以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔システム構成〕
図1は本発明の実施形態における車両制御装置の構成を示すシステム構成を示す図である。
車両100は駆動力源としてエンジン101を有しており、エンジン101の出力側にはトルクコンバータ102が設けられる。トルクコンバータ102の出力側には変速機103が接続されている。
エンジン101は車両100を走行させる駆動力源であれば良く、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等が挙げられる。また、エンジンの構造もレシプロエンジンの他、ヴァンケル式ロータリーエンジンであってもよい。
エンジン101では回転駆動力を発生させる。エンジン101で発生させた駆動力はトルクコンバータ102を介して変速機103に入力され、適当な変速比で車輪104へ伝達される。変速機103と車輪104との間には、図示しない適当な差動機構が設けられており、車輪104が回転することにより車両100は走行駆動力を得る。
車両100には、エンジン101の始動を行う始動装置105並びに車両100に搭載された各種機器へ電力を供給する発電装置106とが備えられる。始動装置105は、例えば直流電動機と、歯車機構と、歯車の押し出し機構からなるスタータモータである。発電装置106は、例えば誘導発電機と、整流器と、電圧調整機構からなるオルタネータである。
始動装置105は電源107から供給される電力によって駆動され、始動要求に基づきエンジン101を始動する。電源107は例えば電池であり、鉛バッテリを好適に用いることができる他、リチウムイオン二次電池を始め各種の二次電池、キャパシタなどの蓄電器を用いてもよい。電源107は発電装置106によって発電された電力を蓄え、始動装置105や図示しない前照灯や各種コントローラなどの車両電装品へ電力を供給している。
図示はしないが、電源107は電池を複数備えていてもよく、また、異なった特性の電池を組み合わせて二系統の電源を構成してあってもよい。例えば始動装置105を駆動する電源としてキャパシタを採用し、車両電装品へは二次電池からの電力を供給するなどの運用が想定される。エンジン101を始動する為に始動装置105の駆動電力が提供されており、また発電装置106の電力を充電できる構成であれば良い。
始動装置105と発電装置106は個別の機能を達成する装置を各々搭載していてもよく、これらの機能を一つにまとめた電動発電機が用いられていてもよい。具体的にはベルトの巻き掛け機構によってエンジン101と接続されるISG(Integrated Starter Generator)、ISA(Integrated Starter Alternator)が挙げられる。
エンジン101には油圧ポンプ108が組みつけられており、トルクコンバータ102や変速機103へ作動油圧を供給している。トルクコンバータ102はトルク増幅を行うと共にクラッチ機構を有しており、所定車速以上(例えばロックアップ車速として10km/h〜15km/h程度の車速を設定することができる)で走行する場合などにこれをロックアップすることでエンジン101の出力軸と変速機103の入力側とを直結し、これらが相対回転することを規制して動力伝達ロスを低減する。
一方クラッチ機構がロックアップしていない場合には、エンジン101の出力軸と変速機103の入力側とが相対回転可能であり、車輪104の回転が停止してもエンジン101の出力軸は回転することができ、車両100が停車してもエンジンストールを起こすこと無く回転を継続することが可能となる。
変速機103は例えばベルトとプーリとで構成された巻き掛け伝達機構による無段階変速機である。変速機103は発進クラッチと油圧制御によって溝幅を可変としたプライマリ及びセカンダリプーリとこれらに巻き掛けされるベルトにより構成される。プライマリ及びセカンダリプーリは略円錐状のコーンが向かい合った形状を有しており、向かい合ったコーンの間隔を変更することでベルトを巻き掛けするプーリ部の円周が変化して所望する変速比を達成することができる。
なお、変速機103は上述の構造に限定されるものでは無く有段変速機であってもよく、上述の無段階変速機に有段の副変速機が組み合わせて用いられる構成であってもよい。
変速機103は油圧ポンプ108からの供給油圧の他、エンジン101の駆動に因らず油圧を供給可能な電動式油圧ポンプ109からも油圧供給を受けており、油圧ポンプ108が駆動を停止して油圧を提供できない場合であっても、作動油のリークを補償し、クラッチの締結圧やプーリの変速比を維持することができる。
構成としては油圧ポンプ108を省略してすべての油圧供給を電動式油圧ポンプ109から行う構成も考えられる。このような場合であっても本発明を適用することができる。
