JP2018057611A - 多層積層体 - Google Patents

多層積層体 Download PDF

Info

Publication number
JP2018057611A
JP2018057611A JP2016197674A JP2016197674A JP2018057611A JP 2018057611 A JP2018057611 A JP 2018057611A JP 2016197674 A JP2016197674 A JP 2016197674A JP 2016197674 A JP2016197674 A JP 2016197674A JP 2018057611 A JP2018057611 A JP 2018057611A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
weight
core
layer
sheath
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016197674A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6880477B2 (ja
Inventor
太一 祢▲ぎ▼
Taichi Negi
太一 祢▲ぎ▼
岳洋 宮本
Takehiro Miyamoto
岳洋 宮本
照夫 北村
Teruo Kitamura
照夫 北村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Plastics Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Plastics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Plastics Co Ltd filed Critical Kuraray Plastics Co Ltd
Priority to JP2016197674A priority Critical patent/JP6880477B2/ja
Publication of JP2018057611A publication Critical patent/JP2018057611A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6880477B2 publication Critical patent/JP6880477B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】柔軟性に優れ、かつ粘着剤と接しないTPS系不織布側での耐粘着性(滑り性)、耐薬品性を改善すると供に、薬剤などの染み出しによる衣服の汚れなどを改善する多層積層体を提供する。【解決手段】特定の分子構造を有するスチレン系熱可塑性エラストマーに対し、軟化剤、およびポリオレフィン系樹脂或いはポリオレフィン系樹脂と少なくとも1種類以上の非ポリオレフィン系樹脂である、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、或いはウレタン系樹脂のいずれかを特定範囲で配合した樹脂組成物を含む芯鞘複合繊維からなる不織布層(A)に、粘着層(B)及び剥離可能な保護フィルム(C)を積層して、絆創膏、湿布剤、経皮吸収剤等とする。【選択図】なし

Description

本発明は、耐粘着性(滑り性)、柔軟性、耐薬品性、及び汚れ防止性が良好な多層積層体に関する。
基材層(基材例:布、不織布、或いは プラスチックフィルムなど)に、粘着剤層を積層した絆創膏や、或いは、粘着剤に薬剤を含有させ、皮膚に貼り付けることで、皮膚を通して薬剤を投与する湿布剤、経皮吸収剤などは、皮膚貼付中の伸縮による違和感(引きつりなど)、脱離、ムレ、薬剤などの染み出しによる衣類の汚れ、薬剤の飛散、或いは薬剤臭気の飛散など種々の問題がある。
特許文献1、2には、基材にTPS(スチレン系熱可塑性エラストマー樹脂)を使用した柔軟な不織布で、皮膚貼付中の伸縮による違和感(引きつりなど)を低減する絆創膏、或いは湿布剤などが明記されている。しかし、特許文献1、2に記載の方法で作成した湿布剤などは、粘着剤と接しないTPS不織布側での耐粘着性(滑り性)が悪く(ベタツキ感あり)、取扱い性及び衣類との接触による脱離だけでなく、薬剤による不織布の膨潤。伸張破れなどの問題があり、実用には耐えない問題がある。
特開平09−105056号公報 特開平07−024049号公報
本発明の目的は、粘着剤に接しないTPS系不織布側での耐粘着性(滑り性)を改善すると供に、柔軟性、耐薬品性、汚れ防止性(薬剤などの染み出しによる衣服の汚れ、等)を改善する多層積層体を提供する事である。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の分子構造を有するスチレン系熱可塑性エラストマーに対し、軟化剤、およびポリオレフィン系樹脂或いはポリオレフィン系樹脂と少なくとも1種類以上の非ポリオレフィン系樹脂である、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、或いはウレタン系樹脂のいずれかを特定範囲で配合した樹脂組成物を含む芯鞘複合繊維からなる不織布層を少なくとも1層以上含む多層積層体が、驚くべき事に、これまで困難であった、耐粘着性(滑り性)、柔軟性、汚れ防止性、及び耐薬品性を併せ持つ事を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、少なくとも、以下の(a)および(c)、または(a)、(b)および(c)を含有する芯鞘複合繊維不織布層(A)を少なくとも1層以上含む多層積層体;
