JP2018070927A - ビスマスの回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】不純物の少ないビスマスを選択的に回収する方法を提供する。
【解決手段】ビスマスとビスマス以外の卑金属元素 とビス(2−エチルヘキシル)リン酸を含有する有機溶媒を酸と接触させることにより卑金属元素を逆抽出する、卑金属元素の分離方法において、逆抽出の工程は、硝酸溶液と接触させることにより銅または鉛を硝酸濃度0.5〜1.0mol/Lの水相として有機相から分離する第1逆抽出工程P1と、第1逆抽出工程P1で得られる有機相を強酸溶液と接触させることによりビスマスを水相または水相中析出物として選択的に分離する第2逆抽出工程P2を、その順に実行する。これらの工程により、不純物の少ないビスマスを選択的に回収できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ビスマスの回収方法に関する。さらに詳しくは、ビスマスを含有する鉱物、金属製錬工程で産出する白金族元素の濃縮物などから白金族元素とビスマスとを分離する方法に関し、とくに、不純物の少ないビスマスを選択的に分離回収する方法に関する。
非鉄金属製錬からの副産物は、製錬原料の中に微量含有されているビスマスが、その化学的性質から主金属である銅、ニッケルなどの硫化濃縮物及び粗金属の中に濃縮され、さらに電解精製など主金属回収工程で残渣等としてビスマスを含む貴金属濃縮物のかたちで分離される。
この濃縮物には、主金属である銅、ニッケルなどと共に、金、銀、白金族等の貴金属元素及び鉛、ビスマス、セレン、テルル、ヒ素等の卑金属元素が含まれ、貴金属元素に比べ卑金属元素が高濃度で含有されている。その後、金、銀の回収を経て、卑金属元素を含む白金族元素が含有された濃縮物が得られ、種々の方法で白金族元素の分離回収が行われるが、その一環として卑金属元素も分離される。分離された卑金属元素には希少金属としてのビスマスも含まれる。
従来より卑金属元素を含む白金族元素含有物の分離回収法が種々提案されている。例えば、塩酸溶液に白金族元素含有物を懸濁させ塩素ガス等の強力な酸化剤で一旦液中に白金族元素および卑金属元素を浸出したうえで、ビスマス等の卑金属元素を強酸性抽出剤ビス(2−エチルヘキシル)リン酸を用いた溶媒抽出等で有機相に抽出し、白金族元素と分離する方法が提案されている(特許文献1)。また、ビスマスを抽出した有機相の処理方法には、低濃度でも効率よく逆抽出することができるという理由で塩酸溶液を用いることが提案されている(特許文献2)。
しかしながら、卑金属元素を含む白金族元素含有物は、ビスマスの他、銅や鉛など種々の卑金属元素を含んでいる。このため、浸出した塩酸溶液とビス(2−エチルヘキシル)リン酸とを接触させると、有機相には、ビスマスのみでなく他の陽イオンを形成する卑金属元素も同時に抽出される。この結果、有機相を塩酸溶液で逆抽出し、アルカリ剤で中和するとビスマスのみでなく主として銅、鉛等の不純物も含有された中和澱物となる。
このため、中和澱物を出発原料としてビスマスを精製し商品価値のある純度まで回収することは困難であった。
特開2003−13151号公報 特開2005−97695号公報
上記事情に鑑み、本発明は、不純物の少ないビスマスを選択的に回収する方法を提供することを目的とする。
第1発明のビスマスの回収方法は、ビスマスとビスマス以外の卑金属元素とビス(2−エチルヘキシル)リン酸を含有する有機溶媒を酸性水溶液と接触させることにより卑金属元素を逆抽出する、卑金属元素の分離方法において、前記逆抽出工程は、硝酸と接触させることにより銅または鉛を第1の水相として有機相から分離する第1逆抽出工程と、前記第1逆抽出工程で得られる有機相を強酸と接触させることによりビスマスを第2の水相として選択的に分離する第2逆抽出工程を、その順に実行し、前記第2の水相は前記第1の水相の酸濃度よりも酸濃度が高いことを特徴とする。
