JP2018071613A - トルク断続機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】トルクが円滑に伝達されるトルク断続機構を提供すること。【解決手段】トルク断続機構1では、クラッチリング20(回転体)及びギヤ30(相手側回転体)が軸方向に相対移動して噛み合うことでトルクを伝達する。クラッチリング20は、径方向に突出する複数の高歯25及び複数の低歯26と、を有する。ギヤ30は、周方向について均等な間隔を持って突出し、高歯25と噛み合う複数の前歯35と、隣り合う一対の前歯35の間にそれぞれ複数設けられ、前歯35が高歯25と噛み合った後に続いて低歯26と噛み合う複数の後歯36と、隣り合う後歯36の間(谷52、53)に延在して高歯25の先端部25aを摺接させるガイド37と、を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、一対の回転体の間でトルクを断続するトルク断続機構に関する。
特許文献1には、互いに対向して相対回転する一対の回転体を備えるドグクラッチ変速機構が開示されている。
上記ドグクラッチ変速機構では、一方の回転体に、複数のクラッチ前歯及びクラッチ後歯が軸方向に異なる長さを有して周方向について所定間隔毎に突出し、径方向に高低を有するように形成される。相手側回転体には、スプラインの高歯及び低歯が径方向に高低を有するように形成される。
上記ドグクラッチ変速機構の接続作動時には、相手側回転体が軸方向に移動して一方の回転体に接近する。このときに、相手側回転体のスプラインの高歯及び低歯が一方の回転体のクラッチ前歯及びクラッチ後歯の間に嵌合して噛み合うことで、トルクが伝達される。
特開2015−81618号公報
しかしながら、上記ドグクラッチ変速機構の接続作動時に、相手側回転体のスプラインの高歯が一方の回転体の低いクラッチ後歯の角部に衝突して弾かれると、歯どうしの噛み合いが遅れてトルクが円滑に伝達されないおそれがある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、トルクが円滑に伝達されるトルク断続機構を提供することを目的とする。
本発明のある態様によれば、回転体と相手側回転体とが軸方向に相対移動して噛み合うことでトルクを伝達するトルク断続機構であって、前記回転体は、周方向について均等な間隔を持って径方向に突出する複数の高歯と、隣り合う一対の前記高歯の間にそれぞれ複数設けられ、前記高歯より径方向に低い高さを持って突出する低歯と、を有し、前記相手側回転体は、周方向について均等な間隔を持って突出し、前記高歯と噛み合う複数の前歯と、隣り合う一対の前記前歯の間にそれぞれ複数設けられ、前記前歯が前記高歯と噛み合った後に前記低歯と噛み合う複数の後歯と、隣り合う前記後歯の間に延在して前記高歯の先端部を摺接させるガイドと、を有することを特徴とするトルク断続機構が提供される。
上記態様によれば、トルク断続機構の接続作動時に、軸方向及び周方向に移動する高歯は、その先端部がガイドに摺接することで、後歯の角部に衝突して弾かれることが抑えられる。これにより、トルク断続機構では、回転体の高歯及び低歯が相手側回転体の前歯及び後歯と噛み合う動作が速やかに行われる。したがって、トルク断続機構では、トルクが円滑に伝達される。
図1は、本発明の実施形態に係るトルク断続機構を示す構成図である。 図2は、ギヤ及びクラッチリングの斜視図である。 図3は、ギヤ及びクラッチリングの歯形状を示す展開図である。 図4は、ギヤ及びクラッチリングの作動状態を示す展開図である。 図5は、ギヤ及びクラッチリングの作動状態を示す展開図である。 図6は、ギヤ及びクラッチリングの作動状態を示す展開図である。 図7は、図5のVII−VII線に沿う断面図である。 図8は、トルク断続機構の比較例を示すギヤ及びクラッチリングの展開図である。 図9は、比較例に係るギヤ及びクラッチリングの作動状態を示す展開図である。 図10は、トルク断続機構の変形例を示すギヤ及びクラッチリングの展開図である。 図11は、変形例に係るギヤ及びクラッチリングの作動状態を示す展開図である。 図12は、図11のXII−XII線に沿う断面図である。 図13は、トルク断続機構の他の変形例を示すギヤ及びクラッチリングの展開図である。 図14は、図13のXIV−XIV線に沿う断面図である。 図15は、トルク断続機構の他の変形例を示すギヤ及びクラッチリングの展開図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るトルク断続機構1を示す構成図である。なお、説明の簡略化のため、トルク断続機構1は一部を省略して図示している。
