JP2018058922A - 光学材料の製造方法 - Google Patents

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幸夫 影山
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昌久 上坂
智文 大西
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智文 大西
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Abstract

【課題】重合速度のバラつきをなくして、かつ、脈理の発生を回避することができる光学材料の製造方法の提供を目的とする。【解決手段】2−メルカプトエタノールとエピクロロヒドリンの反応によってイソチウロニウム塩を合成し、このイソチウロニウム塩をアルカリにより加水分解して、更に無機酸で洗浄後、水洗してポリチオール化合物の混合物を得、このポリチオール化合物の混合物をポリイソ(チオ)シアナート化合物等と混合して重合組成物としたものを重合して光学材料を得る光学材料の製造方法であって、無機酸での洗浄を、pH2.0以下、洗浄温度10℃から60℃の条件下で行う。【選択図】なし

Description

本発明は、光学材料の製造方法に関する。
プラスチックレンズは、無機レンズに比べて軽量で割れ難く、染色が可能であるという利点を有する。このため、現在、眼鏡レンズやカメラレンズ等の光学材料用途ではプラスチックレンズが主流となっている。
プラスチックレンズに求められる特性としては、無色透明で高屈折率低分散であり、かつ、衝撃性、染色性、加工性等に優れることが挙げられる。これらの要求を満足する樹脂として、ポリウレタン系樹脂の中で最も代表的な樹脂であるポリチオール化合物とポリイソ(チオ)シアナート化合物とを反応させて得られる樹脂が知られている。
その樹脂の原料となるポリチオール化合物は、各種の方法で製造することができ、例えば、特許文献1には、2−メルカプトエタノールとエピクロロヒドリンの反応より出発し、ポリアルコール化合物を経由してイソチウロニウム塩を合成し、このイソチウロニウム塩をアルカリにより加水分解して、更に無機酸で洗浄後、水洗してポリチオール化合物を得る製法が開示されている。また、特許文献1には、そのポリチオール化合物をポリイソ(チオ)シアナート化合物等と混合して重合組成物としたものを重合して光学材料とする製法が開示されている。
特開平9−52931号公報
ポリチオール化合物をポリイソ(チオ)シアナート化合物等と混合して重合組成物としたものを重合して光学材料とする際、その重合速度は、温度によって変化することが知られている。また、わずかな温度分布が、局所的な重合速度の上昇や低下を生じさせ、これに起因してプラスチックレンズに光学歪、あるいは脈理が発生する現象が知られている。
これらの光学歪や脈理の発生を回避するため、従来、初期の重合温度を低温にして、時間をかけながら重合温度を徐々に上昇させて重合する方法が一般に採用されている。
しかし、特許文献1に開示の方法で製造されたポリチオール化合物を使用した場合、重合組成物の重合速度が異常に速まって粘度が上昇する場合があり、十分なポットライフが安定的に確保できない他、重合速度のバラつきによって脈理が発生しやすくなるという問題があった。
本発明の一実施例は、ポリチオール化合物をポリイソ(チオ)シアナート化合物等と混合して重合組成物としたものを重合して光学材料とする際に、重合速度のバラつきをなくして十分なポットライフを安定的に確保することができ、かつ、重合速度のバラつきに起因する脈理の発生を回避することができる光学材料の製造方法の提供を目的とする。
2−メルカプトエタノールとエピクロロヒドリンの反応より出発し、ポリアルコール化合物を経由してイソチウロニウム塩を合成し、このイソチウロニウム塩をアルカリにより加水分解して、更に無機酸で洗浄後、水洗してポリチオール化合物の混合物を得、このポリチオール化合物の混合物をポリイソ(チオ)シアナート化合物等と混合して重合組成物としたものを重合して光学材料を得る光学材料の製造方法であって、無機酸での洗浄を、pH2.0以下、洗浄温度10℃から60℃の条件下で行う。
上述した一実施例によれば、重合速度のバラつきをなくすことができる。これにより、十分なポットライフを安定的に確保することができ、かつ、重合速度のバラつきに起因する脈理の発生を回避することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳しく説明する。
本発明は、下記のポリチオール化合物の混合物とポリイソ(チオ)シアナート化合物とを含む重合組成物を重合して得られる光学材料の製造方法に関するものである。
(ポリチオール化合物の混合物)
ポリチオール化合物の混合物は工程(I)から工程(V)の工程を経て得られる。以下、工程ごとに詳述する。