第2発明のビスマスの回収方法は、第1発明において、前記第1逆抽出工程における逆抽出後の硝酸濃度が0.5〜1.0mol/Lであることを特徴とする。
第3発明のビスマスの回収方法は、第1または第2発明において、前記第2逆抽出工程における逆抽出後の硝酸濃度が2.6〜4.6mol/Lであることを特徴とする。
第4発明のビスマスの回収方法は、第1または第2発明において、前記第2逆抽出工程では、指示薬をメチルバイオレットとした場合の酸濃度が2.6〜4.6規定である水相を生じることを特徴とする。
第5発明のビスマスの回収方法は、第1、第2、第3または第4発明において、前記第2逆抽出工程で分離されたビスマスを中和処置工程で中和澱物とし、これにアルカリ浸出工程、硫酸浸出工程、冷却工程、硫酸根除去工程、電解工程を順次適用し金属ビスマスを得ることを特徴とする。
第1発明によれば、第1逆抽出工程で、低酸濃度の硝酸で鉛または銅を第1の水相として有機相から溶出させ、次いで行う第2逆抽出工程で、その有機相を高濃度の強酸と接触させることにより残っていたビスマスを第2の水相として分離させるので不純物の少ないビスマスを回収することができる。
第2発明によれば、第1逆抽出工程の硝酸濃度を逆抽出後で1.0mol/L以下とすることで、不純物と一緒にビスマスが逆抽出されることを抑制し、一方、0.5mol/L以上にしておくことで、銅や鉛も十分に除去するようにできる。
第3発明によれば、第2逆抽出工程では、硝酸濃度を2.6〜4.6mol/Lとすることで、使用する硝酸を多くすることなくビスマス逆抽出率を高く維持できる。
第4発明によれば、指示薬をメチルバイオレットとした場合の酸濃度が2.6〜4.6規定である水相を生じさせることで、第2逆抽出工程におけるビスマス逆抽出率を高く維持できる。
第5発明によれば、中和澱物を得たあと各工程を実施することで不純物の特に少ない金属ビスマスが得られる。
本発明におけるビスマスの回収方法の工程図である。 ビスマス溶出の酸濃度への依存性を示すグラフである。 本発明で得られたビスマスを金属ビスマスに精製する工程図である。 本発明に用いる出発物質を得るための工程図の一例である。
(出発物質)
本発明が適用される出発物質は、ビスマスとビスマス以外の卑金属元素(銅や鉛)を含有する有機溶媒である。この濃縮物は特開2005−97695の「白金族元素の相互分離方法」の中間抽出物としても得られる。この中間抽出物を以下に図4を参照しながら説明する。
図4において、白金族元素含有物8は、第一の工程(白金族元素含有物の浸出工程)1に付され、塩酸溶液9に懸濁され、酸化剤10を添加して浸出され、白金族元素を含む浸出生成液と浸出残渣11に分離される。前記浸出生成液は、第二の工程(不純物元素の溶媒抽出工程)2に付され、抽出剤としてジエチレングリコールジブチルエーテル12を用いて不純物元素が抽出され、不純物元素を含む有機相13と抽出残液に分離される。第二の工程で得られる前記抽出残液は、第三の工程(パラジウムの溶媒抽出工程)3に付され、抽出剤として硫化アルキル14を用いてパラジウムが抽出された後、逆抽出されて、パラジウムを含む逆抽出生成液15と抽出残液に分離される。
第三の工程で得られる前記抽出残液は、第四の工程(陽イオン型不純物元素の溶媒抽出工程)4に付され、抽出剤としてビス(2−エチルヘキシル)リン酸16を用いて陽イオン型不純物元素が抽出され、陽イオン型不純物元素を含む有機相17と抽出残液に分離される。第四の工程で得られる前記抽出残液は、第五の工程(ルテニウム、ロジウム及びイリジウムの加水分解工程)5に付され、pHを5〜12に調整され酸化剤18を添加して加水分解されて、イリジウム、ルテニウム及びロジウムを含む沈殿と白金を含む水溶液19とに分離される。
