JP2018070410A - 単結晶製造装置および単結晶製造方法 - Google Patents

単結晶製造装置および単結晶製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶融帯域の形成状態を容易かつ確実に維持することができ、これにより高純度で均質な単結晶を高い生産性で製造できる技術を提供する。【解決手段】原料把持部に把持された原料と種結晶把持部に把持された種結晶とを近接させ、加熱部により加熱して前記原料と前記種結晶との間に溶融帯域を形成し、前記溶融帯域を冷却することによって単結晶を製造する単結晶製造装置において、前記溶融帯域の撮像画像を取得して、前記撮像画像から前記溶融帯域の形状を認識する形状認識部と、前記形状認識部での形状認識結果を基に、前記溶融帯域が所定形状状態を維持するように、前記原料把持部、前記種結晶把持部または前記加熱部の少なくとも一つの動作を制御する動作制御部と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、単結晶製造装置および単結晶製造方法に関する。
従来、高純度で均質な単結晶を製造する単結晶製造方法として、例えば、フローティングゾーン(FZ)法が知られている(例えば、特許文献1参照)。FZ法では、天地方向の天の位置(以下「上方」ともいう。)に棒状の原料を配置し、天地方向の地の位置(以下「下方」ともいう。)に棒状の種結晶を配置し、これらを互いに近接させる。そして、原料に対する局所的加熱を行って、原料と種結晶との間に溶融帯域を形成する。この溶融帯域は、種結晶と接触する下方側から結晶成長(固体化、単結晶化)する。したがって、原料および種結晶を共に移動させつつ溶融帯域を冷却することによって、その溶融帯域から連続的に結晶を成長させることができる。
また、近年では、高純度で均質な単結晶を製造する他の単結晶製造方法として、例えば、アドバンスド・ペデスタル(AP)法を利用することも提案されている(例えば、特許文献2参照)。AP法では、FZ法を上下逆にした状態、すなわち上方に種結晶を配置し、下方に原料を配置した状態で、原料と種結晶との間に溶融帯域を形成する。このようなAP法によれば、FZ法の場合と同様に坩堝を使用しないので、高純度で均質な単結晶を低コストで製造できる。しかも、下方に位置する原料の上に溶融帯域を形成するので、FZ法の場合に比べると、その溶融帯域の形成を安定的に行えるようになる。
特開2015−081218号公報 特許第5767299号公報
上述したFZ法やAP法等のように、坩堝を使用せず原料と種結晶との間に溶融帯域を形成して単結晶を製造する場合には、その溶融帯域を構成する融液が崩落せず結晶成長を継続させ得るように、その溶融帯域が形成されている状態を維持することが必要不可欠である。
ただし、溶融帯域をある特定の状態に維持することは、単結晶製造装置の機差、原料の違い、原料と種結晶との偏心状態、溶融帯域内部の物性(融液の粘度等)等といった様々な要因の影響を受け、また結晶成長が長時間(例えば数十時間)に及ぶこともあるため、必ずしも単結晶製造装置のオペレータが容易に行えることではない。
そこで、本発明は、溶融帯域が形成されている状態を容易かつ確実に維持することができ、これにより高純度で均質な単結晶を高い生産性で製造することができる単結晶製造装置および単結晶製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために案出されたもので、その態様は以下のとおりである。
本発明の一態様によれば、
原料把持部に把持された原料と種結晶把持部に把持された種結晶とを近接させ、加熱部により加熱して前記原料と前記種結晶との間に溶融帯域を形成し、前記溶融帯域を冷却することによって単結晶を製造する単結晶製造装置において、
前記溶融帯域の撮像画像を取得して、前記撮像画像から前記溶融帯域の形状を認識する形状認識部と、
前記形状認識部での形状認識結果を基に、前記溶融帯域の形状が所定形状状態から外れないように、前記原料把持部、前記種結晶把持部または前記加熱部の少なくとも一つの動作を制御する動作制御部と、
を備える単結晶製造装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、
原料把持部に把持された原料と種結晶把持部に把持された種結晶とを近接させた状態で、加熱部により加熱して前記原料と前記種結晶との間に溶融帯域を形成し、前記溶融帯域を冷却することによって単結晶を製造する単結晶製造方法において、
前記溶融帯域の撮像画像を取得して、前記撮像画像から前記溶融帯域の形状を認識する形状認識工程と、
前記形状認識工程での形状認識結果を基に、前記溶融帯域の形状が所定形状状態から外れないように、前記原料把持部、前記種結晶把持部または前記加熱部の少なくとも一つの動作を制御する動作制御工程と、
を備える単結晶製造方法が提供される。
本発明によれば、溶融帯域が形成されている状態を容易かつ確実に維持することができ、これにより高純度で均質な単結晶を高い生産性で製造することができる。
本発明の一実施形態に係る単結晶製造装置の概略構成例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る単結晶製造装置の機能構成例を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る単結晶製造装置における溶融帯域の形状の一具体例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る単結晶製造方法における制御処理の手順の一例を示すフロー図である。
[本発明の一実施形態]
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
<1.単結晶製造の概要>
先ず、本実施形態に係る単結晶製造装置を用いて行う単結晶製造の概要を簡単に説明する。ここでは、AP法による単結晶製造を行う場合を例に挙げ、はじめに単結晶製造装置の基本構成を、次いで単結晶製造の基本的な手順を説明する。
(1−1)単結晶製造装置の基本構成
図1は、本実施形態に係る単結晶製造装置の概略構成例を示す模式図である。
(全体構成)
単結晶製造装置1は、主要な構成要素部として原料把持部2、種結晶把持部3および加熱部4,5を備えており、これらの各部2〜5を動作させることで単結晶を成長させるように構成されている。以下、これらの各部2〜5について順に説明する。
なお、単結晶を成長させる結晶成長炉は石英炉心管11で密閉されており、下部シャフトフランジ12、上部シャフトフランジ13とともに炉内の成長雰囲気を外界から隔離している。炉内には雰囲気導入口14から適切な組成の雰囲気を導入し、雰囲気排出口15から排出し、炉内の雰囲気成分および圧力を適切に保つことができる。
(原料把持部)
原料把持部2は、単結晶の成長に必要となる原料Mを把持するもので、AP法に対応して種結晶把持部3と対向する天地方向の地の位置(図中の下方側)に配置されている。
原料Mとしては、例えばペレット状のものを用いる。そのため、原料把持部2は、ペレット状の原料Mと係合自在な形状に構成された原料ホルダ21を有している。
また、原料把持部2は、天地方向に移動自在で、かつ、天地方向に延びる軸を中心にして回転自在に構成されている。そのために、原料把持部2は、原料ホルダ21から下方側に延びる下部シャフト22を有しており、その下部シャフト22が図示せぬ駆動源に連結されている。なお、駆動源は、後述する制御部からの指示に従って原料把持部2の駆動動作を行うようになっている。
(種結晶把持部)
種結晶把持部3は、単結晶の成長に必要となる種結晶Sを把持するもので、AP法に対応して原料把持部2と対向する天地方向の天の位置(図中の上方側)に配置されている。
種結晶Sとしては、例えば棒状のものを用いる。そのため、種結晶把持部3は、棒状の種結晶Sと係合自在な形状に構成された種結晶ホルダ31を有している。
