JP2018065687A - エスカレーターの転倒事故防止用手摺ベルト - Google Patents

エスカレーターの転倒事故防止用手摺ベルト Download PDF

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桂一 木下
Keiichi Kinoshita
桂一 木下
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Abstract

【課題】 従来のエスカレーター用手摺ベルトは、転倒事故等を防止するための施策が十分ではなく、照度環境が暗い設置場所や手摺利用促進のための施策が講じられておらず、安全性の確保に欠けるものであった。【解決手段】 この問題を解決するため、手摺ベルト5を備えたエスカレーター1において、その移動速度と方向を表示し、エスカレーター1に乗り込む際のタイミングを図る目印となる方向表示マーク6Aをその表面平坦部5Aに、また方向表示マーク6Bをその表面縁部5Bの範囲内に有する印刷シート6を前記手摺ベルト5の表面の長手方向に沿って備え、方向表示マーク6A等は蓄光成分を含むインクで印刷されるものとした。また、前記印刷シート6相当の印刷シート66の表面を形成するラミネート材層を抗菌成分を含む構成とした。【選択図】図4

Description

本発明は、移動する踏段が傾斜路あるいは水平路を形成して乗客輸送を行うエスカレーターの転倒事故防止用手摺ベルトの構成に関する。
従来においてエスカレーターの手摺ベルト表面に印刷シートを貼付けて広告表示を行う構成は、例えば特許文献1に開示されているように、既に提案されている。
この特許文献1記載のエスカレーターの手摺ベルトは、手摺ベルトの表面長手方向に広告のみを表示した印刷シートを貼付けるようにしたものである。
特開2003−212468号公報
上記特許文献1に記載のものは、それの出願時の特許請求範囲の請求項1に「移動手摺の表面長手方向に広告物の印刷シールを貼付けた」とあるように広告媒体の提供を主眼としたものであって、この印刷シールによって乗客に対して転倒防止等の安全作用をもたらすという思想はなかった。
一方、最近のエスカレーター利用においては、利用層の高齢化もあって、エスカレーターの乗り場で動く踏段に乗り移る際の体重移動のタイミングを失して転倒する事故が相次いでいる。この状況は、エスカレーター設置場所の照度環境が暗すぎ(特に地下鉄用途)る場合に多く、手摺ベルトの存在が認識できず利用姿勢が不安定になること、また、乗り移らんとして凝視する踏段の色が黒っぽく、踏段の動き(速度)が認識できないことに起因している。このようにエスカレーターの動き方向が認識できないと、逆乗り込みをしてしまう事象にもつながる。さらに、手摺ベルトの表面に単に文字や図柄を設けた上記特許文献1の構成は、上記の照度環境問題のほかに、手摺ベルトが動いていると文字や図柄があたかも一本の帯のように見えて方向表示の機能を発揮し得ないという問題があった。
本発明の目的は、低照度の設置場所でも手摺ベルトの移動方向が見立ち易く、照度環境に関係なく、手摺ベルトの利用を促す施策をもって最終的に転倒事故を防止する構成としたエスカレーターの手摺ベルトを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1は、往路から復路にかけて反転して移動し、乗客を輸送する踏段と、この踏段と同期して往路から復路にかけて反転して移動する手摺ベルトとを備えたエスカレーターにおいて、移動速度と方向を表示し、前記エスカレーターに乗り移る際のタイミングを図る目印となる方向表示マークを有する長尺の印刷シートを前記手摺ベルと表面に備え、前記方向表示マークは、前記印刷シートの地色と色を異にする蓄光成分を含むインクで印刷され、前記手摺ベルトの表面平坦部の幅とほぼ同じ幅であり、前記印刷シートは、前記方向表示マークを、該印刷シートの全長に複数個有するエスカレーターの転倒事故防止用手摺ベルトとしたのである。
上記目的を達成するために、本発明の請求項2は、往路から復路にかけて反転して移動し、乗客を輸送する踏段と、この踏段と同期して往路から復路にかけて反転して移動する手摺ベルトとを備えたエスカレーターにおいて、移動速度と方向を表示し、前記エスカレーターに乗り移る際のタイミングを図る目印となる方向表示マークを有する長尺の印刷シートを前記手摺ベルトの表面に備え、前記印刷シートは、前記手摺ベルトに接着される接着剤層、前記方向表示マークを印刷する印刷材層、大腸菌等の減菌を図るための抗菌成分を有するラミネート材層からなる複層体で構成されるエスカレーターの転倒事故防止用手摺ベルトとしたのである。
上記請求項1の構成によれば、手摺ベルトの表面平坦部に設けられた方向表示マークが蓄光成分を含むインクにより発光表現することにより、その移動速度と方向が視覚的に認知できて、結果として踏段への乗り込みタイミング取りが容易となり、かつ逆乗り込み防止に役立つことになる。
上記請求項2の構成によれば、利用者が該手摺ベルトの表面(実際には、印刷シート)が抗菌処理されていること知ると進んで手摺ベルトを掴むようになり、結果として踏段への乗り込みタイミング取りが容易となり、かつ逆乗り込み防止に役立つことになる。なお、鉄道事業者がまとめた公表文献では、手摺ベルトを掴まない(利用しない)人の39%が「手摺が汚れている・雑菌が付着していそう」の理由を述べており、このことからも「手摺ベルトは抗菌処理されている」となれば上記の手摺ベルトを掴む行為を促すものと言える。
