以下、本発明に係る経路案内システム、及び経路案内プログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
[実施の形態の基本的概念]
まずは、実施の形態の基本的概念について説明する。
本発明に係る経路案内システムは、自動制御運転が可能な車両が走行する経路の案内を行うシステムである。ここで、「自動制御運転」とは、人が運転操作を行わなくとも車両が自動的に走行できるように制御する運転を意味し、例えば、官民ITS構想・ロードマップにおける自動走行システムの分類のうちレベル2からレベル4のいずれか1つに対応する運転等が該当する。また、「経路」とは、出発地から目的地に至るルートである。また、「出発地」とは、ユーザが移動を開始する地点であり、「目的地」とは、ユーザの移動の目的となる地点である。また、「経路の区間」の種類には、例えば、「自動制御運転連続可能区間」と、「手動制御運転区間」とがある。このうち、「自動制御運転連続可能区間」とは、車両の自動制御運転が連続して可能な区間を意味し、実施の形態では、「第1自動制御運転連続可能区間」と、「第1自動制御運転連続可能区間」に比べて自動制御運転の安全性を確保しづらい区間である「第2自動制御運転連続可能区間」とが該当する。また、「手動制御運転区間」とは、車両の自動制御運転の安全を確保することが困難であるために、車両の手動制御運転が行われる区間を意味する。また、「手動制御運転」とは、人による運転操作によって車両が走行できるように制御する運転を意味し、例えば、上記自動走行システムの分類のうちレベル1に対応する運転、又は自動制御運転を全く行わない運転等が該当する。
また、実施の形態においては、車載用ナビゲーション装置(以下、車載装置)に経路案内プログラムをインストールすることにより、車載装置が経路案内システムとして機能する場合について説明する。ただし、これに限られず、例えば、スマートフォンや携帯用ナビゲーション装置を含む任意の装置によって経路案内システムを構成してもよい。また、経路案内システムにおける車載装置としての機能については、公知の車載用ナビゲーション装置と同様の構成により得ることができるので、その説明は省略することとする。なお、以下では、この車載装置を搭載した車両(車載装置を操作するユーザが搭乗する車両)を「自車両」と称して説明する。また、「自車両」とは、例えば、四輪自動車、二輪自動車、及び自転車等を含む概念であるが、以下では、車両が四輪自動車である場合について説明する。
[実施の形態の具体的内容]
続いて、実施の形態の具体的内容について説明する。
(構成)
最初に、実施の形態に係る経路案内システムが適用される車載装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る車載装置を例示するブロック図である。図1に示すように、車載装置1は、概略的に、現在位置取得部11、車載カメラ12、通信部13、タッチパッド14、ディスプレイ15、スピーカ16、制御部17、及びデータ記録部18を備えている。
(構成−現在位置取得部)
現在位置取得部11は、自車両の現在位置を取得する現在位置取得手段である。この現在位置取得部11は、例えば、GPS受信機を用いて構成されており、現在の自車両の位置及び方位等を公知の方法にて検出する。
(構成−車載カメラ)
車載カメラ12は、自車両の外部状況(特に、道路の路面上における白線や路面ペイント等)を撮像するための撮像手段である。この車載カメラ12は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いた公知のカメラを用いて構成されており、車載カメラ12の光軸方向が車両の進行方向前方となるように設置されている。
(構成−通信部)
通信部13は、ネットワークを介して図示しない外部装置(例えば、センタ装置等)との間で通信するための通信手段である。この通信部13の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の移動体無線通信手段や、FM多重放送やビーコンを介した公知のVICS(登録商標)システム用の無線通信手段を用いることができる。
(構成−タッチパッド)
タッチパッド14は、ユーザの指等で押圧されることにより、当該ユーザから各種操作入力を受け付ける操作手段である。このタッチパッド14の具体的な構成は任意であるが、例えば、抵抗膜方式や静電容量方式等による操作位置検出手段を備えた公知のものを用いることができる。
(構成−ディスプレイ)
ディスプレイ15は、制御部17の制御に基づいて各種の画像を表示する表示手段である。このディスプレイ15の具体的な構成は任意であるが、例えば、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイ等を用いることができる。なお、上記のタッチパッド14とディスプレイ15をタッチパッド14として一体形成しても構わない。
(構成−スピーカ)
スピーカ16は、制御部17の制御に基づいて各種の音声を出力する音声出力手段である。スピーカ16より出力される音声の具体的な態様は任意であり、必要に応じて生成された合成音声や、予め録音された音声を出力することができる。
(構成−制御部)
制御部17は、車載装置1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、実施の形態に係る経路案内プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して車載装置1にインストールされることで、制御部17の各部を実質的に構成する。
また、この制御部17は、図1に示すように、機能概念的に、探索部17a、特定部17b、決定部17c、及び案内部17dを備えている。探索部17aは、経路を複数探索する探索手段である。特定部17bは、自動制御運転連続可能区間を特定する特定手段である。決定部17cは、探索部17aにて探索された複数の経路の中から、特定部17bにて特定された自動制御運転連続可能区間に基づいて、案内すべき経路(以下、「推奨経路」と称する)を決定する決定手段である。案内部17dは、決定部17cにて決定された推奨経路の案内を行う案内手段である。なお、この制御部17によって実行される処理の詳細については後述する。
(構成−データ記録部)
データ記録部18は、車載装置1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、DVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体、又はFlash Rom、USBメモリ、SDカードの如き電気的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
