以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
以下では、静電容量式の入力装置を構成する電極のうち、センサ電極として機能する電極を“センサ1”と示す場合がある。また、以下では、静電容量式の入力装置を構成する電極のうち、キャンセル電極として機能する電極を“キャンセル1”と示す場合がある。
[1]静電容量式の入力装置において生じうる問題の一例
上述したように、静電容量式の入力装置(以下、単に「入力装置」と示す。)では、キャンセル制御が行われることによって、センサ電極と基準電位点との間における寄生容量を低減させることが可能である。
図1は、センサ電極とキャンセル電極とを有する入力装置において、キャンセル制御が行われる場合におけるセンサ電極の静電容量Csの一例を示す説明図である。
センサ電極の静電容量Csは、例えば、センサ電極と基準電位点GNDとの間における静電容量である。センサ電極の静電容量Csは、センサ電極とキャンセル電極との間における静電容量Cp1と、キャンセル電極と基準電位点GNDとの間における静電容量Cp2との合成容量で表される。
キャンセル制御が行われることによって、センサ電極とキャンセル電極との間における静電容量Cp1は十分に小さくなる。また、センサ電極の静電容量Csは、静電容量Cp1と静電容量Cp2との合成容量である。よって、キャンセル制御が行われることによって、入力装置では、センサ電極の静電容量Csを低減させることが可能となる。
しかしながら、上述したように、キャンセル制御が行われたとしても、温度変化や湿度変化などの操作体以外の要因によって生じるセンサ電極の静電容量Csの変動の影響を十分に低減することができない場合がある。
ここで、キャンセル制御が行われる入力装置では、センサ電極とキャンセル電極との間、およびキャンセル電極と基準電位点との間に、絶縁体基材が用いられる基板などの絶縁体が存在する場合がある。上記のような絶縁体が存在する場合、入力装置では、例えば、温度変化や湿度変化などの外部環境の変化により当該絶縁体の損失係数が変動することによって、センサ電極の静電容量Csの変動が生じる。ここで、絶縁体の損失係数が変動することにより生じるセンサ電極の静電容量Csの変動としては、センサ電極の静電容量Csが小さくなる変動と、センサ電極の静電容量Csが大きくなる変動とが含まれる。
よって、操作体による操作の検出精度の向上を図るためには、上記のような外部環境の変化に起因するセンサ電極の静電容量Csの変動分を補正した上で、操作の検出を行うことが望ましい。
一方、センサ電極の静電容量Csを変動させる他の要因としては、“センサ電極に対する、指などの操作体の状態の変化”が挙げられる。
図2は、操作体の状態の変化によるセンサ電極の静電容量Csの変動の一例を示す説明図である。図2では、操作体として、入力装置に対して操作を行うユーザの指を示している。
図2に示すように、操作体とセンサ電極との間には静電容量Ctが発生する。ここで、静電容量Ctは、センサ電極に対する操作体の状態に応じて変動する。よって、図2に示すように、センサ電極の静電容量Csは、静電容量Ctの変化に応じて変動する。
上記のように、センサ電極の静電容量Csが変動する要因としては、温度変化などの外部環境の変化、または、センサ電極に対する操作体の状態の変化が、挙げられる。
しかしながら、ユーザが静電センサをタッチする操作などの、静電センサに対応するセンサ電極に対する操作が行われている場合、例えば下記の数式1に示すように、センサ電極の静電容量Csの変動が、センサ電極に対する操作体の状態の変化によるものであるのか、または、外部環境の変化によるものなのかを、切り分けることが困難である。
ここで、下記の数式1に示す“eo”は、真空の誘電率であり、下記の数式1に示す“er”は、比誘電率である。また、下記の数式1に示す“S”は、操作体などの面積であり、下記の数式1に示す“d”は、操作体とセンサ電極との間の距離である。また、下記の数式1に示す“Cx”は、損失である。
また、上記のように、センサ電極の静電容量Csが変動する要因を切り分けることが困難であることから、外部環境の変化に起因するセンサ電極の静電容量Csの変動分を補正することもまた、困難である。
[2]本発明の実施形態に係る入力装置の概要
そこで、本発明の実施形態に係る入力装置は、第1電極と第2電極とを有するスイッチ部を備える。第2電極は、第1電極と基準電位点との間に設けられる。スイッチ部は、静電センサに該当する。なお、本発明の実施形態に係るスイッチ部の構成の一例については、後述する。
また、本発明の実施形態に係る入力装置は、第1電極および第2電極に対して、下記に示す第1の制御、または、下記に示す第2の制御を行う。
・第1の制御:第1電極に対して駆動信号を印加させ、第2電極に対して駆動信号と同一波形の信号を印加させる制御
・第2の制御:第1電極に対して同一波形の信号を印加させ、第2電極に対して駆動信号を印加させる制御
本発明の実施形態に係る入力装置は、スイッチ部に対する操作の検出結果に基づいて、第1の制御、または、第2の制御を行う。本発明の実施形態に係る入力装置は、スイッチ部に対する操作の検出結果に基づいて、第1の制御と第2の制御とを切り替えることによって、第1の制御または第2の制御を行う。本発明の実施形態に係る入力装置における、第1の制御と第2の制御との切り替えについては、後述する。
なお、本発明の実施形態に係る入力装置における第1電極および第2電極に対する制御は、上記第1の制御と上記第2の制御とに限られない。例えば、本発明の実施形態に係る入力装置は、第1電極および第2電極に対して、下記に示す第3の制御を行うことが可能である。
・第3の制御:第1電極を開放状態にさせ、第2電極に対して駆動信号を印加させる制御
以下では、本発明の実施形態に係る入力装置における、第1の制御、第2の制御、および第1の制御と第2の制御との切り替えについて説明し、その後に、本発明の実施形態に係る入力装置における第3の制御を利用した操作の検出について説明する。
[2−1]第1の制御について
本発明の実施形態に係る第1の制御は、図1を参照して示したキャンセル制御に該当する。以下では、説明の便宜上、図1を参照して示した既存のキャンセル制御を、「第1のキャンセル制御」と示す場合がある。
第1の制御が行われる場合、スイッチ部を構成する第1電極および第2電極は、図1に示す状態となる。より具体的には、第1の制御が行われる場合、図1に示す“センサ1”が第1電極に該当し、図1に示す“キャンセル1”が第2電極に該当する。
つまり、第1の制御が行われる場合、第1電極および第2電極は、下記のように機能する。
・第1電極:センサ電極
・第2電極:キャンセル電極
また、図1に示す静電容量Cp1は、第1電極と第2電極との間における静電容量に該当し、図1に示す静電容量Cp2は、第2電極と基準電位点GNDとの間における静電容量に該当する。以下では、第1の制御が行われる場合における静電容量Cp1と静電容量Cp2との合成容量を、「第1電極の静電容量Cs」と示す場合がある。
