JP2018076291A - 連続培養における有用物質の回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有用物質を産生する細胞の連続培養において、多孔膜における有用物質の透過率の低下を抑制し、有用物質を高い効率で回収する方法を提供する。【解決手段】有用物質を産生する細胞の連続培養において、培養液から有用物質を回収する方法であって、細胞の培養槽から培養液を排出し、排出した培養液と同量の新鮮培地を培養槽に加えるブリーディング工程と、培養槽から抽出した培養液を、実質的に緻密層を有しない多孔膜を用いて濾過する濾過工程と、を含み、濾過工程における濾過がタンジェンシャルフロー濾過であり、濾過工程における透過液の速度が1.0LMH以下である、有用物質を回収する方法。【選択図】なし

Description

本発明は、生命工学に関し、有用物質を産生する細胞の連続培養において、培養液から有用物質を回収する方法に関する。
細胞培養技術は、抗体、成長ホルモン、及びインスリンなどの各種バイオ医薬品において必須の技術であり、近年の医療の進歩に大きく貢献している。バイオ医薬品の中でも特に抗体医薬品が注目を集めている。抗体産生細胞を培養することによって、モノクローナル抗体を高効率かつ安定的に産生することは、工業的に重要なテーマの一つである。
抗体等の有用物質の産生を目的とした工業的な細胞の培養法は、大きく分けて、付着培養法と、懸濁培養法(浮遊培養法)の2つの方式に分類される。付着培養法においては、細胞は、培養槽の内表面に付着する。懸濁培養法においては、細胞は、培養液中に浮遊させられる。これらのうち、スケールアップの容易さ、及び大スケールでの制御の容易さなどから、懸濁培養法が主流となっている。
懸濁培養によって細胞を培養する方法においては、例えば、スピナーフラスコなどの培養槽中に撹拌機構を設けて細胞を浮遊させること、撹拌機構として、マグネティックスターラー又は機械的に駆動されるシャフト状の羽根車などを用いることが提案されている。しかし、従来の懸濁培養方法においては、栄養分を補充されることなく細胞が培養され、かつ乳酸等の育成阻害物質が蓄積する場合がある。そのため、細胞の密度が低い状態で、細胞の成長速度が停止する場合がある。これに対し、懸濁培養方法において、細胞を大量かつ高密度で培養し、有用物質を高効率で生産するために、新鮮な培地を培養槽中へ供給しつつ、育成阻害物質等の不純物を含んだ古い培養液を培養槽外へ排出しながら細胞を培養する方式が提案されている。この方式の培養は、一般に連続培養と呼ばれている(例えば、特許文献1参照。)。
連続培養において重要なことは、培養液中の細胞と、古い培養液及び産生された有用タンパク質と、を長期にわたって効率よく分離して、古い培養液及び有用タンパク質を培養槽外へ取り出し、培養槽内の細胞生育環境を長期間最適条件下に維持し続けることである。
中空糸膜を使用し、長期に渡り分離を行う、すなわち膜汚染を防ぐ方法として、培養液の流動方法を、新鮮培地の供給時と培養液の排出時とで逆転させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。また、近年では、交互タンジェンシャルフロー濾過(ATF:Alternating Tangential Flow)法と呼称される濾過法を用いることで、膜汚染を抑えつつ、長期間、高密度の細胞培養を行うことが可能となり、有用物質の生産性を高める有用な方法となりつつある(例えば、特許文献3参照。)。有用物質の生産性の向上は、バイオ医薬品製剤のコストダウン、製剤使用の拡大、及び医療費の削減につながり、医療の進歩に大きく貢献するものと期待されている。
特開昭61−257181号公報 特開平2−200176号公報 米国特許第6544424号明細書
連続培養において、培養槽の培養液中の細胞と、古い培養液及び産生された有用物質と、を分離するために、精密濾過(MF)相当の中空糸膜が好適に用いられている。しかし、これまでの連続培養に用いられてきた中空糸膜及びその使用条件では、濾過経時における膜閉塞過程中に、産生された有用物質の中空糸膜における膜透過性が低下することを本発明者らは見出した。結果として、一次側表面に緻密層を有せず、且つ一次側表面の平均孔径が特定の範囲の、透過率に優れる中空糸膜を用いても、有用物質の膜透過性を長期に渡り高く維持することは困難であることを本発明者らは見出した。
このような背景のもと、本発明は、有用物質を産生する細胞の連続培養において、多孔質膜における有用物質の透過率の低下を抑制し、有用物質を高い効率で回収する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、有用物質産生細胞の連続培養において、ブリーディング(培養液の排出)工程を含み、多孔膜を用いてタンジェンシャルフロー濾過を行い、透過液速度を低速に制御することにより、従来よりも長期に渡り有用物質の膜透過率を高く維持できることを見出した。このような条件で連続培養を行うことにより、生産性の高い培養を実現し、産出された有用物質をより効率的に回収することが可能である。
すなわち、本発明の一態様によれば、有用物質を産生する細胞の連続培養において、培養液から有用物質を回収する方法であって、細胞の培養槽から培養液を排出し、当該排出した培養液と同量の新鮮培地を培養槽に加えるブリーディング工程と、培養槽から抽出した培養液を、実質的に緻密層を有しない多孔膜を用いて濾過する濾過工程と、を含み、濾過工程における濾過がタンジェンシャルフロー濾過であり、濾過工程における透過液の速度が1.0LMH以下である、有用物質を回収する方法が提供される。
上記の有用物質を回収する方法の濾過工程において、透過液の速度(X1)と、多孔膜に供給される培養液の流速(X2)と、の関係が、下記の式(I)を満たしてもよい。
300≦X2/X1≦6000 (I)
上記の有用物質を回収する方法のブリーディング工程において、培養液の濁度が6000NTU以下に制御されてもよい。
上記の有用物質を回収する方法において、タンジェンシャルフロー濾過が、多孔膜の一次側表面上で培養液を往復させる交互タンジェンシャルフロー濾過であってもよい。
上記の有用物質を回収する方法のブリーディング工程において、培養槽における細胞の総数が、400×105細胞/mL以上700×105細胞/mL以下の範囲に維持されてもよい。
上記の有用物質を回収する方法において、透過液の累積量が400L/m2になった時点における、多孔膜における有用物質の透過率が80%以上であってもよい。
上記の有用物質を回収する方法において、透過液の累積量が650L/m2になった時点における、多孔膜における有用物質の膜透過率が80%以上であってもよい。
上記の有用物質を回収する方法において、多孔膜が中空糸膜であってもよい。
上記の有用物質を回収する方法において、中空糸膜の膜厚が300μm以上1000μm以下であってもよい。
上記の有用物質を回収する方法において、多孔膜の一次側表面の平均孔径が20μm以上100μm以下であってもよい。
上記の有用物質を回収する方法において、多孔膜の一次側表面の平均孔径が、二次側表面の平均孔径より大きくてもよい。