また、種結晶把持部3は、天地方向に移動自在で、かつ、天地方向に延びる軸を中心にして回転自在に構成されている。そのために、種結晶把持部3は、種結晶ホルダ31から上方側に延びる上部シャフト32を有しており、その上部シャフト32が図示せぬ駆動源に連結されている。なお、駆動源は、後述する制御部からの指示に従って種結晶把持部3の駆動動作を行うようになっている。
(加熱部)
加熱部4,5は、原料把持部2に把持された原料Mに対する局所的加熱を行って、その原料Mを溶融させるものである。ここでは、加熱部4,5のそれぞれが、局所的加熱に寄与するように構成された場合を例に挙げている。
具体的には、局所的加熱に寄与する加熱部4として、赤外線を発生させる赤外線ランプ41と、これに付設された回転楕円鏡42と、を有している。そして、回転楕円鏡42の一方の焦点F1に赤外線ランプ41が位置し、原料把持部2に把持された原料Mが他方の焦点F0に位置するように、それぞれが配置されている。このような構成により、加熱部4は、原料Mの斜め上方に位置する赤外線ランプ41が発生させた赤外線を利用しつつ、原料Mに対する局所的加熱を行うことができる。なお、赤外線ランプ41は、後述する制御部からの指示に従ってランプ強度(すなわち赤外線強度)が調整されるようになっている。
また、原料把持部2に把持された原料Mの周囲には、局所的加熱に寄与する他の加熱部5として、その原料Mを囲うように形成された筒状の遮蔽筒51を有している。遮蔽筒51は、天地方向に移動自在に構成されている。このような構成により、加熱部5は、赤外線ランプ41が発生させた赤外線を、原料Mにおける所定の部分に対してのみ照射すること、すなわち原料Mに対する局所的な加熱を確実なものとするができる。そのために、遮蔽筒51は、支持フロア52上に固定されており、その支持フロア52を介して図示せぬ駆動源に連結されている。なお、駆動源は、後述する制御部からの指示に従って遮蔽筒51の移動動作を行うようになっている。
なお、ここでは、加熱部4,5のそれぞれが局所的加熱に寄与する場合を例に挙げたが、必ずしもこれらの両方を併せ持つ必要はなく、例えば加熱部4のみを備えている場合であっても、原料Mを加熱することは可能である。
また、ここでは、加熱部4が赤外線ランプ41と回転楕円鏡42を用いて局所的加熱を行う場合を例に挙げているが、加熱部4は、赤外線ランプ41に代わって、または赤外線ランプ41と併用して、レーザ光を照射して局所的加熱を行うように構成されたものであってもよい。
(1−2)単結晶製造の基本的な手順
次に、上述した構成の単結晶製造装置1を用いて行う単結晶製造の基本的な手順を説明する。単結晶製造装置1による単結晶製造は、大別すると、準備工程と、加熱工程と、単結晶成長工程と、を経る。以下、これらの各工程について順に説明する。
(準備工程)
単結晶製造に際しては、先ず、下方に位置する原料把持部2に原料Mを把持させ、上方に位置する種結晶把持部3に種結晶Sを把持させる。これにより、原料Mと種結晶Sとは、対向して配置されることになる。そして、原料把持部2および種結晶把持部3をそれぞれ天地方向に沿って移動させることで、原料把持部2に把持された原料Mと種結晶把持部3に把持された種結晶Sとを互いに近接させる。
(加熱工程)
次いで、原料Mと種結晶Sとが近接した状態で、原料把持部2および種結晶把持部3をそれぞれ逆相で周方向に回転させつつ、その近接部分の斜め上方側から、赤外線ランプ41で発生させた赤外線を、原料Mに対して直接、および、回転楕円鏡42により反射した上で、その原料Mに集光させて照射する。さらには、そのときに遮蔽筒51を適切な位置に配置する。これにより、原料把持部2に把持された原料Mにおける種結晶Sと対向する部分が局所的に加熱されることになり、その原料Mの上端側が溶融する。そして、その溶融部分に多少溶融した種結晶Sを接触させることで、原料Mと種結晶Sとの間に溶融帯域Mlが形成される。
(単結晶成長工程)
溶融帯域Mlが形成された後は、その溶融帯域Mlから単結晶を成長させる。具体的には、種結晶把持部3を上昇させることで、溶融帯域Mlを上方へ引っ張り上げて、その溶融帯域Mlの上方側部分(成長部分Mc)が赤外線照射領域から外れるようにする。これにより、その成長部分Mcについては、温度が下降して冷却されて、単結晶Mcとして成長することになる。
その一方で、溶融帯域Mlから連続的に単結晶Mcを成長させるためには、新たな溶融帯域Mlを形成する必要がある。そのため、原料Mを赤外線照射領域内へ次々に移動させるべく、原料把持部2についても上昇させる。このように、原料把持部2および種結晶把持部3を引き上げつつ、それぞれの上昇スピードを適宜調整することによって、溶融帯域Mlから連続的に単結晶Mcを成長させることができる。
以上のような手順を経ることによって、単結晶製造装置1において、大口径の単結晶を製造することが可能となる。そして、所定の量の単結晶が成長したら、適宜必要な作業を行いつつ、単結晶の製造を終了する。
なお、以上に説明した単結晶製造装置1の基本構成および単結晶製造の基本的な手順において、特に記載がない内容については、溶融帯域法による単結晶製造に関する公知技術の構成や手順等(例えば、特開2015−081217号公報、特開2015−081218号公報、特許第5926432号に記載の内容)を適宜採用しても構わない。
<2.発明者の得た知見>
ところで、上述した手順による単結晶製造にあたっては、溶融帯域Mlから連続的に単結晶Mcを成長させることから、その溶融帯域Mlを構成する融液が崩落せず結晶成長を継続させ得るように、その溶融帯域Mlが形成されている状態を維持することが必要不可欠である。
ただし、溶融帯域Mlをある特定の状態に維持することは、単結晶製造装置1の機差、原料Mの違い、原料把持部2に把持された原料Mと種結晶把持部3に把持された種結晶Sとの偏心状態、溶融帯域Mlの内部の物性(融液の粘度等)等といった様々な要因の影響を受け、また結晶成長が長時間(例えば数十時間)に及ぶこともあるため、必ずしも単結晶製造装置1のオペレータが容易に行えることではない。
この点については、例えば、単結晶製造装置1に対して、公知の自動制御技術を適用することも考えられる。具体的には、単結晶製造装置1において、その単結晶製造装置1で取り扱う溶融帯域Mlの状態が予め設定された目標となる状態と合致するように、溶融帯域Mlの状態の検出結果に基づいて単結晶製造装置1における各部2〜5の動作をコントロールする、といったことを行うことが考えられる。
しかしながら、単結晶製造装置1で取り扱う溶融帯域Mlについては、以下に述べる理由により、その挙動を正確に把握したり、その形状の状態を的確に制御したりすることが、非常に困難である。
溶融帯域Mlの形状は、単結晶製造装置1の機差、原料Mの違い、原料把持部2に把持された原料Mと種結晶把持部3に把持された種結晶Sとの偏心状態等の影響で、単結晶製造装置1における動作毎に相違してしまう可能性がある。そのため、単結晶製造装置1における溶融帯域Mlの挙動について、これを予め正確に把握することは、非常に困難である。
さらに、単結晶製造装置1においては、溶融帯域Mlの特性変動が単結晶製造装置1の様々な動作に起因して生じ得る。具体的には、例えば、溶融帯域Mlの形状の膨らみは、融液加熱量の過剰によって生じる場合、融液加熱量の不足によって生じる場合、原料把持部2または種結晶把持部3の動作に起因して生じる場合のいずれもあり得る。したがって、溶融帯域Mlの形状が膨らんでいるという情報から、直ちに各部2〜5の動作コントロールのための制御値を求めることは容易ではない。このように、溶融帯域Mlの状態の変動と単結晶製造装置1の動作状況とが一義的に対応していない場合においては、溶融帯域Mlのモデル化が困難となり得る。
また、溶融帯域Mlによる結晶成長は長時間(例えば数十時間)に及ぶこともあるため、単結晶製造装置1において予め動作試行して様々な現象を相当量把握した上で制御モデルを作成することは現実的でない。しかも、単結晶製造装置1に対する自動制御はリアルタイム性が求められるため、最良行動を探索しながら学習していくタイプの強化学習の適用は不向きである。
