JP2018065869A - 加圧低極性水抽出装置及び使用方法 - Google Patents

加圧低極性水抽出装置及び使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】バイオマス原料から成分を抽出及び回収するための装置を提供する。【解決手段】加圧水、加圧加熱水、及び加圧冷却水の供給源とそれぞれ別々に連通する2つ以上の反応カラムで構成される。カラムに別々に加圧水を張り、水が加圧低極性(PLP)水になる時点までカラム及びその内容物を加熱し、抽出された成分を含むPLP水を回収し、PLP水でカラムを冷却し、使用済みバイオマス材料をカラムから除去することによって、バイオマスから成分を抽出する。【選択図】なし

Description

本明細書に開示する種々の実施形態は、一般的にバイオマス原料から成分を抽出するための機器、装置、及びシステムに関する。更に詳細には、この開示は、バイオマス原料から成分を抽出するための溶媒としての加圧低極性水を生成及び使用するための機器、装置、及びシステムに関する。
背景
植物化学物質は、植物に天然に存在し、とりわけ、ブルーベリーの深い紫色で例示されるような色及びニンニクの匂いで例示されるような感覚受容特性の原因となる化合物である。通常は食物と関係がない薬用形態の一般的に固体である栄養補助食品に使用される植物化学物質もある。
特に興味のある3つの分類の植物化学物質、すなわち、ポリフェノール、特殊炭水化物、及びグリコシドがある。フェノール類とも呼ばれるポリフェノールは、ヒトに摂取されると主に抗酸化物質及び抗炎症物質として機能する化合物である。抗酸化物質は、他の分子の酸化を阻止する分子である。生細胞の酸化は細胞に損傷又は死をもたらす可能性がある。抗酸化物質は、細胞成分の代わりに抗酸化物質自体が酸化されることによってこの損傷を防止する。抗酸化物質は健康補助食品に広く使用され、とりわけ、癌、冠動脈心疾患、高山病で例示される疾患の予防のために調査されている。抗酸化物質は、食品及び化粧品の保存料としても使用される。抗酸化物質は、ヒトの食事で消費される食物及びいくつかの培養の伝統的医薬に用いられる植物の中に存在するので、ヒトの健康及び疾患におけるそれらの役割は多くの研究の対象である。ポリフェノールは工業的に合成できるが、主に植物及び微生物から供されている。
炭水化物は、生体内で多くの役割を果たす糖類である。炭水化物は、体のエネルギー源(例えば、デンプン及びグリコーゲン)として、及び構造成分(例えば、植物内のセルロース並びに真菌及び節足動物内のキチン)として役立つ。短鎖炭水化物は糖とも呼ばれ、長鎖又は複合炭水化物は多糖及びオリゴ糖として知られる。炭水化物及びそれらから誘導される他の化合物は、とりわけ、哺乳動物の免疫系、受精、疾患又は感染の予防、血液凝固で重要な役割を果たすことができる。
別の機能性分子に結合した糖(例えば、フェノール類に結合した糖)はグリコシドとして知られる。グルコシドは生体内で多数の重要な役割を果たす。多くの植物は、不活性なグルコシドの形で化学物質を貯蔵する。これらは、糖部分を裂けさせる加水分解反応によって活性化され、使用可能な化学物質になり得る。多くの該植物グリコシドは薬物として使用される。
植物成分の抽出への現在の取組みは、これらの成分を可溶化して植物バイオマスから取り出すために有機溶媒又は加圧熱水のどちらかを使うことによる。有機溶媒系は通常エタノール、メタノール、酢酸エチル及びアセトンの1種以上を使用する。しかしながら、有機溶媒は一般的に毒性であり、それらの商業的使用は、毒性及び可燃性化学物質と共に使用するために認定された貯蔵及び取扱い機器を備えた防爆設備を必要とする。更に、溶媒は最終生成物内に健康に悪い微量化合物として残留することがあり、それらの有毒性はヒト消費に対する安全性の懸念を生じさせる。
熱水システムは有機溶媒をベースとするシステムより効率が低い傾向があり、植物バイオマスから利用可能性のある植物化学物質の一部しか抽出できないことは周知である。
栄養補助食品に加えて、バイオマスは化学製品の有用な供給源であり得る。リグノセルロース系バイオマスは、世界中で最も豊富な材料の1つであり、エネルギー及び化学物質生産用の原材料としてのその使用に相当な注意が払われている。その構成成分のセルロース、ヘミセルロース、及びリグニンの利用を改善するためのリグノセルロース系バイオマスの分画は、種々の物理的、生物学的、熱的、又は化学的方法を用いて達成可能である。水熱処理(自己加水分解(autohydrolysis)、水熱分解(hydrothermolysis)としても知られる)は、蒸気爆発、加圧低極性水(PLPW;一般に過熱水、亜臨界水、加圧熱水、圧縮熱水とも呼ばれる)(処理条件に起因する水のイオン化からのヒドロニウムイオンの触媒作用を利用する)、及び酸の現場生成(アセチル基から生じる酢酸等)を伴って、バイオマス内の炭水化物を加水分解する。加圧下で水をその沸点より高い温度に加熱すると、pH及び極性等の水の重要な特性の変化をもたらし、その比誘電率は、エタノール及びメタノールで例示されるもの等の溶媒の比誘電率に近い値まで減少する。
水熱水処理を利用するバッチ処理システム及び連続フロースルー(flow-through)システムを用いて、非常に少容量のシステムで、ユーカリ、ポプラ、ギンネム種(Luecaena sp.)、カエデ、モミジバフウ(sweet gum)から得られる広葉樹チップ、一年生植物から得られる植物材料及びわら(とりわけ麦わら、大麦わら、ライ麦わら、燕麦わら、アブラナ属種(Brassica sp.)わら、亜麻皮(flax shive)、ソルガム(sorghum)、スイッチグラス(switch grass)、サトウキビ(sugarcane)が挙げられる)を含めた種々多様のリグノセルロース系原料を処理している。フロースルー水熱処理からの生成物収量は、バッチシステムで生成される収量とは非常に異なることが知られている。フロースルー反応器は、バッチシステムより多くのヘミセルロース及びリグニンを除去しながら、より少ない分解生成物を形成することが示された。フロースルーシステムではほとんど完全なヘミセルロース除去が可能であるが、バッチシステムではたった60%の除去が達成された(Lui et al., 2002, The Effect of Flow Rate of Compressed Hot Water on Xylan, Lignin, and Total Mass Removal from Corn Stover. Ind. Eng. Chem. Res. 2003(42):5409-5416)。更に、バッチ反応器ではリグニン除去は30%未満であるが、フロースルーシステムでは高流速で75%までのリグニン除去が可能である(Lui et al., 2003)。更に、フロースルー反応器内のヘミセルロースは大部分がオリゴ糖として回収される(Lui et al., 2003)。
しかしながら、小研究室システムの大スループットの商業的容量システムへのスケールアップは、一定のスループットの原材料を維持しながら一定圧力及び温度を与えるための大抽出容器における高圧の達成と維持に関連する問題のため未だに成功していない。このようなスケールアップの試みで一般的に遭遇する問題としては、材料の凝集、流体チャネリングの発生、原材料スループットの妨害、及びバックミキシングが挙げられ、小研究室スケールの機器で達成される結果と比較すると、不均一な抽出及び著しく低下した抽出効率という結果になる。
概要
本開示は、加圧低極性(PLP)水を生成するための装置及びバイオマス原料から成分を抽出及び回収するためのその使用に関する。典型的な加圧低極性水(PLPW)抽出装置は、2つ以上の反応カラムで構成され、各カラムは別々に加圧水、加圧加熱水、及び加圧冷却水の供給源と連通している。バイオマス原料の反応カラムへの装填後、各カラムを通る4つの別々の水の回路を順次(sequentially)流すことを含む5工程プロセスで、バイオマス材料を構成する成分を各カラム内のバイオマス材料から抽出及び回収する。最初に第1カラムに新鮮なバイオマス原料を装填して装置に電圧を印加する。印加完了後、プロセスは、カラムに加圧水を張る(flooding)第1工程と、カラムとその内容物を加温する第2工程と、カラム内のバイオマス材料をPLP水で処理する第3工程と、カラムを加圧冷却水で冷却する第4工程と、カラムを空にして使用済みバイオマス材料を除去する工程とを含む。次にカラムを再び新鮮なバイオマス原料で満たすことができる。抽出成分を含む水、すなわち、液体生成物流は、第3工程中に1以上のアリコートでカラムから収集される。
本発明を下記図面を参照しながら説明する。
4つの独立したプロセス回路を有する5カラムシステムを用いる本開示の典型的加圧低極性水(PLPW)抽出システムの操作を示す概略流れ図である。 図1の典型的5カラムPLPWシステムの概略図である。 図2の断面2Aの拡大図である。 図2に示す5カラムPLPWシステムの典型的張水回路の概略図である。 図2に示す5カラムPLPWシステムの典型的加温回路の概略図である。 図2に示す5カラムPLPWシステムの典型的処理回路の概略図である。 図2に示す5カラムPLPWシステムの典型的冷却回路の概略図である。 3つの独立したプロセス回路を有する5カラムシステムを用いる本開示の別の典型的PLPWプロセスの概略流れ図である。 典型的2カラムパイロットスケールPLPWシステムの概略図である。 典型的ベンチスケールPLPWシステムの概略図である。 典型的スケールアップPLPWシステムの概略図である。 図10に示すパイロットプラントスケールPLPWシステムで麦わらのPLPW処理後の反応カラム内のセルロース(11(A))、ヘミセルロース(11(B))、及びリグニン(11(C))の分布を示す図である。 ベンチスケール反応カラム、スケールアップ反応カラム、及びパイロットスケール反応カラムにおけるPLPW処理による麦わらからの炭水化物抽出物の回収率を比較する図である。 図12Aの3つのカラムによる同処理実験中の非炭水化物抽出物の回収率を比較する図である。 スケールアップ反応カラム及びパイロットスケール反応カラムを用いるPLPW処理から得られたセルロース(13(A))、ヘミセルロース(13(B))、及びリグニン(13(C))の収率を示す。 ベンチスケールPLPWシステムを用いてコンコードブドウ(Concord grape)搾汁かすの処理から280nm(14(A))及び520nm(14(B))で得られたクロマトグラムである。 パイロットスケールPLPWシステムを用いて「2月1日C2ロングラン」処理コンコードブドウ搾汁かす(表12参照)から280及び520nmで得られた選択的典型的クロマトグラムを示す。 パイロットスケールPLPWシステムを用いて「2月1日C2ロングラン」処理コンコードブドウ搾汁かす(表12参照)から280及び520nmで得られた選択的典型的クロマトグラムを示す。 パイロットスケールPLPWシステムを用いて「2月1日C2ロングラン」処理コンコードブドウ搾汁かす(表12参照)から280及び520nmで得られた選択的典型的クロマトグラムを示す。 パイロットスケールPLPWシステムを用いて「2月1日C2ロングラン」処理コンコードブドウ搾汁かす(表12参照)から280及び520nmで得られた選択的典型的クロマトグラムを示す。 ベンチスケールPLPWシステムを用いてクランベリー搾汁かすの処理から280nm(16(A))及び520nm(16(B))で得られたクロマトグラムである。 パイロットスケールPLPWシステムを用いてクランベリー搾汁かすの処理から280nm(17(A))及び520nm(17(B))で得られたクロマトグラムである。 市販のアピイン(apiin)標準物質(18(A))及びMeOH-水で抽出された粉砕パセリ(18(B))の270nmでのクロマトグラムである。 110℃(図19(A))、120℃(図19(C))及び130℃(図19(C))でのパセリのPLPW抽出物のHPLC分析のクロマトグラムである。 30mL/gの溶媒:固体比を用いてPLPWシステムでロディオラ・ロゼア(Rhodiola rosea)根バイオマス(14.49gの乾燥出発材料)から抽出された累積的乾物収率を示す図である。 250nm(図21(A))、276nm(図21(B))、及びSIMポジティブモードエレクトロスプレー質量分析(図21(C))におけるロサリン(rosarin)、ロサビン(rosavin)、ロジン(rosin)、及びサリドロシド(salidroside)の100μg/mLの標準物質の代表的クロマトグラムである。 250nm(図22(A))、276nm(図22(B))、及びSIMポジティブモードエレクトロスプレー質量分析(図22(C))における乾燥PLPWロディオラ・ロゼア抽出物の10mg/mL(70%メタノール)溶液110℃温度画分1の代表的クロマトグラムである。 250nm(図23(A))、276nm(図23(B))、及びSIMポジティブモードエレクトロスプレー質量分析(図23(C))における10mg/mL(70%メタノール)の参照ロディオラ・ロゼア根バイオマス抽出物の代表的クロマトグラムである。
