JP2018058088A - コイル状鋼板の冷却方法 - Google Patents

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【課題】本願発明は、全く新たな手法により、ハイテン鋼板の内部酸化の発生を抑制することができ、酸洗の負荷を減らすことができ、生産性を向上させられる方法を提供することを目的とする。【解決手段】質量%で0.5%≦Si≦3.5%, 0.5%≦Mn≦5.0%, 0.5%≦Al≦5.0%,の1種または2種以上を合計で0.5%以上5.0%以下の範囲であり、さらに0.05〜0.8質量%のCを含有する鋼板を、熱間圧延し600〜900℃の温度範囲でコイル状に巻き取り冷却する際に、巻き取り後30分以内に当該コイルを絶対圧力で10kPa以下の圧力状態とし、最外周の鋼板温度が500℃以下になるまで、当該圧力以下の状態で冷却することを特徴とするコイル状鋼板の冷却方法。【選択図】なし

Description

本発明は、Si,Mn,Alを含有するハイテン鋼板の熱間圧延での製造方法、特にコイル巻き取り方法に関係する。
ハイテン材は低温で硬く冷延困難なため、高温で巻き取られることが一般的である。
しかしながら、高温巻き取りしたハイテン材は酸洗性が極めてわるく、生産性を阻害するという課題がある。
酸洗性が悪い理由として下記が考えられる。Si,Mn,Alを含有するハイテン材は高温での巻き取り状態でSi,Mn,Alの内部酸化が生ずる。内部酸化とは鋼材表面から近傍の金属状態の鋼の内部にSi,Mn及びAlの酸化物が分散している状態である。Si,Mn,Alの酸化物はそれぞれ単独の酸化物の場合もあり、それらの二種以上が複合した酸化物の場合もある。それらの酸化物は鋼の結晶粒界に分布する場合や、結晶粒内に分布する場合もある。結晶粒界に分布する場合を粒界酸化と呼ぶこともあるが、ここでは粒界酸化も含めて内部酸化と総称する。この内部酸化は、酸化スケールが酸化源となって鋼内のSi,Mn,Alを酸化させることによって生じる(図1参照)。これらの酸化物が鋼内部に生成する内部酸化の形態をとる。このような酸化物を含む内部酸化層は、表面の酸化スケールより深い鋼内部にあって、これを除去するには長時間の酸洗が必要となる。例えば、低速での通板、あるいは2回以上の酸洗等が必要である。
熱延鋼板で生成する内部酸化に関して、これまでも様々な検討がされてきた。
特許文献1は、熱延鋼板や溶融めっき熱延鋼板の化成処理性や溶融めっき性の向上を図ろうとするものであるが、めっき不良の原因が、酸洗後の熱延鋼板の表面にSiやMn,P等の酸化物が残存することが本質的な原因であると考え、これを解決するために、鋼表層近傍に内部酸化層を形成させて、内部酸化層内部に鋼表面のSiやMn,P等を閉じこめることによって、めっき性等を向上させている。すなわち、特許文献1は、積極的に内部酸化層を生成させることを提案している。なお、具体的には、特許文献1では、熱延鋼板を黒皮スケールまま、還元の起きない雰囲気、例えば100%窒素の雰囲気で、650〜950℃で熱処理している。
特許文献2は、めっき後の外観およびめっきの密着性を鋼板の全面にわたって良好にするための溶融亜鉛めっき用の熱延鋼板の製造方法に関するものであり、めっき不良の原因が、内部酸化層の厚みにある(薄すぎるとSiの表面酸化が抑制できず、厚すぎると内部酸化層が除去しきれず、それが鋼板表面に疵を生じる)と考え、内部酸化層の厚さを1μm〜4μmの範囲に制御することを提案している。具体的には、熱延鋼板を430〜560℃でコイルに巻き取り、次いでコイルを温度保持設備に装入して、大気放冷よりも遅い冷却速度でコイルを冷却することにより、内部酸化層厚さを上記の範囲で均一化させている。
特開2000−309847号公報 特開2015−28200号公報
上述したとおり、高温巻き取りしたハイテン材は酸洗性が極めてわるく、生産性を阻害するという課題がある。特許文献1、2は内部酸化層を積極的に形成させたり、またはその厚さを制御したりするものであった。本願発明は、全く新たな手法により、ハイテン鋼板の内部酸化の発生を抑制することができ、酸洗の負荷を減らすことができ、生産性を向上させられる方法を提供することを目的とする。
