JP2018058604A - マーブル調外観を有する発泡延伸プラスチック容器 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、近年では、資源の再利用が強く求められ、上記のようなポリエステル容器に関しても、使用済みの容器を回収し、リサイクル樹脂として種々の用途への再利用が図られている。
尚、本発明者らは、先に発泡セルの分布形態や大きさを適宜の範囲に調整することにより、着色剤の配合及び無配合にかかわらず、独特の梨地様模様の外観が発現した発泡容器を提案した(特願2016−175367)。この先願の発泡容器では、微細な発泡セルの分布を調整することによって、梨地様模様を発現させたものであるが、本発明は、これとは異なる発泡条件で発泡セルを形成し、発泡セルを積極的に不規則に分布させることにより、マーブル調という独特の外観を発現させたものである。
前記発泡領域を有する胴部の外面は、発泡セルの不規則分布により平均して明度の高い明部域と平均して明度の低い暗部域とが混在しており、これら明部域と暗部域の分布により、マーブル調模様を呈していることを特徴とする発泡プラスチック容器が提供される。
(1)前記暗部域の少なくとも一部では、前記胴部の外面から見て、円相当直径が1mm以上にある大気泡セルが少なくとも1つ視認されること。
(2)前記胴部には、前記熱可塑性樹脂中に着色剤が均一に分散されていること。
このようなマーブル調模様において、上記の明部域及び暗部域との境界部分は明確ではないが、いずれの領域も明確に視認することができ、ある程度以上の面積で不規則な形状で分布している(図2参照)。
尚、先に述べた先願(特願2016−175367)の発泡容器では、光線反射率が高い部分と低い部分により、梨地様模様が発現しているが、この梨地模様は、光線反射率があるレベル以上に高い部分(明部)及び/又は光線反射率があるレベル以上に低い部分(暗部)が粒状となって細かくほぼ均等に分布していることにより形成されている模様であり(図6参照)、大きな面積を有する明部域及び暗部域が不規則な形状で分布しているマーブル調模様とは明確に区別される。
本発明の発泡延伸プラスチック容器(以下単に発泡容器と呼ぶことがある)は、熱可塑性樹脂を用いて成形されたものであり且つ非ラミネート構造を有しており、容器壁の胴部には、発泡セルが分布している発泡領域が形成されている。
かかる基本構造は、特許文献1に開示されている発泡容器でも有しており、例えば、その概略断面構造は、図1に示されている。
尚、この外表面には、発泡セル5が分布していない薄い表皮層7が形成されていることが好ましく、かかる表皮層7の存在により、その外面は、その表面粗さRa(JIS Z−0601−1994)が5μm以下の平滑面であることが好適である。すなわち、表皮層7が存在していない場合には、発泡セル5により、外面に大きな凹凸が形成されてしまい、その外観が損なわれてしまうからである。一般に、上記のような平滑面を形成するためには、表皮層7の厚みは2μm以上あればよい。
即ち、上記の明部域L及び暗部域Dは、明確に視認することができ、それぞれ不規則な形状で広がっている。
本発明において、上記明部域LでのL*値及び暗部域DでのL*値の具体的な値は、着色剤の有無或いは、使用されている着色剤の色によって異なるため、一概に規定することはできないが、明確なマーブル調模様を発現させるためには、この明部域Lで測定されるL*値の最大値と、暗部域Dで測定されるL*値の最小値との差(ΔL*)が3以上、特に5以上であることが好適である。即ち、明度差(ΔL*)が大きい程、マーブル調模様を明確に視認することができる。
本発明においては、このような発泡セル5が不規則に分布している結果、発泡セルが高密度で分布している領域と疎に分布している領域が不規則に存在しており、これらの領域によって、それぞれ明部域Lと暗部域Dとが不規則な形態で形成され、マーブル調模様を呈するのである。
本発明において、最も好適な樹脂は、発泡セル5の形態や延伸成形性の観点から、PETに代表されるポリエステル樹脂である。
尚、所謂メタリック顔料と呼ばれる高価な顔料、例えば、銅粉、アルミニウム粉、亜鉛粉、金粉、銀粉などの金属粉顔料や、雲母や鱗片状チタン、鱗片状ステンレスなどの鱗片状(フレーク状)顔料、或いはこのような鱗片状顔料の表面をコバルト、ニッケル、チタン等の金属微粒子で被覆した顔料(光輝顔料)を使用し、これらを、適宜、他の色の顔料等と併用することにより、メタリックな外観を得ることができるが、本発明では、このようなメタリック顔料を使用せずとも、特許文献2と同様、金属光沢を有する加飾性の高い外観を得ることができるため、コストの低減からも、このような高価な顔料を敢えて使用する必要はない。即ち、発泡セル5が分布している発泡領域では、光の散乱、反射、干渉及び表皮層7によるマニキュア効果による光沢或いは艶が加わって当該色に応じた金属色を示すようにできる。例えば、金色を得ようとする場合には、橙〜緑系の顔料を使用すると、金色を呈することができる。