上述したように、第1のキャンセル制御が行われることによって、入力装置における検出精度の向上を図ることが可能となるという利点がある。よって、本発明の実施形態に係る入力装置において、第1の制御は、スイッチ部に対する操作を検出するために行われる。つまり、第1の制御は、スイッチ部に対する操作を検出するための制御であり、本発明の実施形態に係る入力装置では、第1の制御が行われているときにスイッチ部に対する操作の検出が行われる。
したがって、本発明の実施形態に係る入力装置は、第1の制御を行うことにより、入力装置における検出精度の向上を図ることができる。
[2−2]第2の制御について
本発明の実施形態に係る第2の制御は、操作体以外による第1電極の静電容量の変化量を取得するための制御である。ここで、本発明の実施形態に係る操作体以外による第1電極の静電容量の変化量とは、後述するように外部環境の変化による第1電極の静電容量の変化量に該当する。
図3は、本発明の実施形態に係る第2の制御を説明するための説明図である。
第2の制御が行われる場合、スイッチ部を構成する第1電極および第2電極は、図3に示す状態となる。より具体的には、第2の制御が行われる場合、図3に示す“キャンセル1”が第1電極に該当し、図3に示す“センサ1”が第2電極に該当する。
つまり、第2の制御が行われる場合、第1電極および第2電極は、下記のように機能する。
・第1電極:キャンセル電極
・第2電極:センサ電極
第1の制御が行われる場合に、第1電極がセンサ電極として機能し、第2電極がキャンセル電極として機能するのに対して、第2の制御が行われる場合には、第2電極がセンサ電極として機能し、第1電極がキャンセル電極として機能する。以下では、第1の制御に対応する第1のキャンセル制御と区別するために、第2の制御に対応するキャンセル制御を「第2のキャンセル制御」と示す場合がある。
また、図3に示す静電容量CSCは、第1電極と第2電極との間における静電容量に該当し、図3に示す静電容量CSGは、第2電極と基準電位点GNDとの間における静電容量に該当する。以下では、静電容量CSCと静電容量CSGとの合成容量を「合成容量Cs’」と示す。
よって、第2の制御が行われる場合には、操作体と第1電極との間における静電容量Ctは、キャンセル電極に係る静電容量となるので、操作体に起因する静電容量の影響が排除される。
ここで、第1の制御が行われる場合、すなわち、第1のキャンセル制御が行われる場合には、センサ電極として機能する第1電極の静電容量は、上述したように、“第1電極(センサ電極)と第2電極(キャンセル電極)との間における静電容量Cp1と、第2電極(キャンセル電極)と基準電位点GNDとの間における静電容量Cp2との合成容量Cs”で表される。
また、第1のキャンセル制御が行われるときにおいて、第1電極(センサ電極)の静電容量Csが変動する場合、静電容量Csの変動では、第1電極(センサ電極)と第2電極(キャンセル電極)との間における静電容量Cp1の変動が、支配的となる。
第2の制御が行われる場合、すなわち、第2のキャンセル制御が行われる場合には、上記のように、操作体に起因する静電容量の影響が排除される。
また、第2のキャンセル制御が行われる場合には、静電容量CSCを十分に小さくすることができるので、基準電位点GNDに対する静電容量は、第2電極と基準電位点GNDとの間における静電容量CSGのみとみなすことができる。つまり、第2の制御が行われるときにおいて合成容量Cs’が変動する場合、合成容量Cs’の変動では、静電容量CSGの変動が支配的となる。
さらに、第1のキャンセル制御が行われる場合と第2のキャンセル制御が行われる場合との双方の場合において、第1電極と第2電極とのうちの一方の電極はセンサ電極として機能し、他方の電極はキャンセル電極として機能する。よって、“第2の制御が行われる場合における第1電極と第2電極との間における静電容量CSCの変動は、第1の制御が行われる場合における第1電極と第2電極との間における静電容量Cp1の変動と近似する”と、みなすことができる。
よって、“第2の制御が行われる場合における第2電極と基準電位点GNDとの間における静電容量CSGの変動”を、“第2の制御が行われる場合における第1電極と第2電極との間における静電容量CSCの変動”に近似させれば、合成容量Cs’の変動を、外部環境の変化による第1電極の静電容量Csの変動とみなすことができる。
そこで、本発明の実施形態に係る入力装置では、“第2電極と基準電位点との間の材料”と“第1電極と第2電極との間の材料”とを、同一の特性(または、類似する特性。以下、同様とする。)を有する材料で構成する。一例を挙げると、本発明の実施形態に係る入力装置では、第1電極と第2電極との間に設けられる基板と、第2電極と基準電位点との間に設けられる基板とが、同一の絶縁体基材で構成される。
例えば上記のように、“第2電極と基準電位点との間の材料”と“第1電極と第2電極との間の材料”とを同一の特性を有する材料で構成することによって、静電容量CSGの変動をモニタリングすることを、静電容量CSCの変動をモニタリングすることに近似させることが、できる。
したがって、本発明の実施形態に係る入力装置は、第2の制御を行うことによって、“第1の制御を行う場合において生じうる、外部環境の変化による第1電極(センサ電極)の静電容量Csの変動量”を、取得することができる。なお、外部環境の変化による第1電極の静電容量の変化量の取得方法の一例、すなわち、操作体以外による第1電極の静電容量の変化量の取得方法の一例については、後述する。
また、外部環境の変化に起因する第1電極の静電容量Csの変動分が取得されることによって、本発明の実施形態に係る入力装置では、当該静電容量Csの変動分を補正した上で、操作の検出を行うことが可能となる。なお、外部環境の変化に起因する第1電極の静電容量Csの変動分の補正方法の一例については、後述する。
したがって、第1のキャンセル制御に該当する第1の制御に加えて、第2のキャンセル制御に該当する第2の制御を行うことにより、本発明の実施形態に係る入力装置は、図1を参照して示したような既存のキャンセル制御のみが行われる場合よりも、操作体による操作の検出精度の向上を図ることができる。
[2−3]第1の制御と第2の制御との切り替え
次に、本発明の実施形態に係る入力装置における第1の制御と第2の制御との切り替えについて、説明する。
本発明の実施形態に係る入力装置は、スイッチ部に対する操作が検出されていないときには、第1の制御を行う。つまり、本発明の実施形態に係る入力装置は、第1のキャンセル制御を行って、スイッチ部に対する操作を検出する。
また、本発明の実施形態に係る入力装置は、スイッチ部に対する操作が検出された後に、第1の制御と第2の制御とを交互に行うことによって、第1の制御と第2の制御とを切り替える。
本発明の実施形態に係る入力装置は、所定の時間が経過するごとに、第2の制御を行う。
ここで、本発明の実施形態に係る所定の時間としては、例えば、設定された一定の期間が挙げられる。上記一定の期間は、予め設定された固定の期間であってもよいし、本発明の実施形態に係る入力装置のユーザの操作などに基づいて変更可能な可変の期間であってもよい。所定の時間が一定の期間である場合、第2の制御は、一定のタイミングで繰り返し行われる。
