JP2018074024A - 透光性無機led光源シート及びその製造方法並びに複合面状発光体 - Google Patents

透光性無機led光源シート及びその製造方法並びに複合面状発光体 Download PDF

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【課題】低コスト、大面積、長寿命な透光性無機LED光源シート及びその製造方法、並びにその少なくとも一方の面に有機EL光源シートを積層した色温度を変化させられる高彩度な複合面状発光体を提供する。【解決手段】透光性無機LED光源シート18は、間隔を開けて2次元状に配置された複数個のLEDチップ6と、複数個のLEDチップ6が備える陽極3のそれぞれと電気的に導通する層状の接着性透明陽極層12と、複数個のLEDチップ6が備える陰極4のそれぞれと電気的に導通し、対向配置された接着性透明陽極層12との間に複数個のLEDチップ6を挟む層状の透明陰極16と、複数個のLEDチップ6同士の間を埋める透明層間絶縁膜15と、を備える。2次元状に配置された複数個のLEDチップ6同士の間隔が、LEDチップ6の一辺の長さの1倍以上の距離とされている。【選択図】図17

Description

本発明は、透光性無機LED光源シート及びその製造方法と、透光性無機LED光源シートの背面に有機EL光源シートを積層した複合面状発光体に関する。
近年、地球温暖化防止の省エネルギーの観点から、照明装置においては、白熱電球や蛍光灯よりも発光効率が高い無機半導体を用いた発光ダイオード(「LED」と称する)や有機エレクトロルミネセント(EL)素子を光源に用いた照明装置が注目されている。また蛍光灯は、重金属である水銀を含有するため廃棄物処理の問題を有し、水銀を含まないLEDや有機ELの光源に置き換える動きが加速している。
白色LEDは、GaInN系結晶を用いた青色LEDからの青色発光をYAG系蛍光体やサイアロン系蛍光体の粉末等に吸収させ一部を黄色発光に変換することで白色発光を得ている。現在では、発光効率が200lm/Wを超える白色LEDが市販され始めている。また、LED光源は、輝度が30%減衰する時間であるLT70が40000時間を超える長寿命の製品が市販されている。
しかし、白色LEDは、青色光を長波長の光に変換することでストークス損によりエネルギー効率が低下し、最大理論発光効率は294lm/W程度に留まる。青、緑、赤独立の高効率の発光素子を組み合わせて白色を得れば、さらに最大理論効率は361lm/W程度まで改善される可能性がある。しかし、緑色発光のエネルギーは、GaInN系結晶とAlInGaP系結晶のエネルギーギャップ間のグリーンギャップと呼ばれる発光効率の悪い組成にあるため、青色の半分以下の発光量子収率となる。現在のところ200lm/Wを超える高効率で、かつ低価格の緑色LEDは、まだ開発途上である。
また、LEDは点光源であるため、高輝度の点光源を直接目視すると目に悪影響がある。そのため、導光板や反射拡散板により光を広げて照明器具にすることが行われる。しかし、その際の光損失により、照明器具での発光効率はLED素子での定格値の半分程度に低減する場合もある。
白色LEDは、使用する青色LED自体の寿命は長いが、点光源の強い光にさらされるレンズ樹脂や反射材料等の周辺材料が劣化し光透過率が低下することが輝度低下の原因と言われている。また、白色LEDは、その発光スペクトル中の青色LEDの発光スペクトル成分が強いことから寒色系の白色発光となり、冷たく暖かみを感じない光となるという問題があった。
有機EL素子を光源に用いた有機ELパネルは、発光効率が急速に向上しつつある。かつ面光源であるので、点光源のLEDに比べ面積当たりの光エネルギー密度が低く、基板の樹脂フィルムの光劣化や熱劣化の問題は少ない。また、LED照明器具のような放熱のための厚いヒートシンクが不要で、薄型化できる。
また、有機ELパネルを面状光源として照明器具に用いた場合は、有機ELパネルの高い発光効率の定格値を面状発光照明器具の発光効率として損失無く得ることもできる。
有機EL光源の高発光効率の例として、非特許文献1には、光取り出し構造を設けた単層グラフェン陽極と、緑色りん光発光材料を発光層に用いたフレキシブル有機ELパネルが開示されている。このフレキシブル有機ELパネルについては、1000cd/mの輝度時で200lm/Wの高効率、10000cd/m時でも150lm/W以上の高効率であると報告されている。
また、非特許文献2および3には、光取り出し層を形成した高屈折率基板を用い、発光層にはホストとして正孔輸送性ホストと電子輸送性ホストを混合してエキサイプレックスを形成させ、かつ黄色りん光発光材料をドープし、励起子エネルギーをホスト分子からドーパント分子にエネルギー移動させる有機EL素子を作製した旨が開示されている。そして、xy色度(0.44,0.35)、輝度1000cd/m時に200lm/Wを超える高効率を得たことが報告されている。さらに、白色発光有機ELパネルでは、初期輝度9000cd/m、LT70=2000時間からの換算で初期輝度1000cd/mからLT70=18万時間の長寿命が報告されている。
さらに、フレキシブル有機EL照明が市販され、フレキシブル有機ELテレビの試作品も発表されている。
しかし、緑系統や赤系統の発光色の有機EL素子は実用的な長寿命が得られているが、色純度の良い青色の有機EL素子はLED光源に比べ1桁程度短寿命である。そのため、青色発光の強度が高い有機ELパネルを作ることができず、色温度が低い暖色系の白色に限られ実用化されている。
そこで、無機LEDの高効率青色発光と、有機ELの高効率な緑から黄色発光を組み合わせた例が、液晶ディスプレイ用バックライトの面光源の用途で提案されている。
導光板に青色LEDをエッジライトとして付けた面状発光体と、LEDの発光と補色関係にある黄色発光の有機ELパネルとを積層し組み合わせることにより、白色の面状光源装置を得ている。白色LEDでは青色LED光の一部を黄色に変換するストークス損によるエネルギーロスが生じていたが、補色発光の有機ELパネルの積層によりバックライトの発光効率を向上できるとされている(例えば、特許文献1)。
また、同様に液晶バックライトの用途で、青色と黄色の有機ELパネルの透明基板の端面(以下、板の切り口の面を端面と表す)部に赤色LEDを取り付けることで、導光板と有機EL基板を兼用し、合成された光が白色となり、基板表面に設けた凸凹等の光取り出し部から光を散乱させ出射するようにした平面発光体も提案もされている(例えば、特許文献2)。
