JP2014000658A - ワイヤ放電加工装置、ワイヤ放電加工方法、加工物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 放電加工に必要な加工液の水量を確保し、被加工物を適切に放電加工すること。
【解決手段】 ワイヤと被加工物との間の放電により前記被加工物を加工する仕組みであって、前記被加工物と前記ワイヤとの間で放電加工されるために用いられる加工液が貯留される加工液槽と、前記加工液槽に加工液を噴射する第1の給水機構と、を備え、前記第1の給水機構は、前記ワイヤが走行する走行方向の逆側の加工液槽内に前記加工液を噴射することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 ワイヤと被加工物との間の放電により前記被加工物を加工する仕組みであって、前記被加工物と前記ワイヤとの間で放電加工されるために用いられる加工液が貯留される加工液槽と、前記加工液槽に加工液を噴射する第1の給水機構と、を備え、前記第1の給水機構は、前記ワイヤが走行する走行方向の逆側の加工液槽内に前記加工液を噴射することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
ワイヤ放電加工装置、ワイヤ放電加工方法、加工物に関する。
近年、半導体材料や太陽電池材料、硬質材料等の被加工材料を、放電加工により、短時間で同時に複数切り出す方法が開発されている。
たとえば、ワイヤ放電加工装置は、当該被加工材料を薄板状に切り出すために、給電子を介してワイヤに電圧を印加しながら走行させ、そのワイヤに当該被加工材料を近づけることで放電現象を発生させ、当該被加工材料を放電加工するものである。
特許文献1には、走行する複数本のワイヤで被加工物を放電加工することにより、薄片に切断することが記載されている。
しかしながら、従来、例えば、走行するワイヤの速度が速くなるにつれ、また、ワイヤ電極(以下、単にワイヤとも言う)の本数が多くなるにつれ、また、ワイヤ間隔が狭小するにつれて、加工液槽内の加工液が、走行するワイヤによって加工液槽の外に運び出されてしまい、加工液槽内にワイヤ放電加工に必要な加工液の水量を十分に確保することができない場合がある。
そのため、放電発生部である、被加工物とワイヤとの間に、放電加工に必要な加工液の量を十分に確保できない場合には、例えば、空中放電等が発生し、被加工物である被加工物やワイヤを破損してしまい、被加工物を適切に放電加工することができないおそれがあった。
本発明は、放電発生部に、放電加工に必要な加工液の量を確保し、被加工物を適切に放電加工するための仕組みを提供することを目的とする。
本発明は、ワイヤと被加工物との間の放電により前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置であって、前記被加工物と前記ワイヤとの間で放電加工されるために用いられる加工液が貯留される加工液槽と、前記加工液槽に加工液を噴射する第1の給水機構と、を備え、前記第1の給水機構は、前記ワイヤが走行する走行方向の逆側の加工液槽内に前記加工液を噴射することを特徴とする。
また、本発明は、ワイヤと被加工物との間の放電により前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置による放電加工方法であって、加工液槽が、前記被加工物と前記ワイヤとの間で放電加工されるために用いられる加工液が貯留し、第1の給水機構が、前記ワイヤが走行する走行方向の逆側の加工液槽内に前記加工液を噴射することを特徴とする。
また、本発明は、このワイヤ放電加工方法により、被加工物を放電加工されることにより加工された加工物を特徴とする。
本発明によれば、放電発生部に、放電加工に必要な加工液の量を確保し、被加工物を適切に放電加工することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明を好適な実施形態に従って詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るマルチワイヤ放電加工装置1を前方から見た外観図である。尚、図1に示す各機構の構成は一例であり、目的や用途に応じて様々な構成例があることは言うまでもない。