エンジン101はコントロールユニット110によって種々の制御が提供される。コントロールユニット110には、処理を実行する為のCPUや処理中の情報を記憶するRAM等の一次記憶装置、処理に必要なプログラムなどを記憶したROM等の二次記憶装置を備えており、エンジン101等へ制御信号を送信する為の出力ポート、並びにアクセルペダルストロークセンサ112等からの検出信号を受信する為の入力ポートを備えている。ドライバの運転操作並びにエンジン101の動作状態、車両100の走行状態に基づきエンジン101を制御する。
即ち、コントロールユニット110には、アクセルペダル111に備えられたアクセルペダルストロークセンサ112(または開度センサ)から出力されるアクセルペダル111の操作量信号、ブレーキペダル113に備えられたブレーキペダルの操作有無を検出するブレーキスイッチ114からのブレーキオン信号や、ブレーキペダル操作量に基づいて発生するブレーキ装置115に設けられたマスタシリンダ圧センサ116によって検出されるブレーキ操作量信号、かじ取り装置117に設けられた舵角センサ118からの舵角情報、ギアシフト119に設けられるシフトポジションセンサ120からの選択シフト(又は選択ギア)情報、各車輪に備えられた車輪速度センサ121に基づく車輪速度信号(並びにこれらから生成した車速情報であってもよい、従動輪の平均速度などが利用可能である。)、トルクコンバータ102からのトルクコンバータ状態信号、変速機103からの変速機状態信号並びに、図示はしていないが、エンジン101に供給される冷却水温度、潤滑油温度、エンジン101のクランク角度情報、エンジン101の運転回転数情報、外界認識手段122からの外界認識情報などの信号を入力する。
なお、コントロールユニット110と各種検出手段との接続方法はこれに限るものでは無く、例えば変速機103に図示しない専用の変速機コントローラを接続し、コントロールユニット110とはこの変速機コントローラを介して接続されているような運用も想定されるが、このような接続方法によって間接的に接続されていてもよい。
ブレーキペダル操作量信号はマスタシリンダ圧センサ116に限られるものでは無く、アクセルペダル111と同様にストロークセンサや開度センサなどのペダル操作を直接検出するものを利用してもよく、ホイルシリンダ圧を検出する圧力センサを利用してもよく、運転者のブレーキ操作量を検出することが出来ればこれに限られるものでは無い。
外界認識手段122は例えばレーダーであり、自車の前方や後方を走行する車両の情報を検出する機能を有するものや、例えば撮像装置であり自車の前方や周辺の車両や障害物を光学的に検出する機能を有している。その他例えば加速度センサであり車両100の走行路の勾配情報などを検出することができる。
運転者は上述のアクセルペダル111並びにブレーキペダル113、かじ取り装置117、ギアシフト119を操作することで車両100を所望する状態に運転操作する。
本発明では、アクセル操作量信号またはブレーキ操作量信号より運転者の要求減速度を抽出し、車両の減速期間中の複数回に亘る要求減速度の検出結果の大小関係に基づき、トルクコンバータ102のロックアップクラッチのロックアップ解除等、エンジン101と車輪104との間で動力を伝達する経路の切り離しと締結とを制御する。
また、同検出結果の大小関係に基づきエンジン101の自動停止を併せて行ってよい。
。前記に加え、舵角情報、シフトポジション情報並びに外界認識情報との協調によって提供されるトルクコンバータ102のロックアップクラッチのロックアップ解除並びにエンジン101の自動停止も包含する。
なお、本発明を詳述するにあたっては、少なくともロックアップクラッチのロックアップ解除等、エンジン101と車軸との間で動力を伝達する経路が切り離されており、車両速度がゼロでない状態を惰性走行と定義する。
〔惰性走行処理〕
本発明における惰性走行はトルクコンバータ102に設けられたロックアップクラッチのロックアップを解除し、エンジン101の出力軸と変速機103の入力側とが相対回転可能な状態とすることにより達成される。
ロックアップを解除した状態にあれば、エンジン101を停止しても車両100は走行によって生じた慣性力で走行を継続することが可能となる。また、エンジン101を停止していなくても、エンジン101の回転数を例えばアイドリング回転数程度に抑えて低速で運転することで燃料消費量を低減することができる。
惰性走行状態にあって、エンジン101を停止するか、アイドリング等で低速運転するのかについては発明を実施するにあたって適当な方法で選択する。
例えば要求減速度の検出をブレーキペダル113から得られる情報によって行う場合に、ロックアップ車速をエンジン101の自動停止判定に用いることができる。
車輪速度センサ121の検出結果を元に車両100の走行速度を検出し、これとロックアップ車速を比較する。車両100がロックアップ車速以上で走行している場合には、ブレーキ操作後にアクセル操作を行って加速を行う可能性も高く、エンジン101は惰性走行中にアイドリング程度の低速運転を行って待機し、ロックアップ車速を下回っている場合には、運転者が車両100を停止させようとしている可能性が高いと考えられる。このような場合にはエンジン101の自動停止を実施し、車両100が停止した後もエンジン101を停止させ続けることで、アイドリングストップ車両として運用することができる。