このように、本発明の請求項1及び2に示す転倒事故防止要素を有する手摺ベルトとしたことにより安全性の高いエスカレーターを提供することができる。
本発明の一実施形態を示す全体側面図。 図1のX−X線に沿う部分断面図。 図2のY−Y線に沿う部分断面図。 本発明の請求項1を説明する印刷シートの単体斜視図。 本発明の請求項2を説明する図3相当の部分断面図。
以下、本発明の請求項1によるエスカレーターの手摺ベルトの一実施の形態を図1〜図4に、請求項2によるエスカレーターの手摺ベルトの一実施の形態を図5に示すエスカレーターに基づいて説明する。
本発明のエスカレーター1は、上階床2Aと下階床2Bに装架される主フレーム3と、無端状に連結されて往路から復路にかけて反転して移動する多数の踏段4と、この踏段4と同期して往路から復路にかけて反転して移動するものでその断面形状が表面平坦部5Aとこれに連なる表面縁部5Bとで略C字状の馬蹄形をなす幅W1の手摺ベルト5と、この手摺ベルト5の長手方向に沿い、その表面平坦部5A(幅W2)から表面縁部5Bにかけて接着固定(図示省略)される長尺の印刷シート6が設けられている。
前記手摺ベルト5は、駆動歯車7の動力をチェーン8を介して駆動ローラ9等に伝達された動力によって摩擦駆動されるもので複路を案内ローラ10、往路を欄干11に案内され反転部11A、11Bで折り返し反転して移動する構成となっている。このような構成のエスカレーター1が、通常は正面側が利用者動線に向けて設置される。また、エスカレーター1が建屋の壁沿いに設置される場合は、利用者がエスカレーター1の側面側から乗り込む設置レイアウトとなる。
そして本発明の請求項1の印刷シート6は手摺ベルト5の全長に貼付けられると共に、手摺ベルト5の表面平坦部5Aには、エスカレーター1の正面側においてその移動方向を表示する方向表示マーク6Aが、目立ち易いように表面平坦部5Aの幅W2いっぱいに印刷によって設けられている。また、手摺ベルト5の表面縁部5Bの範囲には、エスカレーター1の側面側においてその移動方向を表示する方向表示マーク6Bが設けられている。これら方向表示マーク6A、6Bは、印刷シート6への印刷工程において「蓄光成分」(一例としては「アルカリ土類アルミン酸塩」に「色顔料」を加えた蓄光材)を含むインクで印刷されるものである。そして、地下鉄などの照度環境が劣る(暗い)設置場所でも方向表示マーク6A、6Bを発光表示し、エスカレーター1の移動速度と方向を利用者に知らしめる能力を有する。なお、方向表示マーク6A、6Bの蓄光成分に対する光付与手段(光源)は、図示は省略せるもエスカレーター内部の機械部分に内蔵されている。こうして印刷された方向表示マーク6A等は手摺ベルト5の全長方向に適宜の間隔で複数個設けられるものであるが、望ましくは手摺ベルト5の反転部の半円周範囲である高さH(図1、図2)内に少なくても1個存在する間隔Pa、Pb(図4)をおいて複数個配置されており、いま乗り込まんとする利用者(乗客)がエスカレーター1を見ると正面側には方向表示マーク6Aが、側面側には方向表示マーク6Bが存在し、これら方向表示マーク6A等により移動速度の速度感と動き方向を確実に視覚に訴える作用を発揮するものである。また、方向表示マーク6A等は、着色表現するために当然ながら印刷シート6の地色とは色が異なり(例えば黄色や白色)、そのマークも図4等に例示した菱形に限らず大きめの矢印や円形などでも不都合はない。さらに、図4に示すように方向表示マーク6Aの間隔Pa内に「手摺をつかむこと」などの注意文言や広告を印刷した表示部6Cを設ける場合は、表示部6Cの幅を方向表示マーク6Aよりも幅狭にして方向表示マーク6等の効果を表示面積の面で減殺しない構成にするものである。
さらに、本発明の請求項2は図1の全体構成や方向表示マークを有する構成は請求項1と同様であるが、前記印刷シート6相当品を前記手摺ベルト5に接着される接着剤層6CC、前記方向表示マーク6A等を印刷する印刷材層6BB、抗菌成分を練り込んだラミネート材層6AAからなる複層体で構成される印刷シート66としたエスカレーターの転倒事故防止用手摺ベルトとしたのである。この場合、ラミネート材層6AAは印刷シート66の外表面を形成するもので、この材料には銀イオン剤等の「抗菌成分」が練り込まれており、その下の印刷材層6BB、さらにその下の接着剤層6CCの全体厚さtの三層体でなり、これが手摺ベルト5に対して矢印Kのように丸められて点線Mのように接着されるものである。なお、抗菌処理をしていることは製品カタログや、エスカレーター設置場所の看板あるいは印刷シート66の方向表示マークの近傍に直接刷り込んで訴求し、手摺ベルト使用の促進策とすることでエスカレーター1の安全性に寄与するものである。
以上説明したように、本発明の請求項1及び2による光表示機能、手摺利用促進策により手摺ベルト5の移動方向を正面側と側面側から見易く表示し、もってエスカレーターでの転倒事故や逆乗り等を防止することができる。
なお、上記の実施形態は、一般のエスカレーター構造を例に説明したが、隣接踏段同士に段差を有しない動く歩道と通称されるエスカレーターにもそのまま適用することができる。
1 エスカレーター
4 踏段
5 手摺ベルト
5A 表面平坦部
5B 表面縁部
6、66 印刷シート
6A 方向表示マーク
6B 方向表示マーク
6C 表示部
6AA ラミネート材層

