JP2018062989A - 電動ブレーキアクチュエータ - Google Patents

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Yuji Nagai
悠宰 長井
毅 山崎
Takeshi Yamazaki
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Abstract

【課題】 実用性の高い電動ブレーキアクチュエータを提供する。
【解決手段】 電動モータ44によって入力軸48を回転させることで、その回転が動作変換機構50によってピストン42を進退させる構造の電動ブレーキアクチュエータ10において、(a) 弾性体106による回転付勢力を、ピストンが後退する方向に入力軸に付与する付勢機構100と、(b) 制動力が発生しない程度にピストンが後退させられた状態において、そのピストンの位置を、移動範囲における後退端位置として設定し、かつ、その後退端位置において、上記回転付勢力がそのピストンを後退させるために必要な力よりも大きな力で残存するように設定する設定機構110を設ける。必要以上にピストンを後退させないように後退端位置を設定でき、かつ、その後退端位置に至るまでピストンを後退させるための弾性力を充分に大きく設定することが可能である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、車輪に対する制動力を発生させるべく、電動モータの力によってブレーキパッドを車輪とともに回転する回転体に押し付けるための電動ブレーキアクチュエータに関する。
車両用の電動ブレーキに関して、下記特許文献に記載の技術が存在する。その文献に記載された電動ブレーキアクチュエータでは、電動モータの力でピストンを前進させて、そのピストンによってブレーキパッドが回転体であるディスクロータに押し付けるようにされており、その結果として、車輪を制動するための制動力、つまり、車両を制動させるための制動力が発生させられる。そして、その電動ブレーキアクチュエータでは、電動モータの逆回転駆動が不可能になった場合にピストンを初期位置に復帰させるために、弾性体である渦巻きばねを採用しており、その渦巻きばねの弾性力によって、ピストンを後退させるようにしている。
特開2013−24389号公報
しかしながら、上記特許文献に記載されている電動ブレーキアクチュエータでは、電動モータのコギングトルク,動作変換機構の摩擦等の影響によって、渦巻きばねの弾性力では、ブレーキパッドとの係合が解除可能とされる程度までにはピストンを後退させきれない事態も予想される。その場合、所謂ひきずり現象が発生する可能性がある。また、上記程度の後退を担保するために渦巻きばねの弾性力を大きくしたとしても、渦巻きばねの弾性変形が解除されるまでピストンを後退させようとすれば、必要以上にピストンを後退させてしまうことになりかねない。その場合、ピストンを前進させて制動力を発生させる際に、比較的長い距離を前進させなければならず、制動力を発生させるための電動ブレーキアクチュエータの作動にロスが生じ、また、制動力の応答性が低いものになってしまう。つまり、上記特許文献に記載されているような電動ブレーキアクチュエータには、改良の余地が残されており、改良によって、より実用的な電動ブレーキアクチュエータを実現させることが可能となるのである。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い電動ブレーキアクチュエータを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の電動ブレーキアクチュエータは、
制動力を発生させるべくブレーキパッドを車輪とともに回転する回転体に押し付けるための電動ブレーキアクチュエータであって、
駆動源となる電動モータと、
その電動モータによって回転させられる入力軸と、
前進後退させられ、前端部において前記ブレーキパッドと係合するピストンと、
前記入力軸の回転を前記ピストンの前進後退に変換する動作変換機構と、
前記ピストンが後退する方向の回転付勢力を、弾性体によって、前記入力軸に、前記ピストンが前進させられるにつれて前記回転付勢力が大きくなるように付与する付勢機構と、
制動力が発生しない程度に前記ピストンが後退させられた状態において、そのピストンの位置を、移動範囲における後退端位置として設定し、かつ、その後退端位置において、前記回転付勢力がそのピストンを後退させるために必要な力よりも大きな力で残存するように設定する設定機構と
を備えるように構成される。
