JP2018063472A - 火災感知器の製造検査装置、火災感知器の設置現場検査装置、および火災感知器のデータ伝送方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製品化後の火災感知器と伝送を行う際に、非同期通信を適用可能とする検査装置を得る。【解決手段】検査装置(20)は、火災感知器(10)の筐体内に組み込まれる前のプリント基板に対してテストピンを接触させることで、プリント基板上に実装された電気回路の調整を行う過程において、クロックパルス幅を計測し、クロックパルス幅から非同期通信に適する伝送速度を算出しておき、プリント基板が筐体内に組み込まれた状態の火災感知器に対してデータ通信を行う際に、非同期通信に適する伝送速度を用いて非同期通信を実行する。【選択図】図1
Description
本発明は、クロックパルスの精度が、水晶発振子と比較して高くない発振方式をもつマイコンを使用した火災感知器に対して非同期通信を適用することで、通信時間の短縮化を実現する火災感知器の製造検査装置、火災感知器の設置現場検査装置、および火災感知器のデータ伝送方法に関する。
工場で火災感知器を製造する際には、以下の一連の手順を経ることとなる。
(製造手順1)プリント基板に火災感知器個々の識別を可能とするための基板番号を捺印し、必要な電気部品をプリント基板上に装着する。
(製造手順2)電気部品が装着されたプリント基板を検査装置にセットし、通電して電気回路の調整を行う。
(製造手順1)プリント基板に火災感知器個々の識別を可能とするための基板番号を捺印し、必要な電気部品をプリント基板上に装着する。
(製造手順2)電気部品が装着されたプリント基板を検査装置にセットし、通電して電気回路の調整を行う。
(製造手順3)調整完了後のプリント基板を火災感知器の筐体に組み込む。
(製造手順4)プリント基板を筐体に組み込んだ後の完成品に対して、火災感度など必要な機能が満たされるか否かを調査する製品検査を行う。
(製造手順5)製品検査に合格したら、製品に製造番号を印刷した銘板を貼付け、検査結果・初期値などのデータを火災感知器内部の記憶素子に書き込んだ後、梱包し、出荷する。
(製造手順4)プリント基板を筐体に組み込んだ後の完成品に対して、火災感度など必要な機能が満たされるか否かを調査する製品検査を行う。
(製造手順5)製品検査に合格したら、製品に製造番号を印刷した銘板を貼付け、検査結果・初期値などのデータを火災感知器内部の記憶素子に書き込んだ後、梱包し、出荷する。
製造手順2の段階では、プリント基板に固有の基板番号が与えられて個々が識別され、全数のプリント基板について、電気回路が調整される。図4は、製造手順2の段階において、検査装置20を用いてプリント基板1上の電気回路の調整を行う検査のイメージ図である。
図4(a)は、検査装置20とプリント基板1との関係を示した模式図であり、図4(b)は、火災検出部11などの電気部品が実装されたプリント基板1の側面図である。製造手順2の段階では、プリント基板1が単体として露出しており、プリント基板1と検査装置20の間で接触ピンを用いて電線3本(2対)以上の経路が容易に確保できる。
具体的には、プリント基板1の電源兼信号線であるC(コモン)、L(ライン)の2端子に対して、検査装置20の端子TC、TLを接続することで電源を供給する。一方、プリント基板1上に設けられたテストパッドT1〜T3に対して、検査装置20側に設けられたテストピンP1〜P3を当てる。
この結果、電線3本(2対)以上の経路が容易に確保でき、電気回路の調整を行う際に、プリント基板1上に設けられたクロック発振回路から出力される同期パルスを用いた通信を行うことができる。
ここで、P型火災感知器に用いられるマイコンは、コスト面の関係で、安価な方が望ましい。このため、クロックパルスの発振には、抵抗やコンデンサのみで行っており、発振精度が水晶発振子を用いた場合と比較して高くなく、感知器毎でバラツキがある。そのため、製造手順2の段階では、検査装置20とプリント基板1の必要な伝送を正確に行うために、火災感知器側から感知器固有のクロックパルスを同期パルスとして出力させ、これに基づいた同期通信を行っている。
製造手順2においては、プリント基板1が単体で露出しており、伝送経路が3本(2対)以上確保できるため、上述したような同期通信を行うことが可能である。
