JP2018073678A - 蓄電素子 - Google Patents

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Hisamitsu Kamezaki
久光 亀崎
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真幸 芳尾
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Abstract

【課題】正極活物質の単位質量あたりの放電容量が大きく、安全な蓄電素子を提供する。【解決手段】蓄電素子10は、正極活物質を含む正極11と、負極活物質を含む負極12と、非水溶媒に電解質塩が溶解している非水電解液とを有する。電解質塩は、正極活物質にインターカレート及びデインターカレートすることが可能なアニオンと、負極活物質にインターカレート及びデインターカレートすることが可能なカチオンを含む。非水溶媒は、アクセプターナンバーが2.6〜18.0である溶媒を含む。蓄電素子10は、負極の代わりに、リチウム電極を用いる場合の正極活物質の単位質量あたりの放電容量が80mAh/gを超える。【選択図】図1

Description

本発明は、蓄電素子に関する。
リチウムイオン電池(LIB)は、蓄電素子の一種であり、充放電を繰り返すことができるため、充放電頻度が高い用途に有用である。
LIBに使用される非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等の炭酸エステルが主として使用されている。また、炭酸エステルに溶解することが可能な電解質塩としては、LiPF等のリチウム塩が主として使用されている。
LIBの蓄電メカニズムは、リチウムイオン(Liイオン)の黒鉛格子内への挿入(インターカレーション)反応に基づき、黒鉛は、LiCとされる化合物に変化する。(例えば、特許文献1参照)。
また、コバルト酸リチウム(LiCoO)等のLiを含む複合酸化物からの脱Li反応、即ち、デインターカレーション反応が可能であることが報告されている(例えば、特許文献2参照)。
このため、Liを含む複合酸化物を正極活物質として用い、黒鉛を負極活物質として用い、Liイオンのインターカレーション反応及びデインターカレーション反応を蓄電メカニズムとするリチウムイオン電池が提案されている。
ところで、リチウムイオン電池(LIB)において、結晶格子内にLiイオン等がインターカレートすると、結晶格子が膨張するので、X線回折法(XRD法)によると、特定の結晶面に由来する回折X線ピークの位置が低角度側にシフトする。このシフトは、インターカレーション反応に特有な現象である。
黒鉛への1価の陽イオンのインターカレーション反応が確認されているのは、Liイオン、Kイオンなどであることが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。また、放電容量は小さくなるが、Naイオンも黒鉛にインターカレーションすることができるので、価格の低廉なNaイオンを用いるNaイオン電池も提案されている。
しかしながら、黒鉛へのLiイオンのインターカレーション反応の速度は遅いため、特に低温(0℃以下)では、金属Liの負極への析出が認められる。金属Liが充放電に伴って成長すると、対極である正極に達し、正負極の短絡が起こる可能性がある。また、LIBは、回路により過充電を制御しているが、まれに回路が壊れ、過充電されることがある。その結果、LIBの発火、爆発などの事故が発生する可能性がある。
上記の問題を解決するため、正極活物質として、炭素が用いられているデュアルイオン電池(DIB)が提案されている。DIBでは、正極活物質として、酸素を含まない炭素が用いられているため、発火、爆発などの事故の発生を防止することができる。
また、DIBでは、正極にアニオンがインターカレートし、負極にカチオンがインターカレートする。このため、非水電解液中のアニオンとカチオンのバランスが維持されることにより、過充電や金属Liの負極への析出を低減することができる。以上のように、DIBは、LIBに比べて、安全な蓄電素子を提供することが可能である。
一方、DIBでは、アニオンを正極にインターカレートさせる場合、非水溶媒によりアニオンが溶媒和され、アニオンの正極へのインターカレートが阻害されることが報告されている(例えば、非特許文献3参照)このため、DIBの正極活物質の単位質量あたりの放電容量は小さい。
本発明は、従来における問題を解決し、正極活物質の単位質量あたりの放電容量が大きく、安全な蓄電素子を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、蓄電素子において、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水溶媒に電解質塩が溶解している非水電解液とを有し、前記電解質塩は、前記正極活物質にインターカレート及びデインターカレートすることが可能なアニオンと、前記負極活物質にインターカレート及びデインターカレートすることが可能なカチオンを含み、前記非水溶媒は、アクセプターナンバーが2.6〜18.0である溶媒を含み、前記負極の代わりに、リチウム電極を用いる場合の前記正極活物質の単位質量あたりの放電容量が80mAh/gを超える。
