JP2018076568A - 成膜装置および成膜方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載のスパッタリング法では、プラズマによるダメージ受けて熱可塑性樹脂基板が熱変形したり黄変したりして、基板に悪影響を及ぼしてしまう問題があった。さらに、下地層またはアンダーコート層を設ける必要があったり、真空装置が必要であるなど、製造プロセスも複雑になってしまう問題があった。
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。
[1] 原料溶液を霧化または液滴化してミストまたは液滴を得る霧化・液滴化部、および前記ミストまたは前記液滴を、熱反応させることにより基体上に成膜する成膜部を備える成膜装置であって、前記成膜部が、前記ミストまたは前記液滴を加熱し、ついで、加熱された前記ミストまたは前記液滴の流れの進行方向を変える手段を有しており、進行方向が変わった前記ミストまたは前記液滴を熱反応させるように構成されていることを特徴とする成膜装置。
[2] 前記成膜部が、ホットプレートを有しており、前記ミストまたは前記液滴を、該ホットプレートに衝突させて、前記ミストまたは前記液滴が跳ね返ることにより、前記ミストまたは前記液滴の流れの進行方向を変えるように構成された請求項1記載の成膜装置。
[3] 前記加熱を、前記ホットプレートを用いて行う前記[2]記載の成膜装置。
[4] 前記成膜部が、第1および第2の加熱手段を有しており、第1の加熱手段において、前記ミストまたは前記液滴を加熱し、第2の加熱手段において、前記基体を加熱する前記[1]〜[3]のいずれかに記載の成膜装置。
[5] 前記ミストまたは前記液滴を、キャリアガスを用いて前記霧化・液滴化部から前記成膜部に搬送する前記[1]〜[4]のいずれかに記載の成膜装置。
[6] 前記霧化・液滴化部が超音波振動子を備えており、霧化または液滴化を、超音波振動により行うように構成されている前記[1]〜[5]のいずれかに記載の成膜装置。
[7] 原料溶液を霧化または液滴化し、得られたミストまたは液滴を熱反応させることにより基体上に成膜する成膜方法であって、前記ミストまたは前記液滴を加熱し、ついで、加熱された前記ミストまたは液滴の流れの進行方向を変えて、進行方向が変わった前記ミストまたは前記液滴を熱反応させることにより前記基体上に成膜することを特徴とする成膜方法。
[8] 進行方向が変わった前記ミストまたは前記液滴が、ホットプレートに衝突させて、跳ね返ったミストまたは液滴である前記[7]記載の成膜方法。
[9] 前記加熱を、前記ホットプレートを用いて行う前記[8]記載の成膜方法。
[10] 進行方向が変わった前記ミストまたは前記液滴をさらに加熱する前記[7]〜[9]のいずれかに記載の成膜方法。
[11] 霧化または液滴化後、前記ミストまたは前記液滴をキャリアガスを用いて搬送する前記[7]〜[10]のいずれかに記載の成膜方法。
[12] 霧化または液滴化を、超音波振動により行う前記[7]〜[11]のいずれかに記載の成膜方法。
霧化・液滴化部では、前記原料溶液を霧化または液滴化してミストまたは液滴を得る。霧化手段または液滴化手段は、前記原料溶液を霧化または液滴化できさえすれば特に限定されず、公知の手段であってよいが、本発明においては、超音波を用いる霧化手段または液滴化手段が好ましい。超音波を用いて得られたミストまたは液滴は、初速度がゼロであり、空中に浮遊するので好ましく、例えば、スプレーのように吹き付けるのではなく、空間に浮遊してガスとして搬送することが可能なミストが、衝突エネルギーによる損傷がないためにより好ましい。液滴サイズは、特に限定されず、数mm程度の液滴であってもよいが、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは1〜10μmである。
前記原料溶液は、霧化または液滴化が可能なものであれば特に限定されず、公知の原料溶液であってよく、ゾルのような液体分散媒も含まれる。有機化合物を含む原料溶液であってもよいし、無機化合物を含む原料溶液であってもよい。本発明においては、前記原料溶液が、成膜用の原料溶液であるのが好ましく、金属を含むものであるのがより好ましい。前記金属としては、例えば、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)および金(Au)から選ばれる1種または2種以上の金属などが挙げられる。また、前記原料溶液は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。前記原料溶液中の前記金属の含有量は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、好ましくは、0.001モル%〜50モル%であり、より好ましくは0.01モル%〜50モル%である。