つまり、単結晶製造装置1における溶融帯域Mlについては、その溶融帯域Mlを一つの物理モデルとして明示的に記述することが容易ではなく、その溶融帯域Mlの形状を目標形状に追従させるように制御することが困難である。
このことを踏まえた上で、本願の発明者は鋭意検討を重ねた結果、従前の自動制御のように溶融帯域Mlの形状を目標形状に追従させるのではなく、溶融帯域Mlによる結晶成長を継続させ得る状態を所定形状状態として規定し、溶融帯域Mlの形状が所定形状状態から外れないように制御を行えば、その溶融帯域Mlが形成されている状態を容易かつ確実に維持することができる、という新たな知見を得るに至った。つまり、理想的な目標値を規定することが困難な場合であっても、破綻を招く限界値であれば容易に規定可能なこともあるので、その点に着目して、限界値から外れないような制御を行えば、容易かつ確実な動作制御が可能になる、という新たな知見を得たのである。
さらに、本願の発明者は鋭意検討を重ねた結果、溶融帯域Mlの形状が所定形状状態から外れないように制御を行いつつ、その制御結果に応じて制御モデルの再設定を行えば、その制御内容について学習効果が発揮され、その溶融帯域Mlが形成されている状態を高精度で維持することができる、という新たな知見を得るに至った。つまり、溶融帯域Mlを一意にモデル化して目標形状となるように動作コントロールをすることが困難な場合であっても、学習効果を発揮するように制御結果を新たな制御内容に反映させれば、モデル化した場合と同等の精度で動作コントロールをすることが可能になる、という新たな知見を得たのである。
本発明は、本願の発明者が見出した上述の新たな知見に基づくものである。
<3.制御構成および制御手順の詳細>
次に、上述の知見に基づく制御構成および制御手順について詳しく説明する。
(3−1)制御構成の詳細
図2は、本実施形態に係る単結晶製造装置の機能構成例を示すブロック図である。
(制御部)
単結晶製造装置1は、上述の知見に基づく制御処理を行うために、上述の各部2〜5に加えて、制御部6を備えている。なお、制御部6は、単結晶製造装置1内に搭載されたもの(すなわち、単結晶製造装置1と一体のもの)であってもよいし、単結晶製造装置1に有線または無線の通信回線等を介して接続されたもの(すなわち、単結晶製造装置1とは別体のもの)であってもよい。
制御部6は、単結晶製造装置1における各部2〜5の動作を制御するためのもので、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の組み合わせからなる演算部、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶部、外部インタフェース等のデータ入出力部、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(complementary metal oxide semiconductor)センサ等の画像撮像部といったハードウエア資源を備えて構成されたものである。つまり、制御部6は、コンピュータ装置としてのハードウエア資源を備えて構成されており、記憶部に記憶されたプログラムを演算部が実行することにより、そのプログラム(ソフトウエア)とハードウエア資源とが協働して、単結晶製造装置1の動作を制御するようになっている。
また、制御部6は、大別すると、形状認識部10と、動作制御部20と、を備えて構成されている。以下、これらの各部10,20について順に説明する。
(形状認識部)
形状認識部10は、単結晶製造装置1における溶融帯域Mlの状態に関する計測を行うものである。さらに詳しくは、形状認部10は、溶融帯域Mlの撮像画像(当該溶融帯域Mlと原料Mとの接合箇所および当該溶融帯域Mlと単結晶Mcとの接合箇所の画像を含む。)を取得して、その撮像画像から溶融帯域Mlの形状を認識した上で、その溶融帯域Mlの形状の特徴値を計測するものである。そのために、形状認識部10は、画像撮像部11と、画像解析部12と、を備えて構成されている。
(画像撮像部)
形状認識部10における画像撮像部11は、CCDセンサやCMOSセンサ等によって実現されるもので、溶融帯域Mlの形状についての撮像画像を取得するものである。取得する撮像画像は、静止画であってもよいし動画であってもよい。以下の説明では、画像撮像部11が撮像画像として動画を取得する場合を例に挙げる。
なお、単結晶製造装置1はAP法による単結晶製造を行うものであり、赤外線ランプ41が斜め上方側から赤外線を照射して局所的加熱を行うように構成されていることから、画像撮像部11は、溶融帯域Mlの側方側に配されて撮像を行うことで、その溶融帯域Mlについての撮像画像を取得することができる。これにより、溶融帯域Mlの撮像画像を取得する場合であっても、そのために装置構成が複雑化してしまうのを極力抑制することができる。さらには、側方からの撮像画像を基にすることで、溶融帯域Mlの形状認識を容易に、かつ、精度良く行い得るようになる。
(画像解析部)
形状認識部10における画像解析部12は、演算部が所定プログラムを実行することによって実現されるもので、画像撮像部11で取得した撮像画像を解析して溶融帯域Mlの形状についての特徴値を抽出するものである。特徴値は、溶融帯域Mlにおける特徴的な形状部分を特定するもので、具体的にはその一例として特徴的な形状部分の寸法値を用いることが考えられる。どのような特徴値を抽出するかについては、予め設定されているものとする。また、抽出数については、予め設定されていれば、単数種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
図3は、本実施形態に係る単結晶製造装置における溶融帯域の形状の一具体例を示す説明図である。
図例のように、溶融帯域Mlの形状についての特徴値としては、例えば、結晶径D[mm]、原料側部分異常径D[mm]、原料径D[mm]、溶融帯域上部曲率C[/mm]、溶融帯域下部曲率C[/mm]、溶融帯域高L[mm]、原料側部分異常高W[mm]の少なくとも一つ、好ましくはこれら7種類の全てを抽出することが考えられる。
なお、ここで例示した特徴値は一具体例に過ぎず、抽出すべき特徴値がこれらに限定されることはない。
このような特徴値の抽出は、公知の画像処理技術を用いて行えばよい。具体的には、画像撮像部11で取得した撮像画像から切り出した1フレームの画像について、エッジ検出を行った上で、特徴的な形状部分の寸法値を計測すれば、特徴値の抽出を行うことができる。
ところで、AP法による単結晶製造にあたっては、融液の攪拌および被加熱環境の均質化のために、原料Mおよび種結晶Sをそれぞれ逆相で回転させている。しかも、それぞれを把持する原料把持部2および種結晶把持部3の回転軸も偏心しているおそれがある。
これらのことを考慮して、画像解析部12は、以下のようにして特徴値の抽出を行うものであってもよい。具体的には、原料把持部2および種結晶把持部3の回転に同期させた複数のフレーム画像(例えば、48分周の画像)のそれぞれから特徴値を求め、それらについて平滑化する処理を行ってノイズ成分等を除去した上で、抽出すべき特徴値を特定する。つまり、画像解析部12は、溶融帯域Mlについて取得した複数の撮像画像を基に、これら複数の撮像画像に対する平滑化処理を経て、その溶融帯域Mlの形状を認識するものであってもよい。
このようにすれば、例えば、溶融帯域Mlについて取得した撮像画像が回転や偏心等の影響を受け得るものであっても、その影響によるノイズ成分等を除去した上で溶融帯域Mlの形状の特徴値を抽出できるので、特徴値の抽出の精度向上が図れるようになる。
(動作制御部)
また図2において、動作制御部20は、単結晶製造装置1における各部2〜5に対して動作指示を与えることで、それぞれの動作を制御するものである。なお、ここでは、各部2〜5のいずれもが動作制御部20によって制御される場合を例に挙げるが、動作制御部20は、これら各部2〜5の少なくとも一つの動作を制御するものであってもよい。