なお、本発明の実施形態に係る所定の時間は、一定の期間に限られない。例えば、所定の時間は、ランダムに、あるいは、所定の規則に従って時間間隔が変動する期間であってもよい。
また、本発明の実施形態に係る入力装置は、例えば、後述する操作体以外による第1電極の静電容量の変化量の取得方法によって、第1電極の静電容量の変化量が取得された場合に、第1の制御と第2の制御との切り替えを停止し、第1の制御を行う。そして、本発明の実施形態に係る入力装置は、後述する外部環境の変化に起因する第1電極の静電容量Csの変動分の補正方法によって、第1電極の静電容量の変化分を補正して、スイッチ部に対する操作を検出する。
なお、本発明の実施形態に係る入力装置におけるスイッチ部に対する操作の検出は、第1の制御と第2の制御との切り替えを利用した操作の検出に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る入力装置は、さらに、第3の制御を利用してスイッチ部に対する操作を検出することも、可能である。
次に、本発明の実施形態に係る入力装置における第3の制御を利用した操作の検出について説明する。
[2−4]第3の制御を利用した操作の検出について
静電容量式の入力装置である本発明の実施形態に係る入力装置では、静電センサに対応するセンサ電極の静電容量の変化を検出することによって、センサ電極に対する操作が検出される。
ここで、例えば、本発明の実施形態に係る入力装置が、操作の検出に係る動作が開始される状態(以下、「初期状態」と示す。)であるときに、ユーザがセンサ電極に対して操作を行っている場合を想定する。本発明の実施形態に係る入力装置が初期状態となる場合としては、例えば、本発明の実施形態に係る入力装置の電源がオフ状態からオン状態に変化した場合や、電源がオン状態のときに初期状態とするためのリセット操作が行われた場合などが、挙げられる。また、上記リセット操作としては、例えば、本発明の実施形態に係る入力装置が備えるリセットボタンを押下する操作や、リモートコントローラなどの外部操作デバイスを用いた操作などが、挙げられる。
初期状態であるときにユーザがセンサ電極に対して操作を行っている場合、本発明の実施形態に係る入力装置は、センサ電極に対する操作によるセンサ電極の静電容量の変化を検出することができない。よって、初期状態であるときにユーザがセンサ電極に対して操作を行っている場合には、ユーザがセンサ電極に対して操作を行っているにも関わらず当該操作が検出されないという事態が、生じる。また、上記のような事態が生じた場合、ユーザは、センサ電極に対して操作を一端やめて、センサ電極に対する操作を再度やり直す必要がある。
そこで、本発明の実施形態に係る入力装置は、初期状態であると判定された場合に第3の制御と第2の制御とを順次に行うことによって、初期状態であるときにユーザがセンサ電極に対して行っている操作を検出する。
本発明の実施形態に係る入力装置は、例えば、本発明の実施形態に係る入力装置の電源がオフ状態からオン状態に変化した場合、または、上記リセット操作などの、本発明の実施形態に係る入力装置を初期状態とする操作が検出された場合に、本発明の実施形態に係る入力装置が初期状態であると判定する。
図4、図5は、本発明の実施形態に係る第3の制御を説明するための説明図である。図4は、第3の制御が行われるときにユーザがスイッチ部に対して操作を行っている場合を示している。また、図5は、第3の制御が行われるときにユーザがスイッチ部に対して操作を行っていない場合を示している。
第3の制御が行われる場合、スイッチ部を構成する第1電極および第2電極は、図4、図5に示す状態となる。具体的には、第3の制御が行われる場合、第1電極は開放状態となり、第2電極がセンサ電極として機能する。ここで、図4、図5に示す“OPEN”が電極が開放状態にあることを示しており、図4、図5に示す“センサ1”が電極がセンサ電極として機能していることを示している。
図4、図5に示すように、第2電極と基準電位点GNDとの間における静電容量である静電容量CSGは、ユーザによるスイッチ部に対する操作によって変動しない。また、図4に示すように、ユーザがスイッチ部に対して操作を行っている場合には、操作体とセンサ電極との間に静電容量Ctが発生する。
つまり、第3の制御が行われているときにおける第2電極の静電容量には、図4、図5に示すように、操作体に起因する静電容量の影響が含まれる可能性がある。
また、第2の制御が行われる場合には、図3を参照して示したように、操作体と第1電極との間における静電容量Ctはキャンセル電極に係る静電容量となるので、操作体に起因する静電容量の影響が排除される。
よって、本発明の実施形態に係る入力装置は、第3の制御が行われているときにおける第2電極の静電容量と、第2の制御が行われているときにおける第2電極の静電容量とを比較することによって、スイッチ部に対する操作を検出する。以下では、説明の便宜上、第3の制御が行われているときにおける第2電極の静電容量を「第1の初期静電容量値」と示し、第2の制御が行われているときにおける第2電極の静電容量を「第2の初期静電容量値」と示す。
ここで、第2の初期静電容量値では、操作体に起因する静電容量の影響が排除されているので、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とが異なる場合とは、第1の初期静電容量値に操作体に起因する静電容量の影響が含まれる場合であるといえる。つまり、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とが異なる場合とは、初期状態において操作体とセンサ電極との間に静電容量Ctが発生している場合に該当する。
したがって、本発明の実施形態に係る入力装置は、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とが異なると判定した場合に、スイッチ部に対する操作を検出する。また、本発明の実施形態に係る入力装置は、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とが同一であると判定した場合には、スイッチ部に対する操作を検出しない。
より具体的には、本発明の実施形態に係る入力装置は、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値との差の絶対値を算出する。そして、本発明の実施形態に係る入力装置は、例えば、算出された差の絶対値が“0”(ゼロ)より大きい値である場合に、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とが異なると判定する。また、本発明の実施形態に係る入力装置は、例えば、算出された差の絶対値が“0”(ゼロ)である場合、すなわち、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とが異なると判定されない場合に、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とが同一であると判定する。
