JP2018068550A - カテーテル、カテーテル用ガイドワイヤ、および内視鏡用処置具 - Google Patents

カテーテル、カテーテル用ガイドワイヤ、および内視鏡用処置具 Download PDF

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Abstract

【課題】体内の挿入部位に合わせて迅速かつ安全に目的部位まで挿入することができる先端部を有する医療用処置具を提供する。
【解決手段】本開示の医療用処置具は、先端部、屈曲部、屈曲部を介して先端部とは反対側に配置された連結部、及び連結部側の巻き解け部を有する屈曲コイルと、連結部に接続して屈曲コイルを回転可能に支持する支持部と、巻き解け部と接する回転抑制部と、前記支持部とは反対側の基端と、を有するチューブと、を含み、屈曲コイルの巻き解け部側の一端を、回転抑制部を介して、チューブの基端側に移動させて、屈曲コイルを回転させることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本開示の実施形態は、医療用処置具に関する。特に医療用のカテーテル、カテーテル用ガイドワイヤ、および内視鏡用処置具に関する。
カテーテルおよび内視鏡用処置具は、検査や治療の際に用いられる医療用器具であって、細長いチューブ状の形状をとり、胸腔や腹腔などの体腔、消化管や尿管などの管腔部または血管を介して、体内の目的部位まで挿入することができる。これらを用いた検査においては、様々な情報を体内の目的部位から直接取得することができ、その後の治療に有用であることから積極的に導入されている。さらには、何れの場合も治療に必要とされる様々な機能を有する機器が搭載可能であり、カテーテル治療および内視鏡手術は、従来のような開腹手術と比べて患者の体への負担が少なく、早期の社会復帰を可能とする治療方法として特に注目されている。
カテーテルおよび内視鏡用処置具は、その挿入部位や用途によって、形状も機能も大きく異なる。特に血管のような微細で複雑な形状に沿うようにカテーテルまたは内視鏡用処置具を挿入する場合、カテーテルを引導するガイドワイヤまたは内視鏡用処置具の先端部の形状、特に湾曲角度および方向が重要になってくる。しかしながら従来のガイドワイヤおよび内視鏡用処置具は、一定の角度および方向に湾曲した先端部を有し、医師は先端部とは反対側の遠位の一端を、長軸方向または回転方向に操作することで先端部の動作を制御することしかできなかった。しかしながら患者によっては解剖学的形状が異なる、または変化しており、選択された先端形状のカテーテルまたは内視鏡用処置具では、目的部位に到達することが困難となる場合もある。このとき、ガイドワイヤまたは内視鏡用処置具の先端部の形状を変えるためには、一旦、体内から抜去して、先端部を調整または交換する必要があり、患者および医師ともに負担が大きくなる。
引用文献1には、高度の伸直性および回転追従性を有する中空撚線コイル体を、カテーテル、カテーテル用ガイドワイヤ、または内視鏡用処置具の先端部として応用することが開示されている。引用文献2には、収縮状態では可撓性が低くなり、延伸状態では可撓性が高くなる弾性部材を先端部に有するガイドワイヤが開示されている。引用文献3には、互いに先端部の形状が異なる2重のカテーテルを組み合わせて用いることにより、先端形状を2種類の形状に変えることができるカテーテル組立体が開示されている。しかしながら、上記引用文献1から3に記載の発明においても、カテーテルまたは内視鏡用処置具の先端部を任意の角度および方向に制御できるものではない。
特開2004−190167号公報 特開2010−207251号公報 特開2004−357805号公報
本開示の実施形態は、上述の問題を解決するもので、体内の挿入部位に合わせて迅速かつ安全に目的部位まで挿入することができる先端部を有する医療用処置具を提供することを目的とする。
本開示の一実施形態によると、先端部、屈曲部、屈曲部を介して先端部とは反対側に配置された連結部、及び連結部側の巻き解け部を有する屈曲コイルと、連結部に接続して屈曲コイルを回転可能に支持する支持部と、巻き解け部と接する回転抑制部と、前記支持部とは反対側の基端と、を有するチューブと、を含み、屈曲コイルの巻き解け部側の一端を、回転抑制部を介して、チューブの基端側に移動させて、屈曲コイルを回転させることを特徴とする医療用処置具が提供される。
また、別の態様において、屈曲コイルは少なくとも2つの部分を有し、巻き解け部側の第1のコイルの部分は先端部側の第2のコイルの部分よりもばね定数が小さくてもよい。
連結部は少なくとも、第1のコイルの部分を含んでもよい。
また、別の態様において、屈曲コイルの先端部は、屈曲コイルの回転方向とは反対方向に湾曲していてもよい。
本開示の一実施形態によると、先端部、屈曲部、屈曲部を介して先端部とは反対側に配置された連結部、連結部側の巻き解け部、及び巻き解け部から離隔して、連結部に位置する固定部を有する屈曲コイルと、可撓性を有し、連結部に接続して屈曲コイルを回転可能に支持する支持部と、巻き解け部と接する回転抑制部と、固定部と接続し、固定部から巻き解け部までの屈曲コイルの長さを保持する固定端部と、支持部とは反対側の基端と、を有するチューブと、を含み、連結部は少なくとも2つの部分を有し、巻き解け部側の第1のコイルの部分と固定部側の第2のコイルの部分は逆巻きに接続し、屈曲コイルの巻き解け部側の一端を、回転抑制部を介して、チューブの基端側に移動させて、屈曲コイルを回転させることを特徴とする医療用処置具が提供される。
また、別の態様において、第2のコイルの部分は第1のコイルの部分よりもばね定数が大きくてもよい。
また、別の態様において、固定部は連結部の屈曲部側に位置してもよい。
また、別の態様において、回転抑制部は屈曲コイルの巻き解け部が位置する支持部の側壁部に設けられた開口部であってもよい。
また、別の態様において、一端が先端部に接続し、屈曲コイルおよびチューブの内部空間を介して、他端がチューブの基端側に引き出されるワイヤ、をさらに含んでもよい。
また、別の態様において、少なくとも連結部の屈曲コイルは、金属の素線を密着巻きして形成された一次コイルの中心軸をらせん状に巻いた二重コイルであってもよい。
また、別の態様において、素線は、線径が14μm以上200μm以下の白金、金、パラジウム、タングステン、タンタル、コバルト、ロジウム、チタン、それらの合金、ステンレス、ニッケル合金またはモリブデン合金から選択されてもよい。
また、別の態様において、少なくとも連結部の屈曲コイルは、超弾性を有する金属の素線をらせん状に巻いて形成されたコイルであってもよい。
また、別の態様において、素線は、線径が50μm以上300μm以下のニッケル―チタン合金であってもよい。
また、別の態様において、ワイヤの一端が、屈曲コイルの伸張側に位置する先端部に接続されてもよい。
また、別の態様において、連結部の屈曲コイルの少なくとも一部は、隣接して配置されたコイルを構成する線が無荷重時において離隔していてもよい。
また、別の態様において、屈曲コイルの屈曲側に隣接して配置されたコイルを構成する線が無荷重時に接していてもよい。
また、別の態様において、屈曲コイルは、先端部に向かってコイルの径が縮小した形状を備えていてもよい。
また、別の態様において、屈曲コイルは、先端部にキャップを備えていてもよい。
本開示の実施形態によると、体内の挿入部位に合わせて迅速かつ安全に目的部位まで挿入することができる先端部を有する医療用処置具を提供することができる。
本開示の一実施形態に係る医療用処置具の(A)全体図、(B)上面図、および(C)分解図である。 本開示の一実施形態に係る医療用処置具の断面図である。 本開示の一実施形態に係る屈曲コイルの拡大断面図である。 本開示の一実施形態に係る医療用処置具の動作を示す断面図である。 本開示の一実施形態に係る医療用処置具の動作を示す上面図である。 本開示の一実施形態に係る医療用処置具の(A)全体図、(B)上面図、および(C)分解図である。 本開示の一実施形態に係る医療用処置具の断面図である。 本開示の一実施形態に係る医療用処置具の動作を示す断面図である。 本開示の一実施形態に係る医療用処置具の動作を示す断面図である。 本開示の一実施形態に係る医療用処置具の動作を示す上面図である。 本開示の一実施形態に係る医療用処置具の(A)全体図、(B)上面図、および(C)分解図である。 本開示の一実施形態に係る医療用処置具の断面図である。 本開示の一実施形態に係る医療用処置具の動作を示す断面図である。 本開示の一実施形態に係る医療用処置具の動作を示す上面図である。 本開示の一実施形態に係る医療用処置具の(A)全体図、(B)上面図、および(C)分解図である。 本開示の一実施形態に係る医療用処置具の断面図である。 本開示の一実施形態に係る医療用処置具の動作を示す断面図である。 本開示の一実施形態に係る医療用処置具の動作を示す断面図である。 本開示の一実施形態に係る医療用処置具の動作を示す上面図である。 本開示の変形例に係る医療用処置具の回転抑制部と支持部の形状を示す図である。 本開示の変形例に係る医療用処置具の形態を示す図である。 本開示の変形例に係る医療用処置具の形態を示す図である。 本開示の変形例に係る医療用処置具の先端部の形状を示す断面図である。
以下、図面を参照して、本開示の一実施形態に係る医療用処置具について説明する。但し、本開示の一実施形態に係る医療用処置具は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
〈実施形態1〉
[医療用処置具の概要]
図1から図3を用いて、本開示の一実施形態に係る医療用処置具の構成及び構造を説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る医療用処置具の(A)全体図、(B)上面図、および(C)分解図である。図2は、本開示の一実施形態に係る医療用処置具の断面図である。図3は、本開示の一実施形態に係る医療用処置具の拡大断面図である。本実施形態に係る医療用処置具とは、例えば、カテーテル、ガイドワイヤ、または内視鏡用処置具などを示す。
図1および図2に示すように、医療用処置具100は、屈曲コイル120と、チューブ160と、を備える。屈曲コイル120は、先端部122、無荷重時において中心軸136が屈曲している屈曲部124、屈曲部124を介して先端部122とは反対側に配置された連結部126、及び連結部126側の巻き解け部128を有する。チューブ160は、屈曲コイル120を回転可能に支持する支持部162と、巻き解け部128と接する回転抑制部144と、支持部162とは反対側の基端164とを有する。屈曲コイル120の連結部126は、チューブ160の支持部162に接続される。ここで本実施形態にかかる医療用処置具100をチューブ160の軸方向において屈曲コイル120側(図1(A)のB方向)から見た図を上面図(図1(B)、図5)とする。また、全体図(図1(A))、分解図(図1(C))、及び断面図(図2、図4)は、チューブ160の軸と垂直方向(図1(B)のA方向)から見た図である。
本実施形態において、円筒型のチューブ160は円筒軸方向の一端である支持部162において、屈曲コイル120の連結部126を屈曲コイル120の内側から回転可能に支持する。チューブ160の一端である支持部162は、屈曲コイル120の内側に差し込まれるように配置される。すなわち、チューブ160の円筒外側は、屈曲コイル120の内側と接している。しかしながら支持部162の屈曲コイル120を支持する形態及び形状はこれに限定されず、屈曲コイル120を回転可能に支持できればよい。例えば、円筒型のチューブ160は円筒軸方向の一端である支持部162において、屈曲コイル120の連結部126を屈曲コイル120の外側から支持してもよい。この場合、屈曲コイル120の連結部126は、チューブ160の一端である支持部162の内側に差し込まれるように配置される。さらに、支持部162は屈曲コイル120が接する円周方向に凸部を有してもよく、凸部において、屈曲コイル120の連結部126を先端部122とは反対側から支持してもよい。また、チューブ160の支持部162は、円筒型でなくてもよく、2本以上の支柱で屈曲コイル120を支持するような形状であってもよい。支持部162は、チューブ160と一体でなくてもよく、チューブ160に屈曲コイル120を連結する連結部材を取り付けてもよい。
チューブ160は、屈曲コイル120の巻き解け部128が位置する支持部162に、回転抑制部144を有する。後述する図20(A)に示すように、本実施形態において回転抑制部144は、支持部162の円筒側壁部に円形の開口部として配置される。しかしながらこれに限定されず、回転抑制部144の開口部は、円形状、多角形状、又はスリット状であってもよい。回転抑制部144の開口部は、屈曲コイル120の径より小さく、屈曲コイル120を形成する巻線の径よりも大きければどんな形状であってもよい。さらに回転抑制部144は、例えば、リング状、フック状、柱状であってもよい。回転抑制部144は、屈曲コイル120が支持部162に安定して支持され、巻き解け部128が掛かる形状であればよい。回転抑制部144の形状の詳細は、変形例1で後述する。
回転抑制部144には、屈曲コイル120の巻き解け部128が接している。本実施形態において屈曲コイル120の巻き解け部128側の端部130は、チューブ160の回転抑制部144を介して円筒内部空間に配置される。巻き解け部128が回転抑制部144と接触することにより、巻き解け部128より先の屈曲コイル120の部分は係止する。屈曲コイル120の端部130を、回転抑制部144とチューブ160の内部空間を介して、チューブ160の屈曲コイル120とは反対側の基端164側に移動させることで、屈曲コイル120は回転抑制部144で解け、解けた分だけ屈曲コイル120は回転する。
