JP2018066272A - 燃料ガス供給システム、船舶、及び燃料ガス供給方法 - Google Patents

燃料ガス供給システム、船舶、及び燃料ガス供給方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ボイルオフガスの液化装置の使用によってボイルオフガスの組成比率が変化するような使用条件を含んでボイルオフガスを加圧してエンジンに供給する場合でも、ボイスオフガスを安定してエンジンに供給する。【解決手段】エンジンに燃料ガスを供給する燃料ガス供給システムは、液化ガスを貯留するタンク、エンジンに供給するために、液化ガスから気化したボイルオフガスを加圧し送出する加圧機構、送出されたボイルオフガスの一部を消費するガス処理装置、及び、送出されたボイルオフガスの一部を液化して前記タンクに戻す液化装置、を備える。前記加圧機構及び前記液化装置内のボイルオフガスの組成比率が変化した時、前記加圧機構及び前記液化装置内のボイルオフガスを、液化ガスから気化したボイルオフガスと置換するために、前記ガス処理装置に組成比率が変化したボイルオフガスを流すように制御する。【選択図】 図1

Description

本発明は、液化ガスから気化するボイルオフガスを燃料ガスとしてエンジンに供給する燃料ガス供給システム、このシステムを用いた船舶、及び燃料ガス供給方法に関する。
LNG運搬船においては、タンクに貯留されている液化ガスから自然に気化したボイルオフガスが利用されている。
ボイルオフガスのような低圧の流体を、エンジンの燃料ガスとして適合させるために高圧の流体とする必要がある。このため、ボイルオフガスをエンジンの燃料ガスとして供給する燃料ガス供給システムでは、圧縮装置、例えば、多段の圧縮装置を用いてボイルオフガス等の燃料ガスを圧縮する。この圧縮した燃料ガスをエンジンに向けて送出する。
一方、エンジンは負荷変動などにより、燃料ガスの消費が変化する場合がある。この場合、圧縮した余分なボイルオフガスを有効に回収するために、ボイルオフガスを液化してタンクに戻すことが行われる。
例えば、圧縮したボイルオフガスを液化してタンクに戻す技術として、ボイルオフガスを圧縮した後、一部のボイルオフガスをエンジンに供給し、残りのボイルオフガスをタンクから取り出された低温のボイルオフガスと熱交換器で熱交換した後液化することによって液化ガスをタンクに戻す、燃料ガス供給システムが知られている(特許文献1)。
特開2015−505941号公報
上記燃料ガス供給システムにおいて、ボイルオフガスを液化したとき、液化したボイルオフガスの他に、液化せずガスを維持したボイルオフガスも存在する。このボイルオフガスは、圧縮してエンジンに供給するためにタンク内の液化ガスから気化して流れた新鮮なボイルオフガス(以降、単に新鮮なボイルオフガスともいう)の流れに合流させる。このとき、ボイルオフガスは、完全に1種類の成分ではなく混合ガスであり、沸点の高い成分や沸点の低い成分を含んでいる。この沸点の低い成分は、液化せずガスを維持したボイルオフガスにガスとして残存し易い。このため、液化せずガスを維持したボイルオフガスには液化前のボイルオフガスに比べて、沸点の低い成分が多く含まれる。すなわち、液化処理を受けたが液化せずガスを維持したボイルオフガスの組成は、新鮮なボイルオフガスに比べて、低い沸点の成分が多くなる。このため、液化せずガスを維持したボイルオフガスを上記新鮮なボイルオフガスに合流させると、圧縮装置に供給するボイルオフガスの組成比率は変化する。例えば、天然ガスには、メタンの他にメタンに比べて沸点の低い窒素が数%含まれる場合がある。また、液化エタンにはエタンに比べて沸点の低いメタンガが数%含まれる場合がある。この場合、圧縮装置と液化処理装置の間を循環して流れるボイルオフガスは、液化処理を繰り返し受けるので、ボイルオフガスにおける低沸点の成分の含有率が時間の経過とともに増加し、例えば、天然ガスの場合このボイルオフガスに含有する窒素の含有率が10%を超え、液化エタンの場合このボイルオフガスに含有するメタンの含有率が50%を超えるおそれがある。このようなボイルオフガスの組成比率の変化は、圧力を制御することによりボイルオフガスの送出量を定める圧縮装置を含んだ燃料ガス供給システムでは、燃料ガスとして安定した量(質量)のエンジンへの供給が困難になる。
上記燃料ガス供給システムを船舶に適用した場合、荷役や運河通過の待ち合わせ等のために船舶が待機するとき、推進エンジンを停止し液化装置を最大限駆動させてボイルオフガスを液化し回収する。この状態が長時間続くとボイルオフガスの組成比率に有意の変化が生じるので、ボイルオフガスの燃料ガスとしての熱量の低下、着火条件の変化、燃焼の変化等により、燃料ガスとして有効に使用できなくなる。また、圧縮装置の設計において、ボイルオフガスの組成比率の変化により、ボイルオフガスの圧縮時の流量の変化や温度変化に対応させることが難しくなる。 また、天然ガスを貯留する陸上基地でも同様に液化装置によるボイルオフガスの組成比率の変化が、液化効率を低下させる問題がある。天然ガスから窒素を取り除く設備(例えば、沸点の違いを利用して窒素ガスを選択的に取り除く)も検討されている。しかし、このような設備は複雑で船舶で用いるには、実用的でない。また、船舶の推進エンジンの負荷が頻繁に変わり一定ではないため、上記設備を用い難いほか、設備の起動が簡単では無く、設備の運転保守が必要になる。
そこで、本発明は、加圧したボイルオフガスを燃料ガスとしてエンジンに供給するとき、ボイルオフガスの液化装置の使用によってボイルオフガスの組成比率が変化するような使用条件を含んでボイルオフガスを供給する場合でも、所定の圧力に加圧したボイスオフガスを安定してエンジンに供給することができる、燃料ガス供給システム、燃料ガス供給方法、及び船舶を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、エンジンに燃料ガスを供給する燃料ガス供給システムである。当該燃料ガス供給システムは、
液化ガスを貯留するタンクと、
前記液化ガスから気化したボイルオフガスをエンジンに燃料ガスとして供給するために、前記液化ガスから気化したボイルオフガスを燃料として加圧し送出する加圧機構と、
前記加圧機構で加圧されて送出されたボイルオフガスの一部を液化する装置であって、ボイルオフガスの液化により生成された液化ガスのうち前記タンクに回収する液化ガスの量を制御する回収制御バルブを備える液化装置と、
前記加圧機構で加圧したボイルオフガスの一部を燃料として消費するガス処理装置に接続する分岐配管に設けられ、前記分岐配管を前記ガス処理装置に向けて流れるボイルオフガスの量を制御するガス処理制御バルブと、
前記回収制御バルブ及び前記ガス処理制御バルブの開度を調整する制御装置と、を備える。
前記制御装置は、前記ガス処理制御バルブの開度を制御することで、前記エンジンと前記ガス処理装置によるボイルオフガスの消費量と液化したボイルオフガスの前記タンクへの回収量の合計量と、前記加圧機構で送出されたボイルオフガスの供給量とを一致させる制御状態1と、前記エンジンへのボイルオフガスの供給を停止し、前記ガス処理制御バルブの開度を前記制御状態1における前記ガス処理制御バルブの開度に比べて大きくし、かつ、前記回収制御バルブの開度を前記制御状態1における前記回収制御バルブの開度に比べて小さくした制御状態2の間でボイルオフの流れを切り替えるように構成されている。
前記液化装置は、前記液化装置で液化しなかったボイルオフガスを、前記液化ガスから気化した、前記加圧機構で加圧される前のボイルオフガスに合流させるボイルオフガスの量を制御する合流制御バルブを備え、
