JP2014065605A

JP2014065605A - 主として視覚弱者向けエスカレーターの手摺ベルト

Info

Publication number: JP2014065605A
Application number: JP2012226394A
Authority: JP
Inventors: Keiichi Kinoshita; 桂一木下; Yukio Kotani; 幸生小谷
Original assignee: AD KK
Current assignee: AD KK
Priority date: 2012-09-25
Filing date: 2012-09-25
Publication date: 2014-04-17

Abstract

【課題】従来のエスカレーターは、運転方向や速度感が把握できずに発生する視覚弱者の転倒や逆乗り込みによる転倒事故等が課題となっていた。また、機器故障時等に、その部位の特定に時間を浪費し、不稼働時間が長くなる問題があった。
【解決手段】これらの課題を解決するため、往路から復路にかけて反転して移動し、乗客を輸送する踏段群４と、この踏段群４と同期して往路から復路にかけて反転して移動する手摺ベルト６等を備えたものにおいて、前記手摺ベルト６の表面の平坦部６ａと両縁部６ｂを被う印刷シート６ＡＡをその全長方向に貼り付け、この印刷シート６ＡＡの表面平坦部６ａには、適宜の間隔を置いて前記手摺ベルト６と色を異にする方向表示マーク６Ａを備え、かつその表面の平坦部６ａあるいは両縁部６ｂには、適宜の間隔を置いて複数の数字、記号等の位置表示部６ｋを設けた。
【選択図】図３

Description

本発明は、移動する踏段群が水平路あるいは傾斜路を形成して乗客輸送を行うもので、主として視覚弱者向けに好適なエスカレーター用手摺ベルトの構成に関する。

２００７年公表の国土交通省「バリアフリー整備ガイドライン」のエスカレーターの項に「印を付けることなどにより、ベルトの進行方向を表示する」規定が追加され、本発明の名称である「視覚弱者向けエスカレーターの手摺ベルト」が様々に工夫されて幅広く普及する一方、その効果が視覚弱者は勿論、健常者の手摺ベルト利用率向上（安定的利用姿勢保持）および知的障害者に対する効用も認知されている。ここで、上記「印を付ける」具体的な方法としては、下記特許文献に記載の方法が公知となっている。

国際公開番号Ｗ０２００７／１３９１８６号公報

特許文献に開示された従来例は、手摺ベルトの表面に印刷シートを貼り、その印刷シートには、手摺ベルトの移動方向を表示する手摺ベルトの地色とは異色の方向マークを印刷し、この方向マーク付き印刷シ−トを手摺ベルトの表面に接着する構成を開示している。この方向マークが、上記の「手摺ベルトの進行方向を表示する印」となり、エスカレーターの存在とその速度感を視覚によって認知（乗り込み時の運転速度に対する体重移動バランスの安定化等）させるとともに、逆乗り込み（降り口側から乗り込む等）阻止効果によって、転倒事故を防止する目的を果たすようになっている。実際に、２０１２年３月に首都圏の駅構内エスカレーターで印刷シート付き手摺ベルトを施工して実利用状態を調査したところ、手摺ベルト利用率（手摺を掴む乗客の比率）は施工前が１０％以下であったのに対して施工後は２０％強と３倍近くに増加、また、視覚障害者や高齢者に接触して転倒の巻き添えにする危険性を孕む踏段群の歩行利用（踏段の駆け下りなど）率が、施工前が４０％強であったのに対して５％と１／８程度まで低下し、エスカレーターの安全利用に大きく寄与していることが分かった。しかしながら、このように利用者側が安全を享受できる半面、設置者側は印刷シートの制作・施工費の負担が大きいために普及拡大のネックとなり、設置者側のメリットにつながる真に有効なアイディアが待望されていた。ここで、設置者側で最も頭が痛いのは、機器故障あるいは人身事故等が発生してエスカレーターが停止した場合、▲１▼保守会社に連絡→▲２▼保守員到着→▲３▼故障や事故部位の調査・特定→▲４▼修理→▲５▼復帰までの間、運転停止（不稼働）となるサービス低下の問題である。