これら各部2〜5に対する動作制御にあたり、動作制御部20は、形状認識部10での溶融帯域Mlについての形状認識結果を基に、その溶融帯域Mlの形状が所定形状状態から外れないように、その動作制御を行うようになっている。ここでいう所定形状状態については、詳細を後述する。
このような動作制御を行うために、動作制御部20は、演算部が所定プログラムを実行することによって実現され、その所定プログラムを実行することで制約判定部21、制御値決定部22、シーケンス制御部23およびモデル学習部24として機能するようになっている。以下、これらの各部21〜24について順に説明する。
(制約判定部)
制約判定部21は、形状認識部10での計測結果を所定の制約条件と対比して制約判定値を求めるものである。さらに詳しくは、制約判定部21は、形状認識部10における画像解析部12で得た特徴値を、その特徴値について設定された限界値と対比して、特徴値の限界値に対する近接度を制約判定値ΔRとして求めるものである。つまり、制約判定部21は、所定の制約条件として、形状認識部10での計測結果である溶融帯域Mlの特徴値について設定された限界値を用い、その限界値に対する近接度を制約判定値ΔRとして求めるのである。
ここでいう限界値は、特徴値のそれぞれに対して個別に設定されているもので、例えば特徴値として規定された寸法値について許容される上限値または下限値が一具体例として挙げられる。したがって、限界値は、一つの種類の特徴値に対して複数種類(例えば、上限値と下限値の両方)が設定されることもあり得る。このような限界値によって特定される形状にある状態が、上述した所定形状状態に相当することになる。つまり、限界値は、溶融帯域Mlが所定形状状態を維持するために必要となる境界条件に相当する値である。したがって、特徴値と限界値との対比を経ることで、溶融帯域Mlは、特徴的な形状部分の寸法値(すなわち特徴値)が限界値から外れないように制御され、融液が崩落したり破断したりすることのない形状状態が維持されることになる。
また、特徴値の限界値に対する近接度は、特徴値が限界値に近接する度合い(すなわち、近接の深刻度)を定量的に特定するためのもので、予め設定された演算式に基づいて算出されるものである。演算式は、近接度の変化を線形に規定するものであってもよいし、限界値に近づくほど近接度の変化が大きくなるような非線形のものであってもよい。
(制御値決定部)
制御値決定部22は、制約判定部21で求めた制約判定値ΔRに基づき、単結晶製造装置1における各部2〜5の動作を制御するための制御値ΔCを、制約判定値ΔRと制御値ΔCとの関係を規定する制御モデル式を用いて、その制御モデル式に従いつつ決定するものである。
ここでいう制御値ΔCは、各部2〜5における動作内容を指示するための制御変数(制御パラメータ)に相当するものである。具体的には、制御値決定部22で決定する制御値ΔCとして、例えば、赤外線ランプ41のランプ出力Q[%]、遮蔽筒51の上下方向位置P[mm]、原料把持部2の上下方向への移動速度V[mm/h]、種結晶把持部3の上下方向への移動速度V[mm/h]の少なくとも一つ、好ましくはこれら4種類の全てについて、その変化量を規定するものが挙げられる(図3参照)。なお、ここで例示した制御値ΔCは一具体例に過ぎず、決定すべき制御値ΔCがこれらに限定されることはない。
このような制御値ΔCを決定するための制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)(ただし、iは制約判定値ΔRの種類数、jは制御値ΔCの種類数、FはΔRとΔCとの関数)は、後述する再設定に対応し得るように、予め設定されているものとする。なお、制御モデル式の詳細については後述する。
(シーケンス制御部)
シーケンス制御部23は、制御値決定部22が決定した制御値ΔCを基に、単結晶製造装置1における各部2〜5に対する動作制御を行うものである。つまり、シーケンス制御部23は、制御値決定部22が決定した制御値ΔCに従いつつ単結晶製造装置1における各部2〜5が動作するように、各部2〜5のそれぞれに対して動作指示を与えるものである。
(モデル学習部)
モデル学習部24は、シーケンス制御部23が行う動作制御によって制約判定値ΔRが変動した場合に、その制約判定値ΔRとシーケンス制御部23が行う動作制御との関係を再設定するものである。さらに詳しくは、モデル学習部24は、シーケンス制御部23が行う動作制御によって制約判定部21で求める制約判定値ΔRがどのように変動するかに応じて、制御値決定部22が用いる制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)についての再設定を行うものである。
ここでいう再設定は、動作制御の結果の適切化が図れるように制御モデル式についての設定を更新することであり、例えば制御モデル式を構成する被更新項目(例えば、後述する重み変数)を必要に応じて更新することが一具体例として挙げられる。なお、再設定の詳細については後述する。
つまり、モデル学習部24は、周期的に繰り返すサイクリックな処理として行われる動作制御の結果に応じて制御モデル式の再設定を行うことで、その動作制御の結果を次に行う動作制御の内容に反映させるように学習させ、これにより動作制御を繰り返すうちに結果の適切化が図れるようにするものである。
(プログラム)
以上のように構成された制御部6において、形状認識部10における画像解析部12としての機能、並びに、動作制御部20における制約判定部21、制御値決定部22、シーケンス制御部23およびモデル学習部24として機能は、演算部が所定プログラムを実行することによって実現される。
その場合に、各機能を実現する所定プログラムは、コンピュータ装置としての制御部6にインストール可能なものであれば、当該コンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体(例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等)に格納されて提供されるものであってもよいし、インターネットや専用回線等のネットワークを通じて外部から提供されるものであってもよい。
(3−2)制御手順の詳細
次に、上述した構成の制御部6によって行われる制御処理の手順について詳しく説明する。かかる制御処理は、本実施形態に係る単結晶製造装置1を用いて行う単結晶製造方法の一部として行われるものである。
(制御処理の手順)
図4は、本実施形態に係る単結晶製造方法における制御処理の手順の一例を示すフロー図である。
単結晶製造装置1を用いて単結晶製造を行う場合には、既に説明したように、準備工程、加熱工程および単結晶成長工程を順に経る。そして、加熱工程または単結晶成長工程のいずれかにおいて、原料Mと種結晶Sとの間に溶融帯域Mlが形成され、その溶融帯域Mlが安定状態となったら、制御部6による制御処理が開始される。なお、制御処理の開始トリガーは特に限定されるものではないが、例えば単結晶製造装置1のオペレータによる所定操作が開始トリガーの一具体例として挙げられる。
制御部6による制御処理にあたっては、先ず、制御処理の条件設定を初期化する(ステップ101、以下ステップを「S」と略す。)。具体的には、制御処理の処理回数kをk=1と設定するとともに、制御値決定部22が用いる制御モデル式の設定を初期状態とする。さらに詳しくは、制御モデル式における被更新項目(例えば、後述する重み変数)を初期値に設定する。なお、初期値は、特定の値に限定されるものではなく、制御モデル式の内容に応じて適宜設定されたものであれば、例えば予めの知見によるものであってもよいし、あるいは例えば全て「1」といったものであってもよい。