本発明によると、正極活物質の単位質量あたりの放電容量が大きく、安全な蓄電素子を提供することができる。
本実施形態の蓄電素子の一例を示す概略図である。 評価用蓄電素子1〜3の充放電曲線である。 評価用蓄電素子4の充放電曲線である。 充電前後の評価用蓄電素子1のin−situ X線回折スペクトルである。 充電後の評価用蓄電素子4のin−situ X線回折スペクトルである。
(蓄電素子)
本実施形態の蓄電素子は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水溶媒に電解質塩が溶解している非水電解液とを有する。本実施形態の蓄電素子は、セパレータを有することが好ましく、必要に応じて、その他の部材を更に有する。
ここで、電解質塩は、正極活物質にインターカレート及びデインターカレートすることが可能なアニオンと、負極活物質にインターカレート及びデインターカレートすることが可能なカチオンを含む。
非水溶媒は、アクセプターナンバーが2.6〜18.0である溶媒を含み、アクセプターナンバーが2.6〜3.6である溶媒を含むことが好ましい。アクセプターナンバーが18.0を超える溶媒は、電解質塩に含まれるアニオンを溶媒和して、アニオン及び非水溶媒が充電時に正極活物質にインターカレートすることができないために、蓄電素子の正極活物質の単位質量あたりの放電容量が小さくなる。
本実施形態の蓄電素子における、負極の代わりに、リチウム電極を用いる場合の正極活物質の単位質量あたりの放電容量は、80mAh/gを超え、90mAh/g以上であることが好ましく、100Ah/g以上であることがさらに好ましい。
正極活物質として、炭素質材料を選択することが好ましい。これにより、正極活物質の単位質量あたりの放電容量が大きい蓄電素子を達成することができる。
本実施形態の蓄電素子の正極活物質の単位質量あたりの放電容量は、正極活物質の性能のみに依存するものではなく、非水溶媒として、アクセプターナンバーが2.6〜18.0である溶媒を選択することで、非水溶媒によるアニオンの溶媒和が抑制されるために達成することができる値である。
ここで、非水溶媒によるアニオンの溶媒和は、完全に防止することができるものではないため、アニオンとともに、非水溶媒が炭素質材料にインターカレートする。このとき、炭素質材料の結晶層の間隔は広がるが、in−situ X線回折スペクトルにおける充電後の炭素質材料由来の2θが21〜25°の範囲に存在する(002)ピークが、スプリットしていないことが好ましい。これにより、非水溶媒を含むアニオンが良好にインターカレートするため、正極活物質の単位質量あたりの放電容量が大きい蓄電素子を構築することができる。
以下、本実施形態の蓄電素子の各構成要素について、詳細に説明する。
<正極>
正極としては、正極活物質を含んでいれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、正極集電体上に、正極活物質を含む正極材を備えた正極などが挙げられる。
正極の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状などが挙げられる。
<<正極材>>
正極材は、正極活物質を含み、必要に応じて、導電剤、バインダ、増粘剤などを更に含む。
−正極活物質−
正極活物質は、炭素質材料を含むことが好ましい。炭素質材料は、電解質塩に含まれるアニオン(例えば、BF 、PF )をインターカレート及びデインターカレートさせることが可能である。このため、リチウムイオン等の金属イオンを含まない非水電解液で、正極活物質の単位質量あたりの放電容量が大きく、安全な蓄電素子を構成することが可能となる。
炭素質材料としては、例えば、黒鉛、炭素を用いることができる。
本明細書及び特許請求の範囲において、黒鉛とは、亀の甲状に結合した炭素原子の平面が層状に多数積層されており、炭素網面の平均面間隔d(002)が0.344nm未満の黒鉛状炭素質材料を意味する。黒鉛は、通常、六方晶系構造と菱面体晶系構造との混合物であるが、菱面体晶系構造をほとんど有しない構造の黒鉛であってもよい。また、炭素とは、亀の甲状に結合した炭素原子の平面が層状に多数積層されており、炭素網面の平均面間隔d(002)が0.344nm以上の非黒鉛状炭素質材料を意味する。
したがって、黒鉛と炭素は、炭素網面の平均面間隔d(002)が0.344nm未満であるか、0.344nm以上であるかによって決定される。
なお、ここでいう炭素網面の平均面間隔d(002)は、イオンがインターカレートされていない状態における値である。
−バインダ−
バインダとしては、正極を製造する時に使用する溶媒や非水電解液に対して安定な材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。