なお、本発明の実施形態に係る入力装置は、例えば、算出された差の絶対値が、“0”(ゼロ)より大きな値を有する所定の閾値より大きい値である場合(または、当該差の絶対値が当該閾値以上の場合)に、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とが異なると判定してもよい。初期状態における操作検出に係る所定の閾値は、予め設定されている固定の閾値であってもよいし、ユーザの操作などに基づいて変更される可変値であってもよい。
例えば上記のように、初期状態における操作検出に係る所定の閾値を用いて第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とが異なるか否かが判定されることによって、仮に、第1の初期静電容量値および第2の初期静電容量値の一方または双方に誤差成分が含まれたとしても、本発明の実施形態に係る入力装置は、当該誤差成分の影響を受けずにスイッチ部に対する操作を検出することができる。
上述したように、本発明の実施形態に係る入力装置は、初期状態であると判定された場合に、第3の制御と第2の制御とを順次に行い、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とを比較する。
また、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とを比較することによって、初期状態において操作体とセンサ電極との間に発生する静電容量Ctの有無を判別することが可能である。
したがって、本発明の実施形態に係る入力装置は、初期状態であるときにユーザがセンサ電極に対して操作を行っているか否かを判別して、初期状態であるときにユーザがセンサ電極に対して行っている操作を検出することができる。
また、本発明の実施形態に係る入力装置が、初期状態であるときにユーザがセンサ電極に対して行っている操作を検出することによって、上述したような、ユーザがセンサ電極に対して操作を行っているにも関わらず当該操作が検出されないという事態の発生は、防止される。よって、本発明の実施形態に係る入力装置が、初期状態であるときにユーザがセンサ電極に対して行っている操作を検出することによって、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
本発明の実施形態に係る入力装置が第3の制御を利用した操作の検出を行う場合、本発明の実施形態に係る入力装置は、第3の制御を利用した操作の検出を行った後に、上述した第1の制御と第2の制御との切り替えを利用した操作の検出を行う。
[3]本発明の実施形態に係る入力装置の構成例
以下、本発明の実施形態に係る入力装置の構成の一例を説明しつつ、本発明の実施形態に係る入力装置における処理について、より具体的に説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る入力装置100の構成の一例を示すブロック図である。入力装置100は、例えば、スイッチ部102と、検出部104と、制御部106とを備える。
また、入力装置100は、例えば、ROM(Read Only Memory。図示せず)や、RAM(Random Access Memory。図示せず)、記憶部(図示せず)などを備えていてもよい。入力装置100は、例えば、データの伝送路としてのバスにより上記各構成要素間を接続する。入力装置100は、例えば、入力装置100が備えているバッテリなどの内部電源から供給される電力、または、接続されている外部電源から供給される電力などによって、駆動する。
ROM(図示せず)は、例えば、制御部106や後述する処理回路114などが使用する、プログラムや演算パラメータなどのデータを記憶する。RAM(図示せず)は、制御部106や処理回路114などにより実行されるプログラムや、処理データなどを一時的に記憶する。
記憶部(図示せず)は、入力装置100が備える記憶手段である。記憶部(図示せず)には、例えばアプリケーションソフトウェアなどの様々なデータが記憶される。
ここで、記憶部(図示せず)としては、例えば、ハードディスクなどの磁気記録媒体や、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどが挙げられる。また、記憶部(図示せず)は、入力装置100から着脱可能であってもよい。
[3−1]スイッチ部102
スイッチ部102は、第1電極E1と、第2電極E2とを有する。第1電極E1と第2電極E2との間には、例えば絶縁体基材が用いられる基板が設けられる。また、図6では図示していないが、第2電極E2と基準電位点との間には、例えば絶縁体基材が用いられる基板が設けられる。
第1の制御が行われる場合、第1電極E1はセンサ電極として機能し、第2電極E2はキャンセル電極として機能する。
また、第2の制御が行われる場合、第1電極E1はキャンセル電極として機能し、第2電極E2はセンサ電極として機能する。
また、第3の制御が行われる場合、第1電極E1は開放状態となり、第2電極E2はセンサ電極として機能する。
また、スイッチ部102では、例えば、“第2電極E2と基準電位点との間の材料”と“第1電極E1と第2電極E2との間の材料”とが、同一の特性を有する材料で構成される。
上述したように、第2の制御が行われる場合における合成容量Cs’の変動では、第2電極E2と基準電位点との間における静電容量CSGの変動が支配的となる。また、上述したように、“第2電極E2と基準電位点との間の材料”と“第1電極E1と第2電極E2との間の材料”とが同一の特性を有する材料で構成されることによって、静電容量CSGの変動と静電容量CSCの変動とを近似させることができる。さらに、上述したように、“第2の制御が行われる場合における第1電極E1と第2電極E2との間における静電容量CSCの変動は、第1の制御が行われる場合における第1電極E1と第2電極E2との間における静電容量Cp1の変動と近似する”と、みなすことができる。
よって、入力装置100では、第2の制御が行われる場合における合成容量Cs’のある期間における変動を、当該期間における第1電極E1の静電容量Csの変動に近似するとみなすことが可能である。つまり、入力装置100では、第2電極E2と基準電位点との間における静電容量CSGの変動をモニタリングすることによって、第1電極E1の静電容量Csの変動を検出することができる。
[3−2]検出部104
[3−2−1]検出部104における処理
検出部104における処理としては、“第1の制御と第2の制御との切り替えを利用した操作の検出に係る処理”、または、“第1の制御と第2の制御との切り替えを利用した操作の検出に係る処理、および第3の制御を利用した操作の検出に係る処理”が、挙げられる。
“第1の制御と第2の制御との切り替えを利用した操作の検出に係る処理、および第3の制御を利用した操作の検出に係る処理”が行われる場合、検出部104は、例えば、第3の制御を利用した操作の検出に係る処理を1回行った後に、第1の制御と第2の制御との切り替えを利用した操作の検出に係る処理を繰り返し行う。なお、検出部104は、第3の制御を利用した操作の検出に係る処理を複数回行った後に、第1の制御と第2の制御との切り替えを利用した操作の検出に係る処理を繰り返し行ってもよい。