また、このデータ記録部18は、地図データベース(以下、データベースを「DB」と称する)18aを備えている。地図DB18aは、地図情報を格納する地図情報格納手段である。また、「地図情報」とは、道路、道路構造物、施設等を含む各種の位置の特定に必要な情報であり、例えば、道路上に設定された各ノードに関するノードデータ(例えばノードID、座標等)や、道路上に設定された各リンクに関するリンクデータ(例えばリンクID、リンク名、接続ノードID、道路座標、道路種別(例えば、有料道路等)、レーン数、道路の曲率半径等)、地物データ(例えば信号機、道路標識、ガードレール、トンネル、施設等)、地形データ等を含んで構成されている。
(処理)
次に、このように構成される車載装置1によって実行される処理について説明する。この車載装置1によって実行される処理は、経路案内処理と、更新処理とに大別される。以下、経路案内処理と、更新処理とのそれぞれについて説明する。
(処理−経路案内処理)
まず、経路案内処理について説明する。図2は、実施の形態に係る経路案内処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。経路案内処理は、後述する第1推奨経路を案内する処理である。この経路案内処理を実行するタイミングは任意であるが、実施の形態では、車載装置1の電源が投入された後に起動されるものとして説明する。
経路案内処理が起動されると、図2に示すように、SA1において制御部17は、出発地及び目的地の設定指示が受け付けられたか否かを判定する。ここで、出発地の設定方法については任意であるが、例えば、タッチパッド14を介してユーザの所定操作が受け付けられることで設定したり、又はSA1の処理時に現在位置取得部11にて取得された自車両の現在位置を出発地として設定する。また、目的地の設定方法については任意であるが、例えば、タッチパッド14を介してユーザの所定操作が受け付けられることで設定する。そして、制御部17は、出発地及び目的地の設定指示が受け付けられるまで待機し(SA1、No)、当該設定指示が受け付けられた場合(SA1、Yes)、SA2へ移行する。
SA2において制御部17は、探索条件の設定指示が受け付けられたか否かを判定する。この探索条件の設定方法については任意であるが、例えば、ディスプレイ15の画面上の領域のうち探索条件を設定する探索条件設定領域(図示省略)に、探索条件(例えば、距離優先条件、時間優先条件、又は燃費優先条件等)を特定する情報を一覧表示させ、これら探索条件を特定する情報のいずれか1つをタッチパッド14を介してユーザが選択することにより設定する。そして、制御部17は、探索条件の設定指示が受け付けられるまで待機し(SA2、No)、探索条件の設定指示が受け付けられた場合(SA2、Yes)、SA3へ移行する。
SA3において探索部17aは、SA1にて設定された出発地及び目的地、SA2にて設定された探索条件、及び地図DB18aに格納されている地図情報に基づいて、複数の経路を探索する(例えば、SA2にて設定された探索条件を満たす所定数の経路(一例として、当該探索条件を満たす順位のうち上位5つの経路等)を探索する等)。
SA4において制御部17は、SA3にて探索された複数の経路の各々に対応する道路環境情報を外部装置(図示省略)から取得する。ここで、「道路環境情報」とは、道路の環境に関する情報であり、例えば、車両が走行する地域の天候状況(一例として、降雨状況、降雪状況、濃霧状況等)を特定する道路天候状況情報、車両が走行する地域の路面状況(一例として、冠水状況、積雪状況等)を特定する道路路面状況情報、道路の交通状況(一例として、工事状況、事故状況等)を特定する道路交通状況情報等を含む概念である。また、道路環境情報の取得方法については任意であるが、例えば、SA3にて探索された複数の経路の各々を構成するリンクを一意に特定するリンクIDを地図DB18aから取得し、当該取得したリンクIDを含む要求情報(以下、「第1要求情報」と称する)を外部装置に送信し、第1要求情報に含まれるリンクIDに対応する道路環境情報を外部装置から受信することにより取得する。
SA5からSA9の間のループにおいて制御部17は、SA3にて探索された複数の経路をそれぞれ対象として、SA6からSA8の処理を順次行う。以下では、SA5からSA9の間のループにおいて処理対象となる経路を「第1対象経路」と称する。
SA5からSA9の間のループにおいては、最初にSA6、SA7において制御部17は、手動制御運転区間特定処理、第2自動制御運転連続可能区間特定処理を順次起動する。
(処理−経路案内処理−手動制御運転区間特定処理)
次に、図2のSA6の手動制御運転区間特定処理について説明する。図3は、手動制御運転区間特定処理のフローチャートである。手動制御運転区間特定処理は、手動制御運転区間を特定するための処理である。
図3に示すように、SB1からSB6の間のループにおいて制御部17は、対象経路を構成する複数のリンクをそれぞれ対象として、SB2からSB5の処理を順次行う。以下では、SB1からSB6の間のループにおいて処理対象となるリンクを「第1対象リンク」と称する。
SB1からSB6の間のループにおいては、最初にSB2において特定部17bは、SA4にて取得された道路環境情報(特に、道路天候状況情報)及び地図DB18aに格納されている地図情報に基づいて、第1対象リンク(又は第1対象リンクが位置する地域)の天候であって自車両が通行する時点の天候が悪天候であるか否かを判定する。このような判定を行う理由は、悪天候により車載カメラ12にて撮像された画像に基づいて自車両の前方又は後方に位置する障害物を画像認識することが非常に難しいリンクや、悪天候により自車両がスリップすること等で自動制御運転に非常に高度な制御が求められるリンクを手動制御運転区間として特定するためである。また、上記天候が悪天候であるか否かの判定方法については任意であるが、例えば、地図情報及びデータ記録部18にあらかじめ格納された所定の車速に基づいて、現在位置取得部11にて取得された自車両の現在位置から第1対象リンクに到着するまでの時刻(以下、「予想通行時刻」と称する)を算出し、当該算出された予想通行時刻に対応する道路天候状況情報を参照しながら、第1対象リンクの予想降雨量(又は予想降雪量)がデータ記録部18にあらかじめ格納された閾値以上(一例として、1時間あたり20mm以上等)であるか否かに基づいて判定したり、又は、第1対象リンクに濃霧(視程(水平方向における見通せる距離)が陸上でおよそ100m以下である霧)が発生するか否かに基づいて判定する。ここで、第1対象リンクの予想降雨量(又は予想降雪量)が閾値以上である場合、又は第1対象リンクに濃霧が発生する場合には、上記天候が悪天候であると判定し、第1対象リンクの予想降雨量(又は予想降雪量)が閾値以上でない場合、又は第1対象リンクに濃霧が発生しない場合には、上記天候が悪天候でないと判定する。そして、制御部17は、上記天候が悪天候でないと判定された場合(SB2、No)にはSB3に移行し、上記天候が悪天候であると判定された場合(SB2、Yes)にはSB5に移行する。