トルク断続機構1は、車両に搭載される変速機100に備えられる。変速機100は、エンジン(図示省略)に駆動される入力側のシャフト2と、車輪(図示省略)を駆動する出力側のシャフト(図示省略)と、を備える。シャフト2上には、1速ギヤ10、3速ギヤ30、2速ギヤ(図示省略)、及び4速ギヤ(図示省略)が設けられる。出力側のシャフト上には、これらの各ギヤと噛み合う各カウンタギヤ(図示省略)が設けられる。
シャフト2と1速ギヤ10と3速ギヤ30との間には、トルク断続機構1が設けられる。トルク断続機構1は、シャフト2のトルクを1速ギヤ10又は3速ギヤ30に伝達する。同様に、シャフト2と2速ギヤと4速ギヤとの間には、別のトルク断続機構1が設けられる。変速機100では、各トルク断続機構1が1速ギヤ10、3速ギヤ30、2速ギヤ、及び4速ギヤを選択的にシャフト2に接続することにより、シャフト2の回転を出力側のシャフトに伝達する変速比が4段階に切り換えられる。
トルク断続機構1は、シャフト2に支持されて相対回転する回転体として、1速ギヤ10と、3速ギヤ30と、これらの一方と噛み合うクラッチリング20と、を備える。
シャフト2は、円柱状のクラッチカム27を有する。クラッチカム27の外周には、V字形に延びるV字溝28が形成される。
円盤状のクラッチリング20は、クラッチカム27の外周に摺動自在に嵌合する内周と、V字溝28に係合する突起29と、変速機100のシフトフォーク3に係合する外周端部と、を有する。変速機100のシフト操作が行われるときに、シフトフォーク3が軸方向に移動することで、クラッチリング20がV字溝28に沿って移動する。
クラッチリング20は、その外周に1速ギヤ30と噛み合うスプライン23と、3速ギヤ30と噛み合うスプライン24と、を有する。
1速ギヤ10は、クラッチリング20のスプライン23と噛み合う前歯(図示省略)及び後歯15を有する。同様に、3速ギヤ30は、クラッチリング20のスプライン24と噛み合う前歯35及び後歯36(図2参照)を有する。
次に、変速機100のシフト作動について説明する。
変速機100の1速位置では、図1に示すように、1速ギヤ10の前歯及び後歯15とクラッチリング20のスプライン23とが噛み合い、シャフト2からのトルクが1速ギヤ10に伝達される。
1速位置から、アップシフト操作が行われると、2速位置に切換わり、シャフト2からのトルクが2速ギヤ(図示省略)に伝達される。このときに、1速位置にあるクラッチリング20は、1速ギヤ10との噛み合い部に作用する循環トルクによって、突起29がV字溝28に沿って図1の右方向に移動することで、1速ギヤ10から離れる。こうして、クラッチリング20は、1速ギヤ10との噛み合いが解除され、中立位置に保持される。
2速位置から、アップシフト操作が行われると、3速位置に切換わり、シャフト2からのトルクが3速ギヤ30に伝達される。このときに、中立位置にあるクラッチリング20がシフトフォーク3によって図1において右方向に移動する。これにより、クラッチリング20のスプライン24が3速ギヤ30の前歯35及び後歯36と噛み合い、シャフト2からのトルクが3速ギヤ30に伝達される。
このようにして、変速機100では、互いに回転速度差を持つクラッチリング20(回転体)及び3速ギヤ30(回転体)が軸方向に相対移動して噛み合うことで、トルクが途切れることなく伝達される。こうして、変速機100ではアップシフト作動が行われる。
次に、図2を参照して、クラッチリング20及び3速ギヤ30(以下、単に「ギヤ30」と称する。)の歯形状について説明する。
なお、「径方向」、「周方向」、及び「軸方向」は、それぞれ、回転軸を中心とする放射方向、回転軸回りの方向、及び回転軸が延在する方向を意味する。又、「内側」及び「外側」は、それぞれ、径方向での内方及び外方を意味する。
クラッチリング20のスプライン24は、外周端部から径方向外側に突出する複数の高歯25と、隣り合う高歯25の間から径方向外側に突出する複数の低歯26と、を有する。高歯25及び低歯26は、放射線に沿って形成される。なお、放射線は、回転軸を中心とする放射方向に延びる直線である。