後述する検出部104を構成する処理回路114の説明において示すように、検出部104は、例えば、制御部106から伝達される制御の内容を示す制御信号に基づいて、入力装置100において行われている制御を認識する。
以下、第1の制御と第2の制御との切り替えを利用した操作の検出に係る処理の一例と、第3の制御を利用した操作の検出に係る処理の一例とについて、それぞれ説明する。
(1)検出部104における処理の第1の例:第1の制御と第2の制御との切り替えを利用した操作の検出に係る処理
まず、検出部104における処理の第1の例として、第1の制御と第2の制御との切り替えを利用した操作の検出に係る処理について、説明する。
検出部104は、第1電極E1の静電容量の変化に基づきスイッチ部102に対する操作を検出する。検出部104は、第1の制御が行われている場合、すなわち、第1電極E1に対して駆動信号を印加させている場合に、スイッチ部102に対する操作を検出する。
検出部104は、自己容量方式によって第1電極E1、第2電極E2それぞれの静電容量値を検出する。検出部104は、例えば、駆動信号を印加している第1電極E1、または、駆動信号を印加している第2電極E2を、静電容量値の検出対象とする。検出部104は、第1の制御が行われている場合、または、第2の制御が行われている場合に、第1電極E1を静電容量値の検出対象とする。また、検出部104は、第2の制御が行われている場合に、第2電極E2を静電容量値の検出対象とする。
スイッチ部102に対する操作を検出する場合、検出部104は、検出された第1電極E1の静電容量値と設定されている所定の閾値とを比較することによって、スイッチ部102に対して操作が行われたことを検出する。
ここで、本発明の実施形態に係る所定の閾値は、予め設定されている固定の閾値であってもよいし、検出部104における操作の検出結果などに基づいて変わる可変の閾値であってもよい。操作の検出結果に基づく可変の閾値の例としては、例えば、“検出部104において操作が検出された場合に、閾値として、検出部104において操作が検出される前に設定されている閾値よりも、より小さな値が設定されること”などが、挙げられる。
第1の制御が行われている場合、第1電極E1の静電容量は、例えば指などの操作体が第1電極E1に近づくことなどによって変化する。検出部104は、上記のように所定の閾値を用いた閾値処理によって、第1電極E1の静電容量の変化を捉え、スイッチ部102に対する操作を検出する。
具体的には、検出部104は、例えば、検出された第1電極E1の静電容量値が所定の閾値以上である場合(または、当該静電容量値が当該所定の閾値より大きい場合)に、スイッチ部102に対して操作が行われたことを検出する。
また、検出部104は、例えば、スイッチ部102に対する操作が検出された場合に、スイッチ部102に対して操作が行われたと判定する。
なお、検出部104における、スイッチ部102に対する操作の検出方法は、上記に限られない。例えば、検出部104は、所定の回数操作が検出された場合に、スイッチ部102に対する操作が行われたと判定することも可能である。本発明の実施形態に係る所定の回数は、予め設定されている固定の回数であってもよいし、制御部106や外部のコントローラからの命令に基づき変更可能な可変の回数であってもよい。
上記のように、検出部104が、所定の回数操作が検出された場合にスイッチ部102に対する操作が行われたと判定することによって、スイッチ部102に対する操作の誤検出が生じる可能性を、より低減することができる。
より具体的には、検出部104は、例えば下記の(I)に示す処理および下記の(II)に示す処理を行い、操作体以外による第1電極E1の静電容量の変化分を選択的に補正して、スイッチ部102に対する操作を検出する。以下では、操作体以外による第1電極E1の静電容量の変化分を、「第1電極E1の静電容量の変化分」と示す場合がある。
(I)操作体以外による第1電極E1の静電容量の変化量の算出処理
検出部104は、操作体以外による第1電極E1の静電容量の変化量を算出する。以下では、操作体以外による第1電極E1の静電容量の変化量を、「第1電極E1の静電容量の変化量」、または単に「変化量」と示す場合がある。
上述したように、第2の制御が行われることによって、操作体に起因する静電容量の影響が排除される。また、上述したように、入力装置100では、第2の制御が行われる場合における第2電極E2と基準電位点との間における静電容量CSGの変動をモニタリングすることによって、第1電極E1の静電容量Csの変動を検出することができる。
そこで、検出部104は、例えば、操作が検出されていない時点における第1電極E1の静電容量Csと、第2の制御が行われている複数の時点における、第2電極E2と基準電位点との間における静電容量CSGとに基づいて、操作体以外による第1電極E1の静電容量の変化量を算出する。
より具体的には、検出部104は、例えば下記の数式2に示す演算を行うことによって、操作体以外による第1電極E1の静電容量の変化量を算出する。
ここで、下記の数式2に示す“△Cs”は、第1電極E1の静電容量の変化量である。また、下記の数式2に示す“Cs”は、操作が検出されていない時点において検出される第1電極E1の静電容量であり、第1の制御が行われているときにおいて検出される第1電極E1の静電容量に該当する。また、下記の数式2に示す“CSG1”は、第2の制御が行われている第1の時点において検出される、第2電極E2と基準電位点との間における静電容量である。また、下記の数式2に示す“CSG2”は、第2の制御が行われている第2の時点(第2の時点は、第1の時点よりも後の時点)において検出される、第2電極E2と基準電位点との間における静電容量である。
例えば上記数式2に示す演算が行われることによって、ΔT(ΔTは、上記第1の時点と上記第2の時点との間の期間)が経過した後における静電容量CSGの変化率を利用して、ΔTが経過した後における第1電極E1の静電容量の変化量が、推定される。また、静電容量CSGの変化は、操作体に起因する静電容量の影響が排除されたものである。
よって、例えば上記数式2に示す演算により算出される第1電極E1の静電容量の変化量は、外部環境の変化による第1電極E1の静電容量Csの変化量であるといえる。
なお、第1電極E1の静電容量の変化量の算出方法は、上記数式2に示す演算を用いる方法に限られない。例えば、検出部104は、第2の制御が行われている3つ以上の時点における、第2電極E2と基準電位点との間における静電容量CSGを利用して、第1電極E1の静電容量の変化量を算出することも可能である。
検出部104は、例えば、第1電極E1の静電容量の変化量の算出を、定期的または非定期的に繰り返し行う。変化量が繰り返し算出される場合、検出部104は、下記の(II)の処理において、新たに算出された変化量を用いて第1電極E1の静電容量の変化分を補正する。
