理装置20が行う検査結果を画面表示する。
入力操作系32は、マウスあるいはキーボードであり、上記必要な処理条件を入力し、また、検査結果の画面表示を指示するなど、処理装置20への種々の入力指示のために用いられる。
さらに、トレッドゴム部材のタイヤ径方向内側に配置される複数のスチールワイヤがタイヤ周方向に対して傾斜して平行に配列したベルト材5a,5b(図4(a)参照)を含むベルト5が示されている。金属のX線の透過率は低いのでベルト材5a,5bのスチールワイヤの部分は、ベルト5のゴムの部分に対してX線の透過量に差が生じる。このため、X線透過画像では、ベルト5のスチールワイヤの像が識別可能に示される。
このようにフィルタ処理を行って、溝やスチールワイヤの像を除去することができる。第2のトレッドゴム3は、タイヤ周上でタイヤ幅方向の同じ位置にあるので、第2のトレッドゴムの像の波数成分はある波数帯域に制限されており、タイヤ周方向に傾斜して延びる溝の像やベルト5のスチールワイヤの像の波数成分と分離することができる。X線透過画像から、溝やスチールワイヤの像の除去をせずに、またフィルタ処理を行わずに、X線透過画像内の第1のトレッドゴム2あるいは第2のトレッドゴム3の像を求めて、第1のトレッドゴム2あるいは第2のトレッドゴム3の配置位置を求めることもできるが、第2のトレッドゴム3の像が溝の像やベルト5のスチールワイヤの像と交差する部分がなくなるので、精度よく配置位置を求めることができる。
検査部28は、このように位置ずれの評価のために、第2のトレッドゴムの像の中心位置からベルト材5a,5bそれぞれの端までの距離L1~L4をX線透過画像から求める。位置ずれがなければ、L1=L2、L3=L4である。位置ずれがある場合、L1とL2は等しくならず、L3とL4は等しくならない。このとき、位置ずれ量は|L2-L1|/2、|L4-L3|/2として求めることができる。したがって、検査部28は、この位置ずれ量を求めて、位置ずれ量が許容範囲内にあるか否かを判定することにより、位置ずれを評価する。
したがって、検査部28における検査では、X線透過画像に基づいて空気入りタイヤ1のベルト5のタイヤ幅方向の端の位置を求める。この後、検査部28は、第2のトレッドゴム3の配置位置を基準とした、ベルト5のタイヤ幅方向における相対位置を求めることにより、タイヤ幅方向におけるトレッドゴム部材に対するベルト5の位置ずれを評価する。
検査部28は、周方向溝4b,4cのタイヤ幅方向の中心位置から第2のトレッドゴム3の中心位置までの距離L5,L6を求める。周方向溝4b,4cの位置ずれがなければ、L5=L6である。位置ずれがある場合、L5とL6は等しくならない。このとき、位置ずれ量は|L6-L5|/2として求めることができる。したがって、検査部28は、この位置ずれ量を求めて、位置ずれ量が許容範囲内にあるか否かを判定することにより、位置ずれを評価する。このような位置ずれは、加硫前タイヤ構造体(グリーンタイヤ)を目標通りに部材を貼り付けて作製しても、空気入りタイヤ1の製造過程で用いる加硫金型に入れる加硫前タイヤ構造体(グリーンタイヤ)の加硫金型に対して目標位置に正しくセットされておらずタイヤ幅方向に位置ずれがある場合に生じる。したがって、検査装置28で行う検査では、X線透過画像に基づいて空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に延びる周方向溝4b,4cのタイヤ幅方向の位置を求める。この後、検査部28は、第2のトレッドゴムの配置位置を基準とした、周方向溝4b,4cのタイヤ幅方向における相対位置を求めることにより、空気入りタイヤ1の製造過程で用いる加硫金型に入れる加硫前タイヤ構造体の加硫金型に対する位置ずれを評価する。上記相対位置は、例えば、第2のトレッドゴムの配置位置を基準とした、周方向溝4b,4cのタイヤ幅方向における溝中心線の相対位置である。図4(b)に示す例では、周方向溝4b及び周方向溝4cを位置ずれの対象として用いたが、周方向溝4a及び周方向溝4dを用いることもできる。
