以下、添付図面を参照して、本発明を好適な実施形態に従って詳細に説明する。
図1は、マルチワイヤ放電加工システムを前方から見た正面図である。
尚、図1に示す各部品、部材などの機構の構成は一例であり、目的や用途に応じて様々な構成例があることは言うまでもない。
本発明の実施の形態に係るマルチワイヤ放電加工システムは、マルチワイヤ放電加工装置1、電源ユニット(電源装置)15、加工液供給装置17から構成されている。
マルチワイヤ放電加工システムは、放電により、並設された複数本のワイヤ7(ワイヤ電極)の間隔で被加工物5(例えば、シリコンインゴットなど)を薄片にスライス加工することができる。
マルチワイヤ放電加工装置1は、電源ユニット15と電線(電圧印加線)を介して接続されており、電源ユニット15から供給される電力により作動する。
マルチワイヤ放電加工装置1は、不図示のサーボモータにより駆動されるワーク送り装置3が上下方向に移動することにより、ワーク送り装置3に接着剤(接着部4)により接着されている被加工物5を上下方向に移動することができる。
また、マルチワイヤ放電加工装置1は、本発明のワイヤ放電加工装置の適用例であり、並設されたワイヤ7群と被加工物5との間の放電により被加工物を加工する。
本発明の実施の形態では、被加工物5が下方向に移動することで、被加工物5とワイヤ7とが接近し、被加工物5とワイヤ7との間で放電が発生し、被加工物5の放電加工を行う。このとき、被加工物5とワイヤ7との間の空間(放電ギャップ(被加工物5とワイヤ7との間の隙間))には加工液が満たされており、この加工液が所定幅の電気抵抗値を有していることから、被加工物5とワイヤ7との間で放電が発生し、被加工物5の放電加工を行うことができる。
また、ワーク送り装置3をワイヤ7よりも下部へ設け、被加工物5を上方向へ移動させることにより、被加工物5とワイヤ7との間で放電加工を行わせるようにすることも可能である。
本実施の形態では、被加工物5の一例としてシリコンインゴットを用いて説明するが、SIC(炭化シリコン)などの、絶縁体ではない他の材料(導体又は半導体)を用いることもできる。
マルチワイヤ放電加工装置1は、図1に示すように、マルチワイヤ放電加工装置1の土台として機能するブロック18と、ブロック18の上部の装置内に設置されている、ブロック2と、ワーク送り装置3と、接着部4と、被加工物5と、加工液槽6と、メインローラ8と、ワイヤ7と、メインローラ9と、給電ユニット10と、給電子11と、加工液供給口12と、加工液供給口13と、加工液供給口14とを備えている。
ブロック2は、ワーク送り装置3と接合されている。
また、ワーク送り装置3は、被加工物5と接着部4により接着(接合)されている。
本実施例では、被加工材料として、シリコンインゴットを例に説明する。
接着部4は、ワーク送り装置3と、被加工物5とを接着(接合)するためのものであれば何でもよく、例えば、導電性接着剤が用いられる。
ワーク送り装置3は、接着部4により接着(接合)されている被加工物5を上下方向に移動する機構を備えた装置であり、ワーク送り装置3が下方向に移動することにより、被加工物5をワイヤ7に近づけることが可能となる。
給電子11は、機械的摩耗に強く、導電性があることが要求され超硬合金が使用されている。
この給電子11は、並設されたワイヤ群(ワイヤ7)と被加工物5との間の放電により被加工物5をスライス加工するマルチワイヤ放電加工装置1において、当該ワイヤ群に一括で接触して加工電圧を給電する給電子である。
また、図11乃至図18を用いて後述するが、この給電子11は、円柱状の形状であり、給電子の底面に、給電子の母線方向に他の給電子と嵌脱可能な嵌脱部を備えている。この給電子は、給電子の円柱の側面に、ワイヤ群が一括で接触して給電する。ここで、円柱状の形状とは、母線の直交方向に割った断面の形状が円や楕円等が含まれる。
給電ユニット10は、給電子11を固定して保持するユニットである。ここで、給電ユニット10は、本実施例に記載された給電子11の位置や方向に設置可能な形状及び位置で構成されている。
給電ユニット10は、電源ユニット15から電線を介して供給される電力(電圧)を給電子11に供給する。
給電子11は、給電ユニット10から介して供給された電圧を、接触しているワイヤ7に供給する。
メインローラの間の中央部の上部に、被加工物5が配置され、被加工物5はワーク送り装置3に取付けられており、ワーク送り装置3が上下方向に移動することにより、被加工物5が上下方向に移動し、被加工物5の加工を行う。
また、メインローラ間の中央部に加工液槽6を設け、ワイヤ7および被加工物5を加工液槽6に浸漬し、放電加工部の冷却、加工チップの除去を行う。
メインローラ9、メインローラ8は、それぞれ、加工液槽6内を、ワイヤ群を走行させる位置に設けられた第1のローラ、第2のローラの適用例である。
加工液槽6は、メインローラ9(第1のローラ)とメインローラ8(第2のローラ)との間に設けられている。