ロックアップ車速よりも高車速であればトルクコンバータ102のロックアップクラッチをロックアップした状態でエンジン101への燃料供給を停止するフューエルカットを実施するとエンジン101は車両100の慣性力によって車輪104側から変速機103並びにトルクコンバータ102を通じて連れ回され、エンジン101は燃料供給なしに回転を継続できる。
ロックアップ車速程度になるとエンジンを燃料供給なしでアイドリング回転数程度に維持することが難しくなる為、燃料を供給して回転を継続させる必要がある。このようなフューエルカット限界車速をエンジン101の自動停止判定に用いてもよい。
このようにすることで、惰性走行を供給する以前は車速によってフューエルカットを実施することで燃料消費を低減し、惰性走行中にこのような限界車速を下回った際にエンジン101の自動停止を実施し、停車後も継続してアイドリングストップに移行することで燃料消費量を低減することができる。
実施例1は、マスタシリンダ圧センサ116によって検出されるマスタシリンダ圧を要求減速度として異なるタイミングで複数回検出し、利用する実施例について詳述する。なお、以下実施例で説明する処理は、コントロールユニット110において実施されてもよいし、変速機103を制御するための図示しない専用の変速機コントローラにおいて実施されてもよい。
ブレーキスイッチ114はブレーキ操作がなされたことを検出しブレーキオン信号を出力する。ブレーキオン信号の出力期間中は、ブレーキ操作に基づく車両の減速期間を意味している。また、マスタシリンダ圧は運転者のブレーキペダル操作に基づきブレーキ装置115によって発生させるブレーキ力に伴って変化する。したがってブレーキオン信号の出力期間中のマスタシリンダ圧を運転者の要求減速度として利用することが可能であり、マスタシリンダ圧が大きなほど運転者の要求減速度は大きく、逆に小さくなると要求減速度も小さくなると判断できる。
具体的にはブレーキペダルを踏み込むとマスタシリンダ圧が増加する。したがってその微分値は正の値となる。一方、ブレーキペダルを戻せばマスタシリンダ圧が減少する。したがってその微分値は負の値となる。
このように微分値の符号を調べることでブレーキ操作がなされたことを検出できる。また、微分値が零であるような場合は一定のマスタシリンダ圧となっていることが分かる。
実施例1について判定フローを図2に示す。
本実施例1では,制御開始(S200)後は,ブレーキペダル操作の検出を待機する(S201)。ブレーキ操作を検出すると次のステップ(S202)へ進み,マスタシリンダ圧BP1並びにBP2を取得する。具体的には後述する検出タイミングT1で第一のマスタシリンダ圧BP1を取得し(S204),続くタイミングT2でマスタシリンダ圧BP2を取得する。
その後S207至るS208にて惰性走行の可否を判定し,判定結果に基づき惰性走行禁止処理(S209)または惰性走行許可(S210)を実行する。
図3を用いてマスタシリンダ圧を利用した要求減速度検出の方法について詳述する。
図3はタイムチャートであり、(a)はブレーキスイッチ114、(b)はマスタシリンダ圧センサ116によって検出したマスタシリンダ圧力、(c)は(b)の微分値、(d)は車両100の車速変化を示している。
運転者がブレーキを踏みこむタイミングであり、その後続いてブレーキを緩める弱め制動を行うような場合には、ブレーキの踏みこみ時にマスタシリンダ圧の微分値が図3(c)に示したように、増加したのちに減少する。すなわち、上に凸の波形となる。弱め制動に遷移するタイミングでは逆に、減少したのちに増加する。すなわち、下に凸の波形となる。
ここでは、マスタシリンダ圧の微分値が正であり増加したのちに減少に転ずるタイミングを第一のタイミングT1とし、マスタシリンダ圧の微分値が負であり、減少したのちに増加に転ずるタイミングを第二のタイミングとする。
本実施例では、惰性走行可否判定条件の一例として、第一のタイミングT1で検出したマスタシリンダ圧BP1と第二のタイミングT2で検出したマスタシリンダ圧BP2とを比較し、BP1>BP2である場合には惰性走行を行うようにした。これにより、マスタシリンダ圧が減少している弱め制動時に惰性走行を行うことになるので、運転者のブレーキ操作量の減少に基づいてロックアップ解除によるエンジンブレーキ低下が発生し、運転性の悪化が抑制出来る。
また、例えば、走行中の車両が減速して、クリープ車速程度で走行する場合に、エンジンで発生させたクリープトルクをブレーキで抑制しながら走行するようなシーンでは早期に惰性走行を提供し、燃料消費を抑制できる。
さらに惰性走行を行う条件を限定してBP1>BP2であり、かつBP2が零でない場合に惰性走行を行うようにしてもよい。、図4(b)のように第二のタイミングT2で検出したマスタシリンダ圧が零である場合にはブレーキペダルを完全に離してしまい、弱め制動が行われていないことになる。したがって、図4(e)のようにtAの時刻でアクセルペダルへの踏み変え(再加速要求)が発生する可能性がある。このような場合、トルクコンバータ102のロックアップクラッチのロックアップが解除されている場合、運転者のアクセルペダル操作に追従して加速することが出来なくなるため、惰性走行を提供すべきでは無いと考えられる。