一方、図5は、製造手順3により、調整完了後のプリント基板1を火災感知器の筐体2に組み込んだ状態を示した説明図である。図5(a)は、筐体2を構成する上下2つのカバーの間にプリント基板1を組み込む過程を示した模式図であり、図5(b)は、筐体2内にプリント基板1が組み込まれた火災感知器10の斜視図であり、図5(c)は、筐体2内にプリント基板1が組み込まれた火災感知器10の断面図である。
製造過程が進んで、図5に示すような製造手順3の段階になると、プリント基板1は、筐体2に組み込まれて製品状態になる。このような製品状態になった後は、電源兼信号線であるC−L端子は、外部に露出しているが、テストパッドT1〜T3は、筐体2内に収まった状態となり、外部から接触することができない。なお、図5に示すように、刃金具3と固定ネジ4を用いてプリント基板1を筐体2内に組み込むことで、刃金具3によってC−L端子が構成されている。
従って、製造手順3以降の工程において火災感知器10と検査装置20との伝送を行うためには、外部から接触できるC−L端子間の2本(1対)の電源兼信号線のみで行わなくてはいけない。すなわち、同期パルスが使用できないため、製造手順2で行うことのできた同期通信を適用することができなくなる。
2本の線を用いて通信を行う際には、非同期通信を採用することが考えられる。しかしながら、前述したように、低コスト化を図った火災感知器では、クロックパルスの精度が不足している。このため、非同期通信により検査装置20が火災感知器10からデータを取得する場合には、ビットずれが発生してしまうおそれがあり、非同期通信を採用することは困難であった。
この対策として、クロック精度が不十分の火災感知器と、火災受信機との間で、ビットずれを発生させない伝送方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方式による伝送を、以下の説明では、進P伝送と称することとする。検査装置20は、製品化後の火災感知器と伝送を行う際には、火災感知器と火災受信機との間のデータ伝送に用いられているこの進P伝送を採用することで、クロックパルスの精度が不足することに起因する問題を解消することができる。
上述した製造手順5において、それぞれの火災感知器10は、全検査に合格した段階で製造番号が与えられる。この製造番号、および製品の検査結果・初期値などのデータは、梱包前に火災感知器内のEPROMなどの記憶素子に入力することが求められている。そこで、これらのデータは、進P伝送を用いて記憶素子に書き込まれていた。
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
特許文献1に開示された進P伝送は、クロックパルスの精度が不足している場合であっても、ビットずれを発生させない確実な伝送を可能とする。しかしながら、この進P伝送は、0/1いずれの状態か、電圧のH/Lから得られるパルス波形より前後の波形を比較しながら判断する処理が必要になり、10msの時間で2個のビット(1秒あたり200ビット)の情報しか送ることができない。従って、進P伝送は、製造手順5の段階における各種情報の書き込みに時間がかかるといった問題があった。
特許文献1に開示された進P伝送は、クロックパルスの精度が不足している場合であっても、ビットずれを発生させない確実な伝送を可能とする。しかしながら、この進P伝送は、0/1いずれの状態か、電圧のH/Lから得られるパルス波形より前後の波形を比較しながら判断する処理が必要になり、10msの時間で2個のビット(1秒あたり200ビット)の情報しか送ることができない。従って、進P伝送は、製造手順5の段階における各種情報の書き込みに時間がかかるといった問題があった。
一方、一般的な非同期通信は、0/1いずれかは、定められたパルス幅毎に電圧のH/Lの判断処理のみでよいため、処理が少なく、1秒あたり1000ビット程度の伝送速度がある。従って、このような非同期通信を製造手順5の段階の伝送に用いることができれば、検査装置20と火災感知器10との間の伝送時間短縮に貢献できることとなる。
また、このような伝送時間短縮の効果が得られる非同期通信は、製造段階ばかりでなく、火災感知器を現場に設置した段階で、火災感知器の性能検証を行うためのデータを読み出す際の伝送においても有効活用できる。