SB3において特定部17bは、SA4にて取得された道路環境情報(特に、道路路面状況情報)に基づいて、自車両が第1対象リンクを通過する時点で車載カメラ12にて撮像された画像から第1対象リンクの路面ペイントを画像認識できるか否かを判定する。このような判定を行う理由は、道路の路面状況が悪いこと(例えば、道路が冠水していること等)で車載カメラ12にて撮像された画像に基づいて路面ペイントを画像認識することが非常に難しいリンクを手動制御運転区間として特定するためである。また、上記路面ペイントを画像認識できるか否かの判定方法については任意であるが、例えば、SB2にて算出された予想通行時刻に対応する道路路面状況情報を参照しながら、第1対象リンクの予想冠水量(又は予想積雪量)がデータ記録部18にあらかじめ格納された閾値以上(一例として10mm以上等)であるか否かに基づいて判定する。ここで、第1対象リンクの予想冠水量(又は予想積雪量)が閾値以上でない場合には、上記路面ペイントが画像認識できると判定し、第1対象リンクの予想冠水量(又は予想積雪量)が閾値以上である場合には、上記路面ペイントが画像認識できないと判定する。そして、制御部17は、上記路面ペイントが画像認識できると判定された場合(SB3、Yes)にはSB4に移行し、上記路面ペイントが車載カメラ12によって画像認識できないと判定された場合(SB3、No)にはSB5に移行する。
SB4において特定部17bは、SA4にて取得された道路環境情報(特に、道路交通状況情報)及び地図DB18aに格納されている地図情報(特に、リンクデータ)に基づいて、第1対象リンクのレーンのうち自車両が走行するレーン(以下、「走行レーン」と称する)において自車両がレーンの変更を行う必要があるか否かを判定する。このような判定を行う理由は、自車両のレーン変更により自車両が他の車両と衝突しやすいこと等で自動制御運転に非常に高度な制御が求められるリンクを手動制御運転区間として特定するためである。また、上記レーンの変更を行う必要があるか否かの判定方法については任意であるが、例えば、第1対象リンクに対応する道路交通状況情報を参照しながら、走行レーンで道路工事が行われているか否かに基づいて判定する。あるいは、第1対象リンク及びその周辺のリンクに対応するリンクデータを参照しながら、第1対象リンクのレーン数が当該第1対象リンクよりも1つ先のリンクのレーン数よりも少ない場合に、走行レーンが上記先のリンクにアクセスできないレーンに該当するか否かに基づいて判定する。ここで、走行レーンで道路工事が行われている場合、又は走行レーンが上記先のリンクにアクセスできないレーンに該当する場合には、上記レーンの変更を行う必要があると判定し、走行レーンで道路工事が行われていない場合、又は走行レーンが上記先のリンクにアクセスできないレーンに該当しない場合には、上記レーンの変更を行う必要がないと判定する。そして、制御部17は、上記レーンの変更を行う必要があると判定された場合(SB4、Yes)にはSB5に移行し、上記レーンの変更を行う必要がないと判定された場合(SB4、No)には、他のリンクを第1対象リンクとして、SB2からSB5の処理を再び繰り返す。
SB5において特定部17bは、SB2にて上記天候が悪天候であると判定され、SB3にて上記路面ペイントが車載カメラ12によって画像認識できないと判定され、又はSB4にて上記レーンの変更を行う必要があると判定された第1対象リンクを手動制御運転連続可能区間として特定する。その後、制御部17は、他のリンクを第1対象リンクとして、SB2からSB5の処理を再び繰り返す。
以上のように、SB1からSB6の間のループにおいて、対象経路を構成する複数のリンクの全てを対象として、SB2からSB5の処理が順次行われた後、制御部17は、手動制御運転区間特定処理を終了し、図2の経路案内処理に戻る。
このような手動制御運転区間特定処理により、車載カメラ12にて撮像された画像の画像認識が非常に困難なリンク、又は自車両の自動制御運転に非常に高度な制御が求められるリンクを手動制御運転区間として確実に特定できるので、後述する第1推奨経路を自車両が走行する際の安全性を確保することができる。
(処理−経路案内処理−第2自動制御運転連続可能区間特定処理)
次に、図2のSA7の第2自動制御運転連続可能区間特定処理について説明する。図4は、第2自動制御運転連続可能区間特定処理のフローチャートである。第2自動制御運転連続可能区間特定処理は、第2自動制御運転連続可能区間を特定するための処理である。
図4に示すように、SC1からSC8の間のループにおいて制御部17は、対象経路を構成する複数のリンクのうち、SA6にて手動制御運転連続可能区間として特定されなかったリンクを対象として、SC2からSC7の処理を順次行う。以下では、SC1からSC8の間のループにおいて処理対象となるリンクを「第2対象リンク」と称する。
SC1からSC8の間のループにおいては、最初にSC2において特定部17bは、地図DB18aに格納されている地図情報(特に、リンクデータ、地物データ)に基づいて、第2対象リンクにトンネルの入口が存在するか否かを判定する。このような判定を行う理由は、トンネルの入口付近が暗いことで車載カメラ12にて撮像された画像に基づいて路面ペイントを画像認識することが比較的難しいリンクを第2自動制御運転連続可能区間として特定するためである。そして、制御部17は、第2対象リンクにトンネルの入口が存在しないと判定された場合(SC2、No)にはSC3に移行し、第2対象リンクにトンネルの入口が存在すると判定された場合(SC2、Yes)にはSC7に移行する。
SC3において特定部17bは、地図DB18aに格納されている地図情報(特に、リンクデータ、地物データ)に基づいて、第2対象リンクにトンネルの出口が存在するか否かを判定する。このような判定を行う理由は、トンネルの出口付近では天候が急変しやすいこと(例えば、トンネルの入口付近に比べて強風が吹く等)で自動制御運転に比較的高度な制御が求められるリンクを第2自動制御運転連続可能区間として特定するためである。そして、制御部17は、第2対象リンクにトンネルの出口が存在しないと判定された場合(SC3、No)にはSC4に移行し、第2対象リンクにトンネルの出口が存在すると判定された場合(SC3、Yes)にはSC7に移行する。