また、上述のようにマスタシリンダ圧とブレーキスイッチの組み合わせによって車両100が惰性走行可能か否かを識別し、惰性走行可能な場合には運転者に違和感なく惰性走行を提供することが可能である。上述した弱め制動のシーンでは、運転者がブレーキ操作量を減少させる方向の操作を行ったときに(すなわち運転者の運転操作の結果として)惰性走行が提供される為、運転者に違和感を与える虞が無く好的に惰性走行を提供できる。
なお、運転者がブレーキを踏みこんだ後、続いてブレーキ操作量を少しずつ増加させる増し制動を行うような場合は、運転者が車両の制動力を重視している運転シーンと考えられ、惰性走行を許可してしまうと意図せぬ減速感の変化が生じる。また、このような運転シーンではブレーキ倍力装置の負圧確保やABS等の作動に備えて惰性走行及びエンジン停止をしないことが望ましい。したがって、運転者が上述の増し制動を行っている場合には、惰性走行を許可しないように判定するとよい。
続いて、マスタシリンダ圧力に基づく要求減速度検出タイミングについて図5を使って詳述する。運転者がブレーキを操作している間はマスタシリンダ圧も変動し、運転者がブレーキペダルを大きく操作するほどマスタシリンダ圧の変動も大きくなる。
車両100の走行に伴う振動により運転者が常に同じ力でブレーキペダルを操作することは難しくマスタシリンダ圧力は脈動している場合もある。このような場合には脈動によるノイズによってマスタシリンダ圧力の微分値も脈動し、図3並びに図4にて説明したタイミングを設定すると誤判定となる場合も想定される。
したがってノイズのような微分値の変動による誤検出を回避する為に、ある量以上でブレーキペダル113が操作された場合にのみ判定を行えるように、例えば図5の(b)のようにタイミング検出用の閾値を設けてもよい。ブレーキの踏みこみ方向並びに、戻し方向に操作した場合に検出されるマスタシリンダ圧の微分値に対して閾値を設けることで、一定のブレーキペダル操作がなされたことを検出して第一並びに第二のタイミングとすることができる。また、タイミング検出用の閾値とは別にブレーキペダルの踏み込み/戻し速さの検出用閾値を設けることもできる。
また、ブレーキスイッチ114によるブレーキオン信号を複数回に亘る要求減速度変化の第一のタイミング検出に利用することができる。例えば、ブレーキオン信号が途切れることを契機に続く操作から新たに第一のタイミングとして判定をやり直すことなどが想定される。
また、いわゆるポンピングブレーキのように、ブレーキオン信号が短時間の間に断続して出力される場合も想定される。このような場合にはブレーキオン信号が途切れたのちに判定をやり直すようにするまでの待ち時間を設けてもよく、このような待ち時間は3秒以内が適当であり0.5秒至る2秒の間に設定されることがより適当である。
なお、惰性走行を中止する条件として、例えば惰性走行が提供された後にブレーキスイッチ114によるブレーキオン状態の検出がなされなくなった場合や第一のタイミングで検出したマスタシリンダ圧力を上回るマスタシリンダ圧力を検出した場合には惰性走行を終了する。惰性走行終了時には、ロックアップクラッチの締結、併せてエンジン101を自動停止している場合にはエンジン101の再始動を行う。
ブレーキオンでは無くなった場合には運転者は加速の為にアクセルペダルを踏む可能性があり、加速に備える必要がある。また、マスタシリンダ圧力の上昇は要求減速度の増加を意味しており、ブレーキ倍力装置の負圧確保やABS等の作動に備えてやはりエンジン再始動やトラクションの維持の為のクラッチ締結が必要となる。
なお、ブレーキスイッチ114によるブレーキオン判定以外に、ブレーキオン判定に係わらず惰性走行提供中はアクセルペダル111やかじ取り装置117、並びにギアシフト119が操作されるまで惰性走行を継続するようにしてもよく、ブレーキスイッチ114がオフになった場合に惰性走行の提供を終了するか、アクセルペダル111が操作されてから惰性走行の提供を終了するのかを運転者が選択できるようにしてもよい。
その他、惰性走行可否条件の例について詳述する。発明者らはブレーキスイッチ114によるブレーキオン出力期間中異なるタイミングで取得した、複数のマスタシリンダ圧およびその微分値の組み合わせによって整理することで、より好的に惰性走行可否を判定できることを見出した。組み合わせ例を図6に示す。
図6の表中の踏み増し側閾値は図5で説明したブレーキペダルの踏み込み速さの指標であり、これを上回る場合には素早くブレーキペダルが踏み込まれたことを意味している。同様に表中の戻し側閾値は、図5で説明したブレーキペダルの戻し速さの指標である。これを下回るとブレーキペダルが素早く戻されたことを意味する。