本実施形態において、屈曲コイル120の端部130は、回転抑制部144とチューブ160の内部空間を介して、チューブ160の基端164側に移動させる。しかしながらこれに限定されず、屈曲コイル120の端部130は、例えば、支持部162の屈曲コイル120を支持する形態、形状、および回転抑制部144の形状などによって、回転抑制部144を介してチューブ160の外側に配置してもよい。屈曲コイル120の端部130を、チューブ160の回転抑制部144を介して円筒外側においてチューブ160の基端164側に移動させることで、屈曲コイル120は回転抑制部144で解け、解けた分だけ屈曲コイル120は回転する。
屈曲コイル120は少なくとも2つの部分を有し、巻き解け部128側の第1のコイル120aの部分と、先端部122側の第2のコイル120bの部分とを含む。第1のコイル120aの部分と第2のコイル120bの部分を区別しない時には、屈曲コイル120という。本実施形態において、連結部126は第1のコイル120aであり、第1のコイル120aと隣接する先端部122側の屈曲コイル120は第2のコイル120bである。すなわち、屈曲コイル120は巻き解け部128と屈曲部124の間に少なくとも2つの部分を有し、巻き解け部128側の第1のコイル120aの部分と、屈曲部124側の第2のコイル120b’の部分とを有する。第1のコイル120aの部分のばね定数は、第2のコイル120bの部分のばね定数よりも小さい。屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動させるとき、第1のコイル120aの部分はばね定数が小さいことから、回転抑制部144で解けやすく、屈曲コイル120は回転する。第2のコイル120bの部分はばね定数が大きいことから、屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動させようとしても、回転抑制部144で解けず、屈曲コイル120は回転も止まる。
第1のコイル120aの部分のばね定数は小さいことから、屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動するとき、第1のコイル120aを容易に解くことができ、屈曲コイル120の回転を容易に制御することができる。第2のコイル120bの部分のばね定数は大きいことから、屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動しようとしても回転抑制部144で解けにくく、さらに屈曲部124の屈曲角度を維持することができる。第1のコイル120aの部分のばね定数と第2のコイル120bの部分のばね定数は、医療用処置具100として使用時にかかる抵抗に対して、形状を維持するだけの剛性を有し、且つ適度な弾性を有する範囲内で選択することができる。
本実施形態において支持部162と、第1のコイル120aの部分と、第2のコイル120bの部分のうち第1のコイル120aとの隣接部から屈曲部124までとの3つの円筒軸方向の長さはほぼ同じである。すなわち、連結部126は第1のコイル120aであり、連結部126と屈曲部124の間に、支持部162と円筒軸方向に同じ長さの第2のコイル120b’を有する。しかしながらこれに限定されず、連結部126と屈曲部124の間の第2のコイル120b’の部分が、支持部162より円筒軸方向に長くてもよい。屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動させるとき、第1のコイル120aの部分は解けやすいが、第2のコイル120bの部分で止まる。連結部126と屈曲部124の間の第2のコイル120b’の部分が、支持部162と円筒軸方向に同じ長さを有することで、第1のコイル120aの部分がすべて巻き解けても、支持部162が屈曲部124に接することを阻止することができる。これによって意図せず、屈曲コイル120の屈曲角度が変化することを抑制することができる。
図3は、図2の屈曲コイル120の巻き解け部128周辺における拡大断面図である。図3に示すように、本実施形態において屈曲コイル120は、金属の素線1をらせん状に密着巻きして形成された一次コイル10の中心軸をさらにらせん状に密着巻きした二重コイルである。屈曲コイル120は、先端部122、屈曲部124、及び連結部126において二重コイルを形成する。巻き解け部128から端部130までは一次コイル10に解かれた形状で、チューブ160の内部空間に配置される。屈曲コイル120は、回転抑制部144において解ける。屈曲コイル120は、金属の素線1を密着巻きして形成された中空の一次コイル10を密着巻きした二重コイルであるため、可撓性が高く、屈曲コイル120を容易に解くことができ、屈曲コイル120の回転を制御することができる。
隣接して配置された素線1は密着して一次コイル10を形成する。このため一次コイル10の表面は滑らかであり、回転抑制部144及びチューブ160の内部空間における移動時の摩擦を抑制することができる。隣接して配置された一次コイル10は密着して二重コイルを形成する。このため二重コイルである屈曲コイル120の表面は滑らかであり、屈曲コイル120の回転時の摩擦を抑制することができる。しかしながらこれに限定されず、図1(D)に示すように、屈曲コイル120が二重コイルである場合、隣接して配置された一次コイル10は無荷重時において離隔していてもよい。隣接して配置された一次コイル10間のピッチが大きくなるほど、屈曲コイル120を解くのに必要な力は小さくなり、解けた一次コイル10の長さ当たりの回転速度は抑制されることから、屈曲コイル120の回転をより精密に制御することができる。
本実施形態において屈曲コイル120は、金属の素線1を密着巻きして形成された一次コイル10を密着巻きした二重コイルを用いたが、屈曲コイル120の少なくとも一部は中実または中空の素線をらせん状に巻いた通常のコイルであってもよく、その場合、隣接して配置された素線は密着していてもよいし、隣接して配置された素線は無荷重時において離隔していてもよい。中実または中空の素線で形成されるコイルであっても、本実施形態の医療用処置具100と同様の動作をすることが可能である。さらに、屈曲コイル120の少なくとも連結部126に位置するコイルの部分が、金属の素線1を密着巻きして形成された一次コイル10を巻いた二重コイルであることで、屈曲コイル120を容易に解くことができ、屈曲コイル120の回転を制御することができる。
図1(A)に示すように、屈曲コイル120は、屈曲部124において中心軸136が屈曲している。このため屈曲部124の屈曲側(図1(A)のC側)は密着しているが、屈曲部124の伸張側(図1(A)のD側)は隣接して配置された一次コイル10が無荷重時において離隔している。屈曲部124における屈曲角度は、0°より大きく180°以下の範囲で適宜調整することができる。ここで屈曲角度とは、チューブ160の円筒軸方向に対する屈曲コイル120の屈曲部124のなす角度を示し、チューブ160の円筒軸方向に先端部122が位置する屈曲していない状態の角度を0°とする。
本実施形態において屈曲コイル120は、先端部122から連結部126の方向に右巻きである。このため屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動させることで、屈曲コイル120は回転抑制部144を支点に解けた分だけ、チューブ160の円筒軸方向の屈曲コイル120側(図1(A)B方向)から見て右回りに回転する(図1(B)のE方向)。屈曲コイル120が回転することで、屈曲部124の屈曲方向も回転する。すなわち屈曲コイル120が1周解けることで、屈曲方向はチューブ160の円筒軸方向の屈曲コイル120側(図1(A)B方向)から見て右回りに360°回転する。しかしながらこれに限定されず、屈曲コイル120は、先端部122から連結部126の方向に左巻きであってもよい。この場合、屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動させることで、屈曲コイル120は回転抑制部144を支点に解けた分だけ、チューブ160の円筒軸方向の屈曲コイル120側(図1(A)B方向)から見て左回りに回転する。屈曲コイル120が回転することで、屈曲部124の屈曲方向も回転する。すなわち屈曲コイル120が1周解けることで、屈曲方向はチューブ160の円筒軸方向の屈曲コイル120側(図1(A)B方向)から見て左回りに360°回転する。屈曲コイル120の端部130の位置を制御することで、屈曲コイル120の屈曲方向を制御することができる。ここで屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動させるとき、屈曲コイル120が回転する方向を、屈曲コイルの回転方向とする。
図1(B)に示すように、チューブ160の円筒軸方向の屈曲コイル120側(図1(A)のB方向)から見たときに、屈曲コイル120の先端部122は、屈曲コイルの回転方向(図1(B)のE方向)とは反対方向に湾曲していてもよい。本実施形態に係る屈曲コイル120は、先端部122から連結部126の方向に右巻きであり、チューブ160の円筒軸方向の屈曲コイル120側(図1(A)のB方向)から見たときに右回りに回転し、先端部122の中心軸136は屈曲コイルの回転方向と反対方向に湾曲していてもよい。いいかえると、本実施形態において屈曲コイル120は、連結部126から先端部122の方向に左巻きであり、屈曲コイルの先端部122から屈曲コイル120の中心軸136方向に見たときに、屈曲コイル120の中心軸136は連結部126から先端部122の方向に右側に湾曲していてもよい。屈曲コイル120の先端部122が屈曲コイルの回転方向と逆方向に湾曲していることで、医療用処置具100を体内の目的部位に挿入するとき、屈曲コイル120の先端部122に係る摩擦などの力の向きが屈曲コイル120を締める方向にかかる。これによって、屈曲コイル120の先端部122に係る摩擦などの力によって、屈曲コイル120が意図せず解けてしまうことを防止することができる。
本実施形態において屈曲コイル120は円筒型であり、先端部122の形状は開口している。しかしながらこれに限定されず、屈曲コイル120の先端部122の形状は、先端部に向かってコイルの径が縮小したテーパー形状であってもよく、先端部にキャップを備えてもよい。先端部122がこのような形状をとることによって、医療用処置具100を円滑に体内の目的部位に挿入することができ、また挿入部位を損傷させる可能性を低減することができる。
屈曲コイル120を構成する素線1に用いる金属としては、医療用に認可された金属であれば特に限定されるものではなく、例えば、白金、金、パラジウム、タングステン、タンタル、コバルト、ロジウム、チタン、それらの合金、ステンレス、ニッケル合金またはモリブデン合金から選択される。屈曲コイル120は、金属の素線1を密着巻きして形成された一次コイル10を密着巻きした二重コイルであるため、このように巻き付け可能な弾性係数や硬さを有する材料を用いる。
屈曲コイル120は、金属の素線1で形成された一次コイル10を密着巻きした二重コイルであるため、素線1の線径は10μm以上200μm以下であることが好ましい。線径が10μmよりも細くなると、強度が不足して、上述のような構造を形成することはできない。また、線径が200μmを超えると、二重コイルの径が大きくなり、血管などの挿入部位に挿入するのが困難となる。
本実施形態において屈曲コイル120は、金属の素線1を密着巻きして形成された一次コイル10を密着巻きした二重コイルを用いたが、屈曲コイル120は素線を巻いたコイルであってもよく、その場合、超弾性を有する金属の素線を用いてもよい。ここで超弾性を有する金属とは、少なくとも室温〜体温の温度範囲で応力を加え変形させても、応力を除くと再び元の形に戻る性質を有する金属をいう。構成する素線に用いる金属としては、医療用に認可された金属であれば特に限定されるものではなく、例えば、ニッケル―チタン合金を用いてもよい。素線の線径は50μm以上300μm以下であることが好ましい。線径が50μmよりも細くなると、強度が不足して、上述のような構造を形成することはできない。また、線径が300μmを超えると、コイルの径が大きくなり、血管などの挿入部位に挿入するのが困難となる。超弾性を有する金属の素線を用いて屈曲コイル120を形成することで、本実施形態の医療用処置具100と同様の動作をすることが可能となる。
医療用処置具100は、その挿入部位や用途によって、適したサイズおよび機能を有するものを適宜選択することができる。このため屈曲コイル120と、チューブ160とは、外径0.3mm以上10mm以下および内径0.1mm以上9.8mm以下の範囲で適宜選択することができる。屈曲コイル120と、チューブ160とは、中空である。後述する医療用処置具100の動作に影響しないかぎり、屈曲コイル120およびチューブ160の内部空間には様々な機能を有する機器が搭載可能である。屈曲コイル120およびチューブ160の内部空間には、例えば、コアとなるワイヤ、内視鏡、鉗子、はさみ、高周波スネア、または薬剤カートリッジなどを搭載してもよく、これらの複数を組み合わせて搭載してもよい。このような機器を搭載することで、医療用処置具100はカテーテル、ガイドワイヤ、薬剤等の注入機構、処置具として機能することができる。