なお、検出部104は、第1電極E1の静電容量の変化量の算出を1回のみ行ってもよい。また、検出部104は、第1電極E1の静電容量の変化量の算出命令が取得されるまで、新たな変化量の算出を行わなくてもよい。上記算出命令は、例えば、本発明の実施形態に係る入力装置のユーザの所定の操作が行われた場合に、取得される。
(II)スイッチ部102に対する操作の検出処理
第1電極E1の静電容量の変化量が算出された場合、検出部104は、算出された変化量に基づいて第1電極E1の静電容量の変化分を補正して、スイッチ部102に対する操作を検出する。
検出部104は、例えば、“操作の検出に係る所定の閾値に、算出された変化量に対応する補正値を加算すること”、または、“検出された第1電極E1の静電容量値に、算出された変化量に対応する補正値を加算すること”によって、第1電極E1の静電容量の変化分を補正する。ここで、検出部104は、例えば、記憶部(図示せず)などの記録媒体に記憶されている“変化量と補正値とが対応付けられているテーブル(または、データベース)”を参照することによって、算出された変化量に対応する補正値を特定する。
なお、第1電極E1の静電容量の変化分を補正する方法(外部環境の変化に起因する第1電極の静電容量Csの変動分の補正方法)が、上記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
また、第1電極E1の静電容量の変化量が算出されていない場合には、検出部104は、第1電極E1の静電容量の変化分を補正せずに、スイッチ部102に対する操作を検出する。
(2)検出部104における処理の第2の例:第3の制御との切り替えを利用した操作の検出に係る処理
次に、検出部104における処理の第2の例として、第3の制御との切り替えを利用した操作の検出に係る処理について、説明する。
検出部104は、第3の制御が行われている場合、および第2の制御が行われている場合それぞれにおいて、第2電極E2を静電容量値の検出対象として静電容量値を検出する。第3の制御が行われている場合に検出される第2電極E2の静電容量値が、第1の初期静電容量値に該当する。また、第2の制御が行われている場合に検出される第2電極E2の静電容量値が、第2の初期静電容量値に該当する。
第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とがそれぞれ得られると、検出部104は、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とを比較して、スイッチ部102に対する操作を検出する。
検出部104は、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とが異なると判定された場合に、スイッチ部102に対する操作を検出する。
検出部104は、例えば、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値との差の絶対値を算出し、算出された差の絶対値が“0”(ゼロ)より大きい値である場合に、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とが異なると判定して、スイッチ部102に対する操作を検出する。また、検出部104は、例えば、算出された差の絶対値が、初期状態における操作検出に係る所定の閾値より大きい値である場合(または、当該差の絶対値が当該閾値以上の場合)に、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とが異なると判定して、スイッチ部102に対する操作を検出してもよい。
また、検出部104は、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とが異なると判定されない場合、すなわち、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とが同一であると判定された場合には、スイッチ部102に対する操作を検出しない。
検出部104は、例えば、算出された第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値との差の絶対値が“0”(ゼロ)である場合に、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とが同一であると判定して、スイッチ部102に対する操作を検出しない。また、検出部104は、例えば、算出された差の絶対値が、初期状態における操作検出に係る所定の閾値以下である場合(または、当該差の絶対値が当該閾値より小さい場合)に、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とが同一であると判定して、スイッチ部102に対する操作を検出しなくてもよい。
[3−2−2]検出部104の構成例
次に、上述した検出部104における処理を行うことが可能な、検出部104の構成の一例を説明する。
検出部104は、例えば、電圧源110と、測定回路112と、処理回路114と、スイッチング回路SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、SW7と、接地容量C1、C2とを有する。
電圧源110は、第1電極E1、または、第2電極E2を駆動させるための駆動信号(電圧信号)を出力する。なお、電圧源110は、入力装置100の外部の電圧源であってもよい。
測定回路112は、例えば、容量の充電時間を測定することによって、静電容量値(自己容量値)を検出する。測定回路112は、例えば、1または2以上のコンパレータなどを用いて容量の充電時間を測定し、測定された充電時間から容量値を求めることによって、静電容量値を検出する。
なお、測定回路112は、上記に示す例に限られない。測定回路112は、静電容量値を測定することが可能な任意の方法に対応する構成をとることが可能である。
処理回路114は、上述した検出部104における処理を行う。処理回路114は、測定回路112において検出された第1電極E1の静電容量値と第2電極E2の静電容量値とに基づいて、上記(1)に示す第1の例に係る検出部104における処理を行う。また、処理回路114は、測定回路112において検出された第2電極E2の静電容量値に基づいて、上記(2)に示す第2の例に係る検出部104における処理を行う。処理回路114は、例えば、制御部106から伝達される制御の内容を示す制御信号に基づいて、入力装置100において行われている制御を認識する。
より具体的には、上記(1)に示す第1の例に係る検出部104における処理を行う場合、処理回路114は、測定回路112において検出された第1電極E1の静電容量値に基づいて、スイッチ部102に対する操作を検出する。処理回路114は、第1の制御が行われているときにスイッチ部102に対する操作を検出する。また、処理回路114は、例えば上記(I)の処理および上記(II)の処理を行うことによって、第1電極E1の静電容量の変化分を補正して、スイッチ部102に対する操作を検出する。