第五工程で得られる前記沈澱は、第六の工程(ルテニウムの浸出工程)6に付され、pH12以上の強アルカリ水溶液中で酸化剤20を添加して浸出され、イリジウム及びロジウムを含む浸出残渣とルテニウム浸出生成液21に分離される。第六の工程で得られる前記浸出残渣は、第七の工程(イリジウムの溶媒抽出工程)7に付され、塩酸に溶解されイリジウム及びロジウムを含む水溶液となり、この水溶液は抽出剤としてリン酸トリブチル22を用いてイリジウムが抽出された後、逆抽出されて、イリジウムを含む逆抽出生成液23とロジウムを含む抽出残液24に分離される。
さらに、ルテニウム浸出生成液21はルテニウム精製工程25で、またイリジウムを含む逆抽出生成液23はイリジウム精製工程26で処理される。
上記全工程のうち、第四の工程4では白金族元素を含む水相(抽出残液)と陽イオン型不純物元素を含む有機相17に分離されるが、後者の有機相17にはビスマスのほか銅と鉛も含まれている。このビスマスと銅と鉛とを含む有機相が本発明に係る出発物質である。
((本発明の工程上の特徴))
本発明は、上記出発物質であるビスマスとビスマス以外の卑金属元素とビス(2−エチルヘキシル)リン酸を含有する有機溶媒を酸と接触させることにより卑金属元素を逆抽出する回収方法である。以下、図1に基づき詳述する。
図1に示す回収方法は、逆抽出工程を二工程に分けて行うようにしたことに特徴がある。すなわち、硝酸と接触させることにより銅または鉛を第1の水相として有機相から分離する第1逆抽出工程P1と、この第1逆抽出工程P1で得られる有機相を強酸と接触させることによりビスマスを第2の水相として選択的に分離する第2逆抽出工程P2を、その順に実行するものであって、第2の水相は第1の水相の酸濃度よりも酸濃度が高いことを特徴としている。
((本発明の技術原理))
逆抽出剤に塩酸を使用すると低濃度でも逆抽出することができるがビスマスに対する選択性は小さく不純物の少ないビスマスの分離回収が困難である。一方、硝酸を使用すると低酸濃度ではビスマスがほとんど逆抽出液に溶出せず、ビスマス以外の不純物が選択的に溶出される。そして、ビスマスは、硝酸濃度に比例し逆抽出液に溶出する。
本発明は、このようなビスマス溶出の硝酸濃度への依存性を利用したもので、先ず、低酸濃度の硝酸でビスマス以外の不純物を有機相から溶出させ、次いで、その有機相に残ったビスマスを高濃度の強酸溶液と接触させることにより不純物を含まないようにビスマスを溶出させるものである。
図2は、ビスマスと銅および鉛の硝酸による逆抽出時の酸濃度に対する依存性を示している。
ビスマスは菱形記号を付した線L1で示すように、逆抽出後の酸濃度(mol/L)が低いと逆抽出しにくいが、酸濃度が高くなるにつれ、ほぼ線形の関係で逆抽出率が向上する。これに対し、銅は三角記号を付した線L2で示し、鉛は四角記号を付した線L3で示すように逆抽出後の酸濃度(mol/L)に関係せず、ほぼ100%の逆抽出が行える。
上記のように、ビスマスの逆抽出率のみが酸濃度に依存する性質を利用した点に本発明の技術原理が存する。
((本発明の回収方法の詳細))
以下、本工程の詳細を説明する。
ビスマスの抽出に用いられる抽出剤は、ビス(2−エチルヘキシル)リン酸である。このビス(2−エチルヘキシル)リン酸は、炭化水素系希釈剤によってその濃度を10〜50容量%に調整して用いる。この抽出剤を卑金属元素を含む水溶液(たとえば第三の工程の抽出残液のように、白金族元素をクロロ錯体の陰イオンの形で含んでいてもよい)と接触させ、そのpHを2.5〜4.5に調整すると、陽イオンとして含まれる卑金属元素が有機相に抽出される。主要な卑金属元素としては、ビスマスの外、銅、鉛等が有機相に抽出される。