SC4において特定部17bは、地図DB18aに格納されている地図情報(特に、リンクデータ)に基づいて、第2対象リンクに急なコーナが存在するか否かを判定する。このような判定を行う理由は、急なコーナの走行により自車両がふらつきやすいこと等で自動制御運転に比較的高度な制御が求められるリンクを第2自動制御運転連続可能区間として特定するためである。また、上記急なコーナが存在するか否かの判定方法については任意であるが、例えば、第2対象リンクの曲率半径がデータ記録部18にあらかじめ格納された閾値以上(一例として、200m以上等)であるか否かに基づいて判定する。ここで、第2対象リンクの曲率半径が閾値以上でない場合には、上記急なコーナが存在すると判定し、第2対象リンクの曲率半径が閾値以上である場合には、上記急なコーナが存在しないと判定する。そして、制御部17は、上記急なコーナが存在しないと判定された場合(SC4、No)にはSC5に移行し、上記急なコーナが存在すると判定された場合(SC4、Yes)にはSC7に移行する。
SC5において特定部17bは、SA4にて取得された道路環境情報(特に、道路天候状況情報)に基づいて、第2対象リンク(又は第2対象リンクが位置する地域)を自車両が通行する時点で、夜間且つ天候が降雨であるか否かを判定する。このような判定を行う理由は、夜間及び降雨により車載カメラ12にて撮像された画像に基づいて路面ペイントを画像認識することが比較的難しいリンクを第2自動制御運転連続可能区間として特定するためである。また、上記夜間且つ天候が降雨であるか否かの判定方法については任意であるが、例えば、SB2にて算出された予想通行時刻が所定の時間帯内(一例として、夜6時から朝6時までの時間帯等)であり、且つ、SB2にて算出された予想通行時刻に対応する道路天候状況情報を参照しながら、第2対象リンクで降雨が予想されているか否かを判定する。ここで、上記予想通行時刻が所定の時間帯内であり、且つ、第2対象リンクで降雨が予想されている場合には、上記夜間且つ天候が降雨であると判定し、上記予想通行時刻が所定の時間帯内ではなく、又は、第2対象リンクで降雨が予想されていない場合には、上記夜間且つ天候が降雨ではないと判定する。そして、制御部17は、上記夜間且つ天候が降雨でないと判定された場合(SC5、No)にはSC6に移行し、上記夜間且つ天候が降雨であると判定された場合(SC5、Yes)にはSC7に移行する。
SC6において特定部17bは、SA4にて取得された道路環境情報(特に、道路交通状況情報)及び地図DB18aに格納されている地図情報(特に、リンクデータ)に基づいて、第2対象リンクのレーンのうち走行レーン以外の他のレーン(以下、「他のレーン」と称する)において他の車両がレーンの変更を行う必要があるか否かを判定する。このような判定を行う理由は、他の車両のレーン変更により自車両が他の車両と衝突しやすいこと等で自動制御運転に比較的高度な制御が求められるリンクを第2自動制御運転連続可能区間として特定するためである。また、この上記レーンの変更を行う必要があるか否かの判定方法については任意であるが、例えば、第2対象リンクに対応する道路交通状況情報を参照しながら、他のレーンで道路工事が行われているか否かに基づいて判定する。あるいは、第2対象リンク及びその周辺のリンクに対応するリンクデータを参照しながら、第2対象リンクのレーン数が当該第2対象リンクよりも1つ先のリンクのレーン数よりも少ない場合に、他のレーンが上記先のリンクにアクセスできないレーンに該当するか否かに基づいて判定する。ここで、他のレーンで道路工事が行われている場合、又は他のレーンが上記先のリンクにアクセスできないレーンに該当する場合には、上記レーンの変更を行う必要があると判定し、他のレーンで道路工事が行われていない場合、又は他のレーンが上記先のリンクにアクセスできないレーンに該当しない場合には、上記レーンの変更を行う必要がないと判定する。そして、制御部17は、上記レーンの変更を行う必要があると判定された場合(SC6、Yes)にはSC7に移行し、上記レーンの変更を行う必要がないと判定された場合(SC6、No)には、他のリンクを第2対象リンクとして、SC2からSC7の処理を再び繰り返す。
SC7において特定部17bは、SC2にて第2対象リンクにトンネルの入口が存在すると判定され、SC3にて第2対象リンクにトンネルの出口が存在すると判定され、SC4にて第2対象リンクに急なコーナが存在すると判定され、SC5にて上記夜間且つ天候が降雨であると判定され、又は、SC6にて上記レーンの変更を行う必要があると判定された場合に、第2対象リンクを第2自動制御運転連続可能区間として特定する。その後、制御部17は、他のリンクを第2対象リンクとして、SC2からSC7の処理を再び繰り返す。
以上のように、SC1からSC8の間のループにおいて、対象経路を構成する複数のリンクのうち第2対象リンクになり得る全てのリンクを対象として、SC2からSC7の処理が順次行われた後、制御部17は、第2自動制御運転連続可能区間特定処理を終了し、図2の経路案内処理に戻る。
このような第2自動制御運転連続可能区間特定処理により、車載カメラ12にて撮像された画像の画像認識が比較的困難なリンク、又は自車両の自動制御運転に比較的高度な制御が求められるリンクを第2自動制御運転連続可能区間として確実に特定できるので、後述する第1推奨経路を自車両が走行する際の安全性を一層確保することができる。
次に、図2に示すように、SA8において特定部17bは、SA6にて特定された手動制御運転区間、SA7にて特定された第2自動制御運転連続可能区間、及び地図DB18aに格納されている地図情報(特に、リンクデータ)に基づいて、対象経路に対応する第1自動制御運転連続可能区間を特定する。具体的には、特定部17bは、対象経路を構成する複数のリンクの中から、SA6にて手動制御運転区間として特定されたリンク及びSA7にて第2自動制御運転連続可能区間として特定されたリンク以外のリンクを特定し、当該特定されたリンクを第1自動制御運転連続可能区間として特定する。その後、制御部17は、他の経路を対象経路として、SA6からSA8の処理を再び繰り返す。
以上のように、SA5からSA9の間のループにおいて、SA3にて探索された複数の経路の全てを対象として、SA6からSA8の処理が順次行われた後、SA10において決定部17cは、SA7にて特定された第2自動制御運転連続可能区間及びSA8にて特定された第1自動制御運転連続可能区間に基づいて、案内すべき推奨経路(以下、「第1推奨経路」と称する)を決定する。
ここで、第1推奨経路の決定方法については任意であるが、以下に示す通りに決定することができる。
すなわち、例えば、上記探索された複数の経路の中から、自動制御運転連続可能区間(第1自動制御運転連続可能区間、及び第2自動制御運転連続可能区間)の合計距離が最も長い経路を、第1推奨経路として決定してもよい。具体的には、地図DB18aに格納されている地図情報(特に、リンクデータ)に基づいて、上記探索された複数の経路の各々の区間のうち、第1自動制御運転連続可能区間の合計距離と、第2自動制御運転連続可能区間の合計距離とをそれぞれ算出した後、当該算出したこれら合計距離の総和をそれぞれ算出する。そして、これら算出した総和の中から最大となる総和を特定し、当該特定した総和に対応する経路を第1推奨経路として決定する。このような決定により、自動制御運転連続可能区間の合計距離が最も長い経路を第1推奨経路としてユーザに提示でき、ユーザが自動制御運転の距離を優先させた走行を行うことが可能となる。