本発明により、以下の手段が提供される。
[1]
質量%で0.5%≦Si≦3.5%, 0.5%≦Mn≦5.0%, 0.5%≦Al≦5.0%,の1種または2種以上を合計で0.5%以上5.0%以下の範囲で含有し、さらに0.05〜0.8質量%のCを含有する鋼板を、熱間圧延し600〜900℃の温度範囲でコイル状に巻き取り冷却する際に、巻き取り後30分以内に当該コイルを絶対圧力で10kPa以下の圧力状態とし、最外周の鋼板温度が500℃以下になるまで、当該圧力状態で冷却することを特徴とするコイル状鋼板の冷却方法。
[2]
前記絶対圧力が1kPa以下であることを特徴とする項目1に記載の方法。
本発明により、ハイテン鋼板の内部酸化の生成を抑制することができ、酸洗の負荷を減らすことができ、生産性が向上する。
図1は、Si,MnおよびAlの内部酸化の進行を概念的に示す図である。
本発明によって、質量%で0.5%≦Si≦3.5%, 0.5%≦Mn≦5.0%, 0.5%≦Al≦5.0%,の1種または2種以上を合計で0.5%以上5.0%以下の範囲で含有し、さらに0.05〜0.8質量%のCを含有する鋼板を、熱間圧延し600〜900℃の温度範囲でコイル状に巻き取り冷却する際に、巻き取り後30分以内に当該コイルを絶対圧力で10kPa以下、または1kPa以下のような略真空の圧力状態とし、最外周の鋼板温度が500℃以下になるまで、当該圧力以下の状態で冷却することを特徴とするコイル状鋼板の冷却方法、が提供される。
本願発明が対象とする鋼板は、0.5〜3.5質量%のSi、0.5〜5質量%のMn、0.5〜5質量%のAlの1種または2種以上を含有し、ここでSi、Mn、Alの含有量の合計が0.5〜5.0質量%であり、さらに0.05〜0.8質量%のCを含有する鋼板であり、いわゆるハイテン鋼である。ハイテン鋼の品質の観点から、Si、MnおよびAlの各元素の含有量は規定されるが、一方でこれらの元素は内部酸化を生じ得る。すなわち、Siは、強度を確保するために添加する元素であるが、質量%で0.5%以上のSi含有量で内部酸化を生成させる。またSiは3.5%を超えると加工性を劣化させるので、Si量は3.5質量%以下とする。Mnも強度の改善のために添加する元素であるが、質量%で0.5%以上のMn含有量で内部酸化を生成させる。またMnは5.0質量%を超えて添加すると加工性が劣化するので、Mn量は5.0質量%以下とする。Alも強度や耐食性を向上させるために添加する元素であるが、質量%で0.5%以上のAl含有量で内部酸化を生成させる。またAlも5.0質量%を超えて添加すると加工性が劣化するので、Al量は5.0質量%以下とする。またSi、MnおよびAlは、複合酸化物を形成して内部酸化層を形成し得る元素である。そのため、これら3種の元素の含有量合計も規定される。Si、MnおよびAlの含有量合計が0.5質量%未満であれば、複合酸化物は形成されず、内部酸化層も形成されない。また、Si、MnおよびAlの含有量の合計が5.0質量%超であれば、Si,Mn,Alの酸化物からなる外部酸化層を形成し、内部酸化層は形成されない。そのため、本願発明では、0.5〜3.5質量%のSi、0.5〜5.0質量%のMn、0.5〜5質量%のAlを1種または2種以上含有し、ここでSi、Mn、Alの含有量の合計が0.5〜5.0質量%である鋼板を対象とする。
また、本発明ではC濃度が0.05%以上、0.8%以下の鋼が対象となる。Cに関して後段で詳述するとおり、内部酸化は、酸化スケール(FeO等)が酸化源となって鋼内のSi,Mn,Alを酸化させることによって生じると考えられるが、スケールの酸素が直接内部酸化を生じるのではなく、COやCOのガスを経由して内部酸化が生じることを本願発明者が見出した。COやCOは鋼板中のCがスケール中の酸素(O)と反応して発生し、鋼板中のC濃度が0.05%以上でCOやCOの発生が顕著にみられ、内部酸化の問題が顕在化するため、C濃度が0.05%以上の鋼を本発明の対象とする。C濃度が0.8%超では過共析鋼のC濃度範囲となり、本発明の対象とするSi,Mn,Al含有ハイテン材の領域ではなくなるため、本発明の対象外とする。