本発明の実施の形態に係るマルチワイヤ放電加工システムは、マルチワイヤ放電加工装置1、電源ユニット(電源装置)15、加工液供給装置18から構成されている。
マルチワイヤ放電加工システムは、放電により、並設された複数本のワイヤ7(ワイヤ電極)の間隔で被加工物(図1の例では、シリコンインゴット5)を薄片にスライスすることができる。
マルチワイヤ放電加工装置1は、電源ユニット15と電線(電圧印加線)を介して接続されており、電源ユニット15から供給される電力により作動する。
マルチワイヤ放電加工装置1は、不図示のサーボモータにより駆動されるワーク送り装置3が上下方向に移動することにより、ワーク送り装置3に接着剤(接着部4の接着剤)により接着されているワーク(ワークは、被加工物を示し、図1の例ではシリコンインゴット5である)を上下方向に移動することができる。
また、マルチワイヤ放電加工装置1は、本発明のワイヤ放電加工装置の適用例であり、ワイヤと被加工物との間で発生する放電により被加工物を加工する。
本発明の実施の形態では、シリコンインゴット5が下方向に移動することで、シリコンインゴット5とワイヤ7とが接近し、シリコンインゴット5とワイヤ7との間で放電が発生し、シリコンインゴット5の放電加工を行う。このとき、シリコンインゴット5とワイヤ7との間の空間(放電ギャップ(シリコンインゴット5とワイヤ7との間の隙間))には加工液が満たされており、この加工液が所定幅の電気抵抗値を有していることから、シリコンインゴット5とワイヤ7との間で放電が発生し、シリコンインゴット5の放電加工を行うことができる。
また、ワーク送り装置3をワイヤ7よりも下部へ設け、シリコンインゴット5を上方向へ移動させることにより、シリコンインゴット5とワイヤ7との間で放電加工を行わせるようにすることも可能である。
本実施の形態では、被加工物の一例としてシリコンインゴット5を用いて説明するが、SIC(炭化シリコン)などの、絶縁体ではない他の材料(導体又は半導体)を用いることもできる。
マルチワイヤ放電加工装置1は、図1に示すように、マルチワイヤ放電加工装置1の土台として機能するブロック19と、ブロック19の上部の装置内に設置されている、ブロック2と、ワーク送り装置3と、接着部4と、シリコンインゴット5と、加工液槽6と、メインローラ8と、ワイヤ7と、メインローラ9と、給電ユニット10と、給電子11と、囲い板12と、給水部13と、整流板14と、給水部20とを備えている。
15は、電源ユニット(電源装置)であり、2には、サーボモータを制御する放電サーボ制御回路が放電の状態に応じて効率よく放電を発生させるために放電ギャップを一定の隙間に保つように制御し、またワークの位置決めを行い、放電加工を進行させる。
18は、加工液供給装置であり、放電加工部の冷却、加工チップ(屑)の除去に必要な加工液をポンプによりシリコンインゴット5とワイヤ7へ送液すると共に、加工液中の加工チップの除去、イオン交換樹脂による比抵抗または電導度(1μS〜250μS)の管理、液温(20℃付近)の管理を行う。加工液には、主に水が使用されるが、放電加工油を用いることもできる。本実施の形態では、加工液の例として水を用いるが、放電加工油でもよい。
8,9はメインローラであり、メインローラには、所望する厚さで加工出来るようにあらかじめ決められたピッチ、数で溝が形成されており、ワイヤ供給ボビンからの張力制御されたワイヤが2つのメインローラに必要数巻きつけられ、巻き取りボビンへ送られる。ワイヤ速度は100m/minから900m/min程度が用いられる。
2つのメインローラが同じ方向でかつ同じ速度で連動して回転することにより、ワイヤ繰出し部から送られた1本のワイヤ7がメインローラ(2つ)の外周を周回し、並設されている複数本のワイヤ7を同一方向に走行させることができる。
ワイヤ7は、1本の繋がったワイヤであり、図示しないボビンから繰り出され、メインローラ8、9の外周面のガイド溝(図示しない)に嵌め込まれながら、当該メインローラの外側に多数回(最大で2000回程度)螺旋状に巻回された後、図示しないボビンに巻き取られる。