また、加工液槽6は、メインローラ9(第1のローラ)に、加工液槽6内に貯留された加工液を供給する供給口406(第1の供給口)と、メインローラ8(第2のローラ)に、加工液槽6内に貯留された加工液を供給する供給口403(第2の供給口)とを備えている。
ワイヤ7は、メインローラ8、9に取り付けられ、メインローラ8、9の上側、及び下側にワイヤ列を形成している。
また、ワイヤ7は、伝導体であり、電源ユニット15から電圧が供給された給電ユニット10の給電子11と、ワイヤ7とが接触することにより、当該供給された電圧が給電子11からワイヤ7に印加される。
そして、ワイヤ7と、被加工物5との間で放電が起き、被加工物5を削り(放電加工を行い)、薄板状のシリコン(シリコンウエハ)(加工物)を作成することが可能となる。
加工液槽6は、加工液を溜めるための容器である。加工液は、例えば、抵抗値が高い脱イオン水である。ワイヤ7と、被加工物5との間に、加工液が設けられることにより、ワイヤ7と、被加工物との間で放電が発生し、被加工物5を削ることが可能となる。
加工液槽6は、本発明の加工液槽の適用例であり、加工液供給口12、加工液供給口14、加工液供給口13(第1の加工液供給口)から供給された加工液を貯留する。そして、この加工液は、ワイヤ群と前記被加工物との間の放電に用いられる。
15は、電源ユニット(電源装置)であり、3は、サーボモータを制御する放電サーボ制御回路が放電の状態に応じて効率よく放電を発生させるために放電ギャップを一定の隙間に保つように制御し、また被加工物5の位置決めを行い、放電加工を進行させる。
17は、加工液供給装置であり、放電加工部の冷却、加工チップ(屑)の除去に必要な加工液をポンプにより被加工物5とワイヤ7へ送液すると共に、加工液中の加工チップの除去、イオン交換樹脂による比抵抗または電導度(1μS〜250μS)の管理、液温(20℃付近)の管理を行う。
加工液には、主に水が使用されるが、放電加工油を用いることもできる。本実施の形態では、加工液の例として水を用いるが、放電加工油でもよい。
8,9はメインローラであり、メインローラには、所望する厚さで加工出来るようにあらかじめ決められたピッチ、数で溝101(図10)が形成されており、ワイヤ供給ボビンからの張力制御されたワイヤ7が2つのメインローラに必要数巻きつけられ、巻き取りボビンへ送られる。メインローラ8、9の回転によるワイヤ7の走行速度は100m/minから900m/min程度である。
メインローラ8、メインローラ9は、本発明のローラの適用例であり、ワイヤ群を走行させるために設けられている。
メインローラ9は、メインローラ9が回転することによりメインローラ9に巻きつけられたワイヤ7を走行させる。
2つのメインローラが同じ方向でかつ同じ速度で連動して回転することにより、ワイヤ繰出し部から送られた1本のワイヤ7がメインローラ(2つ)の外周を周回し、並設されている複数本のワイヤ7を同一方向に走行させることができる。
ワイヤ7は、1本の繋がった同一のワイヤであり、図示しないボビンから繰り出され、メインローラ8、9の外周面のガイドとなる溝に嵌め込まれながら、当該メインローラの外側に多数回(最大で2000回程度)螺旋状に巻回された後、図示しないボビンに巻き取られる。
図10は、メインローラ8、9の奥行き方向(前後方向)の断面の拡大図の一例を示す。
図10に示すように、メインローラ8、9は、複数の溝101を有し、その溝101に、ワイヤ7がはめられて、ワイヤ7のぶれやずれを低減させると共に、ワイヤ7が走行できるように構成されている。
メインローラにワイヤ7が複数回巻きつけられており、メインローラに刻まれた溝101に従い、所定ピッチでワイヤ7が整列している。
メインローラ8、9は中心に金属を使用し、外側は樹脂で覆う構造である。
すなわち、ワイヤ群が接触するメインローラ8、9の表面部位は、少なくとも有機化合物の材料を含み構成されている。
また、ここで、メインローラ8、9の回転動作の仕組みについて説明する。
図2は、ワイヤ7が巻かれているメインローラ8と、駆動モータ20により回転するメインローラ9について説明する。
駆動モータ20は、メインローラ9(第1のローラ)を回転駆動させる駆動部の適用例であり、メインローラ9(第1のローラ)を反転駆動させる反転手段を備えている。
メインローラ9(第1のローラ)を反転駆動させると、ワイヤの走行方向が反転するため、メインローラ(第2のローラ)も反転する。
図2は、ワイヤ7が巻かれているメインローラ8と、駆動モータ20により回転するメインローラ9の斜視図の一例である。
ワイヤ7は、被加工物との放電に用いられるワイヤである。
メインローラ9は、ローラを回転させる駆動モータ20(駆動部)と接続され、駆動モータ20による駆動により回転する。
この駆動モータ20(駆動部)は、メインローラ9の回転方向を反転する(逆方向に回転する)反転手段を有している。
また、メインローラ8は、駆動モータ20と接続されていないローラであって、駆動モータ20による駆動によりメインローラ9が回転することで走行するワイヤ7により回転する。
図1の説明に戻る。
