(第一実施形態)
本発明の第一実施形態に係る連結解除装置について、図1から図5を用いて説明する。
図1(a)の全体図(保持時)に示す通り、本発明の一実施形態に係る連結解除装置は、ヒンジ部1800、強制駆動部1100、付勢手段である付勢ばね1900、マルマンバンド(環状結合部材)1600、分離部1700とから構成されている。
また、本実施形態に係る連結解除装置は、ロケットや衛星等の宇宙航行体などの連結に用いられ、例えば、図1(b)に示すように、ロケットの上段部材に設けられた上段クランプ1701とロケットの下段部材に設けられた下段クランプ1702を連結している。
ヒンジ部1800は、一対の第1ヒンジクランプ1801と第2ヒンジクランプ1802および回転軸部材1803から構成されており、回転軸部材1803を中心に第1ヒンジクランプ1801と第2ヒンジクランプ1802が、回転動作できる構造となっている。
また、両端部はマルマンバンド1600に連結しており、前記回転動作が発生すると、それに追従してマルマンバンド1600も回転軸部材1803を中心に屈曲する構造となっている。
図1(c)に示すように、強制駆動部1100は、内部に駆動源やばね等による力を有しており、マルマンバンド1600自身の復元力によって、宇宙航行体の機軸直交方向外方向に付勢された状態で保持される。
付勢ばね1900は、図1(a)、図2に示すように、ばね等によって構成され、マルマンバンド1600を宇宙航行体の基軸直交方向外方向に付勢するように付勢力を及ぼすように配置される。マルマンバンド1600の周方向に対して等間隔で複数個配置されるのが好ましいが、いずれかの箇所に単一の付勢ばね1900を設けてもよい。
マルマンバンド1600は、クランプ1601とバンド1602から構成されており、バンド1602を接線方向に引っ張ることにより、バンド1602の径が縮小し、クランプ1601が宇宙航行体の基軸方向の中心方向に付勢され、上段クランプ1701と下段クランプ1702が連結されている。
図2には、強制駆動部1100を駆動させ、分離部1700が分離した状態を示している。後述のとおり分離部1700が分離すると、図2の全体図(分離時)に示すとおり、強制駆動部1100の付勢力から解放されたマルマンバンド1600が宇宙航行体の機軸直交方向外方向に変位する。
また、ヒンジ部1800を中心にマルマンバンド1600が回転(屈曲)することにより、ヒンジ部1800が無いときと比較して、より小さな変位で宇宙航行体からマルマンバンド1600が離脱可能となる。換言すれば、ヒンジ部1800を中心としてマルマンバンド1600が屈曲することによって、マルマンバンド1600の径が増大しやすくさせることができ、ヒンジ部1800が分離を補助する分離補助部となる。本実施形態においては、その効果を更に高めるべく、ヒンジ部1800をマルマンバンド1600の周上に等間隔で複数配置している。具体的な例としては、図2に示すように、強制駆動部1100と対向する位置およびその中間点の2箇所の計3箇所に設ければよい。
図3には本実施形態における連結解除装置の強制駆動部1100の分解斜視図を示している。図3に示すように、分離部1700は、第1端部材(第1中間部材)101と第2端部材(第2中間部材)201、分離機構301と開錠モータMおよび分離補助機構401とから構成されている。
第1端部材101と第2端部材201は、分離対象物と分離機構301等を連結するため、一方の端部に分離対象物と連結するための第1取付部102および第2取付部202を有する。
第1端部材101の他方は、ガイド孔103に挿入した第1調整部材104を介して分離機構301と連結し、またモータ孔105に挿入された開錠モータMとモータ固定部材106を介して連結する。
第2端部材201の他方は、ガイド孔203に挿入した第2調整部材204を介して分離機構301と連結し、また分離補助機構401が支持部固定部材404を介して第2端部材201と第2調整部材204との双方に固定される。
分離機構301と開錠モータMは、軸固定部材302により固定され、開錠モータMにて発生した回転動力が分離機構301に伝達する。
図4に示す通り、分離機構301は、第1連結部材310と第2連結部材320および第1固定軸となる第1半円形固定部材(第1半円部材)311と第2固定軸となる第2半円形固定部材(第2半円部材)321とから構成されている。
第1連結部材310および第2連結部材320は、それぞれL字状に形成されており、第1連結部材310と第2連結部材320とはその外形が略等しくなるように構成されている。こうすることによって、図2のように両者を点対称に配置して当接させた際に隙間が生じないようになっている。なお、以下の説明においては第1連結部材310と第2連結部材320とをまとめて連結部材1と記載する。
第1連結部材310と第2連結部材320には、それぞれ第1ガイドピン312と第2ガイドピン322とが設けられており、第1ガイドピン312は第1ガイドピン孔312aに固定され、第2ガイドピン322は第2ガイドピン孔322aに固定されている。なお、以下の説明においては第1ガイドピン312と第2ガイドピン322とをまとめてガイドピン3と記載する。
第1連結部材310と第2連結部材320とが当接した状態(以下、連結状態)においては、ガイドピン312は第2連結部材に設けられた不図示のガイド孔524に挿通しており、ガイドピン322は第1連結部材に設けられたガイド孔514に挿通している。これにより第1連結部材310と第2連結部材320との移動方向が規制され、ガイドピン3が延びる方向にのみ移動が可能となる。なお、以下の説明においてはガイド孔514とガイド孔524をまとめてガイド孔5と記載する。
