以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
なお、特に説明しない限り、本願における「周方向」とは、シャフトの周方向を意味する。特に説明しない限り、本願における「軸方向」とは、シャフトの軸方向を意味する。特に説明しない限り、本願における「軸垂直方向」とは、シャフトの軸方向に対して直角に交わる方向を意味する。特に説明しない限り、本願における断面とは、シャフトの軸線に対して垂直な平面に沿った断面を意味する。特に説明しない限り、シャフトの軸方向におけるグリップ側が上側とされ、シャフトの軸方向におけるソール側が下側とされる。
図1は、本発明の第1実施形態であるゴルフクラブ100を示す。図1は、ゴルフクラブ100のヘッド近傍のみを示している。図2は、ゴルフクラブ100をソール側から見た斜視図である。図3は、ゴルフクラブ100の分解斜視図である。
ゴルフクラブ100は、ヘッド200、シャフト300、スリーブ400、スペーサー500及びグリップ(図示されず)を有する。スリーブ400とスペーサー500とで、逆テーパー係合部RTが構成されている。逆テーパー係合部RTは、シャフト300の先端部に配置されている。逆テーパー係合部RTの外面は、スペーサー500によって形成されている。
ヘッド200のタイプは限定されない。本実施形態のヘッド200は、ウッド型ヘッドである。ヘッド200は、ハイブリッド型ヘッド、アイアン型ヘッド、パターヘッド等であってもよい。ウッド型ヘッドは、ドライバーヘッドでもよいし、フェアウェイウッドのヘッドでもよい。
シャフト300は限定されず、例えば、カーボンシャフト及びスチールシャフトが用いられうる。
図示されていないが、シャフト300はテーパー形状を有する。グリップ側にいくにつれて、シャフト300の直径は大きくなっている。スリーブ400は、シャフト300の先端部に固定されている。シャフト300の先端部は、シャフト300において最も細い部分である。
ゴルフクラブ100において、使用されているスペーサー500の数は、1個である。ただし、交換用スペーサー530,560が用意されている。
本願では、シャフトがヘッドに取り付けられている状態において、使用されているスペーサーの数が、N1とされる。ゴルフクラブ100では、N1が1である。N1は、2であってもよい。N1は、3以上であってもよい。逆テーパー係合部RTの軽量化の観点からは、N1は1又は2が好ましく、1がより好ましい。
図3が示すように、ゴルフクラブ100に係るゴルフクラブキット100kは、スペーサー500に加えて、交換用のスペーサー530、560を有する。少なくとも1つの交換用のスペーサーとゴルフクラブ100とで、ゴルフクラブキット100kが構成されている。ゴルフクラブキット100kは、複数(3つ)のスペーサー500,530,560を有する。2つの交換用スペーサーを含む3つのスペーサーが、それぞれ、第1のスペーサー500、第2のスペーサー530及び第3のスペーサー560とも称される。
本願では、ゴルフクラブキット100kにおけるスペーサーの総数がN2とされる。ゴルフクラブキット100kでは、N2は3である。クラブ長さの多様性の観点から、N2は、2以上が好ましく、3以上がより好ましい。長さ調整の刻み幅が小さすぎると、長さ調整の意義が減退する。また、強度の観点から、スペーサーの長さが過大となるのは好ましくない。これらの点を考慮すると、N2は、6以下が好ましく、5以下がより好ましく、4以下がより好ましい。
本願では、交換用スペーサーの数がN3とされる。ゴルフクラブキット100kでは、N3は2である。クラブ長さの多様性の観点から、N3は、1以上が好ましく、2以上がより好ましい。長さ調整の刻み幅が小さすぎると、長さ調整の意義が減退する。また、強度の観点から、スペーサーの長さが過大となるのは好ましくない。これらの点を考慮すると、N3は、5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下がより好ましい。N3=N2−N1である。
ゴルフクラブ100では、クラブ長さの調整が可能である。ゴルフクラブ100では、クラブ長さが3段階に調整されうる。クラブ長さの調整がM段階とされる。N2が過大となることを防止する観点から、Mは、6以下が好ましく、5以下がより好ましく、4以下が更に好ましい。調整性の観点から、Mは2以上が好ましく、3以上がより好ましい。N1が1であるとき、MはN2と同じであるのが好ましい。
ヘッド200は、ホーゼル部202を有している。図3が示すように、ホーゼル部202は、ホーゼル孔204を有する。このホーゼル孔204は、逆テーパー孔205を有している。この逆テーパー孔205の形状は、逆テーパー係合部RTの外面の形状に対応している。換言すれば、この逆テーパー孔205の形状は、スペーサー500の外面の形状に対応している。係合状態において、逆テーパー係合部RTの外面(スペーサー500の外面)は、逆テーパー孔205に面接触している。逆テーパー係合部RTの外面は複数(4つ)の平面を有するが、これらの平面の全てが、逆テーパー孔205(ホーゼル孔204)に面接触している。
図2及び図3が示すように、ホーゼル部202は、ホーゼルスリット206を有する。ホーゼルスリット206は、ホーゼル部202の側方に設けられている。ホーゼルスリット206は、ホーゼル孔204の内部とヘッドの外部とを連通する開口である。ホーゼルスリット206は、軸方向上側に開放されており、且つ、軸方向下側にも開放されている。ホーゼルスリット206は、ホーゼル部202のヒール側に設けられている。ホーゼルスリット206により、逆テーパー孔205の一部が欠落している。
図3には、ホーゼルスリット206の幅Wsが示されている。幅Wsは、シャフト300の最も細い部分の直径よりも大きい。このため、ホーゼルスリット206は、シャフト300を通過させうる。ホーゼルスリット206は、軸直角方向に移動するシャフト300を通過させうる。軸直角方向とは、シャフト300の軸線に対して直角の方向である。
ホーゼルスリット206により、逆テーパー孔205(ホーゼル孔204)の周方向における一部が欠落している。逆テーパー係合部RTの保持性を高める観点から、幅Wsは小さいほうが好ましい。例えば、幅Wsは、シャフト300の露出部の最も細い部分(例えば、逆テーパー係合部RTに隣接した部分)よりも大きければよい。露出部とは、スリーブ及びグリップが取り付けられておらず、外部に露出している部分を意味する。言うまでも無いが、幅Wsは、逆テーパー係合部RTが通過できないように設定される。逆テーパー係合部RTは、ホーゼルスリット206を通過できない。
通常のヘッドと同様に、ヘッド200は、クラウン208、ソール210及びフェース212を有している(図1から3を参照)。
図3が示すように、スリーブ400は、内面402と外面404と上端面406とを有する。内面402は、シャフト孔を形成している。内面402の断面形状は、円形である。内面402の形状は、シャフト300の外面に対応している。内面402は、シャフト300の先端部に固定されている。すなわち、スリーブ400は、シャフト300の先端部に固定されている。この固定には、接着剤が用いられている。なお、スリーブが、シャフトに対して着脱可能であってもよい。例えば、スリーブのシャフト孔が雌ねじとされ、シャフトの先端部がこの雌ねじに結合しうる雄ねじであってもよい。
外面404は、角錐面である。外面404は、四角錐面である。外面404の断面形状は、非円形である。外面404の断面形状は、多角形(正多角形)である。外面404の断面形状は、四角形である。外面404の断面形状は、正方形である。外面404の断面線により構成される図形の面積は、下方(ソール側)に近づくほど大きい。即ち、スリーブ400は逆テーパー形状である。
図3が示すように、スペーサー500(第1のスペーサー500)は、内面502と外面504とを有する。内面502は、スリーブ孔を形成している。内面502の断面形状は、スリーブ400の外面404に対応している。内面502に、スリーブ400の外面404がはめ込まれる。換言すれば、スペーサー500の内側にスリーブ400がはめ込まれる。スペーサー500は、スリーブ400に接着されていない。スペーサー500は、スリーブ400に接触しているだけである。
内面502の形状は、スリーブ400の外面404に対応している。内面502は、角錐面である。内面502は、四角錐面である。内面502の断面形状は、非円形である。内面502の断面形状は、多角形(正多角形)である。内面502の断面形状は、四角形である。内面502の断面形状は、正方形である。内面502の断面線により構成される図形の面積は、下方(ソール側)に近づくほど大きい。
外面504(逆テーパー係合部RTの外面)の形状は、逆テーパー孔205の形状に対応している。外面504は、角錐面である。外面504は、四角錐面である。外面504の断面形状は、非円形である。外面504の断面形状は、多角形(正多角形)である。外面504の断面形状は、四角形である。外面504の断面形状は、正方形である。外面504の断面線により構成される図形の面積は、下方(ソール側)に近づくほど大きい。即ち、スペーサー500は、逆テーパー形状である。スリーブ400とスペーサー500とで、逆テーパー係合部RTが構成されている。
