JP2004116712A - 電動ディスクブレーキ - Google Patents

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Takayasu Sakashita
坂下 貴康
Yukio Otani
大谷 行雄
Hirotaka Oikawa
及川 浩隆
Takuya Usui
臼井 拓也
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Abstract

【課題】他のモータに頼ることなくモータ故障時にブレーキを機械的に解除できるようにする。
【解決手段】モータ20の回転を減速機構40を介して、運動変換機構としてのボールランプ機構30に伝え、ボールランプ機構30の作動によりピストン10を推進して、ブレーキパッド3、4をディスクロータDに押付けてモータのトルクに応じた制動力を発生する電動ディスクブレーキにおいて、減速機構40の出力軸とボールランプ機構30の第1ディスク(回動部)32との間に、減速機構40にトルクが発生しているときにそのトルクを第1ディスク32に伝達するが、減速機構40にトルクが発生していないときに第1ディスク32から減速機構40へのトルクの伝達は遮断する機械式逆入力遮断クラッチ60を配置し、制動中、モータ故障が発生した場合には、ブレーキパッド3からピストン10に伝わる制動反力でボールランプ機構30を作動させることにより、ピストン10を後退させる。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータのトルクによって制動力を発生させる電動ディスクブレーキに係り、特にモータ故障時にブレーキを自動的に解除できる機構を備えた電動ディスクブレーキに関する。
【0002】
【従来の技術】
電動ディスクブレーキとしては、ピストンと、モータと該モータの回転を直線運動に変換して前記ピストンに伝達するボールランプ機構とを配設してなるキャリパを備え、前記モータの回転に応じて前記ピストンを推進し、ブレーキパッドをディスクロータに押圧して前記モータのトルクに応じた制動力を発生するものがある(例えば、特許文献1参照)。このような電動ディスクブレーキにおいては、ピストンに推力が発生している制動中、コイル断線などのモータ故障が発生すると、モータの内部抵抗によりピストンに推力が残存し、ブレーキ解除は困難となる。
【0003】
そこで従来、モータ故障時にブレーキを自動的に解除するため、例えば、特許文献2に記載のものでは、モータに付設した減速機構の一部にピストン戻し用の電気モータを組込み、ピストン推進用の主電気モータの故障時には前記ピストン戻し用電気モータを作動させるようにし、また、特許文献3に記載のものでは、運動変換機構のナットを受けるスラスト荷重受け部に電磁クラッチを設け、モータ故障時には前記電磁クラッチに通電してナットを後退させるようにしていた。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−263395号公報
【特許文献2】
特表2000−507333号公報
【特許文献3】
特表2001−506348号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献2および3に記載される対策によれば、ピストンを推進する主モータとは別にブレーキ解除用のモータが必要になるため、製造コストが上昇し、その上、ブレーキ解除用モータ自体の故障も考えられるため、信頼性に欠けるという問題があった。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、他のモータに頼ることなくモータ故障時にブレーキを機械的に解除できるようし、もってコスト低減と信頼性の向上とに大きく寄与する電動ディスクブレーキを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、ピストンと、モータと該モータの回転を直線運動に変換して前記ピストンに伝達する運動変換機構とを配設してなるキャリパを備え、前記モータの回転に応じて前記ピストンを推進し、ブレーキパッドをディスクロータに押圧して前記モータのトルクに応じた制動力を発生する電動ディスクブレーキにおいて、前記モータと前記運動変換機構との間に、前記モータがトルクを発生しているときに該モータのトルクを前記運動変換機構へ伝達するが、前記モータのトルクが発生していないときに該運動変換機構から前記モータへのトルクの伝達は遮断する機械式逆入力遮断手段を配置したことを特徴とする。
このように構成した電動ディスクブレーキにおいては、逆入力遮断手段の介在で運動変換機構からモータへのトルク伝達が機械的に遮断されているので、モータ故障時には、摩擦パッドからピストンに作用する制動反力により運動変換機構がピストン戻し方向へ作動し、ブレーキは自動的に解除される。