第1連結部材310は、連結状態において第2連結部材320と当接する3面のうち、ガイドピン3と平行な面(当接面F1)に第1凹部315を有する。同様に、第2連結部材320は、連結状態において第1連結部材310と当接する3面のうち、ガイドピン3と平行な面(当接面F1)に第2凹部325を有する。
第1凹部315と第2凹部325とはそれぞれ半円形、より詳しくは真円を上面および底面とする円柱形状を、その上面と底面を形成する真円の中央を通る面(分割面F2)で割った形状(以下説明上、半円柱と称する。)に沿って凹んでいる。すなわち、連結状態においては、第1凹部315と第2凹部325とは互いの正面に対向し、貫通孔(円形保持部)6を形成する。貫通孔6は真円形状を延ばした円柱状である。ここで、説明上貫通孔6の断面形状が真円であるとして説明したが、実際に加工する際には正確に真円とすることは難しく、真円に近いものを含むことは言うまでもない。また、後述するように、第1凹部315と第2凹部325との間に隙間を生じる状態であっても、両者が対向している状態においては真円形状を成していると見做せる。当然、真円で形成することができれば、以下に説明する連結原理における連結の密着度を高めることができ、好適である。
貫通孔6内には、半円柱状の第1固定軸(第1半円形固定部材)311と半円柱状の第2固定軸(第2半円形固定部材)321とが挿入される。第1固定軸311と第2固定軸321とは、貫通孔6内で対向する部分においては同形状となっており、円柱状の固定軸(円柱部材)2を形成している。本実施形態においては、第1固定軸311における第1連結部材310に挿入される側とは逆側の端部は、開錠モータMと嵌合するための不図示の挿入穴306があり、開錠モータMの駆動軸Maと連結することにより、開錠に必要な所望の回転動力を得ることができる構造になっている。
なお、開錠モータMは、第1固定軸311のみならず、第1端部材101とも連結している。そのため、第1連結部材310及び第1固定軸311は、第1端部材101を介して開錠モータMに連結しており、一体を成している。当構造により、開錠時に連結部材1が分離対象物に対して変位したとしても、開錠モータMも同様に変位するため、駆動軸Maに予期しない荷重は発生せず、動力の伝達が途切れることはない。
また、開錠モータMに電力を供給するためのケーブルは、前記変位に対して十分に長い構造にすることにより、ケーブルに予期しない荷重が発生することなく、分離対象物に対して連結部材1が変位したとしても、開錠モータMへの駆動力は伝達されつつ、前記変位を拘束することもない。
貫通孔6内においては、第1固定軸311と第2固定軸321とで形成される固定軸2とが摺接する。すなわち、貫通孔6の内面は円形内面部を形成しており、円柱部材としての固定軸2が滑らかに摺接するようになっている。
開錠モータMからの駆動力が駆動軸Maを介して伝達され、固定軸2が回転駆動される。すなわち、開錠用モータMで発生した回転駆動力によって区同軸Maおよび駆動シャフトMbが回転し、次いで駆動シャフトMbに連動して回動可能なように連結された貫通孔306が回転し、貫通孔306が形成された第1固定軸311および第1固定軸311から負荷を受けた第2固定軸321とが、貫通孔6内において貫通孔6の周方向に沿って一体に回転可能なように支持されている。
第1固定軸311および第2固定軸321は、貫通孔6内で回転駆動される際に、固定軸2の延びる方向への移動を規制する構造を設けるために、その円柱形状(半円柱状)の側面にそれぞれ第1規制孔316と第2規制孔326とを有する。
第1固定軸311の第1規制孔316に対向するように、第1連結部材310にはガイドピン3が延在する方向に伸びた第1長穴316aが設けられており、第1長穴316aを貫通して第1規制部材313を第1規制孔316に嵌合させることによって、固定軸2が延在する方向に第2固定軸321が移動することを所定の範囲に制限(規制)している。本実施形態においては、第1長穴316aの幅(固定軸2が延在する方向の長さ)と第1規制部材313の径をほぼ同等にしており、第1固定軸311が、固定軸2が延在する方向に移動しないようになっている。
また、第1規制部材313は、連結部材1に後述する分離動作が作用したとき、第1固定軸311が第1連結部材310から分離することを規制している。一例としては、第1規制孔316はビス、第1規制部材313はビス穴で構成され、ビスの頭部形状の径が第1長穴316aの幅よりも大きくなっていれば、第1連結部材310から第1規制部材313が分離することを規制できる。
さらに、第1規制部材313は、第1長穴316aのガイドピン3が延在する方向の端面に接触することにより、第1固定軸311の回転角度を規制している。
同様に、第2固定軸321の第2規制孔326に対向するように、第2連結部材320にはガイドピン3が延在する方向に伸びた第2長穴326aが設けられており、第2長穴326aを貫通して第2規制部材323を第2規制孔326に嵌合させることによって、固定軸2が延在する方向に第2固定軸321が移動することを所定の範囲に制限(規制)している。本実施形態においては、第2長穴326aの幅(固定軸2が延在する方向の長さ)と第2規制部材323の径をほぼ同等にしており、第1固定軸321が、固定軸2が延在する方向に移動しないようになっている。
また、第2規制部材323は、連結部材1に後述する分離動作が作用したとき、第2固定軸321が第2連結部材320から分離することを規制している。一例としては、第2規制孔326はビス、第2規制部材323はビス穴で構成され、ビスの頭部形状の径が第2長穴326aの幅よりも大きくなっていれば、第2連結部材320から第2規制部材323が分離することを規制できる。
