以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系は、X方向およびY方向が水平方向であり、Z方向が鉛直方向である。XYZの各方向において、適宜、矢印と同じ側を+側(例、+X側)と称し、その反対側を−側(例、−X側)と称す。
図1は、実施形態に係るレーザ加工システムを示す斜視図である。図2は、実施形態に係るレーザ加工システムを示す上面図である。レーザ加工システム1は、保管装置2、ローダ装置3、ステーション装置4、加工パレット5、レーザ加工機6、パレットチェンジャ7、リフト装置8、グリッパ装置9、及び制御装置10を備える。実施形態に係るワーク搬送システムTSは、レーザ加工機6に対してワークを搬送する。ワーク搬送システムTSは、保管装置2、ローダ装置3、ステーション装置4、加工パレット5、パレットチェンジャ7、リフト装置8、グリッパ装置9、及び制御装置10により構成される。すなわち、レーザ加工システム1は、レーザ加工機6およびワーク搬送システムTSを備える。
レーザ加工システム1には、保管エリアAR1および搬入出エリアAR2が設けられる。保管エリアAR1は、レーザ加工機6の+X側に配置される。保管エリアAR1には、加工前のワークW(素材ワーク)が保管される。搬入出エリアAR2は、レーザ加工機6と保管エリアAR1との間に、レーザ加工機6の+X側に隣接して配置される。搬入出エリアAR2には、加工前のワークWが保管エリアAR1から搬送される。加工前のワークWは、搬入出エリアAR2からレーザ加工機6へ搬入され、レーザ加工機6によってレーザ加工が施される。
レーザ加工後のワークWは、レーザ加工機6から搬入出エリアAR2へ搬出される。搬入出エリアAR2は、レーザ加工後のワークWのうち製品をアンロードするアンロードエリアを兼ねている。搬入出エリアAR2において、レーザ加工後のワークWは、製品と残材(スケルトン)とに分離される。製品は、保管エリアAR1へ搬出され、保管エリアAR1に集積された後、外部へ搬出される。
次に、レーザ加工システム1の各部について説明する。保管装置2は、保管エリアAR1に配置される。保管装置2は、複数の保管棚11、及びエレベータ12を備える。複数の保管棚11は、鉛直方向(Z方向)に配列されている。保管棚11は、複数の加工前のワークWが載置される素材パレットを保管する。エレベータ12は、素材パレットを保管棚11から取り出し、素材パレットを昇降させる。保管エリアAR1において、保管装置2に対して+Y側に隣接して仮置エリアAR3が設けられる。保管装置2は、複数の加工前のワークWが載置された素材パレット13を仮置エリアAR3に配置する。加工前のワークWは、ローダ装置3によって仮置エリアAR3から搬入出エリアAR2へ搬送される。
また、保管棚11は、製品が集積される製品パレットを保管する。エレベータ12は、上記の製品パレットを保管棚11から取り出し、製品パレットを昇降させる。製品パレットを仮置エリアAR3に配置する。レーザ加工により製造された製品は、ローダ装置3によって搬入出エリアAR2から仮置エリアAR3へ搬送される。レーザ加工機6と、レーザ加工機6から退避した加工パレット5と、仮置エリアAR3に配置された製品パレットとが一方向(X方向)またはほぼ一方向(X方向)に並んで配置される。製品は、仮置エリアAR3に配置された製品パレット上にローダ装置3によって集積される。保管装置2は、製品が集積された製品パレットを、仮置エリアAR3から保管棚11へ移載する。
ローダ装置3は、Yレール15と、Yレール15上を走行可能な走行台車16と、走行台車16に設けられる移載装置17とを備える。Yレール15は、加工パレット5の移動方向(X方向)に対する交差方向(Y方向)に延びている。走行台車16には、X方向に延びるXレール18が設けられ、移載装置17はXレール18に取り付けられる。移載装置17は、Xレール18に沿って移動可能なX移動体19と、X移動体19に設けられたZ移動体20と、Z移動体20の下端に設けられる吸着部21とを備える。Xレール18は、仮置エリアAR3の上方と搬入出エリアAR2の上方とにわたって設けられており、X移動体19は、仮置エリアAR3と搬入出エリアAR2との間で移動可能である。Z移動体20は、吸着部21を保持しながら、Z移動体20に対して上下方向(Z方向)に移動可能である。吸着部21は、走行台車16によりY方向に移動し、X移動体19によりX方向に移動し、Z移動体20によりZ方向に移動する。
