JP2018070037A - 車両の走行安定化制御装置 - Google Patents

車両の走行安定化制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】走行路が悪路である場合にも、挙動制御による車輪の制駆動力の制御が不必要に早期に開始されないようにする。【解決手段】車両の目標ヨーレートYrtと車輪速度Vwiに基づく推定ヨーレートYrwとの偏差として車両の挙動悪化の虞を示す指標値ΔYr2を演算し、指標値が基準値Thvscを越えると、挙動悪化の虞が低下するよう車輪の制駆動力を制御するよう構成された制御装置を有する車両の走行安定化制御装置であって、車両は路面状況判定装置を有し、制御装置は、路面状況判定装置により車両前方の走行路が悪路であると判定されると(S30)、指標値が基準値を越え難くなるよう、基準値及び指標値の少なくとも一方を修正する(S50)よう構成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、自動車などの車両の走行安定化制御装置に係る。
自動車などの車両における走行安定化制御として、挙動制御、アンチスキッド制御(以下「ABS制御」という)及びトラクションコントロール(以下「TRC制御」という)がよく知られている。特に、挙動制御においては、車両の旋回状態量に基づいて車両の挙動悪化の虞が判定され、挙動悪化の虞があるときには、挙動悪化の虞が低下するよう、車輪の制駆動力が制御される。また、ABS制御及びTRC制御においては、それぞれ車輪の制動スリップの度合及び駆動スリップの度合が過大にならないよう、車輪毎に制駆動力が制御される。
例えば、下記の特許文献1には、第一及び第二のヨーレート偏差の大きさがそれぞれ基準値を越えているか否かの二重系の判定により、車両の挙動悪化の虞を判定するよう構成された挙動制御装置が記載されている。第一のヨーレート偏差は、車両の目標ヨーレートと検出された実ヨーレートとの偏差であり、第二のヨーレート偏差は車両の目標ヨーレートと車輪速度に基づいて演算された推定ヨーレートとの偏差である。二重系の判定によれば、例えば第一のヨーレート偏差の大きさが基準値を越えているか否かのみが判定される場合に比して、車両の挙動悪化の虞を的確に判定し、挙動制御の信頼性及び安全性を向上させることができる。
特開平04−133825号公報
〔発明が解決しようとする課題〕
一般に、走行路が良路である場合には、即ち路面の凹凸が小さい場合には、車輪速度に基づいて演算される推定ヨーレートは、ヨーレートセンサにより検出される実ヨーレートと実質的に同一であるので、第二のヨーレート偏差は第一のヨーレート偏差と実質的に同一である。しかし、走行路が路面に比較的大きい凹凸を有する悪路である場合には、車輪速度には車輪が凹凸を通過することに起因する変動成分が含まれる。そのため、車輪速度に基づいて演算される推定ヨーレートは、ヨーレートセンサにより検出される実ヨーレートとは大きく異なる値になることがあり、その結果、第二のヨーレート偏差も第一のヨーレート偏差とは大きく異なる値になることがある。
よって、第二のヨーレート偏差が第一のヨーレート偏差よりも早期に基準値より大きくなり、そのため車両の挙動が実際の挙動よりも早期に悪化したと判定されることがある。従って、上記の二重系の判定により車両の挙動悪化の虞が判定される場合には、挙動制御による制駆動力の制御が不必要に早期に開始されることがあり、そのため挙動制御を適正に実行することができない場合がある。
なお、上記の問題は、二重系の判定により車両の挙動悪化の虞が判定される場合だけでなく、第二のヨーレート偏差の大きさが基準値を越えているか否かの判定により、車両の挙動悪化の虞が判定される場合にも、同様に発生することがある。
本発明の主要な課題は、車両の目標旋回状態量と車輪速度に基づく推定旋回状態量との偏差に基づいて車両の挙動悪化の虞が判定される走行安定化制御装置において、走行路が悪路である場合にも、挙動制御による車輪の制駆動力の制御が不必要に早期に開始されないようにすることである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
本発明によれば、車両(16)の目標旋回状態量(Yrt)と車輪速度に基づいて演算される推定旋回状態量(Yrw)との偏差(ΔYr2)として車両の挙動悪化の虞を示す指標値を演算し、指標値が基準値(Thvsc)を越えると、挙動悪化の虞が低下するよう車輪の制駆動力を制御することによって車両の挙動制御を行うよう構成された制御装置(52)を有する車両の走行安定化制御装置(10)が提供される。
車両(16)は車両前方の走行路の凹凸状況を判定するよう構成された路面状況判定装置(12)を有し、制御装置(52)は、路面状況判定装置により車両前方の走行路が悪路であると判定されると、指標値が基準値を越え難くなるよう、基準値及び指標値の少なくとも一方を修正するよう構成される。
上記の構成によれば、車両の目標旋回状態量と車輪速度に基づいて演算される推定旋回状態量との偏差として車両の挙動悪化の虞を示す指標値が演算され、指標値が基準値を越えると、挙動悪化の虞が低下するよう車輪の制駆動力を制御することによって車両の挙動が制御される。特に、路面状況判定装置により車両前方の走行路が悪路であると判定されると、指標値が基準値を越え難くなるよう、基準値及び指標値の少なくとも一方が修正される。