本発明は、上記問題を解消するためになされたものであり、主として視覚弱者向けとしては従来例と同様、方向マークの安全効果が発揮できることに加え、保守面では、日常の運転における機器故障等にも効果を発揮する構成としている。その一例として管理者から保守会社に対して、特に上記▲３▼の故障や事故発生部位の特定まで、上記の▲１▼、▲２▼に要した時間内には修理・復旧のために何の準備もできず、その無駄時間が問題視されており、例えば故障や事故発見者である管理者が、運転停止状態において手摺ベルト表面の位置表示部の「数字○○の所の踏段が人身事故で変形した」とか「記号△△部位のネジが緩んで飛び出している」などの現象を▲１▼時点で保守会社に通報できれば、保守員がエスカレーター全体から故障あるいは事故発生部位を探すことなく、到着即手摺ベルトの「数字○○部位」、「記号△△部位」を目星にそこの修理・復旧に着手できるという時間的メリットがある。このように迅速かつ正確に故障部位（位置）等を特定して伝達するための位置表示部を備えて、エスカレーター運転停止時間（不稼働時間）の短縮に寄与できる構成としたのである。

本発明は、往路から復路にかけて反転して移動し、乗客を輸送する踏段群と、この踏段群と同期して往路から復路にかけて反転して移動する手摺ベルトとを備えたエスカレーターにおいて、前記手摺ベルト表面の平坦部と両縁部被う印刷シートをその全長方向に貼り付け、この印刷シートには、その全長方向において適宜の間隔を置いて、前記手摺ベルトとは色を異にする方向表示マークと、少なくても前記手摺ベルトの往路の範囲においては互いに異なる複数の数字、記号、模様等からなる位置表示部を設けたことを特徴とする主として視覚弱者向けエスカレーターの手摺ベルトとしたのである。

上記の構成によれば、安全面では従来例と同様、手摺ベルトの表面に、該手摺ベルトの表面色とは異色で目立ち易い円形等の方向マークが表示され、該方向マークが踏段群と同期して動くことから、視力の弱い障害者でも運転方向と速度感がより認識し易くなるとともに、危険な逆方向からの乗り込みや静から動への体重移動の失敗による転倒事故の低減に寄与できる。また、本発明は従来例に加えて、この印刷シートの平坦部と両縁部の両方あるいはいずれか一方の表面には、その全長方向において適宜の間隔を置いて、少なくても前記手摺ベルトの往路の範囲においては互いに異なる複数の数字、記号、模様等からなる位置表示部を印刷によって設けたことにより、踏段その他の機器故障あるいは人身事故発生部位を管理者から保守員に迅速かつ確実に伝達でき、エスカレーター運転停止時間（不稼働時間）の短縮に寄与できる。

本発明の実施形態を示す全体側面図である。図１のＸ−Ｘ線に沿う断面図である。本発明の手摺ベルトの概念的単体斜視図である。図２のＹ−Ｙ線に沿う断面図である。

以下、本発明になる主として視覚弱者向けエスカレーター用手摺ベルトの構成について、その実施形態を図１〜図４を用いて説明する。

図において、輸送手段であるエスカレーター１は、上階床２Ａと下階床２Ｂに装架される主フレーム３と、無端状に連結されて往路から復路にかけて反転して移動する踏段群４と、この踏段群４の両側に直立して側壁を形成する欄干５と、この欄干５の周縁の両反転部５Ａと５Ｂ間を移動する手摺ベルト６を備えている。また、手摺ベルト６は駆動歯車７の動力をチェーン８を介して駆動ローラ９等に伝達された動力によって摩擦駆動され、その往路は欄干５で、その復路は案内ローラ１０等によって支持されている。