ブレーキペダルの踏み増し速さ・踏み戻し速さの指標としては、図5で説明した微分値に限られず、例えば、所定時間間隔を置いて検出した二点のマスタシリンダ圧の傾きや、時間軸とマスタシリンダ圧軸との縦横比等であってもよい。微分値や傾き等を求めるには少なくとも二つのタイミングで検出したマスタシリンダ圧を用いるとよい。
表中では何れかの指標に該当する場合には丸印(○)を記しており、非該当の場合にはバツ印(×)を記している。また、そのパターンにおいて惰性走行が可能である場合には丸印(○)を記しており、惰性走行を提供できない場合にはバツ印(×)を記している。
No.1のパターンでは惰性走行を提供しない。T1並びにT2で検出されるブレーキペダルの操作量の変化量(速度)が所定値を上回っており、大きくペダル操作がなされたことを示している。また、第二のタイミングT2における要求減速度が零であることから、上述したブレーキペダルを完全に(且つ素早く)戻したことになり、ペダルの踏み変えが起こる可能性が高いと考えられる為、惰性走行を提供すべきでは無い。
No.2のパターンでは惰性走行を提供できる。これは上述したように弱め制動が行われているシーンであり先行車に続いて車速を緩やかに減少させているケースや停車直前でクリープトルクを打ち消しながら走行しているシーンが想定される。
No.3のパターンでは惰性走行を提供しない。これは初期の減速度よりもより大きな減速度を運転者が要求する情況である。したがって、ABSやトラクションコントロール等の作動に備えて惰性走行を提供すべきでは無い。
No.4並びにNo.5では惰性走行を提供できる。車両100の走行速度が十分に減速されており、No.4ではゆっくりとブレーキペダルが戻されたシーンが想定される。またNo.5ではブレーキペダルがゆっくりと戻されて弱め制動に遷移したことが想定され、No.2と同様である。
No.6のパターンでは惰性走行を提供しない。これはNo.3と同様なシーンが想定される。したがって、マスタシリンダ圧の関係がPB1<PB2となる場合には惰性走行を提供することは適当では無い。No.9並びにNo.12のパターンも同様に惰性走行を提供しない。
No.7のパターンはNo.1と同様に惰性走行を提供しない。
No.8、No.10並びにNo.11のパターンは惰性走行を提供できる。
実施例1では、12パターンに分別したが、本発明はこれに限られたものでは無く、より細分化がなされていても一部の分別結果が省略されていてもよい。
また、図6の表中ではブレーキペダルの踏み増し速さと、踏み戻し速さと、T1とT2におけるマスタシリンダ圧の大小関係の組み合わせと、で惰性走行可否を判定する例を示したが、ブレーキペダルの踏み増し速さや踏み戻し速さのみを用いて惰性走行可否を判定してもよい。ブレーキペダルの踏み増し速さや踏み戻し速さのみを用いてもペダルの踏み変えが起こる可能性や弱め制動の可能性を判定することが出来る。
以上を鑑みて比較例を挙げて本実施例の効果を説明する。図7は比較例と実施例1の惰性走行制御を示したタイムチャートである。比較例は図7(b)に示すように、マスタシリンダ圧力を検出し、マスタシリンダ圧力が所定値の範囲(LLBP至るULBPの間)にある場合に惰性走行を許可する方式としている。
図7(a)に示されるように時刻P1からP2の間で運転者がポンピングブレーキを行っている。本実施例では、時刻P1からP2の間はブレーキスイッチ114のオン信号の途切れを検出して判定をやり直すことで、誤判定による惰性走行の提供を回避している。
一方、比較例では時刻P1からP2のポンピングブレーキの途中であってもマスタシリンダ圧力が一度所定値の範囲に入ると惰性走行を許可しており、誤判定によって不要な惰性走行が提供され、乗員の官能が悪化することも考えられる。
また、図7(e)に示すように、比較例では閾値の範囲外になった場合に惰性走行が中止されている。一方で、本実施例では惰性走行を開始した後に、ブレーキスイッチがオフとなるか、第一のタイミングで検出した要求減速度であるマスタシリンダ圧力以上のマスタシリンダ圧に停車(車速がゼロの状態)まで到達することは無く、惰性走行開始直後に惰性走行を中止することを抑制できる。
このように、本実施例では、マスタシリンダ圧力が一度所定値の範囲に入っただけでは惰性走行を許可せず、複数の異なるタイミングで検出したマスタシリンダ圧力が所定の条件を満たすときに惰性走行を許可する。したがって、弱め制動などの運転者の減速意図が比較的に長く続く可能性が高い運転シーンを抽出、言い換えれば減速意図の時間変化の見通しを加味して惰性走行を判定出来るので、誤判定や極めて短い期間の惰性走行を抑制できる。
実施例1では主に2回に亘ってマスタシリンダ圧を検出する例を示したが、本発明の思想は複数回に亘って運転者の要求減速度を検出し、その大小関係にしたがって惰性走行が提供されれば良く、したがって2回以上の検出がなされていても問題無い。
例えば、第二の検出タイミングに続く第三の検出タイミングでの検出したマスタシリンダ圧BP3が第一のタイミングで検出したマスタシリンダ圧BP1より大きく、BP3>BP1となる場合には惰性走行を中止すると言った制御を提供することが可能である。