(a)少なくとも2個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(X)と少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(Y)とからなるブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体を含む熱可塑性エラストマー樹脂組成物、
(b)ポリオレフィン系樹脂、或いはポリオレフィン系樹脂に少なくとも1種類以上の非オレフィン系樹脂である、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、或いはウレタン系樹脂のいずれかを含有し、かつ(b)中の該非オレフィン系樹脂含有率が50重量%以下である混合樹脂、
(c)炭化水素系ゴム用軟化剤、
であって、
1)芯鞘複合繊維の芯成分における樹脂(a)+樹脂(b)中の樹脂(a)の重量比率が50〜100重量%、かつ芯成分における軟化剤(c)の含有率が20重量%より大きく、
2)芯鞘複合繊維の鞘成分における樹脂(a)+樹脂(b)中の樹脂(a)の重量比率が10〜50重量%、かつ鞘成分における軟化剤(c)の含有率が20重量%以下、
である多層積層体である。
さらに本発明は、好ましくは不織布層(A)に粘着層(B)、及び剥離可能な保護フィルム層(C)が積層した上記の多層積層体であり、より好ましくは粘着層(B)と接しない不織布(A)側に0.5〜5μm厚みの機能性薄層(D)としてエチレンービニルアルコール共重合体系樹脂、あるいはポリエステル系樹脂を積層した上記の多層積層体であり、さらには、粘着層(B)が薬剤を含有してなる上記の多層積層体である。
本発明によれば、優れた柔軟性と耐粘着性(滑り性)を併せ持ち、かつ汚れ防止性(薬剤などの染み出しによる衣服の汚れ)、耐薬品性が改善される多層積層体を提供することができる。
<樹脂(a)>
本発明の芯鞘複合繊維を構成する組成の一つである樹脂(a)は、少なくとも2個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(X)と、少なくとも1個の共役ジエン化合物からなる重合体ブロック(Y)とからなるブロック共重合体を水素添加して得られるものである。
前記ビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。これらの中でも、スチレンおよびα−メチルスチレンが好ましい。ビニル芳香族化合物は1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記樹脂(a)におけるビニル芳香族化合物の含有量は5〜75質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。ビニル芳香族化合物の含有量がこの範囲内であると、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性がより向上する。
前記共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。共役ジエン化合物は1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、前記共役ジエン化合物がイソプレン及びブタジエンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、イソプレンとブタジエンの混合物がより好ましい。
前記樹脂(a)は、前記重合体ブロック(Y)の共役ジエン化合物に由来する炭素−炭素二重結合の50%以上が水素添加されていることが好ましく、75%以上が水素添加されていることがより好ましく、95%以上が水素添加されていることが特に好ましい。本発明の効果を阻害しない範囲で、該水素添加樹脂と未水素添加樹脂とをブレンドして使用する事が可能であり、より望ましい場合もある。
前記樹脂(a)は、重合体ブロック(X)と重合体ブロック(Y)とをそれぞれ少なくとも1個含有していればよいが、耐熱性、力学物性等の観点から、重合体ブロック(X)を2個以上、重合体ブロック(Y)を1個以上含有していることが好ましい。重合体ブロック(X)と重合体ブロック(Y)の結合様式は、線状、分岐状あるいはこれらの任意の組み合わせであってもよいが、重合体ブロック(X)をXで、重合体ブロック(Y)をYで表したとき、X−Y−Xで示されるトリブロック構造や、(X−Y)n、(X−Y)n−X、(ここでnは2以上の整数を表す)で示されるマルチブロック共重合体などを挙げることができ、これらの中でも、X−Y−Xで示されるトリブロック構造のものが、耐熱性、力学物性、取り扱い性等の点で特に好ましい。