本発明の電動ブレーキアクチュエータは、上記設定機構によって、必要以上にピストンを後退させないように上記後退端位置を設定でき、かつ、その後退端位置に至るまでピストンを後退させるための弾性力を充分に大きく設定することが可能である。
実施例の電動ブレーキアクチュエータが配設されてなるキャリパを示す図である。 実施例の電動ブレーキアクチュエータを示す断面図である。 実施例の電動ブレーキアクチュエータが有する付勢機構,設定機構を説明するための補足図である。 電動ブレーキアクチュエータにおけるピストンの前進量と、付勢機構によって入力軸に付与される回転付勢力との関係を示すグラフである。 実施例の電動ブレーキアクチュエータが有する設定機構を利用した設定作業を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明を実施するための一形態として、実施例の電動ブレーキアクチュエータを、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
[A]ブレーキキャリパ
図1に示すように、実施例の電動ブレーキアクチュエータ10(以下、単に「アクチュエータ10」と略す場合がある)は、ブレーキキャリパ20(以下、単に「キャリパ20」と略す場合がある)の構成要素として配設される。キャリパ20は、車輪とともに回転する回転体としてのディスクロータ22を跨ぐようにして、車輪を回転可能に保持するキャリア(図示を省略する)に設けられたマウント(図示を省略する)に、軸線方向(図の左右方向)に移動可能に保持されている。1対のブレーキパッド(以下、単に「パッド」と略す場合がある)24a,24bは、軸線方向の移動が許容された状態で、ディスクロータ22を挟むようにしてマウントに保持されている。パッド24a,24bの各々は、ディスクロータ22に接触する側に位置する摩擦部材26と、その摩擦部材26を支持するバックアッププレート28とを含んで構成されている。
便宜的に、図における左方を前方と、右方を後方として説明すれば、前方側のパッド24aは、キャリパ本体30の前端部である爪部32に支持されるようにされている。アクチュエータ10は、キャリパ本体30の後方側の部分に、当該アクチュエータ10のハウジング40が固定されるようにして保持されている。アクチュエータ10は、ハウジング40に対して進退するピストン42を有し、そのピストン42は、前進することによって、前端部、詳しくは、前端が後方側のパッド24b、詳しくは、パッド24bのバックアッププレート28と係合する。そして、ピストン42が、係合した状態でさらに前進することで、1対のパッド24a,24bは、ディスクロータ22を挟み付ける。言い換えれば、各パッド24a,24bがディスクロータ22に押し付けられる。この押付けによって、ディスクロータ22と摩擦部材26との間の摩擦力に依存する車輪の回転に対する制動力、つまり、車両を減速,停止させるための制動力が発生させられるのである。
なお、実施例の電動ブレーキアクチュエータは、ブレーキパッドの一方がピストンの前端部に固定され、言い換えれば固定的に係合し、他方がキャリパ本体の爪部に固定されるようなキャリパの構成要素として採用することも可能である。
[B]電動ブレーキアクチュエータの基本構造
アクチュエータ10は、図2に示すように、上述のハウジング40,上述のピストン42の他、駆動源としての電動モータ44,電動モータ44の回転を減速させるための減速機構46,その減速機構46を介して減速された電動モータ44の回転によって回転させられる入力軸48,その入力軸48の回転動作をピストン42の前進後退動作に変換する動作変換機構50等を含んで構成されている。なお、以下の説明において、便宜的に、図の左方を前方,右方を後方と呼ぶこととする。
ピストン42は、ピストンヘッド52と、当該ピストン42の中空の筒部である出力筒54とを含んで構成されており、一方で、電動モータ44は、円筒状の回転駆動軸56を有している。そして、回転駆動軸56の内部に出力筒54が、出力筒54の内部に入力軸48が、互いに同軸的となるように、詳しくは、回転駆動軸56,出力筒54,入力軸48が、それらの軸線が互いに共通の軸線である軸線Lとなるように、配設されている。その結果、本アクチュエータ10は、コンパクトなものとされている。
回転駆動軸56は、ハウジング40に、ラジアル軸受け58を介して回転可能に、かつ、軸線方向(軸線Lの延びる方向であり、図における左右方向である)に移動不能に保持されている。電動モータ44は、回転駆動軸56の外周において一円周上に配置された磁石60と、それら磁石60を取り囲むようにしてハウジング40の内周に固定されたコイル62とを含んで構成されている。