よって、走行路が悪路であるときには、基準値及び指標値の少なくとも一方が修正されることによって指標値が基準値を越え難くなるので、指標値が基準値を越えていると判定され難くなる。従って、車両が悪路を走行し、車輪が凹凸を通過することに起因する変動成分が車輪速度に含まれている場合にも、挙動制御による車輪の制駆動力の制御が不必要に早期に開始される虞を低減することができる。
なお、「旋回状態量」は、車両のヨーレート又は横加速度であってよい。また、「目標旋回状態量」は、車両の目標ヨーレート又は目標横加速度であってよく、車速及び操舵角に基づいて演算されてよい。更に、路面状況判定装置による悪路であるか否かの判定は、例えば車両前方の撮影画像などに基づいて判定される路面の単位面積当たりの凹凸の数、凹凸の深さ及び高さの平均値がそれぞれ予め設定された基準値以上であるか否かの判別により行われてよい。
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いられた符号が括弧書きで添えられている。しかし、本発明の各構成要素は、括弧書きで添えられた符号に対応する実施形態の構成要素に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
本発明による車両の走行安定化制御装置の実施形態を示す概略構成図である。 実施形態における走行安定化制御の可否判定制御ルーチンを示すフローチャートである。 実施形態における挙動制御ルーチンを示すフローチャートである。 実施形態におけるABS制御ルーチンを示すフローチャートである。 実施形態におけるTRC制御ルーチンを示すフローチャートである。 走行路が良路である場合において、CCDカメラにより撮影された車両の前方の画像を示す図である。 走行路が良路である場合について、第一のヨーレート偏差ΔYr1及び第二のヨーレート偏差ΔYr2の変化の例を示すグラフである。 走行路が悪路である場合において、CCDカメラにより撮影された車両の前方の画像を示す図である。 走行路が悪路である場合について、第一のヨーレート偏差ΔYr1及び第二のヨーレート偏差ΔYr2の変化の例を示すグラフである。 走行路が悪路でありABS制御が行われる場合について、推定車体速度Vb及び車輪速度Vwiの変化の例を示すグラフである。 走行路が悪路でありTRC制御が行われる場合について、推定車体速度Vb及び車輪速度Vwiの変化の例を示すグラフである。 走行路の片側が悪路である場合において、CCDカメラにより撮影された車両の前方の画像を示す図である。 走行路の片側が悪路である場合について、推定車体速度Vb及び良路側の車輪の車輪速度Vwiの変化の例を示すグラフである。 走行路の片側が悪路である場合について、推定車体速度Vb及び悪路側の車輪の車輪速度Vwiの変化の例を示すグラフである。 実施形態の場合について、推定車体速度Vb、良路側の車輪の車輪速度Vwi(実線)及び悪路側の車輪の車輪速度Vwi(破線)の変化の例を示すグラフである。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
図1に示された実施形態にかかる車両の走行安定化制御装置10は、路面状況判定装置12及び車輪14FL、14FR、14RL及び14RRを有する車両16に適用されている。左右の前輪14FL及び14FRは転舵輪であり、左右の後輪14RL及び14RRは非転舵輪である。前輪14FL及び14FRは、運転者によるステアリングホイール18の操作に応答して駆動される電動パワーステアリング装置20によりラックバー22及びタイロッド24L及び24Rを介して転舵される。
車両16は、車輪14FL〜14RRに制動力を付与する制動装置30を有している。制動装置30は、油圧回路32と、車輪14FL〜14RRに設けられたホイールシリンダ34FR、34FL、34RR及び34RLと、運転者によるブレーキペダル36の踏み込み操作に応答してブレーキオイルを圧送するマスタシリンダ38とを含んでいる。図1には詳細に示されていないが、油圧回路32は、リザーバ、オイルポンプ、種々の弁装置などを含み、ブレーキアクチュエータとして機能する。
制動装置30は、それぞれホイールシリンダ34FL〜34RRの圧力に比例する制動力を車輪14FL〜14RRに付与する。ホイールシリンダ34FL〜34RRの圧力は、通常時には運転者によるブレーキペダル36の踏み込みに応じて駆動されるマスタシリンダ38内の圧力(マスタシリンダ圧力Pm)に応じて制御される。即ち、マスタシリンダ圧力Pmが圧力センサ40によって検出され、制動用電子制御装置42により各ホイールシリンダ34FL〜34RRの圧力がマスタシリンダ圧力Pmに基づいて制御される。更に、各ホイールシリンダ34FL〜34RRの圧力は、必要に応じてオイルポンプ及び種々の弁装置が制動用電子制御装置42によって制御されることにより、運転者によるブレーキペダル36の踏み込み量に関係なく制御される。
図1には示されていないが、車両16は、車輪14FL〜14RRのうちの駆動輪に駆動力を付与する駆動装置としてのエンジンを有している。運転者によるアクセルペダル44の踏み込み量が、アクセル開度センサ46によりアクセル開度Accとして検出される。エンジンの出力は、駆動用電子制御装置48により通常時にはアクセル開度Accに基づいて制御され、必要に応じてアクセル開度Accとは無関係に制御される。なお、駆動装置は駆動輪に駆動力を付与することができる任意の装置であってよく、例えば電動機、ハイブリッドシステムなどであってもよい。駆動輪は、前輪14FL及び14FR又は後輪14RL及び14RRであってよく、更には四輪14FL〜14RRであってもよい。