また、重合体ブロック(X)の主要構成成分であるビニル芳香族化合物と重合体ブロック(Y)の主要構成成分である共役ジエン化合物とが、ランダム状 または/及び テーパー状に共重合したブロック部分を、本発明を阻害されない範囲で含有することが出来る。なかでも、X−Y構造部分の接続部近傍に、該ランダム または/及び テーパー含有ブロックに配位する事がより好適である。
樹脂(a)の重量平均分子量は4万〜50万の範囲のものが用いられる。分子量が前記範囲より小さすぎる場合は、得られる樹脂組成物の力学物性の低下を招き好ましくない。逆に大きすぎる場合には粘度の上昇が著しくなり、成形加工性が損なわれ好ましくない。
また、成形性、力学物性を改善する目的で、重量平均分子量、水素添加比率、ブロック重合体比率、ブロック重合体組成などの異なった樹脂を少なくとも1種類以上ブレンドしてもよい。
さらに、芯鞘複合繊維を構成する芯側の樹脂(a)は、柔軟性、鞘との粘着性の面で重量分子量、重合体ブロック(X)含有率が低い方が、また 鞘側の樹脂(a)は、耐薬品性、汚れ防止性の面で、重量分子量、重合体ブロック(X)含有率が高い方がより効果的である。
<樹脂(b)>
本発明に用いられる樹脂(b)には、耐粘着性、接着性、柔軟性、及び 耐薬品性の改善の目的から、ポリオレフィン系樹脂、或いはポリオレフィン系樹脂に少なくとも1種類以上の非オレフィン系樹脂である、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、或いはウレタン系樹脂を含有した混合樹脂である。
ポリオレフィン系樹脂としては、プロピレン系重合体、エチレン系重合体等が挙げられる。プロピレン系重合体としては、例えばホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン等を使用することができる。中でも、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンを用いるのが好ましい。エチレン系重合体としては、例えば中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のエチレン単独重合体;エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−ヘプテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ノネン共重合体、エチレン・1−デセン共重合体等のエチレン・α−オレフィン共重合体等を使用することができる。
ポリオレフィン系樹脂に混合する非オレフィン系樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、或いはウレタン系樹脂であり、より具体的には熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性アクリルエラストマー、あるいは熱可塑性ポリウレタンエラストマーなどが望ましく、より好適には、熱可塑性ポリエステルエラストマー、或いは熱可塑性ポリアミドエラストマーなどが、耐薬品性、防汚性、粘着層(B)との親和性など不織布層(A)の表面特性改質に非常に有効である。
樹脂(b)において、該非オレフィン系樹脂の樹脂(b)に対する含有比率は50重量%以下であることが重要である。含有量が50重量%を超えると、柔軟性が悪化する問題がある。好ましくは40重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。
さらに、前記ポリオレフィン系樹脂と混合する樹脂は、芯鞘複合繊維を構成する鞘側の樹脂に添加する方が、耐薬品性、耐粘着性の面でより効果的である。
ポリエステル系樹脂の中で好適に用いられる熱可塑性ポリエステルエラストマーとしては、例えば、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステルセグメントと、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテル系セグメントをブロック共重合させたポリエステルーポリエーテル型ポリエステルエラストマー、あるいは、上記芳香族ポリエステルセグメントと、脂肪族ポリエステルセグメントとのブロック共重合によるポリエステルーポリエステル型ポリエステルエラストマーなどが挙げられる。
ポリアミド系樹脂の中で好適に用いられる熱可塑性ポリアミドエラストマーとしては、例えば、6−ナイロン及び、12−ナイロンセグメントと、脂肪族ポリエーテル、または、脂肪族ポリエーテルポリエステルセグメントとのブロック共重合によって得られるポリアミド系エラストマーを使用するのが好ましい。
アクリル系樹脂の中で好適に用いられる熱可塑性アクリルエラストマーとしては、エチレンーメチルメタアクリル酸エステル共重合樹脂、エチレンーメチルアクリル酸エステル共重合樹脂、エチレンーエチルアクリル酸エステル共重合樹脂、エチレンーメチル(メタ)アクリル酸エステルー(無水)マレイン酸共重合樹脂などが挙げられる。