【0007】
本発明は、上記運動変換機構を構成する直動部または回動部に対し、ピストン戻し方向の付勢力を付与する付勢手段を設ける構成としてもよいもので、この場合は、制動反力に付勢手段の付勢力が加わるので、ピストンの戻しはより確実となる。
本発明において、上記運動変換機構は任意であり、例えば、ボールランプ機構であっても、ボールねじ機構であってもよく、いずれの場合も、それらの回動部に上記逆入力遮断手段が作動連結される。
本発明は、上記モータと運動変換機構との間に減速機構が介装される構造であってもよく、この場合は、上記逆入力遮断手段を、前記減速機構の出力軸と運動変換機構との間、または前記減速機構の入力軸と前記モータのロータとの間に配置する構成とすることができる。減速機構の出力軸と運動変換機構との間に逆入力遮断手段を配置した場合は、減速機構の逆作動性が悪くてもブレーキ解除は確実となり、一方、減速機構の入力軸とモータのロータとの間に逆入力遮断手段を配置した場合は、制動時に減速前の小さなモータトルクを減速機構に伝えればよいので、逆入力遮断手段として小型のものを用いることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1および2は、本発明の第1の実施の形態としての電動ディスクブレーキを示したものである。これらの図において、1は、ディスクロータDより車両内側に位置する車両の非回転部(ナックル等)に固定されたキャリア、2は、キャリア1にディスクロータDの軸方向へ浮動可能に支持されたキャリパ、3、4は、ディスクロータDの両側に配置された一対のブレーキパッドであり、ブレーキパッド3,4はディスクロータDの軸方向に移動可能にキャリア1に支持されている。キャリパ2は、先端側に爪片5aを有する爪部材5と、この爪部材5の基端側にボルト結合された第1、第2の環状基体6、7と、第2の基体7にボルト結合されたモータケース8とからなる組立型のキャリパ本体9を備えており、前記爪部材5の爪片5aが車両外側のブレーキパッド4の背面に近接して配置されている。
【0009】
キャリパ2はまた、車両内側のブレーキパッド3の背面に当接可能なピストン10と、モータ20と、このモータ20の回転を直線運動に変換して前記ピストン10に伝えるボールランプ機構(運動変換機構)30と、モータ20の回転を減速して前記ボールランプ機構30に伝える減速機構40と、ブレーキパッド3の摩耗に応じてピストン10の位置を変更してパッド摩耗を補償するパッド摩耗補償機構50と、モータ20のトルクはボールランプ機構30へ伝達するが、ボールランプ機構30からモータ20へのトルク伝達は遮断する機械式逆入力遮断クラッチ(逆入力遮断手段)60とを備えている。
【0010】
上記ピストン10は、大径のピストン本体11と小径の軸部材12とを相対移動可能に連結してなっており、そのピストン本体11は車両内側のブレーキパッド3に近接して配置され、一方、その軸部材12はモータケース8側へ大きく延ばされている。ピストン10の軸部材12には、軸穴12aが設けられており、ピストン10は、その軸穴12aに前記モータケース8に固定した端板13から延ばした中空の支持ロッド14の先端部を挿入させることにより、該支持ロッド14に摺動可能にかつ回転不能に支持されている。本実施の形態において、前記ピストン本体11と軸部材12との間には、ブレーキパッド3からピストン10にかかる制動反力(推力)を検出する推力検出センサ15が介装されている。推力検出センサ15は、ここではロードセルからなっており、その検出信号は、前記支持ロッド14の中空内部を通したケーブル16を介して外部のコントローラ(図示略)に送出されるようになっている。なお、ピストン本体11とキャリパ本体9の爪部材5との間には、キャリパ本体9内を外部から閉塞するゴム製のカバー17が張設されている。
【0011】
上記モータ20は、モータケース8に嵌合固定されたステータ21と、ステータ21内に配置された中空ロータ22とを備え、ロータ22は、モータケース8および前記第2基体7に軸受23,24によって回動可能に支持されている。モータ20は、図示しないコントローラからの指令でロータ22を回転させるように作動し、そのロータ22の回転角は、ロータ22に固定したレゾルバロータ25とモータケース8の端板13に固定したレゾルバステータ26とからなる回転検出器27によって検出されるようになっている。
【0012】
