JP2018066866A - 光走査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ズーム式カメラのズーム画像の光不足を解消する光走査装置を提供する。
【解決手段】光偏向器30は、内側圧電アクチュエータ46及び外側圧電アクチュエータ47の駆動電圧に応じて第1軸及び第2軸周りのミラー部42の回動角を制御する。光走査装置6の駆動電圧生成部23は、監視カメラ5からのズーム撮影範囲Igzの特定情報に基づいて、対応する走査光の走査範囲を算出する。駆動電圧生成部23は、走査範囲が小さいときほど、ミラー部42の回動角範囲が小さくなるように、内側圧電アクチュエータ46及び外側圧電アクチュエータ47の駆動電圧を算出し、該駆動電圧を内側圧電アクチュエータ46及び外側圧電アクチュエータ47に供給する。
【選択図】図4
【解決手段】光偏向器30は、内側圧電アクチュエータ46及び外側圧電アクチュエータ47の駆動電圧に応じて第1軸及び第2軸周りのミラー部42の回動角を制御する。光走査装置6の駆動電圧生成部23は、監視カメラ5からのズーム撮影範囲Igzの特定情報に基づいて、対応する走査光の走査範囲を算出する。駆動電圧生成部23は、走査範囲が小さいときほど、ミラー部42の回動角範囲が小さくなるように、内側圧電アクチュエータ46及び外側圧電アクチュエータ47の駆動電圧を算出し、該駆動電圧を内側圧電アクチュエータ46及び外側圧電アクチュエータ47に供給する。
【選択図】図4
Description
本発明は、カメラの撮影範囲を走査光で走査する光走査装置に関する。
監視等のためにカメラが配備され、カメラにより所定範囲を撮影する際、夜間等では、カメラの撮像画像の輝度を確保するために、カメラと共に配備された照明器が点灯して、撮影範囲を明るくするシステムが知られている。
特許文献1は、照射範囲の大きさに応じて走査光の走査範囲を制御することにより、小さい照射範囲の照度を増大させる照明器を開示する。該照明器は、車両の前照灯ユニット内に配備される灯具ユニットとして使用され、ミラー部を所定の軸周りに周波数駆動(往復回動)させて、ミラー部から出射する走査光で車両前方の照射領域をラスタースキャンする光偏向器を備えている。該照明器は、車両から遠方に小さく見える照射対象物に対しては、ミラー部の振れ角の変化幅を減少させる。この結果、走査光が小さい照射対象物に集束し、照射対象物の照度が増大する。
カメラでは、最大撮影範囲の標準撮影範囲に対して、標準撮影範囲内の一部を拡大して見るためのズーム撮影範囲が設定されることがある。カメラと併設される従来の照明装置は、撮影範囲全体を一律に照らすだけであるので、ズーム撮影範囲が設定されるとき、ズーム撮影範囲の照度が不十分となり、拡大ズーム画像が不鮮明になってしまう。
本発明の目的は、ズーム撮影範囲の光量不足を解消する光走査装置を提供することである。
本発明の光走査装置は、
第1軸及び第2軸の2軸周りに往復回動して入射光を回動角に応じた方向に反射した走査光を出射するミラー部と、第1駆動電圧及び第2駆動電圧を供給され、前記第1軸周り及び前記第2軸周りの前記ミラー部の回動角を前記第1駆動電圧及び前記第2駆動電圧に応じて制御して、照射領域において前記第1軸周り及び前記第2軸周りのミラー部の往復回動に対応する2軸方向で前記走査光を走査させるアクチュエータとを有する光偏向器と、
前記ミラー部に向けて前記ミラー部の入射光としての光を出射する光源と、
撮影範囲を標準撮影範囲と該標準撮影範囲より内側にあって該標準撮影範囲より小さいズーム撮影範囲とに変更可能であるカメラから、該カメラにおいて設定している撮影範囲を特定する特定情報を受信し、受信した該特定情報に基づいて撮影範囲を特定し、特定した撮影範囲の大きさに応じて、大きさが小さいときほど、前記第1軸周り及び前記第2軸周りの前記ミラー部の往復回動角の変化幅の少なくとも一方が減少するように、前記第1駆動電圧及び前記第2駆動電圧の少なくとも一方を生成して、前記アクチュエータに出力する駆動電圧生成部とを備えることを特徴とする。
第1軸及び第2軸の2軸周りに往復回動して入射光を回動角に応じた方向に反射した走査光を出射するミラー部と、第1駆動電圧及び第2駆動電圧を供給され、前記第1軸周り及び前記第2軸周りの前記ミラー部の回動角を前記第1駆動電圧及び前記第2駆動電圧に応じて制御して、照射領域において前記第1軸周り及び前記第2軸周りのミラー部の往復回動に対応する2軸方向で前記走査光を走査させるアクチュエータとを有する光偏向器と、
前記ミラー部に向けて前記ミラー部の入射光としての光を出射する光源と、
撮影範囲を標準撮影範囲と該標準撮影範囲より内側にあって該標準撮影範囲より小さいズーム撮影範囲とに変更可能であるカメラから、該カメラにおいて設定している撮影範囲を特定する特定情報を受信し、受信した該特定情報に基づいて撮影範囲を特定し、特定した撮影範囲の大きさに応じて、大きさが小さいときほど、前記第1軸周り及び前記第2軸周りの前記ミラー部の往復回動角の変化幅の少なくとも一方が減少するように、前記第1駆動電圧及び前記第2駆動電圧の少なくとも一方を生成して、前記アクチュエータに出力する駆動電圧生成部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、カメラからの撮影範囲の特定情報に基づいて撮影範囲を特定し、特定した撮影範囲の大きさに応じて、大きさが小さいときほど、第1軸周り及び第2軸周りのミラー部の往復回動角の変化幅の少なくとも一方が減少する。この結果、走査光が撮影範囲を長く照射することになり、撮影範囲の光量不足が解消される。