第三のタイミングはこれまでの説明したマスタシリンダ圧力の微分値を用いる他、マスタシリンダ圧力がPB1より大きくなる時点としてもよく、タイミングの検出方法がすべての検出機会で同じ方法でなくてもよい。
第一並びに第二のタイミングは便宜的なものであり複数回に亘る検出のうちより過去のものを第一、より現在に近いものを第二とした。したがって、例えば全部で10回に亘る検出を行い、そのうちの2回目の検出を第一のタイミング、7回目の検出を第二のタイミングとしてもよく、前半5回の平均値を第一のタイミングとして代表させるような運用も想定される。上述は一例であり、測定の回数や採用する測定回数はこれに限られたものでは無い。
また、マスタシリンダ圧を例に挙げて詳述したが、ブレーキ操作量を検出できればこれに限られたものでは無く、ホイルシリンダ圧やブレーキペダルストロークをブレーキ操作量検出手段にとして用いてもよく上述をホイルシリンダ圧やブレーキペダルストロークと読み替えてもよい。また、マスタシリンダ圧等の計測結果に対して適当なフィルタリング処理を施して判定に用いてもよい。
実施例1では、要求減速度の検出タイミングにマスタシリンダ圧の微分値と閾値との比較結果を用いた。閾値はそれぞれ一定の値を固定値として設定しているが、この閾値は踏み込み方向と戻し方向とで同じ値を設定してもよく異なっていてもよい。また、実施例1のように所定値をあらかじめ設定しておくことも可能であり、車輪速度センサ121に基づく車両100の走行速度や変速103の変速比、エンジン回転数情報に基づき可変するようにしても良い。
例えば車輪速度センサ121に基づく車両100の走行速度を基準とする場合には、走行速度が低速である場合にはブレーキペダルの操作量や操作速度は、高速走行する場合と比較して小さくなる為、相対的に正及び負の閾値の絶対値を小さく設定した方が頻出するブレーキペダルの操作量に対応した判定を提供できる。
この他、マスタシリンダ圧を連続して計測し、コントローラ等の計算周期毎に得られた計測結果が前回値と同じ若しくは増加している場合は第一のタイミングとしてマスタシリンダ圧を検出し、これが減少に転じた時点を契機に計測値が前回値と同じ若しくは減少を続けて増加に転じるまで又は0になるまでの間を第二のタイミングとしてマスタシリンダ圧を検出するようにしてもよい。このようにすることで微分値を計算する必要が無くなる為、コントローラの計算負荷を低減できる。
なお、コントローラ等に時計を設置し、ブレーキオン信号を検出して所定時間が経過するまでを第一、並びに続く所定時間を第二のタイミングとして設定しても構わない。このような場合は第一及び第二のタイミングとして設定する所定時間が同じ時間であっても異なっていてもよい。車輪速度センサ121の検出結果に基づく車両100の走行速度やエンジン回転数情報に基づいて可変する値であってもよい。
実施例2は要求減速度の検出にアクセルペダル操作量を利用する実施例について詳述する。アクセルペダル111は車両100加速させる場合に最も操作されるが、ペダルを戻す操作量を検出することでこれを要求減速度として利用することができる。
図8にはアクセルペダルストロークとエンジン101の発生トルクとの関係について概略を示している。エンジン回転数に対してペダルストロークが変化することで、マイナスのトルク、即ち減速感を発生させる領域が存在する。運転者がアクセルペダル111を踏み込んで車両100を所望する車速に加速したのちにはアクセルペダル111を戻して行くと、エンジン101の発生トルクが車速を維持するトルク以下となりエンジンブレーキ的に作用するようになり、車両100の慣性力によってエンジン100を連れ回す状態になる。
図8に示すような関係はコントロールユニット110内のROMに車両100のエンジン101の特性としてあらかじめ、ペダルストロークやスロットル開度に対するエンジン101の回転数と発生トルクとの関係をまとめたマップや関数式、モデルなどで与えられているようにすると良い。
図8に示すようにアクセルペダルストロークとエンジン回転数に基づき、発生トルクがプラス側(加速領域)でのペダルストロークの変位量と発生トルクがマイナス(減速領域)でのペダルストロークの変位量とを検出し、これを比較することで惰性走行可否を判定することとした。
運転者が車両100を所望する車速まで低下させるように制御している場合には、図8における加速領域にペダルストロークがあると直ちに減速領域へペダルストロークを減少させる為、減少方向の変位量が大きく又は早くペダルストロークが変化する。
一方、所望する車速に近づくと減速領域ではペダルストロークを増加、又は一定に維持する。
この関係に基づき、図9に示すようにある時間間隔で複数回ペダルストロークを検出し、例えば過去10ステップ分のペダルストロークの検出結果を用いてペダルストロークにおける検出結果の線密度を計算する。