図3は、実施形態に係るローダ装置の吸着部を示す図である。吸着部21は、真空あるいは減圧によって、加工前のワークWあるいは加工後の製品を吸着する。吸着部21の下面側(−Z側)には、複数の吸着パッド22が設けられる。吸着部21には、複数の吸着パッド22として、例えば、マルチパッドおよびシングルパッドが設けられるが、マルチパッドまたはシングルパッドの一方のみが設けられてもよい。また、吸着部21は、磁気などで吸着するものでもよい。
また、吸着部21は、吸着部21の下方をクリーニングするクリーニング部23を備える。クリーニング部23は、例えば、リフト装置8の上面側に付着したスラグ、スパッタなどの異物を除去し、リフト装置8の上面側をクリーニングする。クリーニング部23は、リフト装置8以外の部材をクリーニングしてもよく、加工パレット5の上面側(例、支持プレート32の上端部)などをクリーニングしてもよい。クリーニング部23は、ロール状のブラシであり、吸着部21の下面側に複数(図中では2つ)設けられている。クリーニング部23は、Y方向に並んで配置されている。クリーニング部23は、吸着部21とリフト装置8とが位置決めされた際に、リフト装置8の上面に対向する位置に設けられる。クリーニング部23は、吸着パッド22よりも下方に突出した位置と、吸着パッド22よりも上方に退避した位置とで昇降可能である。
図3(B)に示すように、吸着部21が吸着動作を行う際に、クリーニング部23は、吸着パッド22の下端よりも上方に退避した位置に配置される。また、図3(C)に示すように、吸着部21がクリーニング動作を行う際に、クリーニング部23は、吸着パッド22の下端よりも下方に突出した位置に配置される。吸着部21は、クリーニング部23が下方に突出した状態で水平方向に移動し、クリーニング部23がリフト装置8の上面側と接触して異物を除去する。なお、クリーニング部23は、リフト装置8に非接触で異物を除去してもよい。例えば、クリーニング部23は、エアーによって異物を吹き飛ばす装置でもよく、この場合、クリーニング部23が昇降しなくてもよい。
図1および図2の説明に戻り、ローダ装置3は、仮置エリアAR3において加工前のワークWを吸着部21によって吸着する。ローダ装置3は、ワークWを吸着して搬送し、加工パレット5上にワークWを載置可能である。ローダ装置3は、吸着部21が加工前のワークWを吸着した状態でX移動体19が−X側に移動し、加工前のワークWを搬入出エリアAR2に搬送する。搬入出エリアAR2には、ステーション装置4が配置されており、ローダ装置3は、搬入出エリアAR2において走行台車16がY方向に移動して、吸着部21に吸着されたワークWをステーション装置4の上方に配置する。そして、ローダ装置3は、Z移動体20が下方に移動して吸着部21に吸着されたワークWをステーション装置4上に載置する。
図4は、実施形態に係るステーション装置4を示す図である。ステーション装置4は、加工パレット5に載置される前のワークWがローダ装置3により載置され、このワークWを位置決めする。ステーション装置4は、レーザ加工機6の外側において加工パレット5の上方に配置される。また、ステーション装置4は、加工パレット5の上方から退避可能である
ステーション装置4は、Yレール25と、Yレール25に沿って移動可能な本体部26と、本体部26の上面に設けられた位置決め部材27とを備える。位置決め部材27は、ワークWの端部が当接することによりワークWを位置決めする。ローダ装置3は、加工前のワークWを位置決め部材27上に載置し、位置決め部材27を用いて加工前のワークWの位置決めを行う。