本発明の光走査装置において、前記アクチュエータは、前記第1駆動電圧を供給されて前記第1軸周りに前記ミラー部を往復回動させる第1圧電アクチュエータと、前記第2駆動電圧を供給されて前記第2軸周りに前記ミラー部を往復回動する第2圧電アクチュエータとから成り、前記駆動電圧生成部は、前記第1駆動電圧を、前記第1圧電アクチュエータが前記第1軸周りの前記ミラー部の共振周波数で前記ミラー部の往復回動させるように、生成し、前記第2駆動電圧を、前記第2圧電アクチュエータが前記共振周波数より低い非共振周波数で前記第2軸周りに前記ミラー部の往復回動させるように生成し、前記駆動電圧生成部は、前記第1駆動電圧及び前記第2駆動電圧の変化幅の変更により前記第1軸周り及び前記第2軸周りの前記ミラー部の往復回動角の変化幅を変更することが好ましい。
この構成によれば、第1圧電アクチュエータの第1駆動電圧及び第2圧電アクチュエータの第2駆動電圧の変化幅の変更により第1軸周り及び第2軸周りのミラー部の往復回動角の変化幅を撮影範囲に的確に合わせることができる。
本発明の光走査装置は、前記駆動電圧生成部は、第2駆動電圧に含めるバイアス電圧を変更することにより、前記第2軸周りのミラー部の往復回動に対応する方向の前記走査光の走査範囲の中心位置を変更ことが好ましい。
この構成によれば、第2軸周りのミラー部の往復回動に対応する方向への撮影範囲の変更に対して第2駆動電圧に含めるバイアス電圧を変更することにより、該方向への走査光の走査範囲の中心を撮影範囲の中心に合わせることができる。
本発明の光走査装置は、前記第1軸周りの前記ミラー部の往復回動角の変化幅に対応した走査光の照射可能範囲が、前記特定情報に基づいて特定した撮影範囲より広いときに、前記照射可能範囲のうち前記特定した撮影範囲以外の範囲では、前記光源を消灯する光源制御部を備えることが好ましい。
第1軸周りのミラー部の往復回動は、共振を利用するので、第1駆動電圧のバイアス電圧を変更することにより、走査領域を、第1軸周りのミラー部の往復回動に対応する方向に変更することは困難である。上記構成によれば、照射可能範囲のうち特定した撮影範囲以外の範囲では、光源を消灯する。これにより、光源の無駄な点灯を抑制することができる。
本発明の光走査装置は、前記カメラは、光学ズームカメラであり、前記特定情報として、ズーム倍率が含まれることが好ましい。
光学ズームカメラのズーム撮影範囲は、その中心及び縦横比が標準撮影範囲の中心及び縦横比と同一になっている。したがって、特定情報に、ズーム倍率を含めることにより、撮影範囲を特定することができる。
本発明の光走査装置は、前記カメラは、デジタルズームカメラであり、前記特定情報として、前記カメラにおいて設定されている撮影範囲が前記標準撮影範囲において占めている相対位置の情報が含まれることが好ましい。
デジタルズームカメラでは、ズーム撮影範囲の中心及び各辺の寸法を任意に設定できる。したがって、特定情報に、カメラにおいて設定されている撮影範囲が標準撮影範囲において占めている相対位置の情報を含めることにより、撮影範囲を特定することができる。
(実施形態の構成)
図1は監視カメラ5による監視場所の例としての夜間の公園1を示している。立て札2は、ポール3とポール3の上端の案内板4とを有している。立て札2は、それに取付けられる監視カメラ5が公園1の全体を見渡せる位置に、立てられている。
図1は監視カメラ5による監視場所の例としての夜間の公園1を示している。立て札2は、ポール3とポール3の上端の案内板4とを有している。立て札2は、それに取付けられる監視カメラ5が公園1の全体を見渡せる位置に、立てられている。
監視カメラ5は、地上から約1mの高さ付近に取付け具7を介してポール3に取付けられ、公園1内に死角が生じないように、画角や向き等が設定されている。光走査装置6は、監視カメラ5の最大撮影範囲としての標準撮影範囲が、少なくとも走査光による最大走査範囲に一致させるか、最大走査範囲より内側になるように、監視カメラ5の近傍に取付け具7を介して取り付けられる。
この公園1には、立て札2の他に、ベンチ11、花壇12及び木13が設けられ、人物14a,14bが出入りする。人物14a,14bの顔や姿は、監視カメラ5のズーム撮影対象である。人物14a,4bの存否や位置は、監視カメラ5の撮像画像により検出できるとともに、監視カメラ5とは別に公園1内に配備した周知の人感センサ(図示せず)によっても検出することができる。監視カメラ5のズーム撮影範囲は、検出された人物14a,4bを含むように、自動的に設定することができる。
図2は光走査装置6の構成図である。光走査装置6は、主要構成要素として駆動回路17、青色レーザ27、光偏向器30、白色変換スクリーン32及び結像レンズ33を備える。映像プロセッサ19は、駆動電圧生成部23及び光源制御部24を備える。映像プロセッサ19は、汎用的なマイコンの構造を有し、バス配線で接続されたCPU、RAM、ROM及びインターフェース等の周知の素子を備える。