第2のスペーサー530は、第1のスペーサー500と交換されて用いられうる。長さL及び肉厚Tを除き、第2のスペーサー530は、第1のスペーサー500と同じである。第2のスペーサー530は、内面532と外面534とを有する。内面532は、スリーブ孔を形成している。内面532の断面形状は、スリーブ400の外面404に対応している。内面532に、スリーブ400の外面404がはめ込まれる。換言すれば、スペーサー530の内側にスリーブ400がはめ込まれる。スペーサー530は、スリーブ400に接着されない。スペーサー530は、スリーブ400に接触しているだけである。
内面532の形状は、スリーブ400の外面404に対応している。内面532は、角錐面である。内面532は、四角錐面である。内面532の断面形状は、非円形である。内面532の断面形状は、多角形(正多角形)である。内面532の断面形状は、四角形である。内面532の断面形状は、正方形である。内面532の断面線により構成される図形の面積は、下方(ソール側)に近づくほど大きい。
外面534(逆テーパー係合部RTの外面)の形状は、逆テーパー孔205の形状に対応している。外面534は、角錐面である。外面534は、四角錐面である。外面534の断面形状は、非円形である。外面534の断面形状は、多角形(正多角形)である。外面534の断面形状は、四角形である。外面534の断面形状は、正方形である。外面534の断面線により構成される図形の面積は、下方(ソール側)に近づくほど大きい。即ち、スペーサー530は、逆テーパー形状である。スリーブ400とスペーサー530とで、逆テーパー係合部RTが構成される。
第3のスペーサー560は、第1のスペーサー500と交換されて用いられうる。長さL及び肉厚Tを除き、第3のスペーサー560は、第1のスペーサー500と同じである。長さL及び肉厚Tを除き、第3のスペーサー560は、第2のスペーサー530と同じである。第3のスペーサー560は、内面562と外面564とを有する。内面562は、スリーブ孔を形成している。内面562の断面形状は、スリーブ400の外面404に対応している。内面562に、スリーブ400の外面404がはめ込まれる。換言すれば、スペーサー560の内側にスリーブ400がはめ込まれる。スペーサー560は、スリーブ400に接着されない。スペーサー560は、スリーブ400に接触しているだけである。
内面562の形状は、スリーブ400の外面404に対応している。内面562は、角錐面である。内面562は、四角錐面である。内面562の断面形状は、非円形である。内面562の断面形状は、多角形(正多角形)である。内面562の断面形状は、四角形である。内面562の断面形状は、正方形である。内面562の断面線により構成される図形の面積は、下方(ソール側)に近づくほど大きい。
外面564(逆テーパー係合部RTの外面)の形状は、逆テーパー孔205の形状に対応している。外面564は、角錐面である。外面564は、四角錐面である。外面564の断面形状は、非円形である。外面564の断面形状は、多角形(正多角形)である。外面564の断面形状は、四角形である。外面564の断面形状は、正方形である。外面564の断面線により構成される図形の面積は、下方(ソール側)に近づくほど大きい。即ち、スペーサー560は、逆テーパー形状である。スリーブ400とスペーサー560とで、逆テーパー係合部RTが構成される。
図4は、ゴルフクラブ100のシャフト300がヘッド200に装着される工程を示す。
この装着工程では、先ず、シャフトアッセンブリ700が用意される(図4の(a);第1ステップ)。シャフトアッセンブリ700は、シャフト300と、スリーブ400と、スペーサー500とを有する。スペーサー500にシャフト300が挿通された後に、スリーブ400がシャフト300の先端部に固定されて、シャフトアッセンブリ700が得られる。シャフトアッセンブリ700において、スリーブ400はシャフト300に固定されているが、スペーサー500はシャフト300に固定されていない。スペーサー500は、シャフト300が挿通された状態で、軸方向に移動しうる(図4の(a)を参照)。ただし、スリーブ400の存在により、スペーサー500がシャフト300から脱落することはない。
なお、後述の通り、スペーサー500は、スリーブ400がシャフト300に固定された後であっても、シャフト300に装着されうるのが好ましい。
次に、このシャフトアッセンブリ700において、スペーサー500がスリーブ400の外面に当接するまで移動される(図4の(b);第2ステップ)。即ち、スペーサー500は、シャフトアッセンブリ700の最も先端側に移動される。この移動により、スリーブ400にスペーサー500が係合し、逆テーパー係合部RTが完成する。
次に、シャフト300にホーゼルスリット206を通過させ、シャフト300を逆テーパー孔205の内側に移動させる(図4の(c);第3ステップ)。このシャフト300の移動の結果、逆テーパー係合部RTは、ヘッド200のソール210側に移動する。
最後に、シャフト300(シャフトアッセンブリ700)を軸方向に沿ってグリップ側に移動させ、逆テーパー係合部RTを逆テーパー孔205にはめ込む(図4の(d);第4ステップ)。このはめ込みにより、ヘッド200に対するシャフト300の装着が達成される。換言すれば、このはめ込みにより、係合状態が達成される。係合状態とは、ゴルフクラブ100が使用可能な状態である。係合状態では、全ての逆テーパー嵌合が達成されている。全ての逆テーパー係合とは、スリーブ400とスペーサー500との間の逆テーパー係合、及び、スペーサー500と逆テーパー孔205との間の逆テーパー係合である。
このように、シャフト300(シャフトアッセンブリ700)をヘッド200に取り付けるのは容易である。加えて、上述した第2から第4ステップと逆の手順により、シャフト300(シャフトアッセンブリ700)をヘッド200から取り外すのも容易である。ゴルフクラブ100では、シャフト300がヘッド200に取り外し可能に取り付けられている。
図5(a)から(c)は、軸方向に沿ったゴルフクラブ100の断面図である。以下では、複数のスペーサー500、530,560のうちのスペーサー500が用いられた場合が、ゴルフクラブ100aとされる。ゴルフクラブ100aは、クラブ長さが最小の状態である。ゴルフクラブ100aでは、逆テーパー係合部RTは、スリーブ400とスペーサー500とにより構成されている。複数のスペーサー500、530,560のうちのスペーサー530が用いられた場合が、ゴルフクラブ100bとされる。ゴルフクラブ100bは、クラブ長さが中間の状態である。ゴルフクラブ100bでは、逆テーパー係合部RTは、スリーブ400とスペーサー530とにより構成されている。複数のスペーサー500、530,560のうちのスペーサー560が用いられた場合が、ゴルフクラブ100cとされる。ゴルフクラブ100cは、クラブ長さが最大の状態である。ゴルフクラブ100cでは、逆テーパー係合部RTは、スリーブ400とスペーサー560とにより構成されている。
図5(a)は、軸方向に沿ったゴルフクラブ100aの断面図である。図1及び図2で示されているゴルフクラブ100は、ゴルフクラブ100aである。図5(b)は、軸方向に沿ったゴルフクラブ100bの断面図である。図5(c)は、軸方向に沿ったゴルフクラブ100cの断面図である。
図5(a)から(c)が示すように、複数のスペーサー500,530,560の間で、肉厚Tが変化している。第2のスペーサー530の肉厚t2は、第1のスペーサー500の肉厚t1よりも薄い。第3のスペーサー560の肉厚t3は、第2のスペーサー530の肉厚t2よりも薄い。
図5(a)から(c)が示すように、複数のスペーサー500,530,560の間で、長さLが変化している。第2のスペーサー530の長さL2は、第1のスペーサー500の長さL1よりも大きい。第3のスペーサー560の長さL3は、第2のスペーサー530の長さL2よりも大きい。スペーサーが薄いほど、スペーサーが長い。即ち、スペーサーの肉厚Tが小さいほど、スペーサーの長さLは大きい。
スペーサーの肉厚Tの変化に起因して、スペーサー内面の断面積は変化している。同一の軸方向位置で比較すると、スペーサーの肉厚Tが薄いほど、スペーサー内面の断面積は大きい。具体的には、同一の軸方向位置で比較すると、第2のスペーサー530の内面532の断面積は、第1のスペーサー500の内面502の断面積よりも大きい。同一の軸方向位置で比較すると、第3のスペーサー560の内面562の断面積は、第2のスペーサー530の内面532の断面積よりも大きい。
従って、係合状態において、各スペーサーに対するスリーブ400の軸方向位置は変化する。第1のスペーサー500に係合するスリーブ400の軸方向位置がP1とされ、第2のスペーサー530に係合するスリーブ400の軸方向位置がP2とされ、第3のスペーサー560に係合するスリーブ400の軸方向位置がP3とされる。図5(a)から(c)が示すように、軸方向位置P2は軸方向位置P1よりも上側である。軸方向位置P3は軸方向位置P2よりも上側である。
このような軸方向位置の変化に起因して、クラブ長さが変化する。ゴルフクラブ100bは、ゴルフクラブ100aよりも長い。ゴルフクラブ100cは、ゴルフクラブ100bよりも長い。
このように、ゴルフクラブ100では、スペーサー500,530,560の肉厚Tを変化させることで、クラブ長さが変化している。
ゴルフクラブ100では、スペーサー500,530,560の長さLが、その肉厚Tと共に変化している。即ち、肉厚Tが小さいほど長さLが大きい。このため、スリーブ400の軸方向位置が移動しているにも関わらず、スリーブ400と各スペーサーとの係合面積が確保されている。また、各スペーサーと逆テーパー孔205との係合面積も確保されている。したがって、ゴルフクラブ100a、ゴルフクラブ100b及びゴルフクラブ100cのいずれにおいても、実打に耐えうる程度に、ヘッド200に対するシャフト300の固定が達成されている。