加工液槽6は、所定の範囲の比抵抗(電気伝導度)に管理されたイオン交換水を、並設されたワイヤ7(ワイヤ電極とも言う)とシリコンインゴット5とが近接する放電ギャップの位置(放電点)に加工液として供給している。
加工液槽6は、本発明の加工液槽の適用例であり、被加工物とワイヤとの間で放電加工されるために用いられる加工液が貯留される。
給水部13から噴射される冷却水の比抵抗は、イオン交換水(加工液)の比抵抗とほぼ等しく、冷却水の比抵抗も加工液と同様にイオン交換樹脂により管理されている。これは冷却水と加工液が混ざっても放電に影響をあたえないためである。
すなわち、給水部13から噴射される冷却水は、メインローラ8、9、ワイヤ7を冷却する加工液である。
また、給水部20から噴射される加工液、及び給水部13から噴射される加工液は、加工液槽6に貯留されている加工液と同一、又はほぼ同一の比抵抗を有する加工液である。
また、整流板14は、給水部13から噴射される加工液を、走行しているワイヤ7により、加工液槽6に流し込むための機構である。整流板14の構成については、後で詳しく説明する。
また、囲い板12は、加工液槽6、及びワイヤ7の上部に設けられており、加工液槽6内に流入する加工液の界面(液面)がワイヤ7よりも高い位置になるように、ワークの周りを囲っている、囲い板12を用いることで、加工液の水位がワイヤ7よりも高くすることが可能となる。
囲い板12は、本発明の流出抑制板の適用例であり、加工液槽よりも上部に設けられ、加工液槽内に貯留される加工液の当該加工液槽からの流出を抑制する。また、流出抑制板と加工液槽との間の隙間には、走行するワイヤが設けられている。
図3に示す囲い板12は、加工液槽6の縁上に設けられているが、加工液槽6の縁の直上ではなく、加工液槽6の内側、又は外側に設けるようにすることもできる。
また、図3に示す流出抑制板は、加工液槽6内の加工液を囲むように構成されているが、少なくとも、被加工物に対してワイヤの走行方向側に設けることで、加工液槽6内の加工液が、ワイヤが走行している方向に運び出され加工液槽6の外に運び出されるのを防ぎ、ワークとワイヤとの間の隙間(放電ギャップ)に、放電加工に必要な加工液の水量を確保することができるようになる。
流出抑制板は、被加工物に対してワイヤの走行方向側の加工液槽の縁よりも上部に設けられている。
次に、図2について、説明する。
図2は、図1に示す点線16枠内の拡大図である。
ブロック2は、ワーク送り装置3と接合されている。また、ワーク送り装置3は、シリコンインゴット5(ワーク)と接着部4により接着(接合)されている。
本実施例では、被加工材料(ワーク)として、シリコンインゴット5を例に説明する。
接着部4は、ワーク送り装置3と、シリコンインゴット5(ワーク)とを接着(接合)するためのものであれば何でもよく、例えば、導電性接着剤が用いられる。
ワーク送り装置3は、接着部4により接着(接合)されているシリコンインゴット5を上下方向に移動する機構を備えた装置であり、ワーク送り装置3が下方向に移動することにより、シリコンインゴット5をワイヤ7に近づけることが可能となる。
加工液槽6は、加工液を溜めるための容器である。加工液は、例えば、抵抗値が高い脱イオン水である。ワイヤ7と、シリコンインゴット5との間に、加工液が設けられることにより、ワイヤ7と、シリコンインゴット5との間で放電が発生し、シリコンインゴット5を削ることが可能となる。
また、図1でも説明したが、マルチワイヤ放電加工装置1は、加工液槽6の上部に囲い板12を備えている。
囲い板12は、放電発生部である、ワークとワイヤとの間(放電ギャップ)に、放電加工に必要な加工液の量を確保するために備えている。
囲い板12は、本発明の囲い板であり、加工液槽6の上部に設けられ、加工液槽6内に貯留される加工液の水位をワイヤ7よりも上位になるように貯留し、ワイヤが走行することによる、加工液槽内の加工液の加工漕外への流出量を減らすように機能する。
また、囲い板12と加工液槽6との間には、隙間があり、その隙間を走行するワイヤが設けられている。
囲い板12についての詳細は、図3、図4、図5を用いて、後で説明する。