減速機構46は、回転駆動軸56の後端に固定的に付設された中空のサンギヤ64と、ハウジング40に固定されたリングギヤ66と、それらサンギヤ64とリングギヤ66との両方に噛合してサンギヤ64の周りを公転する複数のプラネタリギヤ68(図では、1つしか示されていない)とを含んで構成される遊星ギヤ式減速機構である。複数のプラネタリギヤ68の各々は、キャリアとしてのフランジ70に、自転可能に保持されている。入力軸48は、前方側の部分を構成する前方軸72と、後方側の部分を構成する後方軸74とが、螺合してなるものであり、フランジ70は、それら前方軸72と後方軸74との間に挟まれて固定されることで、前方軸72および後方軸74と一体的に、つまり、入力軸48と一体的に回転する。このように構成された減速機構46を介して、回転駆動軸56の回転、つまり、電動モータ44の回転は、入力軸48の回転として、減速されて伝達される。ちなみに、入力軸48は、フランジ70,スラスト軸受け76,支持板78を介して、ハウジング40に、回転可能かつ軸線方向に移動不能に支持されている。
動作変換機構50は、入力軸48の前方軸72の外周に設けられて外ねじおよび外歯とが形成された部分である外ねじ・歯形成部80と、ピストン42の出力筒54の内部に設けられて内ねじが形成された内ねじ形成部82と、出力筒54の後端部に差し込まれて固定されて内歯が形成されたリングギヤ84と、前方軸72の外周と出力筒54の内周との間に配設された複数のプラネタリローラ86(図では、1つしか示されていない)とを含んで構成されている。プラネタリローラ86の外周には、前方軸72の外周と同様に、外ねじおよび外歯が形成されている。ちなみに、前方軸72の外ねじ・歯形成部80,プラネタリローラ86のいずれもが、外ねじが形成されている全領域に渡って外歯が形成されているため、外周面にテクスチャが形成されているように見える。
プラネタリローラ86の外歯は、前方軸72の外ねじ・歯形成部80に形成された外歯およびリングギヤ84の内歯の両方に噛合し、また、プラネタリローラ86の外ねじは、前方軸72の外ねじ・歯形成部80に形成された外ねじおよび出力筒54の内ねじ形成部82に形成された内ねじとの両方に螺合している。各外ねじ,内ねじのピッチは互いに等しくされているが、各外ねじ,内ねじの条数は互いに異なるものとなっている。
この動作変換機構50は、公知のものであり、それの構成,動作原理等は、例えば特開2007−56952号公報に詳しく説明されているため、ここでは、簡単に説明することとする。大まかに言えば、本動作変換機構50では、プラネタリローラ86の外歯の歯数とリングギヤ84の内歯の歯数との比と、プラネタリローラ86の外ねじの条数と出力筒54の内ねじ形成部82に形成された内ねじの条数との比とは、等しくされているものの、プラネタリローラ86の外歯の歯数と前方軸72の外ねじ・歯形成部80に形成された外歯の歯数との比と、プラネタリローラ86の外ねじの条数と前方軸72の外ねじ・歯形成部80に形成された外ねじの条数との比とは、異なっている。つまり、作動差が存在している。
ピストン42の軸線回りの回転、つまり、出力筒54の回転が禁止されており、入力軸48を回転させれば、プラネタリローラ86は、自転しつつ入力軸48の前方軸72の周りを公転する。そのとき、先に説明した歯の歯数の比およびねじの条数の比の関係に基づいて、プラネタリローラ86と出力筒54とは軸線方向に相対移動せず、プラネタリローラ86と入力軸48とが軸線方向に相対移動する。つまり、上記作動差に基づいて、ピストン42とプラネタリローラ86とが一緒になって入力軸48に対して軸線方向に移動するのである。
以上の説明から解るように、本アクチュエータ10では、電動モータ44を回転させることでピストン42が進退させられることになる。図に示す状態は、ピストン42が、可動範囲において最も後端側に位置している位置(この位置については、後に詳しく説明する)であり、詳しく言えば、この状態から電動モータ44を正回転させれば、ピストン42が前進し、図1から解るように、ピストン42の前端がパッド24bと係合した状態で、パッド24a,24bがディスクロータ22に押し付けられて、制動力が発生する。ちなみに、この制動力の大きさは、電動モータ44に供給される電流に応じた大きさとなる。その後、電動モータ44を逆回転させれば、ピストン42は後退し、ピストン42とパッド24bとの係合が解除されて、制動力が発生させられない状態となり、最後には、ピストン42は、図2に示す位置に復帰する。