上記の有用物質を回収する方法において、多孔膜が、疎水性高分子と、親水性高分子と、を含む混合物からなっていてもよい。
上記の有用物質を回収する方法において、疎水性高分子がポリスルホンであってもよい。
上記の有用物質を回収する方法において、多孔膜の一次側表面を含む一次側領域の方が、多孔膜の二次側表面を含む二次側領域よりも疎水性であってもよい。
上記の有用物質を回収する方法において、有用物質が生理活性物質であってもよい。
上記の有用物質を回収する方法において、有用物質が、タンパク質、ウイルス、エクソソーム、及び核酸からなる群から選択されてもよい。
上記の有用物質を回収する方法において、有用物質がモノクローナル抗体であってもよい。
本発明によれば、有用タンパク質を産生する細胞の連続培養において、多孔質膜における有用物質の透過性の低下を抑制し、有用物質を高い効率で回収する方法を提供することができる。
実施例及び比較例に係る連続培養を行い、膜面積あたりの処理量(L/m2)と有用タンパク質の膜透過率の関係を示したグラフである。 実施例及び比較例の結果を示す表である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態に係る有用物質を回収する方法は、有用物質を産生する細胞の連続培養において、培養液から有用物質を回収する方法であって、細胞の培養槽から培養液を排出し、当該排出した培養液と同量の新鮮培地を培養槽に加えるブリーディング工程と、培養槽から抽出した培養液を、実質的に緻密層を有しない多孔膜を用いて濾過する濾過工程と、を含み、濾過工程における濾過がタンジェンシャルフロー濾過であり、濾過工程における透過液の速度が1.0LMH以下である、方法である。
タンジェンシャルフロー濾過(TFF)法とは、多孔膜一次側表面において、培養液を多孔膜一次側表面と平行な方向に流す濾過法である。タンジェンシャルフロー濾過(TFF)法は、交互タンジェンシャルフロー濾過(ATF)法を含む。本実施形態において、単にタンジェンシャルフロー濾過(TFF)法という場合は、多孔膜一次側表面において、培養液を一方向に流す濾過法を指す場合がある。交互タンジェンシャルフロー濾過(ATF)法とは、多孔膜一次側表面において、往復するように培養液を流す濾過法を指す。なお、本実施形態において、多孔膜の一次側とは、培養槽から培養液が供給される側を指す。また、多孔膜の二次側とは、多孔膜内部を透過した透過液が流れ出る側を指す。
本実施形態において、有用物質とは、医薬品として利用される物質が好ましい。有用物質の例としては、タンパク質、ホルモン、サイトカイン成長因子、酵素、血漿タンパク、ウイルス(ウイルス様粒子を含む)、及びモノクローナル抗体などが挙げられる。これらの有用性物質は、培養中の有用物質産生細胞により生合成され、培養液中に放出される。
本実施形態において、有用物質産生細胞とは、有用物質を細胞内のタンパク質合成反応を利用して生産する細胞をいう。有用物質産生細胞としては、例えば、大腸菌、及びCHO(Chinese Hamster Ovary)細胞等が挙げられる。
本実施形態において、連続培養方法とは、有用物質を高効率で産生するために、新しい培養液を培養槽内に供給しつつ、古い培養液及び有用物質を排出・回収し、培養槽内の有用物質産生細胞の成育環境を適切な条件下に維持しながら、長期に渡り細胞を高密度で培養する培養方法を指す。
本実態形態に係る有用物質の回収方法は、一例として以下の各工程を含む。
(A)培養槽内で、培養液中の有用物質産生細胞が有用物質を産生する工程、
(B)培養液の一部を培養槽から多孔膜に送液する工程、
(C)多孔膜を用いて培養液のタンジェンシャルフロー濾過(TFF)を行い、有用物質を含む透過液を得る濾過工程、
(D)多孔膜内部を透過せずに残った残培養液を培養槽に返液する工程、
(E)培養槽に新鮮培地の供給を継続的に行う工程、及び
(F)培養槽から培養液を排出し、排出した培養液と同量の新鮮培地を培養槽に加えるブリーディング工程。
上記の各工程は必ずしも記載順番通りに行われる必要はない。上記の各工程の順番は、適宜、培養槽内の有用物質産生細胞の成育環境を最適条件下に維持しながら、長期間、高密度培養を行えるように設定される。また、本実態形態に係る有用物質の回収方法は、上記以外の工程を含んでいてもよい。
本実態形態の別の例に係る有用物質の回収方法は、以下の各工程を含む。
(A)培養槽内で、培養液中の有用物質産生細胞が有用物質を産生する工程、
(B)培養液の一部を培養槽から多孔膜に送液する工程、
(C)多孔膜の一次側表面上で培養液を往復させながら培養液を濾過して有用物質を含む透過液を得る交互タンジェンシャルフロー濾過工程、
(D)多孔膜内部を透過せずに残った残培養液を培養槽に返液する工程、
(E)培養槽に新鮮培地の供給を継続的に行う工程、及び
(F)培養槽から培養液を排出し、排出した培養液と同量の新鮮培地を培養槽に加えるブリーディング工程。
上記の各工程は必ずしも記載順番通りに行われる必要はない。上記の各工程の順番は、適宜、培養槽内の有用物質産生細胞の成育環境を最適条件下に維持しながら、長期間、高密度培養を行えるように設定される。また、本実態形態の別の例に係る有用物質の回収方法は、上記以外の工程が含まれてもよい。
本実態形態に係る有用物質の回収方法は、培養槽と、多孔膜を備える清澄濾過装置と、を用いることにより実施される。培養槽には、多孔膜の一次側表面へ培養液を送液するための流出口、及び多孔膜内部を透過せず多孔膜の一次側表面を通過した培養液を当該培養槽へ戻すための流入口が設けられていてもよい。これらの流出口と流入口は同じであっても異なっていてもよい。また、培養槽には、培養槽内の培養液のサンプリングを行うための流出口、新鮮培地を供給するための流入口、及び細胞数をコントロールするために培養液を流出するための流出口が設けられていてもよい。
多孔膜を備える清澄濾過装置には、培養槽から送液されてきた培養液が流入するための流入口であって、多孔膜の一次側表面に連通している流入口、及び多孔膜内部を透過せず、多孔膜の一次側表面を通過した培養液を培養槽へ戻すための流出口が設けられていてもよい。これらの流入口及び流出口は同じであっても異なっていてもよい。また、清澄濾過装置には、多孔膜内部を透過し、多孔膜の二次側表面から流出した、培養液及び有用物質を含む透過液を流出するための流出口が設けられていてもよい。
培養槽と清澄濾過装置とは、必要に応じて送液手段により適宜接続される。また、連続培養を行うための各種パラメーターをモニタリングするための圧力計、重量計、及び各種ポンプ(ダイヤフラムポンプ、チューブポンプ、及びロータリーポンプ等)等が、送液手段等に適宜設けられる。
本実施形態に係る方法は、有用物質を産生する細胞の連続培養において、すなわち、有用物質産生細胞の培養を継続しながら濾過をする際に好適に実施される方法であるが、細胞の培養を予め培養槽に貯留された培養液中で一定期間行い、所望の量の有用物質が産生された後に実施されてもよい。