条件設定を初期化したら、画像撮像部11は、制御対象物となる溶融帯域Mlの形状についての撮像画像を取得する(S102)。そして、原料把持部2および種結晶把持部3が一回転する分の撮像画像を画像撮像部11で取得したら、画像解析部12は、その撮像画像を解析して(S103)、溶融帯域Mlの形状についての特徴値を抽出する(S104)。具体的には、画像解析部12は、一回転分の撮像画像から複数のフレーム画像(例えば、48分周の画像)を切り出し、それぞれのフレーム画像についてエッジ検出等を行って特徴値を求めるとともに、それぞれから求めた特徴値について平滑化処理を行ってノイズ成分等を除去した上で、抽出すべき特徴値を特定する。このようにして、画像解析部12は、溶融帯域Mlの形状についての特徴値を抽出する。
特徴値を抽出したら、制約判定部21は、画像解析部12で得た特徴値を、その特徴値について設定された限界値と対比して、特徴値の限界値に対する近接度を制約判定値ΔRとして求める(S105)。複数種類の特徴値が抽出された場合には、制約判定部21は、それぞれの特徴値について制約判定値ΔRを求める。また、一つの種類の特徴値に対して複数種類の限界値が設定されている場合には、そして、制約判定部21は、各限界値について制約判定値ΔRを求める。
制約判定値ΔRを求めたら、ここで、モデル学習部24は、制約判定部21が求めた制約判定値ΔRを、その前の処理回数k−1のときに制約判定部21で求めた同種類の制約判定値ΔRと比較し、処理回数kのときと処理回数k−1のときで制約判定値ΔRがどのように変動しているかを判定する(S106)。さらに詳しくは、モデル学習部24は、特徴値が限界値に近づいて近接度が増大するように制約判定値ΔRが変動しているか、特徴値が限界値から離れて近接度が減少するように制約判定値ΔRが変動しているか、または、近接度が同一のままであるか、のいずれであるかを判定する。なお、処理回数k=1のときは、まだ比較対象が存在しないので、かかる判定処理を省略してもよい。
その結果、近接度が増大していれば、モデル学習部24は、制御値決定部22が用いる制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)のうち、その前の処理回数k−1のときに決定した制御値ΔC(すなわち制御パラメータの変化量)が正の値となった制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)において、その制御モデル式を構成する被更新項目で、かつ、近接度が増大している種類の制約判定値ΔRに関する被更新項目(具体的には、例えば当該制約判定値ΔRに関する重み変数)を、ネガティブ方向(近接度増大を緩和させる方向)に更新する(S107)。
また、近接度が減少していれば、モデル学習部24は、制御値決定部22が用いる制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)のうち、その前の処理回数k−1のときに決定した制御値ΔC(すなわち制御パラメータの変化量)が正の値となった制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)において、その制御モデル式を構成する被更新項目で、かつ、近接度が減少している種類の制約判定値ΔRに関する被更新項目(具体的には、例えば当該制約判定値ΔRに関する重み変数)を、ポジティブ方向(近接度減少を促進させる方向)に更新する(S108)。
また、近接度が同一であれば、モデル学習部24は、制御値決定部22が用いる制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)に対する再設定を行わない。
なお、制御モデル式における被更新項目(重み変数等)およびその更新の具体的な態様については、詳細を後述する。
以上のような判定および更新を経た上で、制御値決定部22は、更新後の制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)を用いつつ、制約判定部21で求めた制約判定値ΔRに基づいて、単結晶製造装置1における各部2〜5の動作を制御するための制御値ΔCを決定する(S109)。なお、制御モデル式の具体的な態様については、詳細を後述する。
そして、制御値ΔCを決定したら、シーケンス制御部23は、その制御値ΔCに従いつつ単結晶製造装置1における各部2〜5が動作するように、各部2〜5のそれぞれに対して動作指示を与える(S110)。これにより、単結晶製造装置1では、原料Mと種結晶Sとの間に形成された溶融帯域Mlの形状が所定形状状態から外れないように、各部2〜5の動作が制御されることになる。
その後、制御部6は、上述した一連の制御処理を終了するか否かを判断する(S111)。この判断は、特に限定されるものではないが、例えば単結晶製造装置1のオペレータによる所定操作があるか否かに基づいて判断することが考えられる。
そして、制御処理を終了しない場合には、制御部6は、制御処理の処理回数kをk+1にインクリメントした上で(S112)、撮像画像の取得(S102)から上述した一連の制御処理(S102〜S112)を繰り返す。つまり、制御部6を構成する形状認識部10における画像撮像部11および画像解析部12、並びに、同制御部6を構成する動作制御部20における制約判定部21、制御値決定部22、シーケンス制御部23およびモデル学習部24は、上述した一連の制御処理(S102〜S112)を、周期的に繰り返すサイクリックな処理として行うのである。
サイクリック処理は、一サイクルの処理が規定の時間内に完了するように、その周期が設定されているものとする。ここでいう規定の時間は、単結晶製造装置1における各部2〜5の動作仕様に応じて定められた時間、具体的には各部2〜5に対する動作制御を単結晶の製造と並行してリアルタイムに行うことを実現可能にする時間であり、例えば500ms〜数秒に設定された時間である。つまり、制御部6における各部11〜24が行う一連の制御処理(S102〜S112)については、その一サイクルが規定の時間内に完了するようになっている。
このような周期で処理を行うことで、制御部6における各部11〜24は、単結晶製造装置1における各部2〜5に対する動作制御を、その単結晶製造装置1にて溶融帯域Mlを利用して行う単結晶の製造と並行して実行することになる。つまり、単結晶製造装置1では、単結晶の製造に必要である溶融帯域Mlの動きに追従しつつ、各部2〜5に対する動作制御を、単結晶の製造と並行してリアルタイムに行うことができるのである。
なお、サイクリック処理に関する規定の時間については、制御対象物である溶融帯域Mlと、その溶融帯域Mlを取り扱う単結晶製造装置1とに関する時定数に基づいて設定されているものであってもよい。
ここでいう時定数は、単結晶製造装置1における各部2〜5の動作状態を変化させてから溶融帯域Mlの形状が安定するまでに要する時間のことであり、経験則や実験結果等に基づいて定め得るものである。
時定数に基づいて周期を設定する場合には、サイクリック処理の周期を、時定数の経過を待ってから動作制御を行うような時系列のものとする。このようにすれば、溶融帯域Mlの形状が安定するまで待つことになるので、動作制御のリアルタイム性を担保しつつ、その動作制御の精度向上が図れるようになる。
(制御モデル式の詳細)
ここで、上述した一連の制御処理において用いる制御モデル式について、具体例を挙げつつ、さらに詳しく説明する。
例えば、溶融帯域Mlの形状について、既に説明した7種類の特徴値の全てを抽出する場合を考える。これらの特徴値については、それぞれが予め設定されている限界値と対比される。そして、その限界値に対する近接度を制約判定値ΔRとして求める。このとき、限界値は、一つの種類の特徴値に対して複数種類(例えば、上限値と下限値の両方)が設定されることもあり得る。したがって、制約判定値ΔRとしては、ΔR,ΔR,…,ΔRのi種類(iは特徴値の種類(例えば7種類)の数以上の自然数)を求めることになる。
制約判定値ΔRは、予め設定された演算式に基づいて算出すればよい。具体的には、特徴値として溶融帯域下部曲率C[/mm]を例に挙げると、これを上限値と対比させた場合の制約判定値ΔRCLUは、以下の(1)式によって算出すればよい。なお、(1)式において、Rは限界接近率の基準値(限界深刻度を測るもの)、CLUは溶融帯域下部曲率上限[/mm]、CLLは溶融帯域下部曲率下限[/mm]である。