前記制御装置は、前記制御状態2において、前記合流制御バルブの開度を前記制御状態1に比べて小さくする、ことが好ましい。
前記制御状態1は、前記合流制御バルブが閉じた静定状態1と、前記合流制御バルブが開いた静定状態2と、含み、
前記制御装置は、前記静定状態2から前記制御状態2に切り替える制御を行う、ことが好ましい。
さらに、前記燃料ガス供給システムは、前記加圧機構で加圧されるボイルオフガスの組成比率の変化の有無を判定する判定装置を備える。この場合、前記判定装置がボイルオフガスの生成比率の変化を判定したとき、前記制御状態1から前記制御状態2に切り替える、ことが好ましい。
前記加圧機構は、前記ボイルオフガスを加圧する加圧装置と、前記加圧装置による加圧前後のボイルオフガスが流れる配管の間を、前記加圧装置を迂回して接続したバイパス管と、前記加圧装置による加圧後のボイルオフガスの圧力が所定の範囲内になるように、前記バイパス管を流れるボイルオフガスの量を制御する調整バルブと、を備える。この場合、前記判定装置は、前記制御状態1において、前記調整バルブの開度の情報に基づいてボイルオフガスの組成比率の変化を判定する、ことが好ましい。
この場合、前記判定装置は、前記開度が経過時間とともに変化して所定範囲を外れるとき、ボイルオフガスの組成比率が変化したと判定する、ことが好ましい。
前記判定装置は、前記ボイルオフガスを加圧するために前記加圧機構が前記制御状態1において消費する単位時間当たりの消費エネルギに基づいてボイルオフガスの組成比率の変化を判定する、ことも好ましい。
この場合、前記判定装置は、前記消費エネルギが経過時間とともに変化して所定範囲を外れるとき、ボイルオフガスの組成比率が変化したと判定する、ことが好ましい。
また、前記液化装置は、ボイルオフガスのうち液化されること無くガスを維持したボイルオフガスを前記ガス処理装置に向けて流すように、前記ガス処理装置に接続する前記分岐配管に接続する配管を備える、ことが好ましい。
この場合、前記液化装置の、前記分岐配管に接続する前記配管を流れるボイルオフガスを、前記加圧機構から前記液化装置に流れる液化前のボイルオフガスと熱交換により昇温させる熱交換器が設けられている、ことが好ましい。
本発明の他の一態様は、前記燃料ガス供給システムと、
前記加圧機構で加圧した燃料を用いて駆動する推進エンジンと、を備えることを特徴とする船舶である。
本発明のさらに他の一態様は、エンジンに燃料ガスを供給する燃料ガス供給方法である。当該燃料ガス供給方法は、
液化ガスを貯留するタンクから気化したボイルオフガスをエンジンに燃料ガスとして供給するために、前記液化ガスから気化したボイルオフガスを燃料として加圧し送出するステップと、
加圧したボイルオフガスの一部を燃料としてガス処理装置で処理するステップと、
加圧したボイルオフガスの一部を液化して前記タンクに回収させるステップと、を含む。
前記ガス処理装置に流れるボイルオフガスの量を制御することで、前記エンジン及び前記ガス処理装置によるボイルオフガスの消費量と液化したボイルオフガスの前記タンクへの回収量の合計量と、送出されたボイルオフガスの供給量を一致させる制御状態1と、前記エンジンへのボイルオフガスの供給を停止し、前記ガス処理装置によるボイルオフガスの消費量を前記制御状態1における前記ガス処理装置によるボイルオフガスの消費量に比べて多くし、かつ、前記タンクへのボイルオフガス回収量を、前記制御状態1における前記タンクへのボイルオフガス回収量に比べて少なくした制御状態2の間でボイルオフガスの流れを切り替える。
前記制御状態2において、ボイルオフガスのうち液化されること無くガスを維持したボイルオフガスを、前記タンクから流れ出るボイルオフガスの流れに合流させる量は、前記制御状態1に比べて少ない、ことが好ましい。
前記制御状態1は、ボイルオフガスのうち液化されること無くガスを維持したボイルオフガスを、前記液化ガスから気化した加圧前のボイルオフガスの流れに合流させない静定状態1と、ボイルオフガスのうち液化されること無くガスを維持したボイルオフガスを、前記液化ガスから気化した加圧前のボイルオフガスの流れに合流させる静定状態2と、を含む。この場合、前記制御状態2は、前記静定状態2から切り替えられる、ことが好ましい。
ボイルオフガスの組成比率の変化が生じた時、前記制御状態1から前記制御状態2に切り替える、ことが好ましい。
ボイルオフガスの加圧を行う加圧機構は、前記ボイルオフガスを加圧する加圧装置と、前記加圧装置による加圧前後のボイルオフガスが流れる配管の間を、前記加圧装置を迂回して接続したバイパス管と、前記加圧装置による加圧後のボイルオフガスの圧力が所定の範囲内になるように、前記バイパス管を流れるボイルオフガスの量を制御する調整バルブと、を備える。この場合、前記ボイルオフガスの組成比率の変化は、前記制御状態1において、前記調整バルブの開度の情報に基づいて判定される、ことが好ましい。
この場合、前記開度が経過時間とともに変化して所定範囲を外れるとき、ボイルオフガスの組成比率が変化したと判定する、ことが好ましい。
また、前記ボイルオフガスを加圧するために加圧装置が前記制御状態1において消費する単位時間当たりの消費エネルギに基づいてボイルオフガスの組成比率の変化を判定する、ことも好ましい。
この場合、前記消費エネルギが経過時間とともに変化して所定範囲を外れるとき、ボイルオフガスの組成比率が変化したと判定する、ことが好ましい。
上記態様の燃料ガス供給システム、燃料ガス供給方法、及び船舶によれば、加圧したボイルオフガスを燃料ガスとしてエンジンに供給するとき、ボイルオフガスの液化装置の使用によってボイルオフガスの組成比率が変化するような使用条件を含んでボイルオフガスを供給する場合でも、所定の圧力に加圧したボイスオフガスを安定してエンジンに供給することができる。
実施形態1の燃料ガス供給システムの構成の一例を示す図である。 ボイルオフガスの組成比率の変化によって変化する、ボイルオフガスの圧縮特性の一例を示す図である。 本実施形態の燃料ガス供給システムの好ましい変形例の一例を示す図である。 実施形態2の燃料ガス供給システムの構成の一例を示す図である。
以下、本発明の燃料ガス供給システム、船舶、及び燃料ガス供給方法を詳細に説明する。
<実施形態1>
図1は、実施形態1の船舶の推進エンジンに液化ガスのボイルオフガスを燃料ガスとして供給する燃料ガス供給システム10の構成の一例を示す図である。燃料ガス供給システム10の液化ガスとして液化天然ガスを用いるが、液化天然ガスに限定されず、純メタンの液化ガスやエタン等の液化ガスを用いることができる。ボイルオフガスは、タンク内で自然入熱によって気化したガスの他に、LNGを意図的に加熱して強制的に気化したガスも含まれる。本実施形態では、タンク内で自然入熱によって気化したガスを用いて説明する。強制的に気化したガスを用いる場合、液化ガスからボイルオフガスを気化させる強制気化器が設けられる。
燃料ガス供給システム10は、液化天然ガスを運搬するLNG船において、液化天然ガスを貯留するタンク20内で気化したボイルオフガスを燃料ガスとして推進エンジン40に供給するのに用いられる。本実施形態では、1つの推進エンジン40を備えるが、複数の推進エンジンが、それぞれ主配管から分岐した分岐配管に接続されてもよい。
本明細書では、ボイルオフガスがタンク20から推進エンジン40に供給される方向を下流方向、その反対方向を上流方向といい、ある基準とする位置から下流方向の側を下流側といい、ある基準とする位置から上流方向の側を上流側という。