工程(I):2−メルカプトエタノールとエピクロロヒドリンをアミン触媒の存在下に反応させ、式(1)で表される化合物を得る工程。
工程(I)では、2−メルカプトエタノールとアミン触媒の水溶液または低級アルコール溶液に、エピクロロヒドリンを滴下して、式(1)で表されるジオールを得る。
反応温度は、10℃以上、100℃以下で行うのが好ましい。エピクロロヒドリンを滴下する溶液中において、2−メルカプトエタノールの使用量は、エピクロロヒドリンに対して、好ましくは1当量以上3当量以下、より好ましくは1当量以上2当量以下である。アミン触媒の使用量は、エピクロロヒドリンに対して、好ましくは0.001重量%以上5重量%以下である。
2−メルカプトエタノールは、酸素により酸化されてビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィドが生成する。または、鉄など金属分が存在していたり、温度条件が高いほどその生成速度は加速される。そこで、2−メルカプトエタノールは空気を遮断した窒素やアルゴンなど不活性ガスの雰囲気下で、金属分を含まない容器で30℃以下にて、反応に用いる直前まで保管しておくことが好ましい。あるいは、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の手段により2−メルカプトエタノールを分離精製して、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド含有量を低減させてもよい。
工程(II):工程(I)で得られたハロゲン化物を硫化ナトリウムと反応させることにより式(2)で表される多官能アルコールを得る工程。

工程(II)の反応温度は、好ましくは0〜60℃、より好ましくは10〜55℃、更に好ましくは20〜50℃である。反応時間は、例えば、30分〜2時間程度である。
硫化ナトリウムの使用量は、2-メルカプトエタノールに対して好ましくは1当量以上3当量以下、より好ましくは1当量以上2当量以下である。
工程(III):工程(II)で得られた多官能アルコールを無機酸の存在下にチオ尿素と反応させ、イソチウロニウム塩を得る工程。
工程(III)では、式(2)で表される多官能アルコールに、多官能アルコールに対して、好ましくは3当量以上、より好ましくは3当量以上6当量以下のチオ尿素を加え、反応させる。反応は、多官能アルコールに対して、好ましく3当量以上、より好ましくは3当量以上12当量以下の無機水溶液中において、室温から還流温度の範囲で行う。多官能アルコールとチオ尿素との反応により、チウロニウム塩が形成される。
無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸,硫酸、リン酸等が使用できる。十分な反応速度が得られ、しかも製品の着色を制御する観点から、塩酸が好ましい。
工程(IV): 工程(III)で得られたイソチウロニウム塩をアルカリで加水分解し、式(3)で表される化合物と、式(4)で表される化合物と、式(5)で表される化合物を含む、ポリチオール化合物の混合物を得る工程。このポリチオール化合物の混合物は、その他の化合物を含むこともできるが、式(3)で表される化合物と、式(4)で表される化合物と、式(5)で表される化合物からなる混合物を主成分とするものである。





工程(IV)の加水分解は、工程(III)の反応液に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物、またはアンモニア等の塩基性物質を当該無機酸の使用量に対して、好ましくは1当量以上、より好ましくは1当量以上3当量以下、さらに好ましくは1.1当量以上2当量以下で加えてアルカリ性とし、室温から還流温度範囲で行う。アルカリを加える時点における温度は、0℃以上、50℃以下とするのが好ましい。温度が前記範囲内であると、製品の着色が起こりにくい。
工程(V):工程(IV)で得られた加水分解生成物を無機酸および水で洗浄し、目的とするポリチオール化合物の混合物を精製する工程。
本発明者らは、2−メルカプトエタノールとエピクロロヒドリンの反応によってイソチウロニウム塩を合成し、このイソチウロニウム塩をアルカリにより加水分解して、更に無機酸で洗浄後、水洗してポリチオール化合物の混合物を得、そのポリチオール化合物の混合物をポリイソ(チオ)シアナート化合物等と混合して重合組成物としたものを重合して光学材料とする光学材料の製造方法において、無機酸での洗浄を特定のpH、温度、時間の各条件下で行うことによって、具体的には、pH2.0以下、10℃から60℃で、10分間から24時間の洗浄を行うことによって、重合速度のバラつきを抑制できることを見出した。本願発明は、当該知見に基づくものである。