他の種類の制約判定値ΔRについても、上記の(1)式と同様の演算式を基にして算出すればよい。このような算出処理を各特徴値および各限界値について行うことで、i種類の制約判定値ΔR,ΔR,…,ΔRを求めることができる。
制約判定値ΔR,ΔR,…,ΔRを求めた後は、これらの制約判定値ΔR,ΔR,…,ΔRを基に、制御モデル式を用いて制御値ΔCを決定する。制御値ΔCとしては、例えば、既に説明した4種類(図3参照)について決定することが考えられる。
つまり、制御値ΔCとしては、ΔC,ΔC,…,ΔCのj種類(jは自然数)が存在し得る。そのために、これらを決定する制御モデル式についても、ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)、ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)、…、ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)といったように、各制御値ΔC,ΔC,…,ΔCのそれぞれに個別に対応して設定される。
具体的には、j番目の制御値ΔCを決定するための制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)として、以下の(2)〜(4)式のようなものが例示できる。
以下に示す(2)式は、制御値ΔCにより制御される動作対象を増大させる方向(例えば、ランプ出力Qであれば温度を上昇させる出力増大方向)に変動させるための制御値ΔC と、制御値ΔCにより制御される動作対象を減少させる方向(例えば、ランプ出力Qであれば温度を降下させる出力減少方向)に変動させるための制御値ΔC とを、それぞれ別個独立に求めた上で、これらの各制御値ΔC ,ΔC を合成して制御値ΔCとする式である。このように、制御値ΔCを増大方向と減少方向の各方向に分解して演算するのは、各方向で線形性がない場合を考慮したことによる。つまり、各方向に分解して求めた制御値ΔC ,ΔC を合成して制御値ΔCとすれば、各方向の線形性の有無にかかわらずに(すなわち線形性がない場合であっても)、その制御値ΔCを精度良く決定することが可能となる。
上記の(2)式において、制御値ΔCにより制御される動作対象を増大方向に変動させる制御値ΔC は、以下の(3)式によって特定される。なお、(3)式において、α11,α12,…,α1iは、i種類の制約判定値ΔR,ΔR,…,ΔRのそれぞれに個別に対応する重み変数である。
また、上記の(2)式において、制御値ΔCにより制御される動作対象を減少方向に変動させる制御値ΔC は、以下の(4)式によって特定される。なお、(4)式において、α21,α22,…,α2iは、i種類の制約判定値ΔR,ΔR,…,ΔRのそれぞれに個別に対応する重み変数である。
上記の(2)〜(4)式から明らかなように、j番目の制御値ΔCを決定するための制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)は、i種類(すなわち複数種類)の制約判定値ΔR,ΔR,…,ΔRの加重平均を利用して各制御値ΔC ,ΔC を算出する式を含むものである。このように、加重平均を利用した式を用いることで、制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)は、各制約判定値ΔR,ΔR,…,ΔRが制御値ΔCの算出結果にどのような影響を及ぼすかを適切に反映させ得るものとなる。
さらに詳しくは、制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)に含まれる(3)式および(4)式は、指数空間で加重平均をとった後に対数をとって線形空間に戻す式である。このように、指数空間での加重平均を利用することで、制御値ΔCの算出精度向上が期待できるようになる。
なお、ここでは、j番目の制御値ΔCを決定するための制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)について具体例を挙げたが、他の種類の制御値ΔC,ΔC,…,ΔCj−1についても、制御値ΔCの場合と同様に設定された制御モデル式を用いることが考えられる。このような制御モデル式を用いることで、j種類の各制御値ΔC,ΔC,…,ΔCのそれぞれを決定することができる。
このようにして決定された各制御値ΔC,ΔC,…,ΔCは、溶融帯域Mlの形状における各特徴値がそれぞれについて設定された限界値から外れないように制御するためのものとなる。したがって、このような各制御値ΔC,ΔC,…,ΔCを用いた動作制御を行えば、各特徴値について理想的な目標値を規定することが困難な場合であっても、溶融帯域Mlの形状の破綻を招く限界値から外れないようにすることができる。つまり、各特徴値が限界値から外れないような動作制御により、溶融帯域Mlの所定形状状態(すなわち、結晶成長を継続させ得る状態)を容易かつ確実に維持することが可能となる。
(制御モデル式の再設定)
ところで、上述した制御モデル式は、既に説明したように、シーケンス制御部23が行う動作制御によって制約判定部21で求める制約判定値ΔRがどのように変動するかに応じて、モデル学習部24によって再設定(被更新項目の更新)がされる。
ここで、制御モデル式の再設定について、具体例を挙げつつ、さらに詳しく説明する。ここでは、上記の(3)式または(4)式のいずれかに対して再設定を行う場合を例に挙げて説明する。
例えば、制約判定値ΔRについて、処理回数kのときと処理回数k−1のときで限界値に対する近接度が増大するように変動している場合を考える。その場合には、制約判定値ΔRについて近接度が増大しているので、その近接度増大を緩和させる方向、すなわちネガティブ方向への再設定を行う。
具体的には、処理回数k−1のときに決定した値が正の値となった(3)式または(4)式のいずれかにおいて、近接度が増大した制約判定値ΔRの影響を軽減させるべく、その制約判定値ΔRに関する重み変数α11または重み変数α21の重みが減少するように、その重み変数α11または重み変数α21の更新を行う。
このとき、被更新項目である重み変数α11または重み変数α21をどの程度変化させるかについては、その変化量が予め定められているものとする。予め定められていれば、変化量は、一律に定められた固定的なものであってもよいし、近接度の大きさに応じて定まる可変的なものであってもよい。可変的なものとする場合には、近接度の大きさとの関係を規定する演算式が設定されていれば、その演算式を用いることで、変化量を定めることができる。
また、これとは逆に、例えば、制約判定値ΔRについて、限界値に対する近接度が減少するように変動している場合には、その近接度減少を促進させる方向、すなわちポジティブ方向への再設定を行う。
具体的には、処理回数k−1のときに決定した値が正の値となった(3)式または(4)式において、近接度が減少した制約判定値ΔRの影響を増加させるべく、その制約判定値ΔRに関する重み変数α11または重み変数α21の重みが増大するように、その重み変数α11または重み変数α21の更新を行う。
このときも、被更新項目である重み変数α11または重み変数α21の変化量については、上述した場合と同様に、予め定められているものとする。
また、例えば、制約判定値ΔRについて、限界値に対する近接度に変動がなく同一である場合には、各重み変数α11,α21に対する更新は行わない。
このような更新処理を、(3)式における各重み変数α11,α12,…,α1iのそれぞれ、または、(4)式における各重み変数α21,α22,…,α2iのそれぞれ、のいずれか一方若しくは両方に対して行う。このようにして、(3)式および(4)式を含み、これらを(2)式で合成するように構成された制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)は、制約判定値ΔRがどのように変動するかに応じて適宜再設定されることになる。