複数の高歯25は、クラッチリング20の周方向に均等な間隔を持つ。隣り合う高歯25の間には、複数(例えば3つ)の低歯26が並ぶように突出している。高歯25及び各低歯26との間には、複数(例えば4つ)の谷41〜44が形成される。周方向について谷41〜44の開口幅は、略同一寸法に設定される。
ギヤ30は、内周端部から径方向内側に突出する複数の前歯35と、隣り合う前歯35の間から突出する複数の後歯36と、を有する。前歯35及び後歯36は、放射線に沿って形成される。
複数の前歯35は、ギヤ30の周方向に均等な間隔を持つ。隣り合う前歯35の間には、3つの後歯36が周方向に並ぶように突出している。前歯35及び各後歯36の間には、4つの谷51〜54が周方向に並ぶように形成される。周方向について谷51〜54の開口幅は、略同一寸法に設定される。
図3は、クラッチリング20及びギヤ30の周方向に延びる歯形状を展開して示す展開図である。クラッチリング20及びギヤ30は、矢印Aで示す方向に回転する。
クラッチリング20の高歯25は、径方向の突出高さが低歯26より高く形成される。高歯25は、軸方向の長さが低歯26と同等に形成される。
ギヤ30の前歯35は、径方向の突出高さが後歯36より低く形成される。前歯35は、軸方向の長さが後歯36より長く形成される。
前歯35は、高歯25に当接する一対のトルク受け部35c、35dを有する。後歯36は、高歯25及び低歯26に当接する一対のトルク受け部36c、36dを有する。
ギヤ30は、クラッチリング20に対向する対向面30a(図2参照)を有する。対向面30aは、回転軸に直交する平面状に延在する。
前歯35は、対向面30aから突出し、クラッチリング20に対向する軸方向端35aを有する。軸方向端35aは、回転軸に直交する平面状に延在する。
後歯36は、対向面30aから突出し、クラッチリング20に対向する軸方向端36aを有する。軸方向端35aは、回転軸に直交する平面状に延在する。
なお、軸方向端35a及び軸方向端36aは、曲面状に膨出してもよい。
前歯35は、後歯36よりクラッチリング20に向かって軸方向前方に大きく突出している。軸方向端35aは、軸方向端36aより軸方向前方に配置される。
ギヤ30には、周方向について隣り合う後歯36の間(谷52、53)にわたって延在するガイド37が形成される。
ガイド37は、2つの谷52、53をそれぞれ部分的に埋めるようにして形成される。ガイド37は、谷52、53に低歯26に嵌合する空間を残すように形成される。谷52、53は、他の谷51、54に比べて径方向について短い寸法(深さ)を有する。
ガイド37は、クラッチリング20の軸方向端20a(図7参照)に対向するガイド面37aを有する。ガイド面37aは、回転軸に直交する平面状に延在する。ガイド面37aは、後歯36の軸方向端36aと段差なく連続する平面状に形成される。後述するように、ガイド面37aは、クラッチリング20の高歯25が後歯36の間(谷52、53)に入り込まないように高歯25の先端部25aを摺接させる。
次に、図4〜7を参照して、変速機100の作動時に、クラッチリング20がギヤ30と噛み合う動作について説明する。
クラッチリング20及びギヤ30は、図4〜6において矢印Aで示す方向に回転している。クラッチリング20の回転速度がギヤ30より高いアップシフト時には、図4、5に示すように、クラッチリング20の高歯25及び低歯26が、ギヤ30の前歯35及び後歯36に対して矢印Aで示すように周方向(回転方向前方)に移動している。
アップシフト時に、シフトフォーク3が中立位置にあるクラッチリング20を、図4に矢印Bで示すように、軸方向前方に移動させる。
これにより、クラッチリング20の高歯25が図5に示すようにギヤ30の前歯35を超えた後に軸方向前方に移動すると、高歯25の先端部25aがガイド37のガイド面37aに摺接する。
図7は、図5のVII−VII線に沿う断面図である。これに示すように、高歯25は、その先端部25aがガイド面37aに当たることにより、後歯36間の谷53に入り込まない。こうして、高歯25は、ガイド37のガイド面37aに摺接することで、後歯36の角部36bに衝突して弾かれることが抑えられ、回転方向前方へと円滑に移動する。
続いてクラッチリング20が回転方向前方に移動すると、図6に示すように、高歯25は、回転方向前方の前歯35に当接して、谷54へと入り込む。こうして、クラッチリング20の高歯25及び低歯26は、ギヤ30の谷51〜54に嵌合し、前歯35又は後歯36と噛み合う。