以下、図1および図2を参照しながら各工程を説明する。
(第1逆抽出工程P1)
第1逆抽出工程P1では、ビスマスとビスマス以外の卑金属元素とビス(2−エチルヘキシル)リン酸を含有する有機溶媒を酸と接触させるに当り、硝酸と接触させることにより銅または鉛を、硝酸濃度0.5〜1.0mol/Lの水相(第1の水相)として有機相から分離する。
第1逆抽出工程P1における第1の水相の硝酸濃度を逆抽出後で1.0mol/L以下とするのは、不純物と一緒にビスマスが逆抽出される(除去される)のを抑制するためである。つまり、逆抽出後の酸濃度が1.0mol/Lよりも高濃度になると銅や鉛と一緒にビスマスも逆抽出されやすいからである。一方、硝酸濃度が大幅に低いときは、銅や鉛を有機相から除ききれない恐れがあるので、銅や鉛を十分に除ける程度に高くする。たとえば、0.5mol/L以上にしておくのがよい。
上記の意味で逆抽出後の硝酸濃度の好適範囲は0.5〜1.0mol/Lである。この硝酸濃度の好適範囲は、銅や鉛の逆抽出が終ってビスマスの逆抽出が本格的に始まる前に第1逆抽出工程を終るという発想で選択されている。
第1逆抽出工程P1では、使った硝酸溶液とほぼ同量の水相が残るが、この水相は、銅や鉛が溶解しているので、第2逆抽出工程P2に先立って取り除く。
(第2逆抽出工程P2)
第2逆抽出工程P2では、第1逆抽出工程P1で得られる有機相を強酸と接触させることによりビスマスを水相または水相中析出物として選択的に分離する。強酸としては、塩酸や硫酸、過塩素酸などを用いることができる。そして、強酸は、有機相と接触させて得られる水相の酸濃度が2.6〜4.6規定(指示薬をメチルバイオレットとした場合の値)となる濃度のものが用いられる。
第2逆抽出工程P2では、強酸が硝酸である場合、硝酸濃度を上げるとビスマスの溶出率は増加する反面、使用する硝酸は多くなる。4〜5mol/Lの硝酸濃度を用いた場合には、逆抽出後における水相(第2の水相)の酸濃度が3.6〜4.6mol/Lとなり、ビスマス逆抽出率が88.2%以上となることが確認されている。そして、5mol/Lより硝酸を濃くしてもビスマスの溶出率はほとんど変わらないので、用いる硝酸の濃度は5mol/L以下とすることが望ましい。
一方、硝酸を節約しつつビスマスを十分に逆抽出(回収)するには、図2に示すように、逆抽出後の酸濃度で2.6〜4.6mol/Lが好ましく、前述の硝酸の使用量も考え合わせると3.6〜4.6mol/Lがより好ましい。つまり、第2の水相は第1の水相の酸濃度よりも酸濃度が高くされている。
第1逆抽出工程P1で硝酸を用いるのは、強酸であるため有機相からの逆抽出に向いており、かつ、他の酸(塩酸や硫酸など)よりもビスマス塩の溶解度が高いからである。
第2逆抽出工程P2では、硝酸のかわりに塩酸、硫酸、過塩素酸などの強酸を用いることができる。用いる強酸の濃度は、水素イオン濃度にして4〜5mol/Lであることが望ましい。ただし、塩酸を用いるとオキシ塩化ビスマスが、硫酸を用いると硫酸ビスマスが生じ、これらは難溶性なのでクラッド(微粒子状の固形物で、溶媒劣化生成物等とともに、有機相と水相の界面に集まって相分離の妨げとなるもの)となりやすい。
第2逆抽出工程P2で得られる水相はビスマスを含む水溶液であり、ビスマスを含む水溶液はさまざまなビスマス化合物を製造することができるので汎用性が高い。この水溶液からは、再結晶により硝酸ビスマスを得たり、強熱して酸化ビスマスを得たりして、可搬性や貯蔵性を高めることができる。
((金属ビスマス工程))
つぎに、上記本発明の逆抽出工程で得られたビスマスから金属ビスマスを得る方法を説明する。以下、各工程を図3に基づき説明する。
(中和工程P11)