ウレタン系樹脂としては熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリウレタン系共重合エラストマーなどが挙げられ、熱可塑性ポリウレタンエラストマーとしては、例えば、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリカプロラクトン系ポリウレタンなどの1種以上を使用することが好ましい。また、ポリウレタン系共重合エラストマーとして、ジイソシアネート化合物とヒドロキシル基を分子構造内に2個以上含有するポリオール化合物との重付加反応によって得られるイソシアネート基両末端オリゴマー及び、分子量2000〜10000程度のイソシアネート基両末端ポリウレタンプレポリマーと、炭素数4〜12個のジカルボン酸と、炭素数4〜14個のジアミンとの重縮合によって得られるカルボン酸基またはアミン基末端のオリゴマー及び、分子量2000〜10000程度のカルボン酸基またはアミン基末端のポリアミドプレポリマーとの共重合によって得られるポリウレタン−ポリアミド共重合樹脂、また、上記イソシアネート基両末端オリゴマー及び、分子量2000〜10000程度のイソシアネート基両末端ポリウレタンプレポリマーと、炭素数4〜12の芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の2種以上のジカルボン酸と、ジオールとの重縮合によって得られるカルボン酸基または水酸基末端のオリゴマー及び、分子量2000〜10000程度のカルボン酸基または水酸基末端のポリエステルプレポリマーとの共重合によって得られるポリウレタン− ポリエステル共重合樹脂なども使用できる。
また、ポリオレフィン系樹脂とそれ以外の前記非オレフィン系樹脂との混合物は、不均一相溶な為か、溶融紡糸時、或いは 溶融不織布紡糸時、不均一吐出による不良品が発生する場合があるため、カルボン酸基、無水カルボン酸基、カルボン酸塩基、アンモニウム基、アンモニウム塩基、エポキシ基などの活性官能基を含有する樹脂を相溶化材として用いる事が有効であり、これらの中でも特に限定するものではないが、無水カルボン酸変性のポリエチレン、無水カルボン酸変性ポリプロピレン、あるいは 無水カルボン酸変性スチレン−イソプレン、ブタジエン−スチレンブロック共重合体(水添物含む)が好適である。
<炭化水素系ゴム用軟化剤(c)>
本発明の炭化水素系ゴム用軟化剤(c)としては、例えばパラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマ系オイル等のプロセスオイル、流動パラフィン等が挙げられ、中でもパラフィン系オイル、ナフテン系オイル等のプロセスオイルが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の不織布層(A)を構成する繊維は耐粘着性(滑り性)を改善する目的から芯鞘複合繊維であることが重要である。芯鞘複合繊維の芯成分においては、樹脂(a)+樹脂(b)中の樹脂(a)の重量比率が50〜100重量%、好ましくは50〜90重量%であり、かつ前記炭化水素系ゴム用軟化剤(c)の含有率が20重量%、好ましくは30重量%より大きいことが、柔軟性の点から重要である。前記樹脂(a)の含有比率が50重量%未満或いは/及び炭化水素系ゴム用軟化剤(c)の含有量が20重量%以下となる場合、柔軟性が悪化する。
一方、不織布層(A)構成する芯鞘複合繊維の鞘成分において、樹脂(a)+樹脂(b)中の樹脂(a)の重量比率が10〜50重量%、好ましくは20〜45重量%、かつ鞘成分における炭化水素系ゴム用軟化剤(c)の含有率が20重量%以下、好ましくは15重量%以下であることが、柔軟性、耐薬品性、汚れ防止性、耐粘着性の点から重要である。樹脂(a)+(b)中の樹脂(a)の含有率が10重量%未満の場合、柔軟性が悪化し、50重量%を超える場合は耐薬品性、汚れ防止性が悪化する。一方、炭化水素系ゴム用軟化剤(c)の含有量が20重量%を超えると、汚れ防止性、耐粘着性が不十分となる。
<その他の成分>
本発明の不織布層(A)を構成する芯鞘複合繊維の樹脂成分には、本発明の効果を著しく損なわない範囲であれば、必要に応じて、粘着付与剤を含有させてもよい。粘着付与材としては、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、これらのグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル等のロジンエステルなどのロジン系樹脂;α−ピネン、β−ピネン、ジペンテンなどを主体とするテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂などテルペン系樹脂:(水添)脂肪族系(C5系)石油樹脂、(水添)芳香族系(C9系)石油樹脂、(水添)共重合系(C5−C9共重合系)石油樹脂、(水添)ジシクロペンタジエン系石油樹脂、脂環式飽和炭化水素など水素添加されていてもよい石油樹脂;ポリα−メチルスチレン、α−メチルスチレン−スチレン共重合体、スチレン系モノマー−脂肪族系モノマー共重合体、スチレン系モノマー−芳香族系モノマー(スチレン系モノマーを除く)共重合体などのスチレン系樹脂;フェノール系樹脂;キシレン樹脂;クマロン−インデン系樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。これらの中でも、樹脂組成物の着色抑制の観点から、水添テルペン樹脂、脂環式飽和炭化水素樹脂、(水添)脂肪族系(C5系)石油樹脂が好ましい。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の前記芯鞘複合繊維に粘着付与材を含有させる場合、その含有量は樹脂(a)100重量部に対して、好ましくは100重量部以下であり、耐熱性の観点からは80質量部以下であることがより好ましい。