図6に示す噛み合い状態では、クラッチリング20及びギヤ30は、各当接部の面積が十分に確保されることで、互いの当接部に生じる面圧が小さく抑えられる。これにより、トルク断続機構1では、ドライビングトルクがクラッチリング20を介してギヤ30に円滑に伝達される。
一方、クラッチリング20の回転速度がギヤ30より低いダウンシフト時には、クラッチリング20の高歯25が、図4において矢印C方向へと移動する。このときも、クラッチリング20の高歯25が、ガイド37のガイド面37aに摺接して円滑に移動する。そして、クラッチリング20の高歯25が、回転方向後方の前歯35に当接して、谷54へと入り込む。こうして、クラッチリング20の高歯25及び低歯26がギヤ30の谷51〜54に嵌合し、前歯35又は後歯36と噛み合う。こうして、トルク断続機構1では、コースティングトルクがクラッチリング20を介してギヤ30に伝えられる。
次に、図8、9に示すトルク断続機構1の比較例について説明する。
図8に示すように、ギヤ30は、ガイド37を有さない。つまり、谷52、53は、ガイド37によって部分的に埋められることがなく、径方向について他の谷51、54と同等の深さを有する。
本比較例では、トルク断続機構1の接続作動時において、図9に示すように、クラッチリング20の高歯25が、ギヤ30の谷52、53に面して移動する。このときに、クラッチリング20の高歯25がギヤ30の各後歯36の角部36bに衝突して弾かれると、騒音、衝撃が発生するおそれがある。そして、クラッチリング20の高歯25が、ギヤ30の谷54に入りこんで前歯35と噛み合う確率が低くなる。
これに対して、図1〜7に示す本実施形態のトルク断続機構1では、ギヤ30の隣り合う後歯36の間に形成される谷52、53がガイド37によって高歯25に対峙する部位が埋められている。このため、高歯25は、谷52、53に入り込まず、後歯36の角部36bに衝突することが抑えられる。これにより、クラッチリング20の高歯25が谷54に嵌合して前歯35と噛み合う動作が速やかに行われる。
次に、図10に示すトルク断続機構1の変形例について説明する。
図10に示すように、ガイド37は、周方向について隣り合う後歯36の間の谷52、53に延在するとともに、前歯35より回転方向前側の谷51にも延在する。谷51に延在するガイド37のガイド面37aは、前歯35の回転方向前側のトルク受け部35dに連接している。前歯35より回転方向後側の谷54には、ガイド37が形成されない。
この場合に、アップシフト時において、軸方向及び周方向に移動する高歯25は、前歯35を超えた後に、前歯35に連接するガイド面37aに摺接することにより、谷51に入り込まず、谷51に面する後歯36の角部36bに衝突して弾かれることが抑えられる。これにより、高歯25は、回転方向前方へと円滑に移動し、谷54へと入り込む。
一方、ダウンシフト時には、クラッチリング20の高歯25が、前歯35に連接するガイド面37aに摺接することより、谷51に嵌合せずに、前歯35のトルク受け部35dに当接する。こうして、トルク断続機構1では、コースティングトルクがクラッチリング20を介してギヤ30に伝えられる。このときに、クラッチリング20及びギヤ30では、噛み合い部の当接面積が上記アップシフト時に比べて小さくなる。しかし、ダウンシフト時にシャフト2に作用するコースティングトルクはドライビングトルクに比べて小さいため、噛み合い部に生じる面圧は小さく抑えられる。
次に、図11、12に示すトルク断続機構1の変形例について説明する。
図11に示すように、ギヤ30の後歯36は、ガイド37に連接してクラッチリング20に対向する軸方向端36aと、軸方向端36aからクラッチリング20に対して遠ざかる方向に延在する逃げ面36fと、を有する。
逃げ面36fは、回転軸に直交する放射線に対して傾斜する面状に形成される。逃げ面36fは、その基端が軸方向端36aに連接し、その先端が後歯36の内周端面36eに連接する。
トルク断続機構1の接続作動時において、クラッチリング20は、クラッチカム27との間に設けられる摺動隙間の範囲内でシャフト2に対して傾斜することがある。こうして、クラッチリング20が僅かに偏心するときに、高歯25は、図12に示すように2点鎖線で示すように、後歯36の逃げ面36fに沿って移動するため、後歯36の角部36bに衝突して弾かれることが抑えられる。これにより、高歯25は、ガイド面37aに摺接して回転方向前方へと円滑に移動する。
次に、図13、14に示すトルク断続機構1の変形例について説明する。
図13に示すように、ギヤ30は、後歯36の軸方向端36aから台状に突出するガイド37を有する。
