JP2018059076A - 架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法、硬化性組成物の製造方法、架橋性基を有する含フッ素ポリマーおよび硬化性組成物 - Google Patents

架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法、硬化性組成物の製造方法、架橋性基を有する含フッ素ポリマーおよび硬化性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】含フッ素ポリマーとしての各特性が損なわれず、かつ架橋性および溶解性に優れる架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法、架橋性基を有する含フッ素ポリマー、該含フッ素ポリマーを含む硬化性組成物の製造方法および硬化性組成物の提供。
【解決手段】フッ素原子およびヨウ素原子を有するモノマーと、フッ素原子を有し、ヨウ素原子を有さないモノマーとを含むモノマー成分を重合して基(g1)および基(g2)のいずれか一方または両方を有する前駆ポリマーを得て、該前駆ポリマーにおけるヨウ素原子を架橋性基を有する基に変換して、架橋性基を有する含フッ素ポリマーを得る。
[化1]
Figure 2018059076

【選択図】なし

Description

本発明は、架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法、架橋性基を有する含フッ素ポリマーを含む硬化性組成物の製造方法、架橋性基を有する含フッ素ポリマー、および架橋性基を有する含フッ素ポリマーを含む硬化性組成物に関する。
含フッ素ポリマーを含む硬化性組成物からなる硬化物は、誘電率が低く、屈折率が低く、透明性、撥水撥油性、耐熱性、耐光性、化学的安定性、ガス透過性等に優れるため、電子部材(プリント基板等)、光学部材(光導波路、レンズ、反射防止膜等)、撥水撥油性付与剤、離型剤、バイオチップ等に用いられる。
含フッ素ポリマーを含む硬化性組成物の硬化性を向上させるために、含フッ素ポリマーに架橋性基を導入して、含フッ素ポリマーの架橋性を向上することが行われている。含フッ素ポリマーに架橋性基を導入する方法としては、たとえば、フッ素原子を有するモノマーと、架橋性基を有するモノマーとを重合させる方法、またはフッ素原子を有するモノマーと、架橋性基を導入し得る基を有するモノマーとを重合させた後、該基に架橋性基を導入する方法が挙げられる。
しかし、上記方法で含フッ素ポリマーに架橋性基を導入した場合、ペンダント基として架橋性基を有する単位の割合が増える、すなわちフッ素原子を有するモノマーに基づく単位の割合が減るため、含フッ素ポリマーとしての上記各特性が損なわれる場合がある。
なお、特許文献1には、脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマーの末端の重合開始剤に由来する−COOHを−COOCHに置換した後、−COOCHにアミン基含有シランカップリング剤のアミノ基を反応させることによって、脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマーの末端にトリメトキシシリル基を導入したものが記載されている。
特開平4−226177号公報
しかし、特許文献1に記載の脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマーは、分子量の高い線状分子鎖からなるものであり、1つの分子鎖あたりに最多でもトリメトキシシリル基を2つしか導入できない。そのため、特許文献1に記載の含フッ素ポリマーは、架橋性に乏しく、しかも溶媒への溶解性も不充分で、溶液として用いる場合には、ペルフルオロ化合物等のフッ素含有量の非常に高い溶媒を用いる必要がある。
本発明は、含フッ素ポリマーとしての各特性が損なわれず、かつ架橋性および溶解性に優れる架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法および架橋性基を有する含フッ素ポリマー、ならびに含フッ素ポリマーとしての各特性が損なわれず、かつ硬化性および各成分の相溶性に優れる硬化性組成物の製造方法および硬化性組成物を提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
<1>フッ素原子およびヨウ素原子を有するモノマーと、フッ素原子を有し、ヨウ素原子を有さないモノマーとを含むモノマー成分を重合して、下式(g1)で表される基および下式(g2)で表される基のいずれか一方または両方を有する前駆ポリマーを得て、該前駆ポリマーにおける下式中のヨウ素原子を架橋性基を有する基に変換する、架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法。
Figure 2018059076
ただし、Rは、エーテル結合性酸素原子を有してもよい1価のペルフルオロ有機基またはフッ素原子であり、RおよびRは、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基または炭素数1〜5のペルフルオロアルコキシ基であり、Rは、5員環の一部または6員環の一部を構成する、エーテル結合性酸素原子を有してもよい直鎖状または分岐状のペルフルオロアルキレン基である。
<2>前記フッ素原子を有し、ヨウ素原子を有さないモノマーが、脂肪族環構造を有するモノマー、および環化重合によって脂肪族環構造を形成し得るモノマーのいずれか一方または両方を含む、前記<1>の架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法。
<3>前記前駆ポリマーおよび前記架橋性基を有する含フッ素ポリマーが、分岐分子鎖からなる、前記<1>または<2>の架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法。
<4>前記架橋性基が、下式(g3)で表される基、エポキシ基、ビニル基および下式(g4)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記<1>〜<3>のいずれかの架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法。
−OCOCX=CH (g3)
−SiX (OR3−n (g4)
ただし、Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基であり、Xは、炭素数1〜4のアルキル基であり、nは、0〜2の整数であり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。
<5>前記架橋性基を有する含フッ素ポリマーの質量平均分子量が、5,000〜80,000である、前記<1>〜<4>のいずれかの架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法。
<6>前記<1>〜<5>のいずれかの架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法によって架橋性基を有する含フッ素ポリマーを得て、該含フッ素ポリマーを含む硬化性組成物を調製する、硬化性組成物の製造方法。
<7>フッ素原子を有する単位を有する分岐分子鎖からなり、前記分岐分子鎖の複数の末端に架橋性基を有する、架橋性基を有する含フッ素ポリマー。
<8>前記フッ素原子を有する単位の少なくとも一部が、フッ素原子を有し、かつ脂肪族環構造を有する単位である、前記<7>の架橋性基を有する含フッ素ポリマー。
<9>下式(g11)で表される基および下式(g12)で表される基のいずれか一方または両方を有する、前記<7>または<8>の架橋性基を有する含フッ素ポリマー。
Figure 2018059076
ただし、Rは、エーテル結合性酸素原子を有してもよい1価のペルフルオロ有機基またはフッ素原子であり、RおよびRは、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基または炭素数1〜5のペルフルオロアルコキシ基であり、Rは、5員環の一部または6員環の一部を構成する、エーテル結合性酸素原子を有してもよい直鎖状または分岐状のペルフルオロアルキレン基であり、Aは、架橋性基を有する基である。
<10>前記架橋性基が、下式(g3)で表される基、エポキシ基、ビニル基および下式(g4)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記<7>〜<9>のいずれかの架橋性基を有する含フッ素ポリマー。
−OCOCX=CH (g3)
−SiX (OR3−n (g4)
ただし、Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基であり、Xは、炭素数1〜4のアルキル基であり、nは、0〜2の整数であり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。
<11>質量平均分子量が、5,000〜80,000である、前記<7>〜<10>のいずれかの架橋性基を有する含フッ素ポリマー。
<12>前記<7>〜<11>のいずれかの架橋性基を有する含フッ素ポリマーを含む、硬化性組成物。
本発明の架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法によれば、含フッ素ポリマーとしての各特性が損なわれず、かつ架橋性および溶解性に優れる架橋性基を有する含フッ素ポリマーを製造できる。
本発明の硬化性組成物の製造方法によれば、含フッ素ポリマーとしての各特性が損なわれず、かつ硬化性および各成分の相溶性に優れる硬化性組成物を製造できる。
本発明の架橋性基を有する含フッ素ポリマーは、含フッ素ポリマーとしての各特性が損なわれず、かつ架橋性および溶解性に優れる。
本発明の硬化性組成物は、含フッ素ポリマーとしての各特性が損なわれず、かつ硬化性および各成分の相溶性に優れる。
式(m1)で表されるモノマーをモノマー(m1)と記す。式(g1)で表される基を基(g1)と記す。式(p1)で表されるポリマーをポリマー(p1)と記す。他の式で表されるモノマー、基およびポリマーも同様に記す。