中和工程P11では、上記逆抽出工程で得られたビスマスを中和処理する。一般に中和処理すると、溶解度積とpHの関係からそれぞれの元素に応じて水酸化物などの中和澱物を形成するものと、形成せずに溶解しづつけるものに分離でき、それによってpHを細かく調整することで分離できる。
この中和工程P11では、第2逆抽出工程P2で得られる水相を、まずアルカリを用いてpHを2〜3の範囲に、より好ましくは2.4〜2.8の範囲に調整し、次いで固液分離する。pHが2未満ではビスマスが中和澱物になりにくいが、2以上、好ましくは2.4以上にすることで中和澱物として多く回収できる。pHを3以下、好ましくは2.8以下にすることで銅、アンチモン、ヒ素、ニッケル等が水溶液に含まれていた場合であってもビスマスの中和澱物の純度を高くできる。
固液分離には、ヌッチェと濾瓶、遠心分離機、フィルタープレス、デンバー濾過機などの公知の手法を用いることができ、中和状態の濾液と澱物に分けることができる。
(アルカリ浸出工程P12)
アルカリ浸出工程P12では、前記中和工程P11で得られる中和澱物にさらにアルカリ(と水)を添加し、浸出液と残渣に分離する。中和澱物にはヒ素等の両性化合物(酸性でもアルカリ性でも溶解する化合物)が微量含まれる場合、アルカリを添加すると、両性化合物はアルカリ浸出液に溶解するので、とアルカリ浸出残渣のビスマス純度を高めることができる。
添加するアルカリには、消石灰や水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを用いることができる。添加方法は消石灰を水に混合しスラリー状態としたり、水酸化ナトリウムを水に溶解した溶解液などの状態を定量ポンプを用いて添加する方法などを利用できる。消石灰を用いると硫酸カルシウム(石膏)が生成して回収ビスマスに対して不純物となることがあるので、水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。
(硫酸浸出工程P13)
硫酸浸出工程P13では、前記工程P12で得られたアルカリ浸出残渣に硫酸を添加して、硫酸の濃度による溶解度の差を利用して浸出液と残渣に分離する。
この硫酸浸出工程P13では、最初に低濃度(水分率が高い)の硫酸を接触させて浸出残渣を浸出して1次浸出液と1次浸出残差を分離し、次に1次浸出残渣に高濃度の硫酸を接触させて2次浸出液と2次浸出残渣とに分離する2段階の浸出処理をすることが好ましい。このような2段階処理を行うと、1段階目でビスマス以外の成分が除かれるので、2段階目でビスマスの溶解度が上昇して、より濃縮しやすくなるという利点がある。
(冷却工程P14)
冷却工程P14では、前記工程P13で得られた2次浸出液を冷却して結晶を得る。温度を下げると硫酸ビスマスの溶解度は大幅に下がるので、溶解度の差に応じて液体で溶けきれなくなった硫酸ビスマスを結晶として回収できる。
(硫酸根除去工程P15)
硫酸根除去工程P15では、冷却工程P14で得られる結晶に、アルカリ(と水)を加えることによって、硫酸ビスマスを中和して酸化ビスマスを得る。このとき水を加えることによって、水溶液中にビスマス以外の金属元素や硫酸イオンや過剰のアルカリを水溶液に溶解して取り除くことができる。
(電解工程P16)
電解工程P16では、前記工程P15で得られた酸化ビスマスに酸性溶液を加える。このように、酸性溶液を加えると、ビスマスがイオンとして溶解した電解液が得られるので、電解液に2枚以上の電極を挿し込み、電極間に通電することで、ビスマスイオンが電子を受けて単体のBiメタルとして電極表面上に析出する。酸性溶液として珪フッ酸を用いた場合は、電解液中のビスマスは珪フッ化ビスマスの形をとる。
以上の全工程を実施すると、不純物の少ない金属ビスマスが得られる。
((実験例))