無機酸での洗浄温度が10℃未満の場合には洗浄の効果が不十分となり、60度超の場合にはポリチオール化合物が劣化して着色してしまうため、洗浄温度を10℃未満あるいは60度超とすることは何れも好ましくない。
(光学材料)
本発明の光学材料は、前記の工程(I)から工程(V)を含む製造方法により得られたポリチオール化合物の混合物と、ポリイソ(チオ)シアナート化合物を含む重合組成物を重合して得られる。
ポリイソ(チオ)シアナート化合物は、1分子中に少なくとも2個以上のイソ(チオ)シアナート基を有する化合物であれば、特に限定されないが、具体的には、例えば、ヘキサメチレンジイソシアナート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアナート、ブテンジイソシアナート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、1,6,11−ウンデカントリイソシアナート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアナート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアナート等の脂肪族ポリイソシアナート化合物;
1,2−ジイソシアナトベンゼン、1,3−ジイソシアナトベンゼン、1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−ジイソシアナトトルエン、エチルフェニレンジイソシアナート、イソプロピルフェニレンジイソシアナート、ジメチルフェニレンジイソシアナート、ジエチルフェニレンジイソシアナート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアナート、トリメチルベンゼントリイソシアナート、ベンゼントリイソシアナート、ビフェニルジイソシアナート、トルイジンジイソシアナート、4,4'−メチレンビス(フェニルイソシアナート)、4,4'−メチレンビス(2−メチルフェニルイソシアナート)、ビベンジル−4,4'−ジイソシアナート、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン、ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトプロピル)ベンゼン、α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタリン、ビス(イソシアナトメチルフェニル)エーテル、ビス(イソシアナトエチル)フタレート、2,6−ジ(イソシアナトメチル)フラン等の芳香環化合物を有するポリイソシアナート化合物;
ビス(イソシアナトメチル)スルフィド、ビス(イソシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソシアナトプロピル)スルフィド、ビス(イソシアナトヘキシル)スルフィド、ビス(イソシアナトメチル)スルホン、ビス(イソシアナトメチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトエチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトプロピル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトメチルチオ)エタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)エタン、1,5−ジイソシアナト−2−イソシアナトメチル−3−チアペンタン、1,2,3−トリス(イソシアナトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(イソシアナトエチルチオ)プロパン、3,5−ジチア−1,2,6,7−ヘプタンテトライソシアナート、2,6−ジイソシアナトメチル−3,5−ジチア−1,7−ヘプタンジイソシアナート、2,5−ジイソシアナートメチルチオフェン、4−イソシアナトエチルチオ−2,6−ジチア−1,8−オクタンジイソシアナート等の含硫脂肪族ポリイソシアナート化合物;
2−イソシアナトフェニル−4−イソシアナトフェニルスルフィド、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルフィド、ビス(4−イソシアナトメチルフェニル)スルフィドなどの芳香族スルフィド系ポリイソシアナート化合物;
ビス(4−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(2−メチル−5−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(3−メチル−5−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(3−メチル−6−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(4−メチル−5−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(4−メトキシ−3−イソシアナトフェニル)ジスルフィド等の芳香族ジスルフィド系ポリイソシアナート化合物;