しかしながら、前述のとおり、クロック精度が不十分の火災感知器は、ビットずれが発生するおそれがあるため、現状のままでは、単純に非同期通信を採用することができなかった。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、同期通信を適用することができない製品化後の火災感知器と伝送を行う際に、非同期通信を適用可能とする火災感知器の製造検査装置、火災感知器の設置現場検査装置、および火災感知器のデータ伝送方法を得ることを目的とする。
本発明に係る火災感知器の製造検査装置は、火災感知器の製造段階、出荷段階において火災感知器との間でデータ伝送を行う、火災感知器の製造検査装置であって、製造段階で、火災感知器の筐体内に組み込まれる前のプリント基板に対してテストピンを接触させることで、プリント基板上に実装された電気回路の調整を行う過程において、電気回路から発振されるクロックパルス幅を計測し、計測したクロックパルス幅から非同期通信に適する伝送速度を算出しておき、プリント基板が筐体内に組み込まれた状態の火災感知器に対して、出荷段階でデータ通信を行う際に、非同期通信に適する伝送速度を用いて非同期通信を実行することでデータ通信を行う通信制御部を備えるものである。
また、本発明に係る火災感知器の設置現場検査装置は、火災感知器を現場に設置する段階において、火災感知器との間でデータ伝送を行う火災感知器の設置現場検査装置であって、本発明に係る火災感知器の製造検査装置によって火災感知器内の記憶素子に書き込まれた非同期通信に適する伝送速度を従来の伝送方式により読み出し、非同期通信に適する伝送速度を用いて非同期通信を実行することでデータ通信を行う現場通信制御部を備えるものである。
また、本発明に係る火災感知器のデータ伝送方法は、火災感知器と検査装置との間でデータ伝送を行う際に適用される火災感知器のデータ伝送方法であって、火災感知器の筐体内に組み込まれる前のプリント基板に対して同期通信を適用し、プリント基板上に実装された電気回路から発振されるクロックパルス幅を計測する第1ステップと、第1ステップで計測されたクロックパルス幅から非同期通信に適する伝送速度を算出し、非同期通信に適する伝送速度を火災感知器内または検査装置内の記憶素子に記憶させておく第2ステップと、プリント基板が筐体内に組み込まれた状態の火災感知器と検査装置との間でデータ通信を行う際に、記憶素子に記憶された非同期通信に適する伝送速度を用いて非同期通信を実行することでデータ通信を行う第3ステップとを有するものである。
本発明によれば、製造過程において同期通信が可能な段階で測定した火災感知器固有のクロックパルス幅から非同期通信における最適な伝送速度を算出して記憶しておき、記憶しておいた最適な伝送速度を用いて、製品化後の火災感知器と検査装置との間で非同期通信による伝送を可能とする構成を備えている。この結果、同期通信を適用することができない製品化後の火災感知器と伝送を行う際に、非同期通信を適用可能とする火災感知器の製造検査装置、火災感知器の設置現場検査装置、および火災感知器のデータ伝送方法を得ることができる。
以下、本発明の火災感知器の製造検査装置、火災感知器の設置現場検査装置、および火災感知器のデータ伝送方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
本発明は、クロックパルスの精度が水晶発振子と比較して高くない発振方式をもつマイコンを使用した火災感知器に関して、筐体内に組み込まれる前のプリント基板に対して3線(2対)以上の経路を使用してクロックパルス幅の計測を行い、計測結果から非同期通信における最適な伝送速度を算出して記憶しておき、筐体組込み後の電源兼信号線2線(1対)の伝送に、記憶しておいた最適な伝送速度を用いて非同期通信を適用するようにしたことを技術的特徴とするものである。
本発明は、クロックパルスの精度が水晶発振子と比較して高くない発振方式をもつマイコンを使用した火災感知器に関して、筐体内に組み込まれる前のプリント基板に対して3線(2対)以上の経路を使用してクロックパルス幅の計測を行い、計測結果から非同期通信における最適な伝送速度を算出して記憶しておき、筐体組込み後の電源兼信号線2線(1対)の伝送に、記憶しておいた最適な伝送速度を用いて非同期通信を適用するようにしたことを技術的特徴とするものである。
実施の形態1.