係合状態における、スリーブとスペーサーとの接触面積がSとされる。図5(a)から図5(c)の実施形態において、ゴルフクラブ100aの接触面積SがS1とされ、ゴルフクラブ100bの接触面積SがS2とされ、ゴルフクラブ100cの接触面積SがS3とされる。本実施形態では、S1>S2>S3である。
このように、異なるクラブ長さのそれぞれで接触面積Sが定まる。これらの接触面積Sのうちの最大値がSmaxとされ、最小値がSminとされる。本実施形態では、最大値SmaxがS3であり、最小値SminがS2である。シャフト300の保持を確実とする観点から、Smin/Smaxは、0.5以上が好ましく、0.6以上がより好ましく、0.7以上がより好ましく、0.8以上がより好ましく、0.9以上がより好ましい。Smin/Smaxは1であるのも好ましい。
シャフト300の保持を確実とする観点から、接触面積Sは、120mm2以上が好ましく、360mm2以上がより好ましく、600mm2以上がより好ましい。過大なホーゼル部202は、ヘッド200の設計自由度を低下させる。この観点から、接触面積Sは、3000mm2以下が好ましく、2400mm2以下がより好ましく、1800mm2以下がより好ましい。
図5(a)から(c)が示すように、第1のスペーサー500は、上端面506と下端面508とを有する。第2のスペーサー530は、上端面536と下端面538とを有する。第3のスペーサー560は、上端面566と下端面568とを有する。
図5(a)から(c)が示すように、ゴルフクラブ100a,100b,100cでは、各スペーサーの下端面の軸方向位置が同一である。このような構成に限定されない。係合状態において、スペーサーの肉厚Tが薄いほど、スペーサーの下端面が上側であってもよい。即ち、係合状態において、下端面538が下端面508よりも上側であってもよい。係合状態において、下端面568が下端面538よりも上側であってもよい。
図5(a)が示すように、ゴルフクラブ100a,100b,100cでは、各スペーサーの上端面506,536,566が、スリーブ400の上端面406よりも下側に位置している。この形態では、スペーサーとスリーブとで階段状の露出部が形成される。この階段状の露出部は、フェラルの様な外観が得られる点で好ましい。もちろんこの形態には限定されず、各スペーサーの上端面506,536,566の軸方向位置が、スリーブ400の上端面406の軸方向位置と同じであってもよい。また、各スペーサーの上端面506,536,566が、スリーブ400の上端面406よりも上側であってもよい。
図6は、ヘッド200の斜視図である。ヘッド200は、逆テーパー孔205の下端に位置する下方開口220と、この下方開口220から軸垂直方向に延在する開口底面222と、この開口底面からソール側に延在する延在面224とを有する。
図5(a)から(c)の実施形態では、ゴルフクラブ100a,100b及び100cにおいて、各スペーサーの下端面の軸方向位置が、開口底面222の軸方向位置と同じである。本発明は、このような構成に限定されない。係合状態において、各スペーサーの下端面の軸方向位置が、開口底面222よりも上側であってもよい。係合状態において、各スペーサーの下端面の軸方向位置が、開口底面222よりも下側であってもよい。
図7は、変形例のスペーサー800の斜視図である。図8(a)は、図7のA−A線に沿った断面図である。スペーサー800は、スリーブ400をシャフト300に固定したまま交換可能なスペーサーの一例である。なお、スリーブ400がシャフト300に接着剤で接着されている場合には、このスペーサー800のような、スリーブ400をシャフト300に固定したまま交換可能なスペーサーが好ましく用いられる。
前述したスペーサー500等と同様に、スペーサー800は、内面802と外面804とを有する。
スペーサー800は、分割構造を有する。スペーサー800は、第1分割体810と、第2分割体820とを有する。図7では、分割ラインd1が示されている。この分割ラインd1は、第1分割体810と第2分割体820との境界である。
スペーサー800は、連結部830を有する。本実施形態では、連結部830は、板バネである。この板バネは、弾性体である。本実施形態では、2つの連結部830が設けられている。連結部830の一方側が第1分割体810に固定されており、連結部830の他方側が第2分割体820に固定されている。
連結部830は、外面804に設けられた凹部に収容されている。連結部830は、外面804よりも外側に突出していない。連結部830は、外面804がはめ込まれる逆テーパー面と外面804との接触を阻害しない。外面804がはめ込まれる逆テーパー面とは、ヘッドの逆テーパー孔か、又は、他のスペーサーの内面である。
連結部830は、蝶番の役割を果たす。連結部830を中心として、スペーサー800は開く。外力を付加することで、スペーサー800は開く。この開状態が、図8(a)において二点鎖線で示されている。連結部830(板バネ)が曲がることで、スペーサー800は開く。この開状態では、第1分割体810と第2分割体820との間に隙間gpが生じる。この隙間gpから、シャフトをスペーサー800の内側に入れることができる。シャフトが入った状態で、スペーサー800は閉じられる。板バネ830は、閉状態となるようにスペーサー800を付勢している。よって、外力が無くなると、スペーサー800は(自動的に)閉じる。
この開閉式のスペーサー800は、スペーサーの交換を可能とする。図4(a)が示すように、シャフトアッセンブリ700において、スペーサー500は、シャフト300の上を軸方向に動きうるが、そのままの状態では、シャフト300から離脱できない。なぜなら、スリーブ400がシャフト300に着脱不能に固定されているからである。しかし、上述した開状態を採ることで、スペーサー800は、シャフト300を側方から取り入れることができる。よって、スリーブ400が固定されたシャフト300に対して、スペーサー800の取り付け及び取り外しが可能である。したがって、スリーブ400が固定されたシャフト300に対して、スペーサーの交換が可能となる。
なお、スペーサー800は、第1分割体810と第2分割体820との位置ズレを防止する位置合わせ構造を有する。この位置合わせ構造として、平板の継ぎ合わせ構造が適用されてもよい。図8(a)の実施形態は、位置合わせ構造の一例を含む。この位置合わせ構造において、第1分割体810は、厚み方向の位置ズレを防止する当接面m1と、軸方向の位置ズレを防止する当接面m2とを有する。同様に、第2分割体820は、厚み方向の位置ズレを防止する当接面m1と、軸方向の位置ズレを防止する当接面m2とを有する。閉じられた状態のスペーサー800において、第1分割体810の当接面m1と第2分割体820の当接面m1とが当接しており、第1分割体810の当接面m2と第2分割体820の当接面m2とが当接している。よって、厚み方向及び軸方向の位置ズレが防止されている。
図8(a)が示すように、スペーサー800の分割ラインd1は、第1分割ラインd11と、第2分割ラインd12とを有する。第1分割ラインd11は、連結部830のない分割ラインである。第2分割ラインd12は、連結部830のある分割ラインである。図8(a)では、第1分割ラインd11に設けられた上記位置合わせ構造が示されている。好ましくは、第2分割ラインd12にも、上記位置合わせ構造が設けられる。
図8(b)は、他の位置合わせ構造を示す。この位置合わせ構造では、第1部材の凸と第2部材の凹とが付き合わされている。第1部材における厚み方向の中央側と、第2部材における厚み方向の内側及び外側とが重ねられている。なお、上記第1部材とは、第1分割体810又は第2分割体820の一方であり、上記第2部材とは、第1分割体810又は第2分割体820の他方である。
図8(c)は、他の位置合わせ構造を示す。この位置合わせ構造では、第1部材の凸と第2部材の凹とが付き合わされている。第1部材の凸の断面は斜面により構成されている。第2部材の凹の断面は斜面により構成されている。第1部材における厚み方向の中央側と、第2部材における厚み方向の内側及び外側とが重ねられている。なお、上記第1部材とは、第1分割体810又は第2分割体820の一方であり、上記第2部材とは、第1分割体810又は第2分割体820の他方である。
図8(b)及び(c)に示されるような位置合わせ構造でも、厚み方向の位置ズレに加えて、軸方向の位置ズレを防止することができる。例えば、図8(b)及び(c)に示されるような位置合わせ構造が軸方向の一部のみに採用される場合、当該位置合わせ構造の終端位置において、軸方向の位置ズレを防止する当接面が形成されうる。よって、軸方向の位置ズレが防止されうる。
図9は、他の変形例に係るスペーサー900の斜視図である。前述したスペーサー500等と同様に、スペーサー900は、内面902と外面904とを有する。
スペーサー800と同様に、スペーサー900は、分割構造を有する。スペーサー900は、第1分割体910と、第2分割体920とを有する。図9では、分割ラインd1が示されている。この分割ラインd1は、第1分割体910と第2分割体920との境界である。