そして、本発明の対象となる手摺ベルト６は合成ゴムあるいはウレタン製であり、一般には表面の平坦部６ａと両縁部６ｂが連なる略Ｃ字形断面に熱成型されて無端状に製造される。ここで、この手摺ベルト６の表面には、図２、図３に示すように欄干５の高さＨに相当する反転部５Ａ（反対側の反転部５Ｂも同様）の半円周範囲内に少なくても１個（１個あるいは複数個を意味し、図２には１個と半個の配置を例示）存在する間隔Ｐをもって印刷された手摺ベルト６とは異色で円形等（形状は特定しない）の目立ち易い形状の方向マーク６Ａを表示した印刷シート６ＡＡを貼り付けにより設けてある。さらに詳細には、この方向マーク６Ａは、手摺ベルト６の表面を被い、その全長に貼り付けられる図３に示す印刷シート６ＡＡに対して、手摺ベルト６の全体幅Ｗ１の両縁部６ｂを除いた平坦部６ａ（幅Ｗ２）の幅いっぱいに印刷されている。なお、ここまでの構成は従来例とほぼ同様であるが、本発明の最大の特徴は、図３に示すように（図２には、小さすぎて表記できない）隣合う方向マーク６Ａの図形内に、一例として数字２および３で構成される位置表示部６ｋを印刷により表記したことである。この場合、位置表示部６ｋは少なくても手摺ベルト６が外から見える往路部分においては互いに異なる複数の数字（例示）、アルファベット（Ａ〜Ｚ）記号、○△□の模様等が適宜の間隔Ｐ（例えば１ｍ程度で方向マーク６Ａと同間隔）で設けられている。そして、運転していたエスカレーターを停止させた管理者が、復旧のために保守員に対して出動要請を行うと同時に「手摺ベルトに『２』と描いてある付近の踏段に子供の靴が挟まれたので点検してほしい」、「手摺ベルトに『Ａ』と描いてある付近の欄干からビスが飛び出している」、「手摺ベルトに『○』と描いてある付近のガラスが欠けている」などと連絡すれば、保守員は事前準備、点検部位の特定作業を効率よく行うことができ、保守時間の短縮に寄与できる。なお、間隔Ｐの設定は、乗り口階床にいる視覚弱者がエスカレーター１を遠望した時に該エスカレーター１の正面に少なくても１個出てくる方向マーク６Ａの存在、すなわちエスカレーター１の運転方向と運転速度を容易に視認できることを意図したもので、実機検証したところ具体的には１ｍ前後が適当である。また、視覚弱者が乗り口に達した時と乗り込んだ時は、欄干５の上面で目の高さに近い位置に方向マーク６Ａがあることによって視点が定まり、より近い位置で移動感覚も認識できて乗り込み（体重移動）のタイミングが取り易く、速度への追随意識も高まって転倒事故の低減に寄与できる。

さらに、手摺ベルト６と印刷シート６ＡＡの接合関係について詳述すれば、図４に示すように印刷シート６ＡＡは平らなシート状のものを矢印Ｋのように丸めるように手摺ベルト６の略Ｃ字形断面の表面全域あるいは平坦部６ａ全面と両縁部６ｂの一部を被う長尺シートとなっている。さらに、印刷シート６ＡＡは方向マーク６Ａと位置表示部６ｋが印刷されるシート６ＢＢと、これの裏面側に接着され、かつ手摺ベルト６にも接着される接着剤層６ＣＣを備えるほか、場合によっては印刷シート６ＡＡの表面を被うラミネート層６Ｂｂで構成することもある。これら積層品の板厚ｔはミクロンレベルの薄膜であり、貼り付ける直前に、接合性を改善するためプライマー剤を図４に破線Ｍで示したように塗布してから貼り付ける手順となっている。

ここで、方向マーク６Ａは、手摺ベルト６の表面色とは色差、明度差のある黄色、灰色、白色等任意の色が選定される。また、位置表示部６ｋは方向マーク６Ａの図形内に限定されるものではなく、図形外の平坦部６ａや両縁部６ｂのどこに設けてもよい。さらに、方向マーク６Ａの間隔Ｐ内には「手摺をつかめ」的な安全利用のための文言や広告等を印刷して設けることも可能であり、対象とする設備もエスカレーター１だけでなく、類似的機構の動く歩道にも適用できる。さらに、本発明は、発明の名称である視覚弱者、あるいは高齢者の利用に限定されるものではなく、健常者、知的障害者等制限なく利用することができる。

以上説明したように上記実施形態によれば、手摺ベルトに対して方向マークによる視認性向上のほか、手摺ベルトの位置表示部を利用しての保守作業の迅速化にも好適な、主として視覚弱者向けのエスカレーターを提供することができる。

１エスカレーター
４踏段群
５欄干
５Ａ、５Ｂ反転部
６手摺ベルト
６Ａ方向マーク
６ＡＡ印刷シート
６ｋ位置表示部

Claims

往路から復路にかけて反転して移動し、乗客を輸送する踏段群と、この踏段群と同期して往路から復路にかけて反転して移動する手摺ベルトとを備えたエスカレーターにおいて、前記手摺ベルト表面の平坦部と両縁部を被う印刷シートをその全長方向に貼り付け、この印刷シートには、その全長方向において適宜の間隔を置いて、前記手摺ベルトとは色を異にする方向表示マークと、複数の数字、記号、模様等からなる位置表示部を印刷により設けたことを特徴とする主として視覚弱者向けエスカレーターの手摺ベルト。