−増粘剤−
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化デンプン、リン酸化デンプン、カゼインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−導電剤−
導電剤としては、例えば、銅、アルミニウム等の金属材料、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<正極集電体>>
正極集電体の材質、形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
正極集電体の材質としては、導電性材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、銅、チタン、タンタルなどが挙げられる。これらの中でも、ステンレススチール、アルミニウムが特に好ましい。
正極集電体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
正極集電体の大きさとしては、蓄電素子に使用することが可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−正極の作製方法−
正極は、正極活物質に、必要に応じて、バインダ、増粘剤、導電剤、溶媒等を加えて、スラリー状とした正極材用塗布液を、正極集電体上に塗布した後、乾燥させて、正極材を形成することで製造することができる。
溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水系溶媒、有機系溶媒などが挙げられる。
水系溶媒としては、例えば、水、アルコールなどが挙げられる。
有機系溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、トルエンなどが挙げられる。
なお、正極活物質に、必要に応じて、バインダ、導電剤等を加えた正極材用組成物をロール成形してシート電極とする、または、圧縮成形してペレット電極とすることもできる。
<負極>
負極としては、負極活物質を含んでいれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、負極集電体上に負極活物質を有する負極材を備えた負極などが挙げられる。
負極の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状などが挙げられる。
<<負極材>>
負極材は、負極活物質を含み、必要に応じて、バインダ、導電剤などを更に含む。
−負極活物質−
負極活物質は、黒鉛を含むことが好ましく、必要に応じて、炭素を更に含む。
黒鉛のc軸方向の結晶子サイズLc(002)は、241.1nm以下であることが好ましく、123.92nm以下であることがさらに好ましい。黒鉛のc軸方向の結晶子サイズLc(002)が241.1nm以下であると、電解質塩に含まれるカチオンのドーピング(インターカレーション)が増加し、充分な充電量が得られるのみならず、充電量に対する放電量の割合(効率)が大きくなるため、蓄電素子の正極活物質の単位質量あたりの放電容量が大きくなる。
黒鉛のc軸方向の結晶子サイズLc(002)を241.1nm以下にするためには、黒鉛の層間の結合を断ち切る必要があり、膨張黒鉛の製造方法に準じて黒鉛を製造することが好適である。
負極活物質としては、膨張黒鉛を用いることもできる。
膨張黒鉛の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)天然黒鉛、キッシュ黒鉛、高結晶性熱分解黒鉛等の黒鉛材料を硫酸と硝酸の混酸で処理する方法、(2)過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩などの強酸化剤との混合液に黒鉛を浸漬して反応させる方法、(3)硫酸中で電気化学的に黒鉛を酸化して得られる黒鉛−硫酸の層間化合物を急速加熱処理して膨張化させる方法などが挙げられる。
負極活物質としては、上記の製造方法により製造されている膨張黒鉛をそのまま使用してもよい。また、負極活物質としては、膨張黒鉛を薄片化し、かつ、微粒子化したものを使用してもよい。これにより、膨張黒鉛のc軸方向の結晶子サイズLc(002)が更に小さくなる。
膨張黒鉛を微粒子化する方法としては、例えば、膨張黒鉛を超音波により破砕する方法、磨砕器を用いて膨張黒鉛を磨砕する方法などがある。
膨張黒鉛を超音波により破砕する方法としては、例えば、膨張黒鉛を液体に浸漬した後、超音波を印加する方法が挙げられる。
液体としては、例えば、水、アセトン等のケトン類、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類、ヘキサン等のパラフィン系溶剤などが挙げられる。