スペーサー900は、リング状の弾性体930、940を有する。更に、スペーサー900は、周溝950、960を有する。弾性体930、940は、周溝950、960に嵌められている。弾性体930、940は、外面904よりも外側に突出していない。弾性体930、940は、外面904がはめ込まれる逆テーパー面と外面904との接触を阻害しない。外面904がはめ込まれる逆テーパー面とは、ヘッドの逆テーパー孔か、又は、他のスペーサーの内面である。
外力を加えて伸ばすことにより、弾性体930、940は取り外されうる。弾性体930、940が取り外されると、第1分割体910と第2分割体920とは互いに分離されうる。逆に、第1分割体910と第2分割体920とを突き合わせた後、弾性体930、940を取り付けることができる。弾性体930、940の弾性的な収縮力が、2つの分割体910、920を突き合わせるように付勢している。例えば、このようなスペーサー900も、スペーサーの交換を可能とする。
スペーサー800及びスペーサー900は、第1分割体と、第2分割体とを有している。上記第1分割体と上記第2分割体とが結合した結合状態と、上記第1分割体と上記第2分割体との間に隙間が形成された分離状態との相互移行が可能である。上記分離状態において、上記シャフトを上記隙間を通過させてスペーサーの内部に配置することができる。上記分離状態において、スリーブ400が固定されたシャフト300にスペーサーを着脱することができる。
図10(a)から(c)は、第2実施形態に係るゴルフクラブ110の断面図である。図11は、このゴルフクラブ110に用いられているスリーブ410の斜視図である。図12は、このゴルフクラブ110に用いられている延長スリーブ420の斜視図である。図13(a)は延長スリーブ420の平面図であり、図13(b)は延長スリーブ420の側面図であり、図13(c)は延長スリーブ420の底面図である。
係合状態におけるゴルフクラブ110は、1つのスペーサーと、1つのスリーブとを有している。このゴルフクラブ110に係るゴルフクラブキットは、複数(3つ)のスペーサーを有する。3つのうちのいずれか1つのスペーサーが用いられる。他の2つのスペーサーは交換用である。
以下では、複数のスペーサー510、540,570のうちのスペーサー510が用いられた場合が、ゴルフクラブ110aとされる。ゴルフクラブ110aは、クラブ長さが最小の状態である。複数のスペーサー510、540,570のうちのスペーサー540が用いられた場合が、ゴルフクラブ110bとされる。ゴルフクラブ110bは、クラブ長さが中間の状態である。複数のスペーサー510、540,570のうちのスペーサー570が用いられた場合が、ゴルフクラブ110cとされる。ゴルフクラブ110cは、クラブ長さが最大の状態である。
図10(a)は、軸方向に沿ったゴルフクラブ110aの断面図である。図10(b)は、軸方向に沿ったゴルフクラブ110bの断面図である。図10(c)は、軸方向に沿ったゴルフクラブ110cの断面図である。
図10(a)から(c)が示すように、複数のスペーサー510,540,570の間で、肉厚Tが変化している。第2のスペーサー540の肉厚t2は、第1のスペーサー510の肉厚t1よりも薄い。第3のスペーサー570の肉厚t3は、第2のスペーサー540の肉厚t2よりも薄い。
図10(a)から(c)が示すように、複数のスペーサー510,540,570の間で、長さLは変化していない。この点は、前述した第1実施形態のゴルフクラブ100と相違する。第2のスペーサー540の長さL2は、第1のスペーサー510の長さL1と同じである。第3のスペーサー570の長さL3は、第2のスペーサー540の長さL2と同じである。スペーサーの厚みに関わらず、スペーサーの長さは一定である。また、スペーサーの厚みに関わらず、スペーサーの外形は同一である。
スペーサーの肉厚Tの変化に起因して、スペーサー内面の断面積は変化している。同一の軸方向位置で比較すると、スペーサーの肉厚Tが薄いほど、スペーサー内面の断面積は大きい。具体的には、同一の軸方向位置で比較すると、第2のスペーサー540の内面542の断面積は、第1のスペーサー510の内面512の断面積よりも大きい。同一の軸方向位置で比較すると、第3のスペーサー570の内面572の断面積は、第2のスペーサー540の内面542の断面積よりも大きい。
従って、係合状態において、各スペーサーに対するスリーブ410の軸方向位置は変化する。第1のスペーサー510に係合するスリーブ410の軸方向位置がP1とされ、第2のスペーサー540に係合するスリーブ410の軸方向位置がP2とされ、第3のスペーサー570に係合するスリーブ410の軸方向位置がP3とされる。図10(a)から(c)が示すように、軸方向位置P2は軸方向位置P1よりも上側である。軸方向位置P3は軸方向位置P2よりも上側である。
このような軸方向位置の変化に起因して、クラブ長さが変化する。ゴルフクラブ110bは、ゴルフクラブ110aよりも長い。ゴルフクラブ110cは、ゴルフクラブ110bよりも長い。
このように、ゴルフクラブ110では、スペーサー510,540,570の肉厚Tを変化させることで、クラブ長さが変化している。
ゴルフクラブ110では、スペーサー510,540,570の長さLが、その肉厚Tと共に変化していない。スペーサー510,540,570の長さLが、その肉厚Tに関わらず一定である。
ゴルフクラブ110に係るゴルフクラブキットは、2つの延長スリーブ420,430を有する。すなわち、ゴルフクラブ110に係るゴルフクラブキットは、3つのスリーブ510,540,570に加えて、2つの延長スリーブ420,430を有する。必要に応じて、いずれか1つの延長スリーブが用いられる。
図10(b)が示すように、第1の延長スリーブ420は、ゴルフクラブ110b(クラブ長さ中間)に用いられている。延長スリーブ420は、第2のスペーサー540と共に用いられる。延長スリーブ420は、スリーブ410とともに、スペーサー540の内側に嵌め込まれている。この結果、ゴルフクラブ110bでは、逆テーパー係合部は、スリーブ410と延長スリーブ420とスペーサー540とによって構成される。
図10(c)が示すように、第2の延長スリーブ430は、ゴルフクラブ110c(クラブ長さ最大)に用いられている。延長スリーブ430は、延長スリーブ420よりも長い。延長スリーブ430は、第3のスペーサー570と共に用いられる。延長スリーブ430は、スリーブ410とともに、スペーサー570の内側に嵌め込まれている。この結果、ゴルフクラブ110cでは、逆テーパー係合部は、スリーブ410と延長スリーブ430とスペーサー570とによって構成される。
このように、ゴルフクラブ110では、第1の延長スリーブ420と第2の延長スリーブ430とが用いられている。なお、図10(a)が示すように、クラブ長さが最小の状態(ゴルフクラブ110a)では、延長スリーブは用いられていない。
結局、ゴルフクラブ110では、3種のスペーサーと、2種の延長スリーブとが用いられている。ゴルフクラブ110に係るゴルフクラブキットは、複数(3種)のスペーサーと、複数(2種)の延長スリーブとを有する。
上記ゴルフクラブキットにおいて、スペーサーの総数がN2とされ、延長スリーブの数がN4とされる。好ましくは、N2−N4=1である。なお、N2及びN4は正の整数である。総数N2の好ましい範囲は、前述の通りである。N4は、好ましくは、N2よりも1つ小さい値である。このましいN4は1以上3以下であり、より好ましくは1以上2以下である。
図11が示すように、スリーブ410は、底部412を有する。底部412は、係合凹部414と、ネジ穴416とを有する。係合凹部414は、底部412の中央に設けられている。係合凹部414の断面形状は、非円形(四角形、正方形)である。ネジ穴416は、係合凹部414の中央に設けられている。更に、スリーブ410は、側面418を有する。側面418は、角錐面(四角錐面)である。
図12及び図13(a)から(c)が示すように、延長スリーブ420は、係合凸部422と側面424とを有する。係合凸部422は、延長スリーブ420の上面に設けられている。係合凸部422は上方に突出している。係合凸部422の断面形状は、非円形(四角形、正方形)である。係合凸部422の中央に、貫通孔426が設けられている。
図13(b)が示すように、延長スリーブ420の内部は空洞である。この空洞は下方に開放されている。延長スリーブ420の内面の上部には、ネジ収容孔428が設けられている。ネジ収容孔428は、貫通孔426に連続して配置されている。貫通孔426とネジ収容孔428とは同軸で配置されている。図13(c)が示すように、ネジ収容孔428の内径は、貫通孔426の内径よりも大きい。このネジ収容孔428には、ネジ(図示されない)の頭部が収容される。
図10(b)が示すように、延長スリーブ420は、スリーブ410の下側に連結される。この連結状態において、係合凸部422が係合凹部414に係合している。係合凸部422は、係合凹部414に嵌め込まれている。
図示されないが、延長スリーブ420は、結合機構によってスリーブ410に固定されている。本実施形態では、この結合機構は、ネジ機構である。図示されないネジは、延長スリーブ420の下方から挿入され、ネジ収容孔428及び貫通孔426を貫通して、ネジ穴416にネジ止めされる。このネジ止めによって、延長スリーブ420はスリーブ410に固定され、連結状態が完成する。
上述の通り、連結状態では、係合凸部422が係合凹部414に嵌められている。係合凸部422の外形は、係合凹部414に対応している。係合凸部422が係合凹部414に嵌められた連結状態では、延長スリーブ420はスリーブ410に対して位置決めされる。係合凸部422と係合凹部414との係合に起因して、この連結状態では、延長スリーブ420はスリーブ410に対して回転できない。