本実施形態に係る方法においては、有用物質を産生する細胞を連続培養中に、培養液を培養槽から抽出し、当該培養液を多孔膜を用いて濾過することによって、培養液に含まれていた有用物質を回収する。多孔膜における透過液の速度は、1.0LMH以下であり、好ましくは0.2LMH以上0.8LMH以下に制御される。LMHは透過流速の単位として一般的に用いられている単位であり、L/m2/Hrと表されることもある。多孔膜における透過液の速度が1.0LMH以下であることにより、多孔膜の急激な目詰まりを抑制することが可能である。
濾過法は、タンジェンシャルフロー濾過及び交互タンジェンシャルフロー濾過のいずれでもよいが、せん断力(シェア)による細胞のダメージが低いため、交互タンジェンシャルフロー濾過が好ましい。また、交互タンジェンシャルフロー濾過においては、培養槽から多孔膜へ培養液を送る送液手段と、多孔膜内部を透過せず、多孔膜の一次側表面を通過した培養液を培養槽へ戻す送液手段と、を共通化することができるため、送液手段を削減可能である。
さらに、交互タンジェンシャルフロー濾過においては、多孔膜一次側表面の培養液がダイヤフラムポンプ等のポンプに吸引されるときに、多孔膜二次側表面近傍の透過液が、再び多孔膜内部に戻ることによって、多孔膜が洗浄される逆洗効果を奏する。
タンジェンシャルフロー濾過は、適宜公知の方法によって実施可能である。また、交互タンジェンシャルフロー濾過も、適宜公知の方法によって実施可能であり、例えば、Repligen社製のATF−2と、多孔膜を有する濾過モジュールと、を組み合わせて実施可能である。
本実施形態に係る方法は、有用物質を産生する細胞の連続培養中、培養槽から培養液を排出し、排出した培養液と同量の新鮮培地を培養槽に加える工程を含む。その際、培養槽における細胞の総数が400×105細胞/mL以上700×105細胞/mLの範囲に維持され、濁度が6000NTU以下に制御されていると好ましく、5000NTU以下であればより好ましい。総細胞数が700×105細胞/mL以下、または濁度が6000NTU以下であると、多孔膜への負荷が低減し、多孔膜の閉塞を防いで有用物質の透過性を維持できる傾向にある。また、総細胞数が400×105細胞/mL以上の場合、有用物質の生産性が向上する傾向にある。
本実施形態において、有用物質を産生する細胞の連続培養中、多孔膜における透過液の速度(X1)と、多孔膜に供給される培養液の速度(X2)と、の関係は、例えば、下記の式(II)を満たす。
300≦X2/X1≦6000 (II)
なお、多孔膜に供給される培養液の速度とは、培養槽から多孔膜に送られる培養液の速度を意味する。透過液の速度を1.0LMH以下にすると、上記式(II)が満たされる。
本実施形態において用いる多孔膜は、中空糸膜であってもよいし、平膜であってもよい。低圧での濾過が可能という観点から、中空糸多孔膜を用いることが好ましい。低圧で濾過を実施できると、有用物質産生細胞へのダメージを軽減することができる。多孔膜が中空糸膜である場合、例えば、中空糸膜の中空部の内周面が一次側表面にされ、中空糸膜の外周面が二次側表面にされる。タンジェンシャルフロー濾過の場合、中空糸膜の中空部の一方の開口から他方の開口への一方向に、培養液が流される。交互タンジェンシャルフロー濾過の場合、中空糸膜の中空部を往復するように、培養液が流される。
有用物質の膜透過性を長期に渡り維持するという観点から、多孔膜として、一次側表面の平均孔径が20μm以上100μm以下であり、実質的に緻密層を有しない多孔膜を用いることが好ましい。一次側表面の平均孔径が20μm以上であることにより、膜面への堆積による膜孔の閉塞を防止することが可能であり、100μm以下であることにより、多孔膜の強度を適正な範囲とすることが可能である。
連続培養中において、多孔膜の一次側表面の膜孔においては、疎水性物質(細胞やデブリス(細胞片))等の保持と除去が繰り返される。一次側表面の平均孔径が20μm以上100μm以下であり、実質的に緻密層を有しない多孔膜を用いることで、膜孔における疎水性物質の蓄積が緩和され、膜孔の閉塞を抑制することができる。また、有用物質が多孔膜の一次側表面に蓄積すると、多孔膜の一次側表面に高濃度の有用物質の堆積層が生じ、これによって多孔膜の一次側表面から二次側表面にかけて有用物質の濃度勾配が生じる。この堆積層を濃度分極層と呼ぶ。多孔膜の一次側表面に濃度分極層が存在すると、濃度勾配によって、有用物質が二次側表面へ拡散しにくくなり、有用物質の透過性が低下する。これに対し、一次側表面の平均孔径が20μm以上100μm以下である、実質的に緻密層を有しない多孔膜を用いることにより、濃度分極層の生成が防がれ、この濃度分極層によって生じる有用物質の透過性の低下を防ぐことが可能である。
本明細書において、緻密層とは、一般的に用いられる意味を示しており、顕微鏡で観察した際に明確に区別できる緻密な構造を有する層であり、例えば平均孔径が20μm未満の孔を有する層である。したがって、実質的に緻密層を有しない多孔膜とは、平均孔径が20μm未満の孔を実質的に有しない多孔膜であり、平均孔径が実質的に20μm以上の多孔膜である。
本実施形態において、有用物質の生産性を高めるという観点から、多孔膜においては、一次側表面の平均孔径が、二次側表面の平均孔径より大きいことが好ましい。また、多孔膜に設けられた孔は、一次側表面から二次側表面に向かって、孔径が連続的に小さくなっていくことが好ましい。これにより、有用物質よりも大きな夾雑物等の不純物が除去される。
多孔膜は、孔径20μm以上の孔を、多孔膜全体において少なくとも50%以上有することが好ましく、60%以上有することがより好ましく、70%以上有するものであることがさらに好ましく、80%以上有することが特に好ましい。連続培養時に使用する多孔膜は、長期間での使用に耐えることと、高い透過処理量と、が必要とされる。孔径20μm以上の孔が50%以上であることにより、膜内部において除去物を保持可能であり、デプス濾過の効果を十分に得ることができる。
多孔膜は、二次側表面側に、孔径が0.1μm以上1.0μm未満の層を有することが好ましい。孔径が0.1μm以上であることにより、濾過抵抗や濾過に要する圧力の上昇による細胞に対するダメージを防止することができる傾向にある。また、孔径が1.0μm以下であることにより、十分な分画性を得ることができる傾向にある。
多孔膜は、中空部の内径が1000μm以上2000μm以下の中空糸多孔膜であることが好ましい。連続培養においては培養液が高密度の細胞懸濁液となるが、中空部の内径が1000μm以上であることにより、中空部の入り口が凝集した細胞によって閉塞することを防止することができる傾向にある。また、中空部の内径が2000μm以下であることにより、モジュールあたりの有効な断面積を維持し、濾過性能を優れたものとすることができる傾向にある。
また、中空糸多孔膜は、膜厚が300μm以上1000μm以下であることが好ましく、350μm以上800μm以下であることがより好ましい。膜厚は、例えば、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。膜厚が300μm以上であることにより、膜内部の除去物を保持可能であり、デプス濾過の効果を十分に得ることができる傾向にある。さらに、適当な濾過速度を維持することができる傾向にある。また、膜厚が1000μm以下であることにより、モジュールあたりの有効な断面積を維持し、濾過性能を優れたものとすることができる傾向にある。