まず始めに、本発明の着眼点について説明する。
クロックパルス精度不足(バラツキ)の要因は、製品個々の特性バラツキと、周囲温度が−10℃〜+50℃まで環境変化することを前提にした仕様と、によるものである。そのため、上述した製造手順2の段階で、筐体2内に組み込まれる前のプリント基板1で同期通信を行った状態から、製造手順3の段階までの期間において、同一個体で比較するのであれば、バラツキ自体は、無視できるほど小さい。
まず始めに、本発明の着眼点について説明する。
クロックパルス精度不足(バラツキ)の要因は、製品個々の特性バラツキと、周囲温度が−10℃〜+50℃まで環境変化することを前提にした仕様と、によるものである。そのため、上述した製造手順2の段階で、筐体2内に組み込まれる前のプリント基板1で同期通信を行った状態から、製造手順3の段階までの期間において、同一個体で比較するのであれば、バラツキ自体は、無視できるほど小さい。
さらに、設置現場において用いる検査装置(感知器のアドレス設定機、機能検査機などに相当)と火災感知器10との間で伝送を行う際には、筐体に組み込んだ製造段階から、実際にはクロックバラツキがない場合であっても、進P伝送による通信を採用していた。
この結果、製造段階および現場設置段階のそれぞれにおいて、通信速度が低速な進P伝送による通信を採用することで、非同期通信を採用する場合と比較して、各種情報の通信により多くの時間を要していたのが現実である。
そこで、以下のようなステップを実施することで、筐体組込み後の工場での出荷検査時、あるいは火災感知器を現場に設置する際の現場検査時に、非同期通信を行うことができ、作業の迅速化につながる。
(ステップS1)同期通信に基づく火災感知器固有の伝送性能の計測
製造手順2の段階で、筐体内に組み込まれる前のプリント基板に対して3線(2対)以上の経路を使用して電気回路の調整を行う際に、火災感知器固有の伝送性能であるクロックパルス幅の計測を併せて行う。
(ステップS1)同期通信に基づく火災感知器固有の伝送性能の計測
製造手順2の段階で、筐体内に組み込まれる前のプリント基板に対して3線(2対)以上の経路を使用して電気回路の調整を行う際に、火災感知器固有の伝送性能であるクロックパルス幅の計測を併せて行う。
(ステップS2)非同期通信用の伝送速度の算出
ステップS1の計測結果であるクロックパルス幅に基づいて、個々の製品で固有の非同期通信のための最適な伝送速度を算出し、検査装置あるいは感知器の記憶素子に書き込んでおく。
(ステップS3)非同期通信によるデータ伝送の実行
筐体組込み後の工場での出荷検査時、あるいは火災感知器を現場に設置する際の現場検査時に、ステップS2で予め算出した最適な伝送速度を用いて非同期通信を行う。
ステップS1の計測結果であるクロックパルス幅に基づいて、個々の製品で固有の非同期通信のための最適な伝送速度を算出し、検査装置あるいは感知器の記憶素子に書き込んでおく。
(ステップS3)非同期通信によるデータ伝送の実行
筐体組込み後の工場での出荷検査時、あるいは火災感知器を現場に設置する際の現場検査時に、ステップS2で予め算出した最適な伝送速度を用いて非同期通信を行う。
本発明は、このような着眼点に基づくものであり、以下に、上述した非同期通信を実現するための火災感知器の製造検査装置、火災感知器の設置現場検査装置、および火災感知器のデータ伝送方法について、図面を用いて詳細に説明する。
なお、火災感知器の製造段階、出荷段階において用いられる検査装置を「火災感知器の製造検査装置」と称し、設置現場において用いられる検査装置を「火災感知器の現場検査装置」と称しているが、共用の装置とすることも可能である。そこで、「火災感知器の製造検査装置」と「火災感知器の現場検査装置」を区別する必要がない場合には、以下の説明では、単に「検査装置」と称することとする。
図1は、本発明の実施の形態1における検査対象となる火災感知器10、および検査装置20の構成図である。本実施の形態1における火災感知器10は、火災検出部11、受信部12、送信部13、定電圧回路14、制御部15、記憶部であるEEPROM16、クロック発振部17、ダイオードブリッジ18、および端子L、端子Cを備えて構成されている。
火災検出部11〜ダイオードブリッジ18の各電気部品は、先の図4、図5に示したように、プリント基板1上に実装される。また、端子Lおよび端子Cは、先の図5(b)、図5(c)に示したように、プリント基板1が筐体2内に組み込まれた後に、外部に露出する2つの端子に相当する。
火災感知器10の端子L、端子Cは、電源兼信号線となる2端子であり、設置現場においては、最終的に、火災受信機(図示せず)に接続される。そして、火災監視を行う場合には、火災受信機から2つの端子間に電源が供給される。
