JP2018076399A - 成形品および成形品の製造方法 - Google Patents

成形品および成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シャルピー衝撃強さに優れる成形品を提供する。さらには、射出成形した場合にも、射出方向の成形収縮率の安定性に優れる成形品を提供する。【解決手段】 本発明の成形品は、半芳香族ポリアミド樹脂と、重量平均繊維長が0.5〜3.0mmである強化繊維を含み、前記半芳香族ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度が末端アミノ基濃度よりも高い。【選択図】 なし

Description

本発明は、成形品および成形品の製造方法に関する。特に、車両(特に、自動車)に搭載するカメラ部品に適した成形品および成形品の製造方法に関する。
代表的なエンジニアリングプラスチックであるポリアミド樹脂は、加工が容易であり、さらに、機械的物性、電気特性、耐熱性、その他の物理的および化学的特性に優れている。このため、車両部品、電気電子機器部品、その他の精密機器部品等に幅広く使用されている。
例えば、特許文献1には、テレフタル酸単位を60〜100モル%含有するジカルボン酸単位と1,9−ジアミノノナン単位および/または2−メチル−1,8−ジアミノオクタン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位とを有するポリアミド(A)および繊維状強化材(B)を溶融混練してなりポリアミド(A)の含有率が50〜80質量%であり繊維状強化材(B)の含有率が20〜50質量%であるポリアミド組成物を成形してなるカメラモジュールのバレルまたはホルダであって、上記繊維状強化材(B)の溶融混練前における平均長さが300μm以下であるカメラモジュールのバレルまたはホルダが開示されている。
特開2010−286544号公報
上記特許文献1について本発明者が検討したところ、上記特許文献1では、繊維状充填材を配合しているが、シャルピー衝撃強さなどの機械的強度が不十分であることが分かった。また、カメラ部品のような精密な部品には、成形収縮率の安定性が求められるが、上記特許文献1に記載の成形品は、射出成形した場合の射出方向(以下、「MD方向」ということがある)の成形収縮率の安定性が問題となることが分かった。
本発明は、かかる課題を解決することを目的としたものであって、シャルピー衝撃強さに優れた成形品を提供することを目的とする。さらには、射出成形した場合にも、射出方向の成形収縮率の安定性に優れる成形品を提供することを目的とする。
上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、末端カルボキシル基濃度が末端アミノ基濃度よりも高い半芳香族ポリアミド樹脂を用い、かつ、重量平均繊維長が0.5〜3.0mmである強化繊維を含む成形品とすることにより、半芳香族ポリアミド樹脂と強化繊維の密着性を向上させ、シャルピー衝撃強さを向上させ、さらに、射出成形した場合にも、射出方向の成形収縮率の安定性に優れる成形品を提供可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、下記手段<1>により、好ましくは<2>〜<8>により、上記課題は解決された。
<1>半芳香族ポリアミド樹脂と、重量平均繊維長が0.5〜3.0mmである強化繊維を含み、前記半芳香族ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度が末端アミノ基濃度よりも高い、成形品。
<2>前記強化繊維が炭素繊維およびガラス繊維から選択される、<1>に記載の成形品。
<3>前記末端カルボキシル基濃度と末端アミノ基濃度の差が10〜100μ当量/gである、<1>または<2>に記載の成形品。
<4>前記半芳香族ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の成形品。
<5>さらに、黒色着色剤を含む、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の成形品。
<6>カメラ部品である、<1>〜<5のいずれか1つに記載の成形品。
<7>射出成形品である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の成形品。
<8>半芳香族ポリアミド樹脂と強化繊維を含み、前記半芳香族ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度が末端アミノ基濃度よりも高い、ポリアミド樹脂組成物を射出成形することを含む、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の成形品の製造方法。
本発明により、シャルピー衝撃強さに優れる成形品を提供可能になった。さらには、射出成形した場合にも、射出方向の成形収縮率の安定性に優れる成形品を提供可能になった。
水分透過係数の測定装置を示す概略図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本発明の成形品は、半芳香族ポリアミド樹脂と、重量平均繊維長が0.5〜3.0mmである強化繊維を含み、前記半芳香族ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度が末端アミノ基濃度よりも高いことを特徴とする。末端カルボキシル基濃度が末端アミノ基濃度よりも高い半芳香族ポリアミド樹脂を用い、かつ、強化繊維の重量平均繊維長を0.5〜3.0mmとすることにより、半芳香族ポリアミド樹脂の強化繊維に対する密着性が向上し、さらに、シャルピー衝撃強さが高く、射出方向(MD方向)の成形収縮率の安定性に優れた成形品が得られる。