以上説明した構成要素の他に、本アクチュエータ10では、電動モータ44の回転角を検出するためのモータ回転角センサとして、レゾルバ88が設けられている。このレゾルバ88の検出信号に基づいて、ピストン42の軸線方向における位置,移動量を検出することが可能となっている。
また、本アクチュエータ10では、電動パーキングブレーキとしての機能を発揮するために、入力軸48の回転を禁止する機構も設けられている。詳しく説明すれば、上記フランジ70の外周には、ラチェット歯90が形成されており、その一方で、先端にラチェット歯90を係止するための係止爪92を有するプランジャ94と、ハウジング40の外周に固定されてプランジャ94を進退させるソレノイド96とが設けられている。ソレノイド96を励磁させてプランジャ94を突出させた状態で電動モータ44を正回転させることで、係止爪92がラチェット歯90を係止し、その状態でソレノイド96の励磁を解除しても、ピストン42の後退が禁止されることになる。係止爪92による係止を解除する場合には、ソレノイド96を非励磁状態としたままで、電動モータ44を正回転させればよい。
[C]付勢機構
ピストン42が前進していて制動力が発生させられている状態において、例えば、電動モータ44への電流が断たれる等した場合に、ピストン42を後退させることができずに、制動力が発生させられている状態が継続することになる。そのような場合を想定して、本アクチュエータ10は、弾性体が発揮する弾性力によって、ピストン42を後退させる機構を備えている。ただし、先に説明した動作変換機構50は、正効率(入力軸48の回転によってピストン42を進退させるときの効率)に比べて、逆効率(ピストン42の進退によって入力軸48を回転させるときの効率)が極めて低いものとなっている。そのため、上記機構として、本アクチュエータ10は、ピストン42が後退する方向の回転付勢力(「回転トルク」と呼ぶことも可能である)を入力軸48に付与する付勢機構100を備えている。
具体的に説明すれば、付勢機構100は、ハウジング40に固定された外輪102と、入力軸48の後方軸74にそれと一体回転するように固定されて外輪102の内側に配置された内輪104と、外輪102と内輪104との各々において他方と向かい合う部分どうしの間に配設された弾性体としての渦巻きばね(「ぜんまいばね」若しくは「ゼンマイ」と呼ばれる場合もある)106とを含んで構成されている。渦巻きばね106は、図2に示す状態、つまり、ピストン42が、可動範囲において最も後端側の位置(以下、「構造上の後退端位置」と言う場合がある)に位置している状態では、図3(a)に示すように、渦巻きばね106は、弾性変形させられておらず、弾性力を発生させない状態となっている。その状態から、電動モータ44によって入力軸48を回転させてピストン42を前進させるにつれて、図3(b)に示すように、渦巻きばね106は、徐々に巻き締められて、弾性力を発生させる。つまり、構造上の後退端位置からピストン42が前進した前進量に応じた大きさの弾性力が、ピストン42の前進に抗う付勢力、つまり、ピストン42を後退させる方向の付勢力として作用することになる。言い換えれば、渦巻きばね106によって入力軸48に作用する付勢力は、ピストン42が前進させられるにつれて大きくなるようにされているのである。そのような回転付勢力によって、ピストン42が前進していて制動力が発生させられている状態において、電動モータ44によってピストン42を後退させることができなくなった場合にも、ピストン42を後退させることができるのである。
上記回転付勢力とピストン42の前進量との関係は、図4(a)のグラフで模式的に示される関係となる。グラフの左端が、ピストン42が上記構造上の後退端位置に位置する状態を示しており、その状態では、回転付勢力は発生させられていない。ピストン42の前進量δが増加するにつれて、回転付勢力Fが、増加する。ちなみに、グラフは、理解を容易にするために、回転付勢力Fが直線的に増加するように示されている。グラフには、ピストン42がパッド24bへの係合を開始する前進量δを、係合開始前進量δ0として示している。
[D]設定機構
電動モータ44の駆動に拠らずにピストン42を後退させるべく入力軸48を回転させるときには、その後退に対しての抵抗となるトルク(以下、「抵抗トルク」と言う場合がある)が作用する。その抵抗トルクは、電動モータ44のコギングトルク,動作変換機構50における摩擦等に起因するものであり、ピストン42を後退させるために必要な力(トルク)と考えることができる。その抵抗トルクに回転付勢力が打ち勝たなければ、ピストン42を後退させることができない。例えば、グラフに示すように、抵抗トルクWが大きかったりした場合、回転付勢力Fが抵抗トルクWよりも小さくなったときには、ピストン42は、そのときから後退し得なくなってしまうのである。