この結果、火災検出部11は、煙濃度や周囲温度等の物理量を計測し、計測結果を制御部15に送信する。そして、制御部15は、火災検出部11から受信した計測結果に基づいて、火災が発生したか否かを判定する。
また、火災受信機は、火災感知器10から火災判定結果を取得したい場合には、2つの端子間に特定のパルス列を送信する。これに対して、制御部15は、受信部12を介して読み取ったパルス列を解読することで、火災判定結果の送信要求を受信したと判断し、送信部13を介して火災判定結果を火災受信機に対して返送する。
また、火災感知器10は、筐体組込み後の工場での出荷検査時、あるいは火災感知器を現場に設置する際の現場検査時においては、検査装置20を2つの端子間に接続することで、検査装置20との間でデータ伝送が可能となる。
図1に示したように、検査装置20は、上述したステップS2で算出される非同期通信のための最適な伝送速度を記憶しておくことのできる記憶部22、および非同期通信によるデータ伝送を実行するための通信制御部21を有して構成されている。なお、非同期通信のための最適な伝送速度は、火災感知器10内のEEPROM16に記憶させておく構成とすることも可能である。
特に、出荷段階において用いられる「火災感知器の製造検査装置」と、設置現場において用いられる「火災感知器の現場検査装置」とが、別個の装置である場合には、製造検査装置によって火災感知器10内のEEPROM16に非同期通信のための最適な伝送速度を記憶させておく。
この結果、現場検査装置内の通信制御部21に相当する現場通信制御部は、EEPROM16に記憶された非同期通信のための最適な伝送速度を、進P伝送を用いて読み出すことで、設置現場において、火災感知器10とのデータ伝送を非同期通信により実行することが可能となる。
次に、上述したステップS1〜ステップS3を具現化する手法について、詳細に説明する。なお、ステップS1、ステップS2は、「火災感知器の製造検査装置」により実行される機能であり、ステップS3は、「火災感知器の製造検査装置」と「火災感知器の現場検査装置」の両方で実行される機能である。
<ステップS1:同期通信に基づく火災感知器固有の伝送性能の計測>
図2は、本発明の実施の形態1において、同期通信を用いて火災感知器10と検査装置20との間で信号の送受信を行う際の説明図であり、信号線電圧と同期パルスとの対応関係をそれぞれの波形として示したものである。
図2は、本発明の実施の形態1において、同期通信を用いて火災感知器10と検査装置20との間で信号の送受信を行う際の説明図であり、信号線電圧と同期パルスとの対応関係をそれぞれの波形として示したものである。
例えば、先の図4で示したテストパッドT1をGND、テストパッドT2を同期パルス、テストパッドT3を信号線電圧とした場合には、検査装置20は、T1−T3間の電圧を測定することで信号線電圧の波形を取得でき、T1−T2間の電圧を測定することで同期パルスの波形を取得できる。同期信号線(T1−T2間)には内部のクロック発振部17に基づくクロックパルスをそのまま印加する。
同期通信を用いたクロックパルス幅の取得は、製造手順2における作業の際に、以下の手順で行われる。
(同期通信手順1)火災感知器10側は、電気部品調整の一環として得られたデータに応じて、データの1ビット目の0,1に応じた信号線電圧(T1−T3間)の電圧H、Lを設定する。
(同期通信手順2)火災感知器10側は、電圧H、Lの設定が完了した後、内部のクロック発振部17によるクロックパルスがL→Hに変化する立ち上がりのタイミングでは次のビットのデータに合わせて信号線の電圧を変化させ、クロックパルスがH→Lに変化する立ち下がりのタイミングでは信号線の電圧を維持する。
(同期通信手順1)火災感知器10側は、電気部品調整の一環として得られたデータに応じて、データの1ビット目の0,1に応じた信号線電圧(T1−T3間)の電圧H、Lを設定する。
(同期通信手順2)火災感知器10側は、電圧H、Lの設定が完了した後、内部のクロック発振部17によるクロックパルスがL→Hに変化する立ち上がりのタイミングでは次のビットのデータに合わせて信号線の電圧を変化させ、クロックパルスがH→Lに変化する立ち下がりのタイミングでは信号線の電圧を維持する。
(同期通信手順3)検査装置20側は、同期信号線がH→Lに変化する立ち下がりのタイミングを検出し、そのタイミング毎に信号線H/Lの状態から、データ1/0を1ビットずつ決定する。検査装置20は、このような通常の製造手順2の作業で得られた同期パルスの波形から、火災感知器10に固有の伝送性能であるクロックパルス幅を特定することができる。