しかし、それらのLEDのエッジライトは端面から離れた場所では輝度が低下し易く、大面積の面状発光シートには適さない問題があった。
また、無機マイクロLEDをナノインプリント転写技術を使って印刷したディスプレイの作製(例えば非特許文献4、特許文献4)や、レーザーアブレーションを用いた転写技術でLEDチップをウエハから素子基板に印刷したディスプレイの作製(例えば、特許文献3)の例がある。
しかし、従来のナノインプリントを用いた転写法は、上面2極タイプのチップを実装するため、基板上の陽極、陰極の端子位置に正確に固定する必要がある。また、転写で基板上にチップ間隔を広げて印刷するためには、スタンプのピッチ間隔を広げた凸部上にウエハからLEDチップを転写し、素子基板へ再転写することを多数回繰り返す必要があり、大面積の照明用面状発光シートを製造するには生産性が低く適さなかった。
さらに、マイクロLEDをインク中に分散させてPETフィルム等のフレキシブル基板上に塗布し、大面積の面状発光シートを低コストで作製する試みも行われている(例えば、特許文献5)。しかし、LEDの極性や位置を揃えて塗布することが難しく、チップの位置のばらつきや発光する素子と上下逆向きに塗布された発光しない素子が混在する恐れがあった。
特開2002−100229号公報 特許第4432299号公報 特開2010−251360号公報 国際公開第2008/143635号 特表2014−511132号公報
Ning Li、他5名、「High Performance Organic Light-Emitting-Diodes on Graphene Electrode and Thin c-Si TFT for Flexible Display and Lighting」、SID Symposium Digest of Technical Papers、The Society for Information Display、2013年、Volume 44、p.848−851 日本化学会第95春季年会、2D3-50、(2015). Satoshi Seo、他6名、「Exciplex-triplet energy transfer: A new method to achieve extremely efficient organic light-emitting diode with external quantum efficiency over 30% and drive voltage below 3 V」、Japanese Journal of Applied Physics(JJAP)、応用物理学会、2014年、Volume 53、042102 Matthew Meitl他12名、「Passive Matrix Display with Transfer-Printed Microscale Inorganic LEDs」、SID Symposium Digest of Technical Papers、The Society for Information Display、2016年、p.743−746.
上記のような事情に鑑み、本発明は、低コスト、大面積、長寿命な透光性無機LED光源シート及びその製造方法、並びにその少なくとも一方の面に有機EL光源シートを積層した色温度を変化させられる高彩度な複合面状発光体を提供することを課題とする。
本発明の一態様に係る透光性無機LED光源シートは、間隔を開けて2次元状に配置された複数個のLEDチップと、複数個のLEDチップが備える陽極のそれぞれと電気的に導通する層状の透明陽極と、複数個のLEDチップが備える陰極のそれぞれと電気的に導通し、対向配置された透明陽極との間に複数個のLEDチップを挟む層状の透明陰極と、複数個のLEDチップ同士の間を埋める透明層間絶縁膜と、を備え、LEDチップは、陽極および陰極の間に、エネルギーギャップが3eV以上の炭化ケイ素または窒化ガリウムからなる半導体基板と、窒素原子およびガリウム原子を含有するクラッド層および発光層とが積層されてなり、陽極および陰極の少なくとも一方が透光性であり、さらに、2次元状に配置された複数個のLEDチップ同士の間隔が、LEDチップの一辺の長さの1倍以上の距離とされていることを要旨とする。
本発明の他の態様に係る透光性無機LED光源シートの製造方法は、上記一態様に係る透光性無機LED光源シートを製造する方法であって、複数個のLEDチップをダイシングテープ上に載置し、ダイシングテープを2軸延伸することにより、複数個のLEDチップ同士の間隔を、LEDチップの一辺の長さの1倍以上の距離に広げるLEDチップ分離工程と、ダイシングテープ上の複数個のLEDチップを、LEDチップ分離工程により複数個のLEDチップ同士の間隔が広げられた状態で、透明陽極および透明陰極の一方に転写し接着するLEDチップ転写工程と、を備えることを要旨とする。
本発明の他の態様に係る複合面状発光体は、上記一態様に係る透光性無機LED光源シートの少なくとも一方の面に、それぞれの発光面の少なくとも一部が重なるように、両面発光タイプまたは片面発光タイプの透明な有機EL光源シートが積層されたことを要旨とする。
本発明によれば、低コスト、大面積、長寿命、フレキシブルな透光性無機LED光源シート、及び、長寿命で、所望の色温度の発光が得られ高彩度な白色発光の複合面状発光体を提供することができる。