以下の表現や用語の定義は、特に断りのない限り、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「単位」とは、モノマーがラジカル重合することによって形成された該モノマーに基づく原子団を意味する。単位は、重合反応によって直接形成された原子団であってもよく、ポリマーを処理することによって、該原子団の一部が別の構造に変換された原子団であってもよい。
「モノマー」とは、重合反応性の炭素−炭素二重結合を有する化合物である。
「含フッ素ポリマー」とは、炭素原子に結合するフッ素原子を有するポリマーを意味する。
「ペルフルオロポリマー」とは、ポリマー中の炭素−ハロゲン結合の数と炭素−水素結合の数との和に対する炭素−フッ素結合の数の割合が95%以上のポリマーを意味する。ポリマー中の炭素−ハロゲン結合の数と炭素−水素結合の数の和に対する炭素−フッ素結合の数の割合は、たとえば、元素分析の測定結果を用いて算出することができる。
「含ヨウ素ペルフルオロポリマー」とは、ペルフルオロポリマーのフッ素原子の一部がヨウ素原子に置き換わったポリマーを意味する。
「ペルフルオロモノマー」とは、炭素原子に結合する水素原子のすべてがフッ素原子に置き換わったモノマーを意味する。
「含ヨウ素ペルフルオロモノマー」とは、ペルフルオロモノマーのフッ素原子の一部がヨウ素原子に置き換わったモノマーを意味する。
「ペルフルオロアルキル基」とは、アルキル基の水素原子のすべてがフッ素原子に置き換わった基を意味する。
「ペルフルオロアルキレン基」とは、アルキレン基の水素原子のすべてがフッ素原子に置き換わった基を意味する。
「分岐分子鎖」とは、少なくとも1つの分岐点を有する、分岐状に連なった単位から構成される分子鎖を意味する。なお、線状に連なった単位から構成され、単位がペンダント基(複数の単位からなる側鎖ではない側枝)を有する分子鎖は、分岐分子鎖ではない。
数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
<架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法>
本発明の架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法は、ヨウ素原子を有する特定の前駆ポリマーを得て、該前駆ポリマーのヨウ素原子を架橋性基を有する基に変換して、架橋性基を有する含フッ素ポリマー(以下、含フッ素ポリマー(A1)とも記す。)を得る方法である。
(前駆ポリマー)
前駆ポリマーは、フッ素原子およびヨウ素原子を有するモノマー(以下、モノマー(m1)とも記す。)と、フッ素原子を有し、ヨウ素原子を有さないモノマー(以下、モノマー(m2)とも記す。)とを含むモノマー成分を重合して得られる。
モノマー(m1)としては、含フッ素ポリマー(A1)におけるフッ素原子の割合を多くでき、含フッ素ポリマーとしての各特性に優れる含フッ素ポリマー(A1)が得られる点から、含ヨウ素ペルフルオロモノマーが好ましい。
モノマー(m1)としては、前駆ポリマーのヨウ素原子を架橋性基を有する基に変換しやすい点から、後述する基(g1)を有するモノマーが好ましく、重合反応性の炭素−炭素二重結合の反対側の末端に後述する基(g1)を有するモノマーがより好ましい。上記のモノマーを使用することにより、分子分岐鎖を有する含フッ素ポリマーが得られる。
モノマー(m1)としては、たとえば、下記のモノマーが挙げられる。
CF=CFOCFCF(CF)OCFCF−I、
CF=CFOCFCF(CF)OCFCF(CF)OCFCF−I、
CF=CFO(CF−I、
CF=CFO(CF−I、
CF=CFO(CF−I、
CF=CFO(CF−I、
CF=CFO(CF−I、
CF=CFO(CF−I、
CF=CFOCFCF(CF)−I、
CF=CFOCFCF(CF)OCFCF(CF)−I、
CF=CFO(CFOCFCF−I、
CF=CFOCFCFOCFCFCFCF−I、
CF=CFOCF(CF)CFOCFCF−I、
CF=CFOCFCFCH−I、
CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCH−I、
CF=CFOCFCFCHCHCH−I、
CH=CHCFCF−I、
CH=CHCFCFCFCF−I、
CH=CFCFCF−I、
CH=CFCFCFCFCF−I、
CH=CFCFOCF(CF)−I、
CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)−I、
CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CFOCF(CF)−I。
モノマー(m1)は、たとえば、実施例に記載の方法によって合成できる。モノマー(m1)は、含ヨウ素ペルフルオロモノマーが好ましい。含ヨウ素ペルフルオロモノマーは、汎用の−SOF基を有するペルフルオロモノマーから簡易に合成できるため、前駆ポリマーおよび含フッ素ポリマー(A1)を安価に製造できる。
モノマー(m2)としては、含フッ素ポリマー(A1)におけるフッ素原子の割合を多くでき、含フッ素ポリマーとしての各特性に優れる含フッ素ポリマー(A1)が得られる点から、ペルフルオロモノマーが好ましい。
モノマー(m2)としては、前駆ポリマーのヨウ素原子を架橋性基を有する基に変換しやすい点から、モノマー(m2)に基づく単位にヨウ素原子が結合した場合に後述する基(g1)または基(g2)を有する単位となり得るモノマーが好ましく、後述するモノマー(m20)、モノマー(m23)が、溶媒への溶解性が良好な含フッ素ポリマー(A1)を与えるので、より好ましい。モノマー(m20)やモノマー(m23)を重合単位として含む場合、得られるポリマーは非晶質となりやすい。非晶質であるポリマーは、結晶性のポリマーと比べて、溶媒への溶解性が高くなりやすい。
モノマー(m2)としては、たとえば、脂肪族環構造を有するモノマー、環化重合によって脂肪族環構造を形成し得るモノマー、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ヘキサフルオロプロピレン、(ペルフルオロアルキル)エチレン(たとえば、(ペルフルオロブチル)エチレン)、(ペルフルオロアルキル)プロペン(たとえば、3−ペルフルオロオクチル−1−プロペン)、フッ素原子を有し、イオン交換基の前駆体基を有するモノマーが挙げられる。
イオン交換基としては、−SO 、−COO(ただし、Zは、H、一価の金属カチオン、アンモニウムイオン等である。)等が挙げられる。前駆体基としては、−SOF、−COOR(Rは、アルキル基等である。)等が挙げられる。
モノマー(m2)としては、溶媒への溶解性に優れ、各特性に優れる含フッ素ポリマー(A1)が得られる点から、脂肪族環構造を有するモノマー、および環化重合によって脂肪族環構造を形成し得るモノマーのいずれか一方または両方を含むものが好ましい。
脂肪族環構造は、エーテル結合性酸素原子を1個または2個有してもよく、炭素原子に結合する水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換された環状の有機基である。
脂肪族環構造を有するモノマーにおける重合反応性の炭素−炭素二重結合は、脂肪族環構造を構成する隣接する2個の炭素原子から構成されてもよく、脂肪族環構造を構成する1個の炭素原子とこれに隣接する脂肪族環構造外に存在する1個の炭素原子から構成されてもよい。
上記脂肪族環構造を有するモノマーとしては、後述するモノマー(m20)、モノマー(m22)が挙げられ、後述する基(g2)を有する単位となり得る点から、モノマー(m20)が好ましい。
モノマー(m20)は、下式で表される。
Figure 2018059076
、RおよびRは、後述する基(g2)におけるR、RおよびRと同様である。
モノマー(m20)としては、重合反応性と合成しやすさの点から、モノマー(m21)が好ましい。
Figure 2018059076
11およびR12は、それぞれ独立に、フッ素原子または炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基である。
13およびR14は、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基、または炭素数1〜5のペルフルオロアルコキシ基である。R13およびR14は、モノマー(m21)の重合反応性が高い点から、少なくとも一方がフッ素原子であることが好ましく、両方がフッ素原子であることがより好ましい。
ペルフルオロアルキル基およびペルフルオロアルコキシ基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
モノマー(m21)としては、たとえば、モノマー(m21−1)〜(m21−7)が挙げられる。
Figure 2018059076
モノマー(m22)は、下式で表される。
Figure 2018059076
21〜R26は、それぞれ独立に、エーテル結合性酸素原子を有してもよい1価のペルフルオロ有機基またはフッ素原子である。1価のペルフルオロ有機基としては、ペルフルオロアルキル基が好ましい。ペルフルオロアルキル基がエーテル結合性酸素原子を有する場合、該酸素原子は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。また、該酸素原子は、ペルフルオロアルキル基の炭素−炭素結合間に挿入されていてもよく、モノマー(m22)の環を構成する炭素原子と結合する側の末端に存在していてもよい。ペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
25およびR26は、モノマー(m22)の重合反応性が高い点から、少なくとも一方がフッ素原子であることが好ましく、両方がフッ素原子であることがより好ましい。
モノマー(m22)としては、たとえば、モノマー(m22−1)またはモノマー(m22−2)が挙げられ、合成が容易である点から、モノマー(m22−1)が好ましい。
Figure 2018059076
上記環化重合によって脂肪族環構造を形成し得るモノマーとしては、モノマー(m23)が挙げられる。
モノマー(m23)は、下式で表される。
CF(R31)=C(R33)−O−CF(R36)−CF(R35)−C(R34)=CF(R32) (m23)
31〜R36は、それぞれ独立に、エーテル結合性酸素原子を有してもよい1価のペルフルオロ有機基またはフッ素原子である。1価のペルフルオロ有機基としては、ペルフルオロアルキル基が好ましい。ペルフルオロアルキル基がエーテル結合性酸素原子を有する場合、該酸素原子は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。また、該酸素原子は、ペルフルオロアルキル基の炭素−炭素結合間に挿入されていてもよく、ペルフルオロアルキル基が結合する炭素原子と直接結合するように存在していてもよい。ペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