上述したマーブル調模様を有する本発明の発泡容器は、発泡剤として、不活性ガス、例えば炭酸ガス、窒素ガス或いはこれらの混合ガスを用いてのマイクロセルラー技術を利用しての物理発泡により発泡プリフォームを作製し、この発泡プリフォームを延伸成形することにより製造されるが、マーブル調模様の発言のために、発泡により生成する発泡セル5が、不規則に分布して前述した明部域Lおよび暗部域Dが形成されるように発泡をコントロールすることが必要である。具体的には、容器の胴部外面の表層部分に比較的小さな発泡セル5を不規則に分布せしめ、この発泡セル5が高密度で分布する領域(明部域L)および疎に分布する領域(暗部域D)が、それぞれ一定面積以上で不規則に形成されるように発泡をコントロールしなければならない。
延伸成形に供する発泡プリフォームは、例えば、図4に示されている形態を有する。
図4において、この発泡プリフォームは50で示されており、全体として試験管形状を有しており、ボトルのノズル部に対応する首部51と、首部51に連なる筒状の成形部53を備えている。
首部51は、延伸成形されない部分であり、螺子51aおよびサポートリング51bを外面に有している。成形部53は、延伸成形される部分であり、その下端は、底壁55によって閉じられている。また、図から理解されるように、成形部53の器壁内部には発泡セル5’が分布しているが、首部51内には発泡セル5’は分布しておらず、非発泡領域となっている。首部51内に発泡セル5’が分布していると、螺子51aやサポートリング51bの強度低下を招き、これらの機能が損なわれてしまうからである。
なお、上記成形部53の厚みは、後述する延伸成形工程での薄肉化を考慮して目的とする容器の胴部壁の厚みが得られるように設定される。
本発明の発泡容器を製造するために採用されるホットパリソン法は、射出成形によりプリフォームを成形する際の樹脂の内部加熱により発泡を行い、成形後の金型から成形品であるプリフォームを取り出し、そのまま冷却することなく、延伸工程に導入して延伸を行うという方法である。即ち、内部加熱により発泡を行うため、加熱により発泡を行う工程で独立して設けられていないという点がホットパリソン法の大きな特徴であり、これが1ステージ法と呼ばれる所以である。
なお、ホットパリソン法とともに知られているコールドパリソン法では、成形型内に充填された樹脂を十分に冷却した後に成形型から取り出したのち、加熱を行って発泡を行ったのち、延伸工程に導入して延伸成形を行うという方法であり、加熱による発泡工程が独立した工程で設けられているため、2ステージ法とも呼ばれている。
尚、溶融樹脂が射出充填される成形型は割り型構造を有しており、首部51に相当する型では強冷却されるようになっており、保圧がかけられている時間内で、この部分に充填されている樹脂の温度は、発泡温度(ガラス転移点)よりも低くなり、これにより、首部53での発泡が防止されるようになっている。
例えば、図5(a)に示されているように、ホットパリソン法では、樹脂温による内部加熱により発泡が行われるため、厚み方向中心部Oでは、最も大きな径の大気泡セル5a’が生成し、外表面側および内表面側の表層部には、微細な小気泡セル5b’が生成するが、内面側の表層部では、ヒケは生じていないため、微細な小気泡セル5b’は一様に分布している。一方、外面側の表層部では、微細な小気泡セル5b’が温度分布にしたがい、温度の低い部分では、小気泡セル5b’が疎に分布した領域となり、この領域が明部域Lに相当するものとなる。また、温度の高い部分では、微細な小気泡セル5b’が密に分布しており、この領域が暗部域Dに相当するものとなる。即ち、このような微細な小気泡セル5b’の分布状態は、保圧を早めに解除することによって生じる不規則なヒケに対応するものであるため、このような発泡ムラを外面側の表層部に生じている発泡プリフォームを延伸成形することにより、図2に示されているような形態のマーブル調模様を有するボトル形態の容器が得られることとなる。
これに対して、保圧を十分な時間かけて成形を行った場合には、ヒケは発生せず、図5(b)に示されているように、微細な小気泡セル5b’は、外面側の表層部および内面側の表層部のいずれも一様に分布するため、マーブル調模様は発現しない。
図2では、暗部域Dに大気泡セル7が存在しているが、この大気泡セル7は、上記の厚み方向中心部に分布している大気泡セル5a’に相当するものである。
上記のような発泡プリフォーム50では、延伸による引き延ばしが行われていないため、発泡セル5’は球形或いは球形に近い形状を有しているため、これを延伸成形して図1に示されているような偏平形状とすることが必要である。これにより、ある程度の面積を有する明部域Lと暗部域Dとが明確に形成され、マーブル調模様が発現する。