さらに、第2規制部材323は、第2長穴326aのガイドピン3が延在する方向の端面に接触することにより、第2固定軸321の回転角度を規制している。
このように構成された分離機構301が連結する対象は、第1連結部材310におけるガイド孔312aが設けられる外面であって、第1ガイドピン312が挿通される位置と隣接して設けられた不図示の第1連結部318と、第2連結部材320におけるガイド孔322aが設けられる外面であって、第2ガイドピン322が挿通される位置と隣接して設けられた第2連結部328とに固定されることによって、連結解除装置100を介して連結がなされる。また、後述する分離動作を行うことによって連結を解除できる。
連結部材1と固定軸2、連結部材1と他方のガイドピン3の接触箇所は、後述する分離する方向の外力による応力が集中するため、高強度の材料であるSUS630−H900が好適である。また、各構成品を複数に分割し、接触点のみに高強度の材料を適用することも好適である。
また、経年による腐食により強度が低下するのを防止する観点からも、耐食性材料であるステンレス鋼の一種であるSUS630−H900が好適である。
各部材の表面状態においては、後述する分離動作が作用したときに各部材間で摺動が発生するため、所望の摩擦係数を有する表面状態等を形成する必要がある。特に、摺動部の摩擦係数を小さくすることにより、所望の分離動作を得るための開錠モータMの出力を小さくすることができるので、表面粗さを小さくするとともに、二硫化モリブデン塗装(MIL−L−23398相当)またはDLC (Diamond−Like Carbon)コーティングを施工することが好適である。
図5に本発明の一実施形態における連結解除装置の分離動作(反時計回りによる分離)の説明図を示す。図の左側には連結解除装置100の正面図を示し、図の右側には連結解除装置100の断面図を示している。
t1〜t4は連結または分離における各ステップを示しており、以下ではステップごとに順を追って説明する。
ステップt1は本実施形態に係る連結解除装置100の連結状態を示しており、ステップt1においては、固定軸2における第1固定軸311および第2固定軸321のいずれも、第1連結部材310および第2連結部材320に跨った位置にある。より詳しくは、ステップt2に示すような固定軸2の分割面F2が連結部材1の当接面F1と面一になる解除位置となっている解除状態から、ステップt1に示すように、固定軸2を時計回り(CW)方向に第1所定角度(初期角度)θ1だけ回転した状態となっている。
開錠モータMによって固定軸2を図3における反時計回り(CCW)方向に回転していくと、第1固定軸311および第2固定軸321は、徐々に他方の連結部材1内から逃げていくことになる。さらに回転を続けていくと、ステップt2の状態に到達する。なお、本実施形態においては、開錠モータMを用いて固定軸2を回転させる例を示すが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば固定軸2を電磁クラッチで保持した状態でねじりばねで付勢し、電磁クラッチを解放することによりねじりばねの復元力によって固定軸2を回転させるもの等も含まれる。
ステップt2に到達すると、第1固定軸311は第1連結部材310内にのみ存在し、第2固定軸321は第2連結部材320内にのみ存在することになる。
このとき、図3に示す通り、第2連結部材320は第2調整部材204、第1ばね支持部材402aおよび第2ばね支持部材402bを介して、第1連結部材310と第2連結部材320が分離する方向に付勢された引張ばね403に連結している。また、分離対象物の復元力も同方向に発生しているため、第1連結部材310と第2連結部材320とが、ガイドピン3にガイドされながら摺動して、その相対位置が開いていく。
ステップt3にて、第1連結部材310と第2連結部材320とがガイドピン3にガイドされながら摺動して相対位置が開いている様子を示している。ステップt3の時点でガイドピン3がガイド孔5から抜けて、連結解除装置100を介した分離対象物の連結が完全に分離される。
なお、分離対象物の復元力のみによって連結部材1が分離される方向に付勢した場合には、第1連結部材310と第2連結部材320との相対位置が開いていくことで分離対象物の復元力は低下し、ガイドピン3がガイド孔5から抜ける前に消滅して分離が完了せず、本発明の分離動作を適切に作動させることができない可能性がある。
一方、本実施形態に係る連結解除装置においては、第1連結部材310と第2連結部材320との相対位置が開いていくことで引張ばね403による復元力も低下するものの、ガイドピン3がガイド孔5から抜けるまでの距離以上の変位量を有する引張ばね403を配置することにより、分離対象物の復元力に依らず、第1連結部材310と第2連結部材320が離れる方向への付勢力を及ぼし、分離動作を適切に作動させることができる。
なお、引張ばね403による復元力がガイドピン3の延びる方向に作用するように、引張ばね403は支持部固定部材404によって第2端部材201から離隔して設けられている。より詳しくは、引張ばね403は第2調整部材204の延長上に配置されており、図2に示すように、第2調整部材204が接続される第2連結部328は第2ガイドピン孔322aに出来る限り隣接して設けられている。第2連結部328と第2ガイドピン孔322aとが一致するようにしてもよく、その場合、第2ガイドピン322と第2調整部材204とを一体に構成してもよい。
ステップt4には係合が解除され、第1連結部材310と第2連結部材320とが離れた状態を示している。