Claims (2)

  1. 往路から復路にかけて反転して移動し、乗客を輸送する踏段と、この踏段と同期して往路から復路にかけて反転して移動する手摺ベルトとを備えたエスカレーターにおいて、移動方向を表示し、前記エスカレーターに乗り移る際のタイミングを図る目印となる方向表示マークを有する長尺の印刷シートを前記手摺ベルと表面に備え、前記方向表示マークは、前記印刷シートの地色と色を異にする蓄光成分を含むインクで印刷され、前記手摺ベルトの表面平坦部の幅とほぼ同じ幅であり、前記印刷シートは、前記方向表示マークを、該印刷シートの全長に複数個有することを特徴とするエスカレーターの転倒事故防止用手摺ベルト。
  2. 往路から復路にかけて反転して移動し、乗客を輸送する踏段と、この踏段と同期して往路から復路にかけて反転して移動する手摺ベルトとを備えたエスカレーターにおいて、移動方向を表示し、前記エスカレーターに乗り移る際のタイミングを図る目印となる方向表示マークを有する長尺の印刷シートを前記手摺ベルトの表面に備え、前記印刷シートは、前記手摺ベルトに接着される接着剤層、前記方向表示マークを印刷する印刷材層、抗菌成分を含むラミネート材層からなる複層体で構成されることを特徴とするエスカレーターの転倒事故防止用手摺ベルト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022201297A1 (ja) * 2021-03-23 2022-09-29 三菱電機株式会社 エスカレーター

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013006694A (ja) * 2011-06-23 2013-01-10 Ad Kk 視覚弱者向けのエスカレーター用手摺ベルト

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