本実施形態の燃料ガス供給システムでは、以下説明するように、加圧機構及び液化装置内のボイルオフガスの組成比率が変化した時、加圧機構及び液化装置内のボイルオフガスを、タンクに貯留されている液化ガスから気化したボイルオフガス(組成比率が変化する前の新鮮なボイルオフガス)と置換するために、組成比率が変化したボイルオフガスをガス処理装置に流し消費するように制御する。このため、ボイルオフガスの液化装置の使用によってボイルオフガスの組成比率が変化するような使用条件を含んでボイルオフガスを供給する場合でも、組成比率が一定のボイルオフガスを加圧機構で加圧することができるので、所定の圧力に加圧したボイスオフガスを安定してエンジンに供給することができる。
本実施形態の燃料ガス供給システム10は、タンク20と、加圧機構30と、液化装置50と、制御装置60と、を主に有する。燃料ガス供給システム10は、詳細には、分岐配管等の配管及び配管に設けられた制御バルブ及び調整バルブ等を備える。タンク20から推進エンジン40に延びるボイルオフガスの流れる主配管31上に加圧機構30が設けられている。
加圧機構30は、液化ガスから気化したボイルオフガスを、ボイルオフガスの一部を推進エンジン40に燃料ガスとして供給するために、加圧し送出する装置である。
液化装置50は、加圧機構30で加圧されて送出されたボイルオフガスの一部を液化してタンク20に回収する装置である。
制御装置60は、燃料ガス供給システム10のボイルオフガスの流れを制御する装置であって、少なくとも、加圧機構30及び液化装置50等に設けられる調整バルブ及び制御バルブの開度を調整する装置である。
(加圧機構)
加圧機構30は、ガスコンプレッサ(加圧装置)32a〜32eと、バイパス管33a,33c,33eと、調整バルブ34a,34c,34eと、吸引スナッバ35a〜35eと、吐出スナッバ36a〜36eと、熱交換器37a〜37eと、を主に備える。
吸引スナッバ35a〜35eのそれぞれは、ガスコンプレッサ32a〜32eのそれぞれの上流側に設けられ、ボイルオフガスを一時貯留し、ガスコンプレッサ32a〜32eのそれぞれにボイルオフガスが円滑に吸引されるように構成した空間を備える容器である。吐出スナッバ36a〜36eのそれぞれは、ガスコンプレッサ32a〜32eのそれぞれの下流側に設けられ、ボイルオフガスを一時貯留し、ボイルオフガスを円滑に送出できるように構成した空間を備える容器である。熱交換器37a〜37eのそれぞれは、吐出スナッバ36a〜36eのそれぞれの下流側に設けられ、加圧することにより高温になったボイルオフガスを冷却する。
ガスコンプレッサ32a〜32eは、ボイルオフガスを加圧(圧縮)して送出する直列に接続された多段の加圧装置である。ガスコンプレッサ32a〜32eは、吸引スナッバ内のボイルオフガスを吸引して、所定の圧力に加圧する部分である。ガスコンプレッサ32a〜32eは、例えば、ガスコンプレッサ32a〜32e内の可動部(プランジャ又はピストン)が直線往復運動をすることによって吸引スナッバ35a〜35eからボイルオフガスを吸い込み、その後加圧する往復圧縮機を用いることができる。ガスコンプレッサ32a〜32eのうち、ガスコンプレッサ32a〜32dは、無給油式圧縮機が用いられ、高圧にボイルオフガスを加圧するガスコンプレッサ32eには給油式圧縮機が用いられる。ガスコンプレッサ32a〜32eの可動部は、制御装置60により駆動が制御される図示されない駆動源の動力で回転する図示されない回転軸を介して連動して駆動される。ガスコンプレッサ32a〜32eにおいて、ボイルオフガスはそれぞれ同程度の圧縮率で段階的に圧縮されることで、ボイルオフガスは圧縮率の5乗まで圧縮される。例えば、ガスコンプレッサ32a〜32eのそれぞれにおいて3〜4倍に圧縮することで、ボイルオフガスは3〜4倍に圧縮される。例えば、ガスコンプレッサ32aの吸引側におけるボイルオフガスの圧力が0.1MPaであれば、ガスコンプレッサ32aの吐出(送出)側の圧力は約0.33MPa、ガスコンプレッサ32bの吐出側の圧力は約1.10MPa、ガスコンプレッサ32cの吐出側の圧力は約3.64MPa、ガスコンプレッサ32dの吐出側の圧力は約12.06MPaとなる。そして、ガスコンプレッサ32eの吐出側の圧力は設定された目標圧力、例えば39.9Mpaまで上昇される。
バイパス管33aは、ガスコンプレッサ32a,32bを迂回して吸引スナッバ35aと熱交換器37bの出力端とを接続する、すなわち、ガスコンプレッサ32aによる加圧前のボイルオフガスが流れる配管の部分とガスコンプレッサ32bによる加圧後のボイルオフガスが流れる配管の間を接続した、ボイルオフガスが流れる管である。
また、バイパス管33cは、ガスコンプレッサ32c,32dを迂回して吸引スナッバ35cと熱交換器37dの出力端とを接続する、すなわち、ガスコンプレッサ32cによる加圧前のボイルオフガスが流れる配管の部分とガスコンプレッサ32dによる加圧後のボイルオフガスが流れる配管の間を接続した、ボイルオフガスが流れる管である。
バイパス管33eは、ガスコンプレッサ32eを迂回して吸引スナッバ35eと熱交換器37eの出力端とを接続する、すなわち、ガスコンプレッサ32eによる加圧前のボイルオフガスが流れる配管の部分とガスコンプレッサ32eによる加圧後のボイルオフガスが流れる配管の間を接続した、ボイルオフガスが流れる管である。
バイパス管33a,33c,33eには、開度を調整する調整バルブ34a,34c,34eが設けられている。また、バイパス管33a,33c,33eのそれぞれには、ガスコンプレッサ32b,32d,32eで加圧されたボイルオフガスの圧力を計測する圧力計38a,38c,38eが設けられている。圧力計38a,38c,38eは、バイパス管33a,33c,33eが主配管31から分岐する分岐点におけるボイルオフガスの圧力を計測できるのであれば、バイパス管33a,33c,33e上に設けられる必要はない。この圧力計38a,38c,38eで計測された圧力情報により調整バルブ34a,34c,34eのそれぞれが調整されるように設けられている。図1では、圧力計38a,38c,38eで計測された圧力に基づいて調整バルブ34a,34c,34eの開度が制御されることを示すために圧力計38a,38c,38eと調整バルブ34a,34c,34eとを結ぶ点線が描かれている。具体的には、圧力計38a,38c,38eで計測された計測圧力の情報は、制御装置60に送られる。制御装置60は、送られた計測圧力と設定された圧力との差分に基づいてバイパス管33a,33c,33eを流れるボイルオフガスの量を制御するフィードバック制御の制御信号を生成し、この制御信号を調整バルブ34a,34c,33eに送る。
例えば、上流側から1時間当たり1500kgのボイルオフガスが供給され、ガスコンプレッサ32a,32bあるいはガスコンプレッサ32c,32dあるいはガスコンプレッサ32eが1時間当たり2000kgのボイルオフガスを加圧して下流側に送出する時、バイパス管33aあるいはバイパス管33cあるいはバイパス管33eに、1時間当たり500kgのボイルオフガスを流し(逆流させ)、ガスコンプレッサ32a,32bあるいはガスコンプレッサ32c,32dあるいはガスコンプレッサ32eの上流側に戻す。このように1時間当たり500kgのボイルオフガスが流れるように、バイパス管33a,33c,33eのそれぞれに設けられた調整バルブ34a,34c,34eの開度は制御されている。これにより、ガスコンプレッサ32a,32bあるいはガスコンプレッサ32c,32dあるいはガスコンプレッサ32eの下流側の圧力を所定の圧力に調整することができる。所定の圧力に調整することで、加圧機構30から推進エンジン40に向けて流れるボイルオフガスを、推進エンジン40の要求する燃料ガスの圧力及び燃料供給量にすることができる。