31〜R34は、モノマー(m23)の重合反応性が高い点から、フッ素原子であることがより好ましい。
モノマー(m23)としては、たとえば、モノマー(m23−1)〜(m23−3)が挙げられ、合成が容易である点から、モノマー(m23−1)が好ましい。
CF=CF−O−CF−CF−CF=CF (m23−1)
CF=CF−O−CF−CF(CF)−CF=CF (m23−2)
CF=CF−O−CF(CF)−CF−CF=CF (m23−3)
モノマー(m1)およびモノマー(m2)は、前駆ポリマーが後述する基(g1)および基(g2)のいずれか一方または両方を有するものとなるように適宜選択される。
モノマー成分は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じてモノマー(m1)およびモノマー(m2)以外の第3のモノマーを含んでいてもよい。
第3のモノマーとしては、エチレン、プロピレン、シクロペンテン、ノルボルネン等が挙げられる。
モノマー(m1)とモノマー(m2)との仕込モル比は、後述する前駆ポリマーにおけるモノマー(m1)に基づく単位に対するモノマー(m2)に基づく単位のモル比(m2/m1)や分子量が好ましい範囲となるように適宜調整される。
重合法としては、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、バルク重合法等の公知の重合法が挙げられる。
重合は、ラジカルが生起する条件で行われる。ラジカルを生起させる方法としては、ラジカル開始剤を添加する方法、紫外線、γ線、電子線等の放射線を照射する方法等が挙げられる。
ラジカル開始剤としては、ビス(フルオロアシル)ペルオキシド、ビス(クロロフルオロアシル)ペルオキシド、ジアルキルペルオキシジカーボネート、ジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル、アゾ化合物、過硫酸塩が挙げられる。
溶液重合法にて用いる溶媒としては、ペルフルオロトリアルキルアミン(ペルフルオロトリブチルアミン等)、ペルフルオロカーボン(ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロオクタン等)、ハイドロフルオロカーボン(1H,4H−ペルフルオロブタン、1H−ペルフルオロヘキサン等)、ハイドロクロロフルオロカーボン(3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン等)、ハイドロフルオロエーテル(CFCHOCFCFH等)が挙げられる。
溶液重合法においては、溶媒中にモノマー成分、ラジカル開始剤等を添加し、溶媒中にてラジカルを生起させてモノマー成分を重合する。モノマー成分およびラジカル開始剤の添加は、一括添加であってもよく、逐次添加であってもよく、連続添加であってもよい。
モノマー(m1)とモノマー(m2)とを含むモノマー成分を重合して得られる前駆ポリマーは、基(g1)および基(g2)のいずれか一方または両方を有する。
Figure 2018059076
は、エーテル結合性酸素原子を有してもよい1価のペルフルオロ有機基またはフッ素原子である。1価のペルフルオロ有機基としては、ペルフルオロアルキル基が好ましい。ペルフルオロアルキル基がエーテル結合性酸素原子を有する場合、該酸素原子は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。また、該酸素原子は、ペルフルオロアルキル基の炭素−炭素結合間に挿入されていてもよく、基(g1)における炭素原子と結合する側の末端に存在していてもよい。ペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。ペルフルオロアルキル基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。Rとしては、フッ素原子、トリフルオロメチル基、またはペンタフルオロエチル基が好ましく、フッ素原子またはトリフルオロメチル基がより好ましく、フッ素原子がさらに好ましい。
およびRは、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基または炭素数1〜5のペルフルオロアルコキシ基である。
は、5員環の一部または6員環の一部を構成する、エーテル結合性酸素原子を有してもよい直鎖状または分岐状のペルフルオロアルキレン基である。ペルフルオロアルキレン基がエーテル結合性酸素原子を有する場合、該酸素原子は、1個であってもよく、2個であってもよい。また、該酸素原子は、ペルフルオロアルキレン基の炭素−炭素結合間に挿入されていてもよく、末端に存在していてもよい。
基(g1)を有する単位としては、たとえば、ヨウ素原子が離脱していないモノマー(m1)に基づく単位;分子鎖の末端に位置する、モノマー(m2)(たとえば、モノマー(m23))に基づく単位にヨウ素原子が結合した単位が挙げられる。
基(g2)を有する単位としては、たとえば、分子鎖の末端に位置する、モノマー(m2)(たとえば、モノマー(m20))に基づく単位にヨウ素原子が結合した単位が挙げられる。
モノマー(m2)に基づく単位に結合するヨウ素原子は、モノマー成分の重合の途中でモノマー(m1)に基づく単位から離脱したヨウ素原子、または重合反応系内のモノマー(m1)から移動してきたヨウ素原子である。
前駆ポリマーにおけるモノマー(m1)に基づく単位に対するモノマー(m2)に基づく単位のモル比(m2/m1)は、3/1〜100/1が好ましく、5/1〜50/1がより好ましい。m2/m1が上記範囲の下限値以上であれば、各特性に優れる含フッ素ポリマー(A1)が得られやすい。また、重合時に充分に高い分子量が得られやすい。m2/m1が上記範囲の上限値以下であれば、含フッ素ポリマー(A1)において、充分な架橋反応性が得られやすい。また、架橋性基を有する基により、含フッ素ポリマー(A1)の溶媒への溶解性が得られやすい。
なお、モノマー(m1)に基づく単位には、モノマー(m1)に基づく単位からヨウ素原子を除いた単位(分岐点)も含まれる。また、モノマー(m2)に基づく単位には、モノマー(m2)に基づく単位にヨウ素原子が結合したものも含まれる。
前駆ポリマーにおけるポリマー1分子あたりのヨウ素原子数は、含フッ素ポリマー(A1)の架橋性と含フッ素ポリマーとしての各特性とのバランスに応じて、適宜調整すればよい。ポリマー1分子あたりのヨウ素原子数が多ければ、含フッ素ポリマー(A1)における架橋性基の数が充分に多くなり、含フッ素ポリマー(A1)の架橋性がさらに優れる。ポリマー1分子あたりのヨウ素原子数が多くなりすぎなければ、含フッ素ポリマー(A1)における架橋性基の数が多くなりすぎず、含フッ素ポリマーとしての各特性を損ないにくい。
前駆ポリマーとしては、含フッ素ポリマーとしての各特性に優れる含フッ素ポリマー(A1)が得られる点から、含ヨウ素ペルフルオロポリマーが好ましい。
前駆ポリマーとしては、分子鎖の末端に導入される架橋性基の数が多くなり、架橋性および溶解性に優れる含フッ素ポリマー(A1)が得られる点から、分岐分子鎖からなるものが好ましい。
前駆ポリマーが分岐分子鎖からなる場合、分岐分子鎖の分岐点は、モノマー(m1)に基づく単位からヨウ素原子を除いた単位からなる。モノマー成分の重合の途中で、重合反応系内のラジカルによってヨウ素原子が引き抜かれたモノマー(m1)に基づく単位は、重合の開始点、すなわちポリマーの分岐点となる。
前駆ポリマーが分岐分子鎖であることは、NMR測定により、モノマー(m1)に基づく単位に由来するピークおよびモノマー(m2)に基づく単位に由来するピークの存在により確認できる。
モノマー(m1)に基づく単位が後述の8IVEに基づく単位である場合、−60〜−65ppm付近にヨウ素原子が結合した炭素原子に結合したフッ素原子に由来するピークが確認できる。
モノマー(m2)に基づく単位がモノマー(m20)に基づく単位である場合、ヨウ素原子が結合した脂肪族環構造の炭素原子に結合したフッ素原子に由来するピークが確認でき、たとえば、モノマー(m21−1)に基づく単位である場合には、−45ppm前後に上記ピークが確認できる。
モノマー(m2)に基づく単位がモノマー(m23)に基づく単位である場合、ヨウ素原子が結合した炭素原子に結合したフッ素原子に由来するピークが確認でき、たとえば、モノマー(m23−1)に基づく単位である場合には、−45〜−50ppm付近に上記ピークが確認できる。
なお、ケミカルシフトの値は溶媒のペルフルオロベンゼンのケミカルシフトを−162.7ppmに設定したときの値である。
前駆ポリマーの質量平均分子量は、5,000〜80,000が好ましく、10,000〜60,000がより好ましく、15,000〜40,000がさらに好ましい。前駆ポリマーの質量平均分子量が上記範囲内であれば、質量平均分子量が後述する好ましい範囲にある含フッ素ポリマー(A1)を得やすい。なお、本明細書の質量平均分子量は、後述の方法で測定して得られるポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと記す。)換算質量平均分子量である。なお、分岐構造を有するポリマーにおける、光散乱法等の公知の方法で測定される絶対分子量は、PMMA換算分子量よりも大きくなる。
(含フッ素ポリマー(A1))
含フッ素ポリマー(A1)は、前駆ポリマーのヨウ素原子を架橋性基を有する基に変換して得られる。
含フッ素ポリマー(A1)としては、前駆ポリマーのヨウ素原子のすべてが反応して、ヨウ素原子を含まないものが好ましく、かつ、ヨウ素原子の架橋性基を有する基への変換率が高いものが好ましい。含フッ素ポリマー(A1)にヨウ素原子が残存していると、光や熱によって遊離したヨウ素によって含フッ素ポリマー(A1)が劣化、着色しやすくなる。
含フッ素ポリマー(A1)は、基(g11)および基(g12)のいずれか一方または両方を有するものとなる。
Figure 2018059076
、R、RおよびRは、前述した基(g1)および基(g2)におけるR、R、RおよびRと同様である。
Aは、架橋性基を有する基である。
基(g11)は、前述した基(g1)のヨウ素原子を架橋性基を有する基に変換したものである。
基(g12)は、前述した基(g2)のヨウ素原子を架橋性基を有する基に変換したものである。