本発明の第一実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法における無機LED用ウエハ作製工程を説明するウエハの模式的断面図である。 本発明の第一実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法における透光性陰極エッチング工程を説明するエッチング後のウエハの模式的断面図である。 本発明の第一実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法におけるダイシング工程を説明するダイシングテープを貼りつけた状態のウエハの模式的断面図である。 LEDチップの陰極の形状を示す、陰極面側から見たLEDチップの模式的平面図である。 本発明の第一実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法におけるLEDチップ分離工程を説明する図であり、LEDチップを粘着面に載せたダイシングテープを2軸延伸分離することによりLEDチップを分離する様子を示す模式的断面図である。 本発明の第一実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法におけるLEDチップ転写工程を説明する図であり、転写押板の一方の面に密着した感温性粘着シートの面をLEDチップへ加熱圧着する様子を示す模式的断面図である。 本発明の第一実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法におけるLEDチップ転写工程を説明する図であり、転写押板の一方の面に密着した感温性粘着シートの面をLEDチップへ加熱圧着する様子を示す模式的断面図である。 本発明の第一実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法におけるLEDチップ転写工程を説明する図であり、LEDチップをダイシングテープから剥離する様子を示す模式的断面図である。 本発明の第一実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法におけるLEDチップ転写工程を説明する図であり、感温性粘着シート上のLEDチップを透明素子基板上の接着性透明陽極層へ加熱圧着転写する様子を示す模式的断面図である。 本発明の第一実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法におけるLEDチップ転写工程を説明する図であり、感温性粘着シート上のLEDチップを透明素子基板上の接着性透明陽極層へ加熱圧着転写した後の様子を示す模式的断面図である。 本発明の第一実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法における電極端子形成工程を説明する模式的断面図である。 本発明の第一実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法における透明層間絶縁膜形成工程を説明する模式的断面図である。 本発明の第一実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法における透明層間絶縁膜形成工程を説明する図であり、LEDチップの陰極上の透明層間絶縁膜を除去する様子を示す模式的断面図である。 本発明の第一実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法における透明陰極形成工程を説明する模式的断面図である。 本発明の第一実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法における保護層形成工程を説明する模式的断面図である。 透光性無機LED光源シートと有機EL光源シートとを貼り合わせた複合面状発光体の第一実施形態を示す模式的断面図である。 透光性無機LED光源シートと有機EL光源シートと光拡散シートとを貼り合わせた複合面状発光体の第一実施形態を示す模式的断面図である。 本発明の第二実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法におけるLEDチップ転写工程を説明する図であり、ダイシングテープ上のLEDチップを透明素子基板上の接着性透明陰極層へ加熱圧着転写する前の様子を示す模式的断面図である。 本発明の第二実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法におけるLEDチップ転写工程を説明する図であり、ダイシングテープ上のLEDチップを透明素子基板上の接着性透明陰極層へ加熱圧着転写中の様子を示す模式的断面図である。 本発明の第二実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法におけるLEDチップ転写工程を説明する図であり、ダイシングテープ上のLEDチップを透明素子基板上の接着性透明陰極層へ加熱圧着転写した後の様子を示す模式的断面図である。 本発明の第二実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法における電極端子形成工程を説明する模式的断面図である。 本発明の第二実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法における透明層間絶縁膜形成工程を説明する模式的断面図である。 本発明の第二実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法における透明層間絶縁膜形成工程を説明する図であり、LEDチップの陽極上の透明層間絶縁膜を除去する様子を示す模式的断面図である。 本発明の第二実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法における透明陽極形成工程を説明する模式的断面図である。 本発明の第二実施形態に係る透光性無機LED光源シートの製造方法における保護層形成工程を説明する模式的断面図である。 透光性無機LED光源シートと有機EL光源シートとを貼り合わせた複合面状発光体の第二実施形態を示す模式的断面図である。 透光性無機LED光源シートと有機EL光源シートと光拡散シートとを貼り合わせた複合面状発光体の第二実施形態を示す模式的断面図である。
以下の実施態様に基づく詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
(第一実施形態)
<透光性無機LED光源シートの製造方法>
以下に、透光性無機LED光源シート18の製造方法について図1から図15を参照しながら説明する。
[無機LEDウエハ作製工程]
上下面に電極が形成されたバーティカル型のLEDチップを、以下のようにして作製して用いる。図1に、無機LEDウエハの一例の模式的断面図を示す。
半導体基板1としては、エネルギーギャップ(以下「Eg」と記す)が3.0eV以上あり可視光透過率が高いSiC(Eg3.26eV)やGaN(Eg3.4eV)等のウエハからなる基板が用いられる。