上記連結状態では、スリーブ410の側面418と延長スリーブ420の側面424とが面一となる。すなわち、側面418の各面のそれぞれが、側面424の各面のそれぞれと面一となる。この結果、スリーブ410と延長スリーブ420とが連結した連結状態により、逆テーパー面(角錐面)の外面を有する連結スリーブが構成される。この連結スリーブが、スペーサー540の内側に嵌め込まれている(図10(b))。この場合、スペーサー540の外面が、逆テーパー係合部RTの外面である。
上述の通り、最も長い状態であるゴルフクラブ110cでは、延長スリーブ430が用いられる。長さの相違を除き、この延長スリーブ430の形状は、延長スリーブ420と同じである。スリーブ410の位置P3が位置P2よりも上方となることに対応して、延長スリーブ430は延長スリーブ420よりも長くされている。延長スリーブ430におけるスリーブ410との結合機構は、延長スリーブ420のそれと同一である(図10(c)参照)。
係合状態のゴルフクラブ110aにおいて、スリーブ410の下端面b1は外部に露出している(図10(a)参照)。係合状態のゴルフクラブ110bにおいて、延長スリーブ420の下端面b2は外部に露出している(図10(b)参照)。係合状態のゴルフクラブ110cにおいて、延長スリーブ430の下端面b3は外部に露出している(図10(c)参照)。係合状態において、下端面b1の軸方向位置は、下端面b2と同じである。係合状態において、下端面b2の軸方向位置は、下端面b3と同じである。
ゴルフクラブ110bでは、ゴルフクラブ110aに比較して、スリーブ410が上方に移動している。この移動により、ゴルフクラブ110bでは、スリーブ410とスペーサー540との接触面積が小さくなる。しかし、ゴルフクラブ110bでは、スリーブ410に延長スリーブ420が連結された連結スリーブが構成されている。この連結スリーブ全体で考えると、スペーサー540との接触面積が確保されている。結果として、ゴルフクラブ110bにおいても、スリーブ410は確実に保持される。
ゴルフクラブ110cでは、ゴルフクラブ110bに比較して、スリーブ410が上方に移動している。この移動により、ゴルフクラブ110cでは、スリーブ410とスペーサー570との接触面積が更に小さくなる。しかし、ゴルフクラブ110cでは、スリーブ410に延長スリーブ430が連結された連結スリーブが構成されている。この連結スリーブ全体で考えると、スペーサー570との接触面積が確保されている。結果として、ゴルフクラブ110cにおいても、スリーブ410は確実に保持される。
連結スリーブ(ゴルフクラブ110aでは、スリーブ)とスペーサーとの接触面積がSとされる。接触面積Sは、係合状態における面積である。ゴルフクラブ110b及びゴルフクラブ110cように、連結スリーブが形成される場合、接触面積Sは、当該連結スリーブとスペーサーとの接触面積と定義される。図10(a)から図10(c)の実施形態において、ゴルフクラブ110aの接触面積SがS1とされ、ゴルフクラブ110bの接触面積SがS2とされ、ゴルフクラブ110cの接触面積SがS3とされる。本実施形態では、S1=S2=S3である。
ゴルフクラブ100では、複数のスペーサー510,540,570の長さLが同一である。複数のスペーサー510,540,570の間で、肉厚Tのみが相違している。よって、複数種のスペーサーを比較的容易に設計及び製造することができる。
図10(a)から(c)が示すように、第1のスペーサー510は、上端面516と下端面518とを有する。第2のスペーサー540は、上端面546と下端面548とを有する。第3のスペーサー570は、上端面576と下端面578とを有する。
図10(a)から(c)が示すように、ゴルフクラブ110a,110b及び110cでは、各スペーサーの下端面518,548,578の軸方向位置が同一である。また、ゴルフクラブ110a,110b及び110cでは、上述した下端面b1,b2,b3の軸方向位置が同一である。そして、各スペーサーの下端面518,548,578の軸方向位置が、下端面b1,b2,b3の軸方向位置に一致している。ゴルフクラブ110では、クラブ長さに関わらず、逆テーパー係合部RTの下端面RT1の軸方向位置が同一である。
図14(a)は、延長スリーブ420の変形例である延長スリーブ420aの側面図である。図14(b)は、延長スリーブ420の他の変形例である延長スリーブ420bの側面図である。
延長スリーブ420と同様に、延長スリーブ420aは、係合凸部422と側面424とを有する。係合凸部422は、延長スリーブ420aの上面に設けられている。係合凸部422は上方に突出している。係合凸部422の断面形状は、非円形(四角形、正方形)である。図14(a)が示すように、側面424には、凹部R1が設けられている。平面視において、凹部R1の形状は四角形である。1つの側面424につき、2つの凹部R1が設けられている。凹部R1の存在を除き、延長スリーブ420aは延長スリーブ420と同じである。
延長スリーブ420と同様に、延長スリーブ420bは、係合凸部422と側面424とを有する。係合凸部422は、延長スリーブ420bの上面に設けられている。係合凸部422は上方に突出している。係合凸部422の断面形状は、非円形(四角形、正方形)である。図14(b)が示すように、側面424には、凹部R2が設けられている。平面視において、凹部R2の形状は円形である。1つの側面424につき、1つの凹部R2が設けられている。凹部R2の存在を除き、延長スリーブ420bは延長スリーブ420と同じである。
凹部R1及び凹部R2は、延長スリーブの質量の低減に寄与する。延長スリーブの軽量化により、ヘッドの設計自由度が高まる。
凹部R1及び凹部R2は、延長スリーブに設けられる質量低減部の例である。この質量低減部の他の例として、延長スリーブの側面を貫通する貫通孔が挙げられる。
なお、このような質量低減部は、スリーブ及びスペーサーにも設けることができる。
図15は、第2実施形態に係るヘッド250の斜視図である。後述される脱落防止機構の存在を除き、ヘッド250は、前述したヘッド200と同じである。
ヘッド250は、逆テーパー孔205の下端に位置する下方開口220と、この下方開口220から軸垂直方向に延在する開口底面222と、この開口底面からソール側に延在する延在面224とを有する。
ヘッド250は、脱落防止機構1000を有する。脱落防止機構1000は、延在面224に設けられている。脱落防止機構1000は、逆テーパー係合部(スリーブ及びスペーサー)の係合解除方向への移動を規制する。
図16は、脱落防止機構1000近傍の断面図である。 なお、図16は、図15に対して、上下が逆になっている。
脱落防止機構1000は、突出及び退行が可能な状態で突出方向に付勢された弾性突出部1004を有する。本実施形態では、弾性突出部1004は、板バネ1006である。図16は、外力が作用していない自然状態における脱落防止機構1000の断面図である。この自然状態において、板バネ1006は、逆テーパー孔205に近づくほど延在面224からの突出高さHtが大きくなるように構成されている。上記自然状態において、脱落防止機構1000は、逆テーパー孔205にはめ込まれた逆テーパー係合部の端面(下端面)に当接する当接面1008を有する。
ゴルフクラブ110a(図10(a)参照)において、脱落防止機構1000の当接面1008は、スペーサー510の下端面518と、スリーブ410の下端面b1とに当接する。ゴルフクラブ110aでは、逆テーパー係合部RTの下端面RT1は、下端面518と下端面b1とによって構成されている。この下端面RT1(下端面518及び下端面b1)に、当接面1008が当接する。
ゴルフクラブ110b(図10(b)参照)において、脱落防止機構1000の当接面1008は、スペーサー540の下端面548と、延長スリーブ420の下端面b2とに当接する。ゴルフクラブ110bでは、逆テーパー係合部RTの下端面RT1は、下端面548と下端面b2とによって構成されている。この下端面RT1(下端面548及び下端面b2)に、当接面1008が当接する。
ゴルフクラブ110c(図10(c)参照)において、脱落防止機構1000の当接面1008は、スペーサー570の下端面578と、延長スリーブ430の下端面b3とに当接する。ゴルフクラブ110cでは、逆テーパー係合部RTの下端面RT1は、下端面578と下端面b3とによって構成されている。この下端面RT1(下端面578及び下端面b3)に、当接面1008が当接する。
このように、脱落防止機構1000は、スリーブ(延長スリーブを含む)及びスペーサーに当接するので、逆テーパー係合部の係合解除方向への移動が規制される。この結果、逆テーパー係合部の脱落が防止される。即ち、シャフト300の脱落が防止される。
板バネ1006を押圧すると、板バネ1006は、突出高さHtが少なくなるように退行する。この退行により、当接面1008はヘッド250の内部に収容され、当接面1008は逆テーパー係合部の端面と当接できない状態となる。この状態では、逆テーパー係合部を係合解除方向に移動することが可能である。よって、シャフト300をヘッド250から取り外すことができる。