また本発明の不織布層(A)を構成する芯鞘複合繊維の樹脂成分には、クレー、珪藻土、シリカ、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属酸化物、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウムなどのリン片状無機系添加剤、各種の金属粉、木片、ガラス粉、セラミックス粉、粒状あるいは粉末ポリマー等の粒状あるいは粉末状固体充填材、その他の各種の天然または人工の短繊維、長繊維(例えば、わら、毛、ガラスファイバー、金属ファイバー、その他各種のポリマーファイバー等)などを配合することができる。
また、中空フィラー、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーンなどの無機中空フィラー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン共重合体などからなる有機中空フィラーを配合することにより、軽量化を図ることができる。
本発明の不織布層(A)を構成する芯鞘複合繊維の樹脂成分は、上記の成分の他に、用途に応じて各種のブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、結晶核剤、発泡剤、着色剤等を含有することも可能である。ここで、酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジtert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジtert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ−5,5−ウンデカンなどのフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等を使用することができる。中でもフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。酸化防止剤は、本発明の樹脂組成物に含まれる上記成分(a)〜(c)の合計100質量部に対して、0.01〜3.0質量部であることが好ましく、0.05〜1.0質量部であることがより好ましい。
本発明の不織布層(A)を構成する芯鞘複合繊維の芯成分樹脂および鞘成分樹脂は、各成分を上記した配合割合で配合して、これらを均一に混合することで得られ、特に限定されないが、例えば、ミキシングロール、加圧式ニーダ、一軸押出機、二軸押出機などによって180℃〜240℃で溶融混練し、吐出樹脂をカット・冷却・乾燥することでペレット状に調製することができる。
得られたペレット状樹脂は、特に限定されるものではないが、汎用の複合紡糸設備で芯鞘複合繊維を得ることができる。より具体的には、鞘成分となる樹脂と、芯成分となる樹脂とを別々の押出機に投入し、通常実施される溶融紡糸法、乾式紡糸法、あるいは湿式紡糸法などのいずれかで紡糸し、延伸などの処理を施して得た平均繊維直径20μm以下のフイラメント糸またはステープル繊維を用い、乾式法や湿式法で得た繊維ウエブからなる不織布、またはメルトブローン紡糸法あるいはフラッシュ紡糸法で直接平均繊維直径20μm以下の細繊維に紡糸し、捕集体に集積した繊維ウエブからなる不織布を製造する。
該芯鞘繊維に於いて、繊維全断面積に対する鞘部の断面積比率は特に限定するものではないが、紡糸の安定性、性能の良好な発現の面で、5〜60%、好適には10〜50%である。
また、弾性重合体の細繊維からトラブルなく合理的に基材を作れる点ではメルトブローン紡糸法で作られた不織布を用いることが好ましい。不織布層(A)の重量は指向する用途から決められるが、通常は平均重量20〜200g/m2が好ましく使用される。また、伸縮時の形状追随性、弾性回復性を確保する為、例えば、熱プレスやピンポイント熱エンボスを施したり、ニードルパンチ法、高圧水流処理法などの絡合処理を組み合わせて、繊維の接触部の少なくとも一部を接着あるいは仮接着させて、形態の安定化と伸縮性を発現させる。
本発明の多層積層体において、粘着剤に薬剤を含有させ、皮膚に貼り付けることで、皮膚を通して薬剤を投与することを目的として、不織布層(A)の片面に粘着層(B)を積層させることが好ましい。粘着層(B)は、良好な皮膚接着性の観点からは通常10〜300μm、好ましくは15〜250μmの厚みで形成される。