本実施形態では、ガスコンプレッサ32a,32bを同時に迂回するようにバイパス管33aが設けられ、ガスコンプレッサ32c,32dを同時に迂回するようにバイパス管33cが設けられているが、1つのガスコンプレッサのそれぞれを迂回するバイパス管が設けられてもよい。
本実施形態の加圧機構30では、第4段目のガスコンプレッサ32dと第5段面のガスコンプレッサ32eの間に逆止弁31aが設けられている。無給油式圧縮機であるガスコンプレッサ32d及びその上流側にあるガスコンプレッサ32b,32cに、給油式圧縮機であるガスコンプレッサ32eから送出されるボイルオフガスに含まれる、給油式圧縮機から流れ出たオイル等の不純物が流れ込み、ガスコンプレッサ32d及びその上流側にあるガスコンプレッサ32b,32c等の装置を汚染することを阻止するために、逆止弁31aは設けられる。
また、上流側から数えて第1段目のガスコンプレッサ32aと第2段面のガスコンプレッサ32bの間に逆止弁が設けられてもよい。
さらに、エンジン40に一旦供給されたボイルオフガスが上流側に向かって逆流することがないように、バイパス管33eの下流側に逆止弁31bが設けられている。
バイパス管33aが主配管31から分岐する分岐点とバイパス管33cが主配管31へ合流する合流点との間から、分岐配管39が分岐し、ガス処理装置70に接続されている。ガス処理装置70は、ボイルオフガスを処理する装置であって、蒸気利用設備や発電設備に接続されるか、単にボイルオフガスを焼却処分する装置であってもよい。ここで後述するようにボイルオフガスの組成比率、例えば、ボイルオフガス中の沸点の低い成分の比率が変化しても、ボイルオフガスの処理が可能な構成となっていることが好ましい。例えば、ガス処理装置70が、発電機に用いる4サイクル内燃機関である場合、ボイルオフガスの組成比率の変化に対応するために、空燃比や点火タイミングを調整することができる構成となっていることが好ましい。また、ガス処理装置70はタンク20から生成するボイルオフガスの全量を消費できる容量を持つように構成されていることが好ましい。
ガス処理装置70に延びる分岐配管39には、ガス処理装置70の側に流れたボイルオフガスが加圧機構30の側に逆流しないように逆止弁31cが設けられている。さらに、分岐配管39には、ガス処理制御バルブ71aが設けられ、ガス処理装置70で処理するボイルオフガスの量を調整するように構成されている。ガス処理制御バルブ71aは、制御装置60から接点71bに送られる制御信号により、ガス処理制御バルブ71aの開度が制御される。
(推進エンジン)
本実施形態に用いる船舶には、推進エンジン40が設けられている。推進エンジン40は、例えば液化ガスのボイルオフガスを燃料ガスとする一方、重油等のオイルを燃料として選択的に用いることができる二元燃料エンジンが用いられる。
推進エンジン40は供給されるボイルオフガスを燃料ガスとして燃焼室で燃焼させて動力を取り出し、推進エンジン40と船舶のプロペラを接続した図示されない主軸および船舶のプロペラを回転させる。推進エンジン40には、例えば2ストロークサイクルの低速ディーゼルエンジンを用いることができる。
推進エンジン40は、エンジンコントロールユニット(以降、ECUという)62と接続されており、ECU62によって駆動が制御される。ECU62は、推進エンジン40とプロペラを接続する主軸の回転を計測するように設けられた回転計42により計測された主軸回転数が目標回転数になるように、推進エンジン40に燃料ガスを供給する供給ラインに設けられた圧力制御バルブ44の開度を制御することで、推進エンジン40の駆動を制御する。すなわち、ECU62は、推進エンジン40と推進用のプロペラを接続した主軸の主軸回転数が目標回転数になるように、推進エンジン40の負荷を定め、これに基づいて燃料ガスの圧力を制御する装置である。ECU62は、気象、海象の風、波高等の自然状況の変化によって変化する主軸回転数が目標回転数に維持されるように、推進エンジン40の負荷を定める他、オペレータの減速、加速、旋回等の指示によって提供されるプロペラ回転数の操作指令値に応じて、推進エンジン40の負荷を定めることもできる。 図1では、上述した制御を表すために、簡易的に、回転計42と圧力制御バルブ44とを結ぶ点線が描かれている。
ECU62は、定めた負荷に基づいて、最下流に位置するガスコンプレッサ32eの送出側の目標圧力を設定し、この目標圧力を制御装置60に送るように構成されている。この目標圧力は、推進エンジン40が燃料ガス供給システム30に要求する燃料供給圧力である。制御装置60は、目標圧力を用いて、加圧機構30によるボイルオフガスの送出量を制御する。
(液化装置)
液化装置50は、分岐配管51を通じて加圧機構30と接続されている。分岐配管51は、バイパス管33cの主配管31からの分岐点と逆止弁31aとの間の主配管31と接続されている。
液化装置50は、推進エンジン40の負荷の変動により不要となったボイルオフガスを液化ガスとしてタンク20に戻す装置である。ボイルオフガスの一部は液化されずガスを維持する。液化装置50は、このボイルオフガスを、必要に応じて、タンク20内の液化ガスから気化した、加圧前の新鮮なボイルオフガスに合流させる。
液化装置50は、熱交換器53、膨張バルブ54、気液分離器56、ガス配管57、及び液化ガス配管58を主に備える。
熱交換器53は、ボイルオフガスを液化する前にボイルオフガスを冷却する。
膨張バルブ54は、冷却したボイルオフガスを膨張して液化させる。膨張バルブ54は、JT(ジュール・トムソン)バルブなどの等エンタルピ過程で変化すバルブでもよいが、エキスパンダなどの等エントロピ過程で変化するバルブであることが好ましい。
気液分離器56は、冷却したボイルオフガスを液化ガスと分離する。
ガス配管57は、液化ガスから分離したボイルオフガスを、タンク20内の液化ガスから気化し、タンク20から取り出されて流れる新鮮なボイルオフガスに合流させる。
液化ガス配管58は、気液分離器56で分離した液化ガスをタンク20内に回収するように流す。
熱交換器53と膨張バルブ54の間の分岐配管51の部分には、液化装置50を流れるボイルオフガスの量を制御する制御バルブ55aが設けられ、気液分離器56には、気液分離器56内のボイルオフガスの圧力を計測する圧力計56aが設けられている。制御バルブ55aの開度は圧力計56aの計測結果に基づいて調整される。具体的には、圧力計56aの計測結果が制御装置60に送られ、制御装置60は、制御バルブ55aの開度を制御する制御信号を圧力計56aの計測結果に基づいて生成し、この制御信号を制御バルブ55aに送る。
ガス配管57には、合流制御バルブ57aとボイルオフガスの圧力を計測する圧力計57bが設けられている。合流制御バルブ57aの開度は、圧力計56bの計測結果に基づいて生成される制御信号、あるいは、制御装置60から接点57dに送られる制御信号に基づいて調整される。このとき、圧力計56bの計測結果に基づいて生成される目標開度を示す制御信号と、接点57dから送られる目標開度を示す制御信号のうち、目標開度の低い制御信号を選択して、合流制御バルブ57aに送る選択器57cが用いられる。図1では、圧力計56bの計測結果に基づいて合流制御バルブ57aの開度を制御することを示すために、圧力計56bと選択器57cとの間を結ぶ点線が描かれているが、具体的には、圧力計56bの計測結果が制御装置60に送られ、制御装置60は送られた計測結果に基づいて合流制御バルブ57aの開度の制御信号を生成し、この制御信号を接点57dに送る。