本発明における第1逆抽出工程P1および第2逆抽出工程P2の効果を実験例によって実証した。以下、その結果を詳細に説明する。なお、金属元素の分析値はICP発光分光法に基づく値である。
(実験例1)
実験例1は第1逆抽出工程P1の実証実験である。
ビスマス、鉛、銅を含有する白金族元素を含む溶液に炭化水素系希釈剤で容量50%濃度に調整した抽出剤ビス(2−エチルヘキシル)リン酸を接触させ有機中に、卑金属元素を抽出した。抽出元素は主にビスマス、鉛、銅であり、有機相を分析しその濃度を確認した。
次に、1mol/L、1.5mol/L、2mol/L、3mol/L、4mol/L、5mol/L濃度の硝酸溶液を各々調整した。300mLビーカーに、表−1に示す有機100mLを入れ、各々を水で濃度調整した硝酸溶液100mLまたは水100mLを加えて、スターラーで60分間攪拌した。
攪拌後、静置して有機相と水相を分離し水相をICP装置で分析し、各硝酸濃度での逆抽出率を算出した。
結果を表−2に示し、逆抽出後の酸濃度と各元素の逆抽出率の関係を図−2に示した。
なお、逆抽出後の酸濃度は、水相を分取し、指示薬メチルバイオレットを添加し水酸化ナトリウム水溶液を用いて滴定することにより求めた。
表−2および図2により、銅と鉛は硝酸濃度の広い範囲で逆抽出が可能であるが、ビスマスは、硝酸濃度に比例し逆抽出液に溶出することが分る。これにより、不純物の少ないビスマスを選択的に回収するには、低酸濃度で一度逆抽出処理を行い、不純物である銅と鉛を有機相から除いた後、ほぼビスマスのみが残っている状態にしてから高硝酸濃度で再度、逆抽出処理を行うことにより不純物の低いビスマスが得られることが分かる。
(実験例2)
実験例2は第1逆抽出工程P1から始め第2逆抽出工程P2まで進めた実証実験である。
表−1に示す有機相を500mLを2リットルビーカーに入れ、1mol/L濃度の硝酸溶液500mLを混合し、小型攪拌機を用いて60分間攪拌し、静置後、有機相と水相を分離した。次に、分離した有機相を別の2リットルビーカーに入れ、硝酸濃度5mol/Lに調整した硝酸溶液500mLを混合して小型攪拌機を用いて60分間攪拌した。静置後、有機相と水相を分離した。得られた水相を28質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液でpH8まで中和した。
pH2付近で白濁が見られ、ビスマスの白色沈殿物が析出した。濾別後、沈殿物を乾燥したうえで分析した。分析結果を表−3に示す。
表−3から明らかなように、実験例2では、不純物である銅と鉛が少ないビスマス澱物が得られた。
比較例1、2は実験例1の第1逆抽出工程と対比するための実験である。
(比較例1)
実験例1と同じく表−1に示す有機100mLを300mLビーカーに入れ、0.1mol/L濃度の塩酸溶液100mLを混合し、小型攪拌機を用いて60分間攪拌したところ、撹拌開始直後から浮遊物が出現した。静置したものの60分経過しても浮遊物がみられ、有機相と水相の分離が困難であった。
(比較例2)
実験例2と同じく表−1に示す有機を500mLを2リットルビーカーに入れ、2mol/L濃度の塩酸溶液500mLを混合し、小型攪拌機を用いて60分間攪拌し、静置後、有機相と水相を分離した。得られた水相を28質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液でpH8まで中和した。
pH2付近で実験例2と同様の白濁が見られたが、最終は、黄緑色の沈殿物が析出した。濾別後、沈殿物を乾燥したうえで分析した。分析結果を表−4に示した。
表−4から明らかなように、比較例2では、沈殿物には、銅と鉛の不純物が多く含まれておりビスマス精製が困難な沈殿物組成であった。