本実施形態においてチューブ160は、説明を分かりやすくするため、短く直線的に図示した。しかしながらこれに限定されず、チューブ160の長さは200mm以上1800mm以下の範囲で適宜選択することができる。またチューブ160は、医療用処置具100として使用時にかかる抵抗に対して、十分な剛性を有し、且つ適度な弾性を有することができる。
[医療用処置具の動作の概要]
次に図4および図5を用いて、本実施形態に係る医療用処置具100の動作について詳細に説明する。図4は、本開示の一実施形態に係る医療用処置具100の動作を示す断面図である。図5は、本開示の一実施形態に係る医療用処置具100の動作を示す上面図である。
本実施形態に係る医療用処置具100を例えば、血管内に挿入する場合、先端部122側から血管内に挿入し、血流に従って医療用処置具100を軸方向に進行させる。このときチューブ160の基端164側は常に執刀医の手元で操作できる状態にある。医療用処置具100は可撓性を有するため、挿入部位が単純な形状を有するのであれば、医療用処置具100を進行方向に押し進めることで、挿入部位の形状に合わせて進行することができる。
しかしながら、医療用処置具100の先端が血管分岐などの複雑な構造に到達したとき、従来の医療用処置具では、執刀医の手元のチューブを回転することで先端を方向転換するしかなく、方向の制御が難しい。特に挿入経路が湾曲している場合、摩擦が大きくなることから、手元のチューブのトルクを先端に伝えることは容易ではない。
本実施形態に係る医療用処置具100は、屈曲コイル120の端部130を、チューブ160の基端164側に引っ張ることで、屈曲コイル120を回転させることができる。図4(B)に示すように、図4(A)の状態から屈曲コイル120の端部130を基端164側に1/4周長引っ張り、屈曲コイル120を1/4回転解くことで、屈曲コイル120は図5(A)から図5(B)に示すように、チューブ160の円筒軸方向の屈曲コイル120側から見たときに、右周りに90°回転する。図4(C)および図5(C)に示すように、屈曲コイル120の端部130をさらに1/4周長引っ張り、屈曲コイル120をさらに1/4回転解くことで、屈曲コイル120は右周りに計180°回転する。図4(D)および図5(D)に示すように、屈曲コイル120の端部130をさらに1/4周長引っ張り、屈曲コイル120をさらに1/4回転解くことで、屈曲コイル120は右周りに計270°回転する。図4(A)および図5(A)に示すように、屈曲コイル120をさらに1/4回転解くことで、屈曲コイル120は右周りに計360°回転し、1周して元の位置に戻る。屈曲コイル120は屈曲していることから、屈曲コイル120が右周りに計360°回転することで、屈曲方向も右周りに計360°回転し、屈曲コイル120はコイル1周分短くなる。ここで周長とは、コイル円周ではなく、1周分の巻き線の長さをいう。
図4および図5において屈曲コイル120は1/4周長ずつ引っ張り、1/4回転ずつ解き、90°ずつ回転する様態を示したが、これに限定されない。屈曲コイル120の端部130を引っ張る距離は適宜調整でき、屈曲コイル120の屈曲方向は任意の方向に制御することができる。
本実施形態に係る医療用処置具100は、医療用処置具100の先端が血管分岐などの複雑な構造に到達したときであっても、執刀医の手元の屈曲コイル120の端部130を引っ張ることで、屈曲コイル120を回転することができ、先端の屈曲方向を自由に制御することができる。したがって、迅速かつ安全に医療用処置具100の先端を体内の目的部位まで挿入することができ、患者および医師ともに負担が軽減される。
〈実施形態2〉
[医療用処置具の概要]
図6および図7を用いて、本開示の一実施形態に係る医療用処置具の構成及び構造を説明する。なお本実施形態は、屈曲コイル120とワイヤ132の構成以外は、本開示の実施形態1と本質的に同じであり、その繰り返しの説明は省略する。図6は、本開示の一実施形態に係る医療用処置具の(A)全体図、(B)上面図、および(C)分解図である。図7は、本開示の一実施形態に係る医療用処置具の断面図である。本実施形態に係る医療用処置具とは、例えば、カテーテル、ガイドワイヤ、または内視鏡用処置具などを示す。
図6および図7に示すように、医療用処置具200は、屈曲コイル120と、チューブ160と、を備える。屈曲コイル120は、先端部122、無荷重時において中心軸136が屈曲している屈曲部124、屈曲部124を介して先端部122とは反対側に配置された連結部126、及び連結部126側の巻き解け部128を有する。屈曲コイル120はさらに、先端部122に接続されたワイヤ132を有する。チューブ160は、屈曲コイル120を回転可能に支持する支持部162と、巻き解け部128と接する回転抑制部144と、支持部162とは反対側の基端164とを有する。屈曲コイル120の連結部126は、チューブ160の支持部162に接続される。ここで、本実施形態に係る医療用処置具200をチューブ160の軸方向において屈曲コイル120側(図6(A)のB方向)から見た図を上面図(図6(B)、図10)とする。また、全体図(図6(A))、分解図(図6(C))、及び断面図(図7、図8、図9)は、チューブ160の軸の垂直方向(図6(B)のA方向)から見た図である。
チューブ160は、屈曲コイル120の巻き解け部128が位置する支持部162に回転抑制部144を有する。回転抑制部144には、屈曲コイル120の巻き解け部128が接している。本実施形態において屈曲コイル120の巻き解け部128側の端部130は、チューブ160の回転抑制部144を介して円筒内部空間に配置される。巻き解け部128が回転抑制部144と接触することにより、巻き解け部128より先の屈曲コイル120の部分は係止する。屈曲コイル120の端部130を、回転抑制部144とチューブ160の内部空間を介して、チューブ160の屈曲コイル120とは反対側の基端164側に移動させることで、屈曲コイル120は回転抑制部144で解け、解けた分だけ屈曲コイル120は回転する。
本実施形態において、屈曲コイル120の端部130は、回転抑制部144とチューブ160の内部空間を介して、チューブ160の基端164側に移動させる。しかしながらこれに限定されず、屈曲コイル120の端部130は、例えば、支持部162の屈曲コイル120を支持する形態、形状、および回転抑制部144の形状などによって、回転抑制部144を介してチューブ160の外側に配置してもよい。屈曲コイル120の端部130を、チューブ160の回転抑制部144を介して円筒外側においてチューブ160の基端164側に移動させることで、屈曲コイル120は回転抑制部144で解け、解けた分だけ屈曲コイル120は回転する。
屈曲コイル120の伸張側に位置する先端部122には、ワイヤ132の一端が接続される。屈曲コイル120に接続されたワイヤ132は、屈曲コイル120およびチューブ160の内部空間に配置され、一端とは反対側の他端がチューブ160の基端164側に位置する。屈曲コイル120に接続されたワイヤ132を、屈曲コイル120およびチューブ160の内部空間を介して、チューブ160の基端164側に移動させることで、屈曲コイル120は屈曲部124の伸張側で収縮し、収縮した分だけ屈曲コイル120の屈曲角度が減少する。屈曲コイル120は弾性変形の範囲内で収縮することから、屈曲部124の伸張側では斥力が生じる。屈曲コイル120に接続されたワイヤ132を、屈曲コイル120およびチューブ160の内部空間を介して、屈曲コイル120側に移動させることで、屈曲コイル120の屈曲部124の伸張側は伸張し、伸張した分だけ屈曲コイル120の屈曲角度が増大する。
本実施形態において、ワイヤ132の他端は、屈曲コイル120およびチューブ160の内部空間を介して、チューブ160の基端164側に移動させる。しかしながらこれに限定されず、ワイヤ132の他端は、例えばチューブ160の開口部を介してチューブ160の外側に配置してもよい。ワイヤ132の他端を、チューブ160の開口部を介してチューブ160の基端164側に移動させることで、屈曲コイル120は屈曲部124の伸張側で収縮し、収縮した分だけ屈曲コイル120の屈曲角度が減少する。屈曲コイル120は弾性変形の範囲内で収縮することから、屈曲部124の伸張側では斥力が生じる。屈曲コイル120に接続されたワイヤ132を、屈曲コイル120およびチューブ160の開口部を介して、屈曲コイル120側に移動させることで、屈曲コイル120の屈曲部124の伸張側は伸張し、伸張した分だけ屈曲コイル120の屈曲角度が増大する。
本実施形態において、ワイヤ132の一端は、屈曲コイル120の伸張側に位置する先端部122に接続される。しかしながらこれに限定されず、ワイヤ132の一端は、例えば屈曲コイル120の屈曲側に位置する先端部122に接続されてもよい。またワイヤ132の一端は、屈曲コイル120の屈曲部124より先端部側に接続されれば、先端部122でなくてもよい。
屈曲コイル120は少なくとも2つの部分を有し、巻き解け部128側の第1のコイル120aの部分と、先端部122側の第2のコイル120bの部分とを含む。第1のコイル120aの部分と第2のコイル120bの部分を区別しない時には、屈曲コイル120という。本実施形態において、連結部126は第1のコイル120aであり、第1のコイル120aと隣接する先端部122側の屈曲コイル120は第2のコイル120bである。すなわち、屈曲コイル120は巻き解け部128と屈曲部124の間に少なくとも2つの部分を有し、巻き解け部128側の第1のコイル120aの部分と、屈曲部124側の第2のコイル120b’の部分とを有する。第1のコイル120aの部分のばね定数は、第2のコイル120bの部分のばね定数よりも小さい。屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動させるとき、第1のコイル120aの部分はばね定数が小さいことから、回転抑制部144で解けやすく、屈曲コイル120は回転する。第2のコイル120bの部分はばね定数が大きいことから、屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動させようとしても、回転抑制部144で解けず、屈曲コイル120は回転も止まる。
屈曲コイル120に接続されたワイヤ132をチューブ160の基端164側に移動させるとき、第2のコイル120bの部分は屈曲部124の伸張側で収縮し、収縮した分だけ屈曲コイル120の屈曲角度が減少する。第2のコイル120bは弾性変形の範囲内で収縮し、ばね定数が大きいことから、屈曲部124の伸張側では大きな斥力が生じる。第2のコイル120bの斥力を利用して、屈曲コイル120に接続されたワイヤ132を屈曲コイル120側に移動させることで、第2のコイル120bの部分の屈曲部124の伸張側は伸張し、伸張した分だけ屈曲コイル120の屈曲角度が増大する。
第1のコイル120aの部分のばね定数は小さいことから、屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動するとき、第1のコイル120aを容易に解くことができ、屈曲コイル120の回転を容易に制御することができる。第2のコイル120bの部分のばね定数は大きいことから、屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動しようとしても回転抑制部144で解けにくく、さらに屈曲部124の屈曲角度を維持することができる。第2のコイル120bの部分のばね定数は大きいことから、ワイヤ132をチューブ160の基端164側に移動させることで、屈曲部124の伸張側では大きな斥力が生じ、屈曲コイル120の屈曲角度を容易に制御することができる。第1のコイル120aの部分のばね定数と第2のコイル120bの部分のばね定数は、医療用処置具100として使用時にかかる抵抗に対して、形状を維持するだけの剛性を有し、且つ適度な弾性を有する範囲内で選択することができる。
本実施形態において支持部162と、第1のコイル120aの部分と、第2のコイル120bの部分のうち第1のコイル120aとの隣接部から屈曲部124までとの3つの円筒軸方向の長さはほぼ同じである。すなわち、連結部126は第1のコイル120aであり、連結部126と屈曲部124の間に、支持部162と円筒軸方向に同じ長さの第2のコイル120b’を有する。しかしながらこれに限定されず、連結部126と屈曲部124の間の第2のコイル120b’の部分が、支持部162より円筒軸方向に長くてもよい。屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動させるとき、第1のコイル120aの部分は解けやすいが、第2のコイル120bの部分で止まる。連結部126と屈曲部124の間の第2のコイル120b’の部分が、支持部162と円筒軸方向に同じ長さを有することで、第1のコイル120aの部分がすべて巻き解けても、支持部162が屈曲部124に接することを阻止することができる。これによって意図せず、屈曲コイル120の屈曲角度が変化することを抑制することができる。
本実施形態において屈曲コイル120は、金属の素線1をらせん状に密着巻きして形成された一次コイル10の中心軸をさらにらせん状に巻いた二重コイルである。屈曲コイル120は先端部122および屈曲部124において、一次コイル10を密着巻きした二重コイルを形成する。屈曲コイル120は連結部126において、隣接して配置された一次コイル10が無荷重時において離隔しているピッチ巻きした二重コイルを形成する。巻き解け部128から端部130までは一次コイル10に解かれた形状で、チューブ160の内部空間に配置される。屈曲コイル120は、回転抑制部144において解ける。屈曲コイル120は、金属の素線1を密着巻きして形成された中空の一次コイル10を巻いた二重コイルであるため、可撓性が高く、屈曲コイル120を容易に解くことができ、屈曲コイル120の回転を制御することができる。