また、一方で、図1からも解るように、大まかに言えば、ピストン42の前進量δが、係合開始前進量δ0を超えてから制動力が発生させられることから、係合開始前進量δ0となるまでのピストン42の前進は、制動力の発生に寄与しない動作、つまり、ロスとなり、その動作の存在は、制動力の応答性を悪くする原因ともなるのである。
そこで、本アクチュエータ10では、実際の使用時におけるピストン42の後退端の位置(以下、「設定後退端位置」と言う場合がある)を、ピストン42が係合開始前進量δ0前進した位置から、大きく離れない位置、言い換えれば、ピストン42が係合開始前進量δ0前進した位置から、適切なマージンを有してできるだけ離れない位置に設定し、かつ、その設定後退端位置において、回転付勢力Fが抵抗トルクWより大きくなるように設定するための機構として、設定機構110が設けられている。
設定機構110は、内輪104の内周面に形成された螺旋溝112と、外周において1つの軸線方向溝114が形成されて内輪104の内周面に嵌め込まれる概して筒状の嵌合輪116と、それら螺旋溝112,軸線方向溝114に係合してそれら螺旋溝112,軸線方向溝114に沿って移動可能な係止部材としての係止玉118とを含んで構成されている。嵌合輪116は、短い外鍔を有し、その外鍔において、外輪102の内鍔に固定可能とされている。嵌合輪116が外輪102に固定された状態において、嵌合輪116と内輪104との相対回転は許容される。
図2に示す係止玉118は、螺旋溝112の軸線方向における前方端に位置している。この位置に係止玉118が位置しているときは、内輪104と嵌合輪116との相対回転、詳しくは、ピストン42が後退する方向の相対回転のみが禁止され、ピストン42の後退、つまり、ピストン42が後退する方向の入力軸48の回転が禁止される。その位置(以下、「回転禁止位置」と言う場合がある)に係止玉118が位置している状態から、ピストン42を前進させる方向に入力軸48を回転させると、係止玉118が軸線方向溝114に係合した状態で内輪104に形成された螺旋溝112が回転するため、係止玉118は、その回転に応じて、軸線方向溝114に係合した状態で軸線方向に移動する。つまり、係止玉118が回転禁止位置に位置していない状態では、内輪104と嵌合輪116とのいずれの方向の相対回転も許容されて、ピストン42の前進および後退が許容される。
係止部材として機能する係止玉118をセットする場合は、当該アクチュエータ10の後端側から螺旋溝112に係止玉118を挿入して行う。螺旋溝112には、後端側の1箇所(以下「挿入箇所」と言う場合がある)からしか係止玉118を挿入することができなくされている。一方で、嵌合輪116の外鍔には、軸線方向溝114を延長するようにして挿入孔120が形成されている。図3(c)に示すように、嵌合輪116を固定する前に、嵌合輪116の挿入孔120が上記挿入箇所に合致する位置に嵌合輪116を回転させ、その状態で、挿入孔120から係止玉118を挿入する。そして、嵌合輪116を外輪102に固定してセットを完了する。ちなみに、その固定は、セットボルト等の固定部材を用いたり、カシメを行うことによって行うことができる。セットが完了した後、入力軸48を、ピストン42が後退する方向に回転させれば、設定回転数の回転の後に、係止玉118は上記回転禁止位置に位置し、その状態において、ピストン42が後退する方向におけるそれ以上の入力軸48の回転が禁止される。つまり、そのときのピストン42の位置が、上述の設定後退端位置となるのである。なお、上記設定回転数を、以下、「係止回転数」と呼ぶこととする。ちなみに、本アクチュエータ10の場合、係止回転数は、約3回転とされている。なお、ここでいう「回転数」は、回転の数であって、回転速度を意味するものではない。以下も同様である。
設定機構110を利用した設定後退端位置の設定を実際に行う場合は、図5にフローチャートで示すようにして行う。まず、ステップ1(以下、「S1」と略す。他のステップも同様である。)として、設定を行うアクチュエータ10固有の上記抵抗トルクWを測定する。この測定は、例えば、トルクゲージ,トルクセンサ等を用いて行うことができる。次に、S2において、渦巻きばね106のばね定数を基に、渦巻きばね106がその抵抗トルクWと釣り合う回転付勢力Fを発生させるために必要な入力軸48の回転数を、抵抗トルク相当回転数nTとして算出し、さらに、渦巻きばね106が適正なマージンとなる回転付勢力Fを発生させるための入力軸48の回転数を、マージン回転数nMとして算出する。そして、それら抵抗トルク相当回転数nTとマージン回転数nMとを合計したものを、残存回転数nRとして決定する。