また、上記探索された複数の経路の中から、自動制御運転連続可能区間の平均距離又は最大距離が最も長い経路を、第1推奨経路として決定してもよい。具体的には、自動制御運転連続可能区間の平均距離が最も長い経路を第1推奨経路とする場合には、地図DB18aに格納されている地図情報に基づいて、上記探索された複数の経路の各々の区間のうち、第1自動制御運転連続可能区間又は第2自動制御運転連続可能区間の連続距離をそれぞれ算出し、当該算出した連続距離を当該連続距離の算出対象となった区間の個数でそれぞれ除算し、当該除算した値(すなわち平均距離)の中から最大となる平均距離を特定し、当該特定した平均距離に対応する経路を第1推奨経路として決定する。ここで、「連続距離」とは、例えば、第1自動制御運転連続可能区間又は第2自動制御運転連続可能区間のいずれか1つのみからなる単独の距離や、第1自動制御運転連続可能区間及び第2自動制御運転連続可能区間からなる複数の距離等が該当する。また、自動制御運転連続可能区間の最大距離が最も長い経路を第1推奨経路とする場合には、上記探索された複数の経路の各々の区間のうち、第1自動制御運転連続可能区間又は第2自動制御運転連続可能区間の連続距離をそれぞれ算出し、当該算出した連続距離の中から最大となる連続距離を特定し、当該特定した連続距離に対応する経路を第1推奨経路として決定する。あるいは、例えば、複数の経路の区間のうち、特定の地域(一例として、ユーザが走行し慣れた地域、走行によるユーザの疲労が比較的高くなることが予想される地域等)以外の地域に含まれる区間において、自動制御運転連続可能区間の平均距離又は最大距離が最も長い経路を、第1推奨経路として決定してもよい。一例として、特定の地域=ユーザが走行し慣れた地域である場合には、第1自動制御運転連続可能区間又は第2自動制御運転連続可能区間の連続距離をそれぞれ算出し、データ記録部18に格納された自車両の過去の走行履歴情報に基づいて当該算出した連続距離の中から上記他の地域に含まれる区間において最大となる連続距離を特定し、当該特定した連続距離に対応する経路を第1推奨経路として決定してもよい(なお、後述する第1自動制御運転連続可能区間の最大距離が最も長い経路を第1推奨経路として決定する場合についても同様とする)。このような決定により、自動制御運転連続可能区間の平均距離又は最大距離が最も長い経路を第1推奨経路としてユーザに提示でき、ユーザが自動制御運転の運転効率を優先させた走行を行うことが可能となる。
また、上記探索された複数の経路の中から、第1自動制御運転連続可能区間の平均距離又は最大距離が最も長い経路を、第1推奨経路として決定してもよい。具体的には、第1自動制御運転連続可能区間の平均距離が最も長い経路を第1推奨経路とする場合には、地図DB18aに格納されている地図情報に基づいて、上記探索された複数の経路の各々の区間のうち、第1自動制御運転連続可能区間の連続距離(すなわち、上記単独の距離)をそれぞれ算出し、当該算出した連続距離を当該連続距離の算出対象となった区間の個数でそれぞれ除算し、当該除算した値(すなわち平均距離)の中から最大となる平均距離を特定し、当該特定した平均距離に対応する経路を第1推奨経路として決定する。また、第1自動制御運転連続可能区間の最大距離が最も長い経路を第1推奨経路とする場合には、上記探索された複数の経路の各々の区間のうち、第1自動制御運転連続可能区間の連続距離をそれぞれ算出し、当該算出した連続距離の中から最大となる連続距離を特定し、当該特定した連続距離に対応する経路を第1推奨経路として決定する。このような決定により、第1自動制御運転連続可能区間の平均距離又は最大距離が最も長い経路を第1推奨経路としてユーザに提示でき、ユーザが安全性を優先させた走行を行うことが可能となる。
また、上記探索された複数の経路の中から、所定方法で指定された到着予定時間(例えば、タッチパッド14を介してユーザが入力された到着予定時間等)に間に合う可能性がある経路のうち自動制御運転連続可能区間の連続距離が最も長い経路を、第1推奨経路として決定してもよい。具体的には、地図DB18aに格納されている地図情報(特に、リンクデータ)と、データ記録部18にあらかじめ格納された所定の車速とに基づいて、上記探索された複数の経路の各々の到着予定時間をそれぞれ算出し、当該算出した到着予定時間の中から上記指定された到着予定時間以下となる到着予定時間を特定する。そして、上記特定した到着予定時間に対応する経路の区分のうち、第1自動制御運転連続可能区間又は第2自動制御運転連続可能区間の連続距離をそれぞれ算出し、当該算出した連続距離の中から最大となる連続距離を特定し、当該特定した連続距離に対応する経路を第1推奨経路として決定する。このような決定により、到着予定時間に間に合う可能性がある経路のうち自動制御運転連続可能区間の連続距離が最も長い経路を第1推奨経路としてユーザに提示でき、ユーザが時間を優先させた走行を行うことが可能となる。
また、上記探索された複数の経路の中から、異なる区間に切り替わる回数(以下、「切替回数」と称する)が最も少ない経路を、第1推奨経路として決定してもよい。具体的には、上記探索された複数の経路の各々の区間に基づいて異なる区間への切替回数をそれぞれ算出し、当該算出した切替回数の中から最少となる切替回数を特定し、当該特定した切替回数に対応する経路を第1推奨経路として決定する。このような決定により、異なる区間への切替回数が最も少ない経路を第1推奨経路としてユーザに提示でき、ユーザが運転効率を優先させた走行を行うことが可能となる。
SA11において案内部17dは、SA10にて決定された第1推奨経路の案内を行う。この第1推奨経路の案内方法については任意であるが、例えば、上述された決定方法のいずれか1つのみを用いて1つの第1推奨経路が決定された場合には、ディスプレイ15の画面上の領域のうち第1推奨経路又は後述する第2推奨経路を案内する案内領域(図示省略)に、この第1推奨経路をディスプレイ15に表示された地図に対して重ねて表示することで案内する。また、上述された複数の決定方法を用いて複数の第1推奨経路が決定された場合には、まず、ディスプレイ15の画面上の領域のうち第1推奨経路を選択する選択領域(図示省略)に、複数の第1推奨経路を一覧表示させ、複数の第1推奨経路のいずれか1つをタッチパッド14を介してユーザが選択する。そして、ディスプレイ15の画面上の領域のうち上記案内領域に、上記選択された第1推奨経路をディスプレイ15に表示された地図に対して重ねて表示することで案内してもよい。これにて、制御部17は、経路案内処理を終了する。