青色レーザ光は、光源としての青色レーザ27から出射され、光偏向器30に向かう。光偏向器30は、駆動回路17からの駆動電圧に応じた方向に青色レーザ光を偏向して、白色変換スクリーン32に出射する。白色変換スクリーン32は、蛍光体を含み、該蛍光体により青色レーザ光を可視光の白色光に変換する。白色光は、結像レンズ33を経て、照射領域に向かう。
図3は、光偏向器30の構造図である。光偏向器30は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)である。光偏向器30の詳細は、例えば特開2012−203186号公報、特開2013−8480号公報及び特開2013−84530号公報等に記載されているので、ここでは、光偏向器30を概略的に説明する。
光偏向器30は、主要要素としてミラー部42、ミラー部42を包囲する可動枠43、及び可動枠43を包囲する固定枠44を備えている。説明の便宜上、図3において3軸直交座標を定義する。X軸は矩形の固定枠44の長辺に対して平行であり、Y軸は矩形の固定枠44の短辺に対して平行であり、Z軸は固定枠44の厚み方向に平行となっている。光偏向器30は、ミラー部42等の可動要素を含んでいて、これら可動要素は位置が変動する。このため、さらに、説明の便宜上、ミラー部42の前面(ミラー面)の法線がZ軸に対して平行になった時の状態で光偏向器30の構造を説明することにする。
トーションバー45は、ミラー部42からY軸方向に突出し、可動枠43の内周に結合している。計4つの内側圧電アクチュエータ46の各々は、X軸方向に延在し、両端部においてそれぞれ可動枠43の内周とトーションバー45の中間部とに結合している。
1対の外側圧電アクチュエータ47は、X軸方向に可動枠43の両側に配設され、両端部において可動枠43と固定枠44とに結合している。各外側圧電アクチュエータ47は、ミアンダ配列で結合された複数の圧電カンチレバーの結合から成り、各圧電カンチレバーは、長手方向をY軸に平行な方向に揃えている。
固定枠44の各短辺部には、複数の電極パッド48が設けられている。各電極パッド48は、配線(図示せず)を介して内側圧電アクチュエータ46及び外側圧電アクチュエータ47の圧電カンチレバーに形成されている圧電膜の電極に接続されている。
光偏向器30の作用を概略的に説明する。詳細は、図4以降を参照して説明する。
ミラー部42は、内側圧電アクチュエータ46により第1軸(トーションバー45の軸線)周りに往復回動させられる。この第1軸周りの往復回動の周波数は、第1軸周りのミラー部42の共振周波数(例:30kHz)に合わせられる。
一方、ミラー部42は、第1軸と交差する第2軸の周りに外側圧電アクチュエータ47の作用により往復回動する。この例では、第2軸は、第1軸と共に、ミラー部42のミラー面上に定義され、第1軸との交差角はほぼ直角に設定されている。第2軸周りの往復回動の周波数は、第2軸周りのミラー部42の共振周波数とは無関係で、かつ第1軸周りのミラー部42の共振周波数より十分に低い非共振周波数(例:60Hz)に設定される。
外側圧電アクチュエータ47の複数の圧電カンチレバーについて、X軸方向に固定枠44から可動枠43の方に順番に、すなわち基端側から先端側に順番に1番〜4番の番号を付ける。外側圧電アクチュエータ47の作動時では、奇数番号の圧電カンチレバーと偶数番号の圧電カンチレバーとは、逆位相(位相差が180°である位相)の駆動電圧を圧電膜に印加されることにより、Z軸方向の屈曲量の増減が逆位相になる。この結果、可動枠43は、X軸周りに往復回動する。
ミラー部42は,可動枠43と一体にX軸周りに往復回動することにより、第2軸周りに往復回動する。ミラー部42は、第1軸周りに前述の共振周波数で往復回動するので、第2軸とX軸とは一致しない。ミラー部42のミラー面の法線がZ軸に平行になった時のみ、第2軸とX軸とは一致する。
青色レーザ27からミラー部42のミラー面の中心に入射する入射光は、ミラー部42の第1軸周り及び第2軸周りの回動角に関係する方向に反射する。反射光は、走査光として光偏向器30から出射され、照射領域をラスタースキャンする。
(実施形態の作用)
図4は、映像プロセッサ19が実行する走査光の走査範囲制御処理のフローチャートである。該走査範囲制御処理は、典型的には、1日のうちの夜間等の特定期間に一定の時間間隔で実行される。
図4は、映像プロセッサ19が実行する走査光の走査範囲制御処理のフローチャートである。該走査範囲制御処理は、典型的には、1日のうちの夜間等の特定期間に一定の時間間隔で実行される。
図4のフローチャートには省略されているが、映像プロセッサ19は、各監視期間の開始時に所定のキャリブレーション(較正処理)を実施する。図4の走査範囲制御処理は、該所定のキャリブレーションを終了してから実施される。所定のキャリブレーションでは、例えば、監視カメラ5の撮影範囲と光走査装置6の照射範囲とを整合させたり、監視カメラ5の撮影範囲に対する光走査装置6による走査光の照度を基準以上に調整したりする。
駆動電圧生成部23は、STEP101において監視カメラ5から、監視カメラ5において設定されている撮影範囲を特定する特定情報を受信したか否かを判定し、受信したならば、処理をSTEP102に進ませ、受信していないならば、全処理を終了する。