次に、S3において、ピストン42が構造上の後退端位置に位置する状態から、電動モータ44の駆動によって、入力軸48を、残存回転数nRと係止回転数nSとを合計した回転数だけ回転させ、その状態を維持する。そして、その状態を維持したまま、S4において、上述のようにして、係止玉118のセットを行う。その後、S5において、電動モータ44による駆動を解除する。その解除によって、入力軸48が渦巻きばね106の弾性力によって回転して、ピストン42は、後退して設定後退端位置に位置することになる。
このようにして設定作業を行った後の、ピストン42の前進量δと回転付勢力Fとの関係は、図4(b)のグラフに示すようなものとなる。このグラフから解るように、ピストン42が設定後退端位置に位置するときに、抵抗トルクWよりマージン分だけ高い回転付勢力F(所謂、セットトルクである)が残存することになる。したがって、そのように設定作業を行ったアクチュエータ10によれば、例えば、電動モータ44による駆動が不能となった場合であっても、渦巻きばね106が発揮する充分な回転付勢力によって、ピストン42を設定後退端位置に復帰させることができるのである。ちなみに、上記設定作業をアクチュエータ10ごとに行うことで、アクチュエータ10による抵抗トルクのばらつきによらず、いずれのアクチュエータ10も、適正な設定後退端位置および適正に残存する回転付勢力を有するものとなる。
なお、設定後退端位置が、係合開始前進量δ0前進した位置と大きく離れることが予想される場合等には、上述の残存回転数nRを多くする等して、調整すればよい。そのような調整によって、上述したロスをより適正に解消し、制動力の応答性を良好に保つことが可能となる。
10:電動ブレーキアクチュエータ 20:キャリパ 22:ディスクロータ〔回転体〕 24a,24b:ブレーキパッド 42:ピストン 44:電動モータ 46:減速機構 48:入力軸 50:動作変換機構 54:出力筒〔筒部〕 56:回転駆動軸 100:付勢機構 106:渦巻きばね〔弾性体〕 110:設定機構 118:係止玉〔係合部材〕 F:回転付勢力 W:抵抗トルク

Claims (4)

  1. 制動力を発生させるべくブレーキパッドを車輪とともに回転する回転体に押し付けるための電動ブレーキアクチュエータであって、
    駆動源となる電動モータと、
    その電動モータによって回転させられる入力軸と、
    前進後退させられ、前端部において前記ブレーキパッドと係合するピストンと、
    前記入力軸の回転を前記ピストンの前進後退に変換する動作変換機構と、
    前記ピストンが後退する方向の回転付勢力を、弾性体によって、前記入力軸に、前記ピストンが前進させられるにつれて前記回転付勢力が大きくなるように付与する付勢機構と、
    制動力が発生しない程度に前記ピストンが後退させられた状態において、そのピストンの位置を、移動範囲における後退端位置として設定し、かつ、その後退端位置において、前記回転付勢力がそのピストンを後退させるために必要な力よりも大きな力で残存するように設定する設定機構と
    を備えた電動ブレーキアクチュエータ。
  2. 前記電動モータが、円筒状の回転駆動軸を有するとともに、前記ピストンが中空の筒部を有し、
    その筒部が、前記回転駆動軸の内部に、前記入力軸が、その筒部の内部に、それぞれ、互いに同軸的に配置されている請求項1に記載の電動ブレーキアクチュエータ。
  3. 前記付勢機構が、前記弾性体としての渦巻きばねを含んで構成され、その渦巻きばねが、前記制動力が発生しない程度に前記ピストンが後退させられた状態においても、ある程度巻かれた状態とされるように構成された請求項1または請求項2に記載の電動ブレーキアクチュエータ。
  4. 前記設定機構が、係止部材を有し、その係止部材をセットした状態から前記ピストンが後退する方向に前記入力軸が設定回転数回転したときに、その係止部材によって前記入力軸の回転が係止されることで、前記後退端位置が設定されるように構成された請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の電動ブレーキアクチュエータ。
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