<半芳香族ポリアミド樹脂>
本発明の成形品は、半芳香族ポリアミド樹脂を含む。半芳香族ポリアミド樹脂を含むことにより、得られる成形品のシャルピー衝撃強さを高く維持することが可能になる。
ここで、半芳香族ポリアミド樹脂とは、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位およびジカルボン酸由来の構成単位の合計構成単位の30〜70モル%が芳香環を含む構成単位であることをいい、ジアミン由来の構成単位およびジカルボン酸由来の構成単位の合計構成単位の40〜60モル%が芳香環を含む構成単位であることが好ましい。
本発明で用いる半芳香族ポリアミド樹脂は、末端カルボキシル基濃度が末端アミノ基濃度よりも高い。このような構成とすることにより、強化繊維と半芳香族ポリアミド樹脂の密着性を向上させることができる。さらに、MD方向の成形収縮率も小さくすることができる。
本発明における末端カルボキシル基濃度と末端アミノ基濃度の差は10〜100μ当量/gであることが好ましく、より好ましくは20〜100μ当量/g、さらに好ましくは30〜100μ当量/gであり、一層好ましくは30〜55μ当量/gであり、より一層好ましくは40〜55μ当量/gである。このような範囲とすることにより、強化繊維との密着性をより向上させることができる。
また、半芳香族ポリアミド樹脂は、末端アミノ基濃度([NH])が好ましくは100μ当量/g未満、より好ましくは5〜75μ当量/g、さらに好ましくは10〜60μ当量/gであり、一層好ましくは20〜50μ当量/gであり、より一層好ましくは25〜45μ当量/gである。
末端カルボキシル基濃度([COOH])は、好ましくは150μ当量/g未満、より好ましくは10〜120μ当量/g、さらに好ましくは10〜110μ当量/gであり、一層好ましくは30〜100μ当量/gであり、より一層好ましくは50〜100μ当量/gであり、さらに一層好ましくは70〜100μ当量/gである。
さらに、末端カルボキシル基濃度に対する末端アミノ基濃度の比([NH]/[COOH])は、0.7以下が好ましく、0.6以下がより好ましく、0.5以下がさらに好ましい。前記比が0.7よりも大きいものは、半芳香族ポリアミド樹脂を重合する際に、分子量の制御が難しくなる場合がある。前記末端カルボキシル基濃度に対する末端アミノ基濃度の比の下限値は特に定めるものではないが、例えば0.2以上、さらには0.3以上、特には0.4以上とすることができる。
半芳香族ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度および末端カルボキシル基濃度の測定は、後述する実施例に記載の方法に従う。実施例に記載の機器等が廃版等により入手不可能な場合、他の同等の性能を有する機器を用いることができる。以下、他の測定方法についても、同様である。
本発明で用いる半芳香族ポリアミド樹脂としては、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミド6I)、ポリアミド66/6T、ポリキシリレンアジパミド、ポリキシリレンセバカミド、ポリキシリレンドデカミド、ポリアミド9T、ポリアミド9MT、ポリアミド6I/6T等が挙げられる。
上述のような半芳香族ポリアミド樹脂の中でも、成形性、耐熱性の観点から、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する半芳香族ポリアミド樹脂(以下、「XD系ポリアミド」ということがある)が好ましい。
XD系ポリアミドは、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上がメタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミンの少なくとも一方に由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%、さらに好ましくは95モル%以上が、炭素数が4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する。
XD系ポリアミドの原料ジアミン成分として用いることができるメタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミン以外のジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン等を例示することができ、1種類または2種類以上を混合して使用できる。
ジアミン成分として、キシリレンジアミン以外のジアミンを用いる場合は、ジアミン由来の構成単位の20モル%未満であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
半芳香族ポリアミド樹脂の原料ジカルボン酸成分として用いるのに好ましい炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸が例示でき、1種類または2種類以上を混合して使用できるが、これらの中でも半芳香族ポリアミド樹脂の融点が成形加工するのに適切な範囲となることから、アジピン酸またはセバシン酸が好ましく、アジピン酸がより好ましい。