なお、分離動作においては、第1連結部材310および第2連結部材320が分離移動する方向が第1ガイドピン312および第2ガイドピン322によって規制されており、少なくともステップt3まではガイドピン3の延びる方向に移動する。ガイドピン3によって連結部材1の移動方向を規制することによって、ガイドピンの延びる方向に直交する方向への連結部材1の移動を規制し、本発明の分離動作を適切に動作させることができる。
本実施形態に係る連結解除装置においては、CCW方向に固定軸2を回転して係合を解除することで、ステップt1の連結状態からステップt2の解除状態に遷移するまでの間に、第1連結部材310と第2連結部材320との密着状態を僅かに緩めることができる。以下にその原理を説明する。
説明のために、分離対象物によって連結部材1に対して分離する方向の外力が加わっている状態を仮定する。すなわち第1連結部318に接続された物体の外力によって第1連結部材310が図3における左側に引っ張られ、第2連結部328に接続された物体の外力によって第2連結部材320が図5における右側に引っ張られている状態である。
その場合、ステップt1の状態において、第1固定軸311は、第1連結部材310から図5における左方向の力を受ける。その際に、第1ガイドピン312と第2ガイド孔524との間に、第1ガイドピン312の径方向に対して形成された調整隙間Sによって、第1連結部材310は第1固定軸311に摺接しながら上側に引っ張られる方向の力を受けることとなり、調整隙間Sの分だけ上側に移動しながら僅かに左側に移動する。
結果として、ステップt2に遷移する前に、第1連結部材310が第2連結部材320に対して僅かに左側に移動することができ、それは固定軸2がCCW方向(左回転方向)に進むにつれて第1凹部315と第2凹部325とのずれが大きくなるため顕著になる。したがって、ステップt2の状態に移る前に第1連結部材310と第2連結部材320との連結状態を固定軸2の回転に伴って徐々に緩めることができ、連結が解除される際の衝撃を低減することができる。
上記説明においては、外力が加わっている状態を仮定したが、外力が加わっていない場合でも同様であり、ステップt2に遷移する前に第1連結部材310と第2連結部材320との連結状態を緩めることが可能である。
上記説明をより分かりやすくするために、図6には調整隙間Sを大きく表現した図を示す。ステップT1からT5の順に分離動作が進むこととなり、具体的な説明は次の図7から図11にて説明する。なお、ステップT1およびT5は、それぞれ図5におけるステップt1およびt2(もしくはt3)に対応している。
図7には、図6のステップT1の状態を示している。この状態において、外力による張力が連結部材1に働いていない場合、ガイドピン3とガイド孔5との間には調整隙間Sが与えられている。図7の状態では、ガイドピンの脇に形成された隙間s1と隙間s2の合算が調整隙間Sとなっている。
図8には、図7と同様の状態において、外力による張力が連結部材1に働いている状態を示しており、図6のステップT2に対応する。この状態においては、張力によって固定軸2が分割面F2上でスライドしている。
図8における上方に第1連結部材310がSだけ移動したときガイドピン312とガイド孔524が接触してスライドが停止する。このときの基準面X方向への移動量Lは、基準面Xと当接面Yとのなす角をθとすると、L=S/tanθとなる。
上記の移動量Lを求める式から分かるように、ガイドピン3およびガイド孔5の設計時にSの寸法を適切な値とすることにより、第1所定角度θ1と移動量Lの関係を任意に決めることができる。なお、移動量Lをある程度大きくする場合には、第1連結部318と第2連結部328の中心がずれることとなるため、第1連結部318と第2連結部328に接続する分離対象物によって外力が働く場合には、図6の状態、すなわち第1連結部材310と第2連結部材320とがそれぞれ上下に移動して、ガイドピン3がガイド孔5の外側の面に当接した状態において第1連結部318と第2連結部の中心が揃うように、第1連結部318と第2連結部328の基準面Xと垂直な方向に対する取り付け位置を設定してもよい。
開錠モータMなどによって固定軸2の回転を進めると、角度θが小さくなるに従い、移動量Lは徐々に大きくなる。その状態を図6におけるステップT3に示している。ここで、回転数が一定であったとしても、移動量Lは線形には増加しない。すなわち上記の移動量Lを求める式からも分かるように、角度θが90度以下で比較的大きい場合には角度θの変化に対して移動量Lの変化は小さく、連結解除装置100にかかる衝撃も小さいものとなる。また、角度θが減少し、角度θが0に近づくにつれて移動量Lが急激に無限大に発散することが上記Lを求める式から分かる。
実際には、Lが所定の大きさとなった時点で、ガイドピン3がガイド孔5から離脱することで第1連結部材310と第2連結部材320の規制が解除され、分離される。但し、開錠モータMの回転の勢い等のパラメータの振り方によっては固定軸2の回転方向先端が連結部材1の当接面F1を形成する面に接触してからガイドピン3がガイド孔5から抜け、連結部材1が分離することもある。本実施形態においては、開錠モータMの回転数を制御することでLの時間変化量の制御が可能である。
すなわち、図9に示す状態(図6におけるステップT4)でガイドピン3がガイド孔5から離脱して第1連結部材310と第2連結部材320との連結が解除される解除状態となるようにガイドピン3の長さを設定してもよいし、基準面Xと当接面Yが一致する位置(図6におけるステップT5)で連結が解除される解除状態となるようにしてもよい。