監視カメラ5において設定されている撮影範囲を特定する特定情報は、監視カメラ5が光学ズームカメラである場合と、デジタルズームカメラである場合とで相違する。
特定情報の具体例について図5及び図6を参照して説明する。図5は監視カメラ5が光学ズームカメラである場合の標準撮影範囲Igsとズーム撮影範囲Igz(例:Igz1,Igz2)との関係を示し、図6は監視カメラ5がデジタルズームカメラである場合の標準撮影範囲Igsとズーム撮影範囲Igz(例:Igz1,Igz2)との関係を示している。
図5及び図6に記載されている各符号の定義は次のとおりである。
Igs:標準撮影範囲
Igz:ズーム撮影範囲
Os:標準撮影範囲Igsの中心
0g:ズーム撮影範囲Igzの中心
Av:標準撮影範囲Igsの縦軸
Ah:標準撮影範囲Igsの横軸
Tg:人物14の画像(人物画像)
Lvs:標準撮影範囲Igsの縦寸法
Lhs:標準撮影範囲Igsの横寸法
Lvz:ズーム撮影範囲Igzの縦寸法
Lhz:ズーム撮影範囲Igzの横寸法
なお、上記Lvs等における寸法とは、後述の図11の撮像素子52上の寸法に相当する。
Igs:標準撮影範囲
Igz:ズーム撮影範囲
Os:標準撮影範囲Igsの中心
0g:ズーム撮影範囲Igzの中心
Av:標準撮影範囲Igsの縦軸
Ah:標準撮影範囲Igsの横軸
Tg:人物14の画像(人物画像)
Lvs:標準撮影範囲Igsの縦寸法
Lhs:標準撮影範囲Igsの横寸法
Lvz:ズーム撮影範囲Igzの縦寸法
Lhz:ズーム撮影範囲Igzの横寸法
なお、上記Lvs等における寸法とは、後述の図11の撮像素子52上の寸法に相当する。
図5及び図6には、ズーム撮影範囲Igzの例がそれぞれIgz1,Igz2の2つずつ記載されている。上記定義も含めて、Igz1,Igz2を特に区別しないときは、「Igz」と総称する。Og1,Og2を特に区別しないときは、「Og」と総称している。
ズーム撮影範囲Igzは、大きさ(寸法)が標準撮影範囲Igsより小さいが、ズーム撮影範囲Igzの画像は、標準撮影範囲Igsの画像と等寸法又はそれより大きく拡大(ズーム)して、見るのに使用される。したがって、走査光の走査範囲を、各回ごとの撮影範囲に関係なく一律に標準撮影範囲Igsに設定すると、標準撮影範囲Igsより小さいズーム撮影範囲Igzでは、単位撮影面積当たりの走査光の投入光量が標準撮影範囲Igsにおける単位撮影面積当たりの走査光の投入光量より低下する。この結果、ズーム撮影範囲Igzでは、照度が不足し、ズーム撮影範囲Igzの拡大画像(ズーム画像)が、暗く、不鮮明になってしまう。
図5の光学ズームカメラでは、撮影範囲の中心は、撮影範囲の位置及び大きさに関係なく不変であり、標準撮影範囲Igsの中心Osに一致する。また、アスペクト比も、撮影範囲(標準撮影範囲及びズーム撮影範囲)に関係なく、固定されている。すなわち、縦寸法Lvz:横寸法Lhz=縦寸法Lvs:横寸法Lhsである。これは、光学ズームカメラでは、ズーム撮影を標準撮影に対して焦点距離の変更で行っており、監視カメラ5の光軸は、標準撮影範囲及びズーム撮影範囲に関係なく不動だからである。
図6のデジタルズームカメラによるズーム撮影範囲Igzでは、ズーム撮影範囲Igzの中心Ogの位置は、ズーム撮影範囲Igzが標準撮影範囲Igs内に収まることを条件に、標準撮影範囲Igs内の任意の位置に設定することができる。また、縦寸法Lvz及び横寸法Lhzも、ズーム撮影範囲Igzが標準撮影範囲Igs内に収まることを条件に、任意に設定することができる。これは、デジタルズームカメラでは、ズーム撮影範囲Igzの拡大前の画像を標準撮影範囲Igsのからの画像部分の切り取る処理(トリミング)により任意に選定できるからである。ただし、デジタルズームカメラにおけるズーム撮影範囲Igzの画像を形成する画素数は、標準撮影範囲Igsの画像を形成する画素数に比して減少するので、画質は、デジタルズームカメラにおけるズーム画像の方が光学カメラにおけるズーム画像より幾分劣る。
図4のフローチャートに戻って、駆動電圧生成部23がSTEP101において監視カメラ5から受信する特定情報は、監視カメラ5においてこれから撮影しようとする撮影範囲を特定するものであり、かつ特定できるものになっている。
具体的には、監視カメラ5が光学ズームカメラである場合の特定情報は、ズーム倍率とする。ズーム倍率は、標準撮影範囲Igsを撮影する時の焦点距離に対するズーム撮影範囲Igzを撮影する時の焦点距離の比率である。図5の縦寸法Lvs,Lvz及び横寸法Lhs,Lhgについて、Lvs/Lvz及びLhs/Lhgは、ズーム倍率に対して一義の関係を有している。
監視カメラ5がデジタルズームカメラである場合、ズーム撮影範囲Igzの中心Ogは、標準撮影範囲Igsの中心Osとは別の位置に設定できる。また、Lvs/Lvz=Lhs/Lhgに限定されることなく、Lvs/Lvz≠Lhs/Lhgとすることもできる。
監視カメラ5がデジタルズームカメラである場合について、「縦軸方向ズーム倍率」及び「横軸方向ズーム倍率」は次のように定義する。縦軸方向ズーム倍率とは、デジタルズームカメラのLvs/Lvzに対して、デジタルズームカメラを光学ズームカメラに置き換えたときの該光学ズームカメラにおけるLvs/Lvzに対応するズーム倍率とする。横軸方向ズーム倍率とは、デジタルズームカメラのLhs/Lhzに対して、デジタルズームカメラを光学ズームカメラに置き換えたときの該光学ズームカメラにおけるLhs/Lhzに対応するズーム倍率とする。