詳細な説明
本開示の典型的実施形態は、加圧低極性(PLP)水を生成するための装置及びバイオマス原料から成分を抽出及び回収するためのその使用に関する。
バイオマス原料からの成分の加圧低極性水(PLPW)抽出及び回収の典型的半連続プロセスを図1に示す。このプロセスは、図2、図2A、図3〜図6に示す典型的PLPW装置を利用する。PLPW装置は、並行に配置された5つの抽出/反応カラムを含む。一般的に、PLPWプロセスは、前提条件を調整した(preconditioned)水を約750psi(5.17×106Pa)に加圧してから加圧水の温度を約180℃に上昇させた後、加圧加熱水を選択反応カラムに通して原料から成分を抽出する。典型的PLPWの能力は、流速に関して約2L/分〜約30L/分、約4L/分〜約20L/分、約6L/分〜約15L/分、約8L/分〜約12L/分、約10L/分の範囲である。経済的操作を推進するため、典型的PLPW装置を半連続プロセスとして操作してよい。この場合、1つの反応カラムを常に処理し、システムからのPLPW抽出物の連続流がある。
図1に示すPLPWプロセス及び図2、図2A、図3〜図6に示すPLPW装置の制御スキームを部分的に自動化してよく、処理順序の手動制御を含めてよい。一実施形態では、オペレーターは手動押しボタンを用いて各プロセス段階を活性化しなければならない。活性化されると、システムは自動的に機器を有効/無効にし、バルブ作動を完成し、選択段階の要求に応じてに重要な計器をモニターすることができる。各処理工程の時限順序付け及び測定計装のエラーチェックに基づいて制御スキームを自動化して、装置の安全操作を確保することができる。
プロセス及び装置の説明
図2、2Aに示すPLPW装置5は、各反応カラム10、20、30、40、50を通るPLPWの流れを制御する4つの独立したプロセス回路100(図2A、図3)、200(図2A、図4)、300(図2A、図5)、400(図2A、図6)を含む。各反応カラム10、20、30、40、50の流れ回路は、各反応カラム回路内の弁操作の順序付けを制御する自動制御システムによって選択される。用語「加熱器」を用いて、プロセス水の加熱に用いる機器を特定し、この用語はプラント蒸気システムに接続し得る「浸漬加熱器」又は「シェルアンドチューブ熱交換器」を包含する。
回路バイパスモード
PLPW装置5は、個々の反応カラム回路の1つ以上又は全てをPLPW装置の残部から単離できる回路バイパスモードを備えている(図2、図2A)。回路ポンプ120、220、320、420のいずれもが水を貯蔵所110、210から下記:(i)熱交換器130、230、330、430の内側、(ii)加熱器140、240、340、(iii)熱交換器130、230、330、430の外側、(iv)背圧調整器150、250、350、450、(v)二次熱交換器260、360に通してから、(vi)貯蔵所110又は廃水ドレインに流す。回路ポンプ120、220、320、420から出る水のラインはそれぞれ圧力逃し弁170、270、370、470を備えている。回路バイパスモードの目的は、加圧してシステム圧を維持すること、及び加圧低極性(PLP)水を他の回路に導入する前にその温度を調整することである。
張水回路100
抽出すべきバイオマス原料で満たした選択反応カラムに100℃未満の熱水を張ってから加圧する。このタスクは少なくとも2つの方法の1つで達成可能である。第1の方法は、独立した張水回路100(図3)を利用し、ポンプ120が水を押して第1水貯蔵所110から熱交換器130の内側を通し、次に加熱器140を通し、カラム10、20、30、40、50の1つを通し、熱交換器130の外側、背圧調整器150を通してシステムから廃水ドレインに流す。この選択肢は張水温度の厳重な制御を可能にする。張水回路100は、張水回路からカラム10、20、30、40、50を分離するためのバイパス弁145を更に含む。
第2の方法は、更に詳細に後述する冷却回路(図6)を利用する。第2の方法は、背圧調整器から、張水すべき反応カラムへのPLP水の迂回路を含む。第2の背圧調整器はカラムを加圧できるようにする。第2の張水法の利点は、カラム加圧タスクを達成するために必要な機器(追加のポンプ及び加熱器)の減少であり、それによって下記:(i)より多くの水の再循環、及び(ii)追加の生成抽出物の回収を可能にする。欠点は、独立した回路より張水温度が低く(60℃以下の可能性がある)、処理前に処理日の開始時に複数カラムをバイオマス原料で満たさなければならないことである。
加温回路
加温回路200の間(図4)、ポンプ220が水を押して第2貯蔵所210から熱交換器230の内側を通し、次に加熱器240、カラム10、20、30、40、50のジャケットを通し、熱交換器230の外側、背圧調整器250、二次熱交換器260を通して、システムから第1水貯蔵所110に流す。加温回路200は、カラム10、20、30、40、50を加温回路から分離するためのバイパス弁245を更に含む。
加温回路の目的は、選択した所望処理温度にカラムを温めて、抽出中のPLP水から機器への熱損失を最小限にすることである。加温回路を他の回路から分離することは任意であり、その結果、加温回路専用のポンプ、熱交換器、及び加熱器を加えることによって、加温回路を独立に動作させることができる。或いは、反応カラムジャケットを、ジャケット内の加熱媒体として蒸気を用いるか、又はカラムジャケット用の水を間接的に加熱するために蒸気を用いるための熱交換器と水ポンプの使用を通じて、処理設備からの蒸気を使用するように構成してもよい。
処理回路
処理回路300の間(図5)、ポンプ320が水を押して第2水貯蔵所210から熱交換器330の内側を通し、次に加熱器340を通した後、PLP水は(ポンプ320からの圧力下)、抽出すべきバイオマス原料が詰まったカラム10、20、30、40、50の1つを通って流れる。PLP水はカラムから熱交換器330の外側を通り、背圧調整器350、二次熱交換器360を通って、システムから収集容器380に流れる。処理回路300は、カラム10、20、30、40、50を処理回路から分離するためのバイパス弁345を更に含む。処理回路(図5)の目的は、興味のある化合物を原材料から可溶化及び抽出することである。PLP水は、反応カラムの中を下から上へ単一経路で移動する。最初に最小濃縮水が最大抽出原材料を通過するので、抽出される生成物の量を最大にする。更に、抽出システムの連続的フロースルー特質のため、操作条件にさらされながら低滞留時間で生成物が常にシステムから除去されるので、生成物分解の可能性の量を減らす。
冷却回路
最後の処理回路である冷却回路400(図6)は、原材料が2段階で完全に抽出された後に反応カラムを冷却する。冷却回路400では、PLP水は、抽出された原材料が詰まった反応カラムを通って流れ、それによりポンプ420が水を押して熱交換器430の内側を通し、カラム10、20、30、40、50の1つを通し、次にカラムから熱交換器430の生成物側に通し、背圧調整器450を通し、システムからドレインへ流す。冷却回路の目的は、抽出された原材料及び反応カラムの温度を、抽出された原料の安全除去を可能にする飽和温度未満のレベルに下げることである。温度が十分に下がると、システムを第1冷却回路に切り替えることができ、カラムは排水し、抽出された原料を除去し、次の抽出実験のために新鮮な材料を添加することができる。
空にする/再装填
抽出プロセスの完了後、処理されたバイオマス原料を取り出すために反応カラムを開放する前に加圧反応器を減圧し、排水しなければならない。バイオマス原料を1つ以上のスリーブ(処理のために反応カラムに挿入され、処理後に反応カラムから除去され、スリーブからバイオマスが除去される)に装填することは任意である。或いは、バイオマスを直接反応カラムに装填し、処理後にそこから回収してもよい。圧縮空気供給源又は水供給源又は蒸気供給源を与えて使用済みバイオマス原料を押して反応カラムからの取り出しを容易にすることは任意である。
所望により、第5反応カラム装置が4つの独立した回路、すなわち、張水回路(図3)、加温回路(図4)、処理回路(図5)、冷却回路(図6)を含むことは任意であり、図7に示すように(i)張水回路を排除し、かつ(ii)冷却回路のみならず張水回路をも与えるための冷却回路を使用することによって、独立した回路を3つに削減できることに留意すべきである。
2つの反応カラムを含んでなる別の典型的PLPW装置700を図8に示す。この装置では、カラム720、721は、204℃の操作温度で6200kPa(900psi)の最大操作圧力を有する。カラムジャケットは、ジャケットが加圧され、カラムが加圧されない場合にカラムの破砕を防止するため204℃の操作温度で2,580kPa(375psi)という低い最大操作圧力に合わせて設計される。しかしながら、機器のいくつかの他の部品、例えばアキュムレータ725、726等はカラム720、721の温度と圧力より低い温度と圧力が保証されているので、この2カラムシステムの最大操作圧力及び温度は、全体として、5500kPa(800psi)及び180℃に設定され、ジャケット回路750の最大操作圧力は2400kPa(350psi)である。図8に示すPLPWシステムの主要部品の仕様及び説明を表1〜6に列挙する。
加圧低極性水抽出システムのプロセスフロー718を図8に示す。水貯蔵所710から容積式ポンプ712(すなわち、プロセスポンプ)でプロセス水が汲み上げられて熱交換器714を通過する。ここでまずプロセス水はシステムを出る液体抽出物を冷却し、抽出物から熱を回収するために使用される。次に部分的に加熱された水は浸漬加熱器716に入り、そこで水は所望のプロセス温度に加熱される。システムは、加熱水がカラムジャケットを通って機器を温めるか、又は抽出すべき原料が詰まったカラム720を通るように制御される。出る液体抽出物/プロセス水は逆流して熱交換器714を通り、そこでエネルギーが回収され、生成物温度が沸点未満に低下した後に背圧調整器751に達する。背圧調整器751の目的は、システム圧力を操作処理温度での飽和圧力より高い点で維持してシステム内での蒸気の形成を防止することである。背圧調整器751の後に、出て行く液体抽出物/プロセス水の最終温度を制御するために使用し得る追加の熱交換器730がある。この熱交換器730は、別の水源に接続され、それによって、出る液体を所望温度に冷却するための弁で流れを調整することができる。液体抽出物/プロセス水は、プロセスの他の所で使用するための収集容器732又は廃水容器734のどちらかに向けられる。