また、マルチワイヤ放電加工装置1は、囲い板12内の上部の給水部20を備えている。
給水部20は、加工液槽6に貯留されている加工液と同一、又はほぼ同一の比抵抗を有する加工液を加工液槽内(囲い板12内)に向けて噴射する。具体的には、給水部20は、シリコンインゴット5と、走行するワイヤ7との間の隙間が加工液に満たされるように、加工液を、放電加工部に向けて噴射する。
このように、加工液槽6の上部に囲い板12が設けられ、更に、給水部20から加工液が加工液槽6内に噴射されるので、加工液槽6内に貯留される加工液の水位をワイヤ7よりも上位になるように貯留することができ、ワイヤが走行することによる、加工液槽内の加工液の加工漕外への流出量を減らすことができる。
そのため、放電発生部である、ワークとワイヤとの間(放電ギャップ)に、放電加工に必要な加工液の量を確保することが出来るようになり、放電加工を安定して行うことができ被加工物への欠陥の発生を防ぐことが可能となる。
給水部20は、本発明の第1の給水機構の適用例であり、加工液槽に加工液を噴射する。
そして、第1の給水機構は、ワイヤが走行する走行方向の逆側の加工液槽内に加工液を噴射する。
また、第1給水機構は、ワイヤが走行する走行方向の逆側の加工液槽よりも上部に設けられている。
また、マルチワイヤ放電加工装置1は、整流板14と給水部13を備えている。
給水部13は、加工液を、メインローラ9の上部でありメインローラ9に巻きつけられたワイヤの上部、及び/又はメインローラ9と加工液槽6との間のワイヤの上部に流すように、これらの上部に配置されている。
給水部13は、本発明の第2の給水機構の適用例であり、ガイドローラと前記加工液槽との間で走行するワイヤ、及び/又は前記ガイドローラに加工液を噴射する。
この第2の給水機構は、ワイヤの走行方向とは逆方向に設けられたガイドローラと加工液槽との間のワイヤ、及び/又は当該ガイドローラに加工液を噴射する。
また、第2の給水機構は、ワイヤの走行方向とは逆方向に設けられたガイドローラと加工液槽との間のワイヤ、及び/又は当該ガイドローラよりも上部に設けられている。
給水部13は、ワイヤに給電されている場合にワイヤ電極から発する熱から、メインローラ9を保護するために、メインローラ9の上部でかつ、メインローラ9に巻きつけられたワイヤの上部に、冷却水としての加工液を噴射する。
ここでは、ワークとワイヤとの間の隙間に、放電加工に必要な加工液の量を確保するために、この冷却水としての加工液を利用する。そのために、整流板14を設けて、メインローラ9を伝わってきた冷却用の加工液を加工液槽6に運ぶように構成している。これにより、ワイヤの静止状態からワイヤの走行状態まで放電加工に必要な加工液槽6内の加工液量の確保が可能となる。
例えば、給水部13からの加工液の噴射を行わず、ワイヤを走行した場合、囲い板12と加工液槽6との間の隙間を走行しているワイヤにより、空気が加工液槽6内に大量に入り込むと共に、囲い板12と加工液槽6との間の隙間から、加工液槽6内の加工液が漏れ出し加工液槽6内の水位が低下してしまうおそれがある。
このような課題を解消するために、マルチワイヤ放電加工装置1は、整流板14と給水部13を備えている。
メインローラ8、9(ガイドローラ)には、ワイヤ7を取り付けるための溝が複数列形成されており、その溝にワイヤ7が取り付けられている。そして、メインローラ8、9が右又は左回転することにより、ワイヤ7が走行する。
メインローラにワイヤ7が複数回巻きつけられており、メインローラに刻まれた溝に従い、所定ピッチでワイヤ7が整列している。
メインローラは中心に金属を使用し、外側は樹脂で覆う構造である。
給電子11は、機械的摩耗に強く、導電性があることが要求され超硬合金が使用されている。
メインローラの間の中央部の上部に、シリコンインゴット5が配置され、シリコンインゴット5はワーク送り装置3に取付けられており、ワーク送り装置3が上下方向に移動することにより、シリコンインゴット5が上下方向に移動し、シリコンインゴット5の加工を行う。
また、メインローラ間の中央部に加工液槽6を設け、ワイヤ7およびシリコンインゴット5を浸漬し、放電加工部の冷却、加工チップの除去を行う。