架橋性基としては、基(g3)、エポキシ基、ビニル基、基(g4)、シアノ基、マレイミド基、アジド基、エチニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、水酸基等が挙げられ、含フッ素ポリマー(A1)の架橋性に優れる点から、基(g3)、エポキシ基、ビニル基および基(g4)からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、基(g3)、エポキシ基および基(g4)からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。なお、本明細書においては、ヨウ素原子、臭素原子からなる末端基は架橋性基から除外する。
−OCOCX=CH (g3)
−SiX (OR3−n (g4)
ただし、Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基であり、Xは、炭素数1〜4のアルキル基であり、nは、0〜2の整数であり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。
前駆ポリマーのヨウ素原子の架橋性基への変換は、低分子化合物における公知の反応と同様に実施できる。
前駆ポリマーのヨウ素原子を基(g3)を有する基に変換する方法としては、たとえば、米国特許第4058573号明細書に記載の方法により、前駆ポリマー(以下、ポリマー(p0)とも記す。)からポリマー(p1)を得て、特開昭48−103504号公報に記載の方法によりポリマー(p2)を得て、特開昭53−139693号公報、米国特許第3282905号明細書または特開平5−345732号公報に記載の方法で、ポリマー(p3)を得る方法が挙げられる。
また、特公昭46−25361号公報に記載の方法で、ポリマー(p0)からポリマー(p4)を得て、Journal of Fluorine Chemistry,1994年,第68巻,第1号,p.49−56または特願2015−227178号に記載の方法でポリマー(p5)を得て、上記ポリマー(p3)を得る方法と同様にして、ポリマー(p6)を得る方法が挙げられる。
ただし、下式(p0)における、Polymerは、前駆ポリマーのヨウ素原子を除いた残部のことであり、以下の式においても同様である。下式(p3)および下式(p6)におけるXは、上記式(g3)におけるXと同様である。
Polymer−I (p0)
Polymer−CHCHI (p1)
Polymer−CHCHOH (p2)
Polymer−CHCHOCOCX=CH (p3)
Polymer−CHCHICHOH (p4)
Polymer−CHCHCHOH (p5)
Polymer−CHCHCHOCOCX=CH (p6)
前駆ポリマーのヨウ素原子をエポキシ基を有する基に変換する方法としては、上記と同様の方法で、ポリマー(p4)を得て、特公昭46−25361号公報または特公昭60−55490号公報に記載の方法で、ポリマー(p7)を得る方法が挙げられる。式(p7)におけるEpは、エポキシ基である。
Polymer−CHEp (p7)
前駆ポリマーのヨウ素原子をビニル基を有する基に変換する方法としては、上記と同様の方法でポリマー(p1)を得て、Journal of Fluorine Chemistry,1995年,第74巻,第2号,p.191−197に記載の方法でポリマー(p8)を得る方法が挙げられる。
また、Journal of Fluorine Chemistry,1982年,第20巻,第3号,p.313−327に記載の方法で、ポリマー(p0)からポリマー(p9)を得て、さらに特開昭48−34805号公報に記載の方法でポリマー(p10)を得る方法が挙げられる。
Tetrahedron Letters,2001年,第42巻,第5号,p.947−950に記載の方法で、ポリマー(p0)からポリマー(p10)を得てもよい。
Polymer−CH=CH (p8)
Polymer−CHCHICHOCOCH (p9)
Polymer−CHCH=CH (p10)
前駆ポリマーのヨウ素原子を基(g4)を有する基に変換する方法としては、Journal of Organic Chemistry,1962年,第27巻,p.2261−2262、特開平5−339007号公報または国際公開第2012/081524号に記載の方法で、ポリマー(p0)からポリマー(p11)を得て、国際公開第2012/081524号または国際公開第2013/031622号に記載の方法でポリマー(p12)を得る方法が挙げられる。
また、Journal of Fluorine Chemistry,2000年,第104巻,第2号,p.185−194、国際公開第2012/081524号または特開2015−205973号公報に記載の方法により、ポリマー(p8)からポリマー(p12)を得てもよい。
Journal of Fluorine Chemistry,2000年,第104巻,第2号,p.185−194に記載の方法で、ポリマー(p10)からポリマー(p13)を得てもよい。
ただし、下式(p11)、下式(p12)および下式(p13)におけるXおよびRは、上記式(g4)におけるXおよびRと同様である。
Polymer−CHCHISiX (OR3−n (p11)
Polymer−CHCHSiX (OR3−n (p12)
Polymer−CHCHCHSiX (OR3−n (p13)
含フッ素ポリマー(A1)におけるポリマー1分子あたりの架橋性基数は、含フッ素ポリマー(A1)の架橋性と含フッ素ポリマーとしての各特性とのバランスに応じて、適宜調整すればよい。ポリマー1分子あたりの架橋性基数が多ければ、含フッ素ポリマー(A1)の架橋性がさらに優れる。ポリマー1分子あたりの架橋性基数が多くなりすぎなければ、含フッ素ポリマーとしての各特性を損ないにくい。
含フッ素ポリマー(A1)としては、含フッ素ポリマーとしての各特性に優れる点から、含フッ素ポリマー(A1)のすべての単位がペルフルオロモノマーまたは含ヨウ素ペルフルオロモノマーに基づく単位であることが好ましい。
含フッ素ポリマー(A1)としては、分子鎖の末端に導入される架橋性基の数が多くなり、架橋性および溶解性に優れる点から、分岐分子鎖からなるものが好ましい。
含フッ素ポリマー(A1)の質量平均分子量は、5,000〜80,000が好ましく、10,000〜60,000がより好ましく、15,000〜40,000がさらに好ましい。含フッ素ポリマー(A1)の質量平均分子量が上記範囲の下限値以上であれば、含フッ素ポリマー(A1)におけるフッ素含有量が高くなり、含フッ素ポリマー(A1)としての特性を充分に発現しやすい。また、含フッ素ポリマー(A1)を架橋反応により硬化した場合、フィルムや塗膜等の硬化物の強度が良好となりやすい。含フッ素ポリマー(A1)の質量平均分子量が上記範囲の上限値以下であれば、含フッ素ポリマー(A1)の溶媒への溶解性が良好となりやすく、ポリマー濃度の高い溶液が得られやすい。また、含フッ素ポリマー(A1)を架橋反応により硬化させる場合、反応性が良好となりやすい。
以上説明した本発明の架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法にあっては、フッ素原子およびヨウ素原子を有するモノマー(m1)と、フッ素原子を有し、ヨウ素原子を有さないモノマー(m2)とを含むモノマー成分を重合して基(g1)および基(g2)のいずれか一方または両方を有する前駆ポリマーを得て、該前駆ポリマーのヨウ素原子を架橋性基を有する基に変換して含フッ素ポリマー(A1)を得る方法であるため、従来の方法(フッ素原子を有するモノマーと、フッ素原子を有さず架橋性基を有するモノマーとを重合させる方法)のように、含フッ素ポリマー(A1)におけるフッ素原子を有するモノマーに基づく単位の割合を減らす必要がない。そのため、各特性(低誘電率、低屈折率、透明性、撥水撥油性、耐熱性、耐光性、化学的安定性、ガス透過性等)が損なわれない含フッ素ポリマー(A1)を製造できる。また、前駆ポリマーの末端基に存在するヨウ素原子は、様々な架橋性基に変換できる。用途に応じた架橋性基を選択することで、特に用途の制限はないが、たとえば、電子部材、光学部材、撥水撥油性付与剤、離型剤、バイオチップ等の多様な用途に適用できる含フッ素ポリマー(A1)を得ることができる。
また、以上説明した本発明の架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法にあっては、複数のヨウ素原子を有する前駆ポリマーを得て、該前駆ポリマーのヨウ素原子を架橋性基を有する基に変換して含フッ素ポリマー(A1)を得る方法であるため、従来の方法(線状分子鎖からなる脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマーの末端にトリメトキシシリル基を導入する方法)に比べ、架橋性基を多く導入できる。そのため、架橋性および溶解性に優れる含フッ素ポリマー(A1)を製造できる。
<硬化性組成物の製造方法>
本発明の硬化性組成物の製造方法は、前述した方法によって含フッ素ポリマー(A1)を得て、該含フッ素ポリマー(A1)を含む硬化性組成物を調製する方法である。
含フッ素ポリマー(A1)が架橋性基として基(g3)またはビニル基を有する場合、硬化性組成物としては、含フッ素ポリマー(A1)と、光重合開始剤とを含む光硬化性組成物;含フッ素ポリマー(A1)と、熱重合開始剤とを含む熱硬化性組成物;含フッ素ポリマー(A1)と、ヒドロシリル化架橋剤と、ヒドロシリル化触媒とを含む硬化性組成物等が挙げられる。
光重合開始剤としては、特開2008−189836号公報、国際公開第2013/115191号等に記載のものが挙げられる。
熱重合開始剤としては、公知のラジカル開始剤が挙げられる。
ヒドロシリル化架橋剤およびヒドロシリル化触媒としては、国際公開第2011/065155号等に記載のものが挙げられる。
含フッ素ポリマー(A1)が架橋性基として基(g4)を有する場合、硬化性組成物としては、含フッ素ポリマー(A1)と、光酸発生剤または光塩基発生剤とを含む光硬化性組成物等が挙げられる。
光酸発生剤としては、特開2006−169375号公報、国際公開第2015/033805号、国際公開第2015/163379号等に記載のものが挙げられる。
光塩基発生剤としては、国際公開第2015/033805号等に記載のものが挙げられる。