位置決め部材27は、ワークWの外周の位置を定めるエンドロケータである。位置決め部材27は、ワークWのY方向の端の位置を定める位置決めピン27a、及びワークWのX方向の端の位置を定める位置決めピン27bを備える。位置決めピン27aは、Y方向の所定の位置に、X方向と平行に並んで複数設けられる。位置決めピン27bは、X方向の所定の位置に1つ設けられる。ローダ装置3は、吸着部21に保持されたワークWの端面を位置決めピン27aに当てることで、ワークWの長辺がX方向と平行になるように、ワークWを位置決めする。また、ローダ装置3は、ワークWの端面を位置決めピン27bに当てることで、ワークWを位置決めする。そして、ローダ装置3は、吸着部21によるワークWの吸着を解除し、ワークWを本体部26上に載置する。そして、ローダ装置3は、本体部26上のワークWを吸着部21によって再度吸着し、吸着されたワークWを加工パレット5に移載する。また、本体部26の上面には、固定部29が設けられている。固定部29は、位置決め部材27によって位置決めされたワークWを本体部26に対して固定する。固定部29は、グリッパなどであり、位置決めされたワークWを把持して本体部26に固定し、把持を解除することで固定を解除する。
加工パレット5は、ワークWを載置してレーザ加工機6の内外に移動可能である。加工パレット5は、搬入出エリアAR2とレーザ加工機6との間でワークWを搬送する。加工パレット5は、レール28(図1参照)に沿って移動可能な車輪を備える。搬入出エリアAR2(図1参照)にはパレットチェンジャ7が配置され、レール28は、レーザ加工機6からパレットチェンジャ7まで延びている。パレットチェンジャ7は、レーザ加工機6(図1、図2参照)のロードポート(搬入口、搬出口)に対して+X側に隣接しており、レーザ加工機6に対して加工パレット5の受け渡しを行う。パレットチェンジャ7による加工パレット5の受渡動作については、後に図13(C)から図14(C)で説明する。
パレットチェンジャ7は、加工パレット5を牽引することによって、レール28に沿って加工パレット5を搬送する。例えば、加工パレット5には、ワイヤと接続されたフックが掛けられ、このワイヤが駆動部に巻き取られることで加工パレット5が牽引される。なお、加工パレット5を移動させる機構は適宜変更可能であり、例えば、加工パレット5が自走式でもよい。
ローダ装置3が位置決め部材27に対してワークWを位置決めする際に、ステーション装置4の本体部26は、パレットチェンジャ7の上方(例、直上)に配置される。位置決め部材27で位置決めされたワークWの位置は、加工パレット5に載置すべきワークWの位置の上方(例、直上)である。本体部26は、位置決めされたワークWを吸着部21が吸着した後に、Y方向に移動してパレットチェンジャ7の上方から退避する。これにより、吸着部21は、本体部26と衝突することなく、パレットチェンジャ7の直上から下降可能になる。ローダ装置3は、Z移動体20によって吸着部21を下降させ、パレットチェンジャ7に配置された加工パレット5にワークWを載置する。
図5は、実施形態に係る加工パレットを示す図である。加工パレット5(ワークW)は、Z方向から見た平面形状が概ね矩形である。加工パレット5(ワークW)において、移動方向(X方向)における長さは、移動方向の直交方向(Y方向)における長さよりも長い。加工パレット5は、ベースプレート31および複数の支持プレート32を備える。複数の支持プレート32は、それぞれ板状であり、ベースプレート31の上面に対してほぼ垂直に設けられる。複数の支持プレート32は、それぞれワークWの下面と平行な所定方向(例、Y方向)に延びており、X方向に所定の間隔で並んでいる。複数の支持プレート32は、それぞれ、鋸歯状に形成された上端部を有する。複数の支持プレート32は、ワークWの下面を複数の点(鋸歯の先端)で支持する。
レーザ加工機6は、加工パレット5に載置された加工前のワークWに対してレーザ光を照射して、ワークWにレーザ加工(切断加工)を施す。レーザ加工機6は、レーザヘッドと、ヘッド駆動部とを備える。レーザヘッドは、光ファイバなどの光伝送体を介してレーザ光源に接続され、下方にレーザ光を射出する。レーザ光源は、例えばファイバーレーザなどの固体レーザの光源であり、炭酸ガスレーザなどに比べて熱密度の高いレーザ光が得られる。そのため、ファイバーレーザを用いたレーザ加工機6は、高速で切断加工を行うことが可能である。レーザ加工によりワークWと加工パレット5の支持プレート32とが溶着することがあるが、支持プレート32がワークWを複数の点で支持するので、支持プレート32とワークWとの溶着部を減らすことができる。