上記炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸等のフタル酸化合物、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸といった異性体等のナフタレンジカルボン酸等を例示することができ、1種類または2種類以上を混合して使用できる。炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分を用いる場合、ジカルボン酸由来の構成単位の20モル%未満であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
尚、半芳香族ポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を主成分として構成されるが、これら以外の構成単位を完全に排除するものではなく、ε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類由来の構成単位を含んでいてもよいことは言うまでもない。本発明では、半芳香族ポリアミド樹脂におけるジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位の合計は、全構成単位の90%以上を占めることが好ましく、95%以上を占めることがより好ましい。
半芳香族ポリアミド樹脂の融点は、150〜310℃であることが好ましく、180〜300℃であることがより好ましく、200〜260℃であることがさらに好ましい。
また、半芳香族ポリアミド樹脂のガラス転移温度は、50〜150℃が好ましく、55〜120℃がより好ましく、特に好ましくは60〜100℃である。この範囲であると、成形品の耐熱性がより良好となる傾向にある。
半芳香族ポリアミド樹脂の融点は、DSC(示差走査熱量測定)法により観測される昇温時の吸熱ピークのピークトップの温度として測定する。半芳香族ポリアミド樹脂のガラス転移温度は、半芳香族ポリアミド樹脂を一度加熱溶融させ熱履歴による結晶性への影響をなくした後、再度昇温して測定されるピークトップの温度として測定する。
具体的には、DSC測定器を用い、試料である半芳香族ポリアミド樹脂の量は約3mgとし、雰囲気ガスとしては窒素を30mL/分で流し、昇温速度は10℃/分の条件で室温から予想される融点以上の温度まで加熱し溶融させた際に観測される吸熱ピークのピークトップの温度から融点を求める。次いで、溶融した半芳香族ポリアミド樹脂を、ドライアイスで急冷し、10℃/分の速度で融点以上の温度まで再度昇温し、ガラス転移温度を求める。DSC測定器としては、島津製作所(SHIMADZU CORPORATION)製、DSC−60が挙げられる。
半芳香族ポリアミド樹脂は、数平均分子量(Mn)が6,000〜30,000であることが好ましく、より好ましくは8,000〜28,000であり、さらに好ましくは9,000〜26,000であり、一層好ましくは10,000〜24,000であり、より一層好ましくは11,000〜22,000である。このような範囲であると、耐熱性、弾性率、寸法安定性、成形加工性がより良好となる。
なお、ここでいう数平均分子量(Mn)とは、半芳香族ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度[NH](μ当量/g)と末端カルボキシル基濃度[COOH](μ当量/g)から、次式で算出される。
数平均分子量(Mn)=2,000,000/([COOH]+[NH])
半芳香族ポリアミド樹脂は、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn))が、好ましくは1.8〜3.1である。分子量分布は、より好ましくは1.9〜3.0、さらに好ましくは2.0〜2.9である。分子量分布をこのような範囲とすることにより、機械的物性に優れた立体構造物が得られやすい傾向にある。
半芳香族ポリアミド樹脂の分子量分布は、例えば、重合時に使用する開始剤や触媒の種類、量および反応温度、圧力、時間等の重合反応条件などを適宜選択することにより調整できる。また、異なる重合条件によって得られた平均分子量の異なる複数種の半芳香族ポリアミド樹脂を混合したり、重合後の半芳香族ポリアミド樹脂を分別沈殿させることにより調整することもできる。
分子量分布は、GPC測定により求めることができ、具体的には、装置として東ソー社製「HLC−8320GPC」、カラムとして、東ソー社製「TSK gel Super HM−H」2本を使用し、溶離液トリフルオロ酢酸ナトリウム濃度10mmol/Lのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、樹脂濃度0.02質量%、カラム温度40℃、流速0.3mL/分、屈折率検出器(RI)の条件で測定し、標準ポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の値として求めることができる。また、検量線は6水準のPMMAをHFIPに溶解させて測定し作成する。
本発明で用いる半芳香族ポリアミド樹脂は、1mmの厚さのシートに成形し、40℃、相対湿度90%の条件下に40時間静置した後の水分透過係数が3.0g・mm/day・m以下であることが好ましく、2.5g・mm/day・m以下であることがより好ましく、2.2g・mm/day・m以下であることがさらに好ましく、1.5g・mm/day・m以下であることが一層好ましい。上記水分透過係数の下限値は0g・mm/day・mであることが好ましいが、0.2g・mm/day・m以上でも十分に実用レベルである。上記水分透過係数は、実施例に記載の方法で測定した値とする。