磨砕器を用いて膨張黒鉛を磨砕する方法としては、例えば、鋼球、アルミナ球等のセラミックス球、又は、棒状の鋼、セラミックス等の耐摩耗性の高いメディア及びボールミル、ヘンシェルミキサー等の磨砕器を用いて、膨張黒鉛を湿式粉砕する方法が挙げられる。
膨張黒鉛を微粒子化した後、微粒子された膨張黒鉛を更に厚密化してもよい。
厚密化された膨張黒鉛は、嵩密度が高く、タップ密度が0.7g/cm以上1.3g/cm以下であることが好ましい。
厚密化された膨張黒鉛は、アスペクト比が1以上5以下の紡錘状をなす膨張黒鉛を10体積%以上含む、又は、アスペクト比が1以上10以下の円盤状をなす膨張黒鉛を50体積%以上含むことが好ましい。
微粒子された膨張黒鉛に衝撃を加えることにより、厚密化することができる。このとき、振動ミルを用いることが好ましい。
振動ミルとしては、例えば、振動ボールミル、振動ディスクミル、振動ロッドミルなどが挙げられる。
アスペクト比が大きい鱗片状の微粒子された膨張黒鉛を厚密化すると、微粒子された膨張黒鉛は、主に黒鉛のベーサルプレーン(基礎面)で積層しながら二次粒子化し、同時に積層した二次粒子の端部が丸く削られて厚みのあるアスペクト比が1以上10以下の円盤状、又は、アスペクト比が1〜5の紡錘状に変化し、アスペクト比が小さい膨張黒鉛に変換される。
このようにして微粒子された膨張黒鉛をアスペクト比が小さい膨張黒鉛に変換した結果、膨張黒鉛は、結晶性が高いにもかかわらず、等方性に優れ、タップ密度が高くなる。そのため、厚密化された膨張黒鉛を用いて、負極材を形成する場合、負極材用塗布液中の厚密化された膨張黒鉛の濃度を高くすることができ、負極材は、厚密化された膨張黒鉛の密度が高くなる。
炭素は、石油系コークス及び/又は石炭系コークスを粉砕し、2,000℃以下(例えば、900〜1,300℃)で焼成することにより製造することができ、いわゆるソフトカーボンである。また、炭素は、黒鉛化しにくいハードカーボンであってもよい。
−バインダ−
バインダとしては、負極を製造する時に使用する溶媒や非水電解液に対して安定な材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。
−導電剤−
導電剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、銅、アルミニウム等の金属材料、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<負極集電体>>
負極集電体の材質、形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
負極集電体の材質としては、導電性材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、銅、ニッケル、チタンなどが挙げられる。
負極集電体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
負極集電体の大きさとしては、蓄電素子に使用することが可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−負極の作製方法−
負極は、負極活物質に、必要に応じて、バインダ、導電剤、溶媒等を加えてスラリー状とした負極材用塗布液を、負極集電体上に塗布した後、乾燥させて、負極材を形成することで製造することができる。
溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水系溶媒、有機系溶媒などが挙げられる。
水系溶媒としては、例えば、水、アルコールなどが挙げられる。
有機系溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、トルエンなどが挙げられる。
また、負極活物質に、必要に応じて、バインダ、導電剤等を加えた負極材用組成物をロール成形してシート電極としたり、圧縮成形してペレット電極としたりすることもできる。
<非水電解液>
非水電解液は、非水溶媒に電解質塩が溶解している電解質溶液である。これらの中でも、安全性の点から、金属イオンを含まない非水電解液を用いることが好適である。
なお、非水電解液としては、金属イオンを含まない陽イオン及び陰イオンからなるイオン性液体を用いてもよい。
−非水溶媒−
非水溶媒は、アクセプターナンバーが2.6〜18.0である溶媒を含み、アクセプターナンバーが2.6〜3.6以下の溶媒を含むことが好ましい。
アクセプターナンバーが2.6〜18.0である溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
非水溶媒中のアクセプターナンバーが2.6〜18.0である溶媒の含有量は、目的に応じて適宜選択することができるが、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。非水溶媒中のアクセプターナンバーが2.6〜18.0である溶媒の含有量が50質量%以上であると、蓄電素子の正極活物質の単位質量あたりの放電容量を向上させることができる。
非水溶媒は、アクセプターナンバーが18.0を超える溶媒をさらに含んでいてもよい。