上記ボールランプ機構30は、キャリパ本体9の第1基体6の内周部に軸受31を介して回動可能に支持された中空の第1ディスク(回動部)32とピストン10の軸部材12にねじ部33を介して螺合された中空の第2ディスク(直動部)34と、両ディスク32と34との間に保持器35を用いて配置されたボール36とを備えている。ボール36は、第1ディスク32および第2ディスク34の対向面に、それぞれ円周方向に沿って円弧状に形成された3つのボール溝32aと34aとの間に介装されている。また、第2ディスク34の、ピストン10の軸部材12に螺合された部分(ねじ部33)にはモータケース9の端板13側へ大きく延びる延長筒部37が連設されており、この延長筒部37内には、前記支持ロッド14に一端部が係止され、該延長筒部37を介して常時は第2ディスク34を第1ディスク32側へ付勢する皿ばね38が配設されている。一方、第2ディスク34は、キャリパ本体9に支持されたウェーブワッシャ39の摩擦力により回転が規制されている。これにより、いま第1ディスク32が第2ディスク34に対して回転すると、各ボール36が各ボール溝32a、34aの溝底の傾斜面上で転動し、第2ディスク34がディスクロータ2に対して前進または後退し、その動きにピストン10が追従するようになる。
【0013】
上記減速機構40は、ロータ22と一体をなす偏心軸41に回動可能に嵌装された、第1、第2外歯歯車42、43を有する偏心歯車44と、キャリパ本体9に固定され前記偏心歯車44の第1外歯歯車42に噛合する第1内歯歯車45と、キャリパ本体9の第1基体6に軸受46により回動可能に支持された環状の出力軸47と、この出力軸47の後端部に一体に設けられ前記偏心歯車44の第2外歯歯車43に噛合する第2内歯歯車48とからなっている。偏心歯車44は、第1内歯歯車45および第2内歯歯車48との噛合により偏心軸41(ロータ22)の回転に応じて公転運動をしながら自転し、第1内歯歯車45の歯数と第2内歯歯車48の歯数が異っていることにより出力軸47がロータ22と一定の回転比(減速比)をもって回転し、この回転が、上記逆入力遮断クラッチ60を介してボールランプ機構30の第1ディスク32に伝達される。
【0014】
ここで、第1外歯歯車42の歯数をZ、第2外歯歯車43の歯数をZ、第1内歯歯車45の歯数をn1 、第2内歯歯車48の歯数をn2 とすると、減速比Nは、N=1−(n×Z2 /Z1 /n)となる。したがって、いま、モータ20のロータ22がある回転角度θだけ回転すると、出力軸47したがって第1ディスク32の回転角はθ/Nとなり、この場合、ボールランプ機構30のボール溝32a、34aの傾斜(リード)をLとすると、第2ディスク34は、S=(L/360)×(θ/N)だけ前進するようになる。
【0015】
上記パッド摩耗補償機構50は、上記ボールランプ機構30の第1ディスク32に対し回転方向に所定の遊びを有して作動連結されたリミッタ51と、ピン52により第2ディスク34に対して位置固定されたスプリングホルダ53と、このスプリングホルダ53の周りに配置され、一端が前記リミッタ51に、他端が前記スプリングホルダ53にそれぞれ連結されたコイルスプリング54とから構成されている。コイルスプリング54は、前記第2ディスク34の回転を規制するウェーブワッシャ39の摩擦力よりも大きくなるようにそのばね力が設定されており、ブレーキパッド3に摩耗がある場合は、ロータ22の回転がこのコイルスプリング54を介して第2ディスク34に伝達され、前記ねじ部33を介してピストン10が螺進し、パッド摩耗が補償される。
【0016】
上記逆入力遮断クラッチ60は、図3および4によく示されるように、ボールランプ機構30の第1ディスク32の外周部に一体に形成された内輪61と、減速機構40の出力軸47の内周部に一体に形成された外輪62と、前記内輪61と外輪62との間に保持器63を用いて配置された複数のころ64とを備えている。外輪62は、その内面に円周方向へ波打つカム面65を有しており、該カム面65は、その谷部65aと内輪61との間隔がころ64の直径よりもわずか広くなるように、かつその山部65bと内輪61との間隔がころ64の直径よりも十分に狭くなるようにカムプロファイルが設定されている。
【0017】
しかして、上記外輪62と保持器63との間には、該保持器63に保持されたころ64を前記カム面65の谷部65aに位置させるセンタリングばね66が介装されている。逆入力遮断クラッチ60は、前記ころ64がカム面65の谷部65aに位置する状態が中立状態となり、この中立状態では、ころ64と内輪61との間に所定の間隙δ(図3)が形成され、内輪61と一体の第1ディスク32の回転が自由となる。一方、保持器63は、キャリパ本体9に一端を摩擦接触させたスイッチングばね67により現在位置を保持するようになっており、これにより、いま、外輪62すなわち減速機構40の出力軸47が、図4に示すように時計方向へ回転すると、ころ64が外輪62と内輪61とに噛み込まれ、減速機構40の出力軸47とボールランプ機構30の第1ディスク32とが連結状態となる。この連結状態は、外輪62(出力軸47)が、図4の反時計方向へ回転するときにも実現し、したがって、出力軸47が回転すると、これと一体に第1ディスク32が回転し、モータ20のトルクがボールランプ機構30へ伝達される。なお、外輪62が回転停止してトルクの供給がなくなると、センタリングばね66の復元力で保持器63が回転し、本逆入力遮断クラッチ60は中立状態に戻る。