つまり、モデル学習部24は、制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)についての再設定を、変動があった制約判定値ΔRに関する加重平均の重み変数を更新することによって行うのである。
以上のような再設定を所定周期でサイクリックに繰り返し行えば、制約判定値ΔRの変動が収束するように制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)が変化していくことになる。つまり、溶融帯域Mlの形状が所定形状状態から外れないように制御を行いつつ、その制御結果に応じて制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)の再設定を行うことで、その制御内容について学習効果が発揮されることになり、その結果として溶融帯域Mlが形成されている状態(すなわち崩落や破断等が生じていない状態)を高精度で維持できるようになる。
このように、周期的な再設定により制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)を変化させることで、例えば単結晶製造装置1の機差、原料Mの違い、原料把持部2や種結晶把持部3等の動作の違い等があっても、これに柔軟に対応しつつ適切な動作制御を行うことができるようになる。つまり、溶融帯域Mlを一意にモデル化して目標形状となるように動作コントロールをすることが困難な場合であっても、学習効果を発揮するように制御結果を新たな制御内容に反映させることで、モデル化した場合と同等の精度で動作コントロールをすることが可能になる。しかも、溶融帯域Ml等に関する時定数を基に設定された周期でサイクリックな処理を行うようにすれば、制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)の再設定を経る場合であっても、溶融帯域Ml等のリアルタイムの動きに追随しつつ、その溶融帯域Mlに対する動作制御を行うことができるようになる。
<4.実施の形態による効果>
本実施形態によれば、以下に示す一つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態では、原料Mと種結晶Sとの間に溶融帯域Mlを形成して単結晶Mcを製造する場合において、溶融帯域Mlについての形状認識結果に基づいて、その溶融帯域Mlの形状が所定形状状態から外れないように、単結晶製造装置1における各部2〜5の動作を制御する。
したがって、本実施形態によれば、単結晶製造装置1のオペレータに依らなくとも、溶融帯域Mlが所定形状状態(すなわち、結晶成長を継続させ得る状態)を維持するような自動制御が行われることになる。つまり、結晶成長を継続させ得るように溶融帯域Mlが形成されている状態を容易かつ確実に維持することができ、これにより高純度で均質な単結晶Mcを高い生産性で製造することができるようになる。
しかも、本実施形態によれば、溶融帯域Mlによる結晶成長を継続させ得る状態を所定形状状態として規定し、溶融帯域Mlが所定形状状態から外れないように自動制御を行うので、溶融帯域Mlを一つの物理モデルとして明示的に記述することが容易ではなく、その溶融帯域Mlの形状を目標形状に追従させるように制御することが困難な場合であっても、その溶融帯域Mlが形成されている状態を容易かつ確実に維持することができる。つまり、理想的な目標値を規定することが困難な場合であっても、破綻を招く限界値から外れないような制御を行うことで、溶融帯域Mlが形成されている状態を容易かつ確実に維持し、これにより高純度で均質な単結晶Mcを高い生産性で製造することを実現可能としているのである。
(b)本実施形態では、溶融帯域Mlについての形状認識にあたり、その溶融帯域Mlの撮像画像を基にするが、単結晶製造装置1がAP法による単結晶製造を行うもの、すなわち天地方向の地の位置に原料把持部2が配置され、天地方向の天の位置に種結晶把持部3が配置されたものなので、溶融帯域Mlの側方側から撮像画像を取得することができ、画像取得のために装置構成が複雑化してしまうのを極力抑制することができる。さらには、側方からの撮像画像を基にすることで、溶融帯域Mlの形状認識を容易に、かつ、精度良く行うことができる。
(c)本実施形態では、溶融帯域Mlについての形状認識にあたり、その溶融帯域Mlについて取得した複数の撮像画像を基に、当該複数の撮像画像に対する平滑化処理を経て、その溶融帯域Mlの形状を認識する。したがって、本実施形態によれば、溶融帯域Mlについて取得した撮像画像が、原料把持部2や種結晶把持部3等の回転や偏心等の影響を受け得るものであっても、その影響によるノイズ成分等を除去した上で溶融帯域Mlの形状認識を行うことができるので、その形状認識の精度向上を図ることが可能となる。
(d)本実施形態では、溶融帯域Mlについての形状認識結果として、その溶融帯域Mlの形状についての特徴値を得た上で、その特徴値の限界値に対する近接度を制約判定値ΔRとして求め、その制約判定値ΔRを基に、単結晶製造装置1における各部2〜5の動作を制御するための制御値ΔCを、制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)を用いて決定する。したがって、本実施形態によれば、溶融帯域Mlの形状の特徴値について理想的な目標値を規定することが困難な場合であっても、特徴値が限界値から外れないような動作制御を行うことにより、溶融帯域Mlが崩落や破綻等を招かない状態(すなわち、結晶成長を継続させ得る状態)を容易かつ確実に維持することが可能となる。
具体的には、溶融帯域Mlの挙動について、これを予め正確に把握することが非常に困難であっても、本実施形態のように溶融帯域Mlが崩落や破綻等を招かない状態を維持するような動作制御を行うことで、その溶融帯域Mlからの結晶成長を継続させ得るようになる。また、溶融帯域Mlの状態の変動と単結晶製造装置1の動作状況とが一義的に対応しておらず、そのために溶融帯域Mlのモデル化が困難となり得る場合においても、本実施形態の動作制御により、その溶融帯域Mlからの結晶成長を継続させ得るようになる。また、単結晶製造装置1において予め動作試行して様々な現象を相当量把握した上で制御モデルを作成することが現実的でない場合であっても、本実施形態の動作制御により、その溶融帯域Mlからの結晶成長を継続させ得るようになる。また、最良行動を探索しながら学習していくタイプの強化学習の場合とは異なり、本実施形態の動作制御によれば、リアルタイム性にも適切に対応することができる。
(e)本実施形態では、溶融帯域Mlの形状の特徴値として、例えば、結晶径D[mm]、原料異常径D[mm]、原料径D[mm]、融液上部曲率C[/mm]、融液下部曲率C[/mm]、融液高L[mm]、原料異常高W[mm]の少なくとも一つ、好ましくはこれら7種類の全てを抽出する。これらの各特徴値は、溶融帯域Mlにおける特徴的な形状部分を特定するもので、溶融帯域Mlの崩落や破綻等を招かないようにする上で非常に重要な意味を持つものである。したがって、これらの少なくとも一つ、好ましくは全てを特徴値として抽出した上で、制約判定値ΔRとして求めて制御値ΔCを決定すれば、溶融帯域Mlの崩落や破綻等を確実に招かないようにすることができ、その溶融帯域Mlからの結晶成長を継続させる上で非常に好適なものとなる。
(f)本実施形態では、単結晶製造装置1における各部2〜5に対する動作制御を周期的にサイクリックな処理として行うとともに、あるタイミングでの動作制御によって制約判定値ΔRがどのように変動するかに応じて、それ以降に用いられる制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)についての再設定を行う。したがって、本実施形態によれば、溶融帯域Mlの形状が所定形状状態から外れないように制御を行う場合において、その制御結果に応じて制御モデル式ΔC=F(ΔR,ΔR,…,ΔR)の再設定を行うことで、その制御内容について学習効果が発揮され、その溶融帯域Mlが形成されている状態を高精度で維持することができる。つまり、溶融帯域Mlを一意にモデル化して目標形状となるように動作コントロールをすることが困難な場合であっても、学習効果を発揮するように制御結果を新たな制御内容に反映させることが可能となるので、モデル化した場合と同等の精度で動作コントロールをすることができる。