隣接して配置された素線1は密着して一次コイル10を形成する。このため一次コイル10の表面は滑らかであり、回転抑制部144及びチューブ160の内部空間における移動時の摩擦を抑制することができる。屈曲コイル120は連結部126において、隣接して配置された一次コイル10が無荷重時において離隔した二重コイルを形成する。隣接して配置された一次コイル10間のピッチが大きくなるほど、屈曲コイル120を解くのに必要な力は小さくなり、解けた一次コイル10の長さ当たりの回転速度は抑制されることから、屈曲コイル120の回転をより精密に制御することができる。さらにワイヤ132の他端をチューブ160の基端164側に移動させるとき、屈曲コイル120の屈曲部124での収縮が連結部126にも分散されることから、屈曲コイル120の屈曲角度をより精密に制御することができる。しかしながらこれに限定されず、屈曲コイル120が二重コイルである場合、連結部126における隣接して配置された一次コイル10は密着していてもよい。隣接して配置された一次コイル10が密着して二重コイルを形成することで、屈曲コイル120の表面は滑らかであり、屈曲コイル120の回転時の摩擦を抑制することができる。
本実施形態において屈曲コイル120は、金属の素線1を密着巻きして形成された一次コイル10を巻いた二重コイルを用いたが、屈曲コイル120の少なくとも一部は中実または中空の素線をらせん状に巻いた通常のコイルであってもよく、その場合、隣接して配置された素線は密着していてもよいし、隣接して配置された素線は無荷重時において離隔していてもよい。中実または中空の素線で形成されるコイルであっても、本実施形態の医療用処置具200と同様の動作をすることが可能である。さらに、屈曲コイル120の少なくとも連結部126側に位置するコイルの部分が、金属の素線1を密着巻きして形成された一次コイル10を巻いた二重コイルであることで、屈曲コイル120を容易に解くことができ、屈曲コイル120の回転を制御することができる。
図6(A)に示すように、屈曲コイル120は、屈曲部124において中心軸136が屈曲している。このため屈曲部124の屈曲側(図6(A)のC側)は密着しているが、屈曲部124の伸張側(図6(A)のD側)は隣接して配置された一次コイル10が無荷重時において離隔している。屈曲部124における屈曲角度は、0°より大きく180°以下の範囲で適宜調整することができる。
本実施形態においてチューブ160は、説明を分かりやすくするため、短く直線的に図示した。しかしながらこれに限定されず、チューブ160の長さは200mm以上1800mm以下の範囲で適宜選択することができる。またチューブ160は、医療用処置具200として使用時にかかる抵抗に対して、十分な剛性を有し、且つ適度な弾性を有することができる。
[医療用処置具の動作の概要]
次に図8、図9、及び図10を用いて、本実施形態に係る医療用処置具200の動作について詳細に説明する。図8及び図9は、本開示の一実施形態に係る医療用処置具200の動作を示す断面図である。図10は、本開示の一実施形態に係る医療用処置具200の動作を示す上面図である。
本実施形態に係る医療用処置具200は、ワイヤ132の他端をチューブ160の基端164側に引っ張ることで、屈曲コイル120の屈曲角度を制御することができる。図8(B)に示すように、図8(A)の状態からワイヤ132の他端を基端164側に引っ張ることで、屈曲コイル120は屈曲部124の伸張側および連結部126で収縮し、屈曲部124で収縮した分だけ屈曲コイル120の屈曲角度が減少する。屈曲コイル120は弾性変形の範囲内で収縮することから、屈曲部124の伸張側では斥力が生じる。図8(C)に示すように、ワイヤ132の他端をさらに基端164側に引っ張ることで、屈曲コイル120は屈曲部124の伸張側および連結部126で収縮し、屈曲部124で収縮した分だけ屈曲コイル120の屈曲角度がさらに減少する。屈曲コイル120は弾性変形の範囲内で収縮することから、屈曲部124の伸張側ではさらに斥力が生じる。
図8(D)に示すように、ワイヤ132を引っ張る力を緩めることで、屈曲コイル120は屈曲部124の伸張側および連結部126で伸張し、屈曲部124で伸張した分だけ屈曲コイル120の屈曲角度が増大する。屈曲部124の伸張側の斥力は、屈曲コイル120が伸張した分だけ緩和される。このとき、ワイヤ132の他端の位置も屈曲コイル120が伸張する分、屈曲コイル120側に移動する。図8(E)に示すように、ワイヤ132を引っ張る力をさらに緩めることで、屈曲コイル120は屈曲部124の伸張側および連結部126で伸張し、屈曲部124で伸張した分だけ屈曲コイル120の屈曲角度がさらに増大して元の屈曲角度に戻る。屈曲部124の伸張側の斥力は、解消される。このときワイヤ132の他端の位置は、屈曲コイル120が伸張する分、屈曲コイル120側に移動して元の位置に戻る。
ワイヤ132による屈曲コイル120の屈曲角度の増減は、屈曲コイル120の弾性変形の範囲内で行われることから、繰り返すことができる。図8において屈曲コイル120のワイヤ132は2段階に引っ張り、2段階に緩めたが、これに限定されない。屈曲コイル120のワイヤ132を引っ張る距離は適宜調整でき、屈曲コイル120の屈曲角度は任意の角度に制御することができる。
本実施形態に係る医療用処置具200は、屈曲コイル120の端部130を、チューブ160の基端164側に引っ張ることで、屈曲コイル120を回転させることができる。図9(B)に示すように、図9(A)の状態から屈曲コイル120の端部130を基端164側に1/4周長引っ張り、屈曲コイル120を1/4回転解くことで、屈曲コイル120は図10(A)から図10(B)に示すように、チューブ160の円筒軸方向の屈曲コイル120側から見たときに、右周りに90°回転する。図9(C)および図10(C)に示すように、屈曲コイル120の端部130をさらに1/4周長引っ張り、屈曲コイル120をさらに1/4回転解くことで、屈曲コイル120は右周りに計180°回転する。図9(D)および図10(D)に示すように、屈曲コイル120の端部130をさらに1/4周長引っ張り、屈曲コイル120をさらに1/4回転解くことで、屈曲コイル120は右周りに計270°回転する。図9(A)および図10(A)に示すように、屈曲コイル120をさらに1/4回転解くことで、屈曲コイル120は右周りに計360°回転し、1周して元の位置に戻る。屈曲コイル120は屈曲していることから、屈曲コイル120が右周りに計360°回転することで、屈曲方向も右周りに計360°回転し、屈曲コイル120はコイル1周分短くなる。ここで周長とは、コイル円周ではなく、1周分の巻き線の長さをいう。
図9および図10において屈曲コイル120は1/4周長ずつ引っ張り、1/4回転ずつ解き、90°ずつ回転する様態を示したが、これに限定されない。屈曲コイル120の端部130を引っ張る距離は適宜調整でき、屈曲コイル120の屈曲方向は任意の方向に制御することができる。
本実施形態に係る医療用処置具200は、医療用処置具200の先端が血管分岐などの複雑な構造に到達したときであっても、執刀医の手元の屈曲コイル120のワイヤ132を引っ張ることで、屈曲コイル120の屈曲角度を自由に制御することができる。屈曲コイル120の端部130を引っ張ることで、屈曲コイル120を回転することができ、先端の屈曲方向を自由に制御することができる。したがって、迅速かつ安全に医療用処置具200の先端を体内の目的部位まで挿入することができ、患者および医師ともに負担が軽減される。
〈実施形態3〉
[医療用処置具の概要]
図11および図12を用いて、本開示の一実施形態に係る医療用処置具の構成及び構造を説明する。なお、本実施形態において、本開示の実施形態1と同じである部分は、その繰り返しの説明は省略する。図11は、本開示の一実施形態に係る医療用処置具の(A)全体図、(B)上面図、および(C)分解図である。図12は、本開示の一実施形態に係る医療用処置具の断面図である。本実施形態に係る医療用処置具とは、例えば、カテーテル、ガイドワイヤ、または内視鏡用処置具などを示す。
図11および図12に示すように、医療用処置具500は、屈曲コイル120と、チューブ160と、を備える。屈曲コイル120は、先端部122、無荷重時において中心軸136が屈曲している屈曲部124、屈曲部124を介して先端部122とは反対側に配置された連結部126、及び連結部126側の巻き解け部128を有する。屈曲コイル120はさらに、巻き解け部128から離隔して、連結部126に位置する固定部138を有する。チューブ160は、可撓性を有し、屈曲コイル120を回転可能に支持する支持部162と、巻き解け部128と接する回転抑制部144と、支持部162とは反対側の基端164とを有する。チューブ160はさらに、固定部138と接続し、固定部138から巻き解け部128までの屈曲コイル120の長さを保持する固定端部148を有する。屈曲コイル120の連結部126は、チューブ160の支持部162に接続される。ここで、本実施形態に係る医療用処置具500をチューブ160の軸方向において屈曲コイル120側(図11(A)のB方向)から見た図を上面図(図11(B)、図14)とする。また、全体図(図11(A))、分解図(図11(C))、及び断面図(図12、図13)は、チューブ160の軸の垂直方向(図11(B)のA方向)から見た図である。
本実施形態において、円筒型のチューブ160は円筒軸方向の一端である支持部162において、屈曲コイル120の連結部126を屈曲コイル120の内側から回転可能に支持する。チューブ160の一端である支持部162は、屈曲コイル120の内側に差し込まれるように配置される。すなわち、チューブ160の円筒外側は、屈曲コイル120の内側と接している。しかしながら支持部162の屈曲コイル120を支持する形態及び形状はこれに限定されず、屈曲コイル120を回転可能に支持できればよい。例えば、円筒型のチューブ160は円筒軸方向の一端である支持部162において、屈曲コイル120の連結部126を屈曲コイル120の外側から支持してもよい。この場合、屈曲コイル120の連結部126は、チューブ160の一端である支持部162の内側に差し込まれるように配置される。さらに、支持部162は屈曲コイル120が接する円周方向に凸部を有してもよく、凸部において、屈曲コイル120の連結部126を先端部122とは反対側から支持してもよい。また、チューブ160の支持部162は、円筒型でなくてもよく、2本以上の支柱で屈曲コイル120を支持するような形状であってもよい。支持部162は、チューブ160と一体でなくてもよく、チューブ160に屈曲コイル120を連結する連結部材を取り付けてもよい。
チューブ160は、屈曲コイル120の固定部138が位置する支持部162に固定端部148を有する。固定端部148は、固定部138と接続し、固定部138から巻き解け部128までの屈曲コイル120の長さを保持する。固定端部148に接続する屈曲コイル120の固定部138が回転すると、支持部162は可撓性を有することから、支持部162が捩じれて固定端部148は回転する。さらに、支持部162は弾性を有することから、後述する第2のコイル120b’とともに、再び元の状態に戻る性質を有する。本実施形態において固定端部148は、チューブ160の基端164とは反対側の一端に位置する。すなわち支持部162は、屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128までと、円筒軸方向においてほぼ同じ長さを有する。しかしながらこれに限定されず、固定端部148は、屈曲コイル120が解けて回転したとき、固定部138から巻き解け部128までの屈曲コイル120の長さを保持でき、固定端部148が少なくとも360°回転可能な位置であればよい。
チューブ160は、屈曲コイル120の巻き解け部128が位置する支持部162に、回転抑制部144を有する。回転抑制部144には、屈曲コイル120の巻き解け部128が接している。屈曲コイル120の巻き解け部128側の端部130は、チューブ160の回転抑制部144を介して円筒内部空間に配置される。巻き解け部128が回転抑制部144と接触することにより、巻き解け部128より先の屈曲コイル120の部分は係止する。さらに屈曲コイル120の固定部138は、支持部162の固定端部148に接続する。屈曲コイル120の端部130を、回転抑制部144とチューブ160の内部空間を介して、チューブ160の屈曲コイル120とは反対側の基端164側に移動させることで、屈曲コイル120は回転抑制部144で解け、解けた分だけ屈曲コイル120は回転する。屈曲コイル120の固定部138が支持部162の固定端部148に接続していることから、屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128は屈曲コイル120が解けた分だけ伸張する。屈曲コイル120は弾性変形の範囲内で伸張することから、屈曲コイル120の固定部138から端部130の間で引力が生じる。屈曲コイル120の端部130を、回転抑制部144とチューブ160の内部空間を介して、チューブ160の屈曲コイル120側に移動させることで、屈曲コイル120は回転抑制部144で巻き戻り、巻き戻った分だけ屈曲コイル120は回転する。