監視カメラ5がデジタルズームカメラである場合の特定情報は、監視カメラ5において設定されている撮影範囲が標準撮影範囲Igsにおいて占めている相対位置(例:設定されている撮影範囲の各辺が標準撮影範囲Igsにおいて占めている相対位置)の情報である。
STEP102では、駆動電圧生成部23は、監視カメラ5からの特定情報に基づいて撮影範囲を算出する。
STEP103では、駆動電圧生成部23は、特定した撮影範囲に基づいて光偏向器30の内側圧電アクチュエータ46及び外側圧電アクチュエータ47の駆動電圧を算出し、光源制御部24は、特定した撮影範囲に基づいて青色レーザ27の点灯タイミングを算出する。
図7Aは横軸方向ズーム倍率と横軸方向駆動電圧との関係を示したグラフであり、図7Bは縦軸方向ズーム倍率と縦軸方向駆動電圧との関係を示したグラフである。
光走査装置6は、第1軸周りのミラー部42の往復回動により走査光を撮影範囲において横軸Ah方向に走査させる。また、光走査装置6は、第2軸周りのミラー部42の往復回動により走査光を撮影範囲において縦軸Av方向に走査させる。したがって、内側圧電アクチュエータ46の圧電膜に供給する駆動電圧が、横軸方向駆動電圧となり、外側圧電アクチュエータ47の圧電膜に供給する駆動電圧が、縦軸方向駆動電圧となる。図7Bの縦軸方向駆動電圧からは、中心Ogを縦軸Av方向に変位させるバイアス電圧を除外し、縦軸Av方向の変化幅に関係する駆動電圧成分のみを示している。
なお、ミラー部42に対して左側の内側圧電アクチュエータ46と右側の内側圧電アクチュエータ46との駆動電圧は、ミラー部42を第1軸周りに往復回動させるために、相互に逆位相になる。図7Aの駆動電圧は、左側又は右側の内側圧電アクチュエータ46の駆動電圧である。
また、図3において説明したように、外側圧電アクチュエータ47の奇数番号の圧電カンチレバーと、偶数番号の圧電カンチレバーとの駆動電圧は、Z軸方向の変形量の増減を逆位相にするために、相互に逆位相となる。図7Bの駆動電圧は、奇数番号又は偶数番号の圧電カンチレバーに対する駆動電圧である。
内側圧電アクチュエータ46及び外側圧電アクチュエータ47のカンチレバーの圧電膜は、印加電圧としての駆動電圧が増大するほど、圧電膜の縮小量が増大する。そして、圧電膜の縮小量が増大するほど、カンチレバーの変形量が増大して、第1軸及び第2軸周りのミラー部42の回動角は増大する。この結果、第1軸及び第2軸周りのミラー部42の回動角の変化幅は、横軸Ah方向及び縦軸Av方向の走査光の走査範囲の長さに対応する。
これらのことから、STEP102で特定した撮影範囲を走査光で走査する場合には、該撮影範囲の縦軸Av方向及び横軸Ah方向の長さが短いときほど、第1軸及び第2軸周りのミラー部42の回動角の変化幅は小さくて済むことが理解できる。走査光の走査範囲を小さくするためには、駆動電圧の変化幅を減少させればよい。
図7に対応するデータを記憶したテーブルが映像プロセッサ19のROMに記憶されている。駆動電圧生成部23は、STEP102で特定した撮影範囲に対応する横軸方向駆動電圧及び縦軸方向駆動電圧を、該テーブルの対応データを参照して、算出する。なお、その際、縦軸方向駆動電圧に含めるバイアス電圧も一緒に決める。該バイアス電圧は、中心Og(例:Og1,Og2)の縦軸Av方向の位置座標を決める。
図8Aは、内側圧電アクチュエータ46の駆動電圧(横軸方向駆動電圧)の時間変化を標準撮影範囲Igsの撮影時(実線)とズーム撮影範囲Igzの撮影時(破線)とを対比して示している。図8Bは、外側圧電アクチュエータ47の駆動電圧(縦軸方向駆動電圧)の時間変化を示している。
図8Aにおいて、第1軸周りのミラー部42の往復回動は、第1軸周りのミラー部42の共振を利用するので、内側圧電アクチュエータ46の駆動電圧は正弦波形となる。第1軸周りのミラー部42の往復回動角の変化幅は、内側圧電アクチュエータ46の駆動電圧の変化幅が小さいときほど、減少する。したがって、ズーム撮影範囲Igzの撮影時の内側圧電アクチュエータ46の駆動電圧(破線)の変化幅は、標準撮影範囲Igsの撮影時の内側圧電アクチュエータ46の駆動電圧(実線)の変化幅より減少させられる。
図8Bにおいて、外側圧電アクチュエータ47の駆動電圧(縦軸方向駆動電圧)は、周期的に時間変化する増減成分電圧と、周期変化しないバイアス電圧との重畳から成る。第2軸周りのミラー部42の往復回動は、一般に、共振を利用することなく、非共振となる。このため、縦軸方向駆動電圧に含まれる増減成分電圧は、正弦波だけでなく、図8Bに図示ののこぎり波形や三角波形も使用される。なお、図8Bにおいて、横軸の時間の単位及び縦軸の縦軸方向駆動電圧の単位は共に省略して、変化の特性のみが示されている。
縦軸方向駆動電圧に含まれる増減成分電圧の変化幅が大きいほど、第2軸周りのミラー部42の往復回動角範囲は増大する。また、縦軸方向駆動電圧に含まれるバイアス電圧を増減することにより、増減成分電圧の中心電圧が上下動する。増減成分電圧の中心電圧は、第2軸周りのミラー部42の往復回動角範囲の中心位置を決める。この光走査装置6では、増減成分電圧の中心電圧が高いときほど、ズーム撮影範囲Igzの縦軸方向中心位置が上昇するように設定されている。