本実施形態においては、多孔膜は、疎水性高分子と、ポリビニルピロリドン等の親水性高分子と、を含む混合物からなることが好ましい。多孔膜の材料に、疎水性高分子を使用することで、多孔膜に適度な機械的強度を持たせることが可能であり、連続培養のような長期使用にも耐える耐久性を持たせることが可能であるため好適である。また、多孔膜の材料に、ポリビニルピロリドン等の親水性高分子を適正量含有させることにより、破砕した細胞、及び抗体等の疎水性物質粒子の吸着による膜汚染や、各種医薬品の精製工程において有用物質の回収率の低下を防止することが可能である。
本実施形態において、多孔膜が疎水性高分子を含む場合、疎水性高分子が、ポリスルホンを含むことが好ましい。ポリスルホンを含むことにより、多孔膜が、温度変化や圧力変化に対する強度に優れるようになり、高い濾過性能を発現することができる傾向にある。
多孔膜のポリビニルピロリドン含有量は、多孔膜の総質量を基準としたとき、0.2質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。0.2質量%以上であることにより、疎水性物質等の吸着による膜孔内の閉塞を抑制可能な傾向にある。また、3.0質量%以下であることにより、機械的強度を保ち、かつ親水性高分子の膨潤による膜孔の閉塞を防止し、濾過抵抗が大きくなるのを防ぐことが可能な傾向にある。
多孔膜に含まれるポリビニルピロリドンは、多孔膜の製造する際に、材料の溶液粘度を好適にすることができる観点で、重量平均分子量が400000以上800000以下のものであることが好ましい。
多孔膜は、膜厚方向に3等分して、一次側表面を含む一次側領域、中間層の領域、及び二次側表面を含む二次側領域の3つの領域に分割したときに、二次側表面を含む二次側領域におけるポリビニルピロリドンの含有割合が、一次側表面を含む一次側領域におけるポリビニルピロリドンの含有割合より大きいことが好ましい。これにより、多孔膜の二次側領域のほうが、一次側領域よりも親水性になる。また、多孔膜の一次側領域のほうが、二次側領域よりも疎水性になる。
一般的に、培養液に含まれる細胞やデブリス(細胞片)等の夾雑物は、疎水性である。多孔膜に設けられた孔の径が、一次側表面から二次側表面に向かって小さくなっていく場合、二次側において孔を閉塞させ得る疎水性物質は、疎水性相互作用により、一次側領域において、孔内部に捕捉される。一次側領域においては、孔径が大きいため、疎水性物質が一次側領域の孔内に捕捉されても、流路は確保される。そのため、有用物質のような粒径の小さい物質の透過性が確保される。
多孔膜において、二次側領域におけるポリビニルピロリドン等の親水性高分子の含有割合Coutと、一次側領域におけるポリビニルピロリドン等の親水性高分子の含有割合Cinと、は、下記の式(III)を満たすことが好ましい。
out/Cin≧2 (III)
親水性高分子の含有割合が上記式(III)の関係を満たす分布を示す多孔膜は、一次側領域における、デプス濾過の効果と、二次側領域における、除去物の吸着による膜孔の閉塞防止効果とに優れる傾向にある。
本実施形態に係る方法で用いられる多孔膜の一例としては、下記の実施例で用いられる多孔膜等が挙げられる。また、国際公開第2010/035793号公報に記載される多孔膜を用いることもできる。多孔膜の各物性の測定方法も、国際公開2010/035793号公報に準じて測定することができる。
本実施形態に係る方法によれば、透過液の累積量が400L/m2になった時点における、多孔膜における培養液中の有用物質の透過率が好ましくは80%以上になる。また、本実施形態に係る方法によれば、好ましくは、透過液の累積量が650L/m2になった時点における、多孔膜における培養液中の有用物質の透過率が80%以上になる。さらに、本実施形態に係る方法によれば、より好ましくは、透過液の累積量が950L/m2になった時点における、多孔膜における培養液中の有用物質の透過率が80%以上になる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例に基づいてより具体的に説明するが、本実施形態は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例に用いられる測定方法は以下のとおりである。
(1)内側面孔径の測定、並びに、最小孔径層の位置及び緻密層の有無の確認
凍結乾燥した中空糸多孔膜の内側面(一次側表面)を、電子顕微鏡(株式会社キーエンス製、VE−9800)を用いて1視野において10個以上の孔が観測可能な倍率で観察した。得られた顕微鏡写真における細孔10個を円形近似処理し、その面積から求めた直径の平均を内側面孔径(一次側表面の平均孔径)とした。凍結乾燥した中空糸多孔膜の断面を内側面側から外側面側へ向かって連続して顕微鏡観察し、断面孔径が最小になる層(最小孔径層)の位置を確認した。また、中空糸多孔膜の最内面の構造を顕微鏡観察し、内側面孔径から緻密層の有無を確認した。
(2)最小孔径層の孔径決定法
ポリスチレンラテックス粒子(JSR株式会社製、SIZE STANDARD PARTICLES)を、0.5質量%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液(和光純薬工業株式会社製)に、粒子濃度が0.01質量%になるように分散させ、ラテックス粒子分散液を調整した。
中空糸多孔膜を用いてラテックス粒子分散液の濾過を行い、濾過前後のラテックス粒子の濃度変化を測定した。この測定を、0.1μmから約0.1μm刻みでラテックス粒子径を変えながら行いラテックス粒子の阻止曲線を作成した。この阻止曲線から、98%透過阻止可能な粒子径を読み取り、その径を最小孔径層の孔径(阻止孔径)とした。
「(1)最小孔径層の位置の確認」により、外周領域に最小孔径層があることが確認できたとき、「(2)最小孔径層の孔径決定法」により決定される最小孔径層の孔径(阻止孔径)は、外周領域の阻止孔径である。
(3)中空糸多孔膜の内径、外径及び膜厚の測定
中空糸多孔膜を円管状に薄く切りそれを光学顕微鏡(株式会社キーエンス製、VH6100)で観察し、中空糸多孔膜の内径(μm)、外径(μm)を測定した。得られた内径DI、外径DOから下記の式(IV)を用いて膜厚Th(μm)を算出した。
h=(DO−DI)/2 (IV)
(4)タンパク質濃度及び透過率の測定
連続培養時の濾過工程後の透過液のタンパク質濃度CT、及び透過液をサンプリングした際の培養槽内の培養液のタンパク質濃度CCをELISA法で定量分析を行った。また、中空糸多孔膜におけるタンパク質の透過率X(%)については、下記の式(V)を用いて算出した。
X=CT/CC×100 (V)
(5)培養槽内の総細胞密度及び細胞生存率の測定
連続培養中の培養槽の培養液をサンプリングして、細胞数自動計測装置(GE Healthcare製 CYTORECON)を使用して総細胞密度及び細胞生存率を測定した。
(6)濁度の測定
連続培養中の培養槽の培養液をサンプリングして、1倍から10倍の希釈率にて、濁度計(HECH社製2100Q濁度計)を使用して、濁度を測定した。
(実施例1)