加工液槽6は、所定の範囲の比抵抗(電気伝導度)に管理されたイオン交換水(脱イオン水)を貯留し、イオン交換水(脱イオン水)を並設されたワイヤ7(ワイヤ電極とも言う)と被加工物5とが近接する放電ギャップの位置(放電点)に加工液として供給している。
加工液槽6は、被加工物5とワイヤ7との間で放電加工されるために用いられる加工液が貯留される。
また、加工液槽6は、加工液槽6に加工液が供給される加工液供給口を、3箇所備えている。
具体的には、加工液供給口12、加工液供給口13、加工液供給口14の3箇所である。
加工液供給口12、加工液供給口13、加工液供給口14には、加工液供給装置17から供給された脱イオン水が供給される。
そして、加工液供給口12、加工液供給口13、加工液供給口14を介して、加工液槽6に脱イオン水が供給される。
ここで供給される脱イオン水は、加工液槽6に貯留されている加工液と同一、又はほぼ同一の比抵抗を有する加工液である。
加工液供給口12は、加工液槽6の左側上部に配置されている。
すなわち、加工液供給口12は、メインローラ8の回転軸よりも左側の上部に位置している。
また、加工液供給口13、加工液槽6の右側上部に配置されている。
すなわち、加工液供給口13は、メインローラ9の回転軸よりも右側の上部に位置している。
加工液供給口13は、本発明の第1の加工液供給口の適用例であり、供給口406の位置よりも、ワイヤ群の走行方向に関して上流側の加工液槽6の部位に設けられ、加工液を加工液槽6内に供給する。
加工液供給口14は、加工液槽6の下部の左右に関して中央の位置に位置している。
加工液供給口14は、本発明の第2の加工液供給口の適用例であり、収容部902の下部に、加工液を加工液槽6内に供給する。
次に、図3について、説明する。
図3は、図1に示した加工液槽6の外観の正面図(a)、外観の側面図(右側から見た図)(b)、外観の側面図(左側から見た図)(c)の一例を示す図である。
図3(a)に示すように、加工液槽6は、左右対称の形状(構造)である。図3(a)に示す頂点(A点、B点、C点、D点、E点)をもとに、他の部材、部品などの機構の配置位置を説明する。
図3(b)は、図1に示した加工液槽6の外観の側面図(右側から見た図)の一例である。
また、図3(c)は、図1に示した加工液槽6の外観の側面図(左側から見た図)の一例である。
加工液槽6は、図3(b)、図3(c)に示すように、C点からD点との間の傾斜部302に、ワイヤ7群が挿入し走行するワイヤ群挿入口(303、301)を備えている。
ワイヤ群挿入口301は、供給口406と、後述する収容部902との間の位置に設けられ、加工液槽6内を走行するワイヤ群が挿入される挿入口として機能する。
図4は、図3(b)、図3(c)に示した断面305での加工液槽6の断面図の一例を示す図である。
図4に示すように、加工液供給口12、加工液供給口13から、加工液槽6内に、加工液を供給する。
また、加工液槽6は、加工液供給口12から供給された加工液の水流を抑制する水流抑制部402として、加工液を供給する穴(供給口401)を複数有する水流抑制板を備えている。
また、加工液槽6は、加工液供給口13から供給された加工液の水流を抑制する水流抑制部407として、加工液を供給する穴(供給口408)を複数有する水流抑制板を備えている。
水流抑制部407は、本発明の第1の水流抑制部の適用例であり、加工液供給口13(第1の加工液供給口)から供給された加工液の水流を抑制する。
そして、水流抑制部407は、供給口406と加工液供給口13(第1の加工液供給口)との間の位置に設けられている。
このように、水流抑制部402により、加工液供給口12からの加工液が供給口401で分散され、加工液が加工液槽内に供給されるため、加工液の水流が抑制(低減)され、加工液槽内の水流によるワイヤ群のぶれを低減させることができる。
また、水流抑制部407により、加工液供給口13からの加工液が供給口408で分散され、加工液が加工液槽内に供給されるため、加工液の水流が抑制(低減)され、加工液槽内の水流によるワイヤ群のぶれを低減させることができる。
また、水流抑制部407により、加工液の水流が抑制(低減)された状態で、供給口406から加工液がメインローラ9に落下するので、過剰に加工液がメインローラ9に落下するのを防止することができる、又は極端に加工液がメインローラ9に落下する量が減ることを防止し、適量の加工液が供給口406からメインローラ9に落下することができる。
また、加工液が供給口406からメインローラ9に落下すると、メインローラ9の回転により走行するワイヤ群により加工液槽6内に、当該落下した加工液がワイヤ群挿入口301を介して運ばれて(供給されて)、加工液内に供給されるため、加工液の無駄を防止することもできる。
また、加工液槽6は、B点からC点の間に、加工液槽6内の加工液をワイヤ群と接触するメインローラに供給する供給口406、供給口403を備えている。
すなわち、加工液槽6は、加工液槽6内に貯留された加工液を加工液槽6からメインローラに供給する供給口(406、403)を備えている。