つまり、ここまでの説明をまとめると、図6のステップT1は図5のt1に対応する連結状態であり、固定軸2の回転を進めると図6のステップT2およびT3に示す分離動作開始後の遷移状態を経て、連結の解除状態である図6のステップT5の状態となる。図6のステップT5は図5のt2もしくはt3に対応している。なお、図5のステップt3、t4は、解除状態となったあとに外力によって第1連結部材310および第2連結部材320を引き離す方向の力を加えた場合の分離状態を示している。
ここで、第1所定角度θ1を変更した場合について説明する。第1所定角度θ1を小さくすると、連結状態から分離動作を開始する際に、開錠モータMの駆動力によって固定軸2を回転するために必要なトルクを低減することができる。すなわち開錠モータMとして小さなものを用いることができ、連結解除装置100または装置全体を小型化することができる。
なお、上記実施形態においては、第1所定角度θ1を30度程としており、連結状態としてある程度の張力を保ちながら、比較的小さい駆動トルクでの駆動が可能なようにしており、連結解除装置100の小型化を図っている。
図10に本発明の一実施形態における連結解除装置の他の分離動作(時計回りによる分離)の説明図を示す。図の左側には連結解除装置100の正面図を示し、図の右側には連結解除装置100の断面図を示している。基本的な分離動作の方法については上述した分離動作と同様であるため、詳細は割愛し、異なる部分のみ説明を行う。
ステップt’1は本実施形態に係る連結解除装置の連結状態を示しており、ステップt’1においては、固定軸2における第1固定軸311および第2固定軸321のいずれも、第1連結部材310および第2連結部材320に跨った位置にある。より詳しくは、ステップt’2のような固定軸2の分割面F2が連結部材1の当接面F1と面一になる状態から、ステップt’1に示すように、固定軸2を反時計回り(CCW)方向に第2所定角度(初期角度)θ’1だけ回転した状態となっている。
開錠モータMによって固定軸2を図10における時計回り(CW)方向に回転していくと、第1固定軸311および第2固定軸321とは、徐々に他方の連結部材1内から逃げていくことになる。さらに回転を続けていくと、ステップt’2の状態に到達する。なお、固定軸2の回転は必ずしも開錠モータMによって行う必要はなく、例えば固定軸2を電磁クラッチで保持した状態でねじりばねで付勢し、電磁クラッチを解放することによるねじりばねの復元力によって行ってもよい。
ステップt’2に到達すると、第1固定軸311は第1連結部材310内にのみ存在し、第2固定軸321は第2連結部材320内にのみ存在することとなり、連結部材1の分離が可能となる。
CW方向に固定軸2を回転して係合を解除することで、ステップt’1からステップt’2に遷移するまでの間は、第1連結部材310と第2連結部材320との連結状態を確保して第1連結部材310と第2連結部材320との密着状態を保つことができ、ステップt’3への到達によって上述した反時計回りへの分離動作に比べて急激に分離を行うことが出来る。以下にその原理を説明する。
説明のために、分離対象物によって連結部材1に対して分離する方向の外力が加わっている状態を仮定する。すなわち第1連結部318に接続された物体の外力によって第1連結部材310が図10における左側に引っ張られ、第2連結部328に接続された物体の外力によって第2連結部材320が図10における右側に引っ張られている状態である。
その場合、ステップt’1の状態において、第1固定軸311は、第1連結部材310から図10における左向きの力を受ける。その際に、第1固定軸311は第2連結部材320と直接接触しており第2連結部材320から図8における右向きの力を受けるが、各部材間やCCW方向への回転による分離方法のようにガイドピン3とガイド孔5との間に調整隙間Sを形成していても、第2連結部材320に対する相対位置は調整隙間S以下の分しか変わらない状態となっている。
結果として、ステップt’2に遷移するまでは、第1連結部材310が第2連結部材320に対して左側に移動することがなく、ステップt’2の状態に移るまでは第1連結部材310と第2連結部材320との連結状態を保つことができ、ステップt’2への到達によって比較的に急激に連結を解除することができる。
すなわち、ステップt’2へ到達する直前の状態で本実施形態の連結解除装置を使用し、そこから僅かにCW方向に回転することによって、連結の解除動作を開始した直後に連結を解除することができる(連結の解除動作の立ち上がり時間を短縮することができる)。そのため、連結状態における第2所定角度θ’1を、確実な連結を行うべくある程度の大きさとなっている第1所定角度θ1とは異なり、少し回転させれば連結が解除させる角度にして装置を使用することで、急激に連結を解除することが求められた際に、瞬時に連結を解除することができる。当然、第2所定角度θ’2が第1所定角度θ1と等しくてもよいし、第1所定角度θ1よりも大きく設定することを妨げるものではない。
ここで、連結の解除動作を開始するとは、開錠モータMに対する解除動作の駆動指令を出力した時点や固定軸2を回転動作するためにねじりばねの復元力を解放するために電磁クラッチに解除指令を出力した時点などを意味する。
図11は、上述した反時計回りによる分離(CCW方向への分離)を行う場合と時計回りによる分離(CW方向への分離)を行う場合における連結部材1に対して及ぼされる張力の比較を示した概念図である。なお、上述した角度θに対する移動量Lの変化同様に、実際には張力についても線形には減少しないが、図11においては説明のために簡略化して線形に表現してある。