AE6F4抗体(モノクロナール抗体)産生チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を無血清培地(Invitrogen社 CD opti CHO AGT with 2ME)で培養して、AE6F4抗体産生CHO細胞懸濁液を得て、ブリーディング工程を含み、透過液の速度を1.0LMH以下に制御した条件下で、中空糸多孔膜(MF−SL、旭化成メディカル社製)を用いて連続培養を実施した。
予め、2L容量の細胞培養槽と、細胞培養液中の細胞と使用済み培地を分離する膜としての中空糸多孔膜モジュール(旭化成メディカル社製、BioOptimal MF−SLに内蔵されている中空糸膜を用いて作成したミニモジュール、膜面積0.13m2)と、ATF−2(Repligen社製)のダイヤフラム部と、を接続してオートクレーブ滅菌した。MF−SLは、一次側表面の平均孔径が20μm以上100μm以下であり、実質的に緻密層を有しない中空糸多孔膜である。上述の測定方法に従って測定したところ、内側面孔径は30μmから80μmであった。なお培養槽には、培養槽から中空糸多孔膜へ培養液を送液するための流出口、培養槽内の培養液をサンプリングするための流出口、新鮮培地を供給するための流入口、細胞数をコントロールするために培養液を排出するための流出口を設けた。その後、滅菌済みのシングルユースバックに新鮮培地を加え、無菌状態を維持しながら、シングルユースバッグと、培養槽と、を接続した。
1.2Lの新鮮無血清培地を培養槽に入れ、さらに20×105細胞/mLのCHO細胞懸濁液を200mL培養槽に入れて、培養を開始した。その後、総細胞数が70×105細胞/mLに増殖したことを確認した後に、細胞培養液の一部を排出して培養槽内の液量を1.0Lに調整した。次に、ATFシステム(Repligen社製)を起動して培養液の交互タンジェンシャルフロー濾過と、培養槽への新鮮培地の供給する連続培養と、を開始した。交互タンジェンシャルフロー濾過においては、ATFシステムのダイヤフラムポンプにより培養槽から中空糸多孔膜への送液を行った。送液量は、ずり速度が1500s-1(1.5L/min)となるように設定した。中空糸多孔膜モジュールの透過液流出口にはポンプを設置し、透過液の速度は0.24LMH以上0.80LMH以下(0.52mL/min以上1.73mL/min)に設定した。また、培養槽への未使用培地の供給量も同じ一定速度に設定した。透過液量は、重量計によって随時測定した。
1日1回、培養槽及び透過液をサンプリングして、総細胞密度、細胞生存率、及び有用タンパク質(AE6F4抗体)濃度、培養液の濁度を測定し、多孔膜における有用タンパク質の透過率を計算した。培養槽における細胞の総数が600×105細胞/mLに到達してから、毎日、培養液を排出し、排出した培養液と同量の新鮮培地を加えるブリーディング工程を実施し、細胞数を400×105細胞/mL以上700×105細胞/mL以下に制御した。培養液の排出量Vは、サンプリング時の総細胞数をNC(細胞/mL)、培養槽内の培養液量をVC(L)として、下記の式(VI)により算出した。下記式において、550×105(細胞/mL)は、400×105細胞/mL以上700×105細胞/mL以下の範囲における中間値を意味する。
V={(NC/550×105)−1}×VC (VI)
透過液の累積量が100L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は100%であった。また、透過液の累積量が400L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は100%であった。更に、透過液の累積量が950L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は88%であった。
透過液の累積量が100L/m2に到達した際における、培養液の濁度は4450NTUであった。また、透過液の累積量が400L/m2に到達した際における、培養液の濁度は5700NTUであった。更に、透過液の累積量が950L/m2に到達した際における、培養液の濁度は5040NTUであった。
(比較例1)
AE6F4抗体(モノクロナール抗体)産生チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を無血清培地(Invitrogen社 CD opti CHO AGT with 2ME)で培養して、AE6F4抗体産生CHO細胞懸濁液を得て、ブリーディング工程を含まず、透過液の速度を1.5LMH以上に制御した条件下で、MF−SLを用いて連続培養を実施した。
予め12L容量の細胞培養槽と、細胞培養液中の細胞と使用済み培地を分離する膜としての中空糸多孔膜モジュール(旭化成メディカル社製、BioOptimal MF−SLに内蔵されている中空糸膜を用いて作成したミニモジュール、膜面積0.085m2)と、ATF−2(Repligen社製)のダイヤフラムと、未使用の培地を培養槽に供給する培地タンクと、を接続してオートクレーブ滅菌した。なお培養槽には、培養槽から中空糸多孔膜へ培養液を送液するための流出口、培養槽内の培養液をサンプリングするための流出口、及び新鮮培地を供給するための流入口を設けた。
4.5Lの新鮮無血清培地を培養槽に入れ、さらに20×105細胞/mLのCHO細胞懸濁液を0.8L培養槽に入れて、培養を開始した。その後、総細胞数が70×105細胞/mLに増殖したことを確認した後に、細胞培養液の一部を排出して培養槽内の液量を4Lに調整した。次に、ATFシステム(Repligen社製)を起動して培養液の交互タンジェンシャルフロー濾過と、培養槽への新鮮培地の供給する連続培養と、を開始した。
濾過においては、ATFシステムのダイヤフラムポンプにより培養槽から中空糸多孔膜への送液を行い、交互タンジェンシャルフロー濾過を行った。送液量は、ずり速度が770s-1以上1870s-1以下(0.5L/min以上1.2L/min以下)となるように設定した。中空糸多孔膜モジュールの透過液流出口にはポンプを設置し、透過液の速度は1.5LMH以上3.5LMH以下(2.10mL/min以上4.90mL/min以下)に設定した。また、培養槽への未使用培地の供給量も同じ一定速度に設定した。透過液量は、重量計によって随時測定した。
1日1回、培養槽及び透過液をサンプリングして総細胞密度、細胞生存率、及び有用タンパク質(AE6F4抗体)濃度、培養液の濁度を測定し、多孔膜における有用タンパク質の透過率を計算した。透過液の累積量が100L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は100%であった。透過液の累積量が400L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は97%であった。更に、透過液の累積量が540L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は66%であった。