この供給口406、供給口403から、それぞれ、メインローラ9、メインローラ8に加工液槽6内の加工液が落ちて供給されることで、ワイヤ群により加熱した各メインローラを冷却することができる。
供給口406は、メインローラ9の鉛直方向上部に設けられており、また、供給口403は、メインローラ8の鉛直方向上部に設けられている。
また、加工液槽6は、C点からD点との間の傾斜部302に、ワイヤ7群が加工液槽6内に入り走行するためのワイヤ群挿入口(303、301)を備えている。
また、加工液槽6は、加工液供給口14から供給された加工液の水流を抑制する水流抑制部404として、加工液を供給する穴(供給口405)を複数有する水流抑制板を備えている。
水流抑制部404は、本発明の第2の水流抑制部の適用例であり、加工液供給口14(第2の加工液供給口)と、加工液槽6内を走行するワイヤ群との間の位置に、加工液供給口14(第2の加工液供給口)から供給された加工液の水流を抑制する。
水流抑制部404により、加工液供給口14からの加工液の水流が分散され、複数の供給口405から加工液槽内に供給されるため、加工液供給口14からの加工液の水流が抑制(低減)され、加工液槽内の水流によるワイヤ群のぶれを低減させることができる。
次に、図5を用いて、加工液槽6の上面図について説明する。
図5は、加工液槽6の上面図の一例を示す図である。
図5に示すように、加工液槽6は、B点と、水流抑制部402との間に、加工液供給口12を備えている。
また、加工液槽6は、B点と、水流抑制部407との間に、加工液供給口13を備えている。
また、水流抑制部402とC点との間に、供給口403を備えている。
また、供給口403には、供給口403による加工液のメインローラ8への供給量を調整するために設けられた部材として、流量調整部501を備えている。
流量調整部501は、供給口403の面積を小さくしたり、広くしたりすることで、メインローラ8への加工液の供給量を調整する板である。
この流量調整部501を、ユーザの(手動)操作により移動させることで、供給口403の面積を小さくしたり、広くしたりすることができる。
また、水流抑制部407とC点との間に、供給口406を備えている。
また、供給口406には、供給口406による加工液のメインローラ9への供給量を調整するために設けられた部材として、流量調整部502を備えている。
流量調整部502は、供給口406の面積を小さくしたり、広くしたりすることで、メインローラ9への加工液の供給量を調整する板である。
この流量調整部502を、ユーザの(手動)操作により移動させることで、供給口406の面積を小さくしたり、広くしたりすることができる。
図6は、供給口(403、406)の面積が小さくなるように流量調整部(501、502)を移動させた加工液槽6の上面図の一例を示す図である。
図6に示すように、供給口(403、406)の面積が小さくなるように流量調整部(501、502)を移動させることで、供給口(403、406)の面積を小さくなり、供給口(403、406)による加工液のメインローラ(8、9)への供給量を減らすことができる。
このように、流量調整部(501、502)により、供給口(403、406)からメインローラ(8、9)への加工液の供給量を調整できるため、例えば、加工液槽内の加工液が少ない場合には、供給口(403、406)からメインローラ(8、9)への加工液の供給量を少なくなるように調整し、加工液槽内の加工液が多い場合には、供給口(403、406)からメインローラ(8、9)への加工液の供給量を多くするように調整することが可能となる。
また、供給口403、供給口406は、それぞれ、メインローラ8、メインローラ9の幅(ワイヤ群が並設される方向のローラの長さ)、又は当該幅以上の長さを有する。
また、ワイヤ群挿入口(303、301)、水流抑制部404の説明は、上述の通りであるため、ここでは、説明を省略する。
次に、図7を用いて、更に、流量調整部503、流量調整部504、流量調整部505、流量調整部506を備えた加工液槽6の上面図について説明する。
流量調整部501、流量調整部502、流量調整部503、流量調整部504、流量調整部505、流量調整部506は、本発明の調整部の適用例であり、流量調整部501、流量調整部503、流量調整部504は、加工液槽6内に貯留された加工液が供給口403からメインローラ8に供給される供給量を調整する部である。
また、流量調整部502、流量調整部505、流量調整部506は、加工液槽6内に貯留された加工液が供給口406からメインローラ9に供給される供給量を調整する部である。
図7は、更に、流量調整部503、流量調整部504、流量調整部505、流量調整部506を備えた加工液槽6の上面図の一例を示す図である。
流量調整部503、流量調整部504、流量調整部505、流量調整部506は、供給口403の面積を、更に調整する部材である。
流量調整部501、流量調整部502は、それぞれ、供給口403、供給口406の左右方向の長さを調整することは出来たが、供給口403、供給口406の前後方向の長さを調整することは出来なかった。