硬化性組成物は、架橋剤としてアルコキシシラン(テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、ジアルコキシシラン等)を含んでいてもよい。
含フッ素ポリマー(A1)が架橋性基としてエポキシ基を有する場合、硬化性組成物としては、含フッ素ポリマー(A1)と、エポキシ硬化剤とを含む硬化性組成物等が挙げられる。
エポキシ硬化剤としては、たとえば、エポキシ樹脂ハンドブック(日刊工業新聞社、1987年出版)記載の各種硬化剤を使用できる。具体的には、アミン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、酸および酸無水物系硬化剤等が挙げられる。
硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、界面活性剤、チクソトロピック剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、他のポリマー、オリゴマー、反応性希釈剤(モノマー)、シランカップリング剤、充填材、溶媒等が挙げられる。
以上説明した本発明の硬化性組成物の製造方法にあっては、前述の方法によって含フッ素ポリマー(A1)を得て、該含フッ素ポリマー(A1)を含む硬化性組成物を調製する方法であるため、含フッ素ポリマーとしての各特性が損なわれず、かつ硬化性および各成分の相溶性に優れる硬化性組成物を製造できる。
含フッ素ポリマー(A1)は、炭化水素系の架橋性基を多数有するため、フッ素含有量の多い溶媒だけではなく、フッ素含有量の少ない溶媒や反応性希釈剤にも溶解しやすい。そのため、硬化性組成物においては、広範な種類の溶媒や反応性希釈剤を選択できる。溶媒や反応性希釈剤に含フッ素ポリマー(A1)が溶解した硬化性組成物によれば、コーティングによって均質な塗膜を形成しやすい。また、含フッ素ポリマー(A1)が架橋性基を有するため、形成された塗膜は、基材への密着性も良好である。
<架橋性基を有する含フッ素ポリマー>
本発明の実施形態に係る架橋性基を有する含フッ素ポリマーは、フッ素原子を有する単位を有する分岐分子鎖からなり、分岐分子鎖の複数の末端に架橋性基を有する含フッ素ポリマー(以下、含フッ素ポリマー(A2)とも記す。)である。上記フッ素原子を有する単位の少なくとも一部は、フッ素原子を有し、かつ脂肪族環構造を有する単位であることが好ましい。上記架橋性基は、分岐分子鎖の一部の末端に存在してもよく、分岐分子鎖のすべての末端に存在してもよい。
フッ素原子を有する単位としては、モノマー(m1)に基づく単位、モノマー(m2)に基づく単位等が挙げられる。
なお、モノマー(m1)に基づく単位には、モノマー(m1)に基づく単位からヨウ素原子を除いた単位(分岐点)も含まれ、また、モノマー(m1)に基づく単位のヨウ素原子が架橋性基を有する基に変換されたものも含まれる。また、モノマー(m2)に基づく単位には、モノマー(m2)に基づく単位に架橋性基を有する基が結合したものも含まれる。
モノマー(m1)に基づく単位としては、含フッ素ポリマー(A2)におけるフッ素原子の割合を多くでき、含フッ素ポリマーとしての各特性に優れる含フッ素ポリマー(A2)が得られる点から、含ヨウ素ペルフルオロモノマーに基づく単位が好ましい。
モノマー(m2)に基づく単位としては、含フッ素ポリマー(A2)におけるフッ素原子の割合を多くでき、含フッ素ポリマーとしての各特性に優れる含フッ素ポリマー(A2)が得られる点から、ペルフルオロモノマーに基づく単位が好ましい。
モノマー(m2)に基づく単位としては、含フッ素ポリマー(A2)が溶媒への溶解性に優れ、含フッ素ポリマーとしての各特性に優れる含フッ素ポリマー(A2)が得られる点から、フッ素原子を有し、脂肪族環構造を有する単位が好ましい。
フッ素原子を有し、脂肪族環構造を有する単位としては、モノマー(m20)に基づく単位、モノマー(m22)に基づく単位、モノマー(m23)に基づく単位が挙げられ、基(g11)または基(g12)を有する単位となり得る点から、モノマー(m20)に基づく単位またはモノマー(m23)に基づく単位が好ましい。
モノマー(m20)に基づく単位としては、重合反応性と合成しやすさの点から、モノマー(m21)に基づく単位が好ましい。
モノマー(m21)に基づく単位としては、たとえば、モノマー(m21−1)〜(m21−7)に基づく単位が挙げられる。
モノマー(m22)に基づく単位としては、たとえば、モノマー(m22−1)〜(m22−2)に基づく単位が挙げられ、モノマーの合成が容易である点から、モノマー(m22−1)に基づく単位が好ましい。
モノマー(m23)に基づく単位は、下式(u23)で表される。モノマー(m23)に基づく単位としては、たとえば、モノマー(m23−1)〜(m23−3)に基づく単位が挙げられ、モノマーの合成が容易である点から、モノマー(m23−1)に基づく単位が好ましい。
式(u23)で表される単位におけるR31〜R36は、モノマー(m23)におけるものと同様であり、好ましい形態も同様である。
Figure 2018059076
モノマー(m1)に基づく単位およびモノマー(m2)に基づく単位は、含フッ素ポリマー(A2)が基(g11)および基(g12)のいずれか一方または両方を有するものとなるように適宜選択されることが好ましい。
含フッ素ポリマー(A2)は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じてモノマー(m1)およびモノマー(m2)以外の第3のモノマーに基づく単位を有していてもよい。第3のモノマーとしては、前述した前駆ポリマーにおけるものと同様のものが挙げられる。
含フッ素ポリマー(A2)におけるモノマー(m1)に基づく単位に対するモノマー(m2)に基づく単位のモル比(m2/m1)の好ましい範囲は、前述した前駆ポリマーにおけるm2/m1の好ましい範囲と同様である。
含フッ素ポリマー(A2)は、たとえば、前述した前駆ポリマーのうち、分岐分子鎖を有する前駆ポリマーのヨウ素原子を架橋性基を有する基に変換して得られる。
含フッ素ポリマー(A2)としては、前駆ポリマーのヨウ素原子のすべてが反応して、ヨウ素原子を含有しないものが好ましく、かつ、ヨウ素原子の架橋性基を有する基への変換率が高いものが好ましい。含フッ素ポリマー(A2)にヨウ素原子が残存していると、光や熱によって遊離したヨウ素によって含フッ素ポリマー(A2)が劣化、着色しやすくなる。
含フッ素ポリマー(A2)としては、架橋性および溶解性に優れる点から、基(g11)および基(g12)のいずれか一方または両方を有する含フッ素ポリマー、すなわち前述した含フッ素ポリマー(A1)のうち、分岐分子鎖を有する含フッ素ポリマー(A1)に相当するものが好ましい。
架橋性基としては、前述した含フッ素ポリマー(A1)における架橋性基と同様のものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
含フッ素ポリマー(A2)におけるポリマー1分子あたりの架橋性基数は、含フッ素ポリマー(A2)の架橋性と含フッ素ポリマーとしての各特性とのバランスに応じて、適宜調整すればよい。ポリマー1分子あたりの架橋性基数が多ければ、含フッ素ポリマー(A2)の架橋性がさらに優れる。ポリマー1分子あたりの架橋性基数が多くなりすぎなければ、含フッ素ポリマーとしての各特性を損ないにくい。
含フッ素ポリマー(A2)としては、含フッ素ポリマーとしての各特性に優れる点から、含フッ素ポリマー(A2)のすべての単位がペルフルオロモノマーまたは含ヨウ素ペルフルオロモノマーに基づく単位であることが好ましい。
含フッ素ポリマー(A2)の質量平均分子量の好ましい範囲は、前述した含フッ素ポリマー(A1)の質量平均分子量の好ましい範囲と同様である。
以上説明した本発明の実施形態に係る架橋性基を有する含フッ素ポリマーにあっては、フッ素原子を有する単位を有するポリマーであるため、含フッ素ポリマーとしての各特性(低誘電率、低屈折率、透明性、撥水撥油性、耐熱性、耐光性、化学的安定性、ガス透過性等)を有する。
また、以上説明した本発明の実施形態に係る架橋性基を有する含フッ素ポリマーにあっては、分岐分子鎖からなり、かつ分岐分子鎖の複数の末端に架橋性基を有する含フッ素ポリマーであるため、架橋性および溶解性に優れる。すなわち、含フッ素ポリマー(A2)が分岐構造を有することによって、架橋性がよくなり、また溶解性もよくなる。含フッ素ポリマー(A2)が架橋性基を多く有することによって、架橋性がよくなり、また溶解性もよくなる。
<硬化性組成物>
本発明の実施形態に係る硬化性組成物は、本発明の実施形態に係る含フッ素ポリマー(A2)を含む硬化性組成物である。
本発明の実施形態に係る硬化性組成物としては、含フッ素ポリマー(A1)を含フッ素ポリマー(A2)に置き換えた以外は前述した硬化性組成物の製造方法において例示された硬化性組成物と同様のものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
以上説明した本発明の実施形態に係る硬化性組成物にあっては、本発明の実施形態に係る含フッ素ポリマー(A2)を含むため、含フッ素ポリマーとしての各特性が損なわれず、かつ硬化性および硬化性組成物を構成する他の成分との相溶性に優れる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されない。例1〜5は、実施例である。
(単位のモル比)
前駆ポリマーにおける各単位のモル比については、元素分析によってヨウ素含有量を求め、ヨウ素含有量から算出した。
含フッ素ポリマー(A1)における各単位のモル比は、前駆ポリマーにおける単位のモル比に対応しているため、省略する。
(質量平均分子量)
以下に示す方法iまたは方法iiによって、前駆ポリマーまたは含フッ素ポリマー(A1)の質量平均分子量を求めた。
方法i:
GPC測定装置(東ソー社製、HLC−8320GPC)を用い、PMMA換算のポリマーの質量平均分子量を求めた。溶媒としては、アサヒクリンAK−225 SECグレード−1、旭硝子社製を用いた。カラムとしては、PLgel 5μ MIXED−C(ポリマーラボラトリー社製)を2本並列につなぎ合わせて用いた。測定温度は40℃とした。検出器としては、蒸発光散乱検出器を用いた。
方法ii:
溶媒としてHFC−52−13p、HCFC−225cbおよび1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアルコールを、体積比で40:55:5に混合した溶媒を用い、測定温度を37℃に変更した以外は、方法iと同様にしてポリマーのPMMA換算質量平均分子量を求めた。