路面状況判定装置12は、車両16の前方を撮影することにより車両前方の画像情報を取得するCCDカメラ50を含んでいる。なお、画像情報を取得する手段はビデオカメラのような他の装置であってもよい。CCDカメラ50により撮影された車両の前方の画像情報を示す信号は、走行用電子制御装置52へ入力される。電子制御装置52は、入力された画像情報を処理し、車両16の前方の走行路の凹凸状況を判定することにより、走行路の全体又は片側が悪路であるか否かを判定する。よって、CCDカメラ50及び電子制御装置52は互いに共働して路面状況判定装置12を構成している。なお、走行路が悪路であるか否かの判定は、例えば特開2006−161968号公報に記載された要領のように、当技術分野において公知の要領にて行われてよい。
車輪14FL、14FR、14RL及び14RRには、それぞれ対応する車輪の車輪速度Vwi(i=fl、fr、rl及びrr)を検出する車輪速度センサ54FL、54FR、54RL及び54RRが設けられている。車輪速度センサ54FL、54FR、54RL及び54RRにより検出された車輪速度Vwiを示す信号は、電子制御装置52へ入力される。電子制御装置52には、操舵角センサ56により検出された操舵角Stを示す信号及びヨーレートセンサ58により検出されたヨーレートYrを示す信号も入力される。なお、操舵角St、ヨーレートYr、後述の目標ヨーレートYrt及び推定ヨーレートYrwは、車両の左旋回方向の値が正である。
走行用電子制御装置52は、図2に示されたフローチャートに対応する制御プログラムに従って、車両の走行安定化制御、即ち挙動制御、ABS制御及びTRC制御が許可されるか否かを判定する(走行安定化制御の可否判定制御)。更に、走行用電子制御装置52は、図3乃至図5に示されたフローチャートに対応する制御プログラムに従って、それぞれ挙動制御、ABS制御及びTRC制御を行う。
制動用電子制御装置42、駆動用電子制御装置48及び走行用電子制御装置52はそれぞれCPU、ROM、RAM及び入出力ポート装置を有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータを含んでいてよい。走行安定化制御の可否判定制御、挙動制御、ABS制御及びTRC制御などのプログラムは、それぞれ対応するマイクロコンピュータのROMに格納されており、各制御はそのプログラムに従ってCPUにより実行される。更に、電子制御装置42、48及び52は、相互に必要な信号の授受を行う。なお、図1においては、「電子制御装置」は「ECU」と表記されている。
<走行安定化制御の可否判定制御>
次に、図2に示されたフローチャートを参照して実施形態における走行安定化制御の可否判定制御ルーチンについて説明する。なお、図2に示されたフローチャートによる制御は、図には示されていないイグニッションスイッチがオンであるときに、所定の時間毎に繰返し実行される。特に、ステップ120乃至160は、例えば左前輪、右前輪、左後輪及び右後輪の順に各車輪について実行される。以下の説明においては、図2に示されたフローチャートによる制御を単に「可否判定制御」と指称する。
まず、ステップ10においては、車両16の操舵装置のオーバーオールギヤ比をNとし、車両のホイールベースをLとし、車両のスタビリティファクタをKhとして、下記の式(1)に従って車両の規範ヨーレートYrnが演算される。一次ローパスフィルタの時定数をTyとし、ラプラス演算子をsとして、規範ヨーレートYrnに対し一次遅れの過渡ヨーレートである車両の目標ヨーレートYrtが、下記の式(2)に従って演算される。
Figure 2018070037
ステップ20においては、車両のトレッドをTrとして、下記の式(3)に従って車輪速度に基づいて推定ヨーレートYrwが演算される。更に、下記の式(4)及び(5)に従ってそれぞれ第一のヨーレート偏差ΔYr1及び第二のヨーレート偏差ΔYr2が演算される。
Yrw=(Vwrr−Vwrl)/Tr …(3)
ΔYr1=Yrt−Yr …(4)
ΔYr2=Yrt−Yrw …(5)
ステップ30においては、路面状況判定装置12により、走行路が悪路である(左右の片側のみが悪路である場合を含む)と判定されているか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、ステップ40において挙動制御の基準値Thvscが標準値Thvsc1(正の定数)に設定され、その後可否判定制御はステップ70へ進む。これに対し、肯定判別が行われたときには、ステップ50において挙動制御の基準値Thvscが標準値Thvsc1よりも大きいThvsc2(正の定数)に設定され、その後可否判定制御はステップ60へ進む。
ステップ60においては、路面状況判定装置12により、走行路の片側のみが悪路であると判定されているか否かの判別が行われる。肯定判別が行われたときには、ステップ70においてABS制御及びTRC制御の基準値Thabs及びThtrcがそれぞれ標準値Thabs1及びThtrc1(何れも正の定数)に設定され、その後可否判定制御はステップ90へ進む。これに対し、否定判別が行われたときには、ステップ80においてABS制御及びTRC制御の基準値Thabs及びThtrcがそれぞれ標準値Thabs1及びThtrc1よりも大きいThabs2及びThtrc2(何れも正の定数)に設定され、その後可否判定制御はステップ90へ進む。