前記の含有量でSi、Mn、AlおよびCを含む鋼は、いわゆるハイテン鋼であって、低温で硬く冷延困難なため、熱間圧延の後速やかに巻き取られる。そのため、巻き取り温度は、600℃〜900℃である。600℃未満では、鋼板が硬くなり巻き取りが困難になる場合がある。概して、巻き取り温度が高くなるほど、鋼板は軟化し、巻き取りは容易になる。巻き取りを容易にするために、650℃以上で巻き取りを行ってもよい。巻き取り温度を高くしすぎても、巻き取りの容易性は頭打ちになり、加熱エネルギーの無駄になるので、巻き取り温度の上限は900℃とする。
上記の巻き取り温度範囲では、Si、MnおよびAlは酸素が供給されると容易に酸化される。鋼板の表面には酸化スケールが存在しており、酸化スケール中の酸素が鋼内へ内方拡散し、鋼中のMn、SiおよびAlと反応して、酸化物を生成する(図1参照)。この酸化物を含む層が内部酸化層であり、酸洗が容易でない。このことは、従来から知られていることであり、従来技術である特許文献1、2でもこの内部酸化層を制御することを試みている。
本願発明者は、驚くべきことに、内部酸化の進行はCOやCOのガスを経由していることを発見した。内部酸化進行の機構について説明する。
スケールが付着した600℃以上の鋼材では、スケール(FeO等を含む)に含まれる酸素(O)と鋼に含まれる炭素(C)とが、スケール/鋼界面で反応して、COやCOのガスが発生する。界面で生成したCOガスとCOガスは、スケールを透過し、コイル状で巻かれた熱延鋼板の板どうしの間に滞留する。
これらのCOやCOのガスはスケールとの間で酸素(O)を授受しながら、スケールの主組成であるFeOとの間で下記の化学平衡に達する。
CO+FeO = CO+Fe
ここで、Fe(綱材)とFeO(スケール)が十分に存在しているため、FeとFeOは化学平衡に達し、これに応じてCOとCOも化学平衡に達する。即ちCOガスの分圧とCOガスの分圧の比は、FeOとFeが平衡するCO分圧とCO分圧の比になる。この化学平衡反応を通じて、酸素(O)の授受が安定的に行われ、酸素分圧または酸素ポテンシャルが高く維持される。
この高い酸素分圧または酸素ポテンシャルのために、酸素(O)が鋼内部へ内方拡散し、鋼中のSi、MnおよびAlと反応して、内部酸化が深く進行する。
本発明者は、上記の内部酸化進行の機構の中で、COとCOを強制的に排除することにより、内部酸化進行を抑えることができることに着想した。
COとCOが存在しない場合には、CO、COを介して酸素(O)が供給されず、酸素(O)はスケール(FeO)から鋼に直接的に供給されることになる。鋼中に存在するSi、MnおよびAlが、スケール(FeO)から供給された酸素(O)と反応して、すなわち酸素(O)は消費され、スケールと鋼の界面では酸素分圧または酸素ポテンシャルが低い状態になる。このような状態では、Feが安定的に存在することができ、スケール/鋼界面には還元されたFeが分布する。Feは当然のことながら酸素(O)を有しておらず、酸素(O)を供給することもできない。その結果、内部酸化が進行しなくなる。このように、コイル状に巻かれた鋼板の板間に滞留するCOとCOのガスを、系外に排出することにより、内部酸化を抑制できることを本発明者が知見した。
コイル状に巻かれた板間に滞留しているCO、COガスを排出、除去するには、コイルの周囲の雰囲気を減圧することによって達成してもよい。コイルの板間内のガス圧力よりもコイルの周囲の雰囲気圧力が低ければ、コイル板間のガスは板間から放出される。この減圧作用を利用して、鋼板コイルの板間に滞留するCO、COガスを排出、除去を行うことにより、スケール/鋼界面の酸素分圧または酸素ポテンシャルを低減して、内部酸化の生成を抑制できることを、本願発明者は知見し、本願発明を完成させた。
本願発明は、内部酸化を抑制するためにはコイル状に巻かれた鋼板の板間に滞留するCOとCOのガスを系外に排出すればよいとの新たな知見に基づくものであり、以下の構成により、COとCOのガスの排出、それに伴う内部酸化の抑制を具現化している。