図9を例にすれば、加速領域にあるペダルストロークの検出結果、すなわち車両の加速期間中の要求加速度を複数回検出した結果は、図中の7から10の点であり、L1の距離の間に4点分布しており、密度は4/L1である。 一方、減速領域にあるペダルストロークの検出結果、すなわち車両の減速期間中の要求減速度を複数回検出した結果は図中の1から6の点でL2の距離に6点分布しており、密度は6/L2である。図の例では、分布の距離はL1>L2の関係であり、点の数は6>4である為、減速領域にあるペダルストロークの検出結果の密度が高い、少なくとも最近の検出点が減速領域又は発生トルクのゼロ点付近にあり、且つ減速側の線密度が加速側と等しいか、大きな場合に惰性走行を提供する。上記発生トルクのゼロ点とは車両100を加速も減速もさせないエンジン101の発生トルクであって、ゼロ点付近はこのトルクから絶対値で5Nm至る10Nm発生トルクが変化する領域内を言う。
惰性走行が提供されたのちにペダルストロークが加速領域に入った場合には加速の為に惰性走行を中止する。一方、惰性走行が提供されたのちにペダルストロークがゼロになった場合には惰性走行を継続し、その後再びペダルストロークが増加した場合にはストロークが減速領域にあっても惰性走行を中止するようにする。
図9では線密度を求める方法を説明したが、図10に示すように、加速領域、並びに減速領域として検出する領域を変更して、その領域にある検出結果の数を比較することでも惰性走行の判定に用いることができる。図10の場合には、図中2及び3、並びに10の計測点は判定から除外され、残る1及び4から6の点、と7から9の点の数を比較する。この場合には減速側領域にある点の数が多く、惰性走行を提供する。
また、図中の点に付した番号は、数字が若いほどより最近計測結果を示しており、1として計測される点が減速領域の外側ある場合には計測点の密度や数が惰性走行の条件を満たしていても惰性走行の提供を抑制する。これは判定のタイミングまでに運転者の要求減速度が変化し、1の検出点が加速領域にあれば、減速要求が無くなり加速操作を行っていることと判断され、また、大幅にマイナストルクが発生する点に検出されれば、エンジンブレーキによる減速を要求していると判断される為である。
この判定を行う点は1の検出点のみでは無く、最近の数点を用いてもよく、全計測点未満の点数の何れかの点数でも構わない。
アクセルストロークの検出間隔は、任意の値を設定できるが、例えばコントロールユニット110の制御周期の整数倍を設定するとよい。このような間隔として10ミリ秒至る1000ミリ秒が適当であり、50ミリ秒至る500ミリ秒がさらに適当であり100ミリ秒程度に設定されるのが良い。
また、図9及び図10では10点の検出結果を例として挙げたが、検出点の数もこれに限られるものでは無く、任意の値を設定できる。すべての計測点が100ミリ秒至る5000ミリ秒間に分布する数を設定するのが良く、5点から500点程度の検出結果を用いるのがより適当である。これよりも少ない点であれば判定精度に問題があり、これよりも多くの点を設定するとコントロールユニット110の計算リソースに影響が出る虞がある。
また図10に示したようにペダルストロークのある領域に分布する検出点のみを対象とする場合には、全計測点に対して個数を数える計測点の数が一定数以上含まれていることを条件とするなどの限定を加える運用も想定される。
実施例2ではエンジン回転数を用いたが、これに限らず、車輪速度121と変速機103の変速比から求めた変速機103の入力軸回転数を用いてもよい。変速機103の入力軸回転数を用いることで、エンジン101を停止してもペダルストロークが加速領域にあるのか減速領域にあるのかを判定することができ、ペダルストロークが加速領域にあれば直ちに加速の為に惰性走行を終了できる。
実施例2ではアクセルストロークに対する加速領域と減速領域の範囲を固定としたが、これを可変としてもよく、例えば車速に基づいて領域を可変にしてもよい。車速が高速化するとアクセルオフによるエンジンブレーキを期待するシーンが多くなると考えられる為減速領域を小さくすることで、運転者がエンジンブレーキを期待する情況でより好的にエンジンブレーキを提供できるようにすることができる。
実施例2では、アクセルストロークを元に惰性走行を提供する方法を示した。図11を用いてアクセルペダルが操作されていない状態が1秒程度継続する場合に惰性走行を提供する比較例を挙げ、本願の効果を説明する。比較例では、アクセルペダルの操作が行われていない状態が1秒程度継続することで惰性走行を提供する。したがってその間にはエンジンブレーキが作用し、車速が低下して燃費が悪化するばかりか、運転者のアクセル操作に反して、エンジンブレーキ中に惰性走行が提供される、乗員に違和感を与える虞がある。
対して実施例では、エンジンブレーキが発生する前に、アクセルペダルが緩やかに戻されたことを検出して惰性走行を提供することで、乗員への違和感が無く、車速の低下の少ない惰性走行を提供できる。
シフトポジションセンサ120を協調する実施例について詳述する。
実施例1や実施例2に示した構成に加えて、例えば、無段変速機や自動式の有段変速機を備えた車両であれば、惰性走行を提供したのちにドライブレンジからL2やL1といった強めにエンジンブレーキを要求するレンジにシフトが操作される場合には惰性走行を停止してエンジンブレーキが発生するようにする。このようなシーンは惰性走行状態で下り坂などに侵入するようなシーンが想定される。