アクセプターナンバーが18.0を超える溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
さらに、混合する非水溶媒としては、非プロトン性低誘電率の公知の溶媒を用いることもでき、例えば、ジエチレンカーボネート、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−電解質塩−
電解質塩は、正極活物質にインターカレート及びデインターカレートすることが可能なアニオンと、負極活物質にインターカレート及びデインターカレートすることが可能なカチオンを含む。
電解質塩としては、安全性の点から、陽イオンを含む塩が好ましい。
電解質塩中の陽イオンとしては、例えば、テトラエチルアンモニウム(TEA)イオン、テトラブチルアンモニウム(TBA)イオン、トリエチルメチルアンモニウム(TEMA)イオン等の脂肪族第4級アンモニウムイオン、環状第4級アンモニウムイオン;スピロ−(1,1')ビピロリジニウム、ジメチルピロリジニウム、ジエチルピロリジニウム、エチルメチルピロリジニウム、エチルメチルピロリジニウム(EMP)イオン等のピロリジニウムイオン;スピロビピロジニウム(SBP)イオン等の二員環を有するスピロ型ビピロジニウムイオン、テトラエチルホスホニウム(TEP)イオン、トリメチルアルキルアンモニウムイオンであってアルキル基の炭素数が2〜10のものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
電解質塩としては、周期表(短周期型又は長周期型)における第一周期、第二周期及び第三周期の非金属乃至半金属元素、並びにAs及びSbから選択される少なくとも1種を含む電解質塩が用いられる。
このような電解質塩としては、陰イオンを含む塩が好ましい。
電解質塩中の陰イオンとしては、例えば、4フッ化ホウ酸イオン(BF )、6フッ化リン酸イオン(PF )、過塩素酸イオン(ClO )、6フッ化ヒ素イオン(AsF )、6フッ化アンチモンイオン(SbF )、デカクロロ硼酸イオン(B10Cl10 2−)、ペルフルオロメチルスルホニルイオン(CFSO )、ペルフルオロメチルスルホナトイオン(CFSO )、B12Cl12 2−、(CFSO )N、(CFSO )C、AlCl などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
電解質塩に含まれるアニオンとして、PF 、BF を用いる場合、アニオンがインターカレートした炭素質材料の結晶層の間隔、即ち、Gallery Heightは、それぞれ4.6以上、4.4以上であることが好適である。これにより、正極活物質の単位質量あたりの放電容量が大きい蓄電素子を達成することができる。
電解質塩に含まれるアニオンとして、PF 、BF を用いる場合の充電後の炭素質材料の炭素網面の平均面間隔d(002)は、それぞれ3.80〜4.00Å、3.65〜3.80Åであることが好適である。
電解質塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。電解質塩の中でも、蓄電素子の初期容量を向上させる点から、リチウム塩が特に好ましい。
リチウム塩としては、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、塩化リチウム(LiCl)、ホウ弗化リチウム(LiBF)、LiB(C、六弗化砒素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド(LiN(CFSO)、リチウムビスパーフルオロエチルスルホニルイミド(LiN(CSO)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
非水電解液中の電解質塩の含有量は、0.8〜3.5mol/Lであることが好ましく、1.0〜2.5mol/Lであることがより好ましい。非水電解液中の電解質塩の含有量が0.8mol/L以上であると、非水電解液中のイオンの数が多くなり、蓄電素子の正極活物質の単位質量あたりの放電容量を向上させることができる。一方、非水電解液中の電解質塩の含有量が2.5mol/Lを超えても、蓄電素子の正極活物質の単位質量あたりの放電容量に寄与しない。
<セパレータ>
セパレータは、正極と負極の短絡を防ぐために正極と負極の間に設けられる。
セパレータの材質、形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
セパレータとしては、例えば、クラフト紙、ビニロン混抄紙、合成パルプ混抄紙等の紙、セロハン、ポリエチレングラフト膜、ポリプロピレンメルトブロー不織布等のポリオレフィン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維不織布、ガラスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