保圧を早めに解除することにより発泡プリフォーム50の外面に生成しているヒケは、この延伸成形に際して、容器外面とブロー型との接触による解消される。
また、延伸倍率が大きい程、明部域Lや暗部域Dは明確となる。
従って、前述した保圧時間と共に、上記の条件を考慮して、マーブル調模様が明確に発現するように各種条件が設定される。
また、本発明の発泡容器が有するマーブル調模様は、プリフォーム成形時のヒケに由来するものであり、外表面表層部での不規則な発泡によるものであるため、容器毎に異なっているという特徴がある。このため、特に着色剤として茶色系のものを用いた場合には、一品製作の漆器に近い外観を有しており、この点において、優れた意匠性を有している。
また、着色剤を含有していない無着色の熱可塑性樹脂を用いて成形された無着色発泡容器はリサイクル性にも優れている。
材料は市販のボトル用PET樹脂(固有粘度0.84dl/g)、および市販の着色マスターバッチを用いた。十分に乾燥させた樹脂ペレットを射出成形機のホッパーに供給し、射出成形機の加熱筒の途中から発泡剤として二酸化炭素ガスを供給し、PET樹脂と混練して溶解させ、射出成形した。射出成形金型は試験管形状のプリフォーム金型を使用した。なお、射出成形時には、充填開始に先立ち金型内に約5MPaの高圧エアを供給し、充填中の発泡を抑制した。また、45MPaの保圧をかけながら充填することで、金型内発泡を抑制した。成形手法はホットパリソン法を用いた。成形条件の調整は主としてプリフォーム温度、射出保圧時間、型内冷却時間によりおこなった。
ブロー型はプリフォームに対する縦延伸倍率が約1.1倍、横延伸倍率が約2倍である単純丸ボトル金型(ボトル胴部の直径46.6mm)を使用した。
ブロー成形したボトル外観の評価はボトル目視によりおこなった。ボトル胴部の明暗が縦方向、周方向で規則性が無い(グラデーション調や、縦方向および周方向のスジ状模様ではない)外観をマーブル調と判断した。後述する実施例における明暗の参考として、SMカラーコンピューター(スガ試験機株式会社製SM―4)を用い、C光2°視野にてボトル胴部の明部と暗部のL*値を測定孔径5mmで測定したときに、L*の差は3以上あった。
ホットパリソン法を用い、茶系の着色剤を含有したPET樹脂に、二酸化炭素ガスを0.33%混練させ、樹脂を射出充填した。その後、保圧を約10秒与えた後、射出型開直後のプリフォーム外面温度は96℃となるよう、適度な冷却時間を与えた。射出型開後、25秒のアニール時間を経て、そのままブロー成形した。
得られたボトルは縦方向・周方向ともに不均等な発泡によるマーブル調明暗を有しつつ、板厚中央部に存在する大きな気泡が視認できており、発泡独特の意匠性を有していることを確認した。
このボトルの外観写真を図2に示した。
冷却時間を数秒長くしたこと以外は実施例1と同じ製法でボトル成形した。
得られたボトルは、明暗の強弱は弱くなったものの、実施例1と同様、縦方向・周方向ともに不均等な発泡によるマーブル調明暗を有しつつ、板厚中央部大きな気泡が視認できており、発泡独特の意匠性を有していることを確認した。
保圧時間を数秒長くし、その分冷却時間を短くしたこと以外は実施例1と同じ方法でボトル成形した。
得られたボトルは梨地様外観を呈しつつ、大きな気泡が視認できる粗粒状外観であり、マーブル調の明暗はみられなかった。
保圧時間を数秒短くし、冷却時間を長くして射出型開直後のプリフォーム外面温度は87℃となるようにしたこと以外は実施例1と同じ方法でボトル成形した。
得られたボトルは大きな気泡が多数視認できる粗粒状外観であり、マーブル調の明暗はみられなかった。
保圧時間を比較例2に対し更に数秒短くし、その分冷却時間を長くしたこと以外は実施例1と同じ方法でボトル成形した。
得られたボトルは比較例2に比べ微細な気泡が多数視認できる梨地様外観であり、マーブル調の明暗はみられなかった。
このボトルの外観写真を図6に示した。
3:樹脂マトリックス
5:発泡セル
L:明部域
D:暗部域
Claims (3)
- 熱可塑性樹脂からなり且つ非ラミネート構造の器壁を有していると共に、該器壁内部に発泡セルが分布している発泡領域が胴部に形成されている発泡プラスチック容器において、
前記発泡領域を有する胴部の外面は、発泡セルの不規則分布により平均して明度の高い明部域と平均して明度の低い暗部域とが混在しており、これら明部域と暗部域の分布により、マーブル調模様を呈していることを特徴とする発泡プラスチック容器。 - 前記暗部域の少なくとも一部では、前記胴部の外面から見て、円相当直径が1mm以上にある大気泡セルが少なくとも1つ視認される請求項1に記載の発泡プラスチック容器。
- 前記胴部には、前記熱可塑性樹脂中に着色剤が均一に分散されている請求項1又は2に記載の発泡プラスチック容器。
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