【0018】
以下、上記のように構成した電動ディスクブレーキの作用について説明する。非制動時には、ボールランプ機構30のボール36が、ボール溝32a、34aの最も深い端部(初期位置)にあり、第1ディスク32と第2ディスク34とは最も近接した状態となっている。そして、この状態では、ピストン10がブレーキパッド3からパッドクリアランス分だけ離間して位置決めされている。
【0019】
制動時には、コントローラ(図示せず)からの指令でモータ20のロータ22が回転すると、減速機構40を構成する偏心歯車44が公転運動をしながら自転し、その出力軸47がロータ22と一定の回転比をもって回転する。すると、逆入力遮断クラッチ60が連結状態となり、前記出力軸47と一体にボールランプ機構30の第1ディスク32が回転する。この時、ウエーブワッシャ39により第2ディスク34の回転が規制されかつパッド摩耗補償機構50に一定の遊びがあるので、第2ディスク34は前記第1ディスク32の回転に応じて前進し、その前進運動がねじ部33を介してピストン10に伝達される。この結果、ピストン10が推進し、車両内側のブレーキパッド3をディスクロータDの片面に押付け、その反力によってキャリパ9がキャリア1に対して移動し、爪部材5の爪片5aが車両外側のブレーキパッド4をディスクロータDの他面に押圧し、これにより制動が開始される。そして、この制動開始によりピストン10に推力が発生するので、コントローラ(図示せず)は、前記推力検出センサ15からの信号に基づいて、ブレーキペダル(図示せず)の踏込量に応じた所望の制動力が得られるようにようにモータ20に供給する電流を制御する。
【0020】
なお、ブレーキパッド3、4に摩耗がある場合は、第1ディスク32の回転がパッド摩耗補償機構50を介して第2ディスク34に伝えられ、この第2ディスク34の回転に応じてピストン10がパッド摩耗分だけ螺進し、その後に制動が開始される。そして、制動の開始後は、ピストン10の軸部12と第2ディスク34とのねじ部33に大きな摩擦力が発生するので、第2ディスク34の回転が規制され、第2ディスク34と一体にピストン10が前進する。
【0021】
制動解除時は、モータ20のロータ22が上記制動時と逆方向に回転され、減速機構40の出力軸47も制動時と逆方向へ回転する。前記出力軸47の回転は、逆入力遮断クラッチ60を介してボールランプ機構30の第1ディスク32に伝達され、これに応じてボール36がボール溝32a、34aの初期位置に戻り、皿ばね38の付勢力により第2ディスク34とピストン10とが一体的に後退し、ディスクロータDへの押付け力が解放され、制動が解除される。
【0022】
しかして、上記制動中、例えばモータコイル断線等によりモータ故障が発生すると、ブレーキパッド3、4がディスクロータDを押圧している反力(制動反力)が、ピストン10を介して第2ディスク34に後退方向の力として伝わる。この後退方向の力は、ボールランプ機構30のボール36をボール溝32a、34aの初期位置に戻す力として働き、第1ディスク32にトルクとして伝わる。このとき、モータ故障により減速機構40の出力軸47にはトルクが発生しておらず、逆入力遮断クラッチ60は中立状態にある(図3)。したがって、第1ディスク32は、減速機構40の抵抗を受けることなく自由に回転し、第2ディスク34と一体にピストン10が後退し、制動(ブレーキ)が解除される。このとき、第2ディスク34には、前記皿ばね38の戻し力も作用しているので、前記制動反力がなくなった後も、ピストン10は後退するため、ブレーキパッド3がディスクロータDから離れ、ディスクロータDの引きずりは防止される。
本第1の実施の形態においては特に、減速機構40の出力軸47とボールランプ機構30の第1ディスク32との間に逆入力遮断クラッチ60を配置しているので、減速機構40の逆作動性が悪くとも、容易にブレーキを解除できる。また、モータ故障だけでなく減速機構40の失陥時にもブレーキを解除でき、信頼性が向上する。また、ボールランプ機構30内の皿ばね38が、その第2ディスク(直動部)に対し、ピストン戻し方向の付勢力を付与する付勢手段として共用されるので、別途この付勢力を付与する付勢手段を設ける必要がなく、コスト的に有利となる。
また、ABSやVDCのような車両制御を行う際には、ピストン戻し方向にモータ20を回転させなくても、ピストン10が後退して制動が解除されるので、電動ディスクブレーキの消費電力を低減することが可能になる。