ステップ90においては、第一のヨーレート偏差ΔYr1の絶対値が標準値Thvsc1よりも大きく且つ第二のヨーレート偏差ΔYr2の絶対値が基準値Thvscよりも大きいか否かの判別により、挙動制御が許可されるべきか否かの判別が行われる。肯定判別が行われたときには、ステップ100において挙動制御による制動力の制御が許可されるべき旨の決定が行われ、否定判別が行われたときには、ステップ110において挙動制御による制動力の制御が許可されるべきではない旨の決定が行われる。
ステップ120においては、当技術分野において公知の要領にて四輪の車輪速度Vwiに基づいて推定車体速度Vbが演算され、制動スリップ量、即ち推定車体速度Vbと車輪速度Vwiとの偏差ΔVwai(=Vb−Vwi)(i=fl、fr、rl及びrr)が演算される。更に、偏差ΔVwaiがABS制御の基準値Thabsを越えているか否かの判別により、ABS制による制動力の制御御が許可されるべきか否かの判別が行われる。肯定判別が行われたときには、ステップ130においてABS制御による制動力の制御が許可されるべき旨の決定が行われ、否定判別が行われたときには、可否判定制御はステップ140へ進む。
ステップ140においては、駆動スリップ量、即ち車輪速度Vwiと推定車体速度Vbとの偏差ΔVwti(=Vwi−Vb)(i=fl、fr、rl及びrr)が演算される。更に、偏差ΔVwtiがTRC制御の基準値Thtrcを越えているか否かの判別により、TRC制御による制動力の制御が許可されるべきか否かの判別が行われる。肯定判別が行われたときには、ステップ150においてTRC制御による制動力の制御が許可されるべき旨の決定が行われ、否定判別が行われたときには、ステップ160においてABS制御による制動力の制御及びTRC制御による制動力の制御が許可されるべきではない旨の決定が行われる。
<挙動制御>
次に、図3に示されたフローチャートを参照して実施形態における車両の挙動制御ルーチンについて説明する。なお、図3に示されたフローチャートによる制御は、図には示されていないイグニッションスイッチがオンであるときに、所定の時間毎に繰返し実行される。以下の説明においては、図3に示されたフローチャートによる制御を単に「挙動制御」と指称する。
まず、ステップ310においては、フラグFvが0であるか否かの判別、即ち挙動制御による制動力の制御が行われていないか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、換言すれば挙動制御による制動力の制御中である旨の判別が行われたときには、挙動制御はステップ340へ進み、肯定判別が行われたときには、挙動制御はステップ320へ進む。
ステップ320においては、図2に示された走行安定化制御の可否判定制御ルーチンにより挙動制御による制動力の制御が許可されるべき旨の決定が行われているか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、挙動制御は一旦終了し、肯定判別が行われたときには、ステップ330においてフラグFvが1にセットされる。
ステップ340においては、signYrを車両16のヨーレートYrの符号として、下記の式(6)に従って車両のドリフト状態量DSが演算される。
DS=signYr(Yrt−Yr) …(6)
なお、ドリフト状態量DSは、正の値であるときには車両がアンダーステア状態にあることを示し、絶対値が大きいほどアンダーステア状態の度合が高いことを示す。これに対し、ドリフト状態量DSは、負の値であるときには車両がオーバーステア状態にあることを示し、絶対値が大きいほどオーバーステア状態の度合が高いことを示す。よって、ドリフト状態量DSは、車両の挙動悪化の虞を示す指標値である。
ステップ350においては、車両16のドリフト状態量DSが正であるか否かの判別により、車両の挙動がアンダーステア状態であるか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、挙動制御はステップ370へ進み、肯定判別が行われたときには、挙動制御はステップ360へ進む。
ステップ360においては、アンダーステア制御(ドリフトアウト制御)、即ち車両16のアンダーステア状態の度合を低減する制御が行われる。この制御においては、少なくとも旋回内側後輪に制動力が付与されることにより、車両16のヨーレートYrの大きさを増大させると共に車両を減速させることによって車両のアンダーステア状態の度合が低減される。
ステップ370においては、オーバーステア制御(スピン制御)、即ち車両16のオーバーステア状態の度合を低減する制御が行われる。この制御においては、少なくとも旋回外側前輪に制動力が付与されることにより、車両16のヨーレートYrの大きさを低減すると共に車両を減速させることによって車両のオーバーステア状態の度合が低減される。
ステップ380においては、挙動制御の終了条件が成立しているか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、挙動制御はステップ340へ戻り、肯定判別が行われたときには、ステップ390においてフラグFvが0にリセットされ、その後挙動制御は一旦終了する。
<ABS制御>
次に、図4に示されたフローチャートを参照して実施形態におけるABS制御ルーチンについて説明する。なお、図4に示されたフローチャートによる制御は、図には示されていないイグニッションスイッチがオンであるときに、所定の時間毎に例えば左前輪、右前輪、左後輪及び右後輪の順に繰返し実行される。