セパレータの形状としては、例えば、シート状が挙げられる。
セパレータの大きさとしては、蓄電素子に使用することが可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
セパレータの構造は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
<その他の部材>
その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、外装缶、引き出し線などが挙げられる。
<蓄電素子の製造方法>
本実施形態の蓄電素子は、例えば、正極、負極及び非水電解液と、セパレータとを、適切な形状に組み立てることにより製造することができる。蓄電素子を製造する際に、必要に応じて、外装缶等のその他の部材を更に用いることも可能である。
蓄電素子を組み立てる方法としては、特に制限はなく、通常採用されている方法の中から適宜選択することができる。例えば、非水電解液中に正極及び負極が浸されている蓄電素子は、セパレータを介して、正極及び負極を重ね合わせた後、非水電解液を含浸させて組み立てることができる。
<蓄電素子の形状>
本実施形態の蓄電素子の形状としては、特に制限はなく、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。
蓄電素子の形状としては、例えば、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプなどが挙げられる。
図1に、本実施形態の蓄電素子の一例を示す。
蓄電素子10は、正極11、負極12及びセパレータ13が外装缶14内に収容されており、セパレータ13内に非水電解液が充填されている。また、正極11及び負極12に、それぞれ引き出し線15及び16が設けられている。
<蓄電素子の用途>
本実施形態の蓄電素子の用途としては、例えば、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、子供用玩具ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラなどが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
<評価用蓄電素子1の作製>
−正極の作製−
導電剤としての、アセチレンブラック(AB)の20質量%分散液SAブラックA1243(御国色素社製)を水で5倍に希釈し、ABの5質量%分散液を得た。
ノンバブルニーダNBK1(日本精機製作所社製)を用いて、正極活物質としての、天然黒鉛NGr(三井金属鉱山社製)3gと、ABの5質量%分散液4gを、1000rpmで15分間混練した後、カルボキシメチルセルロース(CMC)の3質量%水溶液1〜3gを加え、導電性と粘性を調整し、正極材用塗布液を調製した。
成膜装置を用いて、正極集電体としての、厚さが20μmのアルミシート上に、正極材用塗布液を成膜して正極材を形成し、正電極を作製した。
−非水電解液の調製−
濃度が1Mになるように、LiPFをエチルメチルカーボネート(EMC)に溶解させ、非水電解液0.3mLを調製した。
−セパレータ−
セパレータとして、ガラス繊維ろ紙GA−100(アドバンテック社製)を用意した。
−蓄電素子の作製−
アルゴン雰囲気のドライボックス中で、直径16mmに打ち抜いた、正極と、負極としての、Li電極(本庄ケミカル社製)の間に、セパレータを挟んで隣接配置した後、非水電解液を充填し、コインタイプの評価用蓄電素子1を作製した。
<評価用蓄電素子2の作製>
電解液を調製する際に、EMCをジメチルカーボネート(DMC)に変更した以外は、評価用蓄電素子1と同様にして、評価用蓄電素子2を作製した。
<評価用蓄電素子3の作製>
電解液を調製する際に、EMCをジエチルカーボネート(DEC)に変更した以外は、評価用蓄電素子1と同様にして、評価用蓄電素子3を作製した。
<評価用蓄電素子4の作製>
電解液を調製する際に、EMCをエチレンカーボネート(EC)に変更した以外は、評価用蓄電素子1と同様にして、評価用蓄電素子4を作製した。
次に、蓄電素子の充放電特性を評価した。
<充放電特性>
TOSCAT−3100(東洋システム社製)を用いて、評価用蓄電素子に対し、室温で、0.5mA/cmの定電流で充電終止電圧5.2Vまで充電した後、3.0Vまで放電した。
図2及び図3に、それぞれ評価用蓄電素子1〜3及び評価用蓄電素子4の充放電曲線を示す。
図2から、評価用蓄電素子1〜3は、正極活物質の単位質量あたりの放電容量が、それぞれ115mAh/g、90mAh/g、100mAh/gであることがわかる。また、図3から、評価用蓄電素子4は、正極活物質の単位質量あたりの放電容量が80mAh/gであることがわかる。
表1に、評価用蓄電素子1〜4の充放電特性の評価結果を示す。
Figure 2018073678