尚、ポリアミド樹脂の吸水率が低くても、水分透過係数が小さいとは言えない。これは、ポリアミド樹脂では、吸水速度と拡散速度が異なるためである。
本発明の成形品における半芳香族ポリアミド樹脂の含有量の下限は、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。前記含有量の上限は、75質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の成形品は、半芳香族ポリアミド樹脂を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の成形品は、半芳香族ポリアミド樹脂と後述するフィラーの合計が全体の90質量%以上を占めることが好ましい。
<他のポリアミド樹脂>
本発明の成形品は、上記半芳香族ポリアミド樹脂以外のポリアミド樹脂を1種類または2種類以上含んでいてもよい。このようなポリアミド樹脂としては、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612等が挙げられる。
もちろん、本発明では、これらの他のポリアミド樹脂は実質的に含まない構成であってもよい。実質的に含まないとは、本発明の成形品に含まれる半芳香族ポリアミド樹脂の含有量の2質量%以下であることをいい、1質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。
<強化繊維>
本発明の成形品は、強化繊維を含む。
強化繊維は、成形品中の重量平均繊維長が0.5〜3.0mmであれば特に定めるものではなく、公知の強化繊維を用いることができる。成形品中の強化繊維の重量平均繊維長の下限は、0.8mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましい。成形品中の強化繊維の重量平均繊維長の上限は、3mm以下が好ましく、2.5mm以下がより好ましく、2mm以下がさらに好ましく、1.5mm以下であってもよい。本発明の成形品は、このような繊維長の強化繊維を含むことにより、成形収縮率を小さくし、かつ、高い機械的強度を維持できる。
成形品中の強化繊維の重量平均繊維長を0.5〜3.0mmとする方法としては、長繊維ペレットを用いて製造することが好ましい。長繊維ペレットとは、ペレット中の強化繊維の重量平均繊維長がペレット長(ペレットの最も長い部分)の90%以上を超えることをいい、好ましくは98%を超えることをいう。
このような長繊維ペレットは、ポリアミド樹脂組成物をロービング状の強化繊維に含浸させ、得られたストランドをカットすることによって得られる。ペレット長は、8.0mm以上であることが好ましく、9.0mm以上であることがより好ましい。また、前記ペレット長の上限は、20.0mm以下が好ましい。
強化繊維の種類は特に限定されないが、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維(ケナフ(Kenaf)、竹繊維等を含む)、アルミナ繊維、ボロン繊維、セラミック繊維、金属繊維(スチール繊維等)等の無機繊維、および、アラミド繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、超高分子量ポリエチレン繊維等の有機繊維などが挙げられる。なかでも、炭素繊維、アラミド繊維およびガラス繊維の少なくとも1種類であることが好ましく、炭素繊維およびガラス繊維の少なくとも1種類であることがより好ましく、ガラス繊維であることがさらに好ましい。
ガラス繊維は、Aガラス、Cガラス、Eガラス、Sガラスなどのガラス組成からなり、特に、Eガラス(無アルカリガラス)が好ましい。ガラス繊維は、1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。
本発明で用いる成形品の原料となる強化繊維は、単繊維または単繊維を複数本撚り合わせたものであってもよい。
短繊維を複数本撚り合わせたものとしては、TEX数が2000〜6000、モノフィラメントの重量平均繊維径が10〜20μmであり、数平均繊維長が5〜15mmの範囲内にある強化繊維などが挙げられる。
本発明で用いる成形品の原料となる強化繊維は、モノフィラメントの重量平均繊維径が好ましくは10〜20μmであり、より好ましくは15〜18μmであり、さらに好ましくは16〜18μmであり、さらに好ましくは17〜18μmである。強化繊維のモノフィラメントの重量平均繊維径は、走査型電子顕微鏡や光学顕微鏡を用いて任意に100本のモノフィラメントの繊維径を測定し、得られた各測定値を平均することにより算出することができる。
上記強化繊維は、TEX数が、好ましくは1000〜6000であり、より好ましくは1000〜5000であり、さらに好ましくは1000〜2000である。このような範囲とすることにより、機械的強度に優れ、含浸性に優れた押出時の操業性に優れたペレットを得ることが可能になる。
なお、TEX数とは、上記強化繊維の1000mあたりの質量で、単位は「g/1000m」で表される。上記強化繊維のTEX数は、JIS R3911に準拠して求めることができる。