図5(B)に示すように、ワークWは、レーザ加工によって、複数の製品Waと残材Wb(スケルトン、製品Waの周辺部分)とに切り分けられる。加工パレット5は、レーザ加工により切り分けられた製品Waおよび残材Wbを含むワークWを保持して移動可能である。
搬入出エリアAR2(図1参照)には、リフト装置8が設けられる。リフト装置8は、加工パレット5に載置された加工後のワークWを加工パレット5から持ち上げる。リフト装置8は、パレットチェンジャ7に配置された加工パレット5の直下に配置される。リフト装置8は、レーザ加工機6から退避した加工パレット5の下方の位置と、加工パレット5上のワークWを持ち上げる位置との間を昇降可能である。
図6は、本実施形態に係るリフト装置を示す図である。リフト装置8は、ベース35と、可動プレート36と、複数の腕部37とを備える。ベース35は、パレットチェンジャ7との相対位置が固定されており、パレットチェンジャ7に加工パレット5が配置された際に加工パレット5の直下に配置される。可動プレート36は、ベース35上に取り付けられており、ベース35を支持として鉛直方向に移動可能である。複数の腕部37は、それぞれ、可動プレート36の上面に配置されている。ここでは、複数の腕部37は、X方向とY方向とに2次元的に配列されている。
腕部37は、例えば板状であり、可動プレート36の上面から上方へ垂直に延びている。腕部37は、板状以外の形状でもよく、例えば柱状でもよい。腕部37は、加工パレット5において隣り合う2つの支持プレート32の間に挿入可能なように、寸法および配置が設定されている。腕部37の上面は、ワークWと対向可能であり、複数の腕部37で上面の位置(高さ)が揃っている。複数の腕部37の上面には、それぞれ、吸着部38が設けられる。
図6(B)には、吸着部38のうち1つの腕部37に設けられる部分を代表的に示した。吸着部38は、ワークWと対向する腕部37の上面37aに設けられる。吸着部38は、リフト装置8に支持されたワークWのうち少なくとも製品Waを吸着する。吸着部38は、複数の吸着パッド39を備え、複数の吸着パッド39は、腕部37の長さ方向(Y方向)に並んでいる。ここでは、複数の吸着パッド39は、所定の数の吸着パッド39ごとに一括して、腕部37に取り付けられている。腕部37の内部に気密性を有する流路40(空洞)が設けられ、吸着パッド39は、流路40を介した減圧により、ワークWを吸着する。流路40は、腕部37の長さ方向(Y方向)に延びており、減圧装置と接続される。なお、上述の吸着部38の構成は、一例であり、適宜変更することができる。
図7は、実施形態に係るリフト装置の動作を示す図である。図7(A)において、加工後のワークWを保持した加工パレット5は、リフト装置8の上方に配置されている。この状態において、可動プレート36がベース35を支持として上方へ移動する。図7(B)に示すように、可動プレート36は、腕部37の上端が支持プレート32の上端よりも上方となるまで移動し、ワークWが加工パレット5から複数の腕部37に受け渡される。
ステーション装置4は、加工パレット5の上方において加工後のワークWから残材Wbを保持して搬出するグリッパ装置9(残材搬出装置)を備える。グリッパ装置9(図4参照)は、図5(B)に示した製品Waおよび残材Wbを含むワークWから残材Wbを除去する。グリッパ装置9は、リフト装置8に持ち上げられた加工後のワークWから残材Wbを保持して搬出する。グリッパ装置9は、ローダ装置3と別に設けられ、ローダ装置3によって製品Waがピックアップされるよりも前に、残材Wbを除去する。