実施例に用いた材料は以下のとおりである。
(モノマー)
PDD:モノマー(m21−1)。
Figure 2018059076
BVE:モノマー(m23−1)。
CF=CF−O−CF−CF−CF=CF (m23−1)
8IVE:
CF=CFOCFCF(CF)OCFCF−I
(ラジカル開始剤)
IPP:ジイソプロピルペルオキシジカーボネート。
(溶媒)
HFC−52−13p:CF(CFH、
HCFC−225cb:CClFCFCHClF、
AE−3000:CFCHOCFCFH。
(その他)
PHVE−I:CFCFCFOCF(CF)CFOCFCF−I
(8IVEの合成)
8IVEは、Huaxue Xuebao、第47巻、第7号、1989年、p.720−723に記載された方法と同様にして、下記2ステップの反応で合成した。ガスクロマトグラフィによる純度は99.8%であった(bp.62−63℃/6.7kPa)。
Figure 2018059076
(例1)
前駆ポリマーの製造:
内容積120mLのハステロイ製オートクレーブに、8IVEの3.36gを仕込んだ。IPPの0.707gを約10gのHFC−52−13pに溶解した液およびBVEの36.24gを加え、次いで、オートクレーブ中に加えたHFC−52−13pの全量が79.69gとなるようにHFC−52−13pを加えた。液体窒素を用いて凍結脱気を2回繰り返した後、約0℃まで戻し、窒素ガスを0.3MPaG(Gはゲージ圧を示す。以下同様。)まで導入した。オートクレーブをウォーターバスにセットし、内温を45℃に保持しつつ、7時間撹拌した後、オートクレーブを氷水に浸けて、20℃以下まで冷却して反応を停止した。
反応液をオートクレーブからビーカーに移し替え、HFC−52−13pの約33gを加えた。n−ヘキサンの約180gを加えて30分撹拌し、一晩静置した。デカンテーション後、HFC−52−13pの約125gを加えてポリマーを溶解し、n−ヘキサンの約180gを加えて30分撹拌してポリマーを凝集させた後、デカンテーションした。同様の操作をさらに2回繰り返した。60℃で11日間真空乾燥して、白色のポリマー(p0−1)の14.2gを得た。ポリマー(p0−1)について、元素分析により求めたヨウ素含有量、8IVEに基づく単位に対するBVEに基づく単位のモル比(m2/m1)、方法iによって求めた質量平均分子量を表1に示す。多角度光散乱検出器を備えたGPC(以下、「GPC−MALS法」という。)測定によるポリマー(p0−1)の絶対質量平均分子量は、33,200である。
ポリマー(p0−1)をHCFC−225cbに溶解して19F−NMRを測定したところ、ヨウ素原子が結合したBVEに基づく単位と、ヨウ素原子が解離していない8IVEに基づく単位の比率は、−45〜−56ppmのピークと−64ppm付近のピークの比率から24:76であることが分かり、ポリマー(p0−1)が分岐分子鎖であることが確認された。
含フッ素ポリマー(A1)の製造:
ポリマー(p0−1)が濃度6質量%となるようにHCFC−225cbに溶解した溶液、IPPをHCFC−225cbで質量比400倍に希釈した溶液、およびアリルアルコールをHCFC−225cbで質量比300倍に希釈した溶液を調製した。
ポリマー(p0−1)の1.20g(ヨウ素のモル数として0.185mmol)、アリルアルコールの10.8mg、IPPの7.6mgとなるように、上記溶液をこの順に、内容積34mLのハステロイ製オートクレーブに加えた。最後にHCFC−225cbの全量が28.78gとなるように、HCFC−225cbを加えた。液体窒素を用いて凍結脱気を2回繰り返した後、オートクレーブの内温を約0℃まで戻し、窒素ガスを0.2MPaGとなるまで導入した。オートクレーブをウォーターバスにセットし、45℃で1時間、50℃で2時間、60℃で2時間撹拌した。オートクレーブをウォーターバスから取り出して一晩静置し、ポリマー(p4−1)を含む反応液を得た。反応液の約1gをサンプリングして19F−NMRおよびH−NMRを測定したところ、ヨウ素末端の反応率は82.1%であり、ヨウ素末端の−CHCHICHOHへの転化率は74.8%であった。
反応液に、IPPの38.2mgおよびn−ヘキサンの0.600gの混合液と、HCFC−225cbの0.3gとを加えてオートクレーブを密閉した後、液体窒素を用いて、凍結脱気を2回繰り返した。オートクレーブの内温を約0℃まで戻して窒素ガスを0.3MPaGまで導入した。オートクレーブをウォーターバスにセットし、75℃で7時間撹拌した後、オートクレーブをウォーターバスから取り出して一晩静置した。洗浄溶媒としてHCFC−225cbを用いて、オートクレーブ中の反応液をナスフラスコに移し、エバポレータでポリマー濃度が約7%になるまで濃縮し、n−ヘキサンの20gを加えてポリマーを凝集させて、吸引ろ過した。HCFC−225cbの約10gを加えてポリマーを溶解した後、n−ヘキサンの20gを加えてポリマーを凝集させ、ろ過した。もう一度、同様の操作を繰り返したのち、60℃で3日間真空乾燥した。白色のポリマー(p5−1)の1.12gを得た。ポリマー(p5−1)をHCFC−225cbに溶解して19F−NMRおよびH−NMRを測定したところ、ポリマー(p0−1)のヨウ素末端の反応率は100%となり、ポリマー(p0−1)のヨウ素末端の−CHCHCHOHへの転化率は47.3%であった。
ポリマー(p5−1)の0.349g、アクリル酸クロリドの9.8mg、トリエチルアミンの10.9mgおよびHCFC−225cbの8.36gをガラス容器に加えた。アクリル酸クロリド、トリエチルアミンとしては、HCFC−225cbで質量比100倍に希釈した溶液を用いた。室温で3時間撹拌した後、一晩静置した。析出した固体を除くため、孔径0.45μのフィルタを装着したシリンジを用いてろ過した。ろ液は無色透明であった。ポリマー濃度が約7質量%になるまでエバポレータで濃縮した後、ヘキサンの約6gを加えてポリマーを凝集した。吸引ろ過した後、ポリマーをHCFC−225cbに溶解し、先ほどと同様にして不溶分をろ過した後、ヘキサンの約6gでポリマーを凝集させて吸引ろ過した。もう一度同様の操作を繰り返した。得られたポリマーをペルフルオロベンゼンに溶解し、上述の操作と同様に、フィルタ付きのシリンジで不溶分を除去した。エバポレータを用いて溶媒を留去し、ペルフルオロベンゼンを加えて溶媒置換し、ポリマー(p6−1)を含む溶液の4.69gを得た。この溶液を同体積の水で洗浄した後、下層をH−NMRで測定したところ、−CHCHCHOHは定量的に−CHCHCHOCOCH=CHに変換されていた。
(例2)
含フッ素ポリマー(A1)の製造:
例1で得られたポリマー(p0−1)をHCFC−225cbに濃度7.7質量%で溶解した溶液、アリルアルコールをHCFC−225cbで質量比100倍に希釈した溶液、IPPをHCFC−225cbで質量比200倍に希釈した溶液を調製した。
ポリマー(p0−1)の6.29g(ヨウ素のモル数として0.952mmol)、アリルアルコールの66.3mg、IPPの39.3mgとなるように、上記溶液をこの順に、内容積120mLlのハステロイ製オートクレーブに加えた。最後にHCFC−225cbの全量が103.60gとなるように、HCFC−225cbを加えた。液体窒素を用いて凍結脱気を2回繰り返した後、約0℃まで戻し、窒素ガスを0.2MPaGとなるまで導入した。オートクレーブをウォーターバスにセットし、45℃で1時間、50℃で2時間、60℃で2時間撹拌した。オートクレーブをウォーターバスから取り出して一晩静置し、ポリマー(p4−2)を含む反応液を得た。反応液の約1gをサンプリングして19F−NMRおよびH−NMRを測定したところ、ヨウ素末端の反応率は80.6%であり、ヨウ素末端の−CHCHICHOHへの転化率は80.2%であった。
洗浄溶媒としてHCFC−225cbを用いて、オートクレーブ中の反応液をナスフラスコに移した。フラスコ内の液量は123gであった。ヘキサンの150gを加えて撹拌し、ポリマーを凝集させて吸引ろ過した。得られたポリマーにHCFC−225cbの約100gを加えて溶解し、ヘキサンの約150gで凝集させて、吸引ろ過した。この操作をもう一度繰り返した。60℃で58時間真空乾燥し、白色のポリマー(p4−2)の5.95gを得た。
IPPをHCFC−225cbで質量比500倍に希釈した溶液、およびBuSnHをHCFC−225cbで質量比2倍に希釈した溶液を調製した。
撹拌機、ジムロートおよび温度計を装着した100mLの4つ口フラスコに、ポリマー(p4−2)の5.15gおよびHCFC−225cbの61.54gを加えて撹拌し、ポリマーを溶解した。次いで、IPPの0.161g、BuSnHの3.40gとなるように、上記溶液を加えた。次いで、HCFC−225cbを加え、HCFC−225cbの全量を81.44gとした。フラスコを密閉した後、液体窒素を用いて凍結脱気を2回繰り返した。脱気した後、水浴中でフラスコの内温を常温に戻す際に窒素ガスを導入してフラスコ内を常圧に戻した。フラスコをウォーターバスにセットし、窒素雰囲気下、50℃で2時間撹拌した。フラスコをウォーターバスから取り出し、常温まで冷却した。
洗浄溶媒としてHCFC−225cbを用いて、フラスコ内の反応液をビーカーに移した。ビーカー内の液量は105gであった。ヘキサンの約130gを加えて撹拌し、ポリマーを凝集させ、吸引ろ過した。得られたポリマーをHCFC−225cbの約100gに溶解し、ヘキサンの約130gでポリマーを凝集させて、吸引ろ過した。このポリマーの溶解、凝集、ろ過の操作をもう一度繰り返した。60℃で12時間真空乾燥して、白色のポリマー(p5−2)の4.62gを得た。ポリマー(p5−2)をHCFC−225cbに溶解して19F−NMRおよびH−NMRを測定したところ、ポリマー(p0−1)のヨウ素末端の反応率は100%となり、ポリマー(p4−2)の−CHI−の反応率も100%であり、ポリマー(p0−1)のヨウ素末端から−CHCHCHOHへの転化率は72.4%であった。
アクリル酸クロリドをHCFC−225cbで質量比80倍に希釈した溶液、トリエチルアミンをHCFC−225cbで質量比80倍に希釈した溶液、4−メトキシフェノールをHCFC−225cbで質量比800倍に希釈した溶液を調製した。