透過液の累積量が100L/m2に到達した際における、培養液の濁度は2780NTUであった。また、透過液の累積量が400L/m2に到達した際における、培養液の濁度は7070NTUであった。更に、透過液の累積量が540L/m2に到達した際における、培養液の濁度は9620NTUであった。
(比較例2)
中空糸多孔膜として、Repligen社製MFホロファイバーモジュール(阻止孔径0.2μm、膜面積0.13m2)を使用し、実施例1と同様にしてATFシステムを用いた連続培養を行った。Repligen社製MFホロファイバーは緻密層を有する、平均孔径0.2μmの中空糸膜である。
実施例1と同様に、1日1回、培養槽及び透過液をサンプリングして、総細胞密度、細胞生存率、及び有用タンパク質(AE6F4抗体)濃度、培養液の濁度を測定し、多孔膜における有用タンパク質の透過率を計算した。また、培養槽から培養液を排出し、排出した培養液と同量の新鮮培地を培養槽に加えるブリーディング工程も実施した。透過液の累積量が100L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は95%であった。透過液の累積量が400L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は72%であった。更に、透過液の累積量が650L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は55%であった。
透過液の累積量が100L/m2に到達した際における、培養液の濁度は5830NTUであった。また、透過液の累積量が400L/m2に到達した際における、培養液の濁度は6820NTUであった。更に、透過液の累積量が650L/m2に到達した際における、培養液の濁度は8180NTUであった。
(比較例3)
中空糸多孔膜として、Repligen社製 MFホロファイバーモジュール(阻止孔径0.2μm、膜面積0.13m2)を使用し、比較例1と同様にしてATFシステムを用いた連続培養を行った。
比較例1と同様に、1日1回、培養槽及び透過液をサンプリングして、総細胞密度、細胞生存率、及び有用タンパク質(AE6F4抗体)濃度、培養液の濁度を測定し、多孔膜における有用タンパク質の透過率を計算した。透過液の累積量が100L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は92%であった。透過液の累積量が400L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は62%であった。
透過液の累積量が100L/m2に到達した際における、培養液の濁度は2540NTUであった。また、透過液の累積量が400L/m2に到達した際における、培養液の濁度は4080NTUであった。
(比較例4)
AE6F4抗体(モノクロナール抗体)産生チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を無血清培地(Invitrogen社 CD opti CHO AGT with 2ME)で培養して、AE6F4抗体産生CHO細胞懸濁液を得て、ブリーディング工程を含み、透過液の速度を1.5LMH以上に制御した条件下で、MF−SLを用いてATFシステムによる連続培養を実施した。
比較例1と同様な評価系にて、実施例1と同様にブリーディング工程を実施した。1日1回、培養槽及び透過液をサンプリングして、総細胞密度、細胞生存率、及び有用タンパク質(AE6F4抗体)濃度、培養液の濁度を測定し、多孔膜における有用タンパク質の透過率を計算した。
透過液の累積量が100L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は100%であった。透過液の累積量が400L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は98%であった。更に、透過液の累積量が590L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は81%であった。
透過液の累積量が100L/m2に到達した際における、培養液の濁度は2590NTUであった。また、透過液の累積量が400L/m2に到達した際における、培養液の濁度は5680NTUであった。更に、透過液の累積量が590L/m2に到達した際における、培養液の濁度は5720NTUであった。
(実施例2)
AE6F4抗体(モノクロナール抗体)産生チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を無血清培地(Invitrogen社 CD opti CHO AGT with 2ME)で培養して、AE6F4抗体産生CHO細胞懸濁液を得て、ブリーディング工程を含み、透過液の速度を1.0LMH以下に制御した条件下で、中空糸多孔膜(MF−SL、旭化成メディカル社製)を用いて培養液を一方向に流すTFFシステムによる連続培養連続培養を実施した。
予め、2L容量の細胞培養槽と、細胞培養液中の細胞と使用済み培地を分離する膜としての中空糸多孔膜モジュール(旭化成メディカル社製、BioOptimal MF−SL 0.19m2)と、Levitronix社PuraLev200MUのポンプヘッド部と、を接続してオートクレーブ滅菌した。MF−SLは、一次側表面の平均孔径が20μm以上100μm以下であり、実質的に緻密層を有しない中空糸多孔膜である。なお培養槽には、培養槽から中空糸多孔膜へ培養液を送液するための流出口、培養槽内の培養液をサンプリングするための流出口、新鮮培地を供給するための流入口、細胞数をコントロールするために培養液を排出するための流出口を設けた。その後、滅菌済みのシングルユースバックに新鮮培地を加え、無菌状態を維持しながらシングルユースバッグと、培養槽と、を接続した。また、PuraLev200MUのポンプヘッド部をモーター部に接続した。
1.5Lの新鮮無血清培地を培養槽に入れ、さらに20×105細胞/mLのCHO細胞懸濁液を250mL培養槽に入れて、培養を開始した。その後、総細胞数が70×105細胞/mLに増殖したことを確認した後に、細胞培養液の一部を排出して培養槽内の液量を1.5Lに調整した。次に、PuraLev200MUポンプを起動して培養液のタンジェンシャルフロー濾過と、培養槽への新鮮培地の供給する連続培養と、を開始した。タンジェンシャルフロー濾過においてはポンプにより培養槽から中空糸多孔膜への送液を行った。送液量は、ずり速度が1500s-1(5.2L/min)となるように設定した。中空糸多孔膜モジュールの透過液流出口にはポンプを設置し、透過液の速度は0.32LMH以上0.80LMH以下(1.01mL/min以上2.60mL/min)に設定した。また、培養槽への未使用培地の供給量も同じ一定速度に設定した。透過液量は、重量計によって随時測定した。
実施例1と同様にブリーディング工程を実施し、1日1回、培養槽及び透過液をサンプリングして、総細胞密度、細胞生存率、及び有用タンパク質(AE6F4抗体)濃度、培養液の濁度を測定し、多孔膜における有用タンパク質の透過率を計算した。