このような経路案内処理により、第1推奨経路に自動制御運転を実施することが困難となる区間(すなわち、手動制御運転区間)が含まれている場合でも、全体的に自動制御運転にとって最適な第1推奨経路をユーザに提示することができ、経路案内におけるユーザの利便性を向上させることが可能となる。
(処理−更新処理)
次に、更新処理について説明する。図5は、更新処理のフローチャートである。図6は、図5に続く更新処理のフローチャートである。更新処理は、推奨経路の更新を行う処理である。この更新処理を実行するタイミングは任意であるが、実施の形態では、車載装置1の電源が投入された後に起動され、経路案内処理と並行して実行される。なお、実施の形態においては、後述する更新処理のSD1にて所定のタイミングが到来した場合には経路案内処理が中断されるものとし、更新処理が終了した場合には経路案内処理の中断が解除されるものとする。また、更新処理においては、図5のSD5からSD9は、図2のSA5からSA9と同様であるので、説明を省略する。
更新処理が起動されると、図5に示すように、SD1において制御部17は、推奨経路の更新を行う所定のタイミング(以下、「更新タイミング」と称する)が到来したか否かを判定する。この更新タイミングが到来したか否かの判定方法については任意であるが、例えば、定期的なタイミング(例えば、5分間隔のタイミング等)が到来したか否かに基づいて判定したり、又は、外部装置から推奨経路の更新を行う旨の指示信号を受信したか否かに基づいて判定する。ここで、上記定期的なタイミングが到来した場合、又は上記指示信号を受信した場合には、更新タイミングが到来したと判定し、上記定期的なタイミングが到来していない場合、又は上記指示信号を受信していない場合には、更新タイミングが到来していないと判定する。そして、制御部17は、上記更新タイミングが到来するまで待機し(SD1、No)、上記更新タイミングが到来したと判定された場合(SD1、Yes)にはSD2へ移行する。
SD2において制御部17は、イベント開始時刻を特定する。ここで、「イベント開始時刻」とは、目的地に到着した後に当該目的地又はその周辺地域で実施されるイベントであってユーザに関連するイベント(例えば、目的地で開催され、且つユーザが参加する音楽イベント等)が開始される時刻を意味する。このイベント開始時刻の特定方法については任意であるが、例えば、タッチパッド14を介してユーザが目的地を入力された時刻をイベント開始時刻として特定する(なお、この更新処理が繰り返し行われる場合には、例えば1回目のSD2にて特定されたイベント開始時刻を2回目以降のSD2においても同様に特定してもよい)。
SD3において探索部17aは、経路案内処理のSA2にて設定された探索条件、及び地図DB18aに格納されている地図情報に基づいて、SD3の処理時に現在位置取得部11にて取得された自車両の現在位置からSA1にて設定された目的地に至るまでの経路を複数再探索する。
SD4において制御部17は、SD3にて再探索された複数の経路の各々に対応する道路環境情報を外部装置(図示省略)から取得する。
SD5からSD9の間のループにおいて、SD3にて再探索された複数の経路の全てを対象として、SD6からSD8の処理が順次行われた後、SD10において決定部17cは、SD7にて特定された第2自動制御運転連続可能区間及びSD8にて特定された第1自動制御運転連続可能区間に基づいて、推奨経路(以下、「第2推奨経路」と称する)を決定(再決定)する。この第2推奨経路の決定方法については任意であるが、例えば、経路案内処理のSA10における上記第1推奨経路の決定方法のうちSA11にて案内された第1推奨経路の決定方法と同一の方法を用いて、第2推奨経路を決定する。あるいは、SA10における上記第1推奨経路の決定方法のうちSA11にて案内された第1推奨経路の決定方法とは異なる方法(一例として、SA11の第1推奨経路の決定方法の中から、タッチパッド14を介してユーザが選択した当該異なる方法等)を用いて、第2推奨経路を決定してもよい。
SD11において制御部17は、第2推奨経路を自車両が走行した場合の到着予定時刻を特定する。この到着予定時刻の特定方法については任意であるが、例えば、地図DB18aに格納されている地図情報(特に、リンクデータ)に基づいて第2推奨経路の距離を算出し、当該算出した距離をデータ記録部18にあらかじめ格納された所定の車速でそれぞれ除算し、当該除算した値(時間)の合計に第2推奨経路が決定された時刻(具体的には、SD10の処理時の時刻)を加算したものを到着予定時刻として特定する。
次に、図6に示すように、SD12において制御部17は、SD11にて特定された到着予定時刻がSD2にて特定されたイベント開始時刻以内であるか否かを判定する。そして、制御部17は、到着予定時刻がイベント開始時刻以内であると判定された場合(SD12、Yes)にはSD13に移行し、到着予定時刻がイベント開始時刻以内でないと判定された場合(SD12、No)にはSD14に移行する。
SD13において案内部17dは、推奨経路の更新を行うと共に、当該更新の旨(再決定された旨)を報知する。この推奨経路の更新方法については任意であるが、例えば、SD13の処理直前までディスプレイ15の上記案内領域に推奨経路(一例として、経路案内処理にて案内された第1推奨経路等)が表示されている場合には、この表示された推奨経路に代えて、SD10にて決定された第2推奨経路を表示することにより更新を行う(すなわち、第2推奨経路の案内を行う)。また、上記更新の旨の報知方法については任意であるが、例えば、第2推奨経路が表示されている案内領域に、上記更新の旨を示すテキストデータ(一例として、「推奨経路の更新により、推奨経路が変更されました」との定型メッセージを含むテキストデータ等)を表示する。あるいは、上記更新の旨を示す音声データ(一例として、「推奨経路の更新により、推奨経路が変更されました」との定型メッセージを含む音声データ等)をスピーカ16を介して音声出力してもよい。その後、制御部17は、更新処理を終了する。
SD14において制御部17は、SD11にて特定された到着予定時刻がSD2にて特定されたイベント開始時刻よりも遅くなることを許容する指示(以下、「許容指示」と称する)が受け付けられたか否かを判定する。この許容指示が受けられたか否かの判定方法については任意であるが、例えば、所定時間内(一例として、10sec等)にタッチパッド14を介してユーザの所定操作が行われたか否かに基づいて判定する。ここで、所定時間内に所定操作が行われた場合には、許容指示が受け付けられたと判定し、所定時間内に所定操作が行われなかった場合には、許容指示が受け付けられなかったと判定する。そして、制御部17は、許容指示が受け付けられたと判定された場合(SD14、Yes)にはSD13へ移行し、許容指示が受け付けられなかったと判定された場合(SD14、No)にはSD15へ移行する。