半導体基板1の大きさは限定されないが、通常は直径3インチ以上6インチ以下の円形基板や、それらを方形に切断した基板を用いることができる。半導体基板1の厚さは、市販品は0.3mm以上0.5mm以下程度であるが、LED作製工程中の透明陰極形成工程前の工程で必要に応じて背面を研磨してもよい。半導体基板1の厚さは、作製するLEDのチップサイズに応じ、チップの外径の1/4以上からチップ外径の2倍以下であることが望ましい。薄すぎると、注入電流が発光層に均一拡散し難く、また工程中に割れやすくなる。アスペクト比(チップの厚さ/チップの外径)が2より大きく厚い場合は、透明素子基板への転写工程時に倒れやすくなる。
次に、半導体基板1上に、半導体基板1に接するように無機発光媒体層2を成膜する。無機発光媒体層2は、この順に積層されたn型クラッド層/発光層/p型クラッド層からなる。
n型クラッド層は、Si、Ge、Sn等をドープした数μm以下の厚さの単層または複数層からなる。発光層は、数nmの厚さのGaNとInGaN系等からなる膜を交互に積層した単一または多重量子井戸からなる。p型クラッド層は、Mg、Zn等をドープした数μm程度以下の厚さの単層または複数層からなる。これらの層は、スパッタリングまたは化学的気相堆積法等により形成される。
次に、無機発光媒体層2の上に、p型クラッド層に接するように陽極3を形成する。半導体基板1の無機発光媒体層2が形成されていない側の面には、陰極4を形成する。陽極3と陰極4は、どちらも透光性であるか、少なくとも一方の電極が透光性であることが望ましい。両方の電極が光反射性の場合は、陰極を部分的に形成して非形成面から発光が得られるようにするか、LEDチップの側面からの光を利用するようにする。
陽極3は、オーミック接続が取れるようにp型クラッド層に接するNiまたはPd(厚さ3nm以上8nm以下)上にAu等の電極材料を積層して形成する。透光性の陽極とするためには、電極の厚さをトータルで15nm以下、より好ましくは5nm以上10nm以下とすることが好ましい。陽極3は、真空蒸着法や、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の真空成膜法で形成することができる。
LEDチップの上下の一方の面から光を取り出す場合は、陽極3を光反射電極とし、Ni(厚さ3nm)/Ag(厚さ100nm)やNi(厚さ3nm)/Al(厚さ100nm)等としても良い。
また、陰極4は、半導体基板1に接するn型クラッド層の面にはオーミック接続が取れるように、Ti上にAu等の積層電極が形成される。透光性の陰極とするためには、電極の厚さをトータルで5nm以上10nm以下とすることが好ましい。陰極4は、真空蒸着法やイオンプレーティング法、スパッタリング法等で形成することができる。
LEDチップの上下の一方の面から光を取り出す場合は、陰極4を光反射電極とし、Ti(厚さ3nm)/Ag(厚さ100nm)やTi(厚さ3nm)/Al(厚さ100nm)等としても良い。
[透光性陰極エッチング工程]
図2の模式図で透光性陰極エッチング工程の説明をする。
図1の無機LEDウエハの陰極4を、LEDチップサイズに合わせて、円形、方形等の形状が並置された形状にドライエッチングまたはウエットエッチングによりエッチングし、図2のようにする。陰極4のサイズと配列は、切り分けられるLEDチップの形状やサイズに合わせて決められる。陰極4の形成前に、リフトオフ用のレジストが形成されている場合は、エッチング工程に代えてリフトオフ工程が行われても良い。
作製される各LEDチップの底辺の形状は、半導体基板1の切り分け易さから、方形が好ましい。1辺の長さは10μm以上500μm以下が好ましく、30μm以上200μm以下がより好ましい。10μmより小さいと切断の際の材料のロスが多くなり、500μmより大きいと、高電流を流した際に放熱が不十分になり発光時の発熱によりフレキシブル基板が融けたり変形するダメージが生じたり、輝点として目立つようになる。
[ダイシング工程]
図3の模式図でダイシング工程の説明をする。
エクスパンド可能な例えばポリ塩化ビニルフィルムの表面にアクリル系やウレタン系等の粘着材を塗布したダイシングテープ5を、図2の無機LEDウエハの陽極3形成面に貼り、成膜面を加工屑から保護すると共にフレームに固定する。そして、無機LEDウエハのLEDチップ6間をダイサーにより切り分け分離する。粘着材は、紫外線照射で粘着力が低下するタイプを用いることもできる。無機LEDウエハの表面は、必要に応じて水溶性保護膜等を成膜して保護しても良い。
方形チップに切断する場合は、ダイサーによりX,Y方向に切り込みを入れる。切り込み角度はダイサーのダイヤモンド砥石の刃の角度に依存する。
ダイサーによる半導体基板1の切り込みの後に、さらにドライエッチングやウエットエッチングを行い分離することもできる。
円形や八角形等の自由な形状のチップを作製したい場合は、ダイサーによる切断に代えて、レジストの塗布現像を行いドライエッチングやウエットエッチングで切断を行うことが可能である。
また、ダイヤモンド砥石の円盤の薄刃を使ったダイサーに代えて、レーザーを集光し照射することにより半導体基板1の内部に改質層を入れエクスパンドし切断するステルスダイシングや、レーザー自体でダイシングテープ面までカットを行うことでも、四角形以外にも六角形等の比較的自由な形状の切断が可能になる。
分離されたLEDチップ6の陰極4の方から見た陰極形状の例を、図4の模式図に示す。図4の(a)は、LEDチップ6の上面全面に陰極4を形成した例である。図4の(b)、(c)は、それぞれ四角枠状、リング枠状に透光性の陰極4を形成した場合の例である。図4の(a)の形状の透光性の陰極4上に、図4の(b)、(c)の枠形状の金属陰極がさらに積層され、光透過性や密着性が調整されていても良い。
[LEDチップ分離工程]
図5の模式図でLEDチップ分離工程(延伸工程)を説明する。ダイシングテープ5の端を、ダイシングで切れ込みを入れた方向に対応したX方向とY方向の端において2組の枠状の延伸治具枠7で挟んでX、Y方向に引き伸ばし2軸延伸することにより、LEDチップ6間のダイシングテープ5を引き伸ばしLEDチップ6を分離する。
ダイシングテープ5を引き延ばす量により、転写するLEDチップ6間の間隔を調整することができ、X、Y方向にそれぞれ1.5倍以上3倍以下程度引き延ばすことが好ましい。LEDチップ6間の隙間を、LEDチップ6の一辺の長さの好ましくは1倍以上の距離、より好ましくは1.5倍以上3倍以下の距離とすることにより、透光性無機LED光源シート18の透光性を高めることができる。例えばX、Y方向をそれぞれ2倍に延伸すると、75%の面積の隙間が生じ、光透過量を多くできる。