抽出システム内にはいくつかの流れ回路がある。流れ回路は、各回路を操作するために順序付ける弁を制御する自動制御システムで選択される。
表1:
表2:2カラムPLPW装置用の電気機器
表3:2カラムPLPW装置用の弁
表4:2カラムPLPW装置用の熱交換器
表5:2カラムPLPW装置用の機械調整器及び安全弁
表6:2カラムPLPW装置用の計装
ホットバイパス回路
ホットバイパス回路は、反応カラム720、721及びジャケットをPLPW装置の残部から分離する。プロセスポンプ712は、水貯蔵所710から水を熱交換器714(内側)、浸漬加熱器716を経て、バイパス弁BVH、熱交換器714(生成物側)、背圧調整器751、熱交換器730を経て、システムから廃水容器734に通す。ホットバイパス回路の目的は、システム圧力を加圧及び維持し、プロセス水が他の回路に導入される前にその温度を調整することである。
加温回路
加温回路は、プロセス水を押して反応カラムジャケットに通す。プロセスポンプ712は、水を熱交換器714の内側、浸漬加熱器716、カラムジャケット、熱交換器714の外側を経て、LPV及び背圧調整器753、熱交換器730を経て、システムから廃水容器734に通す。この回路の目的は、抽出中のプロセス水から機器への熱損失を最小限にするためカラム720を所望処理温度に温めることである。この回路を他の回路から分離して独立して運転できることに留意すべきである。これは、別のポンプ(図示せず)、熱交換器(図示せず)、及び浸漬加熱器(図示せず)を追加することによって達成される。或いは、ジャケット内の加熱媒体として蒸気を用いるか、又はジャケット用の水を間接的に加熱するための熱交換器及び水ポンプの使用によって、ジャケットをユーティリティー設備からの蒸気を使用するように変えてよい。
処理
処理回路の間、プロセス水は、バイオマス原料が詰まった反応カラム(例えば、720又は721)を通って流れる。プロセスポンプ712は、水を押して熱交換器714の内側、浸漬加熱器716、カラム720又は721、熱交換器714の生成物側、背圧調整器731、熱交換器730を経てPLPW装置から収集容器732に通す。処理回路の目的は、バイオマス原料を構成する成分を可溶化及び抽出することである。PLP水は、反応カラム720又は721の中をその下からその上へ単一経路で移動する。最初に最小濃縮水が最大抽出原材料を通過するので、抽出される生成物の量を最大にする。更に、抽出システムの連続フロースルー特質のため、生成物は、操作条件にさらされながら低滞留時間でシステムから常に除去されるので、生成物分解の可能性の量を減らす。
冷却回路
冷却回路は、バイオマス原料が完全に抽出された後に反応カラム720、721を冷却する。第1冷却回路740の水は水貯蔵所710又は廃水容器734から取り出されて冷却ポンプ742で汲み上げられ、熱交換器744の内側、バイパス弁746を通り、戻って熱交換器744の生成物側、背圧調整器745を通ってPLPW装置からドレインに流れる。第1冷却回路740の目的は、抽出からのカラム圧力に等しい冷却回路内のシステム圧力を加圧及び維持することである。
第2冷却回路では、PLP水は、使用済み(すなわち、抽出された)バイオマス原料が詰まったカラム720又は721を通って流れ、それによって冷却ポンプ742が水を熱交換器744の内側、反応カラム720又は721、熱交換器744の生成物側、背圧調整器745経由で、PLPW装置からドレインに流す。第2冷却回路の目的は、抽出されたバイオマス原材料及び反応カラム720又は721の温度を、抽出されたバイオマス原料の安全除去を可能にするための飽和温度未満に下げることである。温度が十分に低くなったら、PLPW装置を第1冷却回路に切り替え、反応カラムから排水し、抽出されたバイオマス原料を除去し、次の抽出のために新鮮なバイオマス原材料を装填することができる。
これらの技術の当業者は、少なくとも2つの反応カラムを含むPLPW(各カラムは、少なくとも1つの水供給源と、水を加熱するための1つ以上の加熱器又は熱交換器と、水を約50℃〜約65℃、約50℃〜約85℃、約50℃〜約100℃、約50℃〜約125℃、約55℃〜約150℃、約55℃〜約175℃、約55℃〜約185℃、約55℃〜約195℃、約55℃〜約205℃、約55℃〜約225℃、約55℃〜約250℃、約55℃〜約275℃、約55℃〜約300℃、約55℃〜約325℃、約55℃〜約350℃、約55℃〜約375℃、約55℃〜約400℃、及びその間の範囲内の温度、並びに約100psi(690kPa)〜約500psi(3400kPa)、約125psi(862kPa)〜約450psi(3100kPa)、約150psi(1030kPa)〜約400psi(2800kPa)、約165psi(11380kPa)〜約375psi(2580kPa)、約175psi(1200kPa)〜約350psi(2400kPa)、約175psi(1200kPa)〜約325psi(2240kPa)、約175psi(1200kPa)〜約300psi(2070kPa)、約175psi(1200kPa)〜約275psi(1900kPa)、約175psi(1200kPa)〜約250psi(1700kPa)、約175psi(1200kPa)〜約225psi(1550kPa)、及びその間の範囲内の圧力に加圧するためのポンプと連通する配管基盤を備えている)を製造するため、本明細書に開示する種々の機器選択肢を調整及び/又は変更できることに留意すべきである。
本明細書に開示するPLPW装置を、図8に示すように、それぞれ別々に加圧水、加圧加熱水、及び加圧冷却水の単一の供給源と連通している2個の反応カラムで構成してよい。或いは、PLPW装置を3個の反応カラム、4個の反応カラム、5個の反応カラム、6個の反応カラム、7個の反応カラム、8個の反応カラム、9個の反応カラム、10個の反応カラムで構成してよい。加圧水、加圧加熱水、及び加圧冷却水のバックアップ供給源を与えることは本開示の範囲内である。
PLPW装置は、その中で各初期ウォームアップ回路、張水回路、加温回路、及び冷却回路の間に反応カラムから出る廃水流を受け取って処理してから、処理水を再循環させて張水回路、加温回路、及び冷却回路の1つ以上に戻すための水精製機器を更に含んでよい。
本明細書に開示する典型的PLPWは、リグノセルロース系材料、例えば果実の果肉、野菜の果肉、搾汁かす、根材料、植物性材料、木質材料、わら、草本材料、種子、木の実、ミール(meal)、バガス等で例示されるバイオマス原料からの成分の抽出及び回収に適している。典型的PLPW装置は、藻類バイオマス、魚粉等で例示される非植物バイオマス材料からの成分の抽出及び回収にも適している。
実施例
実施例1:麦わらのPLPW処理
この実施例で開示する研究では2つの異なるPLPWフロースルー反応器システム及び3つの異なるスケールの反応カラムを使用した。腐食に耐えるように全ての接続、付属品、配管、弁及び容器をステンレススチールで構築し、250℃での13.1MPa(1900psi)の最大操作圧力に合わせて設計した。
研究室-ベンチスケールPLPW反応システム800(図9)を社内で構築し、これは下記:水供給源805、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)ポンプ810(Waters 515モデル, Milford, MA)、温度制御オーブン815(モデル851F, Fisher Scientific, Pittsburgh, PA)、2.0m[ステンレススチール配管、外径3.2mm(1/8”)]の予熱コイル820、反応カラム825、1.0mの冷却コイル830(ステンレススチール配管、外径3.2mm(1/8”))、背圧調整器835(システムの圧力を維持するため5.2MPa(750psi)のカートリッジ(Upchurch Scientific, Oak Harbor, WA)を備える)、及び収集容器840を含んだ。予熱コイルに820と反応カラム825の間に圧力逃し弁822をも設けた。ステンレススチール配管(外径3.2mm(1/8”))及びコネクターを用いて機器部品(すなわち、HPLCポンプ、反応カラム、及び背圧調整器)を接続した。
スケールアップ反応カラム及びパイロットスケール反応カラムを実験するために用いたPLPW反応システム900(図10)を社内で構築し、これはベンチスケールシステムの設計に基づいた(図9)。全ての実験で背圧調整器950(Tescom, Elk River, MN)を調整してシステム内の圧力を11MPa(1500psi)で維持した。システム内の定常流を確保するためにポンプ915の後に設けた脈動緩衝装置920(Wanner Engineering Inc., Minneapolis, MN, USA)を備えた定量ポンプ915(Model P300, Wanner Engineering Inc., Minneapolis, MN)を用いて一定流速で水貯蔵所910からの蒸留水を加圧し、汲み上げた。チューブの中のチューブ(tube-in-tube)熱交換器925(Exergy LLC, Garden City, NY, USA)はシステム内で2つのデューティを遂行した:(i)第1に、熱交換器925は、反応カラム935後の溶媒を収集容器955に排出する前に冷却し;(ii)第2に、排出溶媒から取り出した熱を浸漬加熱器930(ASB Heating Elements Ltd., Bethridge, ON, CA)に入る前の流入溶媒に伝達した。このように、熱交換器925は水を予熱し、システムのエネルギー要求を減らした。熱交換器925と浸漬加熱器930との間に圧力逃し弁945を設けた。ステンレススチール配管(外径12.7mm(1/2”))とコネクターを用いて機器部品をまとめて接続したが、スケールアップ反応カラムは外径6.35mm(1/4”)の配管でシステムに接続した。
ベンチスケール反応カラム825(図9)は、ステンレススチール配管(外径1.27cm(1/2”)、内径1.0cm×長さ10cm)から構築し、クロマトグラフィーカラム端付属品(Chromatographic Specialties Inc, Brockville, ON, CA)をかぶせた。スケールアップ反応カラム935は、ベンチスケールユニットから5倍スケールアップした(表7)。該ユニットは、内径5cm×長さ50cmのステンレススチールフランジ付き反応カラムであり(MODcol, Mandel Scientific Company Inc., Guelph, ON, CA)、グラファイトoリングガスケットとステンレススチール端板でシールし、PLPW反応システムに接続できるようにねじを切った。パイロットスケール反応カラムは特注ステンレススチールフランジ付きカラム(Enterprise Steel Fabricators Ltd., Kelowna, BC, CA)であり、スケールアップユニットの3.56倍スケールアップした(表7)。末端に蓋をかぶせ、ステンレススチール板とoリングでシールし、PLPW反応システムに接続できるようにねじを切った。弁は、スケールアップユニット及びパイロットスケールユニットを使用しない時にPLPW反応システムの残部から分離した。スケールアップ反応カラム及びパイロットスケール反応カラムの質量増加のため、それらにバンドヒーター940(ASB Heating Elements Ltd., Bethridge, ON, CA)を装備してカラム温度の加熱と維持を助けた。
表7.