粘着層(B)を形成する樹脂としては、例えば常温で感圧性を有するアクリル系、エラストマー系、シリコーン系、ビニルエーテル系等が用いられ、一種もしくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル系樹脂として、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル(ここで、(メタ)アクリル酸は、メタアクリル酸又はアクリル酸を意味する)を主成分とした単独重合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合性モノマーとの共重合体又は炭素数4〜18の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸アルキルエステルの(共)重合体等が好ましい。 上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸イソブチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸イソオクチルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸イソデシルエステル、(メタ)アクリル酸ラウリルエステル、(メタ)アクリル酸ステアリルエステル等が挙げられる。
上記共重合性モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸ブチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノアクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、エトキシメチルアクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブタジエン等が挙げられる。
エラストマー系樹脂としては特に限定されず、例えば、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレンーブタジエンースチレン共重合体、スチレンーイソプレン共重合体、スチレンーイソプレンースチレン共重合体、スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体、合成イソプレンゴム、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ウレタンゴム等のゴムを主体とする従来公知のエラストマー系樹脂が使用できる。
シリコーン系樹脂としては特に限定されず、例えばポリオルガノシロキサン等のシリコーンゴム等が挙げられる。
ビニルエーテル系樹脂としては、例えばビニルエーテル、イソブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル等が挙げられる。
また、粘着層(B)において、粘着剤の凝集力が低いと、粘着剤層間(あるいは粘着剤内部)で粘着剤が凝集破壊し、肌への糊残りなどの問題が生じることがある。このような粘着剤の凝集力を高めたり、あるいは添加剤の保持量を増加させるためには、粘着層(B)を架橋処理することができる。具体的には、紫外線照射や電子線照射などの放射線照射による物理的架橋や、イソシアネート化合物や有機過酸化物、有機金属塩、金属アルコラート、金属キレート、多官能化合物などの外部架橋剤による化学的架橋等が挙げられ、また重合反応によって粘着層(B)を形成するためのポリマーを調製する場合は、多官能性単量体を共重合することによって内部架橋されたポリマーを得ることもできる。
上記した各種粘着剤のうち、所望の粘着物性を得るための調整の行いやすさや、薬剤、及び 添加剤の溶解性(相溶性)向上、多量に含有保持できること、架橋処理が比較的容易であることなどの点からは、アクリル系粘着剤が特に好ましい。
上記粘着層(B)中に含有する添加剤としては、浸透促進剤、溶解助剤、充填材、軟化可塑剤、粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、薬剤分解抑制剤、皮膚刺激低減剤などが挙げられるが、特に限定するものではなく、一種もしくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の粘着層(B)には、経皮吸収用薬物などの薬剤を含有させることが出来る。このような薬剤としては経皮吸収用として使用できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、コルチコステロイド類、鎮痛消炎剤、催眠鎮静剤、製品安定剤、抗高血圧剤、降圧利尿剤、抗生物質、麻酔剤、抗菌剤、抗真菌剤、ビタミン剤、冠血管拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、性ホルモン、抗鬱剤、脳循環改善剤、制吐剤、抗腫瘍剤、生体医薬などの薬物を一種もしくは二種以上併用することができる。
本発明の多層積層体は、上記のような構成からなるものであるが、一般的に粘着層(B)表面を被覆保護するために公知の剥離可能な保護フィルム(C)を積層したシート状形態として提供される。また、例えば経皮吸収製剤用途として用いられる場合には包装材料にて密封包装することによって、使用するまでの保存安定性を確保できるものである。
剥離可能な保護フィルム(C)は、前記粘着層(B)の表面を被覆して保護するためのフィルムであり、材質としては、特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、EVOH、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド;ポリアクリロニトリル;セルロース又はその誘導体;アルミニウム等の金属箔等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。このようなフィルム及びシートとしては、その離型性を増すために、前記粘着剤層に接する面にあらかじめシリコーン処理やフッ素樹脂処理等が施されたものであってもよい。