[LEDチップ転写工程1]
LEDチップ6をダイシングテープ5から感温性粘着シート9へ転写する工程を、図6から図8の模式図で説明する。
温度調整可能な転写押板8に吸着または密着させた枠に固定された感温性粘着シート9の下で、分離されたLEDチップ6が粘着固定されたダイシングテープ5を延伸された状態で延伸治具枠7により保持したまま、温度調整装置が付いた転写台10上に載せる(図6)。転写押板8の下面の形状は平面状、または転写領域の形状に応じた凸状であっても良い。感温性粘着シート9は、転写押板8の一面または部分的に貼り付けられていても良い。
感温性粘着シート9としては、例えばニッタ株式会社製のワックス代替タイプのインテリマー(商標)テープ等を用いることができる。このテープは、55℃程度以上の粘着力が増加した状態で加熱圧着後に、23℃程度の室温に戻すと強い接着力が得られ、さらに43℃以下で加熱を行うと粘着力が低下し剥離することができる。
次に、転写押板8に密着させた感温性粘着シート9と転写台10との間に、ダイシングテープ5に粘着固定されたLEDチップ6を挟み55℃の加熱状態で圧着する(図7)。そして、23℃の室温に戻し、感温性粘着シート9とLEDチップ6との間に、ダイシングテープ5とLEDチップ6との間の粘着力よりも強固な接着力を生じさせた後に、LEDチップ6をダイシングテープ5から剥離する(図8)。
[LEDチップ転写工程2]
LEDチップ6を感温性粘着シート9から透明素子基板11上の接着性透明陽極層12へ加熱圧着転写する工程を、図9、10の模式図で説明する。陰極端子形成部や必要に応じて素子基板周囲の封止部を除いた領域に接着性透明陽極層12を形成した、ガラスやプラスチックフィルムからなる透明素子基板11を用意する。そして、透明素子基板11の接着性透明陽極層12の面と、転写押板8に貼り付けられた感温性粘着シート9に固定されているLEDチップ6の面(陽極3)とを向い合わせて、加熱圧着する(図9)。その際、感温性粘着シート9としてニッタ株式会社製ワックス代替タイプのインテリマー(商標)テープを用いた場合は、約43℃で加熱圧着する。また、LEDチップ6間の間隔をさらに調整する必要がある場合は、加熱圧着前に再度必要な方向に感温性粘着シート9を延伸した後に加熱圧着することもできる。
接着性透明陽極層12は、可視域で高い透光性と導電性を有する接着材の層である。例えばエポキシ系接着材などの熱硬化性および光硬化性を有する接着性樹脂や、オレフィン系等のホットメルト系接着性樹脂をバインダーとして、銀ナノワイヤーを90質量%以上97質量%以下混合して用いることができる。さらに、バインダー中には、光透過率が高い単層カーボンナノチューブ(直径約1.5nm)や、3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下「PEDOT」と記す)をモノマー単位に含む導電性ポリマーやその複合体を含んでいても良い。
また、光透過率が高く目視困難な巾1.6μm以下の細線からなる金属メッシュ層上に、上記の高透明性で高導電性の接着材を形成しても良い(図示省略)。金属メッシュは、ナノ銀インクを印刷して形成するか、金属ベタ膜をフォトリソ法によりエッチングして形成することができる。
接着性透明陽極層12に混合するエポキシ樹脂等の接着性樹脂は、半硬化状態で用いても良いが、必要に応じて加熱圧着中に透明素子基板11側から光照射して硬化させ、接着性透明陽極層12とLEDチップ6との硬化接着を促進しても良い。そして、接着性透明陽極層12とLEDチップ6との硬化接着を促進した後に、LEDチップ6から感温性粘着シート9を剥離する。剥離後の状態を図10に示す。
[電極端子形成工程]
次に、接着性透明陽極層12を後加熱等の手段で十分に硬化させた後に、図11に示したように電極端子を形成する。すなわち、透明素子基板11の端部の接着性透明陽極層12上に陽極端子13を銀ペーストインク等の導電材料で形成し、接着性透明陽極層12を形成していない透明素子基板11の端部上に陰極端子14を銀ペーストインク等の導電材料で形成する。
[透明層間絶縁膜形成工程]
次に、電気絶縁性の透明樹脂材料からなる透明層間絶縁膜15を、図12に示すように、LEDチップ6の間を埋めるように塗布する。LEDチップ6間の透明層間絶縁膜15の膜厚はLEDチップ6の厚さより薄くなるようにし、LEDチップ6の陰極4上に載る透明層間絶縁膜15が薄くなるようにする。透明層間絶縁膜15の材料は、アクリル系樹脂材料、ビニル系樹脂材料、ウレタン系樹脂材料、エポキシ系樹脂材料、シリコーン系樹脂材料等の透明性の高い樹脂材料を用いることができる。
次に、LEDチップ6の陰極4と電気的に導通する透明陰極16を形成するために、酸素ガスやアルゴンガスの単独若しくは混合ガスによるプラズマエッチング、またはUVオゾン洗浄により、LEDチップ6の陰極4上に位置する透明層間絶縁膜15を除去し、陰極4の表面を露出させる(図13)。
[透明陰極形成工程]
次に、透明陰極16を、陰極端子14と少なくとも一部が接し電気的に導通できるように、且つ、LEDチップ6および透明層間絶縁膜15を覆うように成膜する。その際には、接着性透明陽極層12および陽極端子13とは接しないように透明陰極16を形成する(図14)。
透明陰極16の形成は、銀ナノワイヤーのアルコール分散液の塗布や、ポリスチレンスルホン酸(以下「PSS」と記す)を対イオンとするPEDOT:PSSの水性分散液の塗布や、スズドープ酸化インジウム膜、アルミニウムドープ酸化亜鉛膜等の透明酸化物導電膜等のスパッタリング成膜等の方法で行われる。
[保護層形成工程]
次に、図15に示すように、透明陰極16を覆うように保護層17を形成し、透光性無機LED光源シート18とする。保護層17は、例えば透明な粘着フィルムや水蒸気バリア性フィルムを貼りつけたり、スパッタリングや化学的気相堆積法等のドライ成膜法によりバリア性フィルムが形成され、物理的な保護と湿気や水からの保護を行う。
また、保護層17および透明素子基板11には、LEDの発光の青色発光成分(445nm以上475nm以下の波長)を緑色(500nm以上530nm以下の波長)、黄色(560nm以上590nm以下の波長)、赤色(600nm以上の波長)の成分を少なくとも1つ以上含む発光成分に変換する蛍光や燐光を発する色素や顔料の層が、リモート蛍光体として含有または積層されていても良い。その際、青色発光成分が最も強く発光し、色温度5700K以上、より好ましくは6500K以上の寒色系の青白発光となるようにすることが望ましい。