ガイド37のガイド面37aは、回転軸に直交する平面状に延在する平面部37bと、平面部37bからその回転方向前端にかけて傾斜する傾斜部37cと、平面部37bからその回転方向後端にかけて傾斜する傾斜部37dと、を有する。
傾斜部37cは、平面部37bから谷51に向かってスロープ状に傾斜している。これにより、アップシフト時において、高歯25は、前歯35を超えた後に傾斜部37cに摺接して平面部37bへと円滑に乗り上げる。
傾斜部37dは、平面部37bから谷54に向かってスロープ状に傾斜している。これにより、アップシフト時において、高歯25は、傾斜部37dに摺接して谷54に円滑に嵌合する。
一方、クラッチリング20の回転速度がギヤ30より低いダウンシフト時には、クラッチリング20の高歯25が、平面部37bから傾斜部37cに摺接して谷51に円滑に嵌合する。
次に、図15に示すトルク断続機構1の変形例について説明する。
図15に示すように、ギヤ30は、前歯35の回転方向前側のトルク受け部35dから延在する台状のガイド37を有する。
ガイド37のガイド面37aは、前歯35のトルク受け部35dに連接して回転軸に直交する平面状に延在する平面部37bと、平面部37bからその回転方向前端に向けて傾斜する傾斜部37dと、を有する。
この場合に、アップシフト時において、軸方向及び周方向に移動する高歯25は、前歯35を超えた後に、前歯35に連接するガイド面37aの平面部37bに摺接することにより、谷51、52、53に入り込まず、谷51、52、53に面する後歯36の角部36bに衝突して弾かれることが抑えられる。これにより、高歯25は、回転方向前方へと円滑に移動し、谷54へと入り込む。こうして、ドライビングトルクがクラッチリング20を介してギヤ30に伝えられる。
一方、ダウンシフト時には、クラッチリング20の高歯25が、前歯35に連接するガイド面37aの平面部37bに摺接することより、谷51に嵌合せずに、前歯35のトルク受け部35dに当接する。こうして、コースティングトルクがクラッチリング20を介してギヤ30に伝えられる。
以上のように、本実施形態のトルク断続機構1では、互いに回転速度差を持つクラッチリング20(回転体)及びギヤ30(相手側回転体)が軸方向に相対移動して噛み合うことでトルクを伝達する。クラッチリング20は、周方向について均等な間隔を持って径方向に突出する複数の高歯25と、隣り合う一対の高歯25の間にそれぞれ複数設けられ、高歯25より径方向に低い高さを持って突出する低歯26と、を有する。ギヤ30は、周方向について均等な間隔を持って突出し、高歯25と噛み合う複数の前歯35と、隣り合う一対の前歯35の間にそれぞれ複数設けられ、前歯35が高歯25と噛み合った後に続いて低歯26と噛み合う複数の後歯36と、隣り合う後歯36の間(谷52、53)に延在して高歯25の先端部25aを摺接させるガイド37と、を有する構成とした。
このように構成することで、トルク断続機構1の接続作動時に、軸方向及び周方向に移動する高歯25は、その先端部25aがガイド37に摺接することで、後歯36の角部36bに衝突して弾かれることが抑えられる。これにより、トルク断続機構1では、騒音、衝撃の発生が防止され、クラッチリング20の高歯25及び低歯26がギヤ30の前歯35及び後歯36と噛み合う動作が速やかに行われる。したがって、トルク断続機構1では、トルクが円滑に伝達される(請求項1に対応する効果)。
なお、変速機100は、シフト操作を自動的に行う制御装置(図示省略)を備えてもよい。この場合に、制御装置は、トルク断続機構1を作動させるのに、クラッチリング20及びギヤ30の位置をきめ細かに合わせる必要がなく、要求される制御精度が高くならないで済む(請求項1に対応する効果)。
又、図10に示すガイド37は、前歯35と前歯35の回転方向前側に並ぶ後歯36との間(谷51)にも延在する構成とした。
このように構成することで、トルク断続機構1の接続作動時において、高歯25は、前歯35を超えた後に、回転方向前側の谷51に入り込まず、谷51に面する後歯36の角部36bに衝突して弾かれることが抑えられる。これにより、トルク断続機構1では、騒音、衝撃の発生を防止する効果がさらに高められ、トルクが円滑に伝達される(請求項2に対応する効果)。
又、図11、12に示す変形例に係る後歯36は、軸方向についてクラッチリング20に対向する軸方向端36aと、軸方向について軸方向端36aからクラッチリング20に対して遠ざかる方向に延在する逃げ面36fと、を有する構成とした。