【0023】
図5は、本発明の第2の実施の形態としての電動ディスクブレーキを示したものである。なお、本第2の実施の形態の基本構造は上記第1の実施の形態と実質同じであるので、ここでは、要部のみを示し、同一構成要素に同一符号を付し、かつ重複する説明は省略することとする。本第2の実施の形態の特徴とするところは、上記第1の実施の形態の構成に加え、ボールランプ機構30を構成する第1ディスク32と第2ディスク34との間に、第1ディスク(回動部)32に対し、ピストン戻し方向の付勢力(トルク)を付与するコイルスプリング(付勢手段)70を介装した点にある。
【0024】
本第2の実施の形態においては、制動時、モータ20のロータ22の回転、すなわち減速機構40の出力軸47の回転に応じて、ボールランプ機構30の第1ディスク32が回転すると、コイルスプリング70に撓み(ねじり力)が発生し、この撓みは、制動解除に応じて解消される。
しかして、制動中、モータ故障が発生すると、ブレーキパッド3、4がディスクロータDを押圧している反力(制動反力)が、ピストン10を介してボールランプ機構30の第2ディスク34に後退方向の力として伝わる。このとき、第2ディスク34には皿ばね38の戻し力が作用し、かつ第1ディスク34には、上記コイルスプリング70のねじり力が作用しているので、ボールランプ機構30のボール36がボール溝32a、34aの初期位置に速やかに戻り、第2ディスク34と一体にピストン10が後退し、制動が解除される。
【0025】
図6は、本発明の第3の実施の形態としての電動ディスクブレーキを示したものである。なお、本第3の実施の形態の全体的構造は上記第1の実施の形態と実質同じであるので、ここでは、要部のみを示し、同一構成要素に同一符号を付し、かつ重複する説明は省略することとする。本第3の実施の特徴とするところは、上記した逆入力遮断クラッチ60を減速機構40とモータ20のロータ22との間に移設した点にある。本第3の実施の形態において、前記減速機構40は、前記出力軸47(図1、2)を省略して独立の入力軸80を備えており、該入力軸80は、キャリパ本体9とボールランプ機構30の第1ディスク32とに軸受81、82を介して回動可能に支持されている。この場合、第1の実施の形態においてロータ22に一体に設けられていた前記偏心軸41がこの入力軸80に移設されると共に、第1の実施の形態において出力軸47に一体に設けられていた第2内歯歯車48が前記第1ディスク32に移設される構成となる。この減速機構40の減速比Nは、第1の実施の形態における場合と同じであり、第1外歯歯車42の歯数をZ、第2外歯歯車43の歯数をZ、第1内歯歯車45の歯数をn1 、第2内歯歯車48の歯数をn2 とすると、減速比Nは、N=1−(n×Z2 /Z1 /n)となる。
【0026】
上記逆入力遮断クラッチ60の構造は、全体に小型になっている以外は、前記図3および4に示したものと実質同じであるが、ここでは、その内輪61が上記減速機構40の入力軸80の外周部に、その外輪62がモータ20のロータ22の内周部にそれぞれ設定されている。したがって、ここでの逆入力遮断クラッチ60は、モータ20のトルクは減速機構40へ伝達するが、減速機構40からモータ20へのトルク伝達は遮断する機能を有するものとなっている。
【0027】
本第3の実施の形態においては、コントローラ(図示せず)からの指令でモータ20のロータ22が回転すると、逆入力遮断クラッチ60が連結状態となり、減速機構40を構成する偏心歯車44が入力軸80の周りで公転運動をしながら自転し、ボールランプ機構30の第1ディスク32がロータ22と一定の回転比をもって回転する。これにより、ボールランプ機構30の第2ディスク34が前進し、その前進運動がねじ部33を介してピストン10に伝達され、ピストン10が推進して制動が開始される。一方、制動解除時は、モータ20のロータ22が前記制動時と逆方向に回転され、その回転が逆入力遮断クラッチ60および減速機構40を介してボールランプ機構30の第1ディスク32に伝達され、これに応じて第2ディスク34とピストン10とが一体的に後退し、制動が解除される。
【0028】
しかして、上記制動中、例えばモータコイル断線等によりモータ故障が発生すると、ブレーキパッド3、4がディスクロータDを押圧している反力(制動反力)が、ピストン10を介して第2ディスク34に後退方向の力として伝わる。この後退方向の力は、ボールランプ機構30のボール36およびボール溝32a、34aの作用で第1ディスク32にトルクとして伝わり、さらに減速機構40の入力軸80に伝わる。このとき、モータ故障によりロータ22にトルクが発生していないため、逆入力遮断クラッチ60は中立状態にあり(図3)、これにより入力軸80は回転し、第2ディスク34と一体にピストン10が後退し、制動が解除される。なお、このとき、第2ディスク34には、前記皿ばね38の戻し力も作用しているので、前記制動反力がなくなった後も、ピストン10は後退するため、ブレーキパッド3がディスクロータDから離れ、ディスクロータDの引きずりは防止される。