図11に実線で示している、反時計回りによる分離を行う場合の張力は、上述したように第1固定軸311と第2固定軸321との分割面(当接面)F2の角度θが小さくなるに従って減少する。それに対し、図11に破線で示している、時計回りによる分離を行う場合の張力は、上述したように第1固定軸311と第2固定軸321との分割面(当接面)F2の角度θ’が0に近づくと瞬間的に0となる。
一方で、連結の解除時に連結部材1等に掛かる衝撃は、反時計回りによる分離を行う場合の方が小さくすることができる。
このように、一つの連結解除装置において連結の解除の仕方を複数有する構造を実現することで、装置の使用用途や目的に合わせた解除の仕方を選択することができ、連結解除装置の汎用性を高めることができる。
ここで、本実施形態に係る連結解除装置を適用した装置の一例として、ロケットや衛星等の宇宙航行体の分離装置に設けた例を示す。図16には、本実施形態に係る連結解除装置を衛星等が搭載されるフェアリングとロケットとの間などの分離装置として適用した例を示している。この構成によれば、フェアリングとロケットとの連結を解除する際に、分離機構の周方向に亘ってより均等に分離動作を行わせることができる。また、ロケットの上段部材、下段部材間に本実施形態に係る連結解除装置を適用した場合にも同様の効果を得ることができ、好適である。以下にその具体的な構造について詳述する。図1は本実施形態に係る分離装置を示した全体図である。強制駆動部1100の分離動作を行うことによって、マルマンバンド1600を分離させることで衛星とロケットの上段部材間や、ロケットの上段部材とロケットの下段部材間の切り離しを行う。
図1(a)は、本実施形態に係る連結解除装置を示した。上段クランプ1701と下段クランプ1702とを当接させたものをマルマンバンド1600で固定している。
マルマンバンド1600は、バンド1601に複数のクランプ1602を連結したものであり、端部は、強制駆動部1100またはエンドクランプ1800が連結されている。なお、強制駆動部1100は、冗長の目的等で複数個配置でき、エンドクランプ1800も後述するバンド張力の調整および分離時のマルマンバンド1600の挙動を考慮して複数個配置することができる。
固定時は、強制駆動部1100およびエンドクランプ1800により、バンド1601を分離部1700の周方向に引っ張ることで、強制駆動部1100、エンドクランプ1800およびクランプ1602がロケットの段間継手1700の中心方向に付勢され、上段クランプ1701と下段クランプ1702が連結される。
なお、バンド1601は周方向に付勢された状態で固定されており、図2に示したように、その復元力は強制駆動部1100が作動したときに、強制駆動部1100が分離する方向に働く。すなわち、バンド1601の径が広がる方向に力が働く。
図3、4に本実施形態に係る強制駆動部1100の拡大図を示している。第1連結部材310は、第1連結部318に接続された第1調整部材104によって、第1端部材101に固定されている。同様に、第2連結部材320は、第2連結部328に接続された第2調整部材204によって、第2端部材201に固定されている。なお、第1調整部材104および第2端部材101は、それぞれマルマンバンド1600に接続されている。
開錠モータMは、第1端部材101に連結されており、また開錠モータの駆動軸は第1固定軸311に接続され、当接している第2固定軸321とともに回転させることができ、これまで説明したように、CW方向へ回転することによる分離とCCW方向へ回転することによる分離とが可能となっている。
なお、上述したとおり、第1端部材101、モータMおよび第1固定軸311を一体連結とすることで、開錠時にバンド1601の復元力によりマルマンバンド1600に予期しない変位が発生しても、当該部材も同じように変位するため、動力が開錠途中で途切れることはなく、確実に開錠することができる。
開錠モータMが作動すると、第1固定軸311と第2固定軸321が回転して、当該部材の分離面と第1連結部材310と第2連結部材320の分離面が一致したとき、バンド1601の復元力および引張ばね403の復元力が第2調整部材204を介して第2連結部材320に働き、第2連結部材320と第1連結部材310とが分離する。
このとき、バンド1601の復元力のみでは、分離部1700により制約を受けるバンド1601の形状およびバンド張力等の設定により、第1連結部材310から第2連結部材320が離脱する前に復元力が消滅し、確実に分離することができない可能性がある。
一方、引張ばね403は、分離部1700から制約を受けないため、第1連結部材310から第2連結部材320が離脱するまで変位できるように、復元力を調整できるため、確実に分離することができる。
なお、分離動作が行われる際には、強制駆動部1100によってバンド1601を締め上げた力と締め上げた力を解放するのにかかる時間で衝撃が決まる。従来、継手を火工品で切断していた場合には、締め上げた力を解放する時間が一瞬だったため衝撃が大きかったが、本実施形態においては徐々に連結状態を解放することができるため、衝撃を低減することが可能となる。
分離部1700が分離すると、マルマンバンド1600によって付勢されていた付勢ばね1900が解放され、マルマンバンド1600は宇宙航行体の機軸直交方向外側に押し出される。
このとき、ヒンジ部1800が回転作動し、マルマンバンド1600がヒンジ部1800を中心に宇宙航行体の機軸直交方向外側に変位することで、マルマンバンド1600のしなりを利用することなく、少ない移動力で宇宙航行体からマルマンバンド1600を分離させることができる。