また、検査部28は、タイヤ幅方向におけるベルト材5a,5bの中心位置に対する第2のトレッドゴム部材3の位置ずれを評価してもよい。ベルト材5a,5bの中心位置が位置ずれしていない場合、上記第2のトレッドゴム部材3の位置ずれを、ベルト材5a,5bの端の位置から求めたベルト材5a,5bの中心位置を基準とした、第2のトレッドゴム3のタイヤ幅方向における相対位置を求めることにより評価する。これにより、第2のトレッドゴム2を含むトレッドゴム部材の貼合せ精度を検査することもできる。
2 第1のトレッドゴム
3 第2のトレッドゴム
4a,4b,4c,4d 周方向溝
5 ベルト
5a,5b ベルト材
10 撮像装置
12 X線源
13 検出器
14 測定治具
15 回転軸
20 処理装置
22 CPU
24 メモリ
26 位置特定部
28 検査部
30 ディスプレイ
32 入力操作系
Claims (11)
- 第1のトレッドゴムと、X線の透過率が前記第1のトレッドゴムと異なり、前記第1のトレッドゴムと接する第2のトレッドゴムを含むトレッドゴム部材を有する空気入りタイヤの検査方法であって、
前記空気入りタイヤの前記トレッドゴム部材を配置した部分にX線を照射してX線透過画像を得るステップと、
前記X線透過画像に基づいて、前記空気入りタイヤにおける前記第1のトレッドゴムの配置位置あるいは前記第2のトレッドゴムの配置位置を求めることにより、前記トレッドゴム部材を検査するステップと、を備える空気入りタイヤの検査方法。 - 前記第1のトレッドゴム及び前記第2のトレッドゴムそれぞれが前記空気入りタイヤのタイヤ周方向に沿って同じ形状を維持し、かつ、前記空気入りタイヤのタイヤ幅方向の同じ位置を維持しながら前記タイヤ周方向に一周するように前記トレッドゴム部材は構成され、
前記検査するステップでは、前記第2のトレッドゴムの、前記空気入りタイヤにおけるタイヤ幅方向の配置位置を求める、請求項1に記載の空気入りタイヤの検査方法。 - 前記検査するステップでは、2次元実空間上の前記X線透過画像を波数変換処理した2次元波数空間上の、前記X線透過画像に対応した2次元波数画像に、波数帯域を制限するフィルタ処理を行った後、前記2次元実空間に戻すことにより得られるフィルタ処理画像を用いて前記配置位置を求める、請求項2に記載の空気入りタイヤの検査方法。
- 前記フィルタ処理では、前記空気入りタイヤの前記タイヤ周方向に対応した第1の波数の最大波数及び最小波数の0.1~0.2%の波数の値を前記第1の波数のフィルタ通過帯域の上限及び下限とし、前記空気入りタイヤの前記タイヤ幅方向に対応した第2の波数の最大波数及び最小波数の90~100%の波数の値をフィルタ通過帯域の上限及び下限とする、請求項3に記載の空気入りタイヤの検査方法。
- 前記第2のトレッドゴムは、前記空気入りタイヤのタイヤ幅方向の両側から前記第1のトレッドゴムにより挟まれて、前記トレッドゴム部材の前記タイヤ幅方向の所定の位置に設けられ、前記空気入りタイヤのタイヤ周方向に延在してタイヤ周上を一周する、請求項1~4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤの検査方法。
- 前記第2のトレッドゴムは、前記第1のトレッドゴムに比べて高い電気伝導率を有する、請求項5に記載の空気入りタイヤの検査方法。
- 前記検査するステップは、前記X線透過画像に基づいて前記空気入りタイヤのベルト材の前記タイヤ幅方向の端の位置を求めるステップ、を含み、