ここで、EMCをアクセプターナンバー(AN)が18.0を超える非水溶媒(例えば、ANが18.6のプロピレンカーボネート(PC))に変更した以外は、評価用蓄電素子1と同様にして、評価用蓄電素子を作製した場合に、正極活物質の単位質量あたりの放電容量が最も大きいのは、評価用蓄電素子4であった。つまり、評価用蓄電素子4以外の評価用蓄電素子は、いずれも正極活物質の単位質量あたりの放電容量が80mAh/g以下であった。
評価用蓄電素子1〜3に示したように、非水溶媒として、MEC、DEC又はDMCを単独で使用した場合は、正極活物質の単位質量あたりの放電容量が90mAh/g以上となるが、蓄電素子の性能は、正極活物質の単位質量あたりの放電容量のみで決定できるものではない。例えば、低温特性を向上させる場合は、非水溶媒として、凝固点が低い材料を選択する必要がある。そのため、非水溶媒として、混合溶媒を使用することが一般的である。
したがって、蓄電素子の正極活物質の単位質量あたりの放電容量がANが18.0を超える非水溶媒を有する場合を超える、即ち、80mAh/gを超えるために、非水溶媒は、ANが2.6〜18.0である溶媒を含むことが好適である。
次に、評価用蓄電素子1〜3のin−situ X線回折(XRD)スペクトルを測定した。
図4に、充電前後の評価用蓄電素子1のin−situ X線回折スペクトルを示す。
図4から、充電後の(002)ピークは、23.55oにシフトし、(003)ピークは、35.25oに検出されることがわかる。
ここで、充電前後の評価用蓄電素子2、3のin−situ X線回折スペクトルは、図4と同様であり、充電後の(002)ピークは、23.55oにシフトし、(003)ピークは、35.25oに検出された。これは、充電後の(002)ピーク及び(003)ピークの位置が、インターカレートするPF の大きさと、インターカレートされる黒鉛の炭素網面の面間隔にかかわるためであると考えられる。
図5に、充電後の評価用蓄電素子4のin−situ X線回折スペクトルを示す。
図5から、充電後の(002)ピークは、図4よりも低角度側にシフトし、2本に分裂している。これは、ECにより溶媒和されているPF イオンが黒鉛にインターカレートし、黒鉛の炭素網面の面間隔が非常に大きくなっているためであると考えられる。これにより、蓄電素子のサイクル特性などが劣化することがある。
図4及び図5からわかるように、非水溶媒として、ANが18.0を超える溶媒を用いた場合、溶媒和されているアニオンが炭素質材料にインターカレートすることにより、炭素質材料の積層構造が破壊される。
そのため、ANが2.6〜18.0の溶媒を含む非水溶媒を使用して、非水溶媒によるアニオンの溶媒和を抑制し、炭素質材料の積層構造の破壊を防ぐことが重要である。ただし、非水溶媒によるアニオンの溶媒和を完全に防ぐことは不可能である。このため、炭素質材料の積層構造の破壊が軽微であるかぎり、非水溶媒がアニオンとともにインターカレートすることは、蓄電素子の諸特性に問題がない限り、好適である。
一方、PF 、BF が挿入された黒鉛のGallery Heightを非特許文献2に記載されている方法に従って計算したところ、それぞれ4.6+0.2Å、4.4+0.2Åであった。このとき、黒鉛のGallery Heightが0.2Å大きく算出されているのは、黒鉛に、アニオンと共に、非水溶媒がインターカレートしたためと考えられる。
また、PF 、BF が挿入された充電後の黒鉛の炭素網面の平均面間隔d(002)は、それぞれ3.80〜4.00Å、3.65〜3.80Åであった。
<炭素質材料の分析方法>
ミニフレックスII型X線回折装置(リガク社製)を用いて、Cu−Kα線をNiフィルタで単色化し、高純度シリコンを標準物質として、学振法(Carbon−X)により、炭素質材料のc軸方向の結晶子サイズLc(002)及び炭素網面の平均面間隔d(002)を測定した。
<実施例1>
−負極の作製−
導電剤としての、アセチレンブラック(AB)の20質量%分散液SAブラックA1243(御国色素社製)を水で5倍に希釈し、ABの5質量%分散液を得た。
ノンバブルニーダNBK1(日本精機製作所社製)を用いて、負極活物質としての、炭素網面の平均面間隔d(002)が0.337nm、c軸方向の結晶子サイズLc(002)が241.10nmの膨張黒鉛GDAS20(佐賀大学製)3gと、ABの5質量%分散液4gを、1000rpmで15分間混練した後、CMCの3質量%水溶液1〜3gを加え、導電性と粘性を調整し、負極材用塗布液を調製した。
ここで、GDAS20は、天然黒鉛を超音波により粉砕することで得た鱗片状の黒鉛である。
成膜装置を用いて、負極集電体としての、厚さが20μmの銅シート上に、負極材用塗布液を成膜して負極材を形成し、負電極を作製した。
−非水電解液の調製−
濃度が2Mになるように、LiBFをEMCに溶解させた溶液0.15mLと、濃度が2.0Mになるように、スピロビピロリジニウムテトラフルオロボレート(SBPBF)をプロピレンカーボネート(PC)に溶解させた溶液0.15mLを混合し、非水電解液0.3mLを調製した。
−蓄電素子の作製−