まず、ステップ410においては、フラグFaが0であるか否かの判別、即ちABS制御による制動力の制御が行われていないか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、換言すればABS制御による制動力の制御中である旨の判別が行われたときには、挙動制御はステップ440へ進み、肯定判別が行われたときには、挙動制御はステップ420へ進む。
ステップ420においては、図2に示された走行安定化制御の可否判定制御ルーチンによりABS制御による制動力の制御が許可されるべき旨の決定が行われているか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、ABS制御は一旦終了し、肯定判別が行われたときには、ステップ430においてフラグFaが1にセットされる。
ステップ440においては、当該車輪の制動スリップの度合を低減するためのABS制御による制動力の制御が行われる。この制御においては、当技術分野に於いて公知の要領にて、当該車輪の制動スリップが所定の範囲内になるよう当該車輪の制動力が増減制御される。
ステップ450においては、ABS制御の終了条件が成立しているか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、ABS制御はステップ440へ戻り、肯定判別が行われたときには、ステップ460においてフラグFaが0にリセットされ、その後ABS制御は一旦終了する。なお、当該車輪の制動スリップの度合が終了基準値以下であるとき、制動操作量を示すマスタシリンダ圧力Pmが制動操作量の基準値以下であるとき、又は車速Vが車速の基準値以下であるときに、ABS制御の終了条件が成立していると判別されてよい。
<TRC制御>
次に、図5に示されたフローチャートを参照して実施形態におけるTRC制御ルーチンについて説明する。なお、図5に示されたフローチャートによる制御も、図には示されていないイグニッションスイッチがオンであるときに、所定の時間毎に例えば左前輪、右前輪、左後輪及び右後輪の順に繰返し実行される。
まず、ステップ510においては、フラグFtが0であるか否かの判別、即ちTRC制御による制動力の制御が行われていないか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、換言すればTRC制御による制動力の制御中である旨の判別が行われたときには、TRC制御はステップ540へ進み、肯定判別が行われたときには、TRC制御はステップ520へ進む。
ステップ520においては、図2に示された走行安定化制御の可否判定制御ルーチンによりTRC制御による制動力の制御が許可されるべき旨の決定が行われているか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、TRC制御は一旦終了し、肯定判別が行われたときには、ステップ530においてフラグFtが1にセットされる。
ステップ540においては、当該車輪の駆動スリップの度合を低減するためのTRC制御による制動力の制御が行われる。この制御においては、当技術分野に於いて公知の要領にて、当該車輪の駆動スリップが所定の範囲内になるよう当該車輪の制動力が増減制御される。
ステップ550においては、TRC制御の終了条件が成立しているか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、TRC制御はステップ540へ戻り、肯定判別が行われたときには、ステップ560においてフラグFtが0にリセットされ、その後TRC制御は一旦終了する。なお、当該車輪の駆動スリップの度合が終了基準値以下であるとき、駆動操作量を示すアクセル開度Accが制動操作量の基準値以下であるとき、又は車速Vが車速の基準値以下であるときに、TRC制御の終了条件が成立していると判別されてよい。
<実施形態の作動>
次に、走行路の種々の状況について上述の実施形態における可否判定制御に関する作動を説明する。
(X)走行路の全体が良路である場合
図6は、CCDカメラ50により撮影された車両の前方の画像100を示している。図6に示されているように、走行路102の全体が良路である場合には、図2に示されたフローチャートのステップ30において、否定判別が行われる。よって、ステップ40において挙動制御の基準値Thvscが標準値Thvsc1に設定され、ステップ70においてABS制御及びTRC制御の基準値Thabs及びThtrcがそれぞれ標準値Thabs1及びThtrc1に設定される。
(X−1)挙動制御
第一のヨーレート偏差ΔYr1の絶対値が標準値Thvsc1よりも大きく且つ第二のヨーレート偏差ΔYr2の絶対値が基準値Thvsc(=Thvsc1)よりも大きいときには、ステップ90において肯定判別が行われる。よって、ステップ100において挙動制御による制動力の制御が許可されるべき旨の決定が行われる。
これに対し、第一のヨーレート偏差ΔYr1の絶対値が標準値Thvsc1よりも小さいとき、又は第二のヨーレート偏差ΔYr2の絶対値が基準値Thvsc(=Thvsc1)よりも小さいときには、ステップ90において否定判別が行われる。よって、ステップ110において挙動制御による制動力の制御が許可されるべきではない旨の決定が行われる。
例えば、図7に示されているように、時点t1において第一のヨーレート偏差ΔYr1が標準値Thvsc1よりも大きくなり、時点t1よりも早い時点t2において第二のヨーレート偏差ΔYr2が基準値Thvsc1よりも大きくなったとする。挙動制御の可否判定は、時点t1以降において許可判定になる。