グリッパ装置9は、レーザ加工機6と、レーザ加工機6から退避した加工パレット5と、仮置エリアAR3とが並ぶ方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に移動可能である。この場合、システムレイアウトがX方向に長くなることを避けることができ、例えば、長尺の長方形よりも正方形に近いレイアウト内にシステムを収めることができる。グリッパ装置9は、ステーション装置4の本体部26に支持され、本体部26と一体的にY方向に移動する。グリッパ装置9は、複数の把持部41を備える。複数の把持部41は、本体部26に対して−Y側に配置され、X方向に並んでいる。なお、複数の把持部41は、本体部26に対して+Y側にも同様に配置される。複数の把持部41は昇降可能に設けられる。
グリッパ装置9が残材Wbの除去動作を行う際に、ステーション装置4の本体部26は、複数の把持部41がワークWの外周近傍の上方へ配置されるように、ワークWに対して位置決めされる。また、リフト装置8の吸着部38(図7(B)参照)は、ワークWのうち製品Waを吸着する。この状態で、複数の把持部41は、下降してワークWの残材Wbを把持した後、上昇してワークWから残材Wbを除去する(持ち上げる)。吸着部38が製品Waを吸着しているので、製品Waが残材Wbに引っかかって持ち上がること等が抑制される。
そして、ステーション装置4は、分離された残材Wbが複数の把持部41に把持された状態で、残材回収部42(図1参照)の上方まで−Y側に移動する。そして、複数の把持部41が残材Wbの把持を解除し、残材Wbが落下して残材回収部42に収容(載置)される。すなわち、残材回収部42は、グリッパ装置9が移動可能な範囲の下方に配置され、グリッパ装置9が搬出する残材を載置する。残材回収部42は、レーザ加工機6から退避した加工パレット5に対して、加工パレット5の移動方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に並んで配置される。
上述のように残材Wbが除去された後、リフト装置8の腕部37上には製品Waが残っている。図1に示したローダ装置3は、製品Waを吸着部21によって吸着(ピックアップ)し、保管エリアAR1の仮置エリアAR3へ搬送する。仮置エリアAR3には保管装置2によって製品パレットが配置されており、ローダ装置3は、1回または2回以上の移載処理によって、1枚のワークWに形成された製品Waを全て製品パレット上へ移載する。
ローダ装置3は、例えば、複数の製品Waを一括してピックアップする。ローダ装置3は、1枚のワークWに形成された複数の製品Waを仕分けしてピックアップしてもよい。ローダ装置3は、一部の製品Waをピックアップした後、リフト装置8に対して相対移動して他の製品Waをピックアップしてもよい。ローダ装置3は、例えば、ピックアップを行うごとに製品Waを製品パレット上へ移載する。ローダ装置3は、複数回のピックアップを行った後に製品Waを製品パレット上へ移載してもよい。ローダ装置3は、例えば、ピックアップした複数の製品Waを一括して製品パレット上へ移載する。ローダ装置3は、ピックアップした複数の製品Waを複数回に分けて移載してもよい。例えば、ローダ装置3は、一部の製品Waを移載した後、製品パレットに対して相対移動して他の製品Waを移載してもよい。1枚のワークWに2種類以上の製品が形成される場合、ローダ装置3は、製品を種類ごとに仕分けし、製品の種類ごとに製品パレットへ移載してもよい。
本実施形態において、搬入出エリアAR2にはシャッタ装置が設けられる。図8は、実施形態に係るシャッタ装置を示す図である。シャッタ装置45は、加工パレット5と、加工パレット5の下方に位置するリフト装置8との間を開閉可能である。シャッタ装置45は、スラグあるいはスパッタなどの異物がリフト装置8の上面側に付着することを抑制する。シャッタ装置45は、加工パレット5上の加工後のワークWの下方に配置されたリフト装置8の上方を覆うように閉じた状態となる。シャッタ装置45は、ロールとして巻かれるシート状のシャッタ部材46と、シャッタ部材46の開閉部47と、異物分離部48とを備える。シャッタ部材46は、布などの変形自在なシート状(帯状)の部材にリブを取り付けた構造である。リブは、例えばアルミニウム製の棒状の部材である、リブは、Y方向に延びており、X方向に周期的に設けられる。