<複合面状発光体の製造方法>
以下に、複合面状発光体19の製造方法について、図16を参照しながら説明する。複合面状発光体19は、透光性無機LED光源シート18の少なくとも一方の面に有機EL光源シート20を粘着層21を介して貼りつけて作製する。その際、少なくとも透光性無機LED光源シート18の発光領域と有機EL光源シート20の発光領域の一部は重なるように貼りつける。有機EL光源シート20は、透明タイプでも良いし、片面発光タイプでも良いし、両面発光タイプでも良い。
図16には、片面発光タイプの有機EL光源シート20の発光面側を透光性無機LED光源シート18の透明素子基板11側に貼りつけた複合面状発光体19の例を示す。有機EL光源シート20が片面発光タイプであれば、その陰極22は、一般的にアルミニウムや銀を含む高反射率の金属からなる鏡面であるため、透光性無機LED光源シート18からの背面へ漏れた光を反射して正面輝度を高めることができる。
LEDチップ6内で発した光は、GaN膜(無機発光媒体層2)からSiC基板(半導体基板1)側へは低屈折率から高屈折率になるため、光透過性である。また、LEDチップ6の間隔も開いているので、有機EL光源シート20からの発光も容易に透光性無機LED光源シート18を通過することができる。
また、図17の模式図で示すように、第一実施形態の複合面状発光体19の発光面に光拡散シート23を貼りつけることもできる。光拡散シート23としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる厚さ1mm程度の発泡シートや、高屈折率の無機粒子を分散させた樹脂フィルムや、マイクロレンズアレイシートや、プリズムレンズシート等を用いることができ、LEDチップ6からの離散した点状発光と有機EL光源シート20からの面状発光とを拡散、融合させ、面状発光にすることができる。
<有機EL光源シート>
次に、有機EL光源シート20の一般的な構成例を示す。
有機EL光源シート20には、光透過性の有機EL素子基板24を用いるが、基板側からEL発光を取り出すボトムエミッション構造の素子と、基板とは反対側の電極からEL発光を取り出すトップエミッション構造の素子の使用が可能である。第一実施形態では、有機EL光源シート20に、一般的な有機EL光源シートに用いられるボトムエミッション構造の素子を使用した例を説明する。
第一実施形態に係る有機EL光源シート20は、図16に示すように、ガラスやポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン等からなるフレキシブルなプラスチックシートに水蒸気バリア膜を形成した有機EL素子基板24と、透明導電性酸化物、金属線メッシュ、カーボンナノワイヤー、銀ナノワイヤー、導電性ポリマー等の材料からなる透明陽極25と、有機蛍光材料またはりん光材料を含む有機発光層が正孔注入材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、電子注入材料などで挟まれてなるユニットを少なくとも1つ以上含む有機EL媒体層26と、透明導電性酸化物や金属等からなる陰極取り出し電極27と、水蒸気バリア性の高い酸窒化シリコン膜やアルミ箔等を含むEL素子保護層28と、を備える。その他、透明陽極の抵抗低減のためのバス配線電極等が必要に応じて設けられる。
有機EL光源シート20は、透光性無機LED光源シート18同様に、直流定電圧で高輝度発光させることができる。
有機EL媒体層26は、発光色の異なる発光層を透明中間電極層を挟んで多段に含むマルチホトン素子化も可能である。有機EL媒体層26に緑色発光層と赤色発光層を含ませれば、無機LED光源の青色発光の補色となる発光を容易に得ることができる。
(第二実施形態)
<透光性無機LED光源シートの製造方法>
第二実施形態の透光性無機LED光源シートの製造方法は、第一実施形態とはLEDチップ6の極性を逆転させ、LEDチップ6をダイシングテープ5から透明素子基板11へ直接転写して無機LED光源シート18を作製する方法である。無機LEDウエハ作製工程からLEDチップ分離工程(延伸工程)までは第一実施形態と同様であるので、それらの工程の説明は省略し、LEDチップ分離工程(延伸工程)の次の工程であるLEDチップ転写工程から説明する。
[LEDチップ転写工程]
LEDチップ6をダイシングテープ5から透明素子基板11へ転写する工程を、図18から図20の模式図で説明する。
延伸され分離されたLEDチップのシートを延伸治具枠7で保持したまま、温度調整装置が付いた転写台10上に載せる(図18)。次に、陰極端子形成部や必要に応じて素子基板周囲の封止部を除いた領域に接着性透明陰極層29を形成した、ガラスやプラスチックフィルムからなる透明素子基板11を用意する。そして、透明素子基板11の接着性透明陰極層29の面と、ダイシングテープ5の粘着面に貼り付けられたLEDチップ6の面とを向い合せて、温度調整と圧力調整が可能な転写台10と均圧押し板治具30とで挟み加熱圧着する(図19)。
接着性透明陰極層29は、可視域で高い透光性と導電性を有する接着材の層である。例えばエポキシ系接着材などの熱硬化性および光硬化性を有する接着性樹脂や、オレフィン系等のホットメルト系接着性樹脂をバインダーとして、銀ナノワイヤーを例えば90質量%以上97質量%以下混合して用いられる。さらに、バインダー中には、光透過率が高い単層カーボンナノチューブ(直径約1.5nm)や、3,4−エチレンジオキシチオフェンをモノマー単位に含む導電性ポリマーやその複合体を含んでいても良い。
また、光透過率の高く目視困難な巾1.6μm以下の細線からなる金属メッシュ層上に、上記の高透明性で高導電性の接着材を形成しても良い(図示省略)。金属メッシュは、ナノ銀インクを印刷して形成するか、金属ベタ膜をフォトリソ法によりエッチングして形成することができる。
接着性透明陰極層29に混合するエポキシ樹脂等の接着性樹脂は、半硬化状態で用いても良いが、必要に応じて加熱圧着中に透明素子基板11側から光照射して硬化させ、接着性透明陰極層29とLEDチップ6との硬化接着を促進しても良い。そして、接着性透明陰極層29とLEDチップ6との硬化接着を促進した後に、LEDチップ6からダイシングテープ5を剥離する。剥離後の状態を図20に示す。