<ステップS2:非同期通信用の伝送速度の算出>
検査装置20は、ステップS1で特定されたクロックパルス幅に基づいて、個々の製品で固有の非同期通信のための最適な伝送速度を算出し、非同期通信に用いるデータ伝送のビット幅tを決定する。そして、決定したビット幅tを、火災感知器10内または検査装置20内の記憶素子に書き込んでおく。このビット幅tは、その火災感知器が1つのビットを読み込むことができる最適の幅であり、ビット幅tを用いて非同期通信を行うことにより、進P伝送より高速な通信が可能となる。
検査装置20は、ステップS1で特定されたクロックパルス幅に基づいて、個々の製品で固有の非同期通信のための最適な伝送速度を算出し、非同期通信に用いるデータ伝送のビット幅tを決定する。そして、決定したビット幅tを、火災感知器10内または検査装置20内の記憶素子に書き込んでおく。このビット幅tは、その火災感知器が1つのビットを読み込むことができる最適の幅であり、ビット幅tを用いて非同期通信を行うことにより、進P伝送より高速な通信が可能となる。
図3は、本発明の実施の形態1において、非同期通信を用いて火災感知器10と検査装置20との間で信号の送受信を行う際の説明図であり、L−C端子間の信号線電圧の時間遷移を示したものである。非同期通信を用いたデータ伝送は、火災感知器10から検査装置20にデータを送る場合を例にすると、以下の手順で行われる。
(非同期通信手順1)火災感知器10側から検査装置20側にデータを送り始めるときには、ビット幅tで電圧がLレベルのスタートビットを送る。
(非同期通信手順2)次に、火災感知器10は、スタートビットに続けて、ビット7〜ビット0の情報としての1/0に相当するデータを、該当する位置の電圧をH/Lに置き換えることで送る。
(非同期通信手順2)次に、火災感知器10は、スタートビットに続けて、ビット7〜ビット0の情報としての1/0に相当するデータを、該当する位置の電圧をH/Lに置き換えることで送る。
(非同期通信手順3)さらに、火災感知器10は、ビット0を送り終えた後に、電圧がHレベルのストップビットを送る。
(非同期通信手順4)これに対して、検査装置20側は、スタートビットを検出したら、ビット幅t毎に信号線のH/Lを確認することで0/1の情報を取得し、ストップビットを検出することでデータの読み取りを完了する。
(非同期通信手順4)これに対して、検査装置20側は、スタートビットを検出したら、ビット幅t毎に信号線のH/Lを確認することで0/1の情報を取得し、ストップビットを検出することでデータの読み取りを完了する。
図3に示したビット幅tが、非同期通信のための最適な伝送速度に相当する。そこで、検査装置20は、一例として、測定したクロックパルス幅に対してあらかじめ設定された係数を乗算することで、最適な伝送速度としてのビット幅tを算出することができる。そして、算出したビット幅tは、EEPROM16に記憶させておくことができる。また、算出したビット幅tは、必要に応じて、検査装置20内の記憶部22に、プリント基板固有の基板番号と関連付けて記憶させておくことも可能である。
<ステップS3:非同期通信によるデータ伝送の実行>
筐体組込み後の工場での出荷検査時、あるいは火災感知器を現場に設置する際の現場検査時に、火災感知器10内または検査装置20内の記憶素子に記憶されている最適な伝送速度を用いて非同期通信を行う。
<ステップS3:非同期通信によるデータ伝送の実行>
筐体組込み後の工場での出荷検査時、あるいは火災感知器を現場に設置する際の現場検査時に、火災感知器10内または検査装置20内の記憶素子に記憶されている最適な伝送速度を用いて非同期通信を行う。
具体的には、工場での出荷検査時においては、火災感知器10は、EEPROM16に記憶されたビット幅tを用いて、スタートビットに続く8ビット分のデータとストップビットを送ることができ、検査装置20は、L−C端子間信号電圧がH→Lとなる立ち下がりの瞬間からビット幅t毎にL−C端子間信号電圧のH/Lからデータ0、1を受け、ストップビットのH電圧を受けたことをもって正常に非同期通信が完了したことを認識できる。また、「火災感知器の製造検査装置」に相当する検査装置20は、記憶部22に記憶された、基板番号と対応付けられたビット幅tを用いて非同期通信を行うことができる。
また、現場検査時においては、「火災感知器の現場検査装置」に相当する検査装置20は、初めに進P伝送で伝送速度情報であるビット幅tをEEPROM16から読み出すことを試みる。
検査装置20は、伝送速度情報が読み出せた場合には、以降の伝送は、非同期通信を採用することで高速に伝送できる。なお、検査装置20は、EEPROM16内にデータがないなどの理由で伝送速度情報が読み出せなかった場合、あるいは非同期通信が失敗した場合(例えば、ストップビットが来るはずのタイミングで電圧がLレベルとなったことを検出した場合)などには、非同期通信の採用をあきらめ、進P伝送を実施する。