上記比較例1の結果から、本発明の第1逆抽出工程P1では逆抽出後の硝酸濃度が0.5〜1.0mol/Lであるのが実際的であることが分かる。
(硝酸添加量の調整)
実験例1で接触させた5mol/Lの硝酸(5規定)は、ビスマス等の逆抽出に伴い4.6規定まで低下している。異なる濃度の硝酸を用いる場合、硝酸にかえて他の強酸を用いる場合、有機相の量が異なる場合、抽出剤と希釈剤の比率が異なる場合は、濃度の低下幅が変わるので、硝酸(強酸)の添加量を調整すればよい。第2逆抽出工程P2で硝酸の添加量は、逆抽出後で酸濃度が4.6規定となるようにすれば、表1の組成の有機相から表3の組成の沈殿物を得ることができる。
逆抽出後の酸濃度が4.6規定より低い場合でも、品質に優れた水酸化ビスマスを得ることができる。たとえば、3.6規定で64.6%、2.6規定で59.0%と、比較例2の50.5%より格段に高純度なものが得られるであろう。とすると、逆抽出後の酸濃度(水素イオン濃度)は、2.6規定〜4.6規定(2.6〜4.6mol/L)に、より好ましくは3.6規定〜4.6規定(3.6〜4.6mol/L)の範囲内で調整することができる。
上記の根拠となる計算は、以下のとおりである。
(3.6規定の場合)
水相中のビスマス濃度の変化(5.23→5.03g/L)を沈殿物中ビスマス量(65.5%)にかけて
65.5×(5.03/5.23)=62.995
ビスマスが減った残りを100%とみなして
62.995×[100/(100−65.5+62.995)]=64.6%
(2.6規定の場合)
65.5×(3.97/5.23)=49.720
49.720×[100/(100−65.5+49.720)]=59.0%
本発明の方法によれば、希少金属であるビスマスを簡単な方法で不純物の少ないビスマス水溶液またはビスマス澱物が得られ、ビスマスの精製がしやすくなり工業的方法として最適である。
P1 第1逆抽出工程
P2 第2逆抽出工程
P3、P11 中和工程
P12 アルカリ浸出工程
P13 硫酸浸出工程
P14 冷却工程
P15 硫酸根除去工程
P16 電解工程

Claims (5)

  1. ビスマスとビスマス以外の卑金属元素とビス(2−エチルヘキシル)リン酸を含有する有機溶媒を酸性水溶液と接触させることにより卑金属元素を逆抽出する、卑金属元素の分離方法において、
    前記逆抽出工程は、硝酸と接触させることにより銅または鉛を第1の水相として有機相から分離する第1逆抽出工程と、
    前記第1逆抽出工程で得られる有機相を強酸と接触させることによりビスマスを第2の水相として選択的に分離する第2逆抽出工程を、その順に実行し、
    前記第2の水相は前記第1の水相の酸濃度よりも酸濃度が高い
    ことを特徴とするビスマスの回収方法。
  2. 前記第1逆抽出工程における逆抽出後の硝酸濃度が0.5〜1.0mol/Lである
    ことを特徴とする請求項1記載のビスマスの回収方法。
  3. 前記第2逆抽出工程における逆抽出後の硝酸濃度が2.6〜4.6mol/Lである
    ことを特徴とする請求項1または2記載のビスマスの回収方法。
  4. 前記第2逆抽出工程では、指示薬をメチルバイオレットとした場合の酸濃度が2.6〜4.6規定である水相を生じる
    ことを特徴とする請求項1または2記載のビスマスの回収方法。
  5. 前記第2逆抽出工程で分離されたビスマスを中和処置工程で中和澱物とし、これにアルカリ浸出工程、硫酸浸出工程、冷却工程、硫酸根除去工程、電解工程を順次適用し金属ビスマスを得る
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のビスマスの回収方法。
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