内容積30mLのガラス容器にポリマー(p5−2)の0.450gおよびHCFC−225cbの6.49gを加えて撹拌し、溶解した。次いで、4−メトキシフェノール、アクリル酸クロリド、トリエチルアミンがそれぞれ0.0014mmol、0.272mmol、0.272mmolとなるように、4−メトキシフェノール溶液の0.135g、アクリル酸クロリド溶液の1.97g、トリエチルアミン溶液の2.21gをこの順に加えた。室温で3時間撹拌した後、一晩静置した。析出した固形分を孔径0.45μmのフィルタでろ過して除去した。得られたろ液から、加熱せずにエバポレータで溶媒を留去し、ポリマーを得た。ポリマーにメタノール/水の混合溶媒(質量比9/1)の10gを加えて撹拌し、ポリマーを洗浄して吸引ろ過した。同様の操作を2回繰り返した後、メタノールの10gで洗浄してろ過した。得られたポリマーを室温で真空乾燥し、ポリマー(p6−2)を得た。ポリマー濃度が7質量%になるようにペルフルオロベンゼンに溶解してH−NMRを測定したところ、−CHCHCHOHがほぼ定量的に−CHCHCHOCOCH=CHに変換されていることが確認された。
(例3)
含フッ素ポリマー(A1)の製造:
例1で得られたポリマー(p0−1)をHCFC−225cbに濃度6質量%で溶解した溶液、IPPをHCFC−225cbで質量比400倍に希釈した溶液、およびジメトキシメチルビニルシランをHCFC−225cbで質量比50倍に希釈した溶液を調製した。
ポリマー(p0−1)の1.20g(ヨウ素のモル数として0.185mmol)、IPPの7.6mg、ジメトキシメチルビニルシランの49.0mgとなるように、上記溶液をこの順に、内容積34mLのハステロイ製オートクレーブに加えた。最後にHCFC−225cbの全量が28.74gとなるように、HCFC−225cbを加えた。液体窒素を用いて、凍結脱気を2回繰り返した後、オートクレーブの内温を約0℃まで戻し、窒素ガスを0.2MPaGとなるまで導入した。オートクレーブをウォーターバスにセットし、50℃で2時間、60℃で2時間、70℃で2時間撹拌した。オートクレーブをウォーターバスから取り出して一晩静置し、ポリマー(p11−1)を含む反応液を得た。反応液の約1gをサンプリングして19F−NMRおよびとH−NMRを測定したところ、ヨウ素末端の反応率は100%であり、ヨウ素末端の−CHCHISiCH(OCHへの転化率は80.5%であり、ヨウ素末端の−CHCHSiCH(OCHへの転化率は15.5%であった。
反応液に、IPPの19.1mgおよびn−ヘキサンの0.300gの混合液と、HCFC−225cbの0.3gとを加えてオートクレーブを密閉した後、液体窒素を用いて、凍結脱気を2回繰り返した。オートクレーブの内温を約0℃まで戻して窒素ガスを0.3MPaGまで導入した。オートクレーブをウォーターバスにセットし、75℃で7時間撹拌した後、オートクレーブをウォーターバスから取り出して、一晩静置した。得られた反応液の約1gをサンプリングして、19F−NMRおよびH−NMRを測定したところ、−CHI−のピークが概ね消失していることを確認した。洗浄溶媒としてHCFC−225cbを用いて、オートクレーブ中の反応液をナスフラスコに移し、エバポレータで濃縮した。濃縮後の液量は17gであった。AE−3000の約50gを加えて凝集し、吸引ろ過した。得られたポリマーをHCFC−225cbの約15gに溶解し、AE−3000の約50gを加えて凝集させて、吸引ろ過した。得られたポリマーをHCFC−225cbの約15gに溶解し、末端に−CHCHSiCH(OCHを有するポリマー(p12−1)の溶液を得た。
(例4)
前駆ポリマーの製造:
内容積110mLのステンレス製オートクレーブに、8IVEの2.98g、IPPの0.126gの約5gをHCFC−225cbに溶解した液、およびPDDの13.37gを加え、最後にHCFC−225cbを加えた。加えたHCFC−225cbの全量は61.78gであった。液体窒素を用いて凍結脱気を2回繰り返した後、約0℃まで戻し、窒素ガスを0.3MPaGまで導入した。オートクレーブをウォーターバスにセットし、内温を45℃に保持しつつ、8時間撹拌した後、オートクレーブを氷水に浸けて、20℃以下まで冷却して反応を停止した。
ゼリー状の生成物をオートクレーブからビーカーに移し替え、全量が128gとなるようにHCFC−225cbを加えた。マグネチックスターラーで30分間撹拌した後、n−ヘキサンの150gを加えてポリマーを凝集し、引き続き30分撹拌した。減圧ろ過した後、得られたポリマーをn−ヘキサンで洗浄した。洗浄したポリマーをビーカーに戻し、全量が128gとなるまでHCFC−225cbを加え、30分間撹拌した。n−ヘキサンの150gを加えて30分間撹拌し、ポリマーを凝集させた。吸引ろ過して得られたポリマーをn−ヘキサンで洗浄した後、再び、同様の操作を繰り返した。その後、60℃で恒量になるまで真空乾燥し、白色粉体のポリマー(p0−2)の12.4gを得た。ポリマー(p0−2)について、元素分析により求めたヨウ素含有量、8IVEに基づく単位に対するPDDに基づく単位のモル比(m2/m1)、方法iiによって求めたPMMA換算質量平均分子量を表1に示す。GPC−MALS法によるポリマー(p0−2)の絶対質量平均分子量は、64,100である。
ポリマー(p0−2)をペルフルオロベンゼンに溶解して19F−NMRを測定したところ、ヨウ素原子が結合したPDDに基づく単位が存在することがわかり、ポリマー(p0−2)が分岐分子鎖であることが確認された。ヨウ素原子が結合したPDDに基づく単位と、ヨウ素原子が解離していない8IVEに基づく単位の比率は、19F−NMR(ペルフルオロベンゼンのケミカルシフトを−162.7ppmに設定)の−42〜−47ppmのピークと−62ppm付近のピークの比率から50:50であることがわかった。
含フッ素ポリマー(A1)の製造:
ポリマー(p0−2)が4質量%となるようにHCFC−225cbで溶解した溶液、PHVE−IをHCFC−225cbで質量比10倍に希釈した溶液、IPPをHCFC−225cbで質量比100倍に希釈した溶液、およびアリルアルコールをHCFC−225cbで質量比100倍に希釈した溶液を調製した。
ポリマー(p0−2)の2.40g(ヨウ素のモル数として0.415mmol)、アリルアルコールの72.4mg、IPPの42.8mg、PHVE−Iの360mgとなるように、上記溶液をこの順に、内容積120mLのハステロイ製オートクレーブに加えた。最後にHCFC−225cbの全量が117.13gとなるように、HCFC−225cbを加えた。液体窒素を用いて、凍結脱気を2回繰り返した後、約0℃まで戻し、窒素ガスを0.2MPaGまで導入した。オートクレーブをウォーターバスにセットし、50℃で2時間、60℃で2時間、70℃で1時間撹拌した。
洗浄溶媒としてHCFC−225cbを用いて、オートクレーブの反応液をナスフラスコに移した。フラスコ内の液量は133gであった。ヘキサンの166gを加えて撹拌し、ポリマーを凝集させて吸引ろ過した。得られたポリマーにHCFC−225cbの約120gを加えて溶解し、ヘキサンの約170gを加えて、ポリマーを凝集させて、吸引ろ過した。同様操作をもう一度繰り返した。60℃で3日間真空乾燥し、微量のCFCFCFOCF(CF)CFCHCHICHOHを含有する白色のポリマー(p4−3)の2.23gを得た。ポリマー(p4−3)をHCFC−225cbに溶解して19F−NMRおよびH−NMRを測定したところ、末端ヨウ素の反応率は82.6%であり、末端ヨウ素の−CHCHICHOHへの転化率は73.7%であった。なお、生成物中には、ポリマー(p4−3)の100質量部に対して、CFCFCFOCF(CF)CFCHCHICHOHが4.1質量部含まれていた。
IPPをHCFC−225cbで質量比200倍に希釈した溶液、およびBuSnHをHCFC−225cbで質量比1.5倍に希釈した溶液を調製した。
撹拌機、ジムロートおよび温度計を装着した50mLの4つ口フラスコに、ポリマー(p4−3)の1.00gおよびHCFC−225cbの22.15gを加えて撹拌し、ポリマーを溶解した。次いで、IPPの3.6mg、BuSnHの757mgとなるように上記溶液を加えた。次いで、HCFC−225cbを加えた。HCFC−225cbの全量は23.24gであった。フラスコを密閉した後、液体窒素を用いて凍結脱気を2回繰り返した。脱気した後、水浴中でフラスコの内温を常温に戻す際に窒素ガスを導入してフラスコ内を常圧に戻した。フラスコをウォーターバスにセットし、窒素雰囲気下、50℃で2時間撹拌した。フラスコをウォーターバスから取り出し、常温まで冷却した。
洗浄溶媒としてHCFC−225cbを用いて、フラスコ内の反応液をビーカーに移した。ビーカー内の液量は36.2gであった。ヘキサンの約45gを加えて撹拌し、ポリマーを凝集させ、吸引ろ過した。得られたポリマーをHCFC−225cbの約33gに溶解し、ヘキサンの約45gでポリマーを凝集させて、吸引ろ過した。このポリマーの溶解、凝集、ろ過の操作をもう一度繰り返した。60℃で21時間真空乾燥して、白色のポリマー(p5−3)の0.84gを得た。ポリマー(p5−3)をHCFC−225cbに溶解して19F−NMRおよびとH−NMRを測定したところ、ポリマー(p0−2)のヨウ素末端の反応率は100%となり、ポリマー(p4−3)の−CHI−の反応率は86.9%であり、ポリマー(p0−2)のヨウ素末端から−CHCHCHOHへの転化率は63.9%であった。
アクリル酸クロリドをHCFC−225cbで質量比40倍に希釈した溶液、トリエチルアミンをHCFC−225cbで質量比40倍に希釈した溶液、4−メトキシフェノールをHCFC−225cbで質量比800倍に希釈した溶液を調製した。
ガラス容器にポリマー(p5−3)の0.20gおよびHCFC−225cbの3.67gを加えて撹拌し、溶解した。次いで、4−メトキシフェノール、アクリル酸クロリド、トリエチルアミンがそれぞれ0.0007mmol、0.139mmol、0.139mmolとなるように、4−メトキシフェノール溶液の0.069g、アクリル酸クロリド溶液の0.502g、トリエチルアミン溶液の0.561gをこの順に加えた。室温で3時間撹拌した後、一晩静置した。析出した固形分を孔径5μmのフィルタでろ過して除去した。得られたろ液に、ろ液と同体積の水を加えて、2回洗浄し、下層を硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過して除去し、ポリマー(p6−3)を含む溶液を得た。H−NMRを測定したところ、−CHCHCHOHから−CHCHCHOCOCH=CHへの転化率は87.7%であった。
Figure 2018059076
(例5)
前駆ポリマーの製造:
例4と同様にして、ポリマー(p0−2)を得た。
含フッ素ポリマー(A1)の製造:
オートクレーブへの仕込み量について、ポリマー(p0−2)の3.59g、アリルアルコールの78.4mg、PHVE−Iの240mg、HCFC−225cbの全量の116.05gに変更した以外は例4と同様にしてCFCFCFOCF(CF)CFCHCHICHOHを含むポリマー(p4−4)を得た。ポリマー(p4−4)をHCFC−225cbに溶解して19F−NMRおよびH−NMRを測定したところ、末端ヨウ素の反応率は84%であり、末端ヨウ素の−CHCHICHOHへの転化率は78%であった。なお、生成物中には、ポリマー(p4−4)の100質量部に対して、CFCFCFOCF(CF)CFCHCHICHOHが2.1質量部含まれていた。
IPPをHCFC−225cbで質量比100倍に希釈した溶液、およびBuSnHをHCFC−225cbで質量比2倍に希釈した溶液を調製した。
撹拌機、ジムロートおよび温度計を装着した50mLの4つ口フラスコに、ポリマー(p4−4)の2.86gおよびHCFC−225cbの60.91gを加えて撹拌し、ポリマーを溶解した。次いで、IPPの11.9mg、BuSnHの2.52gとなるように上記溶液を加えた。次いで、HCFC−225cbを加えた。HCFC−225cbの全量は64.61gであった。以後、例4と同様にして、白色のポリマー(p5−4)の2.69gを得た。ポリマー(p0−2)のヨウ素末端の反応率は100%となり、ポリマー(p4−4)の−CHI−の反応率も100%であり、ポリマー(p0−3)のヨウ素末端から−CHCHCHOHへの転化率は77%であった。
アクリル酸クロリドをHCFC−225cbで質量比10倍に希釈した溶液、トリエチルアミンをHCFC−225cbで質量比10倍に希釈した溶液、4−メトキシフェノールをHCFC−225cbで質量比500倍に希釈した溶液を調製した。
ガラス容器にポリマー(p5−4)の2.40gおよびHCFC−225cbの53.38gを加えて撹拌し、溶解した。次いで、4−メトキシフェノール、アクリル酸クロリド、トリエチルアミンがそれぞれ0.0166mmol、1.66mmol、1.66mmolとなるように、4−メトキシフェノール溶液の1.03g、アクリル酸クロリド溶液の1.51g、トリエチルアミン溶液の1.68gをこの順に加えた。室温で一晩撹拌した。メタノールの102gで凝集し、30分撹拌後、減圧ろ過した。得られたろ過物に、上記4−メトキシフェノールをHCFC−225cbで質量比500倍に希釈した溶液の0.5gと、HCFC−225cbとを添加して全量を69gとした。30分撹拌後、メタノールの102gでポリマーを再凝集して、30分撹拌後に減圧ろ過した。さらにもう一度、上記と同様の操作を行い、メタノールで凝集して、減圧ろ過し、固形分を得た。得られた固形分に、上記4−メトキシフェノールをHCFC−225cbで質量比500倍に希釈した溶液の0.5gと、HCFC−225cbとを添加して全量を69gとして、30分撹拌した。次いで、ヘキサンの84gを添加してポリマーを凝集後30分撹拌して減圧ろ過をした。この溶解・凝集・ろ過の操作をさらに2回繰り返した後、室温で一晩真空乾燥してポリマー(p6−4)の2.17gを得た。19F−NMRおよびH−NMR分析より、ポリマー(p0−3)のヨウ素末端の−CHCHCHOCOCH=CHへの変換率は71%であり、また、トリエチルアミン塩酸塩が除去されていることを確認した。
(光硬化性、撥液性の評価)
ポリマー(p6−4)の0.1gとペルフルオロベンゼンの0.9gを6mLのガラス製バイアルに入れ、充分に撹拌し、均一な溶液とした。得られた溶液を孔径0.20μmのポリテトラフルオロエチレンフィルタでろ過して、樹脂組成物を調製した。上記樹脂組成物を用いて光硬化性および撥液性を評価した。
光硬化性:
スライドグラス(松浪硝子社製、S9111)基板上に樹脂組成物を、1,000回転/分で30秒間スピンコートし、ホットプレートを用い、100℃で120秒間加熱して乾燥塗膜を形成した。光源として高圧水銀ランプを用い、窒素雰囲気下で100mW/cmの照度で2分間露光した。
露光前の乾燥塗膜と露光後の塗膜をAK−225(旭硝子社製)に1分間浸漬させたところ、露光前の乾燥塗膜は溶解したのに対し、露光後の塗膜は溶解しなかった。このことから、露光により硬化膜が得られたことを確認した。
撥液性:
上記露光前の乾燥塗膜が形成された基板および露光後の塗膜が形成された基板を、それぞれAK−225に浸漬した。露光前の乾燥塗膜は、AK−225に溶解した。次いで、各基板において、塗膜が形成されていた部分または塗膜における水の接触角を全自動接触角計(協和界面科学株式会社製、DM−701)で測定した。上記露光前の乾燥塗膜が形成されていた部分における接触角は4°、露光後の塗膜が形成された基板をAK−225に浸漬して得られた基板上の塗膜における接触角は113°であった。
本発明における含フッ素ポリマーは、分子鎖の末端に架橋性基が導入されているため、架橋性が良好である。該含フッ素ポリマーを含む硬化性組成物は、必要に応じて光酸発生剤または光重合開始剤を添加することによって、光硬化性を示し、微細なパターニングが可能であるため、電子分野の原料として有用である。また、該含フッ素ポリマーの硬化物は、誘電率が低く、屈折率が低く、透明性、撥水撥油性、耐熱性、ガス透過性等に優れるため、電子部材(プリント基板等)、光学部材(光導波路、レンズ、反射防止膜等)、撥水撥油性付与剤、離型剤、バイオチップ等に用いることができる。

Claims (12)

  1. フッ素原子およびヨウ素原子を有するモノマーと、フッ素原子を有し、ヨウ素原子を有さないモノマーとを含むモノマー成分を重合して、下式(g1)で表される基および下式(g2)で表される基のいずれか一方または両方を有する前駆ポリマーを得て、該前駆ポリマーにおける下式中のヨウ素原子を架橋性基を有する基に変換する、架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法。
    Figure 2018059076
    ただし、Rは、エーテル結合性酸素原子を有してもよい1価のペルフルオロ有機基またはフッ素原子であり、RおよびRは、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基または炭素数1〜5のペルフルオロアルコキシ基であり、Rは、5員環の一部または6員環の一部を構成する、エーテル結合性酸素原子を有してもよい直鎖状または分岐状のペルフルオロアルキレン基である。
  2. 前記フッ素原子を有し、ヨウ素原子を有さないモノマーが、脂肪族環構造を有するモノマー、および環化重合によって脂肪族環構造を形成し得るモノマーのいずれか一方または両方を含む、請求項1に記載の架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法。
  3. 前記前駆ポリマーおよび前記架橋性基を有する含フッ素ポリマーが、分岐分子鎖からなる、請求項1または2に記載の架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法。
  4. 前記架橋性基が、下式(g3)で表される基、エポキシ基、ビニル基および下式(g4)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法。
    −OCOCX=CH (g3)
    −SiX (OR3−n (g4)
    ただし、Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基であり、Xは、炭素数1〜4のアルキル基であり、nは、0〜2の整数であり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。
  5. 前記架橋性基を有する含フッ素ポリマーの質量平均分子量が、5,000〜80,000である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の架橋性基を有する含フッ素ポリマーの製造方法によって架橋性基を有する含フッ素ポリマーを得て、該含フッ素ポリマーを含む硬化性組成物を調製する、硬化性組成物の製造方法。
  7. フッ素原子を有する単位を有する分岐分子鎖からなり、前記分岐分子鎖の複数の末端に架橋性基を有する、架橋性基を有する含フッ素ポリマー。
  8. 前記フッ素原子を有する単位の少なくとも一部が、フッ素原子を有し、かつ脂肪族環構造を有する単位である、請求項7に記載の架橋性基を有する含フッ素ポリマー。
  9. 下式(g11)で表される基および下式(g12)で表される基のいずれか一方または両方を有する、請求項7または8に記載の架橋性基を有する含フッ素ポリマー。
    Figure 2018059076
    ただし、Rは、エーテル結合性酸素原子を有してもよい1価のペルフルオロ有機基またはフッ素原子であり、RおよびRは、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基または炭素数1〜5のペルフルオロアルコキシ基であり、Rは、5員環の一部または6員環の一部を構成する、エーテル結合性酸素原子を有してもよい直鎖状または分岐状のペルフルオロアルキレン基であり、Aは、架橋性基を有する基である。
  10. 前記架橋性基が、下式(g3)で表される基、エポキシ基、ビニル基および下式(g4)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の架橋性基を有する含フッ素ポリマー。
    −OCOCX=CH (g3)
    −SiX (OR3−n (g4)
    ただし、Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基であり、Xは、炭素数1〜4のアルキル基であり、nは、0〜2の整数であり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。
  11. 質量平均分子量が、5,000〜80,000である、請求項7〜10のいずれか一項に記載の架橋性基を有する含フッ素ポリマー。
  12. 請求項7〜11のいずれか一項に記載の架橋性基を有する含フッ素ポリマーを含む、硬化性組成物。
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CN116003666A (zh) * 2021-10-22 2023-04-25 上海芯刻微材料技术有限责任公司 一种聚合物及含其的193nm光刻用顶涂层膜的制备方法

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