シャッタ部材46は、パレットチェンジャ7に配置された加工パレット5と、リフト装置8との間の空間SPに対して挿入および退避が可能である。図8(A)において、シャッタ部材46は、空間SPに挿入されており、リフト装置8を覆うように配置されている。開閉部47は、図8(B)に示すようにシャッタ部材46を巻き取ることによって、シャッタ部材46を空間SPから退避させる。また、開閉部47は、シャッタ部材46を繰り出すことによって、シャッタ部材46を空間SPに挿入する。シャッタ部材46が空間SPに挿入した状態において、シャッタ部材46の上方から落下した異物はシャッタ部材46に付着する。異物分離部48は、リフト装置8から側方に離れて配置され、シャッタ部材46に付着した異物の分離を促進する。異物分離部48は、シャッタ部材48に接触し、空間SPに挿脱される際のシャッタ部材48と相対移動して、シャッタ部材48の表面から異物を掻きとる。
開閉部47は、チェーン51、スプロケット52、及びロール53を備える。スプロケット52は、パレットチェンジャ7の+X側の端部と、−X側の端部とに設けられており、チェーン51は、これらスプロケット52に掛け渡されている。チェーン51は、スプロケット52が回転することによってトラック状の軌道を周回する。シャッタ部材46は、−X側の端部がチェーン51と固定されており、チェーン51の周回によってX方向に移動する。シャッタ部材46による開閉方向(X方向)は、加工パレット5の移動方向と同一またはほぼ同一である。
ロール53は、シャッタ部材46を空間SPから退避する際に、シャッタ部材46を巻き取る。また、シャッタ装置45は、シャッタ部材46がロール53として巻き取られることにより、加工パレット5とリフト装置8との間を開く。また、ロール53は、シャッタ部材46を空間SPに挿入する際に、シャッタ部材46を繰り出す。シャッタ装置45は、シャッタ部材46がロール53から引き出されることにより、加工パレット5とリフト装置8との間に配置されて両者間を閉じる。なお、シャッタ装置45は、図8の構成に限定されず、適宜変更可能である。
図9から図11は、実施形態に係るシャッタ装置の動作を示す図である。図9(A)において、パレットチェンジャ7には、加工前のワークW1を保持した加工パレット5Aが配置されており、加工後のワークW2を保持した加工パレット5Bがレーザ加工機6から搬入される。加工パレット5Bがパレットチェンジャ7に搬入される際に、シャッタ部材46は、リフト装置8を覆うように配置されている。加工後のワークW2にはスラグあるいはスパッタなどの異物Qが付着している場合があり、この異物QはワークW2から落下する。図9(B)に示すように、異物Qは、シャッタ部材46の上面に付着することで、シャッタ部材46の下方に落下することが抑制される。したがって、リフト装置8に異物Qが付着することが抑制される。加工パレット5Bがパレットチェンジャ7に搬入された後、加工前のワークW1を保持した加工パレット5Aは、レーザ加工機6に搬入される。
加工パレット5Aがレーザ加工機6に搬入された後、図10(A)に示すように、シャッタ装置45の開閉部47は、シャッタ部材46を加工パレット5Bとリフト装置8との間の空間SPから退避させる。シャッタ装置45は、シャッタ部材46上の異物Qを回収する異物回収部54を備える。異物回収部54は、異物分離部48の下方に配置される。ロール53がシャッタ部材46を巻き取る際に、異物Qは、シャッタ部材46から脱離して異物回収部54に収容される。図10(B)に示すように、シャッタ部材46が空間SPから退避すると、リフト装置8の上方が開放され、リフト装置8は、腕部37を上昇させることが可能になる。図11(A)に示すように、リフト装置8は、シャッタ部材46が空間SPから退避した状態において、腕部37を上昇させて加工後のワークW2を加工パレット5Bから持ち上げる。
ところで、シャッタ部材46が空間SPから退避した状態において、例えば加工パレット5BあるいはワークW2に残留した異物がリフト装置8に落下する可能性がある。そこで、図11(B)に示すように、ローダ装置3は、リフト装置8の上面側の吸着部38などをクリーニングする。ローダ装置3は、加工パレット5BからワークW2(残材Wbおよび製品Wa)がアンロードされた状態において、クリーニング部23を下方に突出させ、X方向に移動する。これにより、リフト装置8の上面側の吸着部38等がクリーニング部23によってクリーニングされる。