前述した第4ステップ(図4参照)において、逆テーパー係合部は、板バネ1006を押圧しながら逆テーパー孔205に向かって移動する。押圧された板バネ1006は退行し、逆テーパー係合部の上記移動を許容する。逆テーパー係合部が逆テーパー孔205と当接(係合)する位置にまで達したとき、逆テーパー係合部による板バネ1006の押圧は無くなり、板バネ1006が突出する。この結果、当接面1008が逆テーパー係合部RTの下端面RT1に当接し、脱落防止機構1000がその機能を発揮する。
脱落防止機構1000の機能を解除するときは、外力によって板バネ1006を押圧し、当接面1008と下端面RT1との当接を解除する。外力は、例えば,人間の指によって付与される。
図17は、変形例に係る脱落防止機構1100の断面図である。上記脱落防止機構1000と同様に、この脱落防止機構1100は、突出及び退行が可能な状態で突出方向に付勢された弾性突出部1102を有する。弾性突出部1102は、圧縮バネ1104とスライド部材1106とスライド孔1108とを有する。スライド部材1106は、例えば、円柱部材とされる。スライド孔1108は、例えば、円形孔とされる。
圧縮バネ1104は、スライド部材1106を突出方向に付勢している。外力が作用しない自然状態において、スライド部材1106は、下端面RT1と当接する位置にある。図17は、この自然状態を示す。スライド部材1106を押圧すると、スライド部材1106は、突出高さHtが小さくなるように退行する。この退行により、スライド部材1106と下端面RT1との係合が解除される。このように、脱落防止機構1100の機能は、前述の脱落防止機構1000と同様である。
他の脱落防止機構として、例えば、取り外し可能に取り付けられる着脱部材が挙げられる。この着脱部材は、係合状態のゴルフクラブヘッドの、下端面RT1に当接する位置に取り付けられる。このような着脱部材を含む着脱機構として、例えば、特開2013−123439号公報に記載の着脱機構が挙げられる。この公報における重量体が、上記着脱部材に応用されうる。例えば、装着状態(係合ポジション)にある着脱部材がヘッド本体から突出し、この突出部分が下端面RT1に当接する構成が採用されうる。また、他の着脱部材として、ネジ部材が挙げられる。
図18は、ネジ部材を用いた脱落防止機構の一例を示す。この脱落防止機構1200は、ネジ部材1202と、ネジ穴1204とを有する。ネジ穴1204は、延在面224に設けられている。ネジ部材1202は、頭部1206とネジ部1208とを有する。頭部1206の側面1210は、テーパー面を有する。このテーパー面1210は、円錐面(円錐凸面)である。このテーパー面1210は、ネジ部1208と同軸である。このテーパー面1210の外径は、ネジ部1208に近づくにつれて小さくなっている。
図18が示すように、逆テーパー係合部RTの下端面RT1は、このテーパー面1210に線接触しうる傾斜面を有する。
ネジ部1208がネジ穴1204にねじ込まれた状態で、下端面RT1の上記傾斜面は、テーパー面1210と線接触する。ネジ部1208のねじ込み量によってテーパー面1210が移動し、この移動に起因して、テーパー面1210と下端面RT1との接触位置がシャフト軸方向に移動する。この脱落防止機構1200では、ネジ部材1202のねじ込み量によって、下端面RT1とネジ部材1202との接触位置を微調整することができる。
なお、下端面RT1とネジ部材とが面接触してもよい。例えば、上記ネジ部材1202において、ネジ部1208が頭部1206に対して回転可能に支持されている構成を採用することができる。例えば、頭部1206がネジ部1208を有するネジ軸体と貫通孔とを有しており、このネジ軸体の一部が前記貫通孔に内包されていてもよい。このネジ部材では、頭部1206を回転させることなくネジ部1208のみを回転させることができる。例えば、頭部1206の側面1210を角錐面(四角錐面)とすることにより、下端面RT1とネジ部材とが面接触が可能となる。
図19は、第3実施形態に係るヘッド260の斜視図である。後述される延長スリーブポートの存在を除き、ヘッド260は、前述したヘッド200と同じである。
ヘッド260は、逆テーパー孔205の下端に位置する下方開口220と、この下方開口220から軸垂直方向に延在する開口底面222と、この開口底面からソール側に延在する延在面224とを有する。
ヘッド260は、延長スリーブポート262を有する。延長スリーブポート262は、ソール210に設けられている。延長スリーブポート262は、凹部である。延長スリーブポート262は、シャフト軸線よりもトウ側に位置する。延長スリーブポート262は、フェース中心よりもトウ側に位置する。フェース中心とは、平面視におけるフェース面の図心である。
図20(a)及び図20(b)は、ヘッド260を有するゴルフクラブ120の断面図である。図20(a)は、クラブが短い状態のゴルフクラブ120aを示す。図20(b)は、クラブが長い状態のゴルフクラブ120bを示す。
図20(a)に示されるゴルフクラブ120aは、延長スリーブ440を有する。この延長スリーブ440の存在を除き、ゴルフクラブ120aは、ゴルフクラブ110a(図10(a))と同じである。延長スリーブ440が、スリーブ410の後端部に取り付けられている。なお、この延長スリーブ440は、スペーサー510との接触面積を増やすことに貢献していないが、後述される重量調整の役割を果たす。また、ゴルフクラブ110aと異なり、ゴルフクラブ120aでは、延長スリーブ440の後端面が設置面222から突出している。
図20(b)に示されるゴルフクラブ120bは、延長スリーブ450を有する。延長スリーブ420が延長スリーブ450に置換された点を除き、ゴルフクラブ120bは、ゴルフクラブ110b(図10(b))と同じである。延長スリーブ450が、スリーブ410の後端部に取り付けられている。
延長スリーブ450(第2の延長スリーブ)は、延長スリーブ440(第1の延長スリーブ)よりも長い。ここにいう長さは、軸方向長さを意味する。延長スリーブ450(第2の延長スリーブ)は、延長スリーブ440(第1の延長スリーブ)よりも重い。
延長スリーブポート262には、延長スリーブ440を取り付けることができる。延長スリーブポート262には、延長スリーブ450を取り付けることができる。延長スリーブポート262には、全ての延長スリーブ440,450が取り付け可能である。延長スリーブポート262には、第1の延長スリーブ440及び第2の延長スリーブ450が択一的に取り付けられうる。「択一的に」とは、いずれか1つの延長スリーブが取り付けられうることを意味する。
延長スリーブポート262は、全ての延長スリーブ440,450を完全に収容する。延長スリーブポート262は、最も長い延長スリーブ450をも完全に収容する。「完全に収容する」とは、延長スリーブポート262に取り付けられた延長スリーブがソール210の外面よりも外側に突出しないことを意味する。よって、ソールに取り付けられた延長スリーブが接地抵抗を増加させるといった不都合は生じない。
図19の拡大部は、延長スリーブポート262の断面図である。延長スリーブポート262は、側面264と底部266とを有する。底部266は、ネジ穴268を有する。ネジ穴268は、スリーブ410のネジ穴416と同じである。側面264は、四角錐面である。延長スリーブポート262の内面の形状は、延長スリーブ440及び延長スリーブ450の外形に対応している。
延長スリーブ440は、図示されないネジ(共通ネジと称する)を用いて、延長スリーブポート262に固定されうる。この共通ネジは、延長スリーブ440(及び延長スリーブ450)をスリーブ410に取り付けるネジでもある。更に、延長スリーブ450は、上記共通ネジを用いて、延長スリーブポート262に固定されうる。
このように、ゴルフクラブ120は、複数(2つ)の延長スリーブ440、450を有する。延長スリーブ440(第1の延長スリーブ)は、クラブが短い状態に対応している。延長スリーブ450(第2の延長スリーブ)は、クラブが長い状態に対応している。このゴルフクラブ120は、以下の(状態a)及び(状態b)を採ることができる。
(状態a)クラブが短い状態(ゴルフクラブ120a)において、延長スリーブ440(第1の延長スリーブ)がスリーブ410に取り付けられ、延長スリーブ450(第2の延長スリーブ)がヘッド260の延長スリーブポート262に取り付けられる。
(状態b)クラブが長い状態(ゴルフクラブ120b)において、延長スリーブ450(第2の延長スリーブ)がスリーブ410に取り付けられ、延長スリーブ440(第1の延長スリーブ)がヘッド260の延長スリーブポート262に取り付けられる。
一般に、クラブが長いと、フェースが返りにくい傾向にある。フェースが充分に返らない場合、インパクトでフェースが開き、打球がスライスとなる。
また、一般に、重心距離が大きいと、フェースが返りにくい傾向にある。なお、重心距離とは、ヘッド重心とシャフト軸線との間の距離である。
上記状態aのゴルフクラブ120aと上記状態bのゴルフクラブ120bとを比較すると、クラブ長さは状態bのほうが大きい。一方、重心距離は、状態aのほうが大きい。なぜなら、延長スリーブ450(第2の延長スリーブ)が延長スリーブ440(第1の延長スリーブ)よりも重く、且つ、延長スリーブポート262がシャフト軸線から離れているからである。
このように、上記状態aでは、重心距離は長いがクラブは短い、一方、上記状態bでは、クラブは長いが重心距離は短い。このため、状態aと状態bとで、フェースの返り度合いの差が少ない。つまり、クラブ長さと重心距離との相殺により、フェースの返り度合いの差が抑制されている。ゴルフクラブ120は、フェースターン均等効果を奏する。このフェースターン均等効果とは、クラブが長い状態と短い状態との間で、フェースの返り度合いの差異が少ないことを意味する。