ここで、前後方向とは、マルチワイヤ放電加工装置1を前方から見て前後方向(メインローラ8、メインローラ9の幅方向(ワイヤ群が並設される方向))のことである。
そこで、流量調整部503、流量調整部504、流量調整部505、流量調整部506は、供給口403、供給口406の前後方向の長さを調整する。
すなわち、流量調整部503、流量調整部504、流量調整部505、流量調整部506は、それぞれ、メインローラ8、メインローラ9の幅方向(ワイヤ群が並設される方向)の加工液の供給量、及び供給位置を調整するものである。
流量調整部503、流量調整部504は、図7に通り、供給口403の前後方向(メインローラ8、メインローラ9の幅方向(ワイヤ群が並設される方向))の両端に設けられ、スライドするシャッターである。
また、流量調整部505、流量調整部506は、図7に通り、供給口406の前後方向(メインローラ8、メインローラ9の幅方向(ワイヤ群が並設される方向))の両端に設けられ、スライドするシャッターである。
流量調整部503、流量調整部504、流量調整部505、流量調整部506は、それぞれ、独立して、前後方向(メインローラ8、メインローラ9の幅方向(ワイヤ群が並設される方向))にスライドして移動することができる。
これにより、主として、ワイヤ群が嵌められたメインローラ(8、9)の部位に対して、加工液を供給することができ、ワイヤ群が嵌められたメインローラ(8、9)の部位を冷やすことが出来ると共に、放電加工で用いられる加工液を加工液槽6内に貯め易くなる。
このように、流量調整部503、流量調整部504は、本発明の調整部の適用例であり、供給口403の位置を、メインローラ8にワイヤ群が並設される方向に変更する、又は、供給口403のサイズを、メインローラ8にワイヤ群が並設される方向に調整(変更)する。
また、流量調整部505、流量調整部506は、本発明の調整部の適用例であり、供給口406の位置を、メインローラ9にワイヤ群が並設される方向に変更する、又は、供給口406のサイズを、メインローラ9にワイヤ群が並設される方向に調整(変更)する。
図7は、ワイヤ群挿入口303、ワイヤ群挿入口301に、20本のワイヤ群が入り走行している様子を示している。
そのため、図7の流量調整部503、流量調整部504、流量調整部505、流量調整部506は、20本のワイヤ群が巻かれたメインローラの部位を冷やすために、供給口403、供給口406の前後方向の長さを、その本数に応じた長さになるように調整している。
また、図8は、ワイヤ群挿入口303、ワイヤ群挿入口301に、7本のワイヤ群が入り走行している様子を示している。
そのため、図8の流量調整部503、流量調整部504、流量調整部505、流量調整部506は、7本のワイヤ群が巻かれたメインローラの部位を冷やすために、供給口403、供給口406の前後方向の長さを、その本数に応じた長さになるように調整している。
すなわち、流量調整部503、流量調整部504、流量調整部505、流量調整部506により、ワイヤ群が巻かれたメインローラの部位に、加工液槽6内の加工液が供給されるように、供給口(403、406)の位置を変えることができると共に、その供給量を調整することが可能となる。ワイヤ群が巻かれていないメインローラの部位には、加工液を供給しないようにすることができる。
図9は、加工液槽6の断面305での断面図の一例を示す図である。
メインローラ8、メインローラ9は、いずれも、左回転しており、ワイヤ7も、その回転方向に応じた方向に走行している。
加工液槽6は、加工液供給口14、加工液供給口12、加工液供給口13から加工液が供給され、水流抑制部402、水流抑制部407、水流抑制部404を介して、被加工物5とワイヤ7との間で放電が行われる放電部の方向に、当該加工液が流れる。
そして、供給口403から、メインローラ8に、加工液槽6内の加工液が落ちて供給されるため、ワイヤ群が巻かれたメインローラ8の部位を冷やすことができる。
また、供給口406から、メインローラ9に、加工液槽6内の加工液が落ちて供給されるため、ワイヤ群が巻かれたメインローラ9の部位を冷やすことができる。
図9に示す流出抑制部901は、ワイヤ群挿入口(301、303)よりも上部の加工液槽6の部位である。
すなわち、流出抑制部901は、ワイヤ群挿入口301よりも上部に設けられた加工液槽の部材は、ワイヤ群の走行による、加工液槽6内の加工液の加工液槽6内からの流出を抑止する流出抑制部である。
流出抑制部901は、加工液槽6内に貯留される加工液の加工液槽6からの流出を抑制する。
すなわち、流出抑制部901は、加工液槽6内の加工液が、ワイヤ群が走行している方向に運び出され、加工液槽6の外に運び出されるのを防ぎ、被加工物5とワイヤ群との間の隙間(放電ギャップ)に、放電加工に必要な加工液の水量を確保することができるようになる。