ここで、処理回路114は、第1電極E1の静電容量の変化量が算出されている場合に、第1電極E1の静電容量の変化分を補正して、スイッチ部102に対する操作を検出する。また、第1電極E1の静電容量の変化量が算出されていない場合には、処理回路114は、第1電極E1の静電容量の変化分を補正せずに、スイッチ部102に対する操作を検出する。
また、上記(2)に示す第2の例に係る検出部104における処理を行う場合、処理回路114は、測定回路112において検出された第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とを比較して、スイッチ部102に対する操作を検出する。
処理回路114としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算回路で構成される、1または2以上のプロセッサなどが挙げられる。
スイッチング回路SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、SW7は、例えば、スイッチングトランジスタで構成され、印加される信号の信号レベル(電圧レベル)に応じてオン状態(導通状態)またはオフ状態(非導通状態)となる。
スイッチングトランジスタとしては、例えば、バイポーラトランジスタや、TFT(Thin Film Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)などのFET(Field-Effect Transistor)が挙げられる。
スイッチング回路SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、SW7それぞれのオン状態、オフ状態の切り替えの制御は、例えば、後述する制御部106により行われる。
なお、スイッチング回路SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、SW7は、スイッチングトランジスタに限られず、オン状態とオフ状態とを切り替えることが可能な任意の素子(または回路)であってもよい。
検出部104では、例えば下記の(a)、(b)、(c)に示すように、入力装置100において行われる制御に応じて、スイッチング回路SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、SW7それぞれのオン状態、オフ状態が切り替えられる。
(a)第1の制御が行われる場合
・スイッチング回路SW1、SW2、SW3、SW5:オン状態
・スイッチング回路SW4、SW6、SW7:オフ状態
(b)第2の制御が行われる場合
・スイッチング回路SW1、SW4、SW5、SW6:オン状態
・スイッチング回路SW2、SW3、SW7:オフ状態
(c)第3の制御が行われる場合
・スイッチング回路SW5、SW6:オン状態
・スイッチング回路SW1、SW2、SW3、SW4、SW7:オフ状態
例えば、上記(a)に示すようなスイッチング回路SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、SW7のオン・オフ制御が行われることによって、スイッチ部102を構成する第1電極E1および第2電極E2は、図1に示すような状態となる。また、例えば、上記(b)に示すようなスイッチング回路SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、SW7のオン・オフ制御が行われることによって、スイッチ部102を構成する第1電極E1および第2電極E2は、図3に示すような状態となる。また、例えば、上記(c)に示すようなスイッチング回路SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、SW7のオン・オフ制御が行われることによって、スイッチ部102を構成する第1電極E1および第2電極E2は、図4、図5に示すような状態となる。そして、検出部104では、測定回路112において、センサ電極として機能する電極の静電容量値(自己容量値)が検出される。
また、スイッチング回路SW7は、静電容量値の測定の初期化を行うためのスイッチング回路である。
例えば下記に示すようにスイッチング回路SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、SW7それぞれのオン状態、オフ状態が切り替えられることによって、静電容量値の測定の初期化が行われる。
・スイッチング回路SW7:オン状態
・スイッチング回路SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6:オフ状態
接地容量C1は、例えば、第1電極E1とスイッチング回路SW3との間に接続される。接地容量C1は、寄生容量であってもよいし、キャパシタなどの回路素子であってもよい。
接地容量C2は、例えば、第2電極E2とスイッチング回路SW5との間に接続される。接地容量C2は、寄生容量であってもよいし、キャパシタなどの回路素子であってもよい。
検出部104は、例えば図6に示す構成によって、第1電極E1の静電容量の変化に基づきスイッチ部102に対する操作を検出する。
なお、検出部104の構成は、図6に示す例に限られない。
例えば、検出部104は、第1電極E1、第2電極E2それぞれの静電容量値(自己容量値)を測定することが可能な、任意の構成をとることが可能である。また、検出部104は、第1電極E1を選択的に開放状態とすることが可能な、任意の構成をとることが可能である。
また、検出部104は、例えば、第1電極E1の静電容量値を測定する検出回路と、第2電極E2の静電容量値を測定する検出回路という複数の検出回路を備えていてもよい。
また、例えば、後述する制御部106が処理回路114と同様の処理を行う機能を有する場合には、検出部104は、処理回路114を備えていなくてもよい。
[3−3]制御部106
制御部106は、第1の制御(スイッチ部102に対する操作を検出するための制御)、または、第2の制御(操作体以外による第1電極E1の静電容量の変化量を取得するための制御)を行う。
制御部106は、検出部104において操作が検出されていないときには、第1の制御を行う。また、制御部106は、検出部104において操作が検出された後に、第1の制御と第2の制御とを交互に行う。制御部106は、例えば、所定の時間が経過するごとに、第2の制御を行う。
制御部106は、例えば、検出部104を構成するスイッチング回路SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、SW7それぞれに対して、オン状態・オフ状態を切り替えるための信号を伝達することによって、第1の制御または第2の制御を行う。
また、制御部106は、例えば、検出部104を構成する処理回路114に対して、各スイッチング回路のオン状態・オフ状態を切り替えさせる命令を含む制御信号を伝達することによって、第1の制御または第2の制御を行ってもよい。制御部106が制御信号を処理回路114に伝達する場合、検出部104では、処理回路114が、伝達される制御信号に基づいて、スイッチング回路SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、SW7それぞれに対して、オン状態・オフ状態を切り替えるための信号が伝達される。