成膜部では、例えば成膜室内に設置されている基体近傍で前記ミストまたは液滴を熱反応させることによって、前記基体上に成膜する。前記成膜部は、前記ミストまたは前記液滴を加熱し、ついで、加熱された前記ミストまたは前記液滴の流れの進行方向を変える手段を有しており、進行方向が変わった前記ミストまたは前記液滴を熱反応させるように構成されている。本発明においては、前記成膜部が、ホットプレートを有しており、前記ミストまたは前記液滴を、該ホットプレートに衝突させて、前記ミストまたは前記液滴が跳ね返ることにより、前記ミストまたは前記液滴の流れの進行方向を変えるように構成されているのが好ましい。前記加熱手段は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されないが、本発明においては、前記加熱を、前記ホットプレートを用いて行うのが好ましい。熱反応を行う際の条件等については特に制限されず、通常、前記加熱は、高すぎない温度(例えば1000℃)以下で行うが、500℃以下がより好ましく、300℃以下が最も好ましい。
前記基体は、前記膜を支持できるものであれば特に限定されない。前記基体の材料も、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、公知の基体であってよく、有機化合物であってもよいし、無機化合物であってもよい。本発明においては、熱可塑性樹脂等からなる基体を用いた場合であっても、前記基体に悪影響を及ぼすことなく、前記基体との密着性に優れた膜を成膜することができる。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、セルロースエステル、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、ポリメチルメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)またはその共重合体樹脂もしくは変性樹脂等のアクリル樹脂、ポリアミド(PA)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等が挙げられる。本発明においては、前記熱可塑性樹脂が、アクリル樹脂であるのが好ましく、ポリメチルメタクリル酸メチル樹脂であるのがより好ましい。前記基体の形状としては、どのような形状のものであってもよく、あらゆる形状に対して有効であり、例えば、平板や円板等の板状、繊維状、棒状、円柱状、角柱状、筒状、螺旋状、球状、リング状などが挙げられるが、本発明においては、基板が好ましい。基板の厚さは、本発明においては特に限定されない。
1.成膜装置
図1を用いて、本実施例で用いたミストCVD装置1を説明する。ミストCVD装置1は、キャリアガスを供給するキャリアガス源2aと、キャリアガス源2aから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁3aと、前駆体溶液4aが収容されるミスト発生源4と、水5aが入れられる容器5と、容器5の底面に取り付けられた超音波振動子6と、成膜室7と、ミスト発生源4から成膜室7までをつなぐ供給管9と、成膜室7内に設置されたホットプレート8とを備えている。なお、成膜室7内のホットプレート8表面から離れた位置に、基板ホルダー11によって、基板10が保持されており、基板10とホットプレート8との距離を、ホットプレートの温度が400℃の時に基板温度が70℃になるように、基板位置が設定されている。また、基板ホルダー11には、熱電対(図示せず)がマウントされており、基板温度が計測できるように構成されている。
メタノール溶媒に、チタンアセチルアセトナートを0.05モル/Lの濃度となるように混合して原料溶液を調整した。
上記2.で得られた原料溶液4aをミスト発生源4内に収容した。次に、基板10として、アクリル樹脂基板を用いた。ホットプレート8を作動させてホットプレート8表面の温度を400℃にまで昇温させた。基板温度が70℃であることを確認し、次に、流量調節弁3aを開いて、キャリアガス源であるキャリアガス供給手段2aからキャリアガスを成膜室7内に供給し、成膜室7の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を3.0L/分に調節した。なお、キャリアガスとして窒素を用いた。