流出抑制部901は、放電発生部である、被加工物5とワイヤ7との間(放電ギャップ)に、放電加工に必要な加工液の量を確保するために設けられており、加工液槽6内に貯留される加工液の水位をワイヤ群よりも上位になるように貯留し、ワイヤが走行することによる、加工液槽6内の加工液の加工液槽6外への流出量を減らすように機能する。
また、ワイヤ7が走行することによる、加工液槽6内の加工液の加工液槽6外への流出量を減らすことができるため、放電発生部である、被加工物5とワイヤ7との間(放電ギャップ)に、放電加工に必要な加工液の量を確保することが出来るようになり、放電加工を安定して行うことができる。
被加工物5とワイヤ7との間の隙間に、放電加工に必要な加工液の量を確保するために、この冷却水としての加工液を利用する。
メインローラ8、9(ガイドローラとも言う)には、ワイヤ7を取り付けるための溝101が複数列形成されており、その溝にワイヤ7が取り付けられている。そして、メインローラ8、9が右又は左回転(反転)することにより、ワイヤ7が走行する。
図9に示す収容部902は、被加工物5が加工された加工物を収容する収容部として機能する加工液槽6の部位である。
次に、図18を用いて、図1に示すワーク送り装置3、及び、接着部4(接着剤)、被加工物5、ワイヤ7、給電子11について、説明する。
また、図11から図17を用いて、図1に示す給電子11の構造について説明する。
図18は、マルチワイヤ放電加工装置1を正面から見て右側から見た側面図の一例であって、ワーク送り装置3、及び、接着部4(接着剤)、被加工物5、ワイヤ7、給電子11の位置関係を示す側面図の一例である。
図18(a)は、複数の被加工物5をまとめて放電加工する場合の側面図である。
また、図18(b)は、1つの被加工物5を放電加工する場合の側面図である。
図18(a)に示すように、マルチワイヤ放電加工装置1は、ワイヤ7の配列方向に伸びた給電子11が、それぞれのワイヤに同時に接触する位置に設けられている。
そして、その上部に、複数のワーク送り装置3(ここでは3つのワーク送り装置3)が、ワイヤ7の配列方向にそって並んで設けられている。
ここで、複数のワーク送り装置3は、本発明の送り装置の適用例であり、複数の被加工物5を保持し、複数の被加工物5をワイヤ群に移動する。1つの送り装置が、複数の被加工物5を保持してもよいし、複数の送り装置が、複数の被加工物5を保持してもよい。
そして、この送り装置は、複数の被加工物5を、ワイヤが並設された方向に並べて保持し、給電子11は、ワイヤ7が並設された方向が給電子の母線方向となるように設けられている。
そして、それぞれのワーク送り装置3は、それぞれ、接着部4で被加工物5に接着している。それぞれのワーク送り装置3が共に下方向に移動することで、被加工物5の下部のワイヤ7(ワイヤ群)に接近し、それぞれの被加工物5とワイヤ7(ワイヤ群)との間で、まとめて放電加工を行うことが可能となる。
次に、図18(b)について説明する。
図18(b)も、図18(a)と同様に、マルチワイヤ放電加工装置1は、ワイヤ7の配列方向に伸びた給電子11が、それぞれのワイヤに同時に接触する位置に設けられている。
そして、その上部に、1つのワーク送り装置3が設けられている。そして、このワーク送り装置3は、接着部4で被加工物5に接着している。この1つのワーク送り装置3が下方向に移動することで、被加工物5の下部のワイヤ7(ワイヤ群)に接近し、1つの被加工物5とワイヤ7(ワイヤ群)との間で、放電加工を行うことが可能となる。
マルチワイヤ放電加工装置1は、複数のワーク送り装置3を備えているため、図18に示すように、放電加工を行う被加工物5の数に応じて、ワイヤ7の配列数も変動する。
このように、放電加工を行う被加工物5の数に応じて、ワイヤ7の配列数を変えて放電加工を行うと、給電子11の一部分は、ワイヤ7との接触回数が多かったり、また、給電子11の他の一部分は、ワイヤ7との接触回数が少なかったりすることがある。
その結果、放電加工の回数が増えていくにつれて、給電子11の消耗や劣化にばらつきが生じてしまう。すなわち、放電加工を行うにつれて、給電子11の一部分は、放電加工に使用できないほど、消耗、劣化してしまい、また他の部分は、使用できるような状態になることがある。
しかしながら、従来、給電子11の一部のみを新品と取り替え可能な構造では無いため、給電子11を1本丸々新品と交換しなければなかなかった。その結果、交換する給電子11のコストが増大してしまっていた。
そこで、本発明では、図18に示すように、給電子11の一部のみを取り替え可能な構造にする。
次に、図11から図17を用いて、図1、図18に示す給電子11の構造について説明する。
図11は、給電子11とワイヤ7(ワイヤ群)とを位置関係を示す上面図の一例である。
図11に示すように、それぞれのワイヤ7の配列方向に、複数の給電子11を並べて配置する。
図11に示す1つの給電子の構造について、図12を用いて説明する。
図12は、図11に示す1つの給電子の上面図、及び側面図の一例である。
図12(a)は、図11に示す1つの給電子11の上面図の一例を示す図である。