なお、制御部106における制御は、上記に示す例に限られない。
例えば、制御部106は、入力装置100全体を制御する役目を果たしてもよい。
また、制御部106は、さらに、入力装置が初期状態であると判定された場合に、第3の制御と第2の制御とを順次に行ってもよい。
制御部106は、例えば、入力装置100の電源がオフ状態からオン状態に変化した場合、または、入力装置100を初期状態とする操作が検出された場合に、入力装置100が初期状態であると判定する。一例を挙げると、制御部106は、例えば、制御部106への電力供給が開始されたときに、入力装置100の電源がオフ状態からオン状態に変化したと判定して、入力装置100が初期状態であると判定する。また、制御部106は、例えば、リセット操作に応じた操作信号などの、特定の信号が検出されたときに、入力装置100を初期状態とする操作が検出されたと判定して、入力装置100が初期状態であると判定する。なお、制御部106が入力装置100が初期状態であると判定する処理が、上記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
入力装置が初期状態であると判定された場合、制御部106は、例えば、検出部104を構成するスイッチング回路SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6、SW7それぞれに対して、オン状態・オフ状態を切り替えるための信号を伝達することによって、第3の制御と第2の制御とを順次に行う。また、入力装置が初期状態であると判定された場合、制御部106は、例えば、検出部104を構成する処理回路114に対して、各スイッチング回路のオン状態・オフ状態を切り替えさせる命令を含む制御信号を伝達することによって、第3の制御と第2の制御とを順次に行ってもよい。
制御部106は、例えば、CPUなどの演算回路で構成される、1または2以上のプロセッサや各種処理回路などで構成される。
入力装置100は、例えば図6に示す構成を有する。
第1の制御が行われる場合、スイッチ部102を構成する第1電極E1および第2電極E2は、図1に示すような状態となる。また、第2の制御が行われる場合、スイッチ部102を構成する第1電極E1および第2電極E2は、図3に示すような状態となる。
また、検出部104は、第1電極E1の静電容量の変化量を算出し、算出された変化量に基づいて操作体以外による第1電極E1の静電容量の変化分を補正して、スイッチ部102に対する操作を検出する。
ここで、検出部104が算出する変化量は、上述したように、外部環境の変化による第1電極E1の静電容量Csの変化量であるといえる。つまり、スイッチ部102に対する操作が行われた後に、温度変化や湿度変化などの外部環境の変化が生じることによって、第1電極E1の静電容量Csが変動した場合であっても、検出部104は、静電容量Csが変動を補正した上で、スイッチ部102に対する操作を検出することができる。
したがって、図6に示す入力装置100は、図1を参照して示したような既存のキャンセル制御のみが行われる場合よりも、操作体による操作の検出精度の向上を図ることができる。
また、上述したように、図6に示す入力装置100は、入力装置が初期状態であると判定された場合、第3の制御と第2の制御とを順次に行ってスイッチ部102に対する操作を検出してもよい。
第3の制御が行われる場合、スイッチ部102を構成する第1電極E1および第2電極E2は、図4、図5に示すような状態となる。また、第2の制御が行われる場合、スイッチ部102を構成する第1電極E1および第2電極E2は、図3に示すような状態となる。
検出部104は、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とを比較して、スイッチ部102に対する操作を検出する。
ここで、第1の初期静電容量値と第2の初期静電容量値とを比較することによって、初期状態において操作体とセンサ電極との間に発生する静電容量Ctの有無を判別することが可能である。
したがって、図6に示す入力装置100は、初期状態であるときにユーザがセンサ電極に対して操作を行っているか否かを判別して、初期状態であるときにユーザがセンサ電極に対して行っている操作を検出することができる。
また、図6に示す入力装置100は、初期状態であるときにユーザがセンサ電極に対して行っている操作を検出することができるので、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
なお、本発明の実施形態に係る入力装置の構成は、図6に示す構成に限られない。
例えば、図6では、スイッチ部102を1つ備える例を示しているが、本発明の実施形態に係る入力装置は、スイッチ部102を複数備える構成であってもよい。つまり、本発明の実施形態に係る入力装置は、複数の自己容量式の静電スイッチを備える構成をとることも可能である。
また、図6では、電圧源110から出力される駆動信号が、第1電極E1および第2電極E2それぞれに印加される例を示しているが、本発明の実施形態に係る入力装置は、第2の制御を行う場合に、電圧源110と異なる電圧源から第1電極E1および第2電極E2それぞれに対して、駆動信号と同一波形の信号が印加される構成であってもよい。
また、例えば、図6に示すスイッチ部102、および検出部104と同様の機能を有する入力装置と、制御部106と同様の機能を有する処理装置(例えば、入力装置の外部のマイクロコンピュータなど)とによって、図6に示す入力装置100と同様の機能を有するシステムが、実現される。
[4]本発明の実施形態に係る入力装置の適用例
本発明の実施形態に係る入力装置は、例えば、車などの車両(または、車両システムを構成するUI(User Interface)部分など車両システムの一部)や、携帯電話やスマートフォンなどの通信装置、タブレット型の装置、テレビ受像機、PC(Personal Computer)などのコンピュータなど、様々なシステムや機器に適用することができる。
[5]本発明の実施形態に係るプログラム
コンピュータを、本発明の実施形態に係る入力装置として機能させるためのプログラム(例えば、図6に示す処理部114および制御部106として機能させるためのプログラム)が、コンピュータにおいてプロセッサなどにより実行されることによって、操作体による操作の検出精度の向上を図ることができる。
また、コンピュータを、本発明の実施形態に係る入力装置として機能させるためのプログラムが、コンピュータにおいてプロセッサなどにより実行されることによって、初期状態であるときにユーザがセンサ電極に対して行っている操作を検出し、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記では、コンピュータを、本発明の実施形態に係る入力装置として機能させるためのプログラム(コンピュータプログラム)が提供されることを示したが、本発明の実施形態は、さらに、上記プログラムを記憶させた記録媒体も併せて提供することができる。