本第3の実施の形態においては特に、減速機構40の入力軸80とモータ20のロータ22との間に逆入力遮断クラッチ60を配置しているので、逆入力遮断クラッチ60は、減速前の比較的小さなトルクを伝達すればよく、したがって、逆入力遮断クラッチ60としては負荷容量の小さなものを選択でき、その分、小型軽量化を達成できる。なお、この第3の実施の形態において、ボールランプ機構30の第1ディスク32と第2ディスク34との間に、上記第2の実施の形態で採用したコイルスプリング70を追加してもよく、この場合は、より確実に制動が解除される。
【0029】
図7は、本発明の第4の実施の形態としての電動ディスクブレーキを示したものである。本第2の実施の形態の特徴とするところは、運動変換機構として、上記第1乃至第3の実施の形態におけるボールランプ機構30に代えて、ボールねじ機構100を用いた点にある。なお、本第4の実施の形態の全体的構造は上記第1の実施の形態と実質同じであるので、ここでは、前記図1に示した部分と同一構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
上記ボールねじ機構100は、キャリパ本体9の第1基体6に軸受101により回動可能に支持されたナット(回動部)102と、前記ピストン10の軸部12の外周に形成されたおねじ部(直動部)103と、前記ナット102のねじ溝と前記おねじ部103のねじ溝との間に介装されたボール104とからなっている。本第4の実施の形態において、前記逆入力遮断クラッチ60は、ナット102の外周部と前記減速機構40の出力軸47との間に配置されており、ナット102の外周部に該逆入力遮断クラッチ60を構成する内輪61が設定されている。
【0030】
本第4の実施の形態においては、制動時、図示しないコントローラからの指令でモータ20のロータ22が回転すると、減速機構40が作動してその出力軸47が、前記したようにロータ22と一定の減速比Nで回転し、増幅したトルクがボールねじ機構100のナット102に伝達される。すると、ねじ軸として機能するピストン10の軸部12が螺進し、ピストン10が車両内側のブレーキパッド3をディスクロータDの片面に押付け、第1の実施の形態と同様に制動が開始される。 一方、この制動状態からモータ20のロータ22が、制動時と逆方向へ回転すると、減速機構40の出力軸47が制動時と逆方向へ回転し、ボールねじ機構100が作動してピストン10が後退し、制動力が解放される。
しかして、上記制動中、モータ故障が発生すると、ブレーキパッド3、4がディスクロータDを押圧している反力(制動反力)がピストン10に作用し、その軸部12に設けたおねじ部103とボール104とを介してナット102にトルクが作用する。このとき、モータ故障により減速機構40の出力軸47にトルクが発生していないため、逆入力遮断クラッチ60は中立位置にあり(図3)、これによりナット102が回転し、ピストン10が後退して制動力が解放される。なお、この第4の実施の形態において、ナット102またはねじ軸として機能するピストン10の軸部12に対し、ピストン戻し方向の付勢力を付与する付勢手段を設けるようにしてもよいことは、もちろんである。
【0031】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、モータと運動変換機構との間に、モータがトルクを発生しているときに該モータのトルクを前記運動変換機構へ伝達するが、前記モータのトルクが発生していないときに該運動変換機構から前記モータへのトルクの伝達は遮断する機械式逆入力遮断手段を配置、モータ故障時には、摩擦パッドからピストンに作用する制動反力により運動変換機構をピストン戻し方向へ作動させるようにしたので、他のモータに頼ることなくモータ故障時にブレーキを機械的に解除できるようになり、コスト低減と信頼性の向上とに大きく寄与する効果を奏する。
また、運動変換機構を構成する直動部または回動部に対し、ピストン戻し方向の付勢力を付与する付勢手段を設けた場合は、制動反力に付勢手段の付勢力が加わるので、ピストンの戻しすなわちブレーキの解除はより確実となる。
さらに、減速機構の出力軸と運動変換機構との間に逆入力遮断手段を配置した場合は、減速機構の逆作動性が悪くてもブレーキ解除は確実となり、また、減速機構の入力軸とモータのロータとの間に逆入力遮断手段を配置した場合は、減速前の小さなモータトルクを減速機構に伝えればよいので、逆入力遮断手段として小型のものを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態としての電動ディスクブレーキの全体構造を示す断面図である。