したがって、ゴルフクラブ120では、クラブ長さを変えることによる打球方向のバラツキが抑制される。例えば、クラブ長さを「短」から「長」に切り替えた場合であっても、フェースが返りにくくなることが抑制される。また、クラブ長さを「長」から「短」に切り替えた場合であっても、フェースが過度に返ることが抑制される。
延長スリーブポート262は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。全ての延長スリーブがクラブに固定されうるとの観点から、延長スリーブポート262の数は、(N4−1)以上であるのが好ましい。延長スリーブポート262の数を最小限とする観点からは、延長スリーブポート262の数は(N4−1)であるのが好ましい。なお、N4とは、上述の通り、延長スリーブの数を意味する。
本願では、係合解除方向及び係合方向が定義される。本願において係合解除方向とは、軸方向に沿った方向であり、逆テーパー係合部RTが逆テーパー孔205に対してソール側に移動する方向を意味する。換言すれば、係合解除方向とは、逆テーパー孔205が逆テーパー係合部RTに対してグリップ側に移動する方向を意味する。逆テーパー係合部RTが係合解除方向に移動すると、逆テーパー係合部RTは逆テーパー孔205から抜ける。一方、本願において係合方向とは、軸方向に沿った方向であり、逆テーパー係合部RTが逆テーパー孔205に対してグリップ側に移動する方向を意味する。換言すれば、係合方向とは、逆テーパー孔205が逆テーパー係合部RTに対してソール側に移動する方向を意味する。
係合状態のゴルフクラブでは、逆テーパー係合部RTと逆テーパー孔205との間で逆テーパー嵌合が形成されている。係合方向の力は、この逆テーパー嵌合を解除することはできず、逆にこの逆テーパー嵌合の接触圧力を高める。係合方向の力は、逆テーパー係合部RTと逆テーパー孔205との係合をより一層確実とする。
また、係合方向の力は、スリーブとスペーサーとの接触圧力を高める。係合方向の力は、スリーブとスペーサーとの係合をより一層確実とする。
ゴルフクラブのヘッドに作用する大きな力は、スイング中の遠心力、及び、インパクトでの衝撃力である。これらのうち、遠心力は、上述した係合方向の力である。また、ヘッドのロフト角に起因して、上記衝撃力の軸方向における分力も、係合方向の力である。よって、遠心力及び衝撃力は、逆テーパー係合部RTと逆テーパー孔205との係合を解除することはできず、逆にこの係合をより一層確実とする。また、逆テーパー係合部RT及び逆テーパー孔205は、断面形状が非円形であることから、両者の間で相対回転が生じることはない。結果として、逆テーパー係合部RTと逆テーパー孔205の間が接着剤等で固定されていないにも関わらず、ゴルフクラブとして必要な抜け止め及び回り止めが達成される。この逆テーパー嵌合の構造は、固定力と着脱容易性とを両立しうる。
一方、スイング以外の場面では、ゴルフクラブ100に係合解除方向の力が作用する場合がある。例えば、ゴルフクラブがゴルフバックに差し込まれている状態である。この状態では、ゴルフクラブは、ヘッドを上側にして立てられている。この場合、ヘッドに作用する重力は、上記係合解除方向の力として作用する。また、アドレスでヘッドを地面に置いたときも、係合解除方向の力が生じうる。脱落防止機構の存在により、この係合解除方向の力が作用しても、ヘッドは脱落しない。
遠心力、衝撃力等に起因する係合方向の力に比べて、この係合解除方向の力は小さい。よって、脱落防止機構には、大きな力は作用しない。脱落防止機構は、簡易的な機構でよい。
なお、ゴルフルールの観点からは、上記脱落防止機構は、素手で解除できないように構成されるのが好ましい。この構成は、例えば、上記板バネ1006及び上記圧縮バネ1104のばね定数を大きくすることで達成される。ゴルフルールの観点から、上記脱落防止機構には、専用の工具が必要とされるのが好ましい。
スリーブは、それ自身の軸線回りに回転されうる。この回転によって、スリーブの回転位置が変化する。係合状態において、スリーブは、複数の回転位置を採ることができる。採りうる回転位置の数は、スリーブの外面の形状に基づいて定まる。
スペーサーは、それ自身の軸線回りに回転されうる。この回転によって、スペーサーの回転位置が変化する。係合状態において、スペーサーは、複数の回転位置を採ることができる。採りうる回転位置の数は、スペーサーの外面の形状に基づいて定まる。
シャフト孔の軸線Z1(シャフトの軸線)は、スリーブの外面の軸線に対してズラすことができる。これらの軸線は、互いに傾斜していてもよいし、互いに平行でズレていてもよいし(平行偏心)、傾斜と偏心とが組み合わされてもよい。この場合、スリーブの回転位置によって、シャフトの軸線の方向及び/又は位置が変化しうる。この変化により、ロフト角、ライ角、フェース角(フック角)、フェースプログレッション等が調整されうる。なお、上述した各実施形態では、シャフト孔の軸線Z1(シャフトの軸線)は、スリーブの外面の軸線に一致している(図5(a)から(c)及び図10(a)から(c)参照)。
スペーサーの内面の軸線Z2は、スペーサーの外面の軸線に対してズラすことができる。これらの軸線は、互いに傾斜していてもよいし、互いに平行でズレていてもよいし(平行偏心)、傾斜と偏心とが組み合わされてもよい。この場合、スペーサーの回転位置によって、シャフトの軸線の方向及び/又は位置が変化しうる。この変化により、ロフト角、ライ角、フェース角(フック角)、フェースプログレッション等が調整されうる。なお、上述した各実施形態では、スペーサーの内面の軸線Z2は、スペーサーの外面の軸線に一致している(図5(a)から(c)及び図10(a)から(c)参照)。
ホーゼル孔の逆テーパー孔の断面積は、下方(ソール側)にいくほど徐々に大きくなっている。逆テーパー孔の断面形状は、非円形である。非円形の断面形状は、ホーゼル孔と逆テーパー係合部との間の相対回転を防止する。非円形は、円形以外のあらゆる形状を含む。例えば、円の周方向における少なくとも1箇所に凸部、凹部又は平坦部を有する形状であってもよい。好ましくは、逆テーパー孔の断面形状は、多角形である。この多角形として、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形及び十二角形が例示される。好ましくは、Nが偶数のN角形であり、例えば、四角形、六角形、八角形及び十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、四角形、六角形及び八角形が好ましい。より好ましくは、逆テーパー孔の断面形状は、正多角形である。好ましい正多角形として、正三角形、正四角形(正方形)、正五角形、正六角形、正七角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。より好ましくは、Nが偶数の正N角形であり、例えば、正四角形(正方形)、正六角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、正四角形、正六角形及び正八角形がより好ましい。
逆テーパー孔は、好ましくは、複数の面から構成される。これらの面のそれぞれは、平面であってもよいし、曲面であってもよい。逆テーパー係合部との面接触を確実とする観点から、好ましくは、これらの面のそれぞれは、平面とされる。逆テーパー係合部との面接触を確実とする観点から、逆テーパー孔は、角錐面とされるのが好ましい。角錐面とは、角錐の外面の一部である。この角錐面として、三角錐面、四角錐面、五角錐面、六角錐面、七角錐面、八角錐面及び十二角錐面が例示される。Nが偶数のN角錐面がより好ましく、例えば、四角錐面、六角錐面、八角錐面及び十二角錐面である。回転止めの観点から、四角錐面、六角錐面及び八角錐面がより好ましい。
上記ゴルフクラブはスリーブを有する。スリーブの内面(シャフト孔)は、当該スリーブに挿入されるシャフトの先端部と同じ形状を有する。通常、このシャフト孔の断面形状は円形である。典型的には、スリーブの内面(シャフト孔)とシャフトの外面とが接着剤によって接着される。
スリーブの外面の断面線により構成される図形の面積は、下方(ソール側)にいくほど徐々に大きくなっている。スリーブの外面の断面形状は、非円形である。非円形の断面形状は、スリーブと当接部分との相対回転を防止する。この当接部分とは、スペーサーの内面又は逆テーパー孔である。スペーサーが複数である場合、この当接部分とは、最も内側のスペーサーの内面である。非円形は、円形以外のあらゆる形状を含む。例えば、円の周方向における少なくとも1箇所に凸部、凹部又は平坦部を有する形状であってもよい。好ましくは、スリーブの外面の断面形状は、多角形である。この多角形として、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形及び十二角形が例示される。好ましくはNが偶数のN角形であり、例えば、四角形、六角形、八角形及び十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、四角形、六角形及び八角形が好ましい。より好ましくは、スリーブの外面の断面形状は、正多角形である。好ましい正多角形として、正三角形、正四角形(正方形)、正五角形、正六角形、正七角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。より好ましくは、Nが偶数の正N角形であり、例えば、正四角形(正方形)、正六角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、正四角形、正六角形及び正八角形がより好ましい。