本願発明では、熱延鋼板を600℃〜900℃の巻取り温度でコイル状に巻き取り、冷却する際に、巻き取り後30分以内に当該コイルを略真空状態、絶対圧力で10kPa以下または1kPa以下の圧力状態とし、巻き取りコイルの最外周の鋼板温度が500℃以下になるまで、当該圧力以下の状態で冷却する。
巻き取りコイルを略真空状態にするには、コイルを容器に収納し、真空ポンプを用いてその容器内圧力を減圧することによって実現してもよい。コイルの板間内のガス圧力よりもコイルの周囲の雰囲気圧力が低くすることにより、コイル板間のCO、COガスは板間から放出され、内部酸化が抑制される。鋼板の内部酸化を有意に抑制するために、コイルの周囲の圧力を大気圧の1/10分1程度の0.01MPa(10kPa)以下にする。コイル周囲の圧力をさらに減じることで、より内部酸化の抑制効果を高めることができる。大気圧の約1/100程度の0.001MPa(1kPa)以下まで減じると内部酸化の生成は認められなくなる。
内部酸化の有無は次のように判定することができる。コイルが常温になった後に回収し、コイルからサンプル片を切り出して、サンプル片断面を、SEM(Scannning electron microscope)で観察し、EDX(Energy Dispersive X-ray)分析でC、Si、O(酸素)、Mn、Al、Feのマッピングおよび定量分析を行い、内部酸化層の厚さを求めることができる。本願明細書では、内部酸化層の厚みが1μmまたはそれ未満の場合、内部酸化層は問題なしと評価する。
コイルを収納する容器は、減圧状態を維持できるように、密閉構造のものを用いることが好ましい。また、容器には600℃〜900℃の温度で巻き取られたコイルが収容されるため、その温度範囲に適用できる耐熱性を備えたものを用いることが好ましい。
鋼板をコイル状に巻き取る前は、通常、鋼板表面が大気に晒されており、内部酸化は限定的であると考えられる。大気中では大気中の酸素により鋼材表面には鉄酸化物からなるスケールが生成する。スケール成長している間はスケール/鋼界面では鋼表面が常に酸化されて鋼表面が順次酸化により消費されている。これは鋼の主成分である鉄が酸化でスケールに変わるためである。このような状態では鋼表面には内部酸化は生成しない。内部酸化が生成しようとしてもすぐに周囲の鋼が酸化により失われるためである。従って、主に内部酸化は、巻き取られたコイル内で進行すると考えられる。巻き取られたコイル内では板の間に大気が侵入しにくくスケールの成長がほとんど止まるためである。そして、前述したとおり、(コイルを略真空の雰囲気に置かなければ)コイル内の板の間にはCOやCOが滞留し、酸素分圧または酸素ポテンシャルが高く維持され、内部酸化が進行する。
概して、巻き取られたコイル内での鋼板温度が高いほど、内部酸化の進行速度は速く、特に、鋼板温度650℃以上での内部酸化の酸化速度が速い。鋼板温度650℃未満では内部酸化の進行が遅くなり、600℃未満になると内部酸化は進行しなくなる。一方、コイル状に巻かれた鋼材では巻き取り後数時間にわたってコイル内で温度分布が存在することがあり、鋼材の温度が最も高い最熱点の温度と鋼材の温度の最も低い最冷点の温度の差が100℃程度になることもある。概して、最熱点はコイルの中心付近であり、最冷点はコイルの最外周である。したがって、コイルの最外周が500℃以下になるまで、当該減圧処理を施す。これにより、最熱点での温度も600℃以下とすることができ、それ以降の内部酸化の発生を抑えることができる。なお、最冷点や最熱点等のコイルの温度は、接触式の熱電対、非接触式の赤外線放射温度計などを用いて、測定してもよい。