ワイヤ7は、図2に示すように、メインローラ8、9に取り付けられ、メインローラ8、9の上側、及び下側にワイヤ列を形成している。
また、ワイヤ7は、伝導体であり、電源ユニット15から電圧が供給された給電ユニット10の給電子11と、ワイヤ7とが接触することにより、当該供給された電圧が給電子11からワイヤ7に印加される。(給電子11がワイヤ7に電圧を印加している。)
そして、ワイヤ7と、シリコンインゴット5との間で放電が起き、シリコンインゴット5を削り(放電加工を行い)、薄板状のシリコン(シリコンウエハ)(加工物)を作成することが可能となる。
次に、図3を用いて、加工液槽6と、囲い板12と、ワイヤ7との構成について説明する。
図3は、マルチワイヤ放電加工装置1が備える、加工液槽6と、囲い板12と、ワイヤ7との構成を示す図である。
図3に示す通り、加工液槽6と囲い板12との間には隙間があり、その隙間にワイヤ7が走行する構成となっている。
加工液槽6内に供給される加工液は、この隙間から流れ出ることになるが、この隙間から流れ出る以上の流量の加工液が加工液槽6に供給される。
そのため、囲い板12内にも、放電加工に必要な加工液の水量が貯留されることとなる。
次に、図4を用いて、囲い板12内に放電加工に必要な加工液の量が貯留されることを説明する。
図4は、マルチワイヤ放電加工装置1が備える囲い板12内に放電加工に必要な加工液の水量が貯留されることを説明するための図である。
図4の(A)は、囲い板12を備えていない加工液槽6内に加工液が溜められ、ワイヤ7が走行していない状態を示す図である。
図4の(A)に示すように、ワイヤ7が走行していないため、加工液槽6内に供給される加工液により、ワイヤ7と、加工液槽6内の加工液とが接触している状態となる。
また、図4の(B)は、囲い板12を備えていない加工液槽6内に加工液が溜められ、ワイヤ7が走行している状態を示す図である。
図4の(B)に示すように、ワイヤ7が走行しているため、加工液槽6内の加工液が、ワイヤが走行している方向に運び出され、加工液槽6内の加工液が、ワイヤ7に一部接触していない状態となる。図4の(B)に示す加工液槽6内の矢印は、加工液槽6内の加工液の流れを示している。ワイヤが走行しているため、加工液槽6内の加工液が、図4の(B)に示す矢印のように流れてしまい、加工液槽6内の加工液が、ワイヤが走行している方向に運び出され、加工液槽6の外に出てしまう。そのため、加工液槽6内の加工液が、ワイヤ7に接触することさえできず、ワークとワイヤとの間(放電ギャップ)に、放電加工に必要な加工液の水量を確保することが難しくなってしまう。
そこで、本実施の形態では、図4の(C)、(D)に示すように、加工液槽6の上部に、囲い板12を備え、ワークとワイヤとの間(放電ギャップ)に、放電加工に必要な加工液の水量を確保するようにしている。
図4の(C)は、加工液槽6、及び囲い板12内に加工液が溜められ、ワイヤ7が走行していない状態を示す図である。
また、図4の(D)は、加工液槽6、及び囲い板12内に加工液が溜められ、ワイヤ7が走行している状態を示す図である。
図4の(D)に示すように、加工液槽6と囲い板12との間のワイヤ7が走行しているため、加工液槽6内の加工液が、ワイヤが走行している方向に運び出されるが、囲い板が、当該運び出される加工液が加工液槽6、及び囲い板12の外に運び出されるのを防いでいる。
そのため、ワークとワイヤとの間の隙間(放電ギャップ)に、放電加工に必要な加工液の水量を確保することができるようになる。
図4の(D)に示す加工液槽6内の矢印は、加工液槽6内の加工液の流れを示している。
また、ワイヤ速度の増加などにより加工液槽6内の水流が大きくなる場合には、囲い板の高さを上げる(調整する)ことで加工液槽6の外への水の運び出し(流出)を減らすことが可能である。
次に、図5を用いて、マルチワイヤ放電加工装置1が備える、給水部20、囲い板12、給水部13、整流板14の構成について説明する。
図5は、マルチワイヤ放電加工装置1が備える、給水部20、囲い板12、給水部13、整流板14の構成を説明するための図である。