逆に、アクセルペダルやブレーキペダル並びにかじ取り装置が操作されていない状態で、いわゆるL1やL2といったエンジンブレーキが要求されるレンジからドライブレンジへ切り替えがなされた場合には運転者の要求減速度が減少したと判断される為停止していた惰性走行を再開することができる。
その他の構成は実施例1並びに2と同じである。
車輪速度センサ121を協調する実施例について詳述する。
車両100は前進後退のみならず、かじ取り装置117によって運転者の要求する方向へ旋回が可能である。旋回中に車両100が横滑りを生じるような場合には図示しない横滑り防止装置によって横滑り防止制御が発生する。このとき横滑り防止装置は図示しないABS装置やトラクションコントロールシステムを協調操作し車両100の走行安定性を維持する。したがってこのような場合に惰性走行を提供することは適当では無く、これらの制御に備えて惰性走行を終了する必要がある。舵角センサ118によるかじ取り装置117の操作量が所定値を上回るような場合には惰性走行を終了する。操作量は例えば舵角センサ118によって検出されるステアリング操作角度である。
その他の構成は実施例1至る実施例3と同じである。
舵角センサ118による舵角情報を協調する実施例について詳述する。
車輪速度センサ121によって車両100が低μ路を走行していることを検出することができる。例えば左右や前後の車輪104の速度差を検出し、速度差が所定位置以上存在する場合に、車輪が空転していることを検出できる。低μ路を走行する場合には、上述の横滑り防止装置やABSが作動する機会が多くなることが予想される為あらかじめこのような低μ路を走行していることを検出した場合には惰性走行を禁止するなどの制御の変更がなされることが望ましい。
この他の構成は実施例1至る実施例4と同様である。
外界認識情報を協調する実施例について詳述する。
外界認識手段122は自車の前方にある先行車両や障害物を検出する。自車の前方に先行車両が認められる場合は、自車は先行車両に追従して走行していると考えられる為、先行車両と自車の関係に基づき惰性走行を提供する。
先行車両や障害物に対して自車が接近を続けている場合には運転者が急制動や急ハンドルによってこれらを回避しなければならない事態に陥る可能性がある。このような場合に惰性走行を提供するとABSやトラクションコントロールシステムなどの作動に問題を生ずる可能性があり好ましく無い。
また渋滞路などを走行している場合には先行車両との間隔が接近し、緩やかなブレーキやアクセルの操作によって車両を低速走行させている場合なども想定される。このような場合に惰性走行が提供されるとエンジン停止再始動の繰り返しやクラッチ切り離しによるクリープトルクの喪失など運転者に違和感を生ずる可能性があるばかりか、燃料消費量を増大させる虞もあり好ましく無い。
したがって、外界認識手段122によって例えば前方の20m以内に障害物や先行車両が検出される場合には惰性走行の提供を抑制する。なお、前方20mは一例であり、車両100の走行速度によって可変としてもよく、例えば時速30km以上で走行する場合には惰性走行の提供を抑制する距離を10mに設定すると言った運用が想定される。
なお、既に惰性走行が提供されている状態で先行車への接近が認められる場合がある。このような場合には、既存の衝突回避システムやプリクラッシュセーフティシステムによって自動ブレーキが提供されるまで、(ないし、その直前まで)惰性走行を継続してもよい。このようにすることで惰性走行機会を増やし燃料消費量を抑制することができる。
この他の構成は実施例1至る実施例5と同様である。
なお、衝突回避システムやプリクラッシュセーフティシステムは既存の技術をそのまま適用できる為ここでは説明を省略する。
外界認識手段122に加速度センサを用いてこれを協調する実施例を詳述する。
加速度センサによって車両100の走行路の勾配を検出することができる。車両100が例えば8%以上の急勾配を登坂又は下る際には惰性走行の提供を抑制する。急勾配を登坂する際に惰性走行を提供すると急速に車速が低下する場合があり、頻繁な惰性走行の切り替えによって燃料消費量が増大する可能性がある。また、下る場合にも惰性走行を提供するとエンジンブレーキを作用させる機会が減少して、フットブレーキを多用することになる為、ベーパーロック等の危険な状態に陥る可能性がある為好ましく無い。
加速度センサによって勾配を検出する方法は特に限定されず、従来公知のものを利用できる。この他の構成は実施例1至る実施例6と同様である。
上述した実施例は本発明の最良な実施形態を示したものであり、必ずしも説明したすべての構成が含まれることによって特徴づけられるものでは無く、説明した実施形態の構成に限定されるものでは無い。ある実施例の一部を別の実施例に置き換えることが可能であり、その特徴を著しく変更しない限り各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換が可能である。