前述したとおり、通常熱延鋼板は、特にハイテン鋼は、低温になると鋼板が硬くなり巻き取りが困難になる場合があるため、600℃から900℃の温度で巻き取られる。一方で、巻き取られた鋼板は、コイル状であるため冷却速度は遅く、通常の自然冷却(放冷)であれば、内部酸化の進行しない温度(600℃未満)まで冷却されるのにおよそ30分〜10時間程度の長時間を要する。すなわち、巻き取り後のおよそ30分〜10時間の間は、600℃以上であり、内部酸化が進行し得る。本発明では、鋼材を巻き取り後30分以内に、コイルを略真空(10kPa以下等)の雰囲気に曝す。この程度の時間であれば、内部酸化の進行は許容される範囲である。その後は、鋼板コイルの板間に滞留するCO、COガスが排出、除去されることにより、スケール/鋼界面の酸素分圧または酸素ポテンシャルが低減され、その結果内部酸化の生成は抑制される。なお、コイルは容器内で自然冷却されてもよいが、コイルを強制的に冷却して、コイルの最外周が500℃以下になるまでの時間を短縮してもよい。内部酸化し得る温度領域にある時間を短縮することになり、より内部酸化の抑制に役立つと考えられる。冷却方法としては、コイル収納容器に水冷冷却設備等の冷却設備を設けてもよく、収納容器を低温環境に配置する等が挙げられる。
以下、実施例を用いて、本願発明について説明する。ただし、本願発明は、実施例によって限定的に解釈されるべきものではない。
0.2質量%のC、1.0質量%のSiおよび2.3質量%のMnを含む鋼スラブを、熱間圧延して熱延鋼板とし、熱延鋼板を表1に示す温度でコイル状に巻き取り、次いで、減圧できる容器にコイルを収納した。次に、表1に示す条件で、容器内を真空ポンプで減圧し、その減圧状態のままでコイルを冷却した。減圧処理中の容器内圧力、コイルに巻き取ってから減圧処理を開始するまでの時間、減圧処理したまま冷却する時間(言い換えると減圧処理終了時の最外周温度)を変えて、内部酸化の生成状況を比較した。なお、コイルの最外周温度は、コイルを容器内に設置した後、コイル最外周に接触式の熱電対を配置して、測定した。内部酸化の状況はコイルが常温になった後に、コイルからサンプル片を切り出して、サンプル片断面を、SEM(scannning electron microscope)で観察し、EDX(Energy Dispersive X-ray)分析でC、Si、O(酸素)、Mn、Al、Feのマッピングおよび定量分析を行い、内部酸化層の厚さを求めた。結果を、表1に示す。内部酸化層の厚みが1μmまたはそれ未満の場合を良好な表面品質である○と評価した。内部酸化が1μmを超える場合は表面品質が不良であるとして×と評価した。内部酸化層まったくみられないものは「なし」とした。尚、 No.4の実施例では減圧容器内でのコイルの冷却を促進する目的で減圧容器の外周を水冷した。こうすることでコイルを真空容器内にいれた状態でもコイルの冷却時間を短くすることができ、高い生産性を確保できた。
Figure 2018058088
比較例No.5の容器内圧力を20kPaの減圧状態に晒したコイル鋼板では、減圧が十分でなく、すなわちCO、COの除去が十分でなく、15μm厚さの内部酸化層が認められた。比較例No.6では、コイルを容器内に設置した後、コイル最外周に接触式の熱電対を配置して、コイル最外周の温度を測定しながら冷却した。コイルの最外周温度が550℃に達した段階で、減圧処理(1kPa)を停止した。この時点では、コイルの内部の最熱点温度が600℃を超えており、内部酸化が進行したと考えられ、20μm厚さの内部酸化層が認められた。比較例No.7では、コイルを巻き取ってから40分後に、コイルを減圧状態(1kPa)に晒しており、減圧状態に晒す前に内部酸化が進行したと考えられ、10μm厚さの内部酸化層が認められた。
本発明例No.1〜4では、本発明で特定される温度、時間、圧力の条件を満たしており、内部酸化は認められなかった。

Claims (2)

  1. 質量%で0.5%≦Si≦3.5%, 0.5%≦Mn≦5.0%, 0.5%≦Al≦5.0%,の1種または2種以上を合計で0.5%以上5.0%以下の範囲で含有し、さらに0.05〜0.8質量%のCを含有する鋼板を、熱間圧延し600〜900℃の温度範囲でコイル状に巻き取り冷却する際に、巻き取り後30分以内に当該コイルを絶対圧力で10kPa以下の圧力状態とし、最外周の鋼板温度が500℃以下になるまで、当該圧力状態で冷却することを特徴とするコイル状鋼板の冷却方法。
  2. 前記絶対圧力が1kPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
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