気液分離器56には、液化ガスの液面レベルを計測する液面レベル計56bが設けられている。また、液化ガス配管58には、回収制御バルブ58aが設けられ、液化ガス配管58を流れる液化ガスの量が回収制御バルブ58aの開度により制御される。回収制御バルブ58aの開度は、液面レベル計56bによる液面レベルの計測結果に基づいて、液面レベルが所定の範囲に入るように制御される。
(ボイルオフガスの組成比率の変化とその対応)
このような燃料ガス供給システム10では、上述した各調整バルブ及び各制御バルブの開度を制御することにより、加圧機構30が送出するボイルオフガスの供給量と、推進エンジン40の消費量と、ガス処理装置70のボイルオフガスの消費量と、液化装置50で生成された液化ガスのタンク20内に回収される回収量との間で、種々の制御状態が生じる。これらの制御状態は、少なくとも以下の制御状態1A,1B,2を含む。
(制御状態1A)ボイルオフガスの供給量=推進エンジンの消費量X1+ガス処理装置の消費量Y1、回収量Z1=0
(制御状態1B)ボイルオフガスの供給量=推進エンジンの消費量X2(<X1)+ガス処理装置の消費量Y2+回収量Z2(>0)
(制御状態2)ボイルオフガスの供給量=推進エンジンの消費量X3(<X2)+ガス処理装置の消費量Y3(>Y2)+回収量Z3(<Z2)、推進エンジンの消費量X3=0
の状態を含む。
制御状態1A、制御状態1B、及び制御状態2は、いずれも加圧機構30のボイルオフガスの供給量が、推進エンジン50の消費量とガス処理装置70の消費量と液化タンク20への回収量の合計量に一致している制御状態(定常状態)である。なお、制御状態1Aと制御状態1Bは、総称して説明するとき、制御状態1という。
上記制御状態1Aは、ボイルオフガスの供給量が、推進エンジン40のボイルオフガスの消費量X1とガス処理装置70のボイルオフガスの消費量Y1の合計量とが一致するので、液化装置50にボイルオフガスが流入しないように制御バルブ55a,57a,58aは閉じた、すなわち、回収量Z1を0とする制御状態を表す。
上記制御状態1Bは、ボイルオフガスの供給量が、推進エンジン40のボイルオフガスの消費量X2とガス処理装置70のボイルオフガスの消費量Y2の合計量に比べて多く、その差分をタンク20に回収する、すなわち、ボイルオフガスの液化により生成された液化ガスをタンク20に回収するように、制御バルブ55aを開けた制御状態を表す。この制御状態では、液化ガスの他に、膨張バルブ54による機能で液化されなかったボイルオフガスが気液分離器66に流れ込むが、この時、回収制御バルブ58aを開けて液化ガスをタンク20に向けて流すとともに、合流制御バルブ57aを開けてボイルオフガスを、タンク20内の液化ガスから気化し主配管31を流れる加圧前の新鮮なボイルオフガスに合流させる。この制御状態1Bでは、タンク20のボイルオフガスの圧力が予め定めた範囲に位置するように、ガス処理装置70の消費量Y2は調整される、すなわち、ガス処理制御バルブ71aの開度が調整される。
このように、制御状態1Bは、加圧機構30のボイルオフガスの供給量が、推進エンジン40の消費量X2とガス処理装置70の消費量Y2の合計量よりも多く、この差分をタンク20に回収する液化ガスの回収量Z2とすることにより、定常状態となっている。
この制御状態1Bでは、ボイルオフガスのうち、ボイルオフガスから液化した液化ガスをタンク20に回収しながら、液化しなかったボイルオフガスが加圧機構30及び液化装置50内を循環するので、制御状態1Bを長い時間継続すると、加圧機構30で加圧されるボイルオフガスの組成比率は時間とともに変化する。すなわち、タンク20から引き出される主配管31を流れる加圧前の新鮮なボイルオフガスに合流制御バルブ57aを通じて液化装置50から合流するボイルオフガスは、液化装置50で液化ガスから分離された液化されなかったボイルオフガスであり、このボイルオフガスの低沸点の成分の比率は、タンク20内のボイルオフガスに比べて高い。このため、加圧されるボイルオフガスの組成比率は時間とともに変化する。すなわち、液化ガスの主成分に比べて沸点の低い成分の、ボイルオフガスにおける組成比率は増加する。タンク20の液化ガスが天然ガスの場合、主成分はメタン、エタン等であるが、天然ガスには、沸点がメタンやエタンに比べて低い窒素が微量混入している。一方、液化装置50を通過したボイルオフガスにおける窒素成分の比率は増加する。例えば液化天然ガスに1%の窒素が混入している場合でも、液化装置50を通過したボイルオフガスの窒素割合は、制御状態1Bを長時間維持すると、10%以上に増加する。窒素の比率が増加するに従い、回収制御バルブ58aを通じてタンク20へ回収される液化ガスは減少し、さらに、加圧機構30におけるガスコンプレッサ32a〜32eによるボイルオフガスの圧力は後述するように上昇する。その結果、調整バルブ34a,34cの開度の調整によりバイパス管33a,33cを流れるボイルオフガスの量は徐々に増加し、最終的に加圧機構30によるボイルオフガスの送出量の制御は困難になる。
図2は、ガスコンプレッサによる圧縮処理で受けるボイルオフガスの圧力と体積の関係の一例を示す図である。液化ガスのボイルオフガスのうち、沸点の低い成分を含まない主成分のみのボイルオフガスは、体積V1から体積V2に圧縮される場合、経路Aに従がって、圧力P1から圧力P2に上昇する。これに対して、沸点の低い成分を含むボイルオフガスは、同じ体積変化の圧縮処理を受けても、経路Bに従がって、圧力P1から圧力P3(P3>P2)に上昇する。このため、沸点の低い成分を多く含むボイルオフガスによる同じ圧縮処理でガスコンプレッサが消費するエネルギは、沸点の低い成分を含まないボイルオフガスに比べて大きい。
このように同じ圧縮処理により加圧されたボイルオフガスの圧力の増加により、加圧機構30によるボイルオフガスの送出量(質量)の制御(調整バルブ34a,34c,34eによるバイパス管33a,33c,33eを流れるボイルオフガスの量の、圧力に基づく制御)は難しくなる。
このため、本実施形態では、加圧機構30、液化装置50、及び主配管31を循環する主成分に比べて沸点の低い成分の比率が高くなったボイルオフガスを、ガス処理装置70で集中的に消費させることにより、タンク20の液化ガスから気化した新鮮なボイルオフガスと置換させる。この置換を行うのが、制御状態2である。このため、制御状態2は一時的に、あるいは間欠的に実施される。
したがって、制御状態2を達成するには、制御状態1Bに比べてガス処理装置70のボイルオフガスの消費量を増大させる。
制御状態2は、推進エンジン40が停止して推進エンジン40によるボイルオフガスの消費量X3=0(推進エンジン40へのボイルオフガスの供給量が0)であり、ガス処理装置70の消費量Y3(>Y2)と液化ガスのタンク20への回収量Z3の合計量が、ボイルオフガスの供給量に一致する。このとき、ガス処理装置70の消費量Y3は、制御状態1Bの消費量Y2より多い量に制御され、液化ガスのタンク20への回収量Z3は、制御状態1Bの回収量Z2より少ない量に制御された状態である。具体的には、加圧機構30及び液化装置50内の組成比率が変化したボイルオフガスを、ガス配管57を通して、主配管31を流れる、タンク20内の液化ガスから気化した新鮮なボイルオフガスに合流させて、ガス処理装置70で消費させる制御状態である。このため、ガス処理装置70の消費量Z3は、制御状態1Bにおけるガス処理装置70の消費量Z2に比べて多い。したがって、制御装置60は、ガス処理制御バルブ71aの開度を制御状態1に比べて大きくすることにより、制御状態2を実現する。このとき、ガス処理装置70で消費させるボイルオフガスの量の増加に伴って、ボイルオフガスが液化装置50に流れる量を少なくするために制御バルブ55aの開度を小さくする。