具体的には、下記式に従い、(m/l)を算出し、JIS Z8401によって小数点以下1桁に丸め(小数点第2位を四捨五入し)、これを1000倍することにより番手(t)を求める。
t=(m/l)×1000
m:試験片の質量(g)、l:試験片の長さ(m)
<<集束剤>>
上記強化繊維は、集束剤で表面処理されていることが好ましい。集束剤は、サイジングを目的とした集束成分とポリアミド樹脂との接着性を目的とした表面処理成分を含んでいるものが好ましい。
強化繊維の集束剤の構成成分は、特に限定されるものではない。好ましい集束剤は、機械的特性向上の観点から無水マレイン酸と不飽和単量体との共重合体と、シラン系カップリング剤とを主たる構成成分とするものが挙げられる。
集束剤を構成する無水マレイン酸と不飽和単量体との共重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジクロロブタジエン、1,3−ペンタジエン、シクロオクタジエン等の不飽和単量体と無水マレイン酸との共重合体が挙げられる。その中でも、ブタジエン又はスチレンと、無水マレイン酸との共重合体が特に好ましい。これらの単量体は2種以上併用してもよい。
前記集束剤を構成する無水マレイン酸と不飽和単量体との共重合体は、平均分子量が2,000以上であることが好ましい。また、無水マレイン酸と不飽和単量体との割合は特に制限されない。さらに無水マレイン酸共重合体に加えてアクリル酸系共重合体やウレタン系ポリマーを併用してもよい。
前記集束剤を構成するもう一つの成分である前記シラン系カップリング剤としては、通常、強化繊維の表面処理に用いられるシラン系カップリング剤が使用できる。シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン系カップリング剤;γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン系カップリング剤;γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシシラン系カップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン等のビニルシラン系カップリング剤;等が挙げられる。
これらシラン系カップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種類以上併用することもできる。
これらの中で特にXD系ポリアミドとの親和性からアミノシラン系カップリング剤が好ましく、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシランがより好ましい。
前記無水マレイン酸共重合体とシラン系カップリング剤との使用割合は、無水マレイン酸共重合体100質量部に対してシラン系カップリング剤0.01〜20質量部の割合が好ましく、より好ましくは5〜20質量部、さらに好ましくは10〜20質量部の割合である。
通常、無水マレイン酸共重合体とシラン系カップリング剤とは水溶媒中で混和し、集束剤として用いられる。なお必要に応じて界面活性剤、滑剤、柔軟剤、帯電防止剤等を加えてもよい。
本発明の成形品における、強化繊維の含有量の下限は、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。前記含有量の上限は、75質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の成形品は、強化繊維を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<他のフィラー>
本発明の成形品は、上記重量平均繊維長が0.5〜3.0mmの強化繊維に加え、他のフィラーを含んでいてもよい。他のフィラーは、ワラストナイト、チタン酸カリウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、硫酸マグネシウムウィスカー、セピオライト、ゾノトライト、酸化亜鉛ウィスカーなどが挙げられる。
また、本発明の成形品は、上記重量平均繊維長が0.5〜3.0mmの強化繊維以外のフィラーが、上記重量平均繊維長が0.5〜3.0mmの強化繊維の10.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以下であることがより好ましく、3.0質量%以下であることがさらに好ましく、1.0質量%以下であることが一層好ましい。このような範囲とすることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される傾向にある。
<黒色着色剤>
本発明の成形品は、黒色着色剤を含んでいてもよい。黒色着色剤を配合することにより、光遮光性に優れた成形品が得られる。
本発明で用いる黒色着色剤としては、カーボンブラックが例示される。カーボンブラックの詳細は、特開2011−57977号公報の段落0021に記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、本発明の成形品にカーボンブラック等の黒色着色剤を配合する場合、マスターバッチを形成してから、半芳香族ポリアミド樹脂と混練することが好ましい。マスターバッチの詳細については、特開2011−57977号公報の段落0038〜0042の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