図1に示した制御装置10は、ワーク搬送システムTSを包括的に制御する。制御装置10は、ステーション装置4を制御し、搬入出エリアAR2における加工パレット5上にステーション装置4を配置させる。制御装置10は、ローダ装置3を制御し、加工パレット5上に配置されたステーション装置4上でワークWを位置決めさせる。制御装置10は、ステーション装置4を制御し、ステーション装置4上でワークWが位置決めされた後に、加工パレット5上からステーション装置4を退避させる。
ここで、加工パレット5にワークWが載置される位置(パレットチェンジャ7の位置)をワークロード位置と称する。また、ワークロード位置に配置された加工パレット5の上方をローダ装置3の吸着部21が下降可能なようにステーション装置4が退避した位置を退避位置と称する。制御装置10は、ステーション装置4を制御し、ステーション装置4上でワークWが位置決めされた後に、ステーション装置4を加工パレット5上から上記の退避位置へ移動させる。
制御装置10は、位置決めされたワークWを吸着したローダ装置3を制御し、加工パレット5上からステーション装置4が退避した後に、ローダ装置3によってワークWを加工パレット5に載置させる。制御装置10は、ステーション装置4を制御し、位置決めされたワークWが載置された加工パレット5がレーザ加工機6に搬入された後に、ステーション装置4を上記のワークロード位置の上方へ移動させる。すなわち、制御装置10は、加工パレット5がレーザ加工機6に搬入された後に、ステーション装置4を、ワークWを位置決めする位置へ移動させる。制御装置10は、ローダ装置3を制御し、ワークWがレーザ加工機6へ搬入されてからレーザ加工機6から搬出されるまでの間に、次の加工対象のワークWの位置決めをステーション装置4上で実行させる。
次に、上述のレーザ加工システム1の動作に基づき、実施形態に係るレーザ加工方法について説明する。図12から図20は、実施形態に係るレーザ加工システムの動作を示す図である。レーザ加工システム1の各部については、適宜、図1から図11を参照する。
図12(A)において、レーザ加工機6には、加工パレット5Aが配置されている。また、保管エリアAR1のパレットチェンジャ7には加工パレット5Bが配置されている。保管装置2(図1参照)は、加工前のワークWが載置された素材パレット13を仮置エリアAR3に配置する。図12(B)において、ローダ装置3は、吸着部21を下降させ、仮置エリアAR3のワークWを吸着する。図12(C)において、ローダ装置3は、吸着部21を搬入出エリアAR2に移動させ、ワークWをステーション装置4の本体部26上に配置する。ローダ装置3は、ワークWの端面(外周)が位置決め部材27(エンドロケータ)の所定の位置と接触するように吸着部21を水平方向に移動させ、ワークWを位置決めする。
図13(A)において、ローダ装置3は、位置決めされたワークWに対する吸着部21の吸着を解除し、ワークWを本体部26上に載置する。ワークWが回転した姿勢で吸着部21に吸着されていた場合、ワークWが位置決めされることで吸着部21の吸着パッド22(図3参照)が変形するが、吸着が解除された際にこの変形が解消される。図13(B)において、ローダ装置3は、位置決めされたワークWを吸着部21によって再度吸着する。図13(B)において、レーザ加工機6内の加工パレット5Bは、搬入出エリアAR2の加工パレット5Aの下方に搬出される。また、ローダ装置3は、加工パレット5Aの直上にワークWを保持しており、ステーション装置4は、加工パレット5Bの上方からY方向(図4参照)に退避する。これにより、ローダ装置3の吸着部21は、加工パレット5Bの直上から下降することが可能になる。