図9は、光源制御部24が実施する青色レーザ27の点灯制御の説明図である。前述したように、監視カメラ5がデジタルズームカメラである場合、ズーム撮影範囲Igzは、標準撮影範囲Igs内に限定されることを条件にして、中心Ogを標準撮影範囲Igs内の任意の位置に設定できるとともに、縦軸方向及び横軸方向のズーム倍率を任意に設定できる。
これに対し、光偏向器30では、第1軸周りのミラー部42の往復回動は、第1軸周りのミラー部42の共振を利用する。したがって、第1軸周りのミラー部42の往復回動の回動角の変化幅は、内側圧電アクチュエータ46の駆動電圧の変化幅の増減により調整可能であるものの、第1軸周りのミラー部42の往復回動範囲の中心は固定される。
すなわち、光偏向器30による走査光の走査範囲の中心は、監視カメラ5の撮影範囲において縦軸Av方向には、外側圧電アクチュエータ47の駆動電圧に含ませるバイアス電圧の変更により、縦軸方向走査周波数を一定に維持しつつ、任意に変更できる。これに対し、光偏向器30による走査光の走査範囲の中心は、監視カメラ5の撮影範囲において横軸Ah方向には、第1軸周りのミラー部42の往復回動に共振を利用するために、変更不能であり、常に縦軸Av上に存在する。
その場合、ズーム撮影範囲Igzの中心Ogが、図9に示すように、縦軸Av上に対して横軸Ah方向に偏倚している場合は、第1軸周りのミラー部42の往復回動期間の全範囲にわたり、青色レーザ27を点灯状態に維持すると、走査光はミラー部対応撮影範囲Igwを走査することになる。ミラー部対応撮影範囲Igwは、縦軸Av方向にはズーム撮影範囲Igzと同一範囲にあるものの、横軸Ah方向には、ズーム撮影範囲Igz内の範囲とズーム撮影範囲Igz外にある範囲との両方を含んでいる。ミラー部対応撮影範囲Igwのうち、ズーム撮影範囲Igz外の範囲の走査光の走査は、青色レーザ27の電力を無駄に消費していることを意味する。
これに対処し、光源制御部24は、ミラー部42の往復回動角範囲に相当するミラー部対応撮影範囲Igwのうち、ズーム撮影範囲Igz外の範囲に相当する第1軸周りのミラー部42の回動角範囲では、青色レーザ27を消灯し、ズーム撮影範囲Igzの範囲に相当する第1軸周りのミラー部42の回動角範囲でのみ、青色レーザ27を点灯することが望まれる。STEP103における光源制御部24による青色レーザ27の点灯タイミングの算出は、この望ましい点灯制御(図9の「点灯」及び「消灯」を参照)が行われるように、行われる。
図4のフローチャートに戻って、STEP104では、駆動電圧生成部23は、STEP103で算出した駆動電圧に基づいて光偏向器30の内側圧電アクチュエータ46及び外側圧電アクチュエータ47を駆動する。この結果、ミラー部42は、第1軸及び第2軸周りを標準撮影範囲Igs、ズーム撮影範囲Igz又はミラー部対応撮影範囲Igwに対応する往復回動角で往復回動する。
STEP105では、光源制御部24は、STEP103で算出した点灯タイミングに基づいて青色レーザ27を制御する。すなわち、ミラー部対応撮影範囲Igwのうち、Igsに相当する第1軸周りのミラー部42の回動角範囲においてのみ青色レーザ27を点灯し、その他の回動角範囲においては青色レーザ27を消灯する。
STEP106では、駆動電圧生成部23は、監視カメラ5から撮影処理終了を受信したか否かを判定し、受信したならば、全処理を終了する。また、受信していなければ、処理をSTEP104に戻して、STEP102で算出した走査範囲に対する走査光の走査を繰り返す。
(実施形態の効果)
図10は、ズーム撮影範囲Igzが標準撮影範囲Igsより明るくなることについての説明図である。図10Aは走査光が標準撮影範囲Igsをラスタースキャンしている状態を示し、図10Bは走査光がズーム撮影範囲Igzをラスタースキャンしている状態を示している。
図10は、ズーム撮影範囲Igzが標準撮影範囲Igsより明るくなることについての説明図である。図10Aは走査光が標準撮影範囲Igsをラスタースキャンしている状態を示し、図10Bは走査光がズーム撮影範囲Igzをラスタースキャンしている状態を示している。
光偏向器30からの走査光のラスタースキャンの周期は、走査光の走査範囲の面積に関係なく同一である。したがって、走査光の走査範囲の面積が小さいときほど、走査光は単位面積当たり長く照射されるので、明るくなる。
光偏向器30からの走査光による走査範囲は、走査光が標準撮影範囲Igsを走査するときよりもズーム撮影範囲Igzを走査するときの方が小さくなるので、ズーム撮影範囲Igzは十分に明るくなり、拡大後のズーム画像を鮮明にすることができる。
図11は、デジタルズーム式の監視カメラ5の撮像素子52における標準撮影範囲Igs及びズーム撮影範囲Igzの対応の画素53を示している。標準撮影範囲Igsでは、撮像素子52の全部の画素53が撮像画像の生成に寄与する。これに対し、ズーム撮影範囲Igzでは、撮像素子52の全部の画素53うち、一部の画素53のみが撮像画像の生成に寄与する。
光走査装置6による走査光の走査範囲を標準撮影範囲Igsの走査範囲に一律に設定すると、ズーム撮影範囲Igzの撮影時に、人物画像Tgが走査光を反射して監視カメラ5の対応の画素53に戻って来る反射光の光量が不十分となる。