反応カラム寸法のスケールアップに加えて、実験条件の適切なスケーリングを行なった(表7)。これらの実験には165℃の温度及び60mL/gの溶媒対固体比を選択した。ベンチスケール、スケールアップ、及びパイロットスケール反応カラムのそれぞれ6、150、及び1900mL/分の流速に対応する、1.27×10-3m/秒の空塔速度を構成する流速を選択した。各スケールのカラム内では同じ床深さ対直径比を保持し、サンプル質量を調整して同一の嵩密度(及び空隙率)を維持した。反応カラムの内側にわらサンプルを保つため、及びPLPWの分散の促進を助けるため、カラムの各末端の空容積にステンレススチールウールを詰め、パイロットスケールユニットを除き、入口及び出口にそれぞれ20μm及び100μmのステンレススチールフリットで蓋をした。パイロットスケールユニットはフリットを使用しなかった。
まず反応カラムに水を張ってからシステムを実験温度に加温し、この温度を、反応カラムを通って流れ始める前にカラム内でサンプルの温度を平衡にするのに十分な時間維持することによって、加水分解反応手順を開始した。反応カラムを通る流れが開始時に、分析物を含有しない溶液の第1部分(反応カラムの頂部から収集容器までのシステム内のデッドボリュームに相当する)を捨て、選択した溶媒対固体比に基づいて所定量の溶液を収集した。液体抽出物の一部(約60mL)を各実験から収集して分析用に4℃で貯蔵し、液体抽出物の残りを固体残渣と共に凍結乾燥させて、分析するまで-20℃で貯蔵した。
固定残渣と凍結乾燥した液体抽出物を構造炭水化物、リグニン、アセチル基、及び灰分について下記NREL標準的分析手順に従って分析した(Hyman et al., 2007, Determination of Acid Soluble Lignin Concentration Curve by UV-Vis Spectroscopy; Laboratory Analytical Procedure (LAP). NREL/TP-510-42617; National Renewable Laboratory: Golden, CO, USA; Sluiter et al., 2008, Determination of Structural Carbohydrates and Lignin in Biomass; Laboratory Analytical Procedure (LAP) NREL/TP-510-42618; National Renewable Laboratory: Golden, CO, USA)。まずサンプルを水浴内30℃で72%硫酸で1時間加水分解してから4%硫酸に希釈し、密封ガラス圧力管内121℃で1時間加圧滅菌することによって酸不溶性リグニン(AIL)及び酸可溶性リグニン(ASL)を測定した。セルロースとヘミセルロースの加水分解後にAILを重量測定法で分析した。分光光度法により320nmで加水分解物中のASLを測定した(Sluiter et al., 2008)。30Lg-1cm-1の吸光率を用いて吸光度測定値を質量値に換算した。サンプルのリグニン含量についての結果は、AILとASLの合計として報告し、タンパク質含量について補正してある。
屈折率検出器を備えたAgilent 1100(Agilent Technologies, Palo Alto, CA)を用いてHPLCにより加水分解物から構造炭化水素、セルロース(グルコース)及びヘミセルロース(キシロース、ガラクトース、アラビノース、及びマンノース)を定量的に測定した。AMINEX(登録商標)HPX-87Pカラム(300×7.8mm)(AMINEXはBio-Rad Laboratories Corp., Hercules, CA, USAの登録商標である)と脱灰ガードカートリッジ(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA)を用いて75℃で操作してHPLC分析を行った。HPLCシステムは、Agilent CHEMSTATION(登録商標)Plusソフトウェア(CHEMSTATIONはAgilent Technologies Inc., Santa Clara, CA, USAの登録商標である)により制御されるG1329Aオートサンプラー及びG1312A送達システムから成った。HPLC等級のろ過水を移動相として0.5mL/分の流速で用い、各サンプルについて、50μLの前ろ過アリコートを自動注入した。Sluiterら(2008)が教示した方法に従い、1セットの既知糖標準物質に対する比較及び糖回収係数(sugar recovery factor)の適用によって炭水化物濃度を決定した。
Sluiterら(2008)が教示した方法に従い、屈折率検出器を備えたAgilent 1100(Agilent Technologies, Palo Alto, CA)を用いて加水分解物からHPLCでアセチル基、ギ酸及びレブリン酸を定量的に測定した。HPLC分析は、Bio-rad AMINEX(登録商標)HPX-87Hカラム(300×7.8mm, Bio-Rad Laboratories, Hercules, Ca)とCation H詰め替えカートリッジガードカラム(30×4.6mm, Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA)を用いて行ない、55℃で0.005MのH2SO4移動相を0.6mL/分の流速で用いて操作した。
Scott(2002, Colorimetric determination of hexuronic acids in plant materials. Anal. Chem. 51:936-941)が教示した方法に従って加水分解物中のウロン酸を定量化した。一定分量(0.125mL)の加水分解物を試験管内の0.125mLの2%NaCl-3%H3BO3溶液に加えた。氷浴内で試験管に濃H2SO4を加えて混合した。次に試験管を水浴内で70℃にて40分間加熱した。次に試験管を取り出して室温に冷ました後、氷酢酸中0.1%の3,5-ジメチルフェノール0.1mLを反応物に添加した。10分後、400及び450nmの吸光度を平均し、それをD-グルクロン酸の標準曲線と比較することによってウロン酸濃度を決定した(Sigma-Aldrich Co., St. Louis, MO)。
固体の灰分は、温度調節器(Furnatrol II series 413, Thermolyne Corporation, Dubuque, IA)を備えたマッフル炉(モデルF-A1730, Thermolyne Corporation, Dubuque, IA)内でのサンプルの完全燃焼により測定した。温度調節器を設定して室温から105℃に上昇させ、12時間保持し、10℃/分で250℃に上昇させ、30分間保持し、20℃/分で575℃に上昇させ、180分間保持し、105℃に降下させ、サンプルを除去するまで保持した。るつぼ内に残存する残渣を灰分とみなした。
タンパク質含量は、AOAC公定法997.09(2008, Nitrogen in beer, wort, and brewing grains, protein (total) by calculation. AOAC International)に開示された方法で窒素含量から推定した。分析前に固体残渣をハンマーミル(MF 10, IKA-Werke GmbH & Co. KG, Staufen, Germany)内で粉砕して0.5mmの排出スクリーンに通した。分析前にサンプルを真空オーブン内60℃で一晩乾燥させた。窒素含量は、Leco FP-528窒素分析器(Leco Corporation, St. Joseph, MI)を用いて850℃で乾燥サンプルを燃焼させて測定した。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びトウモロコシ粉(Leco Corporation, St. Joseph, MI)を用いて窒素の標準曲線を作成した。窒素含量(%)に6.25の係数を掛けてタンパク質含量を見積もった。
液体抽出物を炭酸カルシウムで中和し、0.20μmのシリンジフィルターでろ過して、炭水化物モノマーの直接HPLC定量に用いた。次に、凍結乾燥抽出物から決定した全ての加水分解炭水化物含量と、液体サンプルから決定したモノマー含量との差を取って炭水化物オリゴマーの濃度を計算した。DAD検出を利用する直接HPLC定量により同サンプルから分解生成物5-ヒドロキシ-2-メチルフルフラール(HMF)及びフルフラールを定量した。
SigmaStat30(バージョン3.5, Systat Software, Inc., Point Richmond, CA, USA)を用いてデータを分析した。ANOVA手順を用いて反応器スケールの影響を分析し、差異が見られたときはテューキーの検定により平均比較を行なった。p≦0.05を有する差異を有意とみなした。
水熱処理を行なう前に、最初に天然わらの組成を測定した(表8)。NREL研究室手順で規定されているように、抽出物を除去するために水とエタノールで抽出された材料ではなく、天然わら材料を用いて組成分析を行なった。
表8.
* 平均±標準偏差、n=4
** タンパク質について補正した
質量収支
水熱処理後の麦わらの質量収支は全てのスケールの反応カラムについて良く一致した(表9)。スケールアップユニットでは損失が7.67%で最高であり、ベンチスケールで最低であった。26〜40%の総溶解質量及び57〜72%の残存する固体残渣は、PLPWでフロースルー水熱処理を受けた他の作物について文献に報告された範囲内である(13〜56%の総溶解質量及び40〜77%の残存する固体残渣)(Mok et al., 1992, Uncatalysed solvolysis of whole biomass hemicellulose by hot compressed liquid water. Ind. Eng. Chem. Res. 31:1157-1161)。
表9
加水分解及び抽出された物質の量、又はスケールアップシステム若しくはパイロットスケールアシステムから反応カラム内に残った残渣の量には有意な差異はなかった(p>0.05)。ベンチスケールシステムでは、加水分解及び抽出された物質は少なく、反応カラム内にずっと大量の残渣が残った。理論上はユニットが正しくスケーリングされれば、反応カラムの大きさに起因する抽出の差はないはずである。しかしながら、水熱処理は、可溶化及び抽出現象であるのみならず、バイオマス中の炭水化物の加水分解の形で関与する化学反応の側面もある。炭水化物ポリマーが分解される加水分解は水分子の添加によって進行する。この反応は時間依存性であり、イオン化及び酸生成のために存在するイオンの量に左右され、更に遊離化合物からいくらかの溶解度制限によって影響を受け得る。これらの3つの要因のうち、水熱処理のための滞留時間は、これらの実験で異なるカラムスケールのために変化するであろう唯一の要因である。反応カラム内において等価の溶媒対固体比及び空塔速度では、所要量の溶媒を収集するための時間は、ベンチスケールでは10分未満、スケールアップでは48分未満、及びパイロットスケールでは170分未満である。ベンチスケールカラムでの10分の処理時間は、加水分解を完全に終わらせるにはおそらく不十分である。
固体残渣及び液体画分の組成
3つのスケールの反応カラム内でPLPWを用いたCPS麦わらの水熱処理から得られた固体残渣及び液体画分の組成を表10に示す。パイロットスケールでの固体残渣を床深さによる組成の差異について分析した(図11(A)、11(B)、11(C))。種々の床深さでのパイロットスケール反応カラムについての固体残渣の組成の結果を平均した(表10)。
スケールアップシステムとパイロットスケールシステムとの間では固体残渣及び液体画分組成にほとんど差異がなかった(表10)。2つのスケール間で異なった成分は固体残渣のキシレン含量と液体画分のリグニン含量のみであった。スケールアップカラムでキシレン含量はわずかに低く、液体画分内のリグニン含量は高かった。リグニンはセルロース及びヘミセルロースと結合して複合体を形成するので、液体画分中のより高いリグニンに加えて残渣中のより低いキシレンは予想される組合せであろう。リグニンはヘミセルロース周囲の遮蔽物として作用し、加水分解プロセスのためのヘミセルロースへの媒体の接近を制限する。液体抽出物中へのリグニンの移動の増加は残存ヘミセルロースへの接近を許容し、水熱処理によって加水分解及び抽出される量を増やすであろう。スケールアップカラム内のリグニン抽出の増加について可能性のある1つの原因は、パイロットスケールカラムに比べて、よりいっそう高いスタートアップ時の温度分布である。パイロットスケールカラムはずっと大きい熱質量を含有し、ユニットを運転する前に加熱するのは困難であり、操作中のいずれの温度変動にも抑制効果を及ぼしたかもしれない。更に、大きいフランジと蓋はユニット上で大きいヒートシンクとして作用した。運転の最初に流れが開始すると、パイロットスケール反応カラムが操作温度に達するのには約20分かかったが、スケールアップ反応カラムは流れ開始の1分以内で操作温度に到達した。スケールアップカラムにおけるこの短期高温時間は、より多くの部分のリグニンを最初に可溶化し、より多量のヘミセルロースを加水分解にさらすのに十分であった。スケールアップカラム内のより大きい濃度の分解生成物HMF及びフルフラールと、低減した濃度のキシロオリゴ糖は、他のスケールのシステムを超える高い処理温度の指標でもある。
ベンチスケールシステムからの固体残渣及び液体画分の組成は、スケールアップ及びパイロットスケールの両システムと同様であったが、2〜3の大きな差異があった。ベンチスケールシステムでは、キシラン含量が他のユニットにおけるよりほぼ3倍であったので、固体残渣のグルカン含量はほぼ25%少なかった。これは、短い処理時間に起因する不完全な加水分解という概念と一致し、ベンチスケール反応カラムの溶解質量の減少に一致している(表9)。ベンチスケールシステムの固体残渣中のより高いアセチル基含量も、水熱処理中の酢酸生成減少に起因する加水分解作用の低下を暗示する。ベンチスケール反応カラムからの液体画分もより多くのアラビノオリゴ糖及びマンノース単糖を含有したが、キシロース単糖の濃度はより低かった。アラビナンの構造は非常に加水分解しやくするので、固体残渣内のアラビナンの保存(表10)及び液体画分内のオリゴ糖の保存も短い滞留時間に起因する激しくない処理を暗示する。これは液体画分中の低量の分解生成物フルラールによっても明らかである。
表10.