(X−2)ABS制御
推定車体速度Vbと車輪速度Vwiとの偏差ΔVwaiがABS制御の基準値Thabs1を越えているときには、ステップ120において肯定判別が行われる。よって、ステップ130においてABS制御による制動力の制御が許可されるべき旨の決定が行われる。
これに対し、推定車体速度Vbと車輪速度Vwiとの偏差ΔVwaiがABS制御の基準値Thabs1以下であるときには、ステップ120において否定判別が行われる。よって、ステップ160においてABS制御による制動力の制御が許可されない旨の決定が行われる。
(X−3)TRC制御
車輪速度Vwiと推定車体速度Vbとの偏差ΔVwtiがTRC制御の基準値Thtrc1を越えているときには、ステップ140において肯定判別が行われる。よって、ステップ150においてTRC制御による制動力の制御が許可されるべき旨の決定が行われる。
これに対し、車輪速度Vwiと推定車体速度Vbとの偏差ΔVwtiがTRC制御の基準値Thtrc1以下であるときには、ステップ140において否定判別が行われる。よって、ステップ160においてTRC制御による制動力の制御が許可されない旨の決定が行われる。
(Y)走行路の全体が悪路である場合
図8に示されているように、走行路102の全体に凹部104及び凸部106があり、走行路102の全体が悪路である場合には、図2に示されたフローチャートのステップ30において肯定判別が行われる。よって、ステップ50において挙動制御の基準値Thvscが標準値Thvsc1よりも大きいThvsc2に設定される。また、ステップ60において否定判別が行われる。よって、ステップ80においてABS制御及びTRC制御の基準値Thabs及びThtrcがそれぞれ標準値Thabs1及びThtrc1よりも大きいThabs2及びThtrc2に設定される。
(Y−1)挙動制御
第一のヨーレート偏差ΔYr1の絶対値が標準値Thvsc1よりも大きく且つ第二のヨーレート偏差ΔYr2の絶対値が基準値Thvsc(=Thvsc2)よりも大きいときには、ステップ90において肯定判別が行われる。よって、ステップ100において挙動制御による制動力の制御が許可されるべき旨の決定が行われる。
これに対し、第一のヨーレート偏差ΔYr1の絶対値が標準値Thvsc1よりも小さいとき、又は第二のヨーレート偏差ΔYr2の絶対値が基準値Thvsc(=Thvsc2)よりも小さいときには、ステップ90において否定判別が行われる。よって、ステップ110において挙動制御による制動力の制御が許可されるべきではない旨の決定が行われる。
例えば、図9に示されているように、時点t1において第一のヨーレート偏差ΔYr1が基準値Thvsc1より大きくなり、第二のヨーレート偏差ΔYr2が時点t1よりも早い時点t2、t2′及びt2″において標準値Thvsc1より大きくなったとする。更に、第二のヨーレート偏差ΔYr2は時点t1よりも遅い時点t3において基準値Thvsc2より大きくなったとする。第一のヨーレート偏差ΔYr1が基準値Thvsc1よりも大きく且つ第二のヨーレート偏差ΔYr2が標準値Thvsc1より大きい状況になっても、第二のヨーレート偏差ΔYr2が基準値Thvsc2以下であるときには、挙動制御の可否判定は許可判定にならない。挙動制御の可否判定が許可判定になるのは、第一のヨーレート偏差ΔYr1が基準値Thvsc1より大きく且つ第二のヨーレート偏差ΔYr2が基準値Thvsc2よりも大きい時点t3以降である。
よって、実施形態によれば、走行路が悪路であり、路面の凹凸に起因して第二のヨーレート偏差ΔYr2の大きさが大きくなる状況において、挙動制御による制動力の制御が不必要に実行される虞を低減することができる。なお、車両が良路を走行する際には、第二のヨーレート偏差ΔYr2の基準値は標準値Thvsc1に設定されるので、挙動制御による制動力の制御が実行され難くなることを回避し、車両の挙動を効果的に安定化させることができる。
(Y−2)ABS制御
推定車体速度Vbと車輪速度Vwiとの偏差ΔVwaiがABS制御の基準値Thabs2を越えているときには、ステップ120において肯定判別が行われる。よって、ステップ130においてABS制御による制動力の制御が許可されるべき旨の決定が行われる。
これに対し、推定車体速度Vbと車輪速度Vwiとの偏差ΔVwaiがたとえ標準値Thabs1より大きくてもABS制御の基準値Thabs2以下であるときには、ステップ120において否定判別が行われる。よって、ステップ160においてABS制御による制動力の制御が許可されない旨の決定が行われる。
例えば、図10に示されているように、時点t1及びt2において偏差ΔVwaiが標準値Thabs1よりも大きくなったとする。ABS制御の基準値が標準値Thabs1である場合には、時点t1及びt2においてABS制御による制動力の低減が開始される。しかし、実施形態によれば、ABS制御の基準値は標準値Thabs1よりも大きいThabs2に設定されるので、偏差ΔVwaiが標準値Thabs1より大きくてもThabs2以下である限り、ABS制御による制動力の低減は開始されない。
よって、実施形態によれば、走行路が悪路であり、路面の凹凸に起因して偏差ΔVwaiが大きくなる状況において、基準値Thabsを大きくすることにより、ABS制御による制動力の低減が行われ難くすることができる。従って、車両が悪路を走行する際に、ABS制御による制動力の低減に起因して、運転者が減速度の不足を感じる虞を低減することができる。
(Y−3)TRC制御