【図2】図1に示した電動ディスクブレーキの要部構造を示す断面図である。
【図3】本発明で用いる逆入力遮断クラッチの構造構造を示す断面図である。
【図4】本逆入力遮断クラッチの作動状態を示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態としての電動ディスクブレーキの要部構造を示す断面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態としての電動ディスクブレーキの要部構造を示す断面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態としての電動ディスクブレーキの全体構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1  キャリア
2  キャリパ
3、4 ブレーキパッド
10 ピストン
20 モータ
30 ボールランプ機構
32 第1ディスク(回動部)
34 第2ディスク(直動部)
38 皿ばね(付勢手段)
40 減速機構
47 減速機構の出力軸
50 パッド摩耗補償機構
60 逆入力遮断クラッチ(逆入力遮断手段)
61 逆入力遮断クラッチの内輪
62 逆入力遮断クラッチの外輪
64 逆入力遮断クラッチのころ
70 コイルスプリング(付勢手段)
80 減速機構の入力軸
100 ボールねじ機構
102 ナット(回動部)
103 おねじ部(直動部)
104 ボール
D  ディスクロータ

Claims (7)

  1. ピストンと、モータと該モータの回転を直線運動に変換して前記ピストンに伝達する運動変換機構とを配設してなるキャリパを備え、前記モータの回転に応じて前記ピストンを推進し、ブレーキパッドをディスクロータに押圧して前記モータのトルクに応じた制動力を発生する電動ディスクブレーキにおいて、前記モータと前記運動変換機構との間に、前記モータがトルクを発生しているときに該モータのトルクを前記運動変換機構へ伝達するが、前記モータのトルクが発生していないときに該運動変換機構から前記モータへのトルクの伝達は遮断する機械式逆入力遮断手段を配置したことを特徴とする電動ディスクブレーキ。
  2. 運動変換機構を構成する直動部に対し、ピストン戻し方向の付勢力を付与する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の電動ディスクブレーキ。
  3. 運動変換機構を構成する回動部に対し、ピストン戻し方向の付勢力を付与する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の電動ディスクブレーキ。
  4. 運動変換機構がボールランプ機構からなり、逆入力遮断手段が、該ボールランプ機構の回動部に作動連結されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電動ディスクブレーキ。
  5. 運動変換機構がボールねじ機構からなり、逆入力遮断手段が、該ボールねじ機構の回動部に作動連結されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電動ディスクブレーキ。
  6. モータと運動変換機構との間に減速機構が介装されており、逆入力遮断手段が、前記減速機構の出力軸と運動変換機構との間に配置されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電動ディスクブレーキ。
  7. モータと運動変換機構との間に減速機構が介装されており、逆入力遮断手段が、前記減速機構の入力軸と前記モータのロータとの間に配置されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電動ディスクブレーキ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008004404A1 (fr) * 2006-06-15 2008-01-10 Panasonic Corporation dispositif DE caméra et mécanisme de ralentissement
JP2008008334A (ja) * 2006-06-27 2008-01-17 Im Kk ブレーキ用駆動装置
CN102384190A (zh) * 2011-10-27 2012-03-21 奇瑞汽车股份有限公司 一种电子机械制动器以及汽车

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