図5を用いて、給水部13から噴射される冷却水としての加工液を、ワイヤ7の走行、及び整流板14により、加工液槽6、及び囲い板12に、流入させ、ワークとワイヤとの間の隙間に、放電加工に必要な加工液の水量を確保することについて説明する。
上述したように、図4の(B)では、ワイヤが走行すると、加工液槽6内の加工液が加工液槽6の外に出てしまい、ワイヤ7が、加工液に浸かっていない状態となる。
また、この課題を改善するために、囲い板12を備える構成としたが、囲い板12と、加工液槽6との間の隙間(ワイヤが走行するための隙間)から、空気が入ってきたり、加工液が漏れてしまい、ワイヤが走行する方向とは逆方向側の加工液槽6内のワイヤが、加工液に一部浸かっていない状態となるおそれもある。
そこで、更に、ワークとワイヤとの間に、放電加工に必要な加工液の水量を確保するための機構について、図5を用いて説明する。
給水部13は、図5に示すように、ワイヤからの発熱からメインローラ9を保護するために、冷却水としての加工液をメインローラ9に噴射する。また、メインローラ9と加工液槽6との間のワイヤ7の上に加工液を噴射することもできる。
給水部13から、走行するワイヤ7に加工液が噴射され、走行しているワイヤ7により、噴射された加工液が加工液槽6と囲い板12との間の隙間に流れていく。
その際に、ワイヤ7から落ちた加工液も、加工液槽6と囲い板12との間の隙間に流すために、図5に示すように、整流板14を、メインローラ9と加工液槽6、及び/又は囲い板12との間の走行中のワイヤ7の下に設ける。
このように、給水部13から、走行するワイヤ7/メインローラ9に加工液が噴射され、走行しているワイヤ7により、整流板14、及びワイヤ7にある加工水が加工液槽6と囲い板12との間の隙間に流れていく。
マルチワイヤ放電加工装置1が備える整流板14とワイヤ7の構成については、図6を用いて説明する。
図6は、マルチワイヤ放電加工装置1が備える、整流板14と、ワイヤ7の構成について説明する図である。
整流板14は、図6に示すように、ワイヤ7の下部に設けられ、整流板の底板(底面)と側板(側面)により、ワイヤ7から落ちた加工液が溜められ、走行しているワイヤ7の上下面で、ワイヤ7の走行により、噴射された加工液を、加工液槽6、及び/又は囲い板12に運ぶことができる。
整流板14は、本発明の整流板の適用例であり、ガイドローラと加工液槽との間のワイヤの下部に設けられた、第2の給水機構により噴射された加工液を加工液槽に送り出す。
そして、加工液槽6、及び/又は囲い板12に運ばれた加工液は、加工液槽6と囲い板12との間の隙間を通り、加工液槽6と囲い板12の中に入り、ワークとワイヤとの間に、放電加工に必要な加工液の水量を確保することが出来るようになる。
これにより、ワイヤの静止状態からワイヤの走行状態まで放電加工に必要な加工槽内の加工液量の確保が可能となる。
次に、図7を用いて、マルチワイヤ放電加工装置1が備える、加工液槽6に加工液が供給される加工液供給口701について説明する。
図7は、マルチワイヤ放電加工装置1が備える、加工液槽6に加工液が供給される加工液供給口701を説明するための図である。
図7に示すように、加工液槽6には、加工液槽6の下部の前面側の左右にそれぞれ加工液供給口701を設けている。
このそれぞれの加工液供給口701から、加工液槽6内に加工液が供給される。
加工液供給口701は、加工槽の底面など他の位置であってもよく、また設置数量も2か所に限定されるものではない。
また、加工液供給口701は、加工液供給装置18と導通しており、加工液供給装置18から、加工液が加工液供給口701に供給され、加工液供給口701から加工液槽6内に加工液が供給される。
以上、本発明によれば、放電加工に必要な加工液の水量を確保し、被加工物を適切に放電加工することができる。
また、本実施の形態で説明したワイヤ放電加工方法により、被加工物を放電加工されることにより加工された加工物も本発明の特徴である。
1 マルチワイヤ放電加工装置
2 ブロック2
3 ワーク送り装置
4 接着部
5 シリコンインゴット
6 加工液槽
7 ワイヤ
8 メインローラ
9 メインローラ
10 給電ユニット
11 給電子
12 囲い板
13 給水部
14 整流板
15 電源ユニット