液化装置50は、ボイルオフガスのうち液化されること無くガスを維持したボイルオフガスを、タンク20から流れ出るボイルオフガスの流れに合流させる量を制御する合流制御バルブ57aを備えるので、制御状態2を実現することができる。
このとき、制御状態2における合流制御バルブ57aの開度を、回収制御バルブ58aの開度と同様に、制御状態1(例えば、制御状態1B)に比べて小さくすることで、気液分離器56内の液化ガスとボイルオフガスの比率を適度に保つことができ、安定した気液分離を実現することができる点で好ましい。
以上説明したように、制御装置60は、制御状態1と制御状態2の間でボイルオフガスの流れを切り替えるように構成される。
制御状態1は、ガス処理制御バルブ71aの開度を制御することで、推進エンジン40とガス処理装置70によるボイルオフガスの消費量と液化したボイルオフガスのタンク20への回収量の合計量と、加圧機構30で送出されたボイルオフガスの供給量とを一致させる制御状態である。制御状態2は、推進エンジン40へのボイルオフガスの供給を停止し、ガス処理制御バルブ71aの開度を制御状態1におけるガス処理制御バルブ71aの開度に比べて大きくし、かつ、回収制御バルブ58aの開度を制御状態1における回収制御バルブ58aの開度に比べて小さくした制御状態である。このため、ボイルオフガスの組成比率が変化したことを判定した場合、加圧機構30及び液化装置50内のボイルオフガスを集中的にガス処理装置70で消費するようにできる。したがって、ボイルオフガスの液化装置の使用によってボイルオフガスの組成比率が変化するような使用条件を含む場合でも、推進エンジン40のボイルオフガスの再使用開始時、所定の圧力に加圧したボイスオフガスを安定して推進エンジン40に供給することができる。
この場合、上述したように、制御状態1は、合流制御バルブ57aが閉じた制御状態1A(静定状態1)と、合流制御バルブ57aが開いた制御状態1B(静定状態2)とを含む。制御装置60は、制御状態2を実現するのに、制御状態1B(静定状態2)から制御状態2に切り替える制御を行うことが好ましい。制御状態1Bでは、液化装置50から主配管31に合流するボイルオフガスにおいて、沸点の低い成分の比率が時間とともに増加する。このため、制御状態1Bから制御状態2に移行することにより、沸点の低い成分の比率が高くなった加圧機構30及び液化装置50内のボイルオフガスをガス処理装置70で消費することができる。これにより、加圧機構30及び液化装置50内のボイルオフガスを、沸点の低い成分の比率が低い(タンク20内の液化ガスから気化し、液化装置50を未通過の)新鮮なボイルオフガスに容易に置換することができる。制御状態2は、沸点の低い成分の比率が高くなった加圧機構30及び液化装置50内のボイルオフガスをガス処理装置70で消費させればよいので、ガス処理装置70(及び推進エンジン40)で消費される単位時間当たりのボイルオフガスの量と、加圧機構30及び液化装置50内に溜まっているボイルオフガスの量の情報と、タンク20内の液化ガスから気化した新鮮なボイルオフガスの量とこの新鮮なボイルオフガスにガス配管57を通じて合流するボイルオフガスの量の比率の情報と、に基づいて、制御状態2の継続時間を定めるとよい。加圧機構30及び液化装置50内に溜まっているボイルオフガスの量の情報は、例えば、加圧機構30及び液化装置50内のボイルオフガス及び液化ガスが占有する体積に密度を掛け算した総重量として得られる。
なお、ボイルオフガスの組成比率の変化は、例えば、定期的にボイルオフガスの組成比率を計測装置で計測して判定してもよく、また、上述したボイルオフガスの組成比率の変化によって変化する図2に示す圧縮特性の情報を用いて判定してもよく、本実施形態では特に判定方法については制限されない。
以下、制御状態1Aから制御状態1Bへの移行、及び制御状態1Bから制御状態2への移行に関するボイルオフガスの流れ、制御バルブの状態の変化を表を用いて説明する。各制御状態間の移行状態では、ボイルオフガスの供給量と、推進エンジンの消費量とガス処理装置の消費量と液化ガスの回収量の合計量は、必ずしも一致しない非平衡状態になっている。表1には、各流量の変化と制御バルブの開度の変化の一例を示している。表中、「⇒」は、状態の移行を示し、「↑」は、状態が「⇒」の方向に進むに連れて、流量が多くなるあるいは制御バルブの開度が大きくなることを示し、「↓」は、状態が「⇒」の方向に進むに連れて、流量が少なくなるあるいは制御バルブの開度が小さくなることを示す。表中の「〜→」は、状態の移行中、開度が微小に変動するが、最終的に大きな変化せず、略維持されることを意味する。また、表中の流量は、単位時間当たりの流量を示し、タンク20から生成されるボイルオフガスの生成量を100として指数化している。表1,2A,2Bでは、制御状態1Aから制御状態1Bへの移行、制御状態1Bから制御状態2への移行を表しているが、制御状態2から制御状態1Bへの移行、制御状態1Bから制御状態1Aへの移行は、表1,2A,2Bに表す各状態から逆行すればよい。
Figure 2018066272
Figure 2018066272
Figure 2018066272
このように、本実施形態では、各制御バルブの開度を制御することにより、制御状態1A,1B,2を実現することができる。
本実施形態では、図3に示すように、加圧機構30で加圧されるボイルオフガスの組成比率の変化の有無を判定する判定装置80を備え、判定装置80がボイルオフガスの組成比率の変化を判定したとき、この判定結果を制御装置60に送り、制御装置60は、制御状態1Bから制御状態2に切り替えるように各制御バルブの開度を制御することが好ましい。図3は、燃料ガス供給システム10の好ましい変形例の一例を示す図である。
判定装置80は、例えば、制御状態1において、調整バルブ34a,34c,34eの開度の情報、例えば開度を制御する制御信号の値に基づいてボイルオフガスの組成比率の変化を判定することが好ましい。この判定は、図2に示す圧縮特性、すなわち同じ体積の圧縮でも組成比率が変化すると圧縮後の圧力が変化するボイルオフガスの圧縮特性の変化を利用したものである。この場合、判定装置80は、開度の情報、例えば開度の制御信号の値が時間の経過とともに変化して所定範囲を外れるとき、ボイルオフガスの組成比率が変化したと判定することが、高い判定精度を実現する点から好ましい。ボイルオフガスにおける沸点の低い成分の比率が増加すると、ガスコンプレッサ32a〜32eで加圧されるボイルオフガスの圧力は、図2に示したように上昇するので、加圧機構30から送出するボイルオフガスの圧力を所定の範囲内に維持するには、調整バルブ34a,34c,34eの開度を大きくして、バイパス管33a,33c,33eに流れるボイルオフガスの量を多くしなければならない。このため、判定装置80は、定常状態である制御状態1における調整バルブ34a,34c,34eの開度の情報に基づいてボイルオフガスの組成比率の変化を判定することができる。
判定装置80は、例えば、ボイルオフガスを加圧するために加圧装置が制御状態1において消費する単位時間当たりの消費エネルギに基づいてボイルオフガスの組成比率の変化を判定することも好ましい。この判定も、図2に示す、同じ体積の圧縮でも組成比率が変化すると圧縮後の圧力が変化するボイルオフガスの圧縮特性の変化を利用したものである。この場合、判定装置80は、消費エネルギが時間の経過とともに変化して所定範囲を外れるとき、ボイルオフガスの組成比率が変化したと判定することも、高い判定精度を実現する点から好ましい。ボイルオフガスにおける沸点の低い成分の比率が増加すると、ガスコンプレッサ32a〜32eで圧縮されるボイルオフガスの圧力は上昇するので、ガスコンプレッサ32a〜32eの駆動のための消費エネルギは上昇する。このため、判定装置80は、定常状態である制御状態1におけるガスコンプレッサ32a〜32eの駆動のための消費エネルギに基づいてボイルオフガスの組成比率の変化を判定することができる。