さらに、本発明の成形品をレーザー溶着で製造する場合、光透過性の黒色着色剤を用いることも好ましい。光透過性の黒色着色剤としては、照射するレーザー光波長の範囲、例えば、波長800nm〜1064nmの範囲において透過率の高い着色剤である。具体的には、ニグロシン、ナフタロシアニン、アニリンブラック、フタロシアニン、ポルフィリン、ペリレン、ペリノン、クオテリレン、アゾ染料、アントラキノン、スクエア酸誘導体、およびインモニウム染料等が挙げられる。市販品としては、オリエント化学工業社製の着色剤であるe-BIND LTW−8701H、e−BIND LTW−8731H等が例示される。
本発明の成形品が黒色着色剤を含む場合、その含有量は、半芳香族ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.1〜10.0質量部であることが好ましく、0.5〜8.0質量部がより好ましく、1〜5.0質量部がさらに好ましい。
本発明の成形品は、黒色着色剤を、1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<タルク>
本発明の成形品はタルクを含んでいてもよい。本発明では、タルクを配合することにより、結晶化を促進することができる。
本発明の成形品における、タルクの配合量は、成形品に対し、0.05〜20.0質量%であることが好ましく、0.1〜10.0質量%であることがより好ましく、0.15〜5.0質量%であることがさらに好ましく、0.2〜3.0質量%であることが一層好ましい。タルクは、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<離型剤>
本発明の成形品は、離型剤を含んでいてもよい。離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸の塩、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がより好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラトリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。また、脂肪族カルボン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩が例示される。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族または脂環式飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがより好ましい。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、脂肪族炭化水素の数平均分子量は好ましくは5,000以下である。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがより好ましい。
本発明の成形品が離型剤を含む場合、離型剤の含有量は、成形品に対し、0.001〜2.0質量%であることが好ましく、0.01〜1.0質量%であることがより好ましい。離型剤は、1種類のみでもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。離型剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
<その他の添加剤>
本発明の成形品は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、上記の他、ポリアミド樹脂に一般的に用いられうる他の添加剤を含んでいてもよい。このようなその他の添加剤としては、ポリアミド樹脂以外の樹脂、潤滑剤、安定剤、難燃剤、蛍光漂白剤、可塑化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、流動性改良剤等が例示される。他の添加剤の含有量は、合計で、成形品の5質量%以下であることが好ましい。これらの添加剤の詳細は、特開2011−57977号公報や特開2015−129244号公報に記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノール樹脂、およびエポキシ樹脂等が挙げられる。
次に、本発明の成形品の製造方法について、説明する。
本発明の成形品の製造方法は、半芳香族ポリアミド樹脂と強化繊維を含み、半芳香族ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度が末端アミノ基濃度よりも高い、ポリアミド樹脂組成物を射出成形することを含む。半芳香族ポリアミド樹脂、強化繊維等の詳細は、上述と同様である。
射出成形時の温度は、260〜300℃であることが好ましい。
本発明において、ポリアミド樹脂組成物の製造方法は、特に定めるものではなく、公知の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。具体的には、各成分を、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸押出機、二軸押出機、ニーダーなどで溶融混練することによってポリアミド樹脂組成物を製造することができる。
また、例えば、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して、ポリアミド樹脂組成物を製造することもできる。