3つのスケールの反応カラム間では組成にほとんど有意な差異がないとしても、より大きいスケールの反応カラム内の組成に差異があり得る。パイロットスケールシステムで3つの主成分、すなわちセルロース、ヘミセルロース、及びリグニンの固体残渣の床深さ伴う変動を測定した。セルロースは固体残渣のグルカン含量として報告し、ペントース(D-キシロース及びL-アラビノース)とヘキソース(D-ガラクトース、D-グルコース、及びD-マンノース)とから成る分岐多糖であるヘミセルロースは、固体残渣のキシラン、ガラクタン、アラビナン、及びマンナン含量の合計として報告した。セルロース含量は、パイロットスケール反応カラムの下から上までにほぼ15%減少した(図11(A))。反応カラムの上部3つの部分のヘミセルロース含量に差はなかった(図11(B))。カラムの下部のみでヘミセルロース含量が少なかったが、差は1%余りであった。これは部分的に、反応カラムの下部のより低いリグニン含量が原因かもしれず、ヘミセルロースの加水分解への接近可能性を高める(図11(C))。
固体残渣のリグニン含量は、パイロットスケール反応カラムの下から上までにほとんど2倍になった。リグニン溶解度は溶媒特性によって大きく影響を受けることが知られている。PLPWの溶媒和力は、PLPWが反応カラムに入る下部で最大であろう。反応カラムの下部ではわら中のリグニンは、PLPWがカラム中を上方へ移動するにつれて飽和されてくる前に容易に可溶化されるであろう。従って、反応カラムの上部より低い部分でより多くのリグニンが可溶化されるであろう。リグニンはパイロットスケール装置内では可溶化されているが、液体画分中のより低いリグニン含量によって分かるように、スケールアップカラムではより低い量でリグニンが抽出されている(表10)。
Liuら(2003, The Effect of Flow Rate of Compressed Hot Water on Xylan, Lignin, and Total Mass Removal from Corn Stover. Ind. Eng. Chem. Res. 42:5409-5416)は、 リグニンがリグニン自体及び他の化合物と反応してより大きい分子を形成し、これが長い滞留時間又は反応温度の降下のため沈殿し得るというリグニン可溶化の機構を提案した。溶解材料がパイロットスケール反応カラムの中を移動するのに同空塔速度でスケールアップ反応カラムの中を移動するより約3.5倍長くかかった。可溶化されたリグニンは下部からカラムを通って上方へ移動するであろう。可溶化リグニンが他のリグニン及び化合物と反応すると、それはより大きい分子を形成し、PLPWから沈殿するであろう。これらのリグニン含有分子は、反応カラムを出る前に上部に沈着するであろう。その結果、固体残渣のリグニン含量が増加した原因が明らかになる。
炭水化物及び非炭水化物生成物の回収
麦わらからの炭水化物及び非炭水化物生成物の回収は、反応カラムのスケールによって大きい影響を受けなかった(図12(A)、12(B))。全てのカラムスケールについてグルコース又は少量のヘミセルロース炭水化物ガラクトース、アラビノース、及びマンノースの回収率に差は観察されなかった(図12(A))。パイロットスケール装置は、スケールアップユニットより乾燥わら1キログラム当たり約26g多いキシロースを生産した(図12(A))。しかしながら、両スケールからの固体残渣は等量の残存キシランをもたらした。スケールアップカラムはパイロットスケールカラムよりずっと速く操作温度に達したので、キシロース生産の差は、おそらく水熱処理の初期段階中のより高い温度からのフルフラールの生成が原因であった。ベンチスケール装置からのキシロースの生産量は、スケールアップ装置より30g/kg(乾燥わら)少なく、パイロットスケール装置より56g/kg(乾燥わら)少なく、液体画分中39%の総収率であった。固体残渣中の残存キシランは他のスケールの反応カラムより3倍超えであり、40%のキシランが残存している可能性があった。従って、この差はほとんど、不十分な滞留時間に起因する不完全な加水分解が原因であった。
リグニンの抽出は、スケールアップ反応カラムでベンチスケール及びパイロットスケールの反応カラムよりほとんど50%多かった(図12(B))。ベンチスケール反応カラムにおけるリグニン生産の減少は、おそらく不完全な加水分解反応の副産物であった。固体残渣内に残存するリグニンはスケールアップ反応カラム及びパイロットスケール反応カラムよりほとんど25%多かった。スケールアップカラムとパイロットスケールカラムとの間のリグニン生産の差は滞留時間増加の結果であり、可溶化の差、又は2つのカラム内の流れ分布が原因ではなかった。パイロットスケール反応カラムにおけるリグニンの変態及びそれ自体又は他の化合物との反応は、リグニンがカラムから除去される前にリグニンの一部を沈殿させた。これはカラム内のリグニン濃度の軸方向勾配をもたらし、水熱処理からの全ての残存固体の真のリグニン含量を正確に計算することを困難にもした。残りの非炭水化物成分の生産についてはカラムスケールに起因する差はほとんどなかった(図12(B))。
天然CPS麦わらの特徴づけは、PLPWによる水熱処理から得られる収率の計算を可能にした。収率は、天然わら中の成分の潜在量で割って、液体抽出物中に収集された成分の量として計算し、百分率として報告した。リグノセルロース系バイオマスの3つの主成分であるセルロース、ヘミセルロース(キシロース、ガラクトース、アラビノース、及びマンノースの合計)及びリグニンの収率曲線をスケールアップカラム及びパイロットスケールカラムについて図13(A)、13(B)、13(C)にプロットした。ベンチスケールシステムについては、複数の点を分析するために十分な物質が水熱処理中に抽出されなかったので、収率曲線を作成しなかった。このことは、極小スケールシステムの主な欠点の1つであり、キネティクスのより良い解釈を判断できるようにこれらのプロセスをスケールアップする必要がある理由を例証する。
グルコースの収率には反応カラムスケールに起因する差はなく、全体的な収率は低いままであった(図13(A))。スケールアップカラムのヘミセルロースの収率はパイロットスケールカラムより低かったが、スケールアップカラムのヘミセルロースの変動はずっと大きかった(図13(B))。収率は、スケールアップカラム及びパイロットスケールカラムについて当初のCPS麦わら中の潜在的ヘミセルロースのそれぞれ55及び66%に達した。水熱処理のほとんど最初の20%では、反応のキネティクスは等価であり、その後キネティクス及び収率がずれ始めた。上述したように、固体残渣中のヘミセルロースの残存量は同一であった;従って両スケールの反応カラムでは等量のヘミセルロースが加水分解された。異なるスケール間の収率の偏差は、スケールアップ反応カラム内のヘミセルロースの分解が原因であった。リグニンの収率は2つのスケールの反応カラムで非常に異なった(図13(C))。抽出の全体的収率及び初期速度はスケールアップ反応カラムでずっと大きかった。リグニン収率は、スケールアップ反応カラム及びパイロットスケール反応カラムについてCPS麦わら中の潜在的リグニンのそれぞれ43%及び32%に達した。リグニンの生産と同様に、より大きいパイロットスケール反応カラムにおけるリグニン収率の低下は、スケールアップ手順によってもたらされた滞留時間増加に起因する反応器内におけるリグニンの反応及び変態の結果であった。
これらの研究では、CPS麦わらの水熱処理の成功したスケールアップは、組成及び収率がわずかに異なるだけの固体残渣と液体画分を生じさせた。差の大部分はキシラン加水分解の度合い及び抽出されたリグニンの量にあった。溶解度及び質量移動がプロセスの先導現象である抽出システムでは、容器のスケールアップの秘訣は等価な空塔速度及び溶媒対固体比の維持である。リグノセルロース系バイオマスの水熱処理は、溶解度の側面をプロセスに組み入れるが、化学反応のキネティクスによっても支配される。この実験では、ベンチスケール反応カラムは、スケールアップ反応カラム及びパイロットスケールカラムと比べてヘミセルロース画分の不完全な加水分解をもたらした。おそらくリグニンが除去される前に反応器内にリグニンが沈殿したため、パイロットスケールカラムではスケールアップカラムに比べてリグニンの抽出が不完全であった。水熱処理等の反応面を組み入れるシステムでは滞留時間が重要になる。内部及び外部の質量移動は、滞留時間に依存性である反応キネティクスに対して二次的役割を果たすので、反応カラムのスケールアップ中に空塔速度を維持することは避けられない。水熱処理用機器の将来のスケールアップのためには、カラム内の空塔速度(流速)を調整して滞留時間を同等化すべきである。反応カラムの加温乾燥は、わらからのヘミセルロースの収率増加に役立つであろう。
実施例2:コンコードブドウ搾汁かすのPLPW処理
商業的果実加工会社により2011年の秋の間にコンコードブドウの商業的ジュース加工から製造されたブドウ搾汁かすの提供を受けた。ブドウ搾汁かすを受け取ったらすぐに、強制対流オーブン (モデル40AF, Quincy Lab Inc., Chicago, IL, USA)内で75℃にて一晩乾燥させることによってその含水量を決定した。ブドウ搾汁かすの残りは、処理のため必要になるまで超低温冷凍庫に-20℃で貯蔵した。
ブドウ搾汁かすをベンチスケールPLPWシステム(図9)で5つの温度(85℃、120℃、150℃、175℃)にて、単一の流速10mL/分、及び30mL/gの溶媒:固体比を用いて処理した。更に、三通りの実験を120℃で行なって抽出プロセスの可変性の程度を決定した。全部で8バッチのブドウ搾汁かすをベンチスケールシステムで処理した。最良の処理条件は120℃及び7.5mL/gの溶媒:固体比であると決定し、この条件をパイロットスケールのPLPWシステムでブドウ搾汁かすを処理するための操作条件として利用した(図10)。
7バッチのブドウ搾汁かすをパイロットスケールシステムで処理した。更に、2バッチを22.5mL/gの溶媒:固体比のプロセス条件で処理し、それに加えて1つのさらなるバッチを行ない、1つの実験について全部で15画分を5〜10分毎に収集して、処理時間にわたってフェノール類及びアントシアニンの溶出を更に確実にした。全部で9バッチのブドウ搾汁かすをパイロットスケールシステムで処理した。
ベンチスケール抽出
ベンチスケールシステムで処理したバッチから収集したデータは処理温度上昇と共に抽出乾物が増加することを示した(表11)。30mL/gの完全実験では液体抽出物中の乾物濃度は85℃より175℃で4倍以上であった(それぞれ0.86%対0.21%)。これは、175℃では23.1%の有効乾物の収率及び85℃では6.2%を示した。しかしながら、乾物の大部分は抽出実験の最初の7.5mL/gに抽出された。従って、最初の7.5mL/gについてだけ抽出するのが最も効率的であり、それによって収率はかなり高く、液体抽出物中の生成物濃度は最大レベルである。
150℃及び175℃の処理温度では、抽出物はそれらの特徴的な紫色を失い、目に見えて褐色になり、きな臭い匂いを伴い、望ましくない生成物をもたらした。150℃及び175℃では抽出物のフェノール類含量は高かったが、高温のため抽出物から望ましいアントシアニンは排除された(図14(A)、14(B))。残りの処理温度85℃及び120℃については、120℃で最大の収率と総フェノール類含量が得られ、85℃で最大の収率とアントシアニン含量が得られた(表11)。濃度と収率の全体的な最良の組合せは120℃で達成された。
120℃の処理温度で収集された抽出からは、全ての画分について乾燥抽出物中の総フェノール類の濃度は9.05%であり、搾汁かす中の有効フェノール類の収率114.6%に相当した。PLPWにおけるブドウ搾汁かすの反応プロセスは、未処理搾汁かすから得られるより多くのフェノール類を提供した。120℃の抽出からの全ての画分について抽出物中のアントシアニンの濃度は0.36%であり、19.4%の収率に相当した。
表11.
パイロットスケール抽出
10バッチのブドウ搾汁かすをパイロットスケールPLPWシステム(図8)で120℃にて処理して1500L(400ガロン)の抽出物を生産した。2セットの抽出(第1セットは最大抽出濃度(7.5mL/g)で70L、第2セットは最大収率(22.5mL/gの溶媒:液体比)で750Lである)を評価して液体抽出物の蒸発工程の経済性を調べた。
パイロットスケールPLPW抽出の結果を表12にまとめた。7.5mL/gの溶媒:固体比での液体抽出物中の平均乾物濃度及び収率はそれぞれ1.0%及び7.6%であった。乾燥抽出物中の総フェノール類の濃度の平均は12.9%であり、ブドウ搾汁かす中の有効フェノール類の96.0%の収率に相当した。乾燥抽出物中のアントシアニンの濃度の平均は1.1%であり、ブドウ搾汁かす中の有効アントシアニンの33.7%の収率に相当した。1つのバッチはカラムの内側のスリーブの何らかのバイパスがあったので、他の実験より低い乾物含量と収率をもたらした。全てのその後の実験ではこれを補正した。別のバッチでは、ジャケットを加温した後ウォームアップ時間を1時間から0時間に減らした。他の実験に比べて乾物の収率又は濃度に変化はなかった。総フェノール類収率はわずかに低かったが、乾燥抽出物中の濃度は他の実験と同じであった。しかしながら、乾燥抽出物中のアントシアニンの収率及び濃度はそれぞれ59%及び85%高かった。これはおそらくウォームアップ段階の排除のため高温でのアントシアニンの分解が少なかったことに起因した。
22.5mL/gの溶媒:固体比では液体抽出物中の平均乾物濃度及び収率はそれぞれ0.56%及び12.5%であった(表12)。乾燥抽出物中の総フェノール類の濃度の平均は11.7%であり、ブドウ搾汁かす中の有効フェノール類の108.1%の収率に相当した。乾燥抽出物中のアントシアニンの濃度の平均は1.07%であり、ブドウ搾汁かす中の有効アントシアニンの49.9%の収率に相当した。乾燥抽出物中の総フェノール類及びアントシアニンの濃度は短長実験から同様であった。しかしながら、液体抽出物中の乾物濃度を考慮すれば、7.5mL/gでの抽出より収率は高かった。
2月1日のC2実験(表12参照)では、乾物、総フェノール類、及びアントシアニンの濃度と収率は抽出の初期段階で最高であった(表13)。7.5mL/gサンプルの後、引き続く画分では生成物の収率が非常に低下したことが明白である(表13)。また、その後の画分の増加に伴う抽出される化合物の生産量の変化はなかった(図15)。従って、7.5mL/gの溶媒:固体比を超えて抽出を延長することにほとんど利益がないという以前の観察は妥当である。
7.5mL/gの溶媒:固体比でのブドウ搾汁かすのPLPW抽出は、抽出物中12.9%の濃度で有効フェノール系化合物の96.0%を生じさせ、抽出物中1.10%の濃度で当初材料中のアントシアニンの33.7%を生じさせた(表12)。12.3mL/gの溶媒:固体比でのブドウ搾汁かすのバッチ抽出は、抽出物中8.64%の濃度で有効フェノール系化合物の62.8%を生じさせ、抽出物中1.98%の濃度で当初材料中のアントシアニンの61.4%を生じさせた。PLPW技術は、1.5倍の濃度でバッチ熱水抽出法より40%多いフェノール類を得た。更に、PLPWシステムは、比較できる工業熱水抽出の水の半分を使用した。これは、乾燥抽出物を生産するための水の除去の蒸発コストについて多額の節約につながる。
表12.