ヒンジ部1800および付勢ばね1900については、バンド張力等の設定により数量および設置場所を変更してもよい。ヒンジ部1800同様に、付勢ばね1900も、マルマンバンド1600の分離を補助する分離補助部となる。
上記同様の理由により、ヒンジ部1800の回転軸部材の位置を宇宙航行体のより外側または内側に配置してもよい。
ヒンジ部1800は、真空状態で使用されることを考慮し、摺接部は真空中でも蒸発することのない固体潤滑材(二硫化モリブデンMoS2等)等を焼結させたベアリングなどを用いるのが好適である。
付勢ばね1900は、バンド張力等の設定により、各付勢ばね1900間で付勢力(弾性力)を変更することで、マルマンバンド1600の変位量を変更してもよい。
付勢ばね1900は、宇宙航行体の内側に配置スペースが無い場合は、マルマンバンド1600の外側に配置してもよい。そのとき、付勢ばね1900は、引張方向に変位する構成となる。
分離後のマルマンバンド1600の飛散を防止するため、付勢ばね1900とマルマンバンド1600を連結してもよい。このとき、付勢ばね1900の作動を妨げることのない連結を考慮することが好ましい。
(第二実施形態)
本発明の一実施形態に係る連結解除装置を適用した装置の他の例として、ヒンジ部を廃して付勢ばね2900のみを設けた例を図12に示す。本形態は、連結解除装置の軽量化および部品点数低減による信頼性向上に有効である。特に、宇宙航行体は、上段ほどバンド締付力が小さいため、分離時のマルマンバンド2600の復元力による離脱が期待できない。また、上段ほど重量増加によるロケット性能の低下への影響が大きい。そのため、軽量化できマルマンバンド2600を強制的に宇宙航行体の機軸直交方向外側に変位させることのできる本実施形態は好適である。
本実施形態は、強制駆動部2100、バンド張力調整部2800、付勢ばね2900、マルマンバンド2600、分離部2700とから構成されている。
また、本実施形態に係る連結解除装置は、ロケットや衛星等の宇宙航行体の連結に用いられ、上段部材2701と下段部材2702を連結している。
バンド張力調整部2800は、一対の第1調整クランプ2801と第2調整クランプ2802および調整部材2803から構成されており、調整部材2803を締め付けることにより、マルマンバンド2600の張力を調整できる構造となっている。図12に示すように、調整部材2803の一例としてボルトを用い、第1調整クランプ2801と第2調整クランプ2802に形成されたねじ穴に貫通させるものであってもよいし、他のマルマンバンド2600を締め付ける張力を調整できる手段を用いてもよい。
付勢ばね2900は、内部にばね等による付勢力を有しており、マルマンバンド2600を宇宙航行体の機軸直交方向外方向に付勢された状態で保持される。
マルマンバンド2600は、クランプ2601とバンド2602から構成されており、バンド2602を接線方向に引っ張ることにより、クランプ2601が宇宙航行体中心方向に付勢され、上段部材2701と下段部材2702が連結されている。
分離動作は前述の通りであり、分離部2700が分離することにより、付勢されていた付勢羽根2900が解放され、マルマンバンド2600が宇宙航行体の機軸直交方向外側に変位し、宇宙航行体から離脱する。
このとき、付勢ばね2900の数量、配置箇所、付勢力等を調整することにより、宇宙航行体の機軸直交方向外側にマルマンバンド2600を均等に分離させることができる。
付勢ばね2900は、バンド張力等の設定により、各付勢ばね2900間で付勢力(弾性力)を変更することで、マルマンバンド2600間の変位量を変更してもよい。
付勢ばね2900は、宇宙航行体の内側に配置スペースが無い場合は、マルマンバンド2600の外側に配置してもよい。そのとき、付勢ばね2900は、引っ張り方向に変位する構成となる。
図13に示すように、分離後のマルマンバンド2600の飛散を防止するため、付勢ばね2900とマルマンバンド2600を連結してもよい。このとき、付勢ばね2900の作動を妨げることのない連結を考慮することが好ましい。加えて、付勢ばね2900の他方を下段部材2702側に取り付けることによって、分離動作後には、付勢ばね2900に保持されたマルマンバンド2600が下段部材2702と一体とすることができる。その場合、上段部材2701側には余分な構造が付くことがなく、重量の観点からも好適である。また、付勢ばね2900が下段部材2702から抜けてしまわないように、付勢ばね2900か下段部材2702のいずれか、または両方に保持構造が設けられていることが好ましい。さらに、強制駆動部2100は、分離に必要な分連結部材を移動したあとは、それ以上2つの連結部材間の距離が開かないようになっていることが好ましい。
(第三実施形態)
本発明の一実施形態に係る連結解除装置を適用した装置の他の例として、付勢ばねを廃してヒンジ部3800のみを設けた例を示す。本形態は、連結解除装置の軽量化および部品点数低減による信頼性向上に有効である。特に、宇宙航行体は、下段ほどバンド締付力が大きいため、分離時のマルマンバンド3600の復元力による離脱が期待できる。そのため、軽量化できマルマンバンド3600を強制的に宇宙航行体の機軸直交方向外側に変位させることのできる本実施形態は好適である。
本実施形態は、ヒンジ部3800、マルマンバンド3600、分離部3700とから構成されている。
また、本実施形態における連結解除装置は、ロケットや衛星等の宇宙航行体の連結に用いられ、
上段部材3701と下段部材3702を連結している。
ヒンジ部3800は、一対の第1ヒンジクランプ3801と第2ヒンジクランプ3802および回転軸部材3803から構成されており、回転軸部材3803を中心に第1ヒンジクランプ3801と第2ヒンジクランプ3802が、回転動作できる構造となっている。