転写台10や均圧押し板治具30の大きさは、透明素子基板11上の被転写領域の形状に応じて適当な形状に設計され、被転写領域の形状が大きい場合は、被転写領域が埋まるように繰り返し転写が行われる。
第一実施形態の場合は、透光性無機LED光源シート18のLEDチップ6を感温性粘着シート9から透明素子基板11へ転写する転写工程(LEDチップ転写工程2)において、転写時の熱圧着によりLEDチップ6が半硬化状態の接着性透明陽極層12に無機発光媒体層2のn型クラッド層まで埋没して、短絡が生じ非発光になるLEDが生じる可能性もあった。
しかし、第二実施形態の場合は、LEDチップ6を接着性透明陰極層29へ圧着する際には、通常数十μm以上の厚さのあるLEDチップ6の半導体基板1上の陰極4が接着性透明陰極層29に圧着されるので、無機発光媒体層2の発光層まで接着性透明陰極層29内に埋没して短絡し非発光になるということが少ない利点がある。
[電極端子形成工程]
次に、接着性透明陰極層29を加熱や紫外線照射等の手段で十分に硬化させた後に、図21に示したように電極端子を形成する。すなわち、接着性透明陰極層29を形成していない透明素子基板11の端部上に陽極端子13を銀ペーストインク等の導電材料で形成し、透明素子基板11上の接着性透明陰極層29の端部上に陰極端子14を銀ペーストインク等の導電材料で形成する。
[透明層間絶縁膜形成工程]
次に、図22に示すように、電気絶縁性の透明樹脂材料からなる透明層間絶縁膜15を、LEDチップ6の間を埋めるように塗布する。LEDチップ6間の透明層間絶縁膜15の膜厚は、LEDチップ6の厚さと同等か、わずかに厚くなるようにする。LEDチップ6の陽極3上に余剰に載る透明層間絶縁膜15の厚さは、0.1μm以下が好ましく、0.01μm以下がより好ましい。
透明層間絶縁膜15の材料は、アクリル系樹脂材料、ビニル系樹脂材料、ウレタン系樹脂材料、エポキシ系樹脂材料、シリコーン系樹脂材料等の透明性の高い樹脂材料を用いることができる。
次に、LEDチップ6の陽極3と電気的に導通する透明陽極25を形成するために、酸素ガスやアルゴンガスの単独若しくは混合ガスによるプラズマエッチング、またはUVオゾン洗浄、レーザーアブレーション等の手法により、LEDチップ6の陽極3上に位置する透明層間絶縁膜15を除去し、陽極3の表面を露出させる(図23)。
[透明陽極形成工程]
次に、透明陽極25を、陽極端子13と少なくとも一部が接し電気的に導通できるように、且つ、LEDチップ6および透明層間絶縁膜15を覆うように成膜する。その際には、接着性透明陰極層29や陰極端子14とは接しないように透明陽極25を形成する(図24)。
透明陽極25の形成は、銀ナノワイヤーのアルコール分散液の塗布や、ポリスチレンスルホン酸(PSS)を対イオンとするPEDOT:PSSの水性分散液の塗布や、スズドープ酸化インジウム膜、アルミニウムドープ酸化亜鉛膜等の透明酸化物導電膜等のスパッタリング成膜やナノ粒子の塗布焼成等の方法で行われる。
[保護層形成工程]
次に、図25に示すように、透明陽極25を覆うように保護層17を形成し、透光性無機LED光源シート18とする。保護層17は、透明な粘着フィルムや水蒸気バリア性フィルムを貼りつけたり、スパッタリングや化学的気相堆積法等のドライ成膜法によりバリア性フィルムが形成され、物理的な保護と湿気や水からの保護を行う。
また、保護層17は、LEDの発光の青色発光成分(445nm以上475nm以下の波長)を緑色(500nm以上530nm以下の波長)、黄色(560nm以上590nm以下の波長)、赤色(600nm以上の波長)の成分を少なくとも1つ以上含む発光成分に変換する蛍光や燐光を発する色素や顔料の層が、リモート蛍光体として含有または積層されていても良い。その際、青色発光成分が最も強く発光し、色温度5700K以上、より好ましくは6500K以上の寒色系の青白発光となるようにすることが望ましい。
<複合面状発光体の製造方法>
以下に、複合面状発光体19の製造方法について、図26を参照しながら説明する。複合面状発光体19は、透光性無機LED光源シート18の少なくとも一方の面に有機EL光源シート20を粘着層21を介して貼りつけて作製する。その際、少なくとも透光性無機LED光源シート18の発光領域と有機EL光源シート20の発光領域の一部は重なるように貼りつける。有機EL光源シート20は、透明タイプでも良いし、片面発光タイプでも良いし、両面発光タイプでも良い。
図26には、片面発光タイプの有機EL光源シート20の発光面側を透光性無機LED光源シート18の透明素子基板11側に貼りつけた複合面状発光体19の例を示す。有機EL光源シート20が片面発光タイプであれば、その陰極22は、一般的にアルミニウムや銀を含む高反射率の金属からなり鏡面であるため、透光性無機LED光源シート18からの背面へ漏れた光を反射して正面輝度を高めることができる。
LEDチップ6内で発した光は、GaN膜(無機発光媒体層2)からSiC基板(半導体基板1)側へは低屈折率から高屈折率になるため、光透過性である。よって、陰極4が反射性であれば、LEDチップ6の側面から光を発することができる。また、LEDチップ6の間隔は開いているので、有機EL光源シート20からの発光も容易に透光性無機LED光源シート18を通過することができる。
また、図27の模式図で示すように、第二実施形態の複合面状発光体19の発光面に光拡散シート23を貼りつけることもできる。光拡散シート23としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる厚さ1mm程度の発泡シートや、酸化チタンや酸化ジルコニウムのような高屈折率の無機粒子を分散させた樹脂フィルムや、マイクロレンズアレイシートや、プリズムレンズシート等を用いることができ、LEDチップ6からの離散した点状発光と有機EL光源シート20からの面状発光とを拡散、融合させ、面状発光にすることができる。
(第一および第二実施形態の効果)
第一および第二実施形態の透光性無機LED光源シート18は、間隔を開けて2次元状に配置された複数個の上下電極型無機マイクロLEDチップ(LEDチップ6)を、透光性で層状のシート電極(接着性透明陽極層12と透明陰極16、または、接着性透明陰極層29と透明陽極25)で挟んだ構造からなる。また、LEDチップ6を構成する半導体基板1、上下電極(陽極3および陰極4)ともに透光性である。