<実施形態2>
図4は、実施形態2の燃料ガス供給システム10の他の構成の一例を示す図である。
図4に示す燃料供給システムは、液化装置50とガス処理装置70の構成の一部が異なっている。これ以外の構成は同じであるので、図1に示す燃料ガス供給システム10の各部分と同じ符号を付して、その構成と機能についての説明は省略する。なお、図4では、煩雑さ回避のために、圧力計57b、選択器57c、及び接点57dの図示は省略されている。
図4に示す液化装置50は、ボイルオフガスのうち液化されること無くガスを維持したボイルオフガスをガス処理装置70に向けて流すように、ガス処理装置70に接続する分岐配管39に接続する配管59を備える。これにより、液化装置50で液化されなかったボイルオフガスを、加圧機構30で加圧されることなく、ガス処理装置70に素早く消費させることができる。配管59は、気液分離器56と分岐配管59とを接続している。
ガス処理装置70に接続される分岐配管39には、制御バルブ71cと圧力計71dが設けられている。制御バルブ71cは、ガス処理装置70に向けて流れるボイルオフガスの量が過度にならないように、圧力計71dで計測された計測圧力に基づいて開度を制御する。
この場合、液化装置50の、分岐配管39に接続する配管59を流れるボイルオフガスを、加圧機構30から液化装置50に流れる液化前の高温のボイルオフガスと熱交換することにより昇温させる熱交換器53bが配管59に設けられていることが好ましい。これにより、液化装置50の膨張バルブ54で膨張することにより冷えたボイルオフガスをガス処理装置70の消費に適した温度に昇温させることができる。
このような燃料ガス供給システム10でも、実施形態1と同様に、制御装置60は、制御状態1と制御状態2の間で制御状態を切り替えることができるので、ボイルオフガスの組成比率が変化したことを判定した場合、加圧機構30及び液化装置50内のボイルオフガスを集中的にガス処理装置70で消費するようにできる。したがって、ボイルオフガスの液化装置の使用によってボイルオフガスの組成比率が変化するような使用条件を含む場合でも、推進エンジン40のボイルオフガスの再使用開始時、所定の圧力に加圧したボイスオフガスを安定して推進エンジン40に供給することができる。
このような燃料ガス供給システムでは、以下に示す燃料ガス供給方法を行うことができる。
すなわち、燃料ガス供給方法は、
(1)液化ガスを貯留するタンク20から気化したボイルオフガスを推進エンジン40に燃料ガスとして供給するために、加圧機構30により液化ガスから気化したボイルオフガスを燃料ガスとして加圧(圧縮)し送出するステップと、
(2)加圧したボイルオフガスの一部を燃料としてガス処理装置70で処理するステップと、
(3)加圧したボイルオフガスの一部を液化してタンク20に回収させるステップと、
を含む。
このとき、
(4)制御装置60により、制御状態1と制御状態2の間でボイルオフの流れを切り替える。
制御状態1は、ガス処理装置70に流れるボイルオフガスの量を制御することで、推進エンジン40及びガス処理装置70によるボイルオフガスの消費量と液化したボイルオフガスのタンク20への回収量の合計量と、送出されたボイルオフガスの供給量を一致させる制御状態である。
制御状態2は、推進エンジン40へのボイルオフガスの供給を停止し、ガス処理装置70によるボイルオフガスの消費量を制御状態1におけるガス処理装置70によるボイルオフガスの消費量に比べて多くし、かつ、タンク20へのボイルオフガス回収量を、制御状態1におけるタンク20へのボイルオフガスの回収量に比べて少なくした制御状態である。
また、制御状態2において、ボイルオフガスのうち液化されること無くガスを維持したボイルオフガスを、タンク20から流れ出るボイルオフガスの流れに合流させる量を、制御状態1に比べて少なくすることが、気液分離器56内の液化ガスとボイルオフガスの比率を適度に保つことができ、安定した気液分離を実現することができる点で好ましい。
また、制御状態1は、ボイルオフガスのうち液化されること無くガスを維持したボイルオフガスを、タンク20から流れ出るボイルオフガスの流れに合流させない制御状態1A(静定状態1)と、ボイルオフガスのうち液化されること無くガスを維持したボイルオフガスを、タンク20から流れ出るボイルオフガスの流れに合流させる制御状態1B(静定状態2)と、含む。このとき、制御装置60は、制御状態2を、静定状態2から切り替えるように制御することが好ましい。
また、加圧機構30で加圧されるボイルオフガスの組成比率の変化が生じた時、制御装置60は、制御状態1から制御状態2に切り替えるように制御することが好ましい。
判定装置80は、ボイルオフガスの組成比率の変化を、制御状態1において、調整バルブ34a,34c,34eの開度の情報、例えば開度を制御する制御信号の値に基づいて判定することが好ましい。このとき、判定装置80は、開度が経過時間とともに変化して所定範囲を外れるとき、ボイルオフガスの組成比率が変化したと判定することが好ましい。
判定装置80は、ボイルオフを加圧するために加圧機構30のガスコンプレッサ32a〜32eが制御状態1(例えば、制御状態1B)において加圧のために消費する単位時間当たりの消費エネルギに基づいてボイルオフガスの組成比率の変化を判定することが好ましい。この場合、消費エネルギが経過時間とともに変化して所定範囲を外れるとき、判定装置80は、ボイルオフガスの組成比率が変化したと判定することが好ましい。
以上、本発明の燃料ガス供給システム、燃料ガス供給方法、及び船舶について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
10 燃料ガス供給システム
20 タンク
30 加圧機構
31 主配管
31a〜31d 逆止弁
32a〜32e ガスコンプレッサ
33a,33c,33e バイパス管
34a,34c,34e,55a 調整バルブ
35a〜35e 吸引スナッバ
36a〜36e 吐出スナッバ
37a〜37e 熱交換器
38a,38c,38e,65a,65b 圧力計
39 分岐配管
40 推進エンジン
42 回転計
44 流量制御弁
50 液化装置
51 分岐配管
53 熱交換器
54 膨張バルブ
55a 制御バルブ
56 気液分離器
56a,71d 圧力計
56b 液面レベル計
57 ガス配管
57a 合流制御バルブ
57b 圧力計
57d、71b 接点
58 液化ガス配管
58a 回収制御バルブ
60 制御装置
62 エンジンコントロールユニット
70 ガス処理装置
71a ガス処理制御バルブ
71c 制御バルブ
80 判定装置

Claims (19)

  1. エンジンに燃料ガスを供給する燃料ガス供給システムであって、
    液化ガスを貯留するタンクと、
    前記液化ガスから気化したボイルオフガスをエンジンに燃料ガスとして供給するために、前記液化ガスから気化したボイルオフガスを燃料として加圧し送出する加圧機構と、
    前記加圧機構で加圧されて送出されたボイルオフガスの一部を液化する装置であって、ボイルオフガスの液化により生成された液化ガスのうち前記タンクに回収する液化ガスの量を制御する回収制御バルブを備える液化装置と、