また、図12(b)は、図12(a)の前方から見た給電子11の側面図の一例を示す図である。
また、図12(c)は、図12(a)の後方から見た給電子11の側面図の一例を示す図である。
図12(b)に示すように、給電子11の断面は円形の形状をしている。すなわち、給電子11は、円柱状(直円柱)の形状の構造である。この円柱の底面には、図12(b)に示すように、凹部1201(嵌脱部)が設けられている。また、この反対側の円柱の底面には、図12(c)に示すように、凸部1101(嵌脱部)が設けられている。
1つの給電子11の凸部1101が、他の給電子11の凹部1201に嵌り込み、複数の給電子11を、給電子11の円柱の高さ方向(母線の方向)につなぎあわせて伸ばすことが可能となる。
ここで、図12の(b)の凸部1101と、図12の(c)の凹部1201とを四角で示しているが、三角形などの多角形で、複数の給電子11をつなぎ合わせることができる形状であれば、どのような形状であっても構わない。
図11に示すように、複数の給電子11をつなぎ合わせ、その各給電子(給電子群)をワイヤ7の配列方向に並べて配列することで、給電子11の一部のみを新品と取り替えることが出来るようになり、交換する給電子11のコストを低減可能にすることができる。
しかしながら、図11の例では、給電子11の継ぎ目が、ワイヤの走行方向と並行になっているため、ワイヤがその継ぎ目に入り込んでしまい、その継ぎ目に入り込んだワイヤが走行することで、ワイヤの損傷や破損が発生してしまうおそれもある。
そこで、ワイヤがその継ぎ目に入り込んでしまい、ワイヤの損傷や破損を低減可能にするために、図13、図15に示すように、給電子11の継ぎ目が、ワイヤの走行方向と並行にならないようにした給電子11の形状について、次に、説明する。
図13は、図11に示す円柱状の給電子を斜円柱状の形状にした給電子と、ワイヤ7(ワイヤ群)とを位置関係を示す上面図の一例である。
図13に示す1つの給電子の構造について、図14を用いて説明する。
図14は、図13に示す1つの給電子の上面図、及び側面図の一例である。
図14(a)は、図13に示す1つの給電子11の上面図の一例を示す図である。
図14(a)に示す給電子11は、図14(a)のように斜円柱状の形状で構成され、斜円柱状の1つの底面に凸部1301(嵌脱部)が設けられている。
また、図14(b)は、図14(a)の前方から見た給電子11の側面図の一例を示す図である。
また、図14(c)は、図14(a)の後方から見た給電子11の側面図の一例を示す図である。
図14(b)に示すように、給電子11の断面は円形の形状をしている。この給電子11は、斜円柱状の形状の構造である。この円柱の底面には、図14(b)に示すように、凹部1401(嵌脱部)が設けられている。
また、この反対側の円柱の底面には、図14(c)に示すように、凸部1301(嵌脱部)が設けられている。
1つの給電子11の凸部1301が、他の給電子11の凹部1401に嵌り込み、複数の給電子11を、給電子11の母線の方向につなぎあわせて伸ばすことが可能となる。
ここで、図14の(c)の凸部1301と、図14の(b)の凹部1401とを四角で示しているが、三角形などの多角形で、複数の給電子11をつなぎ合わせる(嵌合する)ことができる形状であれば、どのような形状であっても構わない。
図13に示すように、複数の斜円柱状の給電子11をつなぎ合わせ、その各給電子(給電子群)をワイヤ7の配列方向(斜円柱の母線方向)に並べて配列することで、給電子11の一部のみを新品と取り替えることが出来るようになり、交換する給電子11のコストを低減可能にすることができる。
さらに、給電子11の継ぎ目が、ワイヤの走行方向と並行にならないため、給電子11の継ぎ目にワイヤが入り込み難く、ワイヤの損傷や破損を低減可能にすることができるようになる。
すなわち、給電子11の継ぎ目が、給電子11の母線の方向に対して交差する方向(ワイヤの走行方向に対して交差する方向)となるため、ワイヤの損傷や破損を低減可能にすることができる。
このように、ワイヤ群の走行方向と交差する方向が給電子の母線方向となるように設けられた給電子の側面の、嵌脱部により嵌脱する他の給電子との継ぎ目が、給電子の母線に対して交差し、かつ、ワイヤの走行方向と交差する形状である。
次に、ワイヤが給電子の継ぎ目に入り込んでしまい、ワイヤの損傷や破損を低減可能にするために、給電子11の継ぎ目が、ワイヤの走行方向と並行にならないようにした給電子11の形状(他の変形例)について、図15、図16を用いて、説明する。
図15は、円柱の母線に対して傾斜(交差)した複数の方向に、円柱の側面が切れて形成された複数の底面を備えた給電子と、ワイヤ7(ワイヤ群)とを位置関係を示す上面図の一例である。
図15に示す1つの給電子の構造について、図16を用いて説明する。
図16は、図15に示す1つの給電子の上面図、及び側面図の一例である。
図16(a)は、図15に示す1つの給電子11の上面図の一例を示す図である。