表13.
スケールの影響:
ベンチスケールPLPWシステム(図9)を、カラム径を2.2cmから20.3cmに増やすことによってスケールアップした(図8)。9倍のスケールアップに基づいてカラム及び抽出システムパラメーターの残りを適宜スケールアップしたが、サンプルの嵩密度と滞留時間は両抽出系で等しく保った(表14)。
全ての乾物及びフェノール類の大部分は抽出の最初の30%(7.5mL/gの溶媒:固体比)で抽出され、ベンチスケールシステム及びパイロットスケールシステムの総乾物のそれぞれ76%及び72%に相当した(表15)。同時に、抽出された乾物内でフェノール類の濃縮があった。当初コンコードブドウ搾汁かすは0.94%の総フェノール類含量を有し、これはベンチスケールシステム及びパイロットスケールシステムからの乾燥抽出物中の8.98〜14.26%に濃縮された(表15)。
表14.
表15.
ベンチスケールシステム又はパイロットスケールシステムから抽出された物質の量に有意な差異はなかった(p≧0.05)。理論的には、ユニットを正確にスケーリングすれば、反応器サイズに起因する抽出の差はないはずである。しかしながら、PLPW抽出では、可溶化及び抽出現象が起こるのみならず、温度と時間に関連して起こる化学反応もあり、それらが相まってPLPWシステム内でバイオマスを分解する。そのようなものとして、スケールに関連して液体抽出物の総フェノール類濃度の有意な差異があった(p≦0.05)。酒石酸エステル及びフラボノール濃度は異ならなかったが(p≧0.05)、異なるPLPW抽出システムからのアントシアニン濃度には有意な差異があった(p≦0.05)。パイロットスケールPLPWシステムは、ベンチスケールPLPWシステムが生産した2倍量のアントシアニンを生産した。これはおそらく反応カラムのサイズ及びウォームアップ手順の差が原因であった。ベンチスケールPLPWシステムでは、カラムに温水を張り、カラムを45分間オーブン内で温めて原料とカラムが確実に抽出温度になるようにした。パイロットスケールPLPWでは、カラムに温水を張り、ジャケットを抽出温度まで上げてからシステムを60分間ウォームアップした。
パイロットスケールPLPWシステムではカラムの直径が大きいため加温時間がより長いとしても、カラムの中心で物質が温まるためにはより長い時間がかかった。従って、パイロットスケールカラムの中心にある物質はずっと緩徐に、かつずっと小さいベンチスケールカラム内の物質より低い程度に温まった。アントシアニンは温度に敏感であることが知られている(Mazza et al., 1993, Anthocyanins in Fruits, Vegetables, and Grains; CRC Press: Boca Raton, FL)。従って、アントシアニンは、高温での滞留時間のためベンチスケールカラム内では分解して消失する可能性が高い。
実施例3:クランベリー搾汁かすのPLPW処理
商業的果実加工会社により2011年の秋の間に商業的ジュース加工から製造されたクランベリー搾汁かすの提供を受けた。クランベリー搾汁かすを受け取ったらすぐに、強制対流オーブン (モデル40AF, Quincy Lab Inc., Chicago, IL)内で75℃にて一晩乾燥させることによってその含水量を決定した。クランベリー搾汁かすの残りは、処理のため必要になるまで超低温冷凍庫に-20℃で貯蔵した。
クランベリー搾汁かすをベンチスケールPLPWシステム(図9)で6つの抽出温度(85℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃)にて処理した。実施例2でコンコードブドウ搾汁かすについて最も効率的な溶媒:固体比を7.5mL/gに決定したので、クランベリー搾汁かす抽出に同一の溶媒:固体比を用いた。ウォームアップ時間を15分に設定して抽出物中の植物化学物質の分解及び損失を防止した。
パイロットスケールシステム(図8)を用いた他のタイプのバイオマス原料での以前の研究は、パイロットスケール反応カラム内の滞留時間をベンチスケール反応カラム(ベンチスケールの流速10L/分)内の滞留時間と同等に維持するように設計し、パイロットスケール反応カラム内の8mL/分の流速は、カラム内のクランベリー搾汁かすの深さに起因する流れへのバイオマスの抵抗が床を崩壊させ、それによってカラムを塞がせるのに十分なほど大きかった。パイロットスケールPLPWシステムの流速を4L/分に減らせば(ベンチスケールシステムの5mL/分に相当する)、閉塞は問題にならないことが分かった。抽出プロセスへの流速の影響を決定するため、ベンチシステムで5mL/分及び10mL/分の2つの流速を85℃及び120℃で実験した。
パイロットスケールPLPWシステム(図8)を通じたいくつかのテスト実験は、最良の抽出温度が120℃であることを決定した。ベンチスケールからの液体抽出物中の高い乾物濃度のため、パイロットシステムでは溶媒:固体比が8.5mL/gに増加した。引き続き、7バッチのクランベリー搾汁かすをパイロットスケールPLPWシステムで処理した。
Glories法(1979, Reserches sur la matiere colorante des vins rouges. Bull. Cim. 9:649-2655)の修正版を利用してクランベリー搾汁かすのフェノール類含量を測定し、乾燥抽出物を以下のように定量した。サンプルをメタノール中3%のギ酸で2倍に希釈してから、50%希酸性化メタノール(50%MeOH、1.5%ギ酸、48.5%水)で5〜50倍に希釈した。各溶液をボルテックスし、約15分間静置した後、分光光度計(DU-65, Beckman Instruments Inc., Fullerton, CA)で280nm、320nm、360nm、及び520nmにてその吸光度を解読した。280nmの吸光度(A)を用いて総フェノール類含量を推定し、A320nmを用いて酒石酸エステル含量を推定し、A360nmを用いてフラボノール含量を推定し、A520nmを用いてアントシアニン含量を推定した。用いた標準物質は、総フェノール類に対しては没食子酸、酒石酸エステルに対してはコーヒー酸、フラボノールに対してはケルセチン、アントシアニンに対しては塩化クロマニン(kuromanin chloride)であった。全ての標準物質は希酸性化メタノール中で調合した。全ての標準物質はSigma-Aldrich(Oakville, ON)から得た。
Porterら(1985, The conversion of procyanidins and prodelphinidins to cyanidin and delphinidin. Phytochem. 25:223-230)が教示したように、生のクランベリー搾汁かす及び乾燥抽出物中のプロアントシアニジン含量の定量のため酸ブタノールアッセイを使用した。粉末抽出物のサンプルを30mLの70%メタノールに溶かした。これに15mLの濃HCL及び10mLの水を加えた。各溶液を80mLについて還流させてから冷却し、70%メタノールで250mLに希釈した。50mLの溶液を回転式エバポレーター(Rotovapor-R, Buchi, Switzerland)で約3mLまでエバポレートし、内容物を分離漏斗に移し、フラスコを水ですすいで漏斗に付けた。ブタノールを分離漏斗に加えて内容物を振り動かして有機相を分けた。プロアントシアニジン画分を収集し、ブタノールで100mLに調整した。分光光度計(DU-65, Beckman Instruments Inc., Fullerton, CA)で545nmにて吸光度を測定し、プロアントシアニジン含量をシアニジンクロリド(cyaniding chloride)として表した。
クランベリー搾汁かすの含水量はブドウ搾汁かすより多かった(それぞれ64%対46%)。高含水量は、多くのクランベリー搾汁かす材料としてカラムに詰めるのを困難にし、結果としてブドウ搾汁かすに比べて実験毎に生成される抽出物の体積が少なかった。クランベリー搾汁かすサンプルをベンチスケールPLPWシステムを通じて実験することに問題はなかった。しかしながら、パイロットスケールPLPWシステムではクランベリー搾汁かすはブドウ搾汁かすよりも閉塞しやすかったので、流速を厳密にモニターしなければならなかった。
ベンチスケール抽出
流速はクランベリー搾汁かすの処理に有意な影響を与えた(表16)。乾物及びプロアントシアニジンの収率と濃度は両方とも5mL/分の流速に比べて高い10mL/分の流速で低かった。しかしながら、総フェノール類の収率と濃度は、5mL/分の流速でより低かった。システムの流速を変えることによって、カラム内の抽出物の滞留時間も影響を受けた。5mL/分の流速では、滞留時間は10mL/分の流速の2倍になった。滞留時間の増加は、抽出物がカラムを出て冷却される前にカラム中のPLPW内で反応が起こる時間を増やすことができる。プロアントシアニジンの場合、滞留時間の増加は、より大きい不溶性オリゴマー及びポリマー分子をより小さく溶けやすい形態に分解させるであろう。しかしながら、より長い滞留時間は、他の感熱性フェノール類を分解させるであろう。従って、プロアントシアニジン収率はより低い流速で増加し得るが、総フェノール類の収率は分解反応のため減少し得る。
ベンチスケールPLPWシステムでは処理温度の上昇と共に抽出される乾物が増えた(表11)。液体抽出物中の乾物濃度は85℃におけるより150℃で2倍以上であった(それぞれ2.00%対0.78%)。これは、有効乾物の150℃では15.38%の収率、85℃では5.88%の収率に相当した。
結果は、5mL/分から10mL/分に流速を高めると、乾物及びプロアントシアニジンの収率が10〜20%低減することを示した。抽出物のフェノール類濃度は120℃及び130℃で最高だったが(表16)、110℃超えの温度では望ましいアントシアニンは排除された(図16(A)、16(B))。100%超えの総フェノール類の収率は、PLPW中のクランベリー搾汁かすの反応プロセス(未処理搾汁かすから有効な多くのフェノール類をもたらす)が原因であった。乾燥抽出物中のプロアントシアニジンの最大濃度は、120℃の処理温度においてであった。120℃での乾燥抽出物中のプロアントシアニジンの濃度は2.88%であり、クランベリー搾汁かす中の有効プロアントシアニジンの31.55%の収率に相当した。全体的に、フェノール類及びプロアントシアニジンの濃度と収率の最良の組合せは120℃の処理温度で達成された。
表16.
パイロットスケール抽出
7バッチのクランベリー搾汁かすをパイロットスケールPLPWシステム(図8)で630Lの抽出物を生産するための最適条件を用いて処理した(表17)。全体的に、大システムにおける実験間の可変性は、実験3を除き低かった。実験3ではスリーブをバイパスする流れに伴う問題があったが、比較目的のため結果を示す。液体抽出物中の平均乾物濃度は1.26%であり、10.9%の有効乾物を生じさせ、ベンチスケールシステムと同様であった(それぞれ1.21%及び9.2%の濃度及び収率)。パイロットスケールPLPWシステムからの抽出物は、ベンチスケールPLPWシステムで回収されたものより良い品質であった。ベンチスケールPLPWシステムから得た520nmのクロマトグラムは、110℃超えの温度での乾燥抽出物からアントシアニンが大いに排除されたことを示す(図17(A)、17(B))。120℃でのパイロットスケールPLPWシステム実験は、85℃及び110℃でのベンチスケールPLPWシステムと同様のアントシアニン含量を有する乾燥抽出物を生産した。パイロットスケールPLPWシステムから得た乾燥抽出物中のプロアントシアニジンの濃度の平均は3.50%であり、クランベリー搾汁かす中の有効プロアントシアニジンの45.5%の収率に相当し、プロアントシアニジンのそれぞれ2.88%及び1.55%の濃度及び収率を有したベンチスケールPLPWシステムで回収されたより有意に良かった(表16)。総フェノール類の含量及び収率はこれら2つのシステムで同様であった。
表17.