粘着層(B)に接していない不織布(A)側での滑り性を更に改善すると供に、薬剤などの染み出しによる衣服の汚れ防止などを改善する目的で粘着層(B)に接していない不織布(A)側に0.5〜5μm厚みの機能性薄層(D)を積層する場合がある。機能性薄層(D)を構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂、或いはEVOH(エチレンービニルアルコール共重合体)系樹脂が良好であり、なかでも、柔軟性、伸縮性の面で、EVOH系樹脂がより望ましい。
EVOH系樹脂としては、耐水性,強度などの点からエチレン含有量20〜55モル%、特に25〜50モル%、酢酸ビニル成分のケン化度90モル%以上、特に95モル%以上で,極限粘度が0.7〜1.5dl/gの範囲にあるものが特に好ましい。エチレン含有量が20モル%未満ではフィルム自体が硬くなって、皮膚貼付時にゴワゴワ感が生じたり、皮膚追従性が低下するようになって、貼付感に劣る傾向を示す。一方、エチレン含有量が55モル%を超えると、疎水性が高まるので、粘着剤層中の油性添加剤を吸着したり、吸収しやすくなる傾向を示すので好ましくない。また、酢酸ビニル成分のケン化度が90モル%未満では薬剤、及び添加剤の吸着や移行が顕著となり好ましくない。さらに極限粘度が0.7dl/g未満では機械的強度が不足し、極限粘度が1.5dl/gを超えるものは製造上困難である。なお、ここで、極限粘度とは、水/フェノールの15/85の重量比の混合溶媒中、温度30℃で測定したものをいう。
なお、EVOH系樹脂は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、α−オレフィン、不飽和カルボン酸系化合物、不飽和スルホン酸系化合物、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルシラン化合物、塩化ビニル、スチレンなどの他のコモノマーで共重合変性されたEVOH系樹脂であっても差し支えなく、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化など後変性されたEVOH系樹脂であっても差し支えない。
本発明の多層積層体を製造する方法としては、例えば、1)粘着剤、薬剤、各種添加剤を含む粘着剤をトルエン等の適当な溶媒に溶解し、得られた溶液を剥離可能な保護フィルム(C)上に塗布、乾燥して粘着剤層(B)を形成した後、不織布層(A)を圧着する方法、2)粘着剤層(B)を構成する樹脂組成物を剥離可能な保護フィルム(C)上に溶融押出ラミネートした後、不織布層(A)を圧着する方法、3)粘着剤層(B)を不織布層(A)上に溶融押出ラミネートした後、剥離可能な保護フィルム(C)を圧着するなどの方法で製造される。必要な場合、圧着時、加熱圧着して多層積層体を製造してもよい。
本発明において、機能性薄層(D)を不織布層(A)に積層する方法としては、ラミネート或いは塗布する方法が挙げられ、これら方法としては、特に限定されないが、押出ラミネート装置を用い、不織布層(A)に例えばEVOHなどの樹脂を溶融して直接ラミネートする方法、或いは、例えば溶剤で溶解したEVOH溶液を、不織布層(A)に塗布・乾燥する方法などがある。中でも例えば離型PETフィルムなど、剥離可能な支持体フィルムに、EVOH溶液を塗布後、未乾燥状態で不織布層(A)をラミネートした後、乾燥する方法がより好ましい。
前述したEVOH溶液としては、EVOH系樹脂を溶剤に溶解して調製する。用いられる溶剤としては、水/アルコールが好ましく、その中でも水/イソプロパノール、水 /n−プロバノール,水/n−ブタノール、水/sea−ブタノール、水/イソブタノールが、溶液の安定性や取り扱い性やさらには経済的な面からより好ましい。水/アルコールの溶剤の場合、溶剤における水/アルコールの質量比は、5/95〜80/20であることが溶液の安定性、透明性の点から好ましい。
さらに、上記溶剤中にギ酸、フェノール、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどを1〜30質量%の割合で混合することで溶液安定性、透明性が改善することから、更に好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例の物性評価は、以下に示す方法によって行った。
(1)樹脂(a)の重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、下記条件下、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を算出した。
GPC;LC Solution (SHIMADZU社製)
検出器:示差屈折率計 RID−10A(SHIMADZU社製)
カラム:TSKgelG4000Hxlを2本直列(TOSOH社製)
ガードカラム:TSKguardcolumnHxl−L(TOSOH社製)
溶媒:テトラヒドロフラン
温度:40℃
流速:1ml/min
濃度:2mg/ml
(2)樹脂(a)のスチレン含有率