2,5−ジイソシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5−ジイソシアナトメチルテトラヒドロチオフェン、3,4−ジイソシナトメチルテトラヒドロチオフェン、2,5−ジイソシアナト−1,4−ジチアン、2,5−ジイソシアナトメチル−1,4−ジチアン、4,5−ジイソシアナト−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,3−ジチオラン、4,5−ジイソシアナトメチル−2−メチル−1,3−ジチオラン等の含硫脂環族ポリイソシアナート化合物;
1,2−ジイソチオシアナトエタン、1,6−ジイソチオシアナトヘキサン等の脂肪族ポリイソチオシアナート化合物;シクロヘキサンジイソチオシアナート等の脂環族ポリイソチオシアナート化合物;1,2−ジイソチオシアナトベンゼン、1,3−ジイソチオシアナトベンゼン、1,4−ジイソチオシアナトベンゼン、2,4−ジイソチオシアナトトルエン、2,5−ジイソチオシアナト−m−キシレン、4,4'−メチレンビス(フェニルイソチオシアナート)、4,4'−メチレンビス(2−メチルフェニルイソチオシアナート)、4,4'−メチレンビス(3−メチルフェニルイソチオシアナート)、4,4'−ジイソチオシアナトベンゾフェノン、4,4'−ジイソチオシアナト−3,3'−ジメチルベンゾフェノン、ビス(4−イソチオシアナトフェニル)エーテル等の芳香族ポリイソチオシアナート化合物;
さらには、1,3−ベンゼンジカルボニルジイソチオシアナート、1,4−ベンゼンジカルボニルジイソチオシアナート、(2,2−ピリジン)−4,4−ジカルボニルジイソチオシアナート等のカルボニルポリイソチオシアナート化合物;チオビス(3−イソチオシアナトプロパン)、チオビス(2−イソチオシアナトエタン)、ジチオビス(2−イソチオシアナトエタン)等の含硫脂肪族ポリイソチオシアナート化合物;
1−イソチオシアナト−4−[(2−イソチオシアナト)スルホニル]ベンゼン、チオビス(4−イソチオシアナトベンゼン)、スルホニル(4−イソチオシアナトベンゼン)、ジチオビス(4−イソチオシアナトベンゼン)等の含硫芳香族ポリイソチオシアナート化合物;2,5−ジイソチオシアナトチオフェン、2,5−ジイソチオシアナト−1,4−ジチアン等の含硫脂環族ポリイソチオシアナート化合物;
1−イソシアナト−6−イソチオシアナトヘキサン、1−イソシアナト−4−イソチオシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−4−イソチオシアナトベンゼン、4−メチル−3−イソシアナト−1−イソチオシアナトベンゼン、2−イソシアナト−4,6−ジイソチオシアナト−1,3,5−トリアジン、4−イソシアナトフェニル−4−イソチオシアナトフェニルスルフィド、2−イソシアナトエチル−2−イソチオシアナトエチルジスルフィド等のイソシアナト基とイソチオシアナト基を有する化合物等が挙げられる。
さらに、これらの塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体や多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化あるいはトリマー化反応生成物等も使用できる。これらの化合物は単独または2種以上を混合して使用してもよい。
ポリチオール化合物の混合物とポリイソ(チオ)シアナート化合物の使用割合は、特に限定されないが、通常、モル比がSH基/NCO基=0.5〜3.0の範囲内、好ましくは0.6〜2.0、さらに好ましくは0.8〜1.3の範囲内である。使用割合が前記範囲内であると、プラスチックレンズ等の光学材料および透明材料として求められる屈折率、耐熱性等の種々の性能をバランスよく満たすことが可能となる。
本発明の光学材料の諸物性、操作性、および重合反応性等を改良する目的で、ウレタン樹脂を形成するポリチオール化合物の混合物とイソ(チオ)シアナート化合物に加えて、その他の物質を加えてもよい。例えば、ウレタン形成原料に加えて、アミン等に代表される活性水素化合物、エポキシ化合物、オレフィン化合物、カーボネート化合物、エステル化合物、金属、金属酸化物、有機金属化合物、無機物等の1種または2種以上を加えてもよい。