図16(a)に示す給電子11は、図16(a)のように、円柱の母線に対して傾斜(交差)した複数の方向に、円柱の側面が切れて形成された複数の底面を備えた給電子である。
また、1つの底面に凸部1501(嵌脱部)が設けられている。
また、図16(b)は、図16(a)の前方から見た給電子11の側面図の一例を示す図である。
また、図16(c)は、図16(a)の後方から見た給電子11の側面図の一例を示す図である。
図16(b)に示すように、給電子11の断面は円形の形状をしている。この給電子11は、円柱状の形状の構造をしている。そして、この給電子11は、直円柱の母線に対して傾斜(交差)した複数の方向に、円柱の側面が切れて形成された複数の底面を備えた給電子である。すなわち、図15、図16に示すように、この給電子の円柱の側面には、円柱の高さ方向に交差し、かつ、円柱の高さ方向に直交する方向に交差する方向に傾斜して切れて形成された傾斜部を複数備えている。
また、この給電子の底面には、図16(b)に示すように、凹部1601(嵌脱部)が設けられている。
また、この反対側の円柱の底面には、図16(c)に示すように、凸部1501(嵌脱部)が設けられている。
1つの給電子11の凸部1501が、他の給電子11の凹部1601に嵌り込み、複数の給電子11を、給電子11の母線の方向につなぎあわせて伸ばすことが可能となる。
ここで、図16(c)の凸部1501と、図16(b)の凹部1601とを四角で示しているが、三角形などの多角形で、複数の給電子11をつなぎ合わせることができる形状であれば、どのような形状であっても構わない。
図15に示すように、この給電子11を複数つなぎ合わせ、その各給電子(給電子群)をワイヤ7の配列方向(給電子の円柱の母線方向)に並べて配列することで、給電子11の一部のみを新品と取り替えることが出来るようになり、交換する給電子11のコストを低減可能にすることができる。さらに、給電子11の継ぎ目が、ワイヤの走行方向と並行にならないため、給電子11の継ぎ目にワイヤが入り込み難く、ワイヤの損傷や破損を低減可能にすることができるようになる。
すなわち、ワイヤ群の走行方向と交差する方向が給電子の母線方向となるように設けられた給電子の側面の、嵌脱部により嵌脱する他の給電子との継ぎ目が、給電子の母線に対して交差し、かつ、ワイヤの走行方向と交差する形状であるため、ワイヤの損傷や破損を低減可能にすることができる。このように、給電子11の継ぎ目が、給電子11の母線の方向に対して交差する方向(ワイヤの走行方向に対して交差する方向)となるため、ワイヤの損傷や破損を低減可能にすることができる。
図13乃至図16に示した給電子は、給電子11の側面(給電子11の継ぎ目)が、給電子11の円柱の母線の方向に対して交差する方向であって、当該母線の直交方向と交差する方向に傾斜しているため、給電子の母線の方向に直交する方向に走行しているワイヤ(群)が、給電子11の継ぎ目にワイヤが入り込み難く、ワイヤの損傷や破損を低減可能にすることができるようになると共に、交換する給電子11のコストを低減可能にすることができる。
また、図17は、給電子11(給電子群)と、ワイヤ7(ワイヤ群)とが接触している状態を示す正面図の一例を示す図である。
図17に示すように、マルチワイヤ放電加工装置1の正面から見た給電子の最上部は、左右のメインローラ8、9の最下部とよりも上部に位置しているため、給電子11により、ワイヤ7を張り張力を上昇させると共に、給電子11が1点ではなく直線(複数点)でワイヤ7と接するため、給電子11の継ぎ目にワイヤが入り込み難く、ワイヤの損傷や破損を低減可能にすることができるようになる。
以上のように、図12乃至図16に示す各凸部、及び/又は凹部は、本発明の嵌脱部の適用例であり、円柱状の形状の給電子11は、給電子の底面に、給電子の母線方向に他の給電子と嵌脱可能な嵌脱部を備えている。
図12乃至図16で説明した通り、凸部は、給電子の一方の底面に設けられ、凸部は、他の給電子の底面に設けられた凹部と嵌合する。また、給電子11は、凸部が設けられた底面の他方の底面に設けられた凹部を有し、その凹部は、他の給電子の底面に設けられた凸部と嵌合する。このようにして、給電子の母線方向に各給電子をつなぎあわせて配置することが出来るようになる。
また、図13乃至図16で説明した通り、給電子11は、ワイヤ群の走行方向と交差する方向が給電子の母線方向となるように設けられている。このように、ワイヤ群の走行方向と交差する方向が前記給電子の母線方向となるように設けられた給電子の側面の、嵌脱部により嵌脱する他の給電子との継ぎ目が、給電子の母線に対して交差し、かつ、ワイヤの走行方向と交差する形状である。そのため、給電子11の継ぎ目にワイヤが入り込み難く、ワイヤの損傷や破損を低減可能にすることができるようになる。
本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
以上、本発明によれば、ワイヤ群に接触可能な給電子を構成する一部の給電子のみを取替え可能にし、交換する給電子のコストを低減可能にする仕組みを提供することができる。