SD15において案内部17dは、この更新処理の直前に案内された推奨経路(一例として、経路案内処理にて案内された第1推奨経路等)を維持すると共に、当該維持する旨(再決定された旨)を報知する。この上記維持する旨の報知方法については任意であるが、例えば、SD12にて到着予定時刻がイベント開始時刻以内でないと判定された場合には、上記維持される推奨経路を走行した際の到着時刻もイベント開始時刻以内でない可能性が高いことから、上記維持される推奨経路の各種区間を修正し、当該修正した旨を上記維持する旨として報知する。具体的には、まず、SD11における到着予定時刻の特定方法と略同一の方法を用いて、上記維持される推奨経路を自車両が走行した場合の到着予定時刻を特定し、当該特定した到着予定時刻とイベント開始時刻との差分を算出する。次いで、上記算出した差分が生じないように、上記維持される推奨経路の各種区間を修正する(例えば、手動制御運転区間を自車両が実際に走行する際の車速が自動制御運転連続可能区間を自車両が実際に走行する際の車速よりも通常速いと考えられるので、第1自動制御運転連続可能区間又は第2自動制御運転連続可能区間の一部を手動制御運転区間に置き換える)。そして、上記修正の内容を示す情報(例えば、手動制御運転区間が増加した旨を示す情報、上記維持される推奨経路の各種区間を示す情報等)をディスプレイ15の案内領域に表示したり、又は、上記修正の内容を示す情報をスピーカ16を介して音声出力することにより、上記修正した旨を報知する。その後、制御部17は、更新処理を終了する。
このような更新処理により、道路の環境に応じた最適な推奨経路を更新することができるので、経路案内におけるユーザの利便性を一層向上させることが可能となる。また、推奨経路が再決定された旨(具体的には、SD13の上記更新の旨又はSD15の上記維持する旨)をユーザに提示でき、ユーザが再決定された推奨経路に応じた措置を講じることが可能となる。
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。例えば、本発明に係る経路案内システムにおける経路案内の利便性が従来と同程度であっても、従来と異なる構造により従来と同程度の経路案内の利便性を有している場合には、本願発明の課題は解決されている。
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。例えば、車載装置1を、相互に通信可能に構成された複数の装置に分散して構成し、これら複数の装置の一部に制御部17を設けると共に、これら複数の装置の他の一部にデータ記録部18を設けてもよい。
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
(経路案内システムについて)
上記実施の形態では、経路案内システムが車載装置1を用いて構成されていると説明したが、これに限られず、例えば、複数の車載装置1と通信可能に接続されたセンタ装置を用いて構成されてもよい。この場合には、経路案内処理のSA1にて対象となる車両から出発地及び目的地を示す情報を取得すると、SA10にて第1推奨経路が決定され、この決定された第1推奨経路を示す情報を、SA1にて出発地及び目的地の設定指示が受け付けられた対象車両に向けて送信する。
(経路案内処理について)
上記実施の形態では、SA7及びSA8の処理が行われると説明したが、これに限られず、例えば、SA7又はSA8のいずれか1つを省略してもよい(なお、更新処理のSD7及びSD8の処理についても同様とする)。
また、上記実施の形態では、SA3において、5つの経路が探索されると説明したが、これに限られない。例えば、経路案内処理が本経路と代替経路との比較のために用いられる場合には、2つの経路のみが探索されてもよい。
(手動制御運転区間特定処理について)
上記実施の形態では、SB2からSB4の処理が行われると説明したが、これに限らず、例えば、SB2からSB4のいずれか1つ又は2つを省略してもよい。あるいは、上記省略した処理を、第2自動制御運転連続可能区間特定処理のSC1からSC8のループの中の処理として組み入れてもよい。これにより、第2自動制御運転連続可能区間として特定できるリンクを増やすことができるので、状況に応じて自動制御運転又は手動制御運転を選択したいユーザに適した第1推奨経路(又は第2推奨経路)を提示することが可能となる。
また、上記実施の形態では、第1対象リンクがSB2からSB4のいずれか1つの条件を満たせば、第1対象リンクを手動制御運転連続可能区間として特定すると説明したが、これに限られない。例えば、SB2からSB4において、第1対象リンクに対する各種の自動制御運転の困難さを示す度合いを数値でそれぞれ特定し、当該特定した数値の総和と閾値との比較結果に基づいて、手動制御運転連続可能区間を特定してもよい。一例として、SB2において自車両が第1対象リンクを通行する時点の天候の度合いを数値で特定し、SB3において自車両が第1対象リンクを通行する時点での路面ペイントの画像認識の度合いを数値で特定し、SB4において自車両が走行レーンでレーンの変更を行う必要性の度合いを数値で特定する。そして、SB2からSB4において特定された数値の総和が閾値以上である場合にのみ、第1対象リンクを手動制御運転連続可能区間として特定する(なお、第2自動制御運転連続可能区間特定処理についても同様とする)。
(第2自動制御運転連続可能区間特定処理について)
上記実施の形態では、SC2からSC6の処理が行われると説明したが、これに限られない。例えば、SC2からSC6のいずれか1つから4つを単に省略してもよい。あるいは、上記省略した処理を、手動制御運転区間特定処理のSB1からSB6のループの中の処理として組み入れてもよい。これにより、手動制御運転区間として特定できるリンクを増やすことができるので、手動制御運転を好むユーザ(又は、運転の技量に優れたユーザ)に適した第1推奨経路(又は第2推奨経路)を提示することが可能となる。
(更新処理について)
上記実施の形態では、更新処理が行われると説明したが、これに限られず、例えば、更新処理を省略してもよい。
〔実施の形態の特徴と効果の一部〕
最後に、これまでに説明した実施の形態の特徴と効果の一部を、以下に例示する。ただし、実施の形態の特徴と効果は、以下の内容に限定されず、以下の特徴の一部のみを具備することによって以下の効果の一部のみを奏する場合や、以下の特徴以外の他の特徴を具備することによって以下の効果以外の他の効果を奏する場合がある。