また、目的に応じて、公知の成形法と同様に、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、油溶染料、充填剤、離型剤、ブルーイング剤などの種々の物質を添加してもよい。所望の反応速度に調整するために、チオカルバミン酸S−アルキルエステルあるいは、ポリウレタンの製造において用いられる公知の反応触媒を適宜に添加してもよい。本発明の光学材料からなるレンズは通常、注型重合により得られる。具体的には、前記の製造方法により得られたポリチオール化合物の混合物と、ポリイソ(チオ)シアナート化合物とを混合して重合組成物を含む混合液が得られる。この混合液を必要に応じ、適当な方法で脱泡を行った後、モールド中に注入し、通常、低温から高温へ徐々に加熱し重合させる。
前記の製造方法により得られたポリチオール化合物の混合物と、ポリイソ(チオ)シアナート化合物とを混合して得た重合組成物では、従来のように重合速度が異常に速まるといった現象は生じず、重合速度のバラつきをなくして十分なポットライフを安定的に確保することができ、かつ、重合速度のバラつきに起因する脈理の発生を回避することができる。
本発明の光学材料を用いて得られるレンズは、必要に応じ反射防止、高硬度付与、耐摩耗性向上、耐薬品性向上、防雲性付与、あるいはファッション性付与等の改良を行うため、表面研磨、帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コート処理、染色処理、調光処理等の物理的、化学的処理を施してもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
得られたポリチオール化合物の混合物のb値測定と、重合組成物の調合終了後の粘度測定、及び、プラスチックレンズの脈理観察は、以下の方法で行った。
(1)粘度(mPa・s):
(株)セコニック製振動式粘度計ビスコメイ卜VM−10Aを用い10℃で測定した。なお測定方法はJIS Z8803に準拠し、重合組成物の調合終了後10分後(以下、初期粘度という)ならびに10℃で5時間保管した後の粘度(以下、5H後粘度という)を測定した。
(2)b値:
(株)日立製作所製分光光度計U−3500を用いて光路長10mmで測定を行った。光源はD65、2度視野のデータを採用した。
(3)脈理:
ウシオ電機(株)製外観検査装置オプティカルモデュレックスSX-U1251HQを用いて投影検査を行った。光源の高圧UVランプにはUSH−102Dを用いて1mの距離に白色のスクリーンを設置し、被検レンズを光源とスクリーン間に挿入し、スクリーン上の投影像により合否を決定した。投影像に線状の不整の無いものを良品(○)とし、線状の不整のあるものを不良(×)とした。
(4)評価:
得られたプラスチックレンズを眼鏡レンズとして用いる場合の評価を行った。脈理の発生が見られず、かつ、着色のないものを良品(○)とし、脈理か着色の少なくとも何れかが確認されたもの、もしくは、増粘のためフィルタリングが不可能となったものを不良(×)とした。
[実施例1]
(ビスメルカプトメチル-3,6,9-トリチア-ウンデカンジチオールを主成分とするポリチオール化合物の混合物の合成)
2−メルカプトエタノール78.1g(1.00モル)とトリエチルアミン2.0g(0.020モル)の混合液にエピクロロヒドリン92.5g(1.00モル)を内温35〜40℃に保ちながら1時間かけて滴下し、40℃で1時間熟成を行った。この反応液にあらかじめ硫化ナトリウム9水和物125.0g(0.52モル)を純水100gに溶解した水溶液を内温40〜45℃に保ちながら1時間かけて滴下し、さらに45℃で1時間熟成を行った。
次に前記の反応液に36質量%塩酸水溶液303.8g(3.0モル)およびチオ尿素190.3g(2.50モル)を加えて110℃で9時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、トルエン400mlを加え、30質量%水酸化ナトリウム水溶液600.4g(4.5モル)を徐々に加え60℃で4時間加水分解を行った。
加水分解終了後、36質量%塩酸水溶液130mlを加え、40℃で1時間洗浄を行った。洗浄時のpHは1.0であった。
次いで水100mlで2回洗浄し、有機層を回収し、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去し、目的とするポリチオール化合物の混合物を得た。
下記表1に示すように、得られたポリチオール化合物の混合物のb値は1.7であった。
(プラスチックレンズの作製)
キシリレンジイソシアナート50.6質量部、硬化触媒としてジメチルスズジクロライド0.01質量部、離型剤として酸性リン酸エステル(城北化学工業(株)製JP−506H)0.20質量部、紫外線吸収剤として(シプロ化成(株)製 シーソーブ701)0.5質量部を混合、溶解させた。さらに、得られたポリチオール化合物の混合物49.4質量部を添加混合し、混合均一液として重合組成物を得た。