色温度5700K以上の寒色系白色発光の透光性無機LED光源シート18と、色温度5000K以下の暖色系白色発光(より好ましくは2700K以上4000K以下の暖色系白色発光)の有機EL光源シート20とを積層して貼り合わせて複合面状発光体19とし、透光性無機LED光源シート18と有機EL光源シート20のそれぞれの発光強度を調整することにより、それぞれの光が混合された任意の色温度の白色発光を得ることができる。
また、透光性無機LED光源シート18の発光が青色で、有機EL光源シート20の発光が黄色である場合には、青から白、白から黄色の混合色を得ることができる。また、有機EL光源シート20が、緑発光素子と赤発光素子が積層された独立駆動タイプである場合には、透光性無機LED光源シート18の青色発光との組み合わせにより、フルカラーの発光色の複合面状発光体19を得ることができる。
すなわち、透光性無機LED光源シート18の発光が色温度5700K以上の寒色系の白色発光であり、かつ有機EL光源シート20の発光が色温度5000K以下の暖色系の白色発光であり、さらに、透光性無機LED光源シート18と有機EL光源シート20が独立に駆動されて輝度変調可能であれば、それぞれの発光が混合することにより、複合面状発光体19の発光の色温度を変化させることができる。
第一および第二実施形態の複合面状発光体19は、無機LED光源の長寿命の青色発光と、有機EL光源の目に優しい均一で高効率な発光のそれぞれの長所を複合したものであり、かつ無機LED光源の点光源で眩しい欠点、有機EL光源の青色発光の短寿命の欠点を相互に補ったものである。
第一および第二実施形態の複合面状発光体19は、各LEDチップ6が接着固定される透明素子基板11上に、各LEDチップ6を固定するための個別の電極パッド構造を有する必要がない。また、各LEDチップ6と透明素子基板11上の電極や配線との間の電気的接続にワイヤーボンディングを使用する必要がない。さらに、各LEDチップ6を個別的に駆動するための配線を有する必要がない。
第一および第二実施形態の複合面状発光体19は、多用途に用いることができる。例えば、住宅、ホテル、カラオケルーム、寺院、車両、航空機、船舶、トイレ、浴室、寝室、音楽ホール、展示ケース、ショーウインドウ等の照明、表示灯、指示灯、広告や、照明付きの壁面や天井等の建材や、円柱状ディスプレイ、電柱照明、広告、街灯、通路灯、ガーデンライト、POP(購買時点)広告、遊具等に広く用いることができる。
また、複合面状発光体19の形状は、四角形以外の多角形としてもよい。例えば6角形や8角形も好ましく用いることができる。5角形と6角形の複合面状発光体19の組み合わせでサーカーボール状の球体を作ることもできる。また、自動車等の乗り物や、街や港の夜景、地球や月、飲料容器等の広告商品等の所望の形状にデザインできる。
また、複合面状発光体19にタッチセンサーパネルを組み込んだり、発光色変換層、文字や絵柄を必要に応じて設けても良い。
また、透明ピエゾフィルムスピーカーをさらに積層し重ねることで、複合面状発光体19の発光の輝度や色を音楽に合わせて変調駆動し、光と音が調和したインテリア照明玩具やデザイン照明、照明音響装置にすることもできる。
1・・・・半導体基板
2・・・・無機発光媒体層
3・・・・陽極
4・・・・陰極
5・・・・ダイシングテープ
6・・・・LEDチップ
7・・・・延伸治具枠
8・・・・転写押板
9・・・・感温性粘着シート
10・・・・転写台
11・・・・透明素子基板
12・・・・接着性透明陽極層
13・・・・陽極端子
14・・・・陰極端子
15・・・・透明層間絶縁膜
16・・・・透明陰極
17・・・・保護層
18・・・・透光性無機LED光源シート
19・・・・複合面状発光体
20・・・・有機EL光源シート
21・・・・粘着層
22・・・・陰極
23・・・・光拡散シート
24・・・・有機EL素子基板
25・・・・透明陽極
26・・・・有機EL媒体層
27・・・・陰極取り出し電極
28・・・・EL素子保護層
29・・・・接着性透明陰極層
30・・・・均圧押し板治具

Claims (4)

  1. 間隔を開けて2次元状に配置された複数個のLEDチップと、
    前記複数個のLEDチップが備える陽極のそれぞれと電気的に導通する層状の透明陽極と、
    前記複数個のLEDチップが備える陰極のそれぞれと電気的に導通し、対向配置された前記透明陽極との間に前記複数個のLEDチップを挟む層状の透明陰極と、
    前記複数個のLEDチップ同士の間を埋める透明層間絶縁膜と、
    を備え、
    前記LEDチップは、前記陽極および前記陰極の間に、エネルギーギャップが3eV以上の炭化ケイ素または窒化ガリウムからなる半導体基板と、窒素原子およびガリウム原子を含有するクラッド層および発光層とが積層されてなり、前記陽極および前記陰極の少なくとも一方が透光性であり、
    さらに、2次元状に配置された前記複数個のLEDチップ同士の間隔が、前記LEDチップの一辺の長さの1倍以上の距離とされている透光性無機LED光源シート。
  2. 2次元状に配置された前記複数個のLEDチップ同士の上下方向の向きが揃っている請求項1に記載の透光性無機LED光源シート。
  3. 請求項1または請求項2に記載の透光性無機LED光源シートを製造する方法であって、
    前記複数個のLEDチップをダイシングテープ上に載置し、前記ダイシングテープを2軸延伸することにより、前記複数個のLEDチップ同士の間隔を、前記LEDチップの一辺の長さの1倍以上の距離に広げるLEDチップ分離工程と、
    前記ダイシングテープ上の前記複数個のLEDチップを、前記LEDチップ分離工程により前記複数個のLEDチップ同士の間隔が広げられた状態で、前記透明陽極および前記透明陰極の一方に転写し接着するLEDチップ転写工程と、
    を備える透光性無機LED光源シートの製造方法。
  4. 請求項1または請求項2に記載の透光性無機LED光源シートの少なくとも一方の面に、それぞれの発光面の少なくとも一部が重なるように、両面発光タイプまたは片面発光タイプの透明な有機EL光源シートが積層された複合面状発光体。
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