得られた負極及び非水系電解液を用いた以外は、評価用蓄電素子1と同様にして、蓄電素子を作製した。蓄電素子は、正極活物質の単位質量あたりの放電容量が83mAh/gであった。
<実施例2>
負極活物質として、炭素網面の平均面間隔d(002)が0.337nm、c軸方向の結晶子サイズLc(002)が123.92nmの膨張黒鉛F−Gr(佐賀大学製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、蓄電素子を作製した。蓄電素子は、正極活物質の単位質量あたりの放電容量が95mAh/gであった。
ここで、膨張黒鉛F−Grは以下の方法で作製した。まず、98質量%硫酸9質量部と60質量%硝酸1質量部との混酸に天然黒鉛を2時間接触させて、黒鉛−硫酸層間化合物を得た。次に、黒鉛−硫酸層間化合物を水で洗浄した後、乾燥させ、膨張黒鉛を得た。さらに、800℃以上1,000℃以下の電気炉に膨張黒鉛を投入して加熱した後、超音波粉砕した。
<比較例1>
負極活物質として、炭素網面の平均面間隔d(002)が0.337nm、c軸方向の結晶子サイズLc(002)が255.35nmのMAGC(日立化成社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、蓄電素子を作製した。蓄電素子は、正極活物質の単位質量あたりの放電容量が39mAh/gであった。
表2に、蓄電素子の充放電特性の評価結果を示す。
Figure 2018073678
表2から、実施例1、2の蓄電素子は、正極活物質の単位質量あたりの放電容量が大きいことがわかる。
一方、比較例1の蓄電素子は、膨張黒鉛のc軸方向の結晶子サイズLc(002)が255.35nmであるため、正極活物質の単位質量あたりの放電容量が小さい。
10 蓄電素子
11 正極
12 負極
13 セパレータ
14 外装缶
15、16 引き出し線
米国特許第4,423,125号公報 特開昭55−136131号公報 特開2005−294780号公報
渡辺著「グラファイト層間化合物」、近代編集社発行、第236頁 P. W. Ruch et. Al, Electrochim. Acta, 53 (2007) 1074 J. Gao, M. Yoshio, Li Qi, H Wang, J of power Sources 278 (2015) 452-457

Claims (12)

  1. 正極活物質を含む正極と、
    負極活物質を含む負極と、
    非水溶媒に電解質塩が溶解している非水電解液とを有し、
    前記電解質塩は、前記正極活物質にインターカレート及びデインターカレートすることが可能なアニオンと、前記負極活物質にインターカレート及びデインターカレートすることが可能なカチオンを含み、
    前記非水溶媒は、アクセプターナンバーが2.6〜18.0である溶媒を含み、
    前記負極の代わりに、リチウム電極を用いる場合の前記正極活物質の単位質量あたりの放電容量が80mAh/gを超えることを特徴とする蓄電素子。
  2. 前記非水溶媒は、アクセプターナンバーが2.6〜3.6である溶媒を含むことを特徴とする請求項1に記載の蓄電素子。
  3. 前記アニオンと前記アクセプターナンバーが2.6〜18.0である溶媒は、充電時に、前記正極活物質にインターカレートすることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電素子。
  4. 前記正極活物質は、炭素質材料を含み、
    前記負極活物質は、黒鉛を含み、
    前記黒鉛は、c軸方向の結晶子サイズLc(002)が241.1nm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の蓄電素子。
  5. 前記黒鉛は、c軸方向の結晶子サイズLc(002)が123.92nm以下であることを特徴とする請求項4に記載の蓄電素子。
  6. 前記アニオンがPF であることを特徴とする請求項4又は5に記載の蓄電素子。
  7. 前記炭素質材料のGallery Heightが4.6Å以上であることを特徴とする請求項6に記載の蓄電素子。
  8. 充電後の前記炭素質材料の炭素網面の平均面間隔d(002)が3.80〜4.00Åであることを特徴とする請求項6又は7に記載の蓄電素子。
  9. 前記アニオンがBF であることを特徴とする請求項4又は5に記載のいずれかの蓄電素子。
  10. 前記炭素質材料のGallery Heightが4.4Å以上であることを特徴とする請求項9に記載の蓄電素子。
  11. 充電後の前記炭素質材料の炭素網面の平均面間隔d(002)が3.65〜3.80Åであることを特徴とする請求項9又は10に記載の蓄電素子。
  12. in−situ X線回折スペクトルにおける充電後の前記炭素質材料由来の2θ=21〜25°の範囲に存在する(002)ピークがスプリットしていないことを特徴とする請求項4から11のいずれかに記載の蓄電素子。
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