前記ベルト材の前記端の位置を用いて、前記第2のトレッドゴムの前記配置位置を基準とした、前記ベルト材の前記タイヤ幅方向における相対位置を求めることにより、前記タイヤ幅方向における前記トレッドゴム部材に対する前記ベルト材の位置ずれを評価すること、及び、前記ベルト材の前記端の位置から求めた前記ベルト材の中心位置を基準とした、前記第2のトレッドゴムの前記タイヤ幅方向における相対位置を求めることにより、前記タイヤ幅方向における前記ベルト材の前記中心位置に対する前記第2のトレッドゴム部材の位置ずれを評価すること、の一方を行うステップと、を備える、請求項5または6に記載の空気入りタイヤの検査方法。 - 前記検査するステップは、前記X線透過画像に基づいて前記空気入りタイヤのタイヤ周方向に延びる周方向溝の前記タイヤ幅方向の位置を求めるステップを、含み、
前記周方向溝の位置を用いて、前記第2のトレッドゴムの前記配置位置を基準とした、前記周方向溝の前記タイヤ幅方向における相対位置を求めることにより、前記空気入りタイヤの製造過程で用いる加硫金型に入れる加硫前タイヤ構造体の前記加硫金型に対する位置ずれを評価するステップと、を備える、請求項5~7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤの検査方法。 - 第1のトレッドゴムと、X線の透過率が前記第1のトレッドゴムと異なり、前記第1のトレッドゴムと接する第2のトレッドゴムを含むトレッドゴム部材を有する空気入りタイヤの検査装置であって、
前記空気入りタイヤの前記トレッドゴム部材を配置した部分にX線を照射してX線透過画像を得る撮像装置と、
前記X線透過画像に基づいて、前記空気入りタイヤにおける前記第1のトレッドゴムの配置位置あるいは前記第2のトレッドゴムの配置位置を求める位置特定部と、求めた前記配置位置を用いて前記トレッドゴム部材を検査する検査部と、を備える処理装置と、を備える空気入りタイヤの検査装置。 - 前記第2のトレッドゴムは、前記タイヤ幅方向の両側から前記第1のトレッドゴムにより挟まれて、前記トレッドゴム部材のタイヤ幅方向の所定の位置に設けられて、タイヤ周方向に延在してタイヤ周上を一周するゴムであり、
前記位置特定部は、前記X線透過画像に基づいて前記空気入りタイヤのベルト材の前記タイヤ幅方向の端の位置を求め、
前記検査部は、前記ベルト材の前記端の位置を用いて、前記第2のトレッドゴムの前記配置位置を基準とした、前記ベルト材の前記タイヤ幅方向における相対位置を求めることにより、前記タイヤ幅方向における前記トレッドゴム部材に対する前記ベルト材の位置ずれを評価すること、及び、前記ベルト材の前記端の位置から求めた前記ベルト材の中心位置を基準とした、前記第2のトレッドゴムの前記タイヤ幅方向における相対位置を求めることにより、前記タイヤ幅方向における前記ベルト材の前記中心位置に対する前記第2のトレッドゴム部材の位置ずれを評価すること、の一方を行う、請求項9に記載の空気入りタイヤの検査装置。 - 前記第2のトレッドゴムは、前記タイヤ幅方向の両側から前記第1のトレッドゴムにより挟まれて、前記トレッドゴム部材のタイヤ幅方向の所定の位置に設けられて、タイヤ周方向に延在してタイヤ周上を一周するゴムであり、
前記位置特定部は、前記X線透過画像に基づいて前記空気入りタイヤのタイヤ周方向に延びる周方向溝の前記タイヤ幅方向の位置を求め、
前記検査部は、前記周方向溝の位置を用いて、前記第2のトレッドゴムの前記配置位置を基準とした、前記周方向溝の前記タイヤ幅方向における相対位置を求めることにより、前記空気入りタイヤの製造過程で用いる加硫金型に入れる加硫前タイヤ構造体の前記加硫金型に対する位置ずれを評価する、請求項9に記載の空気入りタイヤの検査装置。
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