また、ヒンジ部3800の両端部はマルマンバンド3600に連結しており、前記回転動作が発生すると、それに追従して同様にマルマンバンド3600も回転軸部材3103を中心に屈曲する構造となっている。
分離動作は前述のとおりであり、図15に示すように、分離部3700が分離することにより、強制駆動部3100によって付勢されていたマルマンバンド3600が解放され、マルマンバンド3600は自らの付勢力により宇宙航行体の機軸直交方向外側に変位し、宇宙航行体から離脱する。
このとき、ヒンジ部3800が回転動作することにより、マルマンバンド3600は、宇宙航行体から速やか、かつ、均等に離脱する。
ヒンジ部3800は、バンド張力等の設定により数量および設置場所を変更してもよい。
また、同様の理由により、ヒンジ部3800の回転軸部材の位置を宇宙航行体の外周面より外側または内側に配置してもよい。
ヒンジ部3800は、真空状態で使用されることを考慮し、摺接部は真空中でも蒸発することのない固体潤滑材(二硫化モリブデンMoS2等)等を焼結させたベアリングが好適である。
ここで、第1端部材が有する第1取付部の外表面について詳述する。第1取付部の外表面は平坦な面となっており、その平坦な面に内周面が当接するようにしてマルマンバンドが取り付けられる。第1取付部は、第1端部材における分離機構が設けられる側とは反対側の端部を含むように形成されており、第1取付部の外表面は、その端部とマルマンバンドの中心とを通る直線に対して垂直である。すなわち、分離対象物の連結時に、第1取付部に当接する位置以外では真円形状をなすように形成されたマルマンバンドの内周面(内周円)の、第1取付部の端部との交点における接線と一致するように第1連結部の外表面は形成されている。
図16には、本発明に係る連結解除装置を衛星等が搭載されるフェアリングとロケットとの間などの分離装置として適用した例を示している。図16(a)に、3段に構成されたロケット本体とその上部に設けられたフェアリングPLF内部に衛星SATなどの積載物が搭載されたロケットを示している。ロケットの各段とフェアリングPLFとの間にはそれぞれ本発明に係る連結解除装置を用いた分離装置5100が設けられている。また、衛星接手PAFと衛星SATとの間にも本発明に係る連結解除装置を用いた分離装置5100が設けられている。なお、分離装置5100に対しては、これまでに説明した各実施形態における連結解除装置または強制駆動部のいずれの形態が用いられてもよい。
図16(b)から(e)に示すように、ロケットの各段B1、B2、B3やフェアリングPLFの切り離しおよび衛星SATと衛星接手PAFとの分離において、本発明に係る連結解除装置を用いることによって、連結解除装置への衝撃を低減しつつ、確実に分離動作を行うことができる。特に、衛星SATと衛星接手PAFとの分離においては、できる限り衝撃を抑えることが望まれており、本発明に係る連結解除装置の適用は非常に好適である。
以上、本発明の連結解除装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をすることができる。
例えば、上記実施形態において、ガイドピン3は断面円形状すなわち概略円筒形状のものを用いて説明したが、実際にはガイドピン3を直方体形状とし、ガイド孔5を楕円形状とするなどの変更を施してもよい。
また、上記各実施形態においては、強制駆動部をマルマンバンドに対して一つ配置した例を説明したが、例えば、対向する2箇所に配置してもよい。その場合でも、上記各実施形態で説明したような、ヒンジ部または付勢ばねによってマルマンバンドの分離を促すことができる。
(付記)
分割された一対の半円部材で構成される円柱部材と、
前記円柱部材の外周面に沿って当接して前記円柱部材を保持する円形保持部を形成する一対の連結部材と
を備え、
前記円形保持部は、一方の連結部材が有する半円部と他方の連結部材が有する半円部とを相対向させて各半円部の内周面を連続させることで形成され、前記円柱部材の外周面が摺接する円形内面部を有し、
前記円柱部材は、前記一対の連結部材の当接面と前記円柱部材の分割面とが面一となる位置を基準として、前記円形内面部に沿って時計回り及び反時計回りのいずれの方向にも回転可能に構成されることを特徴とする連結解除装置。
前記円柱部材の回転角度を制限する規制部を有し、
前記円形保持部は、前記円柱部材を前記円形内面部に対して当接するいずれの向きでも保持可能なように構成されることを特徴とする連結解除装置。
前記規制部は、前記連結部材における前記連結部材の当接面の前記円柱部材を通る法線上に設けられることを特徴とする連結解除装置。
前記円柱部材を、前記一対の連結部材の当接面と前記円柱部材の分割面とが面一となる位置を基準として反時計回りに回転した位置で停止することで前記一対の連結部材の連結状態を保持され、
前記円柱部材を、時計回りに回転することで前記連結状態が解除されることを特徴とする連結解除装置。
前記円柱部材を、前記一対の連結部材の当接面と前記円柱部材の分割面とが面一となる位置を基準として時計回りに回転した位置で停止することで前記一対の連結部材の連結状態を保持され、
前記円柱部材を、反時計回りに回転することで前記連結状態が解除されることを特徴とする連結解除装置。
前記円柱部材を、前記一対の連結部材の当接面と前記円柱部材の分割面とが面一となる位置を基準として時計回り及び反時計回りのいずれに回転して停止した場合にも、前記一対の連結部材の連結状態を保持可能であることを特徴とする連結解除装置。
前記一対の連結部材が分離する際に移動する方向に前記円柱部材が回転することで前記一対の連結部材の連結状態を解除することを特徴とする連結解除装置。