この混合均一液を200Paにて30分間脱泡を行った後、5.0μmPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルターにて濾過を行った。次いで直径75mm、−4.00Dのガラスモールドとテープからなるレンズ用モールド型へ注入した。このモールド型を電気炉へ投入し、15℃から120℃まで20時間かけて徐々に昇温し、2時間保持した。重合終了後、電気炉からモールド型を取り出し、離型してレンズを得た。得られたレンズをさらに120℃で3時間アニールを行った。
下記表1に示すように、実施例1の重合組成物の初期粘度は34mPa・s、5H後粘度は106mPa・sであった。脈理検査の結果は(○)であった。
[実施例2〜4、7〜9]
実施例1の塩酸洗浄の条件を、表1のように変更して、ポリチオール化合物の混合物の合成を行った。ポリチオール化合物の混合物の合成後、実施例1と同様に調合を行い、レンズの作製、粘度変化の測定を実施した。
下記表1に、実施例2〜4、7〜9のそれぞれについて、得られたポリチオール化合物の混合物のb値、重合組成物の初期粘度、5H後粘度を示している。実施例2〜9の何れも、脈理検査の結果は(○)であった。
[実施例5、6]
実施例5、6においてはポリチオール化合物の混合物を単離後、それぞれ36質量%塩酸水溶液100ppm、ジメチルスズジクロライド10ppmを添加し、撹拌後、重合に用いた。
下記表1に、実施例5、6のそれぞれについて、得られたポリチオール化合物の混合物のb値、重合組成物の初期粘度、5H後粘度を示している。実施例5、6の何れも、脈理検査の結果は(○)であった。
[比較例1〜3]
実施例1の塩酸洗浄の条件を表1のように変更した以外は実施例1と同様に洗浄を行い、ポリチオール化合物の混合物の合成を行った。
下記表1に、比較例1〜3のそれぞれについて、得られたポリチオール化合物の混合物のb値は1.4(比較例1)、1.3(比較例2)、4.2(比較例3)であった。
(プラスチックレンズの作製)
実施例1と同様に調合を行い、レンズの作製、粘度変化の測定を実施した。
比較例1〜2では、増粘のためフィルタリングが不可能となり、プラスチックレンズの作製ができなかった。
下記表1に示すように、比較例3の重合組成物の脈理検査の結果は(○)であったが、プラスチックレンズに着色が確認された。
[実施例10]
(プラスチックレンズの作製)
ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン51.4質量部、硬化触媒としてジメチルスズジクロライド0.15質量部、離型剤として酸性リン酸エステル(城北化学工業(株)製JP−506H)0.20質量部、紫外線吸収剤として(シプロ化成(株)製 シーソーブ701)1.0質量部を混合、溶解させた。
さらに、実施例1で得られたポリチオール化合物の混合物48.6質量部を添加混合し、混合均一液として重合組成物を得た。
この混合均一液を200Paにて30分間脱泡を行った後、5.0μmPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルターにて濾過を行った。次いで直径75mm、−4.00Dのガラスモールドとテープからなるレンズ用モールド型へ注入した。このモールド型を電気炉へ投入し、15℃から120℃まで20時間かけて徐々に昇温し、2時間保持した。重合終了後、電気炉からモールド型を取り出し、離型してレンズを得た。得られたレンズをさらに120℃で3時間アニールを行った。
下記表2に示すように、実施例10の重合組成物の初期粘度は45mPa・s、5H後粘度は120mPa・sであった。脈理検査の結果は(○)であった。
[実施例11]
(プラスチックレンズの作製)
ビスイソシアナトシクロヘキシルメタン58.9質量部、硬化触媒としてジメチルスズジクロライド0.10質量部、離型剤として酸性リン酸エステル(城北化学工業(株)製JP−506H)0.20質量部、紫外線吸収剤として(シプロ化成(株)製 シーソーブ701)1.0質量部を混合、溶解させた。
さらに、実施例1で得られたポリチオール化合物の混合物41.1質量部を添加混合し、混合均一液として重合組成物を得た。
この混合均一液を200Paにて30分間脱泡を行った後、5.0μmPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルターにて濾過を行った。次いで直径75mm、−4.00Dのガラスモールドとテープからなるレンズ用モールド型へ注入した。このモールド型を電気炉へ投入し、15℃から120℃まで20時間かけて徐々に昇温し、2時間保持した。重合終了後、電気炉からモールド型を取り出し、離型してレンズを得た。得られたレンズをさらに120℃で3時間アニールを行った。
下記表2に示すように、実施例11の重合組成物の初期粘度は160mPa・s、5H後粘度は236mPa・sであった。脈理検査の結果は(○)であった。
[実施例12]
(プラスチックレンズの作製)