クランベリー搾汁かすのパイロットスケールPLPW抽出は、抽出物中3.50%の濃度で45.5%の有効プロアントシアニジンをもたらした(表17)。バッチ熱水抽出は、乾燥抽出物中1.21%の濃度でたった19.5%の有効プロアントシアニジンをもたらした(表16)。PLPW技術は、バッチ熱水抽出法より乾燥抽出物中のほぼ3倍の濃度で133%多いプロアントシアニジンを得た。更に、パイロットスケールPLPWシステムは、等量の搾汁かすを処理するためにバッチ熱水抽出の半分未満の水を使用するであろう。抽出物からの水の除去には費用がかかり、このプロセスは乾燥抽出物の生産に伴う最大コストの1つを占める。PLPW抽出技術によるこの水消費の減少は、乾燥抽出物の生産を試みるときに産業界に大きなコスト削減となるであろう。
クランベリー搾汁かすからのプロアントシアニジンの抽出には、より低速及び長い滞留時間が有益であった。プロアントシアニジンの最大収率及び濃度は、コンコードブドウ搾汁かすで行なった以前の研究より高濃度の液体抽出液を用いて120℃で生じた。従って、パイロットスケールPLPWシステムは120℃の温度、4L/分の流速(ベンチシステムの5mL/分に等価)及び8.5mL/gのより大きい溶媒:固体比で操作した。
実施例4:麻ミール(hemp meal)のPLPW処理
粗引き麻ミールは大麻油の商業的生産者により供給された。サンプルを粉砕して大きい粒径の均一粉末にした。強制対流オーブン(Model 40AF, Quincy Lab Inc., Chicago, IL)内で75℃にて一晩乾燥させることによって麻ミールの含水量を決定した。麻ミールの残渣は、試験のために必要になるまで超低温冷凍庫に-20℃で貯蔵した。
2つの抽出実験をベンチスケールPLPWシステムで行なった(図9)。引き続き、2つの追加実験を異なるセットの条件下で行なった。どちらの場合もベンチスケールカラムに麻ミールを装填し、35℃で水を張った。
第1の定温実験では、カラムに水を張った後、流れを止めずに温度を10分間で70℃に上昇させた。前の実施例で述べたように抽出の残りが進行した(表18)。ベンチスケールPLPW抽出システムの流速は5mL/分で維持し、温度上昇画分を含めて30mL/gの総溶媒:固体比を用いた。
表18.
2温度実験を行なってより多くの物質を抽出し、(i)抽出物中のより多くのタンパク質を得るか又は(ii)残渣を精製してそのタンパク質含量を増やした(表19)。カラムに水を張った後、流れを止めずに温度を10分間で70℃に上昇させた。2つの画分を70℃で収集した後、温度を10分間で70℃から120℃に上昇させた。画分の残渣を120℃の一定抽出温度で収集した(表19)。ベンチスケールPLPW抽出システムの流速は5mL/分で維持し、温度上昇画分を含めて30mL/gの総溶媒:固体比を用いた。
表19.
粗引き麻ミールは約35%の出発タンパク質含量及び10%の脂質を有し、残余は炭水化物と無機物を含む乾物であった。
凍結乾燥抽出物のタンパク質分析は、独立した第三者の分析に出した。画分を以下のようにグループ化した。
実験1(一定70℃):
残渣(70/05/30 GCHM 2013/06/06残渣)
画分1(70/05/30 GCHM 2013/06/06 F1)
画分2及び3を合わせた(70/05/30 GCHM 2013/06/06 F2; 70/05/30 GCHM 2013/06/06 F3) 画分4、5、6及び7を合わせた(70/05/30 GCHM 2013/06/06 F4; 70/05/30 GCHM 2013/06/06 F5; 70/05/30 GCHM 2013/06/06 F6; 70/05/30 GCHM 2013/06/06 F7)
実験2(2段階70℃/120℃):
残渣(70-120/05/30 GCHM 2013/06/06残渣)
画分1(70-120/05/30 GCHM 2013/06/06 F1)
画分2及び3を合わせた(70-120/05/30 GCHM 2013/06/06 F2; 70-120/05/30 GCHM 2013/06/06 F3)
画分4、5、6及び7を合わせた(70-120/05/30 GCHM 2013/06/06 F4; 70-120/05/30 GCHM 2013/06/06 F5; 70-120/05/30 GCHM 2013/06/06 F6; 70-120/05/30 GCHM 2013/06/06 F7)
80℃以上の温度では、麻ミール中のタンパク質は卵白のように煮えて抽出カラム内に固体塊を形成し、その後にシステムを塞ぐことに留意した。実験を通して、(i)カラム張水後に流速を維持する場合及び(ii)抽出温度を80℃未満に維持する場合には、タンパク質は凝固することなく抽出可能であり、カラムは塞がれないであろうと判断した。
表20.
a 当初の乾燥出発材料中のタンパク質を35%と仮定
b 画分2及び3の平均
c 画分4、5、6、及び7の平均
抽出遂行は、画分2〜4では抽出物の乳白色の外観のため、タンパク質は可溶化されて、バイオマスから除去されたことを示した。PLPW抽出は、一定温度実験では液体抽出物に出発材料の20.1%をもたらし、2段階実験では液体抽出物に出発材料の25.5%をもたらした(表20)。
70℃の定温抽出では、画分2及び3で最大のタンパク質濃度と収率が生じた(表20)。2段階の70℃/120℃抽出では、抽出プロトコルが定温実験と同一だったので最初の3つの画分は分析しなかった。最後の4つの画分を分析して、水溶性タンパク質の大部分が抽出されたPLPW抽出の最後の部分にわたって温度を上げることの効果を判断した。2段階抽出の画分4〜7ではタンパク質収率は11.65%で高かったが、乾燥抽出物中の濃度は46.47%で低かった。
これらの結果は、麻ミールが、PLPWで抽出された相当量の水溶性タンパク質を含有し得ることを示唆している。一定の70℃での成功した実験は、乾燥抽出物中77.74%の最大濃度で36%のタンパク質をもたらした。その後、容易に可溶化した材料のほとんどが麻ミールから抽出された後に120℃に処理温度を上げることによって2段階実験を完了した。これは乾燥抽出物中のタンパク質のより良い収率をもたらしたが、残渣に当初のタンパク質の49%近くがまだ残っていた。残渣に大量のタンパク質が残っていたとしても、このタンパク質は抽出されたタンパク質とはおそらく大きく異なる。
実施例5:アピイン(アピゲニン-7-(2-O-アピオシルグルコシド)を抽出するためのパセリのPLPW処理
脱水パセリフレークは米国の商業的供給業者から供給された。材料を受け取ったらすぐに、強制対流オーブン(Model 40AF, Quincy Lab Inc., Chicago, IL)内で75℃にて一晩乾燥させることによってその含水量を決定した。パセリフレークの残りは、処理のために必要になるまで超低温冷凍庫に-20℃で貯蔵した。
脱水パセリフレークをベンチスケールPLPWシステム(図9)で処理した。両端にフリットを備えたステンレススチール抽出カラム(長さ22cm×内径2.2cm)に脱水パセリ(18.5g、乾燥重量、未粉砕)を詰めた。5mL/分の流速で水をベンチスケールPLPWシステム中に汲み上げて圧力を300psi(2070kPa)に上昇させることによって抽出プロセスを開始した。カラムを15分間温めた後、110℃、120℃、及び130℃でシステムを通して水を送り出した。パセリ抽出物の4つの画分(F1、F2、F3及びF4)を各温度で収集して凍結乾燥させた。フェノール化合物分析のためLuthria(2006)が教示した方法を用いて凍結乾燥サンプルをMeOH-H2O(2:1,v/v)で抽出した。
組成分析のため、パセリフレークを粉砕し、標準ふるい(425μm)に通して微細粒子を調製した。約0.250mgの粉砕サンプルを超音波処理器で30分間10mLのMeOH-H2O(2:1,v/v)で抽出した。抽出後、サンプルを15分間遠心分離機にかけ(10,000rpm)、上清を25mLのメスフラスコ中に収集した。残渣を追加の10mLのMeOH溶液で再懸濁させて再抽出した。上清を最初の抽出物と混ぜ合わせて総体積を25mLにした。一定分量の混合抽出物(1mL)を再び15分間9,000rpmで遠心分離機にかけていずれの残存粒子をも除去し、Luthriaらの教示(2006, A systematic approach for extraction of phenolic compounds using parsley (Petroselinum crispum) flakes as a model substrate. J. Sci. Food Agric. 86:1350-1358)に従うフォリン-チオカルトー(Folin-Ciocalteus)(FC)法及びHPLC法によるフェノール類含量分析のために使用した。パセリ抽出物のHPLC分析は、CHEMSTATION(登録商標)ソフトウェア、バイナリ高圧ポンプ、真空脱ガス装置、及びフォトダイオードアレイ検出器と一体となったAgilent HP 1100シリーズHPLC(Agilent Technologies, Waldbronn, Germany)を用いて行なった。全てのクロマトグラフィー分離はLuna RP C-18(100Å,150×3mm)カラムでPHENOMENEX(登録商標)ガードカラム(C-18,4×2mm)(PHENOMENEXはPhenomenex, Torrance, CA, USAの登録商標である)を用いて行なった。カラムオーブン温度は30℃であった。勾配系は5%のギ酸(A)とメタノール(B)から成り:均一濃度の30%MeOHで5分間、次に21分かけて100%MeOHに濃度を高め、100%のMeOHで5分間保持した。ダイオードアレイ検出器を用いてアピインを検出した(270nm)。
アピインの純粋標準物質(≧93.9%)はChromaDex(Santa Ana, CA, USA)から購入した。5ミリグラムの標準物質を10mLのメタノール-水に溶かし(2:1,原液);この原液をメタノール-水で希釈してさらなる希釈物を調製した。アピイン(270nm)の回帰方程式及び係数(R2)は、y=47515x-49.19(R2=0.9999、0.23〜0.02mg/mL)であった。
当初の脱水パセリの含水量は5.5%であった。粉砕パセリフレーク及びPLPW抽出物からのアピインの抽出ではMeOH-水(2:1)から成る溶媒を用いて成功した。純粋な外部標準を用いてパセリの抽出物中のアピインの存在を同定及び評価した。純粋アピイン標準物質の代表的クロマトグラムを図18(A)に示し、乾燥パセリからの抽出物のそれぞれのクロマトグラムを図18(B)に示す。パセリ抽出物で確認された主ピークはアピインであり、その保持時間(12.4分)及びUVスペクトルは市販の標準物質と相関関係があり、ピークの同一性及び純度を確証した。純粋アピイン標準物質について線形回帰線(x軸に濃度及びy軸にピーク面積)をプロットすることによってサンプル中のアピイン濃度を推定した。270nmでのアピインの回帰方程式は、y=47515x-149.19(R2=0.9999)であった。パセリの原材料抽出物中のアピイン含量及びTPはそれぞれ2.65%及び1.78%であった。
3つの異なる温度設定(110℃、120℃、及び130℃)及び一定の液体:固体比(30mL/g)、流速(5mL/分)、圧力(300psi(2070kPa))、及び抽出時間(111分)でPLPWによりパセリを抽出した。パセリについてPLPWによる抽出条件、乾物収率及びフェノール類組成を含めたデータを表21に要約する。PLPW抽出システムは、一定のポンプ圧力で閉塞又はカラムブリードすることなくパセリ抽出のために非常に良く機能した。PLPW抽出物の最初の画分の色は鮮やかな黄色であり、パセリに存在するβ-カロテン及びゼアキサンチンに起因する可能性が高かった。最初の7.5mL/gの溶媒:固体比でより多くの量の乾物が得られた。120℃の処理温度から11.6gの最高量の総乾物が回収された。パセリのPLPW抽出物から同定された主ピークはアピインであった。パセリ抽出物に純粋アピイン標準物質を添加し、UVスペクトル及び保持時間を公表された技術報告と比較することによって該化合物を同定した。120℃の温度設定の最初の画分(図19(B))は最高量のアピイン(7.7%)及びTP(3.3%)と共に9.96gの乾物含量をもたらした。これらの結果に基づき、処理温度はパセリからの乾物の抽出に影響する。110℃(図19(A))では、極性、サンプルマトリックスへの溶媒の拡散率、熱反応がアピインのより低い抽出率に影響を与え得るが、130℃(図19(C))では、より高い温度のためアピインの一部が分解した。
表21.