次に、超音波振動子6を2.4MHzで振動させ、その振動を、水5aを通じて原料溶液4aに伝播させることによって、原料溶液4aを霧化させてミスト4bを生成させた。このミスト4bが、キャリアガスによって、供給管9内を通って、成膜室7内に設置されたホットプレート8に向けて導入され、ついで、ホットプレート8表面でミスト4bが加熱されるとともに、流れの進行方向が変わった跳ね返りミスト4cが、基板10近傍に搬送され、大気圧下にて、熱反応することにより、基板10上に酸化チタン膜が形成された。なお、膜厚は30nmであり、成膜時間は30分間であった。
上記4.にて得られた酸化チタン膜は、透明な膜であった。また、機械的に基板から剥離しようとしても全く剥離せず、良好な密着性を有していた。また、得られた酸化チタン膜の光透過率を測定したところ、図5の通り、波長350nm以上における光透過率が80%以上であり、380nm以上における光透過率が85%以上であった。
成膜時間を300分としたこと以外は、実施例1と同様にして、透明な酸化チタン膜を得た。得られた酸化チタン膜の膜厚は、600nmであった。また、機械的に基板から剥離しようとしても全く剥離せず、良好な密着性を有していた。
2a キャリアガス源
3a 流量調節弁
4 ミスト発生源
4a 原料溶液
4b ミスト
4c 跳ね返りミスト
5 容器
5a 水
6 超音波振動子
6a 電極
6b 圧電体素子
6c 電極
6d 弾性体
6e 支持体
7 成膜室
8 ホットプレート
8a 第1の加熱手段
8b 第2の加熱手段
9 供給管
10 基板
11 基板ホルダー
16 発振器
Claims (12)
- 原料溶液を霧化または液滴化してミストまたは液滴を得る霧化・液滴化部、および前記ミストまたは前記液滴を、熱反応させることにより基体上に成膜する成膜部を備える成膜装置であって、前記成膜部が、前記ミストまたは前記液滴を加熱し、ついで、加熱された前記ミストまたは前記液滴の流れの進行方向を変える手段を有しており、進行方向が変わった前記ミストまたは前記液滴を熱反応させるように構成されていることを特徴とする成膜装置。
- 前記成膜部が、ホットプレートを有しており、前記ミストまたは前記液滴を、該ホットプレートに衝突させて、前記ミストまたは前記液滴が跳ね返ることにより、前記ミストまたは前記液滴の流れの進行方向を変えるように構成された請求項1記載の成膜装置。
- 前記加熱を、前記ホットプレートを用いて行う請求項2記載の成膜装置。
- 前記成膜部が、第1および第2の加熱手段を有しており、第1の加熱手段において、前記ミストまたは前記液滴を加熱し、第2の加熱手段において、前記基体を加熱する請求項1〜3のいずれかに記載の成膜装置。
- 前記ミストまたは前記液滴を、キャリアガスを用いて前記霧化・液滴化部から前記成膜部に搬送する請求項1〜4のいずれかに記載の成膜装置。
- 前記霧化・液滴化部が超音波振動子を備えており、霧化または液滴化を、超音波振動により行うように構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の成膜装置。
- 原料溶液を霧化または液滴化し、得られたミストまたは液滴を熱反応させることにより基体上に成膜する成膜方法であって、前記ミストまたは前記液滴を加熱し、ついで、加熱された前記ミストまたは液滴の流れの進行方向を変えて、進行方向が変わった前記ミストまたは前記液滴を熱反応させることにより前記基体上に成膜することを特徴とする成膜方法。
- 進行方向が変わった前記ミストまたは前記液滴が、ホットプレートに衝突させて、跳ね返ったミストまたは液滴である請求項7記載の成膜方法。
- 前記加熱を、前記ホットプレートを用いて行う請求項8記載の成膜方法。
- 進行方向が変わった前記ミストまたは前記液滴をさらに加熱する請求項7〜9のいずれかに記載の成膜方法。
- 霧化または液滴化後、前記ミストまたは前記液滴をキャリアガスを用いて搬送する請求項7〜10のいずれかに記載の成膜方法。
- 霧化または液滴化を、超音波振動により行う請求項7〜11のいずれかに記載の成膜方法。
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JPH10140356A (ja) * | 1996-11-12 | 1998-05-26 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 気化装置及びcvd装置 |
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