このように構成することで、トルク断続機構1の接続作動時において、クラッチリング20の回転軸が傾斜する場合に、クラッチリング20は、その高歯25が逃げ面36fに沿って回動する(図12参照)。これにより、トルク断続機構1では、高歯25が後歯36の角部36bに衝突して弾かれることが抑えられ、トルクが円滑に伝達される(請求項3に対応する効果)。
又、図13、14に示す変形例に係る台状のガイド37は、クラッチリング20に対向する軸方向端36aからクラッチリング20に対して近接する方向に突出したガイド面37aを有する構成とした。
このように構成することで、トルク断続機構1の接続作動時において、クラッチリング20の高歯25がガイド面37aに摺接して回動することにより、クラッチリング20の回転軸が傾斜する場合にも後歯36から離れて回動する(図14参照)。これにより、トルク断続機構1では、高歯25が後歯36の角部36bに衝突して弾かれることが抑えられ、トルクが円滑に伝達される(請求項4に対応する効果)。
又、図13、14に示す変形例に係るガイド面37aは、回転方向前方の谷54に向かってクラッチリング20に対して遠ざかる方向に傾斜する構成とした。
このように構成することで、トルク断続機構1の接続作動時において、クラッチリング20は、高歯25がガイド面37aに摺接して谷54に速やかに嵌合し、トルクが円滑に伝達される(請求項5に対応する効果)。
又、図15に示す変形例に係るガイド面37aは、前歯35の回転方向前側のトルク受け部35dから延在する構成とした。
このように構成することで、トルク断続機構1の接続作動時において、高歯25は、前歯35を超えた後に、回転方向前側の谷51にも入り込まず、谷51に面する後歯36の角部36bに衝突して弾かれることが抑えられる。これにより、トルク断続機構1では、騒音、衝撃の発生を防止する効果がさらに高められ、トルクが円滑に伝達される(請求項6に対応する効果)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
本発明は、変速機に設けられるトルク断続機構として適しているが、これに限らず、他の機械及び設備に設けられるトルク断続機構にも適用できる。
1 トルク断続機構
20 クラッチリング(回転体)
25 高歯
25a 先端部
26 低歯
30 ギヤ(相手側回転体)
35 前歯
35d トルク受け部
36 後歯
36a 軸方向端
36b 角部
36f 逃げ面
37 ガイド
37a ガイド面

Claims (6)

  1. 回転体と相手側回転体とが軸方向に相対移動して噛み合うことでトルクを伝達するトルク断続機構であって、
    前記回転体は、
    周方向について均等な間隔を持って径方向に突出する複数の高歯と、
    隣り合う一対の前記高歯の間にそれぞれ複数設けられ、前記高歯より径方向に低い高さを持って突出する低歯と、を有し、
    前記相手側回転体は、
    周方向について均等な間隔を持って突出し、前記高歯と噛み合う複数の前歯と、
    隣り合う一対の前記前歯の間にそれぞれ複数設けられ、前記前歯が前記高歯と噛み合った後に前記低歯と噛み合う複数の後歯と、
    隣り合う前記後歯の間に延在して前記高歯の先端部を摺接させるガイドと、を有することを特徴とするトルク断続機構。
  2. 請求項1に記載のトルク断続機構であって、
    前記ガイドは、前記前歯と当該前歯の回転方向前側に並ぶ前記後歯との間にも延在することを特徴とするトルク断続機構。
  3. 請求項1又は2に記載のトルク断続機構であって、
    前記後歯は、前記相手側回転体に対向する軸方向端から前記相手側回転体に対して遠ざかる方向に延在する逃げ面を有することを特徴とするトルク断続機構。
  4. 請求項1から3のいずれか一つに記載のトルク断続機構であって、
    前記ガイドは、前記相手側回転体に対向する軸方向端から突出したガイド面を有することを特徴とするトルク断続機構。
  5. 請求項4に記載のトルク断続機構であって、
    前記ガイド面は、回転方向前方に向かって前記相手側回転体に対して遠ざかる方向に傾斜することを特徴とするトルク断続機構。
  6. 請求項4又は5に記載のトルク断続機構であって、
    前記ガイド面は、前記前歯から延在することを特徴とするトルク断続機構。
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