スリーブの外面は、好ましくは、複数の面から構成される。これらの面のそれぞれは、平面であってもよいし、曲面であってもよい。上記当接部分との面接触を確実とする観点から、好ましくは、これらの面のそれぞれは、平面とされる。上記当接部分との面接触を確実とする観点から、スリーブの外面は、角錐面とされるのが好ましい。この角錐面として、三角錐面、四角錐面、五角錐面、六角錐面、七角錐面、八角錐面及び十二角錐面が例示される。Nが偶数のN角錐面がより好ましく、例えば、四角錐面、六角錐面、八角錐面及び十二角錐面である。回転止めの観点から、四角錐面、六角錐面及び八角錐面がより好ましい。
上記ゴルフクラブは1以上のスペーサーを有する。スペーサーの内面は、当該スペーサーの内側にはめ込まれる部材(内側部材)の外面と同じ形状を有する。この内側部材とは、スリーブ又は他のスペーサーである。
スペーサーの内面の断面線により構成される図形の面積は、下方(ソール側)にいくほど徐々に大きくなっている。スペーサーの内面の断面形状は、非円形である。非円形の断面形状は、スペーサーと上記内側部材との相対回転を防止する。スペーサーが複数である場合、この内側部材とは、他のスペーサーである。非円形は、円形以外のあらゆる形状を含む。例えば、円の周方向における少なくとも1箇所に凸部、凹部又は平坦部を有する形状であってもよい。好ましくは、スペーサーの内面の断面形状は、多角形である。この多角形として、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形及び十二角形が例示される。好ましくはNが偶数のN角形であり、例えば、四角形、六角形、八角形及び十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、四角形、六角形及び八角形が好ましい。より好ましくは、スペーサーの内面の断面形状は、正多角形である。好ましい正多角形として、正三角形、正四角形(正方形)、正五角形、正六角形、正七角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。より好ましくは、Nが偶数の正N角形であり、例えば、正四角形(正方形)、正六角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、正四角形、正六角形及び正八角形がより好ましい。
スペーサーの内面は、好ましくは、複数の面から構成される。これらの面のそれぞれは、平面であってもよいし、曲面であってもよい。上記内側部材との面接触を確実とする観点から、好ましくは、これらの面のそれぞれは、平面とされる。上記内側部材との面接触を確実とする観点から、スペーサーの内面は、角錐面とされるのが好ましい。この角錐面として、三角錐面、四角錐面、五角錐面、六角錐面、七角錐面、八角錐面及び十二角錐面が例示される。Nが偶数のN角錐面がより好ましく、例えば、四角錐面、六角錐面、八角錐面及び十二角錐面である。回転止めの観点から、四角錐面、六角錐面及び八角錐面がより好ましい。
上述の通り、本発明のクラブは、逆テーパー係合部を有する。逆テーパー係合部は、スリーブと1以上のスペーサーとから構成されている。1個のスペーサーが用いられている場合、逆テーパー係合部の外面はそのスペーサーの外面である。2個以上のスペーサーが用いられている場合、逆テーパー係合部の外面は、最も外側のスペーサーの外面である。
逆テーパー係合部の外面の断面線により構成される図形の面積は、下方(ソール側)にいくほど徐々に大きくなっている。逆テーパー係合部の外面の断面形状は、非円形である。非円形の断面形状は、逆テーパー係合部と逆テーパー孔との相対回転を防止する。非円形は、円形以外のあらゆる形状を含む。例えば、円の周方向における少なくとも1箇所に凸部、凹部又は平坦部を有する形状であってもよい。好ましくは、逆テーパー係合部の外面の断面形状は、多角形である。この多角形として、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形及び十二角形が例示される。好ましくはNが偶数のN角形であり、例えば、四角形、六角形、八角形及び十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、四角形、六角形及び八角形が好ましい。より好ましくは、逆テーパー係合部の外面の断面形状は、正多角形である。好ましい正多角形として、正三角形、正四角形(正方形)、正五角形、正六角形、正七角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。より好ましくは、Nが偶数の正N角形であり、例えば、正四角形(正方形)、正六角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、正四角形、正六角形及び正八角形がより好ましい。
逆テーパー係合部の外面は、好ましくは、複数の面から構成される。これらの面のそれぞれは、平面であってもよいし、曲面であってもよい。逆テーパー孔との面接触を確実とする観点から、好ましくは、これらの面のそれぞれは、平面とされる。逆テーパー孔との面接触を確実とする観点から、逆テーパー係合部の外面は、角錐面とされるのが好ましい。この角錐面として、三角錐面、四角錐面、五角錐面、六角錐面、七角錐面、八角錐面及び十二角錐面が例示される。Nが偶数のN角錐面がより好ましく、例えば、四角錐面、六角錐面、八角錐面及び十二角錐面である。回転止めの観点から、四角錐面、六角錐面及び八角錐面がより好ましい。
なお、上述したNのぞれぞれは、3以上の整数であるのが好ましい。
このように、スリーブとスペーサーとで逆テーパー嵌合が形成されると同時に、スペーサーと逆テーパー孔とで逆テーパー嵌合が形成されている。係合解除方向の力により、これらの逆テーパー嵌合の解除は容易である。同時に、係合方向の力により、これらの逆テーパー嵌合の形成は容易である。ヘッドに対するシャフトの取り付け及び取り外しは容易である。この取り付け及び取り外しにおいて、ネジを回す作業は不要である。よって、当該ネジの紛失という心配もない。
スリーブの材質は限定されない。好ましい材質として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金及び樹脂が例示される。強度及び軽量性の観点から、例えばアルミニウム合金及びチタン合金がより好ましい。樹脂としては、機械的強度に優れたものが好ましく、例えば、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックと称されている樹脂が好ましい。
スペーサーの材質は限定されない。好ましい材質として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金及び樹脂が例示される。強度及び軽量性の観点から、例えばアルミニウム合金及びチタン合金がより好ましい。樹脂としては、機械的強度に優れたものが好ましく、例えば、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックと称されている樹脂が好ましい。成形性の観点からは、樹脂が好ましい。
上述の通り、上記ゴルフクラブは、クラブ長さの調節機構を有する。この調節機構は、R&A(Royal and Ancient Golf Club of Saint Andrews;全英ゴルフ協会)が定めるゴルフ規則を満たしているのが好ましい。即ち、この調節機構は、R&Aが定める、「付属規則II クラブのデザイン」の「1 クラブ」における「1b 調節性」で規定される要件を満たしているのが好ましい。この「1b 調節性」が規定する要件は、下記の(i)、(ii)及び(iii)である。
(i)容易に調節できるものでないこと。
(ii)調節可能部分はすべてしっかりと固定され、ラウンド中に緩むことの合理的な可能性がないこと。
(iii)調節後のすべての形状が規則に適合すること。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
実施例として、上述のゴルフクラブ100と同じゴルフクラブが作製された。ただし、スペーサーは、図7に示されるスペーサー800とされた。
公知の方法で、チタン合金製のヘッドを得た。逆テーパー孔は、鋳造によって形成された後、NC加工によって所定の寸法に仕上げられた。スリーブの材質は、アルミニウム合金とされた。スリーブの製法は、NC加工であった。
スペーサーは、図7及び図8に示されるスペーサー800と同じものとされた。スペーサー本体の材質は、アルミニウム合金とされた。スペーサー本体の製法は、NC加工であった。連結部830の材質は、バネ鋼とされた。図5(a)から(c)に示されるように、長さL及び肉厚Tが相違する3つのスペーサーが作成された。
シャフトとして、公知のカーボンシャフトが用いられた。このシャフトを上記スペーサーに通した後、このシャフトの先端部に上記スリーブを接着剤で固定して、シャフトアッセンブリを得た。
図4で説明した手順に従って、上記シャフトアッセンブリを上記ヘッドに装着し、係合状態のゴルフクラブを得た。このゴルフクラブで実際にボールを打ったところ、抜け止め及び回り止めが完全に機能し、通常のゴルフクラブと同様の打撃が得られた。スペーサーを交換することにより、シャフト長さを3段階に調整することができた(図5(a)から(c)参照)。