(g)本実施形態では、単結晶製造装置1における各部2〜5に対する動作制御を、溶融帯域Mlを利用して行う単結晶Mcの製造と並行して実行する。詳しくは、単結晶製造装置1における各部2〜5に対する動作制御を、一サイクルの処理が規定の時間内に完了するサイクリックな処理として行う。したがって、本実施形態によれば、単結晶Mcの製造に必要である溶融帯域Mlの動きに追従しつつ、各部2〜5に対する動作制御を、単結晶Mcの製造と並行してリアルタイムに行うことができ、動作制御のリアルタイム性を担保する上で非常に好適なものとなる。
<5.変形例等>
以上に、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明の技術的範囲は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
(単結晶の種類)
本発明の技術的思想は、単結晶の種類に限定されない。溶融帯域Mlを冷却して製造される単結晶ならば本発明の技術的思想を適用可能である。例えば、上述の実施形態で挙げたように、融点の著しく異なる物質を含む多元素系の結晶や、偏析係数の小さい添加物を含む結晶など(例えばSi−GeやCe:LSO等)であっても構わないし、更に言うと結晶により構成される金属や合金であっても構わない。
(加熱部の種類)
上述の実施形態では、加熱部4の光源として赤外線発生手段41を用いる場合について述べた。その一方、赤外線発生手段41以外のものを光源として用いることを否定するものではないが、集光という要素を鑑みると、レーザ光の光源ではなく赤外線発生手段41を使用するのがコスト的にも好ましい。なお、本明細書における「光」は、赤外線から紫外線(波長が1nm〜1mm)までの光を指す。
また、上述の実施形態に挙げた以外の数の回転楕円鏡および赤外線発生手段を設けても構わない。なお、赤外線発生手段41に加え、レーザ光発生手段を、回転楕円鏡42の下方に設けても構わない。レーザ光発生手段により、原料Mに対して、赤外線に加え、レーザ光を照射しても構わない。ターゲットスコープ(図に記載せず)を用い、溶融帯域Mlに析出した固相に対してレーザ光を集中的に照射することで、原料Mを部分的に加熱し、溶融帯域Mlに固相を再度溶け込ませることも可能となる。これにより、安定した単結晶の成長が可能となる。このため、レーザ光発生手段は、回転楕円鏡42と同様に、溶融帯域Mlに向けて傾斜角をつけて配置しても構わない。また、レーザ光発生手段として、上下、左右および傾斜角度の任意制御が可能な構造を採用しても構わない。ただ、レーザ光発生手段を備えた装置は高額となるため、基本的には赤外線発生手段41のみが備えられており、オプションとしてレーザ光発生手段を備え付けることが可能な単結晶製造装置1とすることが好ましい。
さらには、溶融帯域Mlの周囲に非接触で巻きつけられるように配置された誘導コイルを用いて加熱を行うことも考えられる。このような構成を用いた場合には、誘導コイルに電力を印加して磁場を発生させ、溶融帯域Mlに対して重力とは反対方向の力を与えることで、溶融帯域Mlの形状の安定化を図ることもできる。
(種結晶と原料の配置)
上述の実施形態では、原料Mを下方、種結晶Sを上方に配置した。その一方、特開2015−081218号公報に記載のように、上方に原料把持部2、下方に種結晶把持部3を配置して、FZ法により単結晶製造を行っても構わない。この場合であっても、種結晶Sと原料Mとの間に形成される溶融帯域Mlが所定形状状態から外れないように自動制御を行うことで、溶融帯域Mlによる結晶成長を継続させ得る状態を容易かつ確実に維持することができ、これにより高純度で均質な単結晶Mcを高い生産性で製造することができるようになる。
1…単結晶製造装置、2…原料把持部、3…種結晶把持部、4,5…加熱部、6…制御部、10…形状認識部、11…画像撮像部、12…画像解析部、20…動作制御部、21…制約判定部、22…制御値決定部、23…シーケンス制御部、24…モデル学習部、M…原料、Mc…単結晶、Ml…溶融帯域、S…種結晶

Claims (8)

  1. 原料把持部に把持された原料と種結晶把持部に把持された種結晶とを近接させ、加熱部により加熱して前記原料と前記種結晶との間に溶融帯域を形成し、前記溶融帯域を冷却することによって単結晶を製造する単結晶製造装置において、
    前記溶融帯域の撮像画像を取得して、前記撮像画像から前記溶融帯域の形状を認識する形状認識部と、
    前記形状認識部での形状認識結果を基に、前記溶融帯域の形状が所定形状状態から外れないように、前記原料把持部、前記種結晶把持部または前記加熱部の少なくとも一つの動作を制御する動作制御部と、
    を備える単結晶製造装置。
  2. 天地方向の地の位置に配置された前記原料把持部と、
    天地方向の天の位置に配置された前記種結晶把持部と、
    を備える請求項1に記載の単結晶製造装置。
  3. 天地方向の天の位置に配置された前記原料把持部と、
    天地方向の地の位置に配置された前記種結晶把持部と、
    を備える請求項1に記載の単結晶製造装置。
  4. 前記動作制御部は、
    前記形状認識部での形状認識結果として得た前記溶融帯域の形状についての特徴値を、当該特徴値について設定された限界値と対比して、当該特徴値の当該限界値に対する近接度を制約判定値として求める制約判定部と、
    前記制約判定部で求めた制約判定値に基づき、前記原料把持部、前記種結晶把持部または前記加熱部の少なくとも一つの動作を制御するための制御値を、当該制約判定値と当該制御値との関係を規定する制御モデル式を用いて決定する制御値決定部と、
    前記制御値決定部が決定した制御値を基に前記原料把持部、前記種結晶把持部または前記加熱部の少なくとも一つに対する動作制御を行うシーケンス制御部と、
    を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の単結晶製造装置。
  5. 前記動作制御部は、
    前記制約判定部、前記制御値決定部および前記シーケンス制御部に加えて、
    前記シーケンス制御部が行う動作制御によって前記制約判定部で求める制約判定値がどのように変動するかに応じて、前記制御値決定部が用いる前記制御モデル式についての再設定を行うモデル学習部
    を備える請求項4に記載の単結晶製造装置。
  6. 前記動作制御部は、前記原料把持部、前記種結晶把持部または前記加熱部の少なくとも一つに対する動作制御を、前記溶融帯域を利用して行う単結晶の製造と並行して実行する
    請求項1から5のいずれか1項に記載の単結晶製造装置。
  7. 前記形状認識部は、前記溶融帯域について取得した複数の撮像画像を基に、当該複数の撮像画像に対する平滑化処理を経て、前記溶融帯域の形状を認識する
    請求項1から6のいずれか1項に記載の単結晶製造装置。
  8. 原料把持部に把持された原料と種結晶把持部に把持された種結晶とを近接させた状態で、加熱部により加熱して前記原料と前記種結晶との間に溶融帯域を形成し、前記溶融帯域を冷却することによって単結晶を製造する単結晶製造方法において、
    前記溶融帯域の撮像画像を取得して、前記撮像画像から前記溶融帯域の形状を認識する形状認識工程と、
    前記形状認識工程での形状認識結果を基に、前記溶融帯域の形状が所定形状状態から外れないように、前記原料把持部、前記種結晶把持部または前記加熱部の少なくとも一つの動作を制御する動作制御工程と、
    を備える単結晶製造方法。
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