さらに、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによってポリアミド樹脂組成物を製造することもできる。
本発明の成形品は、本発明の成形品と透明部材から形成される物品として好ましく用いることができる。本発明における物品は、本発明の成形品と透明部材によって、外部と隔てられた中空構造が形成されていることが好ましい。透明部材とは、ガラスなどが例示される。本発明における物品は、より具体的には、カメラ部品などが例示される。本発明の成形品は、成形収縮率が小さいため、透明部材と組み合わせて物品としても、隙間などができにくく、外部からの水蒸気が内部へ侵入してしまうのを効果的に抑制できる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<半芳香族ポリアミド樹脂>
(ポリアミド(MXD6)の合成)
特開2011−140620号公報の段落0038の記載に従い、メタキシリレンジアミンとアジピン酸を重縮合してなり、末端アミノ基濃度40μ当量/g、末端カルボキシル基濃度90μ当量/gの半芳香族ポリアミド樹脂を得た。得られた半芳香族ポリアミド樹脂を、「MXD6」という。
(ポリアミド(MP6−1)の合成)
特許第5218705号公報の実施例の記載に従い、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとアジピン酸を重縮合してなり、末端カルボキシル基濃度([COOH])が90μ当量/g、末端アミノ基濃度([NH])が40μ当量/gである半芳香族ポリアミド樹脂を合成した。
(ポリアミド(MP6−2)の合成)
WO2014/050303号公報の実施例の記載に従い、かつ、セバシン酸をアジピン酸に変更し、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとアジピン酸を重縮合してなり、末端カルボキシル基濃度([COOH])が37μ当量/g、末端アミノ基濃度([NH])が89μ当量/gである半芳香族ポリアミド樹脂を合成した。
<末端基濃度>
末端アミノ基濃度は、半芳香族ポリアミド樹脂0.5gを30mLのフェノール/メタノール(4:1、体積比)の混合溶液に20〜30℃で攪拌溶解し、0.01Nの塩酸で滴定して測定した。また、末端カルボキシル基濃度は、半芳香族ポリアミド樹脂0.1gを30mLのベンジルアルコールに200℃で溶解し、160℃〜165℃の範囲でフェノールレッド溶液を0.1mL加えた。その溶液を0.132gのKOHをベンジルアルコール200mLに溶解させた滴定液(KOH濃度として0.01mol/L)で滴定を行い、色の変化が黄〜赤となり色の変化がなくなった時点を終点とすることで算出した。
末端基濃度の単位は、μ当量/gである。
<水分透過係数の測定>
上記ポリアミド樹脂を用い、100mm×100mm×1mm厚のキャビティを持った金型を用い、日精樹脂工業社製、NEX80III−9Eを用いてシリンダー温度280℃、金型表面温度135℃で、シートを成形した。
次に、図1に示すように、内径67mm、内部の高さ80mmのアルミ製の円筒状のカップ11の内部に25gの塩化カルシウム粒子12を入れた。カップの内部底面から50mmの位置において、上記1mmの厚みのシート13を用いて封止し、40℃、相対湿度90%の雰囲気下に40時間静置した。静置後、塩化カルシウム粒子の質量を計測し、静置前との差分(増加分)を透過した水分量とし、水分透過係数を算出した。
水分透過係数の単位は、g・mm/day・mである。
<強化繊維>
ガラス繊維束ロービング束(重慶国際複合材料有限公司製、モノフィラメントの重量平均繊維径:17μm、TEX数:1200TEX)
ガラス繊維(日本電気硝子社製、ECS03T−296GH)
なお、前記モノフィラメントの平均繊維径は、走査型電子顕微鏡を用いて任意に100本のモノフィラメントの繊維径を測定し、得られた各測定値を平均することにより算出した。
TEX数は、JIS R3911に準拠して求めた。
t=(m/l)×1000
t:番手(TEX)、m:試験片の質量(g)、l:試験片の長さ(m)
<黒色着色剤>
カーボンブラック(三菱化学社製、MA600B)
<タルク>
ミクロンホワイト#5000S:林化成社製
<離型剤>
ライトアマイドWH255:共栄社化学社製
実施例1
二軸押出機(商品名:ZSK25、Coperion社製)におけるトップフィード口より、下記表1に示す割合(単位:質量部)で、半芳香族ポリアミド樹脂、タルク、離型剤および黒色着色剤を供給し、シリンダー設定温度を半芳香族ポリアミド樹脂の融点+40℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練して、ポリアミド樹脂組成物を得た。
得られたポリアミド樹脂組成物を、長繊維強化樹脂製造装置(KOSLFP−212、神戸製鋼社製)における樹脂含浸用ローラーを供えた含浸ダイ(容積:375ml)に供給した。3本のガラス繊維ロービング束(合計TEX数が3600(TEX))を、ロービングダイより、下記表1に示す割合で、上述の溶融状態のポリアミド樹脂組成物が充填されている含浸ダイのクロスヘッドに導入して、含浸ダイ内でポリアミド樹脂組成物をガラス繊維ロービング束に含浸させてポリアミド樹脂組成物が含浸したガラス繊維ロービング束を得た。
得られたポリアミド樹脂組成物が含浸したガラス繊維ロービング束を、紡口(直径2.2mm)より連続的に引き取り、1本のストランドを得た。