図14(A)において、ローダ装置3の吸着部21は、下降して加工パレット5B上にワークWを配置し、吸着を解除する。これにより、ワークWは、加工パレット5Bに対してワークWが位置決めされて、加工パレット5Bに載置される。ローダ装置3の吸着部21は、図14(B)において上昇し、図14(C)において保管エリアAR1に配置されている次のワークWを吸着する。また、加工前のワークWを保持した加工パレット5Bは、レーザ加工機6に搬入される。
図15(A)において、レーザ加工機6は、加工パレット5B上のワークWに対してレーザ加工を施す。これにより、ワークWは、製品Waと残材Wbとに切り分けられる。また、パレットチェンジャ7は、加工パレット5Aを上昇させる。また、ローダ装置3は、次のワークWを位置決めし、ステーション装置4の本体部26上に移載する。ローダ装置3による位置決め処理は、図12(C)から図13(B)と同様である。図15(B)において、ステーション装置4は、加工パレット5Aの直上から退避する。また、加工後のワークWを保持した加工パレット5Bは、レーザ加工機6から搬入出エリアAR2のパレットチェンジャ7へ搬出され、加工パレット5Aの下方に配置される。図15(C)において、ローダ装置3の吸着部21は、加工前のワークWを加工パレット5A上に載置する。
ローダ装置3の吸着部21は、図16(A)において上昇し、図16(B)において保管エリアAR1に配置されている次のワークWを吸着する。また、加工前のワークWを保持した加工パレット5Aは、レーザ加工機6に搬入される。図16(C)において、レーザ加工機6は、加工パレット5A上のワークWに対してレーザ加工を施す。また、パレットチェンジャ7は、加工後のワークWを保持した加工パレット5Bを上昇させる。また、ローダ装置3は、次のワークWを位置決めし、ステーション装置4の本体部26上に移載する。
図17(A)において、シャッタ装置45は、シャッタ部材46をリフト装置8と加工パレット5Bとの間の空間SPから退避させる。図17(B)において、リフト装置8は、腕部37を上昇させ、加工パレット5Bから加工後のワークWを持ち上げる。図17(C)において、グリッパ装置9の把持部41は、下降して加工後のワークWにおける残材Wbを把持する。
図18(A)において、リフト装置8の吸着部38(図7(B)参照)は、ワークWのうち製品Waを吸着しており、この状態で、グリッパ装置9の把持部41は、上昇して残材Wbを製品Waから分離する。把持部41が残材Wbを持ち上げた際に、ワークW上をレーザスキャンすることで、製品Waと残材Wbとの分離が確認される。加工パレット5B上には、加工後のワークWのうち製品Waが選択的に残る。図18(B)において、グリッパ装置9は、ステーション装置4と一体的に−Y側に移動して、残材回収部42(図1参照)の上方に配置される。また、グリッパ装置9は、残材Wbの把持を解除し、残材Wbが残材回収部42に収容される。また、保管エリアAR1において、保管装置2(図1参照)は、仮置エリアAR3に製品パレット55を配置する。図18(C)において、ローダ装置3の吸着部21は、下降して製品Waを吸着する。
図19(A)において、ローダ装置3は、吸着部21によって吸着した製品Waを、保管エリアAR1における製品パレット55上に搬送(移載)する。ローダ装置3は、リフト装置8上の製品をすべて移載した後、図19(B)において、クリーニング部23を下方に突出させた状態で吸着部21をリフト装置8上に移動させる。図19(C)において、ローダ装置3は、吸着部21を水平方向に移動させ、クリーニング部23によってリフト装置8上をクリーニングする。
ローダ装置3は、クリーニング部23によるクリーニング処理が終了した後、図20(A)に示すように、吸着部21を上方に退避させる。また、リフト装置8は、腕部37を下降させ、腕部37を加工パレット5Aから退避させる。図20(B)において、パレットチェンジャ7は、加工パレット5Aを上昇させる。また、シャッタ装置45は、加工パレット5Aとリフト装置8との間の空間SPにシャッタ部材46を挿入する。これにより、レーザ加工システム1は、図15(A)と同等の状態になり、図15(A)以降の処理を繰り返し行う。
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。