実施の形態の1つの側面1に係る経路案内システムは、地図情報を格納する地図情報格納手段と、所定方法で指定された探索条件と、前記地図情報とに基づいて、出発地から目的地に至る経路を複数探索する探索手段と、前記探索手段にて探索された複数の前記経路の各々に対して、所定方法により各経路の区間のうち車両の自動制御運転が連続して可能な自動制御運転連続可能区間を特定する特定手段と、前記探索手段にて探索された前記複数の経路の中から、前記特定手段にて特定された前記自動制御運転連続可能区間に基づいて、案内すべき推奨経路を決定する決定手段と、を備えた。
上記側面1に係る経路案内システムによれば、探索手段にて探索された複数の経路の各々に対して、所定方法により各経路の自動制御運転連続可能区間を特定する特定手段と、探索手段にて探索された複数の経路の中から、特定手段にて特定された自動制御運転連続可能区間に基づいて、案内すべき推奨経路を決定する決定手段と、を備えたので、推奨経路に自動制御運転を実施することが困難となる区間が含まれている場合でも、全体的に自動制御運転にとって最適な第1推奨経路をユーザに提示することができ、経路案内におけるユーザの利便性を向上させることが可能となる。
実施の形態の他の側面2に係る経路案内システムは、上記側面1に係る経路案内システムにおいて、前記決定手段は、前記探索手段にて探索された前記複数の経路の中から、前記特定手段にて特定された前記自動制御運転連続可能区間の合計距離が最も長い経路を、前記推奨経路として決定する。
上記側面2に係る経路案内システムによれば、決定手段が、探索手段にて探索された複数の経路の中から、特定手段にて特定された自動制御運転連続可能区間の合計距離が最も長い経路を、推奨経路として決定するので、自動制御運転連続可能区間の合計距離が最も長い経路を推奨経路としてユーザに提示でき、ユーザが自動制御運転の距離を優先させた走行を行うことが可能となる。
実施の形態の他の側面3に係る経路案内システムは、上記側面1又は側面2に係る経路案内システムにおいて、前記決定手段は、前記探索手段にて探索された前記複数の経路の中から、前記特定手段にて特定された前記自動制御運転連続可能区間の平均距離又は最大距離が最も長い経路を、前記推奨経路として決定する。
上記側面3に係る経路案内システムによれば、決定手段が、探索手段にて探索された複数の経路の中から、特定手段にて特定された自動制御運転連続可能区間の平均距離又は最大距離が最も長い経路を、推奨経路として決定するので、自動制御運転連続可能区間の平均距離又は最大距離が最も長い経路を推奨経路としてユーザに提示でき、ユーザが自動制御運転の運転効率を優先させた走行を行うことが可能となる。
実施の形態の他の側面4に係る経路案内システムは、上記側面1から側面3のいずれかに係る経路案内システムにおいて、前記自動制御運転連続可能区間は、第1自動制御運転連続可能区間と、前記第1自動制御運転連続可能区間に比べて自動制御運転の安全性を確保しづらい第2自動制御運転連続可能区間と、を含み、前記決定手段は、前記探索手段にて探索された前記複数の経路の中から、前記特定手段にて特定された前記自動制御運転連続可能区間のうち前記第1自動制御運転連続可能区間の平均距離又は最大距離が最も長い経路を、前記推奨経路として決定する。
上記側面4に係る経路案内システムによれば、決定手段が、探索手段にて探索された複数の経路の中から、特定手段にて特定された自動制御運転連続可能区間のうち第1自動制御運転連続可能区間の平均距離又は最大距離が最も長い経路を、推奨経路として決定するので、第1自動制御運転連続可能区間の平均距離又は最大距離が最も長い経路を推奨経路としてユーザに提示でき、ユーザが安全性を優先させた走行を行うことが可能となる。
実施の形態の他の側面5に係る経路案内システムは、上記側面1から側面4のいずれかに係る経路案内システムにおいて、前記決定手段は、前記探索手段にて探索された前記複数の経路の中から、所定方法で指定された到着予定時間に間に合う可能性がある経路のうち前記特定手段にて特定された前記自動制御運転連続可能区間の合計距離が最も長い経路を、前記推奨経路として決定する。
上記側面5に係る経路案内システムによれば、決定手段が、探索手段にて探索された複数の経路の中から、所定方法で指定された到着予定時間に間に合う可能性がある経路のうち特定手段にて特定された自動制御運転連続可能区間の合計距離が最も長い経路を、推奨経路として決定するので、到着予定時間に間に合う可能性がある経路のうち自動制御運転連続可能区間の合計距離が最も長い経路を推奨経路としてユーザに提示でき、ユーザが時間を優先させた走行を行うことが可能となる。
実施の形態の他の側面6に係る経路案内システムは、上記側面1から側面5のいずれかに係る経路案内システムにおいて、前記決定手段にて決定された前記推奨経路の案内を行う案内手段を備え、前記探索手段は、所定のタイミングが到来した場合に、前記複数の経路を再探索し、前記特定手段は、前記探索手段にて再探索された前記複数の経路の各々に対して、各経路の前記自動制御運転連続可能区間を再特定し、前記決定手段は、前記探索手段にて再探索された前記複数の経路の中から、前記特定手段にて再特定された前記自動制御運転連続可能区間に基づいて、前記推奨経路を再決定し、前記案内手段は、前記決定手段にて再決定された前記推奨経路に応じた報知を行う。
上記側面6に係る経路案内システムによれば、特定手段が、探索手段にて再探索された複数の経路の各々に対して、各経路の自動制御運転連続可能区間を再特定し、決定手段が、探索手段にて再探索された複数の経路の中から、特定手段にて再特定された自動制御運転連続可能区間に基づいて、推奨経路を再決定し、案内手段が、決定手段にて再決定された推奨経路に応じた報知を行うので、推奨経路が再決定された旨をユーザに提示でき、ユーザが再決定された推奨経路に応じた措置を講じることが可能となる。
実施の形態の他の側面7に係る経路案内プログラムは、コンピュータを、地図情報を格納する地図情報格納手段と、所定方法で指定された探索条件と、前記地図情報とに基づいて、出発地から目的地に至る経路を複数探索する探索手段と、前記探索手段にて探索された複数の前記経路の各々に対して、所定方法により各経路の区間のうち車両の自動制御運転が連続して可能な自動制御運転連続可能区間を特定する特定手段と、前記探索手段にて探索された前記複数の経路の中から、前記特定手段にて特定された前記自動制御運転連続可能区間に基づいて、案内すべき推奨経路を決定する決定手段と、として機能させる経路案内プログラムである。
上記側面7に係る経路案内プログラムによれば、探索手段にて探索された複数の経路の各々に対して、所定方法により各経路の区間のうち自動制御運転連続可能区間を特定する特定手段と、探索手段にて探索された複数の経路の中から、特定手段にて特定された自動制御運転連続可能区間に基づいて、案内すべき推奨経路を決定する決定手段と、として機能させるので、推奨経路に自動制御運転を実施することが困難となる区間が含まれている場合でも、全体的に自動制御運転にとって最適な第1推奨経路をユーザに提示することができ、経路案内におけるユーザの利便性を向上させることが可能となる。