    前記加圧機構で加圧したボイルオフガスの一部を燃料として消費するガス処理装置に接続する分岐配管に設けられ、前記分岐配管を前記ガス処理装置に向けて流れるボイルオフガスの量を制御するガス処理制御バルブと、
    前記回収制御バルブ及び前記ガス処理制御バルブの開度を調整する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記ガス処理制御バルブの開度を制御することで、前記エンジンと前記ガス処理装置によるボイルオフガスの消費量と液化したボイルオフガスの前記タンクへの回収量の合計量と、前記加圧機構で送出されたボイルオフガスの供給量とを一致させる制御状態1と、前記エンジンへのボイルオフガスの供給を停止し、前記ガス処理制御バルブの開度を前記制御状態1における前記ガス処理制御バルブの開度に比べて大きくし、かつ、前記回収制御バルブの開度を前記制御状態1における前記回収制御バルブの開度に比べて小さくした制御状態2の間でボイルオフの流れを切り替えるように構成されている、ことを特徴とする燃料ガス供給システム。
  2. 前記液化装置は、前記液化装置で液化しなかったボイルオフガスを、前記液化ガスから気化した、前記加圧機構で加圧される前のボイルオフガスに合流させるボイルオフガスの量を制御する合流制御バルブを備え、
    前記制御装置は、前記制御状態2において、前記合流制御バルブの開度を前記制御状態1に比べて小さくする、請求項1に記載の燃料ガス供給システム。
  3. 前記制御状態1は、前記合流制御バルブが閉じた静定状態1と、前記合流制御バルブが開いた静定状態2と、含み、
    前記制御装置は、前記静定状態2から前記制御状態2に切り替える制御を行う、請求項2に記載の燃料ガス供給システム。
  4. さらに、前記加圧機構で加圧されるボイルオフガスの組成比率の変化の有無を判定する判定装置を備え、
    前記判定装置がボイルオフガスの生成比率の変化を判定したとき、前記制御状態1から前記制御状態2に切り替える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料ガス供給システム。
  5. 前記加圧機構は、前記ボイルオフガスを加圧する加圧装置と、前記加圧装置による加圧前後のボイルオフガスが流れる配管の間を、前記加圧装置を迂回して接続したバイパス管と、前記加圧装置による加圧後のボイルオフガスの圧力が所定の範囲内になるように、前記バイパス管を流れるボイルオフガスの量を制御する調整バルブと、を備え、
    前記判定装置は、前記制御状態1において、前記調整バルブの開度の情報に基づいてボイルオフガスの組成比率の変化を判定する、請求項4に記載の燃料ガス供給システム。
  6. 前記判定装置は、前記開度が経過時間とともに変化して所定範囲を外れるとき、ボイルオフガスの組成比率が変化したと判定する、請求項5に記載の燃料ガス供給システム。
  7. 前記判定装置は、前記ボイルオフガスを加圧するために前記加圧機構が前記制御状態1において消費する単位時間当たりの消費エネルギに基づいてボイルオフガスの組成比率の変化を判定する、請求項4に記載の燃料ガス供給システム。
  8. 前記判定装置は、前記消費エネルギが経過時間とともに変化して所定範囲を外れるとき、ボイルオフガスの組成比率が変化したと判定する、請求項7に記載の燃料ガス供給システム。
  9. 前記液化装置は、ボイルオフガスのうち液化されること無くガスを維持したボイルオフガスを前記ガス処理装置に向けて流すように、前記ガス処理装置に接続する前記分岐配管に接続する配管を備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載の燃料ガス供給システム。
  10. 前記液化装置の、前記分岐配管に接続する前記配管を流れるボイルオフガスを、前記加圧機構から前記液化装置に流れる液化前のボイルオフガスと熱交換により昇温させる熱交換器が設けられている、請求項9に記載の燃料ガス供給システム。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の燃料ガス供給システムと、
    前記加圧機構で加圧した燃料を用いて駆動する推進エンジンと、を備えることを特徴とする船舶。
  12. エンジンに燃料ガスを供給する燃料ガス供給方法であって、
    液化ガスを貯留するタンクから気化したボイルオフガスをエンジンに燃料ガスとして供給するために、前記液化ガスから気化したボイルオフガスを燃料として加圧し送出するステップと、
    加圧したボイルオフガスの一部を燃料としてガス処理装置で処理するステップと、
    加圧したボイルオフガスの一部を液化して前記タンクに回収させるステップと、を含み、
    前記ガス処理装置に流れるボイルオフガスの量を制御することで、前記エンジン及び前記ガス処理装置によるボイルオフガスの消費量と液化したボイルオフガスの前記タンクへの回収量の合計量と、送出されたボイルオフガスの供給量を一致させる制御状態1と、前記エンジンへのボイルオフガスの供給を停止し、前記ガス処理装置によるボイルオフガスの消費量を前記制御状態1における前記ガス処理装置によるボイルオフガスの消費量に比べて多くし、かつ、前記タンクへのボイルオフガス回収量を、前記制御状態1における前記タンクへのボイルオフガス回収量に比べて少なくした制御状態2の間でボイルオフガスの流れを切り替える、ことを特徴とする燃料ガス供給方法。
  13. 前記制御状態2において、ボイルオフガスのうち液化されること無くガスを維持したボイルオフガスを、前記タンクから流れ出るボイルオフガスの流れに合流させる量は、前記制御状態1に比べて少ない、請求項12に記載の燃料ガス供給方法。
  14. 前記制御状態1は、ボイルオフガスのうち液化されること無くガスを維持したボイルオフガスを、前記液化ガスから気化した加圧前のボイルオフガスの流れに合流させない静定状態1と、ボイルオフガスのうち液化されること無くガスを維持したボイルオフガスを、前記液化ガスから気化した加圧前のボイルオフガスの流れに合流させる静定状態2と、を含み、
    前記制御状態2は、前記静定状態2から切り替えられる、請求項12または13に記載の燃料ガス供給方法。
  15. ボイルオフガスの組成比率の変化が生じた時、前記制御状態1から前記制御状態2に切り替える、請求項12〜14のいずれか1項に記載の燃料ガス供給方法。
  16. ボイルオフガスの加圧を行う加圧機構は、前記ボイルオフガスを加圧する加圧装置と、前記加圧装置による加圧前後のボイルオフガスが流れる配管の間を、前記加圧装置を迂回して接続したバイパス管と、前記加圧装置による加圧後のボイルオフガスの圧力が所定の範囲内になるように、前記バイパス管を流れるボイルオフガスの量を制御する調整バルブと、を備え、
    前記ボイルオフガスの組成比率の変化は、前記制御状態1において、前記調整バルブの開度の情報に基づいて判定される、請求項15に記載の燃料ガス供給方法。
  17. 前記開度が経過時間とともに変化して所定範囲を外れるとき、ボイルオフガスの組成比率が変化したと判定する、請求項16に記載の燃料ガス供給方法。
  18. 前記ボイルオフガスを加圧するために加圧装置が前記制御状態1において消費する単位時間当たりの消費エネルギに基づいてボイルオフガスの組成比率の変化を判定する、請求項15に記載の燃料ガス供給方法。
  19. 前記消費エネルギが経過時間とともに変化して所定範囲を外れるとき、ボイルオフガスの組成比率が変化したと判定する、請求項18に記載の燃料ガス供給方法。
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