本実施形態において、屈曲コイル120の端部130は、回転抑制部144とチューブ160の内部空間を介して、チューブ160の基端164側に移動させる。しかしながらこれに限定されず、屈曲コイル120の端部130は、例えば、支持部162の屈曲コイル120を支持する形態、形状、および回転抑制部144の形状などによって、回転抑制部144を介してチューブ160の外側に配置してもよい。屈曲コイル120の端部130を、チューブ160の回転抑制部144を介して円筒外側においてチューブ160の基端164側に移動させることで、屈曲コイル120は回転抑制部144で解け、解けた分だけ屈曲コイル120は回転する。屈曲コイル120の固定部138が支持部162の固定端部148に接続していることから、屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128は屈曲コイル120が解けた分だけ伸張する。屈曲コイル120は弾性変形の範囲内で伸張することから、屈曲コイル120の固定部138から端部130の間で引力が生じる。屈曲コイル120の端部130を、回転抑制部144介して、円筒外側においてチューブ160の屈曲コイル120側に移動させることで、屈曲コイル120は回転抑制部144で巻き戻り、巻き戻った分だけ屈曲コイル120は回転する。
屈曲コイル120は、固定部138を有する。固定部138は、支持部162の固定端部148に接続する。固定部138は、巻き解け部128から離隔した連結部126に位置する。本実施形態において固定部138は、連結部126の巻き解け部とは反対側の屈曲部124側に位置する。しかしながらこれに限定されず、固定部138は、巻き解け部128で屈曲コイル120が解けて回転したとき、固定部138から巻き解け部128までの屈曲コイル120が弾性変形の範囲内で伸縮可能な位置であればよい。
屈曲コイル120は少なくとも2つの部分を有し、巻き解け部128側の第1のコイル120aの部分と、先端部122側の第2のコイル120bの部分とを含む。第1のコイル120aの部分と第2のコイル120bの部分を区別しない時には、屈曲コイル120という。本実施形態において、連結部126は少なくとも2つの部分を有し、巻き解け部128側の第1のコイル120aの部分と、第1のコイル120aと隣接する屈曲部124側の第2のコイル120b’の部分とを有する。すなわち、屈曲コイル120は巻き解け部128と固定部138の間に少なくとも2つの部分を有し、巻き解け部128側の第1のコイル120aの部分と、屈曲部124側の第2のコイル120b’の部分とを有する。第1のコイル120aの部分と第2のコイル120bの部分は、接合部140において逆巻きに接続する。さらに本実施形態において、第1のコイル120aの部分のばね定数は、第2のコイル120bの部分のばね定数よりも小さい。本実施形態において、第1のコイル120aの部分は先端部122から連結部126の方向に左巻きであり、第2のコイル120bの部分は先端部122から連結部126の方向に右巻きである。接合部140は、固定部138から巻き解け部128の間に位置する。すなわち屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128の間には少なくとも2つの部分を有し、巻き解け部128側の第1のコイル120aの部分と、固定部138側の第2のコイル120b’の部分を有する。本実施形態において、第2のコイル120bは一体で示したがこれに限定されない。第2のコイル120bは固定部138の部分で別体に分かれていてもよい。
屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動させるとき、第1のコイル120aの部分はばね定数が小さいことから、回転抑制部144で解けやすく、屈曲コイル120は回転する。屈曲コイル120の固定部138が支持部162の固定端部148に接続していることから、支持部162の固定端部148は屈曲コイル120とともに回転し、支持部162は捩じれる。屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128は屈曲コイル120が解けた分だけ弾性変形の範囲内で軸方向に伸張する。屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128が軸方向に伸張することで、第1のコイル120aの部分には径の縮小方向に力がかかり、第2のコイル120b’の部分には径の拡張方向に力がかかる。第1のコイル120aの部分と第2のコイル120b’の部分とが逆巻きに接続することから、屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128が軸方向に伸張しても、固定部138から巻き解け部128の径の大きさは変わらない。屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128が軸方向に伸張するとき、第2のコイル120bの部分はばね定数が大きいことから、第2のコイル120b’の部分は軸方向に大きな引力を生じる。第2のコイル120b’の部分はばね定数が大きいことから、屈曲コイル120の端部130をさらにチューブ160の基端164側に移動させようとしても、回転抑制部144で解けず、屈曲コイル120は回転も止まる。第2のコイル120b’の引力を利用して、屈曲コイル120の端部130を屈曲コイル120側に移動させることで、第2のコイル120b’の部分は軸方向に収縮し、第1のコイル120aの部分は回転抑制部144で巻き戻り、巻き戻った分だけ屈曲コイル120は回転する。
第1のコイル120aの部分のばね定数は小さいことから、屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動するとき、第1のコイル120aを容易に解くことができ、屈曲コイル120の回転を容易に制御することができる。さらに第2のコイル120bの部分のばね定数は大きいことから、屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動させることで、固定部138から巻き解け部128のうちの第2のコイル120b’の部分には大きな引力が生じ、屈曲コイル120の回転を容易に制御することができる。第1のコイル120aの部分と第2のコイル120bの部分とが逆巻きに接続することから、屈曲コイル120の固定部138を支持部162の固定端部148に固定した状態で固定部138から巻き解け部128を伸張しても、屈曲コイル120の径が縮小することを抑制することができる。第2のコイル120bの部分のばね定数は大きいことから、屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側にさらに移動しようとしても回転抑制部144で解けにくく、さらに屈曲部124の屈曲角度を維持することができる。第1のコイル120aの部分のばね定数と第2のコイル120bの部分のばね定数は、医療用処置具100として使用時にかかる抵抗に対して、形状を維持するだけの剛性を有し、且つ適度な弾性を有する範囲内で選択することができる。
本実施形態において屈曲コイル120は、金属の素線1をらせん状に密着巻きして形成された一次コイル10の中心軸をさらにらせん状に密着巻きした二重コイルである。屈曲コイル120は、先端部122、屈曲部124、及び連結部126において二重コイルを形成する。巻き解け部128から端部130までは一次コイル10に解かれた形状で、チューブ160の内部空間に配置される。屈曲コイル120は、回転抑制部144において解ける。屈曲コイル120は、金属の素線1を密着巻きして形成された中空の一次コイル10を密着巻きした二重コイルであるため、可撓性が高く、屈曲コイル120を容易に解くことができ、屈曲コイル120の回転を制御することができる。
隣接して配置された素線1は密着して一次コイル10を形成する。このため一次コイル10の表面は滑らかであり、回転抑制部144及びチューブ160の内部空間における移動時の摩擦を抑制することができる。隣接して配置された一次コイル10は密着して二重コイルを形成する。このため二重コイルである屈曲コイル120の表面は滑らかであり、屈曲コイル120の回転時の摩擦を抑制することができる。しかしながらこれに限定されず、屈曲コイル120が二重コイルである場合、隣接して配置された一次コイル10は無荷重時において離隔していてもよい。隣接して配置された一次コイル10間のピッチが大きくなるほど、屈曲コイル120を解くのに必要な力は小さくなり、解けた一次コイル10の長さ当たりの回転速度は抑制されることから、屈曲コイル120の回転をより精密に制御することができる。
本実施形態において屈曲コイル120は、金属の素線1を密着巻きして形成された一次コイル10を密着巻きした二重コイルを用いたが、屈曲コイル120の少なくとも一部は中実または中空の素線をらせん状に巻いた通常のコイルであってもよく、その場合、隣接して配置された素線1は密着していてもよいし、隣接して配置された素線1は無荷重時において離隔していてもよい。中実または中空の素線で形成されるコイルであっても、本実施形態の医療用処置具500と同様の動作をすることが可能である。さらに、屈曲コイル120の少なくとも連結部126に位置するコイルの部分が、金属の素線1を密着巻きして形成された一次コイル10を巻いた二重コイルであることで、屈曲コイル120を容易に解くことができ、屈曲コイル120の回転を制御することができる。
図11(A)に示すように、屈曲コイル120は、屈曲部124において中心軸136が屈曲している。このため屈曲部124の屈曲側(図11(A)のC側)は密着しているが、屈曲部124の伸張側(図11(A)のD側)は隣接して配置された一次コイル10が無荷重時において離隔している。屈曲部124における屈曲角度は、0°より大きく180°以下の範囲で適宜調整することができる。
本実施形態において屈曲コイル120は、第1のコイル120aの部分が先端部122から連結部126の方向に左巻きであり、第2のコイル120bの部分が先端部122から連結部126の方向に右巻きである。このため屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動させることで、屈曲コイル120は回転抑制部144を支点に解けた分だけ、チューブ160の円筒軸方向の屈曲コイル120側(図11(A)のB方向)から見て左回りに回転する(図11(B)のE方向)。屈曲コイル120が回転することで、屈曲部124の屈曲方向も回転する。すなわち屈曲コイル120が半周解けることで、屈曲方向はチューブ160の円筒軸方向の屈曲コイル120側(図11(A)のB方向)から見て左回りに180°回転する。しかしながらこれに限定されず、屈曲コイル120は、第1のコイル120aの部分が先端部122から連結部126の方向に右巻きであり、第2のコイル120bの部分が先端部122から連結部126の方向に左巻きであってもよい。この場合、屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動させることで、屈曲コイル120は回転抑制部144を支点に解けた分だけ、チューブ160の円筒軸方向の屈曲コイル120側(図11(A)のB方向)から見て右回りに回転する。屈曲コイル120が回転することで、屈曲部124の屈曲方向も回転する。すなわち屈曲コイル120が半周解けることで、屈曲方向はチューブ160の円筒軸方向の屈曲コイル120側(図11(A)のB方向)から見て右回りに180°回転する。屈曲コイル120の端部130の位置を制御することで、屈曲コイル120の屈曲方向を制御することができる。また、固定端部148の形状と、屈曲コイル120の弾性変形の範囲内で屈曲方向は180°以上回転してもよい。ここで屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動させるとき、屈曲コイル120が回転する方向を、屈曲コイルの回転方向とする。
図11(B)に示すように、チューブ160の円筒軸方向の屈曲コイル120側(図11(A)のB方向)から見たときに、屈曲コイル120の先端部122は、屈曲コイルの回転方向(図11(B)のE方向)と同じ方向に湾曲していてもよい。本実施形態に係る屈曲コイル120は、第1のコイル120aの部分が先端部122から連結部126の方向に左巻きであり、第2のコイル120bの部分が先端部122から連結部126の方向に右巻きである。屈曲コイル120は、チューブ160の円筒軸方向の屈曲コイル120側(図11(A)のB方向)から見たときに左回りに回転し、先端部122の中心軸136は屈曲コイルの回転方向と同じ方向に湾曲していてもよい。いいかえると、本実施形態において第2のコイル120bの部分は、連結部126から先端部122の方向に左巻きであり、屈曲コイルの先端部122の方向から見たときに、屈曲コイル120の中心軸136は連結部126から先端部122の方向に右側に湾曲していてもよい。屈曲コイル120の先端部122が屈曲コイルの回転方向と同じ方向に湾曲していることで、医療用処置具500を体内の目的部位に挿入するとき、屈曲コイル120の先端部122に係る摩擦などの力の向きが第2のコイル120bの部分を締める方向にかかる。これによって、屈曲コイル120の先端部122に係る摩擦などの力によって、第2のコイル120bの部分が意図せず解けてしまうことを防止することができる。