得られたストランドを、水冷バス中で冷却固化した。冷却固化したストランドを、ペレタイザーを用いて10mmの長さのペレットにカットした(直径2.2mm)。得られたペレット中のガラス繊維の長さは10mmであった。
次いで、上記ペレットを120℃で4時間乾燥させた後、ファナック社製、射出成形機(100T)を用いて、シリンダー温度280℃、金型の表面温度135℃の条件で、100mm×100mm×2mm厚の成形品を成形した。成形条件は、約2秒でキャビティの約95%を充填し、保圧をVP切り替え圧の約80%で設定した。
得られた成形品について、成形品中の強化繊維の重量平均繊維長、成形収縮率とシャルピー衝撃強さを測定した。
<成形品中の強化繊維の重量平均繊維長>
成形品のゲート近傍部分をオーブンで、500℃2時間で灰化させ、残った強化繊維の重量平均繊維長を測定した。測定に際し、三谷商事株式会社製、WinROOFを用いた。
<成形収縮率>
100×100×2mm厚の成形品の射出方向(MD方向)の成形収縮率を測定した。成形収縮率の単位は、%である。
<シャルピー衝撃強さ>
IS0179−1および−2基準におけるシャルピー衝撃強さを測定した。
強度の単位は、kJ/mである。
実施例2
実施例1において半芳香族ポリアミド樹脂をMP6−1に変更し、他は同様に行った。
比較例1
実施例1において、上記表1に示す組成のガラス繊維ロービング束をガラス繊維(日本電気硝子社製、ECS03T−296GH)に変更し、半芳香族ポリアミド樹脂とタルクと離型剤と黒色着色剤をそれぞれ秤量し、ドライブレンドした後、二軸押出機(東芝機械社製、TEM26SS)のスクリュー根元から、2軸スクリュー式カセットウェイングフィーダ(クボタ社製、CE−W−1−MP)を用いて投入した。黒色着色剤については、分量の範囲内の半芳香族ポリアミド樹脂の一部を用いてマスターバッチ化してから投入した。また、ガラス繊維については振動式カセットウェイングフィーダ(クボタ社製、CE−V−1B−MP)を用いて押出機のサイドから上述の二軸押出機に投入し、樹脂成分等と溶融混練し、ペレットを得た。押出機の温度設定は、280℃とした。
他は、実施例1と同様に行った。
比較例2
実施例1において半芳香族ポリアミド樹脂をMP6−2に変更し、他は同様に行った。
上記結果から明らかなとおり、本発明の成形品は、MD方向の成形収縮率が小さく、シャルピー衝撃強さは高かった(実施例1、2)。これに対し、成形品中の強化繊維の重量平均繊維長が0.6mm未満の場合(比較例1)、MD方向の成形収縮率が大きくなってしまった。一方、半芳香族ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度が末端アミノ基濃度よりも低い場合(比較例2)、強度が劣る結果となった。
本発明で得られた成形品は、種々の用途、例えば、各種保存容器、電気・電子機器部品、オフィスオートメート(OA)機器部品、家電機器部品、機械機構部品、車両機構部品などに適用できる。特に、食品用容器、薬品用容器、油脂製品容器、車両用中空部品(各種タンク、インテークマニホールド部品、カメラ筐体など)、車両用電装部品(各種コントロールユニット、イグニッションコイル部品など)モーター部品、各種センサー部品、コネクター部品、スイッチ部品、ブレーカー部品、リレー部品、コイル部品、トランス部品、ランプ部品、カメラ部品などに好適に用いることができる。カメラ部品としては、バレルやホルダ、筐体、として用いられる。特に、本発明の成形品は、車載カメラのカメラ部品として好ましく用いられる。
特に、本発明の成形品は、射出成形品であることが好ましい。もちろん、本発明の成形品が射出成形品以外の成形品であってもよいことは言うまでもない。
11 カップ
12 塩化カルシウム粒子
13 1mmの厚みのシート

Claims (8)

  1. 半芳香族ポリアミド樹脂と、重量平均繊維長が0.5〜3.0mmである強化繊維を含み、前記半芳香族ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度が末端アミノ基濃度よりも高い、成形品。
  2. 前記強化繊維が炭素繊維およびガラス繊維から選択される、請求項1に記載の成形品。
  3. 前記末端カルボキシル基濃度と末端アミノ基濃度の差が10〜100μ当量/gである、請求項1または2に記載の成形品。
  4. 前記半芳香族ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形品。
  5. さらに、黒色着色剤を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形品。
  6. カメラ部品である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形品。
  7. 射出成形品である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の成形品。
  8. 半芳香族ポリアミド樹脂と強化繊維を含み、前記半芳香族ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度が末端アミノ基濃度よりも高い、ポリアミド樹脂組成物を射出成形することを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の成形品の製造方法。
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