これに対処し、光走査装置6は、人物画像Tgが含まれているズーム撮影範囲Igzに走査範囲を集中するので、人物画像Tgが走査光を反射して監視カメラ5の対応の画素53に戻って来る反射光の光量が増大する。この結果、対応の画素53の出力から生成されるズーム画像の光量が増大し、拡大後のズーム画像を鮮明なものにすることができる。
図12は、走査範囲を撮影範囲に整合させる制御を行った場合(図12A)と、行わなかった場合(図12B)とでズーム撮影範囲Igzに投入される光量が相異することを示した図である。
図12において、青色レーザ27の点灯状態及び時間軸の目盛りの数値は、単なる大小関係を示すのみであり、単位は有しない。光源(青色レーザ27)の点灯状態において、数値「1」は点灯を意味し、数値「0」は消灯を意味している。走査光は、青色レーザ27の点灯状態において光偏向器30から出射される。
図12において、青色レーザ27が点灯と消灯とを繰り返しているのは、走査光の横軸方向走査では、駆動電圧として正弦波が使用されるからである(図8A参照)。正弦波の全期間において青色レーザ27を点灯させると、正弦波の上下方向両端の折返し部では、第1軸周りのミラー部42の回動速度が0又は0に近い値になる。第1軸周りのミラー部42の回動速度は、線形になることが望ましいので、光走査装置6は、正弦波の中間部分の線形区間でのみ、青色レーザ27を点灯させて、走査光を生成し、正弦波の上下方向両端の折返し部では青色レーザ27を消灯する。したがって、走査範囲に照度にむらが生じるのを防止している。
図12において、青色レーザ27の点灯期間の間の青色レーザ27の各消灯期間は、正弦波の折返し部の区間に相当する。図12における青色レーザ27の各点灯期間は、走査光が走査範囲を図5の横軸Ah方向の各走査に対応する。図12における青色レーザ27の点灯期間の回数、すなわち走査光が走査範囲を図5の横軸Ah方向に走査する回数は、現実の回数を示すもではない。前述したように、第1軸周りのミラー部42の往復回動は、共振を利用しており、例えば、30kHzであり、本来であれば、図12に記載する点灯期間は3万個になる。図12は、ズーム撮影範囲Igzの横軸方向走査回数が、走査範囲を撮影範囲に整合させる制御を行った場合と、行わなかった場合とで相違することを説明するための図であると理解すべきである。
図12Aは、光走査装置6が走査範囲を撮影範囲に整合させる制御を行った場合を示しており、縦軸方向駆動電圧の各サイクルにおける上昇期間の全体にわたり走査光が走査されている。すなわち、該上昇期間の全体が撮影範囲の走査期間になる。
図12Aの縦軸方向駆動電圧は光偏向器30の外側圧電アクチュエータ47の駆動電圧である。また、縦軸方向駆動電圧の上昇期間は、走査光が例えば図10Bのズーム撮影範囲Igzにおいて下から上に走査している期間であり、縦軸方向駆動電圧の下降期間は、ラスタースキャンの帰線期間に相当し、光源制御部24は、レーザドライバ20を介して青色レーザ27を消灯する。
図12Bでは、光走査装置6が走査範囲を撮影範囲に整合させる制御を行わない場合の青色レーザ27の点灯状態を示している。この場合、撮影範囲が標準撮影範囲Igsではなく、ズーム撮影範囲Igzであるときは、該ズーム撮影範囲Igzは、縦軸方向駆動電圧の各サイクルにおける上昇期間のうち、第1軸周りのミラー部42の回動角が該ズーム撮影範囲Igzに対応する範囲になったときのみ、走査光を走査される。すなわち、該上昇期間のうち一部のみが撮影範囲の走査期間になる。したがって、ズーム撮影範囲Igzの光量が不足し、拡大ズーム画像は不鮮明な画質になってしまう。
(変形例)
実施形態の走査光は、可視光であるが、本発明の走査光は、赤外線光を採用することもできる。監視カメラ5は、標準撮影範囲Igs内でズーム撮影範囲Igzを縦横に順次移動しつつ、各移動位置において赤外線の鮮明なズーム撮影範囲Igzを生成する。これにより、公園1内の不審人物の居場所を正確に突き止めることができる。
実施形態の走査光は、可視光であるが、本発明の走査光は、赤外線光を採用することもできる。監視カメラ5は、標準撮影範囲Igs内でズーム撮影範囲Igzを縦横に順次移動しつつ、各移動位置において赤外線の鮮明なズーム撮影範囲Igzを生成する。これにより、公園1内の不審人物の居場所を正確に突き止めることができる。
なお、レーザ光から赤外線の走査光を生成する方法は、例えば、光源としての青色レーザ27に代えて、赤色レーザを用いるとともに、白色変換スクリーン32の蛍光体の種類を変更する。これにより、赤色レーザのレーザ光が、スクリーンの通過に伴い、周波数をダウンコンバートされて、赤外線の走査光として光偏向器30から出射する。
実施形態の図9では、ズーム撮影範囲Igzの縦寸法Lvz及び横寸法Lhzに応じてミラー部対応撮影範囲Igwが設定され、第1軸周り及び第2軸周りのミラー部42の往復回動角の両方の変化幅が、ミラー部対応撮影範囲Igwに合わせて、標準撮影範囲Igsの撮影時の第1軸周り及び第2軸周りのミラー部42の往復回動角の変化幅より減少されている。本発明の光走査装置では、例えば、図9のズーム撮影範囲Igzに対してミラー部対応撮影範囲Igwの縦寸法は、ズーム撮影範囲Igzの縦寸法に等しく設定するものの、ミラー部対応撮影範囲Igwの横寸法は、標準撮影範囲Igsの横寸法Lhsに対して減少することなく、横寸法Lhsを維持してもよい。この場合は、外側圧電アクチュエータ47の駆動電圧の変化幅は、標準撮影範囲Igsの撮影時の変化幅に等しいので、本発明の第1軸周り及び第2軸周りのミラー部の往復回動角の変化幅の少なくとも一方が減少するように、第1駆動電圧及び第2駆動電圧の少なくとも一方を生成することに相当する。