本実施形態においてチューブ160は、説明を分かりやすくするため、短く直線的に図示した。しかしながらこれに限定されず、チューブ160の長さは200mm以上1800mm以下の範囲で適宜選択することができる。またチューブ160は、医療用処置具500として使用時にかかる抵抗に対して、十分な剛性を有し、且つ適度な弾性を有することができる。特に支持部162は、固定端部148から回転抑制部144までの軸方向における長さを保持するのに十分な剛性を有し、且つ固定端部148の回転を許容するため適度な弾性を有することができる。
[医療用処置具の動作の概要]
次に図13および図14を用いて、本実施形態に係る医療用処置具500の動作について詳細に説明する。図13は、本開示の一実施形態に係る医療用処置具500の動作を示す断面図である。図14は、本開示の一実施形態に係る医療用処置具500の動作を示す上面図である。
本実施形態に係る医療用処置具500は、屈曲コイル120の端部130を、チューブ160の基端164側に引っ張ることで、屈曲コイル120を回転させることができる。図13(B)に示すように、図13(A)の状態から屈曲コイル120の端部130を基端164側に1/4周長引っ張り、屈曲コイル120を1/4回転解くことで、屈曲コイル120は図14(A)から図14(B)に示すように、チューブ160の円筒軸方向の屈曲コイル120側から見たときに、左周りに90°回転する。屈曲コイル120の固定部138が支持部162の固定端部148に接続していることから、屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128は、屈曲コイル120が解けた分だけ伸張する。屈曲コイル120は弾性変形の範囲内で伸張することから、屈曲コイル120の固定部138から端部130の間で引力が生じる。図13(C)および図14(C)に示すように、屈曲コイル120の端部130をさらに1/4周長引っ張り、屈曲コイル120をさらに1/4回転解くことで、屈曲コイル120は左周りに計180°回転する。屈曲コイル120の固定部138が支持部162固定端部148に接続していることから、屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128は、屈曲コイル120が解けた分だけさらに伸張する。屈曲コイル120は弾性変形の範囲内で伸張することから、屈曲コイル120の固定部138から端部130の間でさらに引力が生じる。
図13(D)および図14(D)に示すように、屈曲コイル120の端部130を引っ張る力を緩めることで、屈曲コイル120は1/4回転巻き戻り、屈曲コイル120は、チューブ160の円筒軸方向の屈曲コイル120側から見たときに、右周りに90°回転する。屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128は、屈曲コイル120が巻き戻った分だけ収縮する。屈曲コイル120の固定部138から端部130の間の引力は、屈曲コイル120が巻き戻った分だけ緩和される。図13(E)および図14(E)に示すように、屈曲コイル120を引っ張る力をさらに緩めることで、屈曲コイル120は1/4回転巻き戻り、屈曲コイル120は右周りに計180°回転してもとの位置に戻る。屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128は、屈曲コイル120が巻き戻った分だけ収縮してもとの位置に戻る。屈曲コイル120の固定部138から端部130の間の引力は解消される。ここで周長とは、コイル円周ではなく、1周分の巻き線の長さをいう。
図13および図14において屈曲コイル120は1/4周長ずつ引っ張り、1/4回転ずつ解き、90°ずつ回転する様態、および1/4周長ずつ緩め、1/4回転ずつ巻き戻し、90°ずつ回転する様態を示したが、これに限定されない。屈曲コイル120の端部130を引っ張る距離は適宜調整でき、屈曲コイル120の屈曲方向は任意の方向に制御することができる。また本実施形態において屈曲コイル120の固定部138は、支持部162の固定端部148に接続する。支持部162の固定端部148は360°回転可能であり、このため屈曲コイル120の屈曲方向は360°任意の方向に制御することができる。
本実施形態に係る医療用処置具500は、医療用処置具500の先端が血管分岐などの複雑な構造に到達したときであっても、執刀医の手元の屈曲コイル120の端部130を引っ張ることで、屈曲コイル120を回転することができ、先端の屈曲方向を自由に制御することができる。したがって、迅速かつ安全に医療用処置具500の先端を体内の目的部位まで挿入することができ、患者および医師ともに負担が軽減される。
〈実施形態4〉
[医療用処置具の概要]
図15および図16を用いて、本開示の一実施形態に係る医療用処置具の構成及び構造を説明する。なお本実施形態は、屈曲コイル120とワイヤ132の構成以外は、本開示の実施形態3と本質的に同じであり、その繰り返しの説明は省略する。また本実施形態において、本開示の実施形態1と同じである部分は、その繰り返しの説明は省略する。図15は、本開示の一実施形態に係る医療用処置具の(A)全体図、(B)上面図、および(C)分解図である。図16は、本開示の一実施形態に係る医療用処置具の断面図である。本実施形態に係る医療用処置具とは、例えば、カテーテル、ガイドワイヤ、または内視鏡用処置具などを示す。
図15および図16に示すように、医療用処置具600は、屈曲コイル120と、チューブ160と、を備える。屈曲コイル120は、先端部122、無荷重時において中心軸136が屈曲している屈曲部124、屈曲部124を介して先端部122とは反対側に配置された連結部126、連結部126側の巻き解け部128、及び巻き解け部128から離隔して、連結部126に位置する固定部138を有する。屈曲コイル120はさらに、先端部122に接続されたワイヤ132を有する。チューブ160は、可撓性を有し、屈曲コイル120を回転可能に支持する支持部162、巻き解け部128と接する回転抑制部144、支持部162とは反対側の基端164、及び固定部138と接続し、固定部138から巻き解け部128までの屈曲コイル120の長さを保持する固定端部148を有する。屈曲コイル120の連結部126は、チューブ160の支持部162に接続される。ここで、本実施形態に係る医療用処置具600をチューブ160の軸方向において屈曲コイル120側(図15(A)のB方向)から見た図を上面図(図15(B)、図19)とする。また、全体図(図15(A))、分解図(図15(C))、及び断面図(図16、図17、図18)は、チューブ160の軸の垂直方向(図15(B)のA方向)から見た図である。
チューブ160は、屈曲コイル120の巻き解け部128が位置する支持部162に回転抑制部144を有する。回転抑制部144には、屈曲コイル120の巻き解け部128が接している。本実施形態において屈曲コイル120の巻き解け部128側の端部130は、チューブ160の回転抑制部144を介して円筒内部空間に配置される。巻き解け部128が回転抑制部144と接触することにより、巻き解け部128より先の屈曲コイル120の部分は係止する。さらに屈曲コイル120の固定部138は、支持部162の固定端部148に接続する。屈曲コイル120の端部130を、回転抑制部144とチューブ160の内部空間を介して、チューブ160の屈曲コイル120とは反対側の基端164側に移動させることで、屈曲コイル120は回転抑制部144で解け、解けた分だけ屈曲コイル120は回転する。屈曲コイル120の固定部138が支持部162の固定端部148に接続していることから、屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128は屈曲コイル120が解けた分だけ伸張する。屈曲コイル120は弾性変形の範囲内で伸張することから、屈曲コイル120の固定部138から端部130の間で引力が生じる。屈曲コイル120の端部130を、回転抑制部144とチューブ160の内部空間を介して、チューブ160の屈曲コイル120側に移動させることで、屈曲コイル120は回転抑制部144で巻き戻り、巻き戻った分だけ屈曲コイル120は回転する。
本実施形態において、屈曲コイル120の端部130は、回転抑制部144とチューブ160の内部空間を介して、チューブ160の基端164側に移動させる。しかしながらこれに限定されず、屈曲コイル120の端部130は、例えば、支持部162の屈曲コイル120を支持する形態、形状、および回転抑制部144の形状などによって、回転抑制部144を介してチューブ160の外側に配置してもよい。屈曲コイル120の端部130を、チューブ160の回転抑制部144を介して円筒外側においてチューブ160の基端164側に移動させることで、屈曲コイル120は回転抑制部144で解け、解けた分だけ屈曲コイル120は回転する。屈曲コイル120の固定部138が支持部162の固定端部148に接続していることから、屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128は屈曲コイル120が解けた分だけ伸張する。屈曲コイル120は弾性変形の範囲内で伸張することから、屈曲コイル120の固定部138から端部130の間で引力が生じる。屈曲コイル120の端部130を、チューブ160の回転抑制部144を介して、円筒外側においてチューブ160の屈曲コイル120側に移動させることで、屈曲コイル120は回転抑制部144で巻き戻り、巻き戻った分だけ屈曲コイル120は回転する。
屈曲コイル120の伸張側に位置する先端部122には、ワイヤ132の一端が接続される。屈曲コイル120に接続されたワイヤ132は、屈曲コイル120およびチューブ160の内部空間に配置され、一端とは反対側の他端がチューブ160の基端164側に位置する。屈曲コイル120に接続されたワイヤ132を、屈曲コイル120およびチューブ160の内部空間を介して、チューブ160の基端164側に移動させることで、屈曲コイル120は屈曲部124の伸張側で収縮し、収縮した分だけ屈曲コイル120の屈曲角度が減少する。屈曲コイル120は弾性変形の範囲内で収縮することから、屈曲部124の伸張側では斥力が生じる。屈曲コイル120に接続されたワイヤ132を、屈曲コイル120およびチューブ160の内部空間を介して、屈曲コイル120側に移動させることで、屈曲コイル120の屈曲部124の伸張側は伸張し、伸張した分だけ屈曲コイル120の屈曲角度が増大する。
本実施形態において、ワイヤ132の他端は、屈曲コイル120およびチューブ160の内部空間を介して、チューブ160の基端164側に移動させる。しかしながらこれに限定されず、ワイヤ132の他端は、例えばチューブ160の開口部を介してチューブ160の外側に配置してもよい。ワイヤ132の他端を、チューブ160の開口部を介してチューブ160の基端164側に移動させることで、屈曲コイル120は屈曲部124の伸張側で収縮し、収縮した分だけ屈曲コイル120の屈曲角度が減少する。屈曲コイル120は弾性変形の範囲内で収縮することから、屈曲部124の伸張側では斥力が生じる。屈曲コイル120に接続されたワイヤ132を、屈曲コイル120およびチューブ160の開口部を介して、屈曲コイル120側に移動させることで、屈曲コイル120の屈曲部124の伸張側は伸張し、伸張した分だけ屈曲コイル120の屈曲角度が増大する。
本実施形態において、ワイヤ132の一端は、屈曲コイル120の伸張側に位置する先端部122に接続される。しかしながらこれに限定されず、ワイヤ132の一端は、例えば屈曲コイル120の屈曲側に位置する先端部122に接続されてもよい。またワイヤ132の一端は、屈曲コイル120の屈曲部124より先端部側に接続されれば、先端部122でなくてもよい。
屈曲コイル120は少なくとも2つの部分を有し、巻き解け部128側の第1のコイル120aの部分と、先端部122側の第2のコイル120bの部分とを含む。第1のコイル120aの部分と第2のコイル120bの部分を区別しない時には、屈曲コイル120という。本実施形態において、連結部126は少なくとも2つの部分を有し、巻き解け部128側の第1のコイル120aの部分と、第1のコイル120aと隣接する屈曲部124側の第2のコイル120b’の部分とを有する。すなわち、屈曲コイル120は巻き解け部128と固定部138の間に少なくとも2つの部分を有し、巻き解け部128側の第1のコイル120aの部分と、屈曲部124側の第2のコイル120b’の部分とを有する。第1のコイル120aの部分と第2のコイル120bの部分は、接合部140において逆巻きに接続する。さらに本実施形態において、第1のコイル120aの部分のばね定数は、第2のコイル120bの部分のばね定数よりも小さい。本実施形態において、第1のコイル120aの部分は先端部122から連結部126の方向に左巻きであり、第2のコイル120bの部分は先端部122から連結部126の方向に右巻きである。接合部140は、固定部138から巻き解け部128の間に位置する。すなわち屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128の間には少なくとも2つの部分を有し、巻き解け部128側の第1のコイル120aの部分と、固定部138側の第2のコイル120b’の部分を有する。本実施形態において、第2のコイル120bは一体で示したがこれに限定されない。第2のコイル120bは固定部138の部分で別体に分かれていてもよい。
屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動させるとき、第1のコイル120aの部分はばね定数が小さいことから、回転抑制部144で解けやすく、屈曲コイル120は回転する。屈曲コイル120の固定部138が支持部162の固定端部148に接続していることから、支持部162の固定端部148は屈曲コイル120とともに回転し、支持部162は捩じれる。屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128は、屈曲コイル120が解けた分だけ弾性変形の範囲内で軸方向に伸張する。屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128が軸方向に伸張することで、第1のコイル120aの部分には径の縮小方向に力がかかり、第2のコイル120b’の部分には径の拡張方向に力がかかる。第1のコイル120aの部分と第2のコイル120b’の部分とが逆巻きに接続することから、屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128が軸方向に伸張しても、固定部138から巻き解け部128の径の大きさは変わらない。屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128が軸方向に伸張するとき、第2のコイル120bの部分はばね定数が大きいことから、第2のコイル120b’の部分は軸方向に大きな引力を生じる。第2のコイル120b’の部分はばね定数が大きいことから、屈曲コイル120の端部130をさらにチューブ160の基端164側に移動させようとしても、回転抑制部144で解けず、屈曲コイル120は回転も止まる。第2のコイル120b’の引力を利用して、屈曲コイル120の端部130を屈曲コイル120側に移動させることで、第2のコイル120b’の部分は収縮し、第1のコイル120aの部分は回転抑制部144で巻き戻り、巻き戻った分だけ屈曲コイル120は回転する。
屈曲コイル120に接続されたワイヤ132をチューブ160の基端164側に移動させるとき、第2のコイル120bの部分は屈曲部124の伸張側で収縮し、収縮した分だけ屈曲コイル120の屈曲角度が減少する。第2のコイル120bは弾性変形の範囲内で収縮し、ばね定数が大きいことから、屈曲部124の伸張側では大きな斥力が生じる。第2のコイル120bの斥力を利用して、屈曲コイル120に接続されたワイヤ132を屈曲コイル120側に移動させることで、第2のコイル120bの部分の屈曲部124の伸張側は伸張し、伸張した分だけ屈曲コイル120の屈曲角度が増大する。
第1のコイル120aの部分のばね定数は小さいことから、屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動するとき、第1のコイル120aを容易に解くことができ、屈曲コイル120の回転を容易に制御することができる。さらに第2のコイル120bの部分のばね定数は大きいことから、屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動させることで、固定部138から巻き解け部128のうちの第2のコイル120b’の部分は大きな引力が生じ、屈曲コイル120の回転を容易に制御することができる。第1のコイル120aの部分と第2のコイル120bの部分とが逆巻きに接続することから、屈曲コイル120の固定部138を支持部162の固定端部148に固定した状態で固定部138から巻き解け部128を伸張しても、屈曲コイル120の径が縮小することを抑制することができる。第2のコイル120bの部分のばね定数は大きいことから、屈曲コイル120の端部130をチューブ160の基端164側に移動しようとしても回転抑制部144で解けにくく、さらに屈曲部124の屈曲角度を維持することができる。第2のコイル120bの部分のばね定数は大きいことから、ワイヤ132をチューブ160の基端164側に移動させることで、屈曲部124の伸張側では大きな斥力が生じ、屈曲コイル120の屈曲角度を容易に制御することができる。第1のコイル120aの部分のばね定数と第2のコイル120bの部分のばね定数は、医療用処置具100として使用時にかかる抵抗に対して、形状を維持するだけの剛性を有し、且つ適度な弾性を有する範囲内で選択することができる。
本実施形態において屈曲コイル120は、金属の素線1をらせん状に密着巻きして形成された一次コイル10の中心軸をさらにらせん状に巻いた二重コイルである。屈曲コイル120は先端部122および屈曲部124において、一次コイル10を密着巻きした二重コイルを形成する。屈曲コイル120は連結部126において、隣接して配置された一次コイル10が無荷重時において離隔しているピッチ巻きした二重コイルを形成する。巻き解け部128から端部130までは一次コイル10に解かれた形状で、チューブ160の内部空間に配置される。屈曲コイル120は、回転抑制部144において解ける。屈曲コイル120は、金属の素線1を密着巻きして形成された中空の一次コイル10を巻いた二重コイルであるため、可撓性が高く、屈曲コイル120を容易に解くことができ、屈曲コイル120の回転を制御することができる。
隣接して配置された素線1は密着して一次コイル10を形成する。このため一次コイル10の表面は滑らかであり、回転抑制部144及びチューブ160の内部空間における移動時の摩擦を抑制することができる。屈曲コイル120は連結部126において、隣接して配置された一次コイル10が無荷重時において離隔した二重コイルを形成する。隣接して配置された一次コイル10間のピッチが大きくなるほど、屈曲コイル120を解くのに必要な力は小さくなり、解けた一次コイル10の長さ当たりの回転速度は抑制されることから、屈曲コイル120の回転をより精密に制御することができる。しかしながらこれに限定されず、屈曲コイル120が二重コイルである場合、連結部126における隣接して配置された一次コイル10は密着していてもよい。隣接して配置された一次コイル10が密着して二重コイルを形成することで、屈曲コイル120の表面は滑らかであり、屈曲コイル120の回転時の摩擦を抑制することができる。
本実施形態において屈曲コイル120は、金属の素線1を密着巻きして形成された一次コイル10を巻いた二重コイルを用いたが、屈曲コイル120の少なくとも一部は中実または中空の素線をらせん状に巻いた通常のコイルであってもよく、その場合、隣接して配置された素線は密着していてもよいし、隣接して配置された素線は無荷重時において離隔していてもよい。中実または中空の素線で形成されるコイルであっても、本実施形態の医療用処置具600と同様の動作をすることが可能である。さらに、屈曲コイル120の少なくとも連結部126側に位置するコイルの部分が、金属の素線1を密着巻きして形成された一次コイル10を巻いた二重コイルであることで、屈曲コイル120を容易に解くことができ、屈曲コイル120の回転を制御することができる。
図15(A)に示すように、屈曲コイル120は、屈曲部124において中心軸136が屈曲している。このため屈曲部124の屈曲側(図15(A)のC側)は密着しているが、屈曲部124の伸張側(図15(A)のD側)は隣接して配置された一次コイル10が無荷重時において離隔している。屈曲部124における屈曲角度は、0°より大きく180°以下の範囲で適宜調整することができる。
本実施形態においてチューブ160は、説明を分かりやすくするため、短く直線的に図示した。しかしながらこれに限定されず、チューブ160の長さは200mm以上1800mm以下の範囲で適宜選択することができる。またチューブ160は、医療用処置具600として使用時にかかる抵抗に対して、十分な剛性を有し、且つ適度な弾性を有することができる。特に支持部162は、固定端部148から回転抑制部144までの軸方向における長さを保持するのに十分な剛性を有し、且つ固定端部148の回転を許容するため適度な弾性を有することができる。
[医療用処置具の動作の概要]
次に図17、図18及び図19を用いて、本実施形態に係る医療用処置具600の動作について詳細に説明する。図17及び図18は、本開示の一実施形態に係る医療用処置具600の動作を示す断面図である。図19は、本開示の一実施形態に係る医療用処置具600の動作を示す上面図である。
本実施形態に係る医療用処置具600は、ワイヤ132の他端をチューブ160の基端164側に引っ張ることで、屈曲コイル120の屈曲角度を制御することができる。図17(B)に示すように、図17(A)の状態からワイヤ132の他端を基端164側に引っ張ることで、屈曲コイル120は屈曲部124の伸張側および連結部126で収縮し、屈曲部124で収縮した分だけ屈曲コイル120の屈曲角度が減少する。屈曲コイル120は弾性変形の範囲内で収縮することから、屈曲部124の伸張側では斥力が生じる。図17(C)に示すように、ワイヤ132の他端をさらに基端164側に引っ張ることで、屈曲コイル120は屈曲部124の伸張側および連結部126で収縮し、屈曲部124で収縮した分だけ屈曲コイル120の屈曲角度がさらに減少する。屈曲コイル120は弾性変形の範囲内で収縮することから、屈曲部124の伸張側ではさらに斥力が生じる。
図17(D)に示すように、ワイヤ132を引っ張る力を緩めることで、屈曲コイル120は屈曲部124の伸張側および連結部126で伸張し、屈曲部124で伸張した分だけ屈曲コイル120の屈曲角度が増大する。屈曲部124の伸張側の斥力は、屈曲コイル120が伸張した分だけ緩和される。このとき、ワイヤ132の他端の位置も屈曲コイル120が伸張する分、屈曲コイル120側に移動する。図17(E)に示すように、ワイヤ132を引っ張る力をさらに緩めることで、屈曲コイル120は屈曲部124の伸張側および連結部126で伸張し、屈曲部124で伸張した分だけ屈曲コイル120の屈曲角度がさらに増大して元の屈曲角度に戻る。屈曲部124の伸張側の斥力は、解消される。このときワイヤ132の他端の位置は、屈曲コイル120が伸張する分、屈曲コイル120側に移動して元の位置に戻る。
ワイヤ132による屈曲コイル120の屈曲角度の増減は、屈曲コイル120の弾性変形の範囲内で行われることから、繰り返すことができる。図17において屈曲コイル120のワイヤ132は2段階に引っ張り、2段階に緩めたが、これに限定されない。屈曲コイル120のワイヤ132を引っ張る距離は適宜調整でき、屈曲コイル120の屈曲角度は任意の角度に制御することができる。
本実施形態に係る医療用処置具600は、屈曲コイル120の端部130を、チューブ160の基端164側に引っ張ることで、屈曲コイル120を回転させることができる。図18(B)に示すように、図18(A)の状態から屈曲コイル120の端部130を基端164側に1/4周長引っ張り、屈曲コイル120を1/4回転解くことで、屈曲コイル120は図19(A)から図19(B)に示すように、チューブ160の円筒軸方向の屈曲コイル120側から見たときに、左周りに90°回転する。屈曲コイル120の固定部138が支持部162の固定端部148に接続していることから、屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128は、屈曲コイル120が解けた分だけ伸張する。屈曲コイル120は弾性変形の範囲内で伸張することから、屈曲コイル120の固定部138から端部130の間で引力が生じる。図18(C)および図19(C)に示すように、屈曲コイル120の端部130をさらに1/4周長引っ張り、屈曲コイル120をさらに1/4回転解くことで、屈曲コイル120は左周りに計180°回転する。屈曲コイル120の固定部138が支持部162の固定端部148に接続していることから、屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128は、屈曲コイル120が解けた分だけさらに伸張する。屈曲コイル120は弾性変形の範囲内で伸張することから、屈曲コイル120の固定部138から端部130の間でさらに引力が生じる。ここで周長とは、コイル円周ではなく、1周分の巻き線の長さをいう。
図18(D)および図19(D)に示すように、屈曲コイル120の端部130を引っ張る力を緩めることで、屈曲コイル120は1/4回転巻き戻り、屈曲コイル120は、チューブ160の円筒軸方向の屈曲コイル120側から見たときに、右周りに90°回転する。屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128は、屈曲コイル120が巻き戻った分だけ収縮する。屈曲コイル120の固定部138から端部130の間の引力は、屈曲コイル120が巻き戻った分だけ緩和される。図18(E)および図19(E)に示すように、屈曲コイル120を引っ張る力をさらに緩めることで、屈曲コイル120は1/4回転巻き戻り、屈曲コイル120は右周りに計180°回転してもとの位置に戻る。屈曲コイル120の固定部138から巻き解け部128は、屈曲コイル120が巻き戻った分だけ収縮してもとの位置に戻る。屈曲コイル120の固定部138から端部130の間の引力は解消される。
図18および図19において屈曲コイル120は1/4周長ずつ引っ張り、1/4回転ずつ解き、90°ずつ回転する様態、および1/4周長ずつ緩め、1/4回転ずつ巻き戻し、90°ずつ回転する様態を示したが、これに限定されない。屈曲コイル120の端部130を引っ張る距離は適宜調整でき、屈曲コイル120の屈曲方向は任意の方向に制御することができる。また本実施形態において屈曲コイル120の固定部138は、支持部162の固定端部148に接続する。支持部162の固定端部148は360°回転可能であり、このため屈曲コイル120の屈曲方向は360°任意の方向に制御することができる。