車輪速度Vwiと推定車体速度Vbとの偏差ΔVwtiがTRC制御の基準値Thtrc2を越えているときには、ステップ140において肯定判別が行われる。よって、ステップ150においてTRC制御による制動力の制御が許可されるべき旨の決定が行われる。
これに対し、車輪速度Vwiと推定車体速度Vbとの偏差ΔVwtiがたとえ標準値Thtrc1よりも大きくてもTRC制御の基準値Thtrc2以下であるときには、ステップ140において否定判別が行われる。よって、ステップ160においてTRC制御による制動力の制御が許可されない旨の決定が行われる。
例えば、図11に示されているように、時点t1及びt2において偏差ΔVwtiがそれぞれ標準値Thtrc1及び基準値Thtrc2より大きくなった後減少し、時点t3において偏差ΔVwtiが再度標準値Thtrc1より大きくなったとする。TRC制御の基準値が標準値Thtrc1である場合には、時点t1及びt3においてTRC制御による制動力の増大が開始される。しかし、実施形態によれば、TRC制御の基準値は標準値Thtrc1よりも大きいThtrc2に設定されるので、偏差ΔVwtiが標準値Thtrc1より大きくてもThtrc2以下である限り、TRC制御による制動力の増大は開始されない。
よって、実施形態によれば、走行路が悪路であり、路面の凹凸に起因して偏差ΔVwtiが大きくなる状況において、基準値Thtrcを大きくすることにより、TRC制御による制動力の増大が行われ難くすることができる。従って、車両が悪路を走行する際に、TRC制御による制動力の増大に起因して、運転者が駆動力の不足を感じる虞を低減することができる。
(Z)走行路の片側が悪路である場合
図12に示されているように、走行路102の片側が悪路である(片側にのみ凹部104及び凸部106がある)場合には、図2に示されたフローチャートのステップ30及び60において肯定判別が行われる。よって、ステップ50において挙動制御の基準値Thvscが標準値Thvsc1よりも大きいThvsc2に設定される。また、ステップ70においてABS制御及びTRC制御の基準値Thabs及びThtrcがそれぞれ標準値Thabs1及びThtrc1に設定される。
(Z−1)挙動制御
上記(Y−1)の場合と同様である。即ち、第一のヨーレート偏差ΔYr1の絶対値が標準値Thvsc1よりも大きく且つ第二のヨーレート偏差ΔYr2の絶対値が基準値Thvsc(=Thvsc2)よりも大きいときには、ステップ90において肯定判別が行われる。よって、ステップ100において挙動制御による制動力の制御が許可されるべき旨の決定が行われる。
これに対し、第一のヨーレート偏差ΔYr1の絶対値が標準値Thvsc1よりも小さいとき、又は第二のヨーレート偏差ΔYr2の絶対値が基準値Thvsc(=Thvsc2)よりも小さいときには、ステップ90において否定判別が行われる。よって、ステップ110において挙動制御による制動力の制御が許可されるべきではない旨の決定が行われる。
よって、実施形態によれば、走行路の片側が悪路であり、路面の凹凸に起因して第二のヨーレート偏差ΔYr2の大きさが大きくなる状況において、挙動制御による制動力の制御が不必要に実行される虞を低減することができる。
(Z−2)ABS制御
上記(X−2)の場合と同様である。即ち、推定車体速度Vbと車輪速度Vwiとの偏差ΔVwaiがABS制御の基準値Thabs1を越えているときには、ステップ120において肯定判別が行われる。よって、ステップ100においてABS制御による制動力の制御が許可されるべき旨の決定が行われる。
これに対し、推定車体速度Vbと車輪速度Vwiとの偏差ΔVwaiがABS制御の基準値Thabs1以下であるときには、ステップ120において否定判別が行われる。よって、ステップ160においてABS制御による制動力の制御が許可されない旨の決定が行われる。
図13は良路側の車輪(左輪)の車輪速度Vwiの変化の例を示し、図14は悪路側の車輪(右輪)の車輪速度Vwiの変化の例を示している。ABS制御の基準値Thabsが標準値Thabs1よりも大きいThabs2に設定されると、左輪の偏差ΔVwaiは基準値Thabs2を越えないので、ABS制御による制動力の低減は行われない。これに対し、右輪の偏差ΔVwaiは、図14に示されているように、時点t1及びt2において基準値Thabs2を越えるので、時点t1及びt2においてABS制御による制動力の低減が開始される。
よって、左輪の制動力は低減されないのに対し、右輪の制動力は断続的に低減される。その結果、右輪の制動力は左輪の制動力よりも小さくなり、左右輪の制動力差に起因する不必要なヨーモーメントが車両に作用するので、制動時の車両の走行安定性が低下する虞がある。
図15の実線及び破線は、実施形態の場合について、それぞれ図13及び図14に示された良路側の車輪(左輪)及び悪路側の車輪(右輪)の車輪速度Vwiの変化と同一の車輪速度Vwiの変化の例を示している。図15に示されているように、時点t1及びt2において右輪の偏差ΔVwaiが標準値Thabs1を越え、それぞれ時点t1及びt2よりも遅い時点t1′及びt2′において、左輪の偏差ΔVwaiが標準値Thabs1を越えたとする。
時点t1及びt2においてABS制御による右輪の制動力の制御が開始され、時点t1′及びt2′においてABS制御による左輪の制動力の制御が開始される。時点t1と時点t1′との間隔及び時点t2と時点t2′との間隔は短いので、ABS制御により制御される左右輪の制動力の差は、図13及び図14の場合に比して小さくなる。よって、左右輪の制動力差に起因して車両に作用する不必要なヨーモーメントを小さくすることができるので、ヨーモーメントに起因して制動時の車両の走行安定性が低下する虞を低減することができる。