実施形態では、光走査装置6が公園1に設置されている。本発明の光走査装置は、公園1以外に、屋内又は屋外の資材置き場の監視にも適用できる。さらに、車両等の移動体に装備されて、該移動体の周囲のズーム撮影範囲Igzの撮影に適用することができる。
実施形態では、撮影範囲を標準撮影範囲とズーム撮影範囲とに変更可能であるカメラとしての監視カメラ5はスティルカメラとなっている。本発明のカメラは、ビデオカメラであってもよい。その場合、ビデオカメラは、撮影時に撮影を行うことを光走査装置6に通知するようにし、光走査装置6は、ビデオカメラから撮影開始の通知を受信すると、ビデオカメラから撮影終了の通知を受信するまで、走査を継続する。
実施形態では、第1圧電アクチュエータに相当しかつ第1駆動電圧で駆動される内側圧電アクチュエータ46は、ミラー部42を第1軸周りに共振周波数で往復回動させ、第2圧電アクチュエータに相当しかつ第2駆動電圧で駆動される外側圧電アクチュエータ47は、ミラー部42を第2軸周りに非共振周波数で往復回動させている。本発明の第1圧電アクチュエータ及び第2圧電アクチュエータは、共に、ミラー部を非共振周波数で駆動させるものであってもよい。
1・・・公園(撮影範囲)、5・・・監視カメラ(カメラ)、6・・・光走査装置、23・・・駆動電圧生成部、24・・・光源制御部、27・・・青色レーザ(光源)、30・・・光偏向器、42・・・ミラー部、46・・・内側圧電アクチュエータ(アクチュエータ)、47・・・外側圧電アクチュエータ(アクチュエータ)、Igs・・・標準撮影範囲、Igz・・・ズーム撮影範囲。
Claims (6)
- 第1軸及び第2軸の2軸周りに往復回動して入射光を回動角に応じた方向に反射した走査光を出射するミラー部と、第1駆動電圧及び第2駆動電圧を供給され、前記第1軸周り及び前記第2軸周りの前記ミラー部の回動角を前記第1駆動電圧及び前記第2駆動電圧に応じて制御して、照射領域において前記第1軸周り及び前記第2軸周りのミラー部の往復回動に対応する2軸方向で前記走査光を走査させるアクチュエータとを有する光偏向器と、
前記ミラー部に向けて前記ミラー部の入射光としての光を出射する光源と、
撮影範囲を標準撮影範囲と該標準撮影範囲より内側にあって該標準撮影範囲より小さいズーム撮影範囲とに変更可能であるカメラから、該カメラにおいて設定している撮影範囲を特定する特定情報を受信し、受信した該特定情報に基づいて撮影範囲を特定し、特定した撮影範囲の大きさに応じて、大きさが小さいときほど、前記第1軸周り及び前記第2軸周りの前記ミラー部の往復回動角の変化幅の少なくとも一方が減少するように、前記第1駆動電圧及び前記第2駆動電圧の少なくとも一方を生成して、前記アクチュエータに出力する駆動電圧生成部とを備えることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1記載の光走査装置において、
前記アクチュエータは、前記第1駆動電圧を供給されて前記第1軸周りに前記ミラー部を往復回動させる第1圧電アクチュエータと、前記第2駆動電圧を供給されて前記第2軸周りに前記ミラー部を往復回動する第2圧電アクチュエータとから成り、
前記駆動電圧生成部は、
前記第1駆動電圧を、前記第1圧電アクチュエータが前記第1軸周りの前記ミラー部の共振周波数で前記ミラー部の往復回動させるように、生成し、
前記第2駆動電圧を、前記第2圧電アクチュエータが前記共振周波数より低い非共振周波数で前記第2軸周りに前記ミラー部の往復回動させるように生成し、
前記駆動電圧生成部は、前記第1駆動電圧及び前記第2駆動電圧の変化幅の変更により前記第1軸周り及び前記第2軸周りの前記ミラー部の往復回動角の変化幅を変更することを特徴とする光走査装置。 - 請求項2記載の光走査装置において、
前記駆動電圧生成部は、第2駆動電圧に含めるバイアス電圧を変更することにより、前記第2軸周りのミラー部の往復回動に対応する方向の前記走査光の走査範囲の中心位置を変更ことを特徴とする光走査装置。 - 請求項3記載の光走査装置において、
前記第1軸周りの前記ミラー部の往復回動角の変化幅に対応した走査光の照射可能範囲が、前記特定情報に基づいて特定した撮影範囲より広いときに、前記照射可能範囲のうち前記特定した撮影範囲以外の範囲では、前記光源を消灯する光源制御部を備えることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光走査装置において、
前記カメラは、光学ズームカメラであり、
前記特定情報として、ズーム倍率が含まれることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光走査装置において、
前記カメラは、デジタルズームカメラであり、
前記特定情報として、前記カメラにおいて設定されている撮影範囲が前記標準撮影範囲において占めている相対位置の情報が含まれることを特徴とする光走査装置。
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