18 加工液供給装置
19 ブロック
20 給水部
2 ブロック2
3 ワーク送り装置
4 接着部
5 シリコンインゴット
6 加工液槽
7 ワイヤ
8 メインローラ
9 メインローラ
10 給電ユニット
11 給電子
12 囲い板
13 給水部
14 整流板
15 電源ユニット
18 加工液供給装置
19 ブロック
20 給水部
Claims (9)
- ワイヤと被加工物との間の放電により前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置であって、
前記被加工物と前記ワイヤとの間で放電加工されるために用いられる加工液が貯留される加工液槽と、
前記加工液槽に加工液を噴射する第1の給水機構と、
を備え、
前記第1の給水機構は、前記ワイヤが走行する走行方向の逆側の加工液槽内に前記加工液を噴射することを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工装置。 - 前記第1給水機構は、前記ワイヤが走行する走行方向の逆側の加工液槽よりも上部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工装置。
- 前記加工液槽よりも上部に設けられ、加工液槽内に貯留される加工液の当該加工液槽からの流出を抑制する流出抑制板を更に備え、
前記流出抑制板と前記加工液槽との間には、走行するワイヤが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤ放電加工装置。 - 前記流出抑制板は、前記被加工物に対してワイヤの走行方向側の加工液槽の縁よりも上部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のワイヤ放電加工装置。
- 前記ワイヤを走行させるガイドローラと、
前記ガイドローラと前記加工液槽との間で走行するワイヤ、及び/又は前記ガイドローラに加工液を噴射する第2の給水機構と、
前記ガイドローラと前記加工液槽との間のワイヤの下部に設けられた、前記第2の給水機構により噴射された加工液を前記加工液槽に送り出す整流板と、
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のワイヤ放電加工装置。 - 前記第2の給水機構は、ワイヤの走行方向とは逆方向に設けられたガイドローラと前記加工液槽との間のワイヤ、及び/又は当該ガイドローラに前記加工液を噴射することを特徴とする請求項5に記載のワイヤ放電加工装置。
- 前記第2の給水機構は、ワイヤの走行方向とは逆方向に設けられたガイドローラと前記加工液槽との間のワイヤ、及び/又は当該ガイドローラよりも上部に設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載のワイヤ放電加工装置。
- ワイヤと被加工物との間の放電により前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置による放電加工方法であって、
加工液槽が、前記被加工物と前記ワイヤとの間で放電加工されるために用いられる加工液が貯留し、
第1の給水機構が、前記ワイヤが走行する走行方向の逆側の加工液槽内に前記加工液を噴射することを特徴とするワイヤ放電加工方法。 - 請求項8に記載のワイヤ放電加工方法により、被加工物を放電加工されることにより加工された加工物。
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JP2012138883A JP2014000658A (ja) | 2012-06-20 | 2012-06-20 | ワイヤ放電加工装置、ワイヤ放電加工方法、加工物 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017013156A (ja) * | 2015-06-30 | 2017-01-19 | キヤノンマーケティングジャパン株式会社 | ワイヤ放電加工装置 |
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