実施例6:イワベンケイ(ロディオラ・ロゼア(Rhodiola rosea)根のPLPW処理
乾燥イワベンケイ根はAdvanced Orthomolecular Research Inc.(Calgary, AB, CA)によって供給された。サンプルはばらついた粒度分布と大きな塊があってかなり粗かったが、抽出前に粉砕又は細断しなかった。強制対流オーブン(Model 40AF, Quincy Lab Inc., Chicago, IL)内で75℃にて一晩乾燥させることによってイワベンケイ根の含水量を測定した。イワベンケイバイオマスの含水量を3.4%であると決定した。イワベンケイの残りは、試験のために必要になるまで-20℃で貯蔵した。
ベンチスケールPLPWシステムでのイワベンケイ根の処理について3つの抽出温度(110℃、130℃、150℃)を試験した。30mL/gの溶媒:固体比を用い、抽出物の各体積を7.5mL/gの溶媒:固体比の4つの画分に分けた。流速を5mL/分で維持し、ウォームアップ時間を15分に設定して抽出物中の植物化学物質の分解と損失を防止した。抽出カラムに15gの材料を詰めた。
抽出物及び原材料の分析:
イワベンケイ乾燥抽出物のサンプルを70%メタノールに10mg/mLの濃度で完全に溶かした。遠心分離でサンプルを清澄にし、20μLの上清をLC/MS装置上に注入した。サンプルを二通り実験した。比較のため、40mLの70%メタノールに2g溶かすことによって1つの抽出物サンプルを評価し、70%メタノールで1:5に希釈した(10mgの根/mL)。DAD吸光度検出と一体となった勾配HPLC分離を用いて保持時間によりシグナルを同定し、サリドロシド、ロジオロシド(rhodioloside)、ロサリン、ロサビン、ロジン及びロシドリン(rosidrin)の分子量を得、ポジティブモードエレクトロスプレー質量分析で確認した。ChromaDex (Santa Ana, CA, USA)から得た純粋標準物質との比較によりサリドロシド、ロサリン、ロサビン及びロジンの量を推定した。
サリドロシド及びロサビンの分析のため、下記工程を含んでなる方法を開発した。当初の根材料中のサリドロシド及びロサビンの初期レベルを決定するため、イワベンケイ根の代表サンプルをコーヒー・グラインダーを用いて微細に粉砕してから、25分間25mLの80%メタノール水(20:80,メタノール:水)で超音波処理により抽出した。Maoらが教示した方法に従うサリドロシド及びロサビン含量分析のため抽出物を室温で15分間9000rpmで遠心分離機にかけ、10μLの上清をHPLC分析用に注入した(2007, Simultaneous determination of salidroside and tyrosol in extracts of Rhodiola L. by microwave assisted extraction and high-performance liquid chromatography. J. Pharm. Biomed. Anal. 45:510-515; Ganzera et al., 2001, Analysis of the Marker Compounds of Rhodiola rosea L.(Golden Root)by Reversed Phase High Performance Liquid Chromatography. Chem Pharm Bull. 49:465-467)。サリドロシド及びロサビンの標準物質は、Sigma-Aldrich(Sigma-Aldrich, St Louis, MO, USA)から購入した。2.5mgの各標準物質を10mLの80%メタノール水に溶かした(原液)。この原液を80%メタノール水で希釈することによってさらなる希釈物を調製した。サリドロシド(278nm)及びロサビン(250nm)の回帰方程式及び係数(R2)は、y=2693.1x-11.727(R2=0.9983、0.056〜0.023mg/mL)及びy=82174x-89.367(R2=0.9995、0.035〜0.0125mg/mL)であった。
上述したようにHPLC分析用に凍結乾燥PLPWイワベンケイ根抽出物サンプルを25mLの80%メタノール水で抽出した。化合物の分析は、CHEMSTATION(登録商標)(CHEMSTATIONはAgilent Technologies Inc. Santa Clara, CA, USAの登録商標である)、バイナリ高圧ポンプ、真空脱ガス装置、及びフォトダイオードアレイ検出器と一体となったAgilent HP 1100シリーズHPLC(Agilent Technologies, Waldbronn, Germany)を用いて行なった。全てのクロマトグラフィー分離はLuna RP C-18(100Å,150×3mm)カラムでPHENOMENEX(登録商標)ガードカラム(C-18,4×2mm)(PHENOMENEXはPhenomenex Inc., Torrance, CA, USAの登録商標である)を用いて行なった。カラムオーブン温度は30℃であった。勾配系は水(A)とメタノール(B)から成り:25分間均一濃度の20%のA、次に15分かけて90%のAに濃度を高め、90%のAで10分間保持した。ダイオードアレイ検出器を用いてサリドロシド(278nmで)及びロサビン(250nmで)を検出した。イワベンケイ抽出物に標準化合物を添加し、UVスペクトル及び保持時間を比較することによってピークを同定した。
抽出は110℃で液体抽出物中1.7%の濃度で出発材料の48%をもたらした(図20)。130℃では、液体抽出物中1.7%の濃度で収率は出発材料の52%であった(図20)。150℃では、液体抽出物中2.1%の濃度で収率は出発材料の60%であった(図20)。15mL/gの溶媒:固体比に相当する最初の2つの収集画分は最も豊富な乾物収量を含有した。
HPLC/DAD分析からの結果は、ロサビン(ロサリン、ロサビン、及びロジンの合計)及びサリドロシドの濃度は130℃の処理温度で最高であり、それぞれ抽出物の0.79%及び0.62%に相当することを示した(表22)。ロサリン、ロサビン、ロジン、及びサリドロシドのピークを図21(A)〜21(C)に特定してある。これらの化合物の含量は、乾燥PLPW抽出物(図22(A)〜22(C))では出発イワベンケイ根材料のメタノール抽出物中(図23(A)〜23(C))より低かった。PLPW抽出物の低いサリドロシド及びロサビン含量は、おそらく可溶化及び抽出される大量の材料のためである。サンプルは水に完全に溶けたが、70%メタノールに溶けない相当量の材料を含有した。この不溶画分はおそらく水-アルコール抽出では効率的に抽出されないが、PLPWシステムでは抽出される糖類であった。これらの糖類は、おそらくPLPW抽出物中のサリドロシド及びロサビンの濃度低下の原因である。
表22.
収率を計算できるようにMaoら(2007)が教示した方法に従って当初のイワベンケイ根バイオマス及び乾燥PLPW抽出物を分析した(表24)。ロサビンの結果は、独立した商業的研究所から得た結果に匹敵したが、サリドロシド含量は、商業的研究所が報告した含量の2倍であった。標準的追加試験で表23のデータを確証した。Maoら(2007)の方法はサリドロシドに特異的であり、商業的研究所が用いた方法より該化合物に敏感であった。PLPW抽出は、最初の2つの画分について130℃の抽出温度でサリドロシド及びロサビンの最高濃度と収率を達成した。サリドロシドの収率は最初の2つの画分でほぼ100%であり、乾燥抽出物中の濃度は1.5%であり、イワベンケイ根抽出物の仕様を超えた。ロサビンの収率は最初の2つの画分でほぼ85%であったが、乾燥抽出物中の濃度はたった0.65%であり、イワベンケイ根抽出物について特定された3%未満であった。従って、PLPWは、イワベンケイ中の有効サリドロシド及びロサビンの抽出に効率的であるが、非選択的抽出であり、乾燥抽出物中の濃度は低い。150℃の抽出温度では乾物の収率は増加するにもかかわらず、高温による化合物の分解のためサリドロシド及びロサビンの収率は低減した。
表23.

Claims (14)

  1. 加圧低極性水でバイオマス原料から成分を抽出及び回収するための装置であって、下記の要素:
    2つ以上の反応カラムであって、各反応カラムが別々に、(i)加熱水の供給源、(ii)加熱加圧水の供給源、(iii)加圧低極性水の供給源、及び(iv)冷却加圧水の供給源と連通しており、各カラムが、液体生成物流を放出するための出口を有する、反応カラム;
    前記各反応カラムを加圧するためのポンプ;
    前記各反応カラム及び前記ポンプと協働して、(v)前記各反応カラムを選択された圧力に加圧し、(vi)前記各反応カラム内で前記選択圧力を選択された時間維持し、且つ(vii)前記各加圧反応カラムの圧力を解放する、複数の弁;並びに
    前記各カラムが加圧されている期間中、前記各カラムから前記液体生成物流を受けるための収集容器、
    を含み、
    更に、前記各カラムが、減圧された後に、前記各反応カラムから放出される廃水流を受ける容器を含む
    ことを特徴とする装置。
  2. 中に廃水流を受けて精製するための1つ以上の水処理装置を更に含む、請求項1に記載の装置。
  3. 加熱及びpH調整の1つ以上によって前記精製水を処理するための装置を更に含む、請求項2に記載の装置。
  4. 前記精製水の一部を貯蔵するための貯蔵所を更に含む、請求項3に記載の装置。
  5. 前記廃水流の一部を貯蔵するための貯蔵所を更に含む、請求項1に記載の装置。
  6. 前記各カラムが加圧されている期間中、前記各カラムから前記液体生成物流を順次中に受け入れるための1つ以上の収集容器を更に含む、請求項1に記載の装置。
  7. 前記加熱水の供給源が、前記各反応カラムに熱水を張って、加圧低極性水を生成するための配管基盤であって、水源、少なくとも1つの熱交換器、少なくとも1つの加熱器及び背圧調整器と連通している配管基盤を含む、請求項1に記載の装置。
  8. 前記加熱水の供給源が、前記各反応カラムを選択された温度に加温するための配管基盤であって、水源、少なくとも1つの熱交換器、少なくとも1つの加熱器及び背圧調整器と連通している配管基盤を含む、請求項1に記載の装置。
  9. 前記加熱加圧水の供給源が、加圧低極性熱水を前記各反応カラム中に連続的に流すための配管基盤であって、水源、少なくとも1つの熱交換器、少なくとも1つの加熱器及び背圧調整器と連通している配管基盤を含み、前記第3配管基盤が、前記収集容器と更に連通している、請求項1に記載の装置。
  10. 前記冷却加圧水の供給源が、前記各反応カラムを選択された温度に冷却するための配管基盤であって、水源、少なくとも1つの熱交換器、少なくとも1つの加熱器及び背圧調整器と連通している配管基盤を含む、請求項1に記載の装置。
  11. 水を制御可能に順次、
    (i)前記各反応カラムに熱水を張って、加圧低極性水を生成するための第1配管基盤であって、水源、少なくとも1つの熱交換器、少なくとも1つの加熱器及び背圧調整器と連通している、第1配管基盤、
    (ii)前記各反応カラムを選択された温度に加温するための第2配管基盤であって、水源、少なくとも1つの熱交換器、少なくとも1つの加熱器及び背圧調整器と連通している、第2配管基盤、
    (iii)加圧低極性熱水を前記各反応カラム中に連続的に流すための第3配管基盤であって、水源、少なくとも1つの熱交換器、少なくとも1つの加熱器及び背圧調整器と連通しており、更に前記収集容器と連通している、第3配管基盤、並びに
    (iv)前記各反応カラムを選択された温度に冷却するための第4配管基盤であって、水源、少なくとも1つの熱交換器、少なくとも1つの加熱器及び背圧調整器と連通している、第4配管基盤
    に流すための自動制御システムであって、前記2つ以上の反応カラム、前記加熱水の供給源、前記加熱加圧水の供給源、前記冷却加圧水の供給源、前記各反応カラムを加圧するための前記ポンプ及び前記複数の弁と連通している自動制御システムを更に含む、請求項1に記載の装置。
  12. 前記自動制御システムが、プログラム可能である、請求項11に記載の装置。
  13. 前記自動制御システムを手動操作することができる、請求項11に記載の装置。
  14. 水を制御可能に順次、前記第1配管基盤、前記第2配管基盤、前記第3配管基盤及び前記第4配管基盤に流すための手動制御システムであって、前記2つ以上の反応カラム、前記加熱水の供給源、前記加熱加圧水の供給源、前記冷却加圧水の供給源、前記各反応カラムを加圧するための前記ポンプ及び前記複数の弁と連通している手動制御システムを更に含む、請求項11に記載の装置。
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