本実施形態に係る医療用処置具600は、医療用処置具600の先端が血管分岐などの複雑な構造に到達したときであっても、執刀医の手元の屈曲コイル120のワイヤ132を引っ張ることで、屈曲コイル120の屈曲角度を自由に制御することができる。屈曲コイル120の端部130を引っ張ることで、屈曲コイル120を回転することができ、先端の屈曲方向を自由に制御することができる。したがって、迅速かつ安全に医療用処置具600の先端を体内の目的部位まで挿入することができ、患者および医師ともに負担が軽減される。
〈変形例1〉
図20を用いて、本開示の変形例に係る医療用処置具の回転抑制部と支持部の形状を説明する。図21を用いて、本開示の変形例に係る医療用処置具の形態を説明する。
図20は、実施形態1〜実施形態4の変形例に係る医療用処置具の回転抑制部および支持部の形状の一例を示す図である。なお回転抑制部および支持部の形状以外は、本開示の実施形態1〜実施形態4と同じであり、その繰り返しの説明は省略する。またそれぞれの構成は組み合わせが可能であり、本開示の実施形態および変形例に限られたものではない。
図20に示すように、本開示の変形例に係る医療用処置具の回転抑制部144は様々な形状をとることができる。図20(A)に示す、円筒型の支持部162の円筒側壁部に円孔が配置された回転抑制部144と比較して、例えば、図20(B)〜(D)の回転抑制部144は支持部162の円筒側壁部に長孔が配置される。円筒側壁部に配置される長孔の方向はとくに限定されず、(B)横長でも、(C)縦長でも、(D)斜めに長くてもよい。また回転抑制部144の開口部は、円形状、多角形状、又はスリット状であってもよい。回転抑制部144の開口部は、屈曲コイル120の径より小さく、屈曲コイル120を形成する巻線の径よりも大きければどんな形状であってもよい。このような形状の回転抑制部144を有することで、支持部162は屈曲コイル120の連結部126を内側から支持し、且つ屈曲コイル120の端部130は、回転抑制部144を介してチューブ160の内部空間側に配置することができる(実施形態1〜実施形態4参照)。
さらに図21(A)に示すように、このような形状の回転抑制部144を有することで、支持部162は屈曲コイル120の連結部126を外側から支持し、且つ屈曲コイル120の端部130は、回転抑制部144を介してチューブ160の外側に配置することもできる。また、チューブ160の開口部は、ワイヤ132をチューブ160の外側に配置することもできる。
図20(E)〜(H)の回転抑制部144は、支持部162に、2つの開口部(E)、開口管(F)、リング(G)、フック(H)が配置される。図20(E)では2つの開口部である回転抑制部144が、円筒型の支持部162の円筒側壁部に配置される。図20(F)では、回転抑制部144として開口管が、円筒型の支持部162の円筒側壁部外側に配置される。図20(G)ではリング状の回転抑制部144が、2本の支柱状の支持部162の外側に配置される。図20(H)ではフック状の回転抑制部144が、2本の支柱状の支持部162の外側に配置される。図21(B)および(C)に示すように、このような形状の回転抑制部144を有することで、支持部162は屈曲コイル120の連結部126を内側から支持し、且つ屈曲コイル120の端部130は、回転抑制部144を介してチューブ160の外側に配置することができる。
しかしながらこれに限定されず、図20(F)〜(H)の回転抑制部144は、支持部162の内側(チューブの中心軸136側)に配置してもよい。すなわち、図20(F)〜(H)の回転抑制部144である開口管(F)、リング(G)、フック(H)は、円筒内部空間側に配置してもよい。図21に示すように、回転抑制部144である開口管は、円筒型の支持部162の円筒側壁部内側に配置してもよい。このような形状の回転抑制部144を有することで、支持部162は屈曲コイル120の連結部126を外側から支持し、且つ屈曲コイル120の端部130は、回転抑制部144を介してチューブ160の内側に配置することができる。
〈変形例2〉
図22を用いて、本開示の変形例に係る医療用処置具の形態を説明する。
図22(A)および(C)は、実施形態1〜実施形態4の変形例に係る医療用処置具の連結部材の一例を示す図である。図22(B)および(D)は、実施形態1〜実施形態4の変形例に係る連結部材を用いた医療用処置具の一例を示す図である。なお本変形例においては、連結部材を有すること以外は、本開示の実施形態1〜実施形態4と同じであり、その繰り返しの説明は省略する。またそれぞれの構成は組み合わせが可能であり、本開示の実施形態および変形例に限られたものではない。
図22に示すように、本開示の変形例に係る医療用処置具の連結部材180は様々な形状をとることができる。連結部材180は、前述した実施形態1〜実施形態4におけるチューブ160の支持部162と、回転抑制部144と、を有する。連結部材180は、チューブ160に屈曲コイル120を連結する
図22(A)の連結部材180は円筒型であり、屈曲コイル120の連結部126を回転可能に支持する支持部162と、巻き解け部128と接する回転抑制部144と、屈曲コイル120の連結部126を先端部122とは反対側から支える凸部186と、を有する。図22(B)に示すように、連結部材180は、円筒軸方向の両端に屈曲コイル120とチューブ160とを接続する。連結部材180の両端は、屈曲コイル120の内側とチューブ160の内側とに差し込まれるように配置される。すなわち、連結部材180の円筒外側は、屈曲コイル120の内側およびチューブ160の内側それぞれと接している。しかしながら連結部材180の支持部162の形状はこれに限定されず、屈曲コイル120を回転可能に支持できればよい。例えば、連結部材180の支持部142は、2本以上の支柱を屈曲コイル120に差し込むような形状であってもよい。屈曲コイル120の端部130は、回転抑制部144を介してチューブ160の円筒内部空間に配置される。しかしながらこれに限定されず、屈曲コイル120の端部130は、例えば、支持部162の屈曲コイル120を支持する形態、形状、および回転抑制部144の形状などによって、回転抑制部144を介してチューブ160の外側に配置してもよい。
図22(C)の連結部材180は、図22(A)の連結部材180の凸部を円筒内部空間側に有し、屈曲コイル120の連結部126を先端部122とは反対側から支える。図22(D)に示すように、この場合、屈曲コイル120とチューブ160とは連結部材180の両端内側に差し込まれるように配置される。すなわち、連結部材180の円筒内側は、屈曲コイル120の外側およびチューブ160の外側それぞれと接している。しかしながら連結部材180の支持部162の形状はこれに限定されず、屈曲コイル120を回転可能に支持できればよい。例えば、連結部材180の支持部142は、2本以上の支柱を屈曲コイル120に差し込むような形状であってもよい。屈曲コイル120の端部130は、回転抑制部144を介してチューブ160の円筒外側に配置される。しかしながらこれに限定されず、屈曲コイル120の端部130は、例えば、支持部162の屈曲コイル120を支持する形態、形状、および回転抑制部144の形状などによって、回転抑制部144を介してチューブ160の外側に配置してもよい。
〈変形例3〉
図23を用いて、本開示の変形例に係る医療用処置具の先端部の形状を説明する。
図23は、実施形態1〜実施形態4の変形例に係る医療用処置具の先端部の形状の一例を示す断面図である。なお先端部の形状以外は、本開示の実施形態1〜実施形態4と同じであり、その繰り返しの説明は省略する。
図23に示すように、本開示の変形例に係る医療用処置具の先端部122は様々な形状をとることができる。図23(A)の、円筒型の屈曲コイル120の開口した先端部122と比較して、例えば、図23(B)の屈曲コイル120は、先端部122にキャップを備える。図23(C)の屈曲コイル120は、先端部に向かってコイルの径が縮小したテーパー形状である。先端部122がこのような形状をとることによって、医療用処置具を円滑に体内の目的部位に挿入することができ、また挿入部位を傷つけることを防止することができる。
なお本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
1:素線、10:一次コイル、100、200、300、400、500、600:医療用処置具、120:屈曲コイル、122:先端部、124:屈曲部、126:連結部、128:巻き解け部、130:端部、132:ワイヤ、136:中心軸、138:固定部、140:接合部、144:回転抑制部、148:固定端部、160:チューブ、162:支持部、164:基端、180:連結部材

Claims (18)

  1. 先端部、屈曲部、前記屈曲部を介して前記先端部とは反対側に配置された連結部、及び前記連結部側の巻き解け部を有する屈曲コイルと、
    前記連結部に接続して前記屈曲コイルを回転可能に支持する支持部と、前記巻き解け部と接する回転抑制部と、前記支持部とは反対側の基端と、を有するチューブと、を含み、
    前記屈曲コイルの前記巻き解け部側の一端を、前記回転抑制部を介して、前記チューブの前記基端側に移動させて、前記屈曲コイルを回転させることを特徴とする医療用処置具。
  2. 前記屈曲コイルは少なくとも2つの部分を有し、前記巻き解け部側の第1のコイルの部分は前記先端部側の第2のコイルの部分よりもばね定数が小さいことを特徴とする請求項1に記載の医療用処置具。
  3. 前記連結部は少なくとも、前記第1のコイルの部分を含むことを特徴とする請求項2に記載の医療用処置具。
  4. 前記屈曲コイルの前記先端部は、前記屈曲コイルの回転方向とは反対方向に湾曲していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の医療用処置具。
  5. 先端部、屈曲部、前記屈曲部を介して前記先端部とは反対側に配置された連結部、前記連結部側の巻き解け部、及び前記巻き解け部から離隔して、前記連結部に位置する固定部を有する屈曲コイルと、
    可撓性を有し、前記連結部に接続して前記屈曲コイルを回転可能に支持する支持部と、前記巻き解け部と接する回転抑制部と、前記固定部と接続し、前記固定部から前記巻き解け部までの前記屈曲コイルの長さを保持する固定端部と、前記支持部とは反対側の基端と、を有するチューブと、を含み、
    前記連結部は少なくとも2つの部分を有し、前記巻き解け部側の第1のコイルの部分と前記固定部側の第2のコイルの部分は逆巻きに接続し、
    前記屈曲コイルの前記巻き解け部側の一端を、前記回転抑制部を介して、前記チューブの前記基端側に移動させて、前記屈曲コイルを回転させることを特徴とする医療用処置具。
  6. 前記第2のコイルの部分は前記第1のコイルの部分よりもばね定数が大きいことを特徴とする請求項5に記載の医療用処置具。
  7. 前記固定部は前記連結部の前記屈曲部側に位置することを特徴とする請求項6に記載の医療用処置具。
  8. 前記回転抑制部は前記屈曲コイルの前記巻き解け部が位置する前記支持部の側壁部に設けられた開口部であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の医療用処置具。
  9. 一端が前記先端部に接続し、前記屈曲コイルおよび前記チューブの内部空間を介して、他端が前記チューブの基端側に引き出されるワイヤ、をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の医療用処置具。
  10. 少なくとも前記連結部の前記屈曲コイルは、金属の素線を密着巻きして形成された一次コイルの中心軸をらせん状に巻いた二重コイルであることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の医療用処置具。
  11. 前記素線は、線径が14μm以上200μm以下の白金、金、パラジウム、タングステン、タンタル、コバルト、ロジウム、チタン、それらの合金、ステンレス、ニッケル合金またはモリブデン合金から選択されることを特徴とする請求項10に記載の医療用処置具。
  12. 少なくとも前記連結部の前記屈曲コイルは、超弾性を有する金属の素線をらせん状に巻いて形成されたコイルであることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の医療用処置具。
  13. 前記素線は、線径が50μm以上300μm以下のニッケル―チタン合金であることを特徴とする請求項12に記載の医療用処置具。
  14. 前記ワイヤの一端が、前記屈曲コイルの伸張側に位置する前記先端部に接続されることを特徴とする請求項9に記載の医療用処置具。
  15. 前記連結部の前記屈曲コイルの少なくとも一部は、隣接して配置されたコイルを構成する線が無荷重時において離隔していることを特徴とする請求項1乃至14の何れか1項に記載の医療用処置具。
  16. 前記屈曲コイルの屈曲側に隣接して配置されたコイルを構成する線が無荷重時に接していることを特徴とする請求項1乃至15の何れか1項に記載の医療用処置具。
  17. 前記屈曲コイルは、前記先端部に向かってコイルの径が縮小した形状を備えることを特徴とする請求項1乃至16の何れか1項に記載の医療用処置具。
  18. 前記屈曲コイルは、前記先端部にキャップを備えることを特徴とする請求項1乃至17の何れか1項に記載の医療用処置具。
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