以上のように、実施の形態1によれば、同期通信が可能な製造過程の段階で測定した火災感知器固有のクロックパルス幅から非同期通信における最適な伝送速度を算出して記憶しておき、記憶しておいた最適な伝送速度を用いて、製品化後の火災感知器と検査装置との間で非同期通信による伝送を可能とする構成を備えている。この結果、プリント基板を筐体に組込んだ後の火災感知器の工場での出荷検査時、あるいは火災感知器を現場に設置する際の現場検査時において、作業の迅速化を図ることが可能となる。
1 プリント基板、2 筐体、3 刃金具、4 固定ネジ、10 火災感知器、11 火災検出部、12 受信部、13 送信部、14 定電圧回路、15 制御部、16 EEPROM(記憶素子)、17 クロック発振部、18 ダイオードブリッジ、20 検査装置、21 通信制御部、22 記憶部(記憶素子)。
Claims (5)
- 火災感知器の製造段階、出荷段階において前記火災感知器との間でデータ伝送を行う、火災感知器の製造検査装置であって、
前記製造段階で、前記火災感知器の筐体内に組み込まれる前のプリント基板に対してテストピンを接触させることで、前記プリント基板上に実装された電気回路の調整を行う過程において、前記電気回路から発振されるクロックパルス幅を計測し、計測した前記クロックパルス幅から非同期通信に適する伝送速度を算出しておき、前記プリント基板が前記筐体内に組み込まれた状態の火災感知器に対して、前記出荷段階でデータ通信を行う際に、前記非同期通信に適する伝送速度を用いて非同期通信を実行することで前記データ通信を行う通信制御部
を備える火災感知器の製造検査装置。 - 前記通信制御部は、前記製造段階で算出した前記非同期通信に適する伝送速度を、前記火災感知器内の記憶素子に書き込む機能を有する
請求項1に記載の火災感知器の製造検査装置。 - 火災感知器を現場に設置する段階において、前記火災感知器との間でデータ伝送を行う火災感知器の設置現場検査装置であって、
請求項2に記載の火災感知器の製造検査装置によって前記火災感知器内の前記記憶素子に書き込まれた前記非同期通信に適する伝送速度を読み出し、前記非同期通信に適する伝送速度を用いて非同期通信を実行することで前記データ通信を行う現場通信制御部
を備える火災感知器の設置現場検査装置。 - 前記現場通信制御部は、前記非同期通信に適する伝送速度を前記記憶素子から正常に読み出せなかった場合、あるいは正常に読み出せた後に前記非同期通信が正常に実行できずに失敗してしまう場合には、前記非同期通信の代わりの伝送方式を採用して前記データ通信を行う
請求項3に記載の火災感知器の設置現場検査装置。 - 火災感知器と検査装置との間でデータ伝送を行う際に適用される火災感知器のデータ伝送方法であって、
前記火災感知器の筐体内に組み込まれる前のプリント基板に対して同期通信を適用し、前記プリント基板上に実装された電気回路から発振されるクロックパルス幅を計測する第1ステップと、
前記第1ステップで計測された前記クロックパルス幅から非同期通信に適する伝送速度を算出し、前記非同期通信に適する伝送速度を前記火災感知器内または前記検査装置内の記憶素子に記憶させておく第2ステップと、
前記プリント基板が前記筐体内に組み込まれた状態の前記火災感知器と前記検査装置との間でデータ通信を行う際に、前記記憶素子に記憶された前記非同期通信に適する伝送速度を用いて非同期通信を実行することで前記データ通信を行う第3ステップと
を有する火災感知器のデータ伝送方法。
Priority Applications (1)
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JP2016199934A JP2018063472A (ja) | 2016-10-11 | 2016-10-11 | 火災感知器の製造検査装置、火災感知器の設置現場検査装置、および火災感知器のデータ伝送方法 |
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CN113750431A (zh) * | 2021-09-17 | 2021-12-07 | 福建省福能新能源有限责任公司 | 风电机组自动消防用检测装置 |
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2016
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