透過液の累積量が100L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は100%であった。また、透過液の累積量が400L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は97%であった。更に、透過液の累積量が650L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は84%であった。
透過液の累積量が100L/m2に到達した際における、培養液の濁度は3690NTUであった。また、透過液の累積量が400L/m2に到達した際における、培養液の濁度は4816NTUであった。更に、透過液の累積量が650L/m2に到達した際における、培養液の濁度は5176NTUであった。
(比較例5)
AE6F4抗体(モノクロナール抗体)産生チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を無血清培地(Invitrogen社 CD opti CHO AGT with 2ME)で培養して、AE6F4抗体産生CHO細胞懸濁液を得て、ブリーディング工程を含み、透過液の速度を1.0LMH以下に制御した条件下で、中空糸多孔膜してSpectrum社製MFホロファイバーモジュール(阻止孔径0.2μm、膜面積0.16m2)を使用し、TFFシステムによる連続培養を実施した。
予め、2L容量の細胞培養槽と、細胞培養液中の細胞と使用済み培地を分離する膜としての中空糸多孔膜モジュール(Spectrum社製MFホロファイバーモジュール0.16m2)と、Levitronix社PuraLev200MUのポンプヘッド部と、を接続してオートクレーブ滅菌した。Spectrum社製MFホロファイバーモジュールは緻密層を有する中空糸多孔膜である。なお培養槽には、培養槽から中空糸多孔膜へ培養液を送液するための流出口、培養槽内の培養液をサンプリングするための流出口、新鮮培地を供給するための流入口、細胞数をコントロールするために培養液を排出するための流出口を設けた。その後、滅菌済みのシングルユースバックに新鮮培地を加え、無菌状態を維持しながらシングルユースバッグと、培養槽と、を接続した。また、PuraLev200MUのポンプヘッド部をモーター部に接続した。
1.5Lの新鮮無血清培地を培養槽に入れ、さらに20×105細胞/mLのCHO細胞懸濁液を250mL培養槽に入れて、培養を開始した。その後、総細胞数が70×105細胞/mLに増殖したことを確認した後に、細胞培養液の一部を排出して培養槽内の液量を1.24Lに調整した。次に、PuraLev200MUポンプを起動して培養液のタンジェンシャルフロー濾過と、培養槽への新鮮培地の供給する連続培養と、を開始した。タンジェンシャルフロー濾過においてはポンプにより培養槽から中空糸多孔膜への送液を行った。送液量は、ずり速度が1500s-1(2.2L/min)となるように設定した。中空糸多孔膜モジュールの透過液流出口にはポンプを設置し、透過液の速度は0.32LMH以上0.80LMH以下(0.85mL/min以上2.13mL/min以下)に設定した。また、培養槽への未使用培地の供給量も同じ一定速度に設定した。透過液量は、重量計によって随時測定した。
実施例1と同様にブリーディング工程を実施し、1日1回、培養槽及び透過液をサンプリングして、総細胞密度、細胞生存率、及び有用タンパク質(AE6F4抗体)濃度、培養液の濁度を測定し、多孔膜における有用タンパク質の透過率を計算した。
透過液の累積量が100L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は69%であった。また、透過液の累積量が400L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は48%であった。
透過液の累積量が100L/m2に到達した際における、培養液の濁度は4440NTUであった。また、透過液の累積量が400L/m2に到達した際における、培養液の濁度は6400NTUであった。
(比較例6)
AE6F4抗体(モノクロナール抗体)産生チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を無血清培地(Invitrogen社 CD opti CHO AGT with 2ME)で培養して、AE6F4抗体産生CHO細胞懸濁液を得て、ブリーディング工程を含み、透過液の速度を1.5LMH以上に制御した条件下で、MF−SLを用いてTFFシステムによる連続培養を実施した。
予め12L容量の細胞培養槽と、細胞培養液中の細胞と使用済み培地を分離する膜としての中空糸多孔膜モジュール(旭化成メディカル社製、BioOptimal MF−SL 0.19m2)と、Levitronix社PuraLev200MUのポンプヘッド部と、未使用の培地を培養槽に供給する培地タンクと、を接続してオートクレーブ滅菌した。なお培養槽には、培養槽から中空糸多孔膜へ培養液を送液するための流出口、培養槽内の培養液をサンプリングするための流出口、及び新鮮培地を供給するための流入口を設けた。その後、PuraLev200MUのポンプヘッド部をモーター部に接続した。
6.5Lの新鮮無血清培地を培養槽に入れ、さらに20×105細胞/mLのCHO細胞懸濁液を1.2L培養槽に入れて、培養を開始した。その後、総細胞数が70×105細胞/mLに増殖したことを確認した後に、細胞培養液の一部を排出して培養槽内の液量を6.8Lに調整した。次に、PuraLev200MUポンプを起動して培養液のタンジェンシャルフロー濾過と、培養槽への新鮮培地の供給する連続培養と、を開始した。
濾過においてはポンプにより培養槽から中空糸多孔膜への送液を行った。送液量は、ずり速度が1500s-1(5.2L/min)となるように設定した。中空糸多孔膜モジュールの透過液流出口にはポンプを設置し、透過液の速度は1.5LMH以上3.5LMH以下(4.75mL/min以上11.1mL/min)に設定した。また、培養槽への未使用培地の供給量も同じ一定速度に設定した。透過液量は、重量計によって随時測定した。
実施例1と同様にブリーディング工程を実施し、1日1回、培養槽及び透過液をサンプリングして総細胞密度、細胞生存率、及び有用タンパク質(AE6F4抗体)濃度、培養液の濁度を測定し、多孔膜における有用タンパク質の透過率を計算した。透過液の累積量が100L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は95%であった。透過液の累積量が400L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は87%であった。更に、透過液の累積量が540L/m2に到達した際における、多孔膜における有用タンパク質の透過率は70%であった。
透過液の累積量が100L/m2に到達した際における、培養液の濁度は3200NTUであった。また、透過液の累積量が400L/m2に到達した際における、培養液の濁度は5890NTUであった。更に、透過液の累積量が540L/m2に到達した際における、培養液の濁度は6320NTUであった。
(実施例及び比較例の結果)