ビスイソシアナトメチルビシクロヘプタン52.9質量部、硬化触媒としてジメチルスズジクロライド0.10質量部、離型剤として酸性リン酸エステル(城北化学工業(株)製JP−506H)0.20質量部、紫外線吸収剤として(シプロ化成(株)製 シーソーブ701)1.0質量部を混合、溶解させた。
さらに、実施例1で得られたポリチオール化合物の混合物47.1質量部を添加混合し、混合均一液として重合組成物を得た。
この混合均一液を200Paにて30分間脱泡を行った後、5.0μmPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルターにて濾過を行った。次いで直径75mm、−4.00Dのガラスモールドとテープからなるレンズ用モールド型へ注入した。このモールド型を電気炉へ投入し、15℃から120℃まで20時間かけて徐々に昇温し、2時間保持した。重合終了後、電気炉からモールド型を取り出し、離型してレンズを得た。得られたレンズをさらに120℃で3時間アニールを行った。
下記表2に示すように、実施例12の重合組成物の初期粘度は50mPa・s、5H後粘度は108mPa・sであった。脈理検査の結果は(○)であった。
[比較例4−6]
(プラスチックレンズの作製)
実施例10、11、12においてポリチオール化合物の混合物を比較例1で得られたポリチオール化合物の混合物へ変更し、かつ、塩酸洗浄の条件を表2のようにした以外は実施例10、11、12と同様にレンズの作製、粘度変化の測定を行った。
下記表2に示すように、比較例4の重合組成物の初期粘度は52mPa・s、5H後粘度は600mPa・s、脈理検査の結果は(×)であった。比較例5の重合組成物の初期粘度は180mPa・s、5H後粘度は720mPa・sであった、脈理検査の結果は(×)であった。比較例6の重合組成物の初期粘度は50mPa・s、5H後粘度は540mPa・sであった、脈理検査の結果は(×)であった。
表1、2(実施例1〜12)のように、2−メルカプトエタノールとエピクロロヒドリンの反応によってイソチウロニウム塩を合成し、このイソチウロニウム塩をアルカリにより加水分解して、更に無機酸で洗浄後、水洗してポリチオール化合物の混合物を得、そのポリチオール化合物の混合物をポリイソ(チオ)シアナート化合物等と混合して重合組成物としたものを重合して光学材料とする光学材料の製造方法において、無機酸での洗浄をpH2.0未満、10℃から60℃で洗浄を行うことによって、脈理の発生を確実に回避することが確認された。
比較例2のように、pHが2.0より大きい場合には、無機酸での洗浄時にpHが2.0より大きい場合、末端基がS−Na(pH2.0未満、であればS−H)の状態のものが多くなり、イソシアネートとの重合時に、重合速度が異常に速くなってしまうものと推測される。その結果、キャビティーに注入ができない、脈理が発生する等の問題が生じる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (1)

  1. 下記の工程(I)から工程(V)を含む製造方法により得られたポリチオール化合物の混合物と、ポリイソ(チオ)シアナート化合物を含む重合組成物を重合して光学材料を得る光学材料の製造方法であって、前記工程(V)の無機酸での洗浄を、pH2.0以下、洗浄温度10℃から60℃の条件下で行う、光学材料の製造方法。

    工程(I):
    2−メルカプトエタノールとエピクロロヒドリンをアミン触媒の存在下に反応させ、式(1)で表される化合物を得る工程。

    工程(II):
    工程(I)で得られたハロゲン化物を硫化ナトリウムと反応させることにより式(2)で表される多官能アルコールを得る工程。

    工程(III):
    工程(II)で得られた多官能アルコールを無機酸の存在下にチオ尿素と反応させ、イソチウロニウム塩を得る工程。
    工程(IV):
    工程(III)で得られたイソチウロニウム塩をアルカリで加水分解し、式(3)で表される化合物と、式(4)で表される化合物と、式(5)で表される化合物を含む、ポリチオール化合物の混合物を得る工程。






    工程(V):
    工程(IV)で得られた加水分解生成物を無機酸および水で洗浄し、ポリチオール化合物の混合物を精製する工程。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH07252207A (ja) * 1994-01-26 1995-10-03 Mitsui Toatsu Chem Inc 新規なポリチオール及びそれを用いた含硫ウレタン系プラスチックレンズ
WO2014027428A1 (ja) * 2012-08-14 2014-02-20 三井化学株式会社 ポリチオール化合物の製造方法、光学材料用重合性組成物およびその用途

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