(Z−3)TRC制御
上記(X−3)の場合と同様である。即ち、車輪速度Vwiと推定車体速度Vbとの偏差ΔVwtiがTRC制御の基準値Thtrc1を越えているときには、ステップ140において肯定判別が行われる。よって、ステップ150においてTRC制御による制動力の制御が許可されるべき旨の決定が行われる。
これに対し、車輪速度Vwiと推定車体速度Vbとの偏差ΔVwtiがTRC制御の基準値Thtrc1以下であるときには、ステップ140において否定判別が行われる。よって、ステップ160においてTRC制御による制動力の制御が許可されない旨の決定が行われる。
基準値Thtrcが標準値Thtrc1よりも大きいThtrc2に設定される場合に比して、上記(Z−2)ABS制御の場合と同様に、TRC制御による左右輪の制動力差は小さくなり、その結果左右輪の駆動力差は小さくなる。よって、左右輪の駆動力差に起因して車両に作用する不必要なヨーモーメントを小さくし、加速時の車両の走行安定性が低下する虞を低減することができる。
以上においては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば、上述の実施形態においては、ステップ30において走行路が悪路であると判定されると、ステップ50において挙動制御の基準値Thvscが標準値Thvsc1からそれよりも大きいThvsc2に修正される。しかし、第二のヨーレート偏差ΔYr2の絶対値が低減修正され、ステップ90において低減修正後の第二のヨーレート偏差ΔYr2の絶対値が標準値Thvsc1よりも大きいか否かの判別が行われるよう、修正されてもよい。即ち、走行路が悪路であると判定されると、車両の挙動悪化の虞を示す指標値が基準値を越え難くなるよう、指標値が修正されてもよく、更には基準値及び指標値の両方が修正されてもよい。
また、上述の実施形態においては、走行路が悪路であるか否かの判別しか行われないが、例えば走行路が悪路、準悪路、良路の何れであるかの判別のように、悪路の程度の判別が行われてもよい。その場合、悪路の程度に応じて基準値を大きくする度合が設定されてよい。例えば、走行路が準悪路であるときには、走行路が良路である場合に比して、指標値が基準値を越え難くなるよう、基準値及び指標値の少なくとも一方が修正されてよい。更に、走行路が悪路であるときには、走行路が準悪路である場合に比して、指標値が基準値を越え難くなるよう、基準値及び指標値の少なくとも一方が修正されてよい。
また、上述の実施形態においては、走行路の全体が悪路であるか否か及び走行路の片側が悪路であるか否かに応じてABS制御及びTRC制御の基準値Thabs及びThtrcが修正されるようになっている。しかし、ABS制御の基準値の修正及びTRC制御の基準値の修正の少なくとも一方が省略されてもよい。
また、上述の実施形態においては、挙動制御、ABS制御及びTRC制御において車輪の制動力のみが制御されるようになっているが、当技術分野において公知の要領にて、車輪の制動力及び駆動力の両方が制御されるよう修正されてもよい。
また、上述の実施形態においては、ABS制御の可否判定に使用される制動スリップの指標値は、制動スリップ量であるが、制動スリップ量が推定車速に除算された制動スリップ率であってもよい。同様に、TRC制御の可否判定に使用される駆動スリップの指標値は、制動スリップ量であるが、駆動スリップ量が推定車速に除算された駆動スリップ率であってもよい。
また、上述の実施形態においては、ステップ90において第一のヨーレート偏差ΔYr1の絶対値が標準値Thvsc1よりも大きく且つ第二のヨーレート偏差ΔYr2の絶対値が基準値Thvscよりも大きいか否かの判別が行われる。しかし、第一のヨーレート偏差ΔYr1の絶対値が標準値Thvsc1よりも大きいか否かの判別は省略されてもよい。
更に、上述の実施形態においては、車両の目標旋回状態量及び推定旋回状態量は、それぞれ車両の目標ヨーレートYrt及び車輪速度に基づいて演算される推定ヨーレートYrwである。しかし、車両の目標旋回状態量及び推定旋回状態量は、それぞれ車両の目標横加速度及び車輪速度に基づいて演算される推定横加速度であってもよい。
10…走行安定化制御装置、12…路面状況判定装置、16…車両、30…制動装置、42…制動用電子制御装置、48…駆動用電子制御装置、50…CCDカメラ、52…走行用電子制御装置、54FL〜54RR…車輪速度センサ、56…操舵角センサ、58…ヨーレートセンサ

Claims (1)

  1. 車両の目標旋回状態量と車輪速度に基づいて演算される推定旋回状態量との偏差として車両の挙動悪化の虞を示す指標値を演算し、前記指標値が基準値を越えると、挙動悪化の虞が低下するよう車輪の制駆動力を制御することによって車両の挙動制御を行うよう構成された制御装置を有する車両の走行安定化制御装置において、車両は車両前方の走行路の凹凸状況を判定するよう構成された路面状況判定装置を有し、前記制御装置は、前記路面状況判定装置により車両前方の走行路が悪路であると判定されると、前記指標値が前記基準値を越え難くなるよう、前記基準値及び前記指標値の少なくとも一方を修正するよう構成された車両の走行安定化制御装置。

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