実施例1、2、及び比較例1から6の結果を図1及び図2に示す。有用タンパク質を産生する細胞の連続培養において、培養槽から培養液を排出し、排出した培養液と同量の新鮮培地を培養槽に加えるブリーディング工程を含み、緻密層を有しない中空糸多孔膜を使用し、膜透過液の速度を1.0LMH以下に制御すると、有用タンパク質の透過率は、実施例1では膜処理量950L/m2まで80%以上を維持し、実施例2では膜処理量650L/m2まで80%以上を維持した。
一方、上記と同様の緻密層を有しない中空糸多孔膜を使用しても、ブリーディング工程の有無にかかわらず、膜透過液の速度を1.5LMH以上に制御すると、有用タンパク質の透過率は膜透過液の速度を1LMH以下に設定した時よりも早期にが低下した。また、細胞の増殖性、及び細胞生存率は、継時的に低下した。
実施例1、2で示されたように、膜透過液の速度を1.0LMH以下に制御し、培養槽から培養液を排出し、排出した培養液と同量の新鮮培地を培養槽に加えるブリーディング工程を組み合わせることで、緻密層を有しない中空糸多孔膜は、長期に渡り、有用タンパク質の透過性を高く維持できる。一方、緻密層を有する中空糸多孔膜を使用した際には、有用タンパク質の透過率の低下は著しくそのような効果は見られなかった。
緻密層を有しない中空糸多孔膜と、緻密層を有する中空糸多孔膜と、を用いて、膜透過液の速度を1.0LMH以下に制御し、培養槽から培養液を排出し、排出した培養液と同量の新鮮培地を培養槽に加えるブリーディング工程を組み合わせた場合の効果に違いが出たのは、理論に束縛されるものではないが、下記の理由によるものと推察される。実質的に緻密層を有しない中空糸多孔膜においては、緻密層がないために、膜詰まりを引き起こす疎水性物質が詰まりやすい箇所は、仮に生じるとすれば、中空糸多孔膜の二次側であることが推測される。これに対し、透過液の速度が低下すると、緻密層を有しない中空糸多孔膜においては、疎水性物質が一次側にとどまり、疎水性物質が詰まりやすい二次側へ、疎水性物質が浸透しにくくなると考えられる。しかし、緻密層を有する中空糸多孔膜においては、中空糸多孔膜の一次側内面の緻密層で疎水性物質が詰まっていることが考えられる。緻密層を有する中空糸多孔膜の場合、透過液の速度が低下しても、中空糸多孔膜の一次側表面における疎水性物質の詰まり、保持、付着は緩和できないと推測される。
本発明者らは、有用タンパク質産生細胞の連続培養に対して、培養槽から培養液を排出し、排出した培養液と同量の新鮮培地を培養槽に加えるブリーディング工程を含み、培養液側表面の平均孔径が20μm以上100μm以下であり、実質的に緻密層を有しない中空糸多孔膜を使用し、透過液の速度を1.0LMH以下に制御することにより、有用タンパク質の透過率を80%以上に維持できる膜処理量を大幅に増加させることが可能であることを見出した。すなわち、高透過率を示す膜処理量が増加する分だけ、長期に渡り、有用タンパク質を高効率で回収することが可能であり、その結果、連続培養における生産性を大幅に向上させることができる。また、継続的に連続培養を行う場合において、濾過膜を交換する回数も低減できる。すなわち、多孔質膜にかかる費用のコストダウン・多孔膜交換時に生じうるコンタミネーションのリスクの低減も達成可能である。更には、有用タンパク質の培養槽内での滞留時間も短くできるため、最終製品である医薬品の品質増加にもつながる。
本発明は、有用タンパク質を産生する細胞の連続培養において、より生産性の高い培養を実現し、高効率で算出された有用タンパク質を回収する方法を提供することが可能であるという産業上の利用可能性を有する。本発明は、バイオ医薬品等の分野において有用である。

Claims (17)

  1. 有用物質を産生する細胞の連続培養において、培養液から前記有用物質を回収する方法であって、
    前記細胞の培養槽から前記培養液を排出し、当該排出した培養液と同量の新鮮培地を前記培養槽に加えるブリーディング工程と、
    前記培養槽から抽出した培養液を、実質的に緻密層を有しない多孔膜を用いて濾過する濾過工程と、
    を含み、
    前記濾過工程における濾過がタンジェンシャルフロー濾過であり、
    前記濾過工程における透過液の速度が1.0LMH以下である、
    有用物質を回収する方法。
  2. 前記濾過工程において、前記透過液の速度(X1)と、前記多孔膜に供給される前記培養液の流速(X2)と、の関係が、下記の式(I)を満たす、請求項1に記載の有用物質を回収する方法。
    300≦X2/X1≦6000 (I)
  3. 前記ブリーディング工程において、前記培養液の濁度が6000NTU以下に制御される、請求項1又は2に記載の有用物質を回収する方法。
  4. 前記タンジェンシャルフロー濾過が、前記多孔膜の一次側表面上で前記培養液を往復させる交互タンジェンシャルフロー濾過である、請求項1から3のいずれか1項に記載の有用物質を回収する方法。
  5. 前記ブリーディング工程において、前記培養槽における細胞の総数が、400×105細胞/mL以上700×105細胞/mL以下の範囲に維持される、請求項1から4のいずれか1項に記載の有用物質を回収する方法。
  6. 前記透過液の累積量が400L/m2になった時点における、前記多孔膜における前記有用物質の透過率が80%以上である、請求項1から5のいずれか1項に記載の有用物質を回収する方法。
  7. 前記透過液の累積量が650L/m2になった時点における、前記多孔膜における前記有用物質の膜透過率が80%以上である、請求項1から5のいずれか1項に記載の有用物質を回収する方法。
  8. 前記多孔膜が中空糸膜である、請求項1から7のいずれか1項に記載の有用物質を回収する方法。
  9. 前記中空糸膜の膜厚が300μm以上1000μm以下である、請求項8に記載の有用物質を回収する方法。
  10. 前記多孔膜の一次側表面の平均孔径が20μm以上100μm以下である、請求項1から9のいずれか1項に記載の有用物質を回収する方法。
  11. 前記多孔膜の一次側表面の平均孔径が、二次側表面の平均孔径より大きい、請求項1から10のいずれか1項に記載の有用物質を回収する方法。
  12. 前記多孔膜が、疎水性高分子と、親水性高分子と、を含む混合物からなる、請求項1から11のいずれか1項に記載の有用物質を回収する方法。
  13. 前記疎水性高分子がポリスルホンである、請求項11に記載の有用物質を回収する方法。
  14. 前記多孔膜の一次側表面を含む一次側領域の方が、前記多孔膜の二次側表面を含む二次側領域よりも疎水性である、請求項1から13のいずれか1項に記載の有用物質を回収する方法。
  15. 前記有用物質が生理活性物質である、請求項1から14のいずれか1項に記載の有用物質を回収する方法。
  16. 前記有用物質が、タンパク質、ウイルス、エクソソーム、及び核酸からなる群から選択される、請求項1から15のいずれか1項に記載の有用物質を回収する方法。
  17. 前記有用物質がモノクローナル抗体である、請求項1から16のいずれか1項に記載の有用物質を回収する方法。
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