重合に使用した各モノマー成分の重量から算出した。
(3)耐粘着性(滑り性;摩擦係数)
JIS K7125に準拠し、多層積層体の保護フィルム(C)を剥離し、粘着層(B)を、厚さ1.0mm、幅80mm、長さ200mmのSPCC鋼板に貼付け、不織布層(A)、或いは 機能性薄層(D)の上に、63mm×63mmのすべり片(アルミ板:200g)置き、23℃−50%RH雰囲気下、島津製作所製 オートグラフ 型番AG−1、500Nを用い、水平速度100mm/minで引っ張り時の初期張力(静摩擦係数=ピーク張力/荷重)、及び それ以降の定常張力(動摩擦力係数=ピーク張力を除く平均張力/荷重)を測定し、耐粘着性を評価した。
(4)柔軟性
40×60mm角の多層積層体の保護フィルム(C)を剥離し、粘着層(B)を被験者10名の手首関節の甲側皮膚表面に貼付し、貼付24時間後に下記の貼付感を5段階で評価し、平均値を算出した。
1.違和感なし
2.違和感少しあり
3.ヒキツリ感少しあり
4.ヒキツリ感 顕著
5.痛みあり
(5)耐薬品性
不織布(A)を50mm×150mm巾に切り出し、23℃−1時間、薬剤としてシップ剤などで使用させるサルチル酸メチル液に浸漬後、該不織布を取り出し、ガーゼで付着薬剤を吸い取り除去した。
次に該サンプル、及び浸漬前サンプルを23℃−50%RH雰囲気下、島津製作所製オートグラフ、型番AG−1、500Nを用い、速度100mm/minでの引張破断伸度を測定し、浸漬前伸度に対する、浸漬後の破断伸度の残留比率(%)を耐薬品性の目安とした。
(6)汚れ防止性
40mm×60mm角の多層積層体の保護フィルム(C)を剥離し、粘着層(B)を被験者10名の手首関節の甲側皮膚表面に貼付し、貼付24時間後に下記の貼付感を4段階で評価し、平均値を算出した。
1.汚れ認めず
2.少し汚れあり
3.汚れ有り
4.汚れ 顕著
<実施例1〜13及び比較例1〜7>
二軸押出機(口径46mm、L/D=46)を使用して、下記の各構成成分を表1〜3に示す配合に従って混合した後、190℃で溶融混練し、ペレット状の樹脂組成物を得た。2台の単軸押出機(口径40mm、L/D=24、押出温度230℃)を使用し、これらの樹脂組成物(A−1、及びA−2)を吐出量比率(A−1)/(A−2)=3/1で押出し、芯鞘複合メルトブローン装置にて芯部がA−1樹脂で、鞘部がA−2樹脂で構成され、平均繊維直径15μm、平均重量100g/m2、繊維全断面積中の鞘部の面積比率が25%である芯鞘複合繊維からなる不織布層(A)を得た。
次に、剥離容易な保護フィルム(C)として、藤森工業社製の離型PETフィルム(銘柄:SF3、厚み=50μm)を用い、該フィルム上に、下記の組成の粘着剤溶液を塗布し、70℃、10分間乾燥することで、保護フィルム(C)/粘着層(B)の多層フィルムを得た。この時の粘着層(B)の平均厚みは105μmであった。この多層フィルムの粘着層(B)側と、不織布層(A)とを、70℃熱プレスロールを用いて、不織布層(A)/粘着層(B)/保護フィルム(C)の多層積層体を得た。
<粘着剤溶液組成>
シリコーン系樹脂(東レ・ダウコーニング社製、BIO-PSA 7-4202) 79重量%
シリコーン系オイル(東レ・ダウコーニング社製、Q7-9120 SILICONE FLUID) 5重量%
化学薬品(気化性防錆剤:亜硝酸ジイソプロピルアンモニウム) 5重量%
希釈溶剤(酢酸メチル) 11重量%
一方、該多層積層体において、不織布層(A)の最外層に機能性薄層(D)を積層する場合、剥離可能な保護フィルム(C´)として、東レ社製PETフィルム上(銘柄:ルミラー S−10#50、厚み=50μm)に、下記組成のEVOH溶液を塗布した直後、不織布層(A)を常温でプレスロールを通し、70℃−5分間乾燥することで、保護フィルム(C)/機能性薄層(D)/不織布層(A)の積層体を得た。なお機能性薄層(D)の平均厚みは2.1μmであった。
次に、該積層体の不織布層(A)側と、上記段落0058で作製した粘着剤層(B)/保護フィルム(C)とを、70℃熱プレスロールを用いて、保護フィルム(C´)/機能性薄層(D)/不織布層(A)/粘着剤層(B)/保護フィルム(C)の多層積層体を作製し、必要に応じ、保護フィルム(C´)を剥離した。
<EVOH溶液>
EVOH樹脂(クラレ社製エバールEP−E105) 10重量部
35%含水ノルマルプロパノール溶液 90重量部
を80℃で加熱、攪拌下で溶解
<樹脂(a)>
種類:スチレンの含有量:31質量%、重量平均分子量158000のスチレンーイソプレン・ブタジエンースチレン型トリブロック共重合体の水添ブロック共重合体
<樹脂(b)>
・b−1
オレフィン系樹脂:ポリプロピレン、プライムポリプロ J229E(商品名)、株式会社プライムポリマー製
・b−2
ポリエステル系エラストマー:ペルプレンP70(商品名)、東洋紡(株)製
・b−3
アクリル系エラストマー:LA2330(商品名)、(株)クラレ製
・b−4
ウレタン系エラストマー:エラストラン1180−50STR(商品名)、BASF社製
・b−5
ポリアミド系エラストマー:Pebax35R53(商品名)、アルケマ社製
<炭化水素系ゴム用軟化剤(c)>
ダイアナプロセスオイルPW−90(商品名)、出光石油化学株式会社製、パラフィン系オイル、動粘度(40℃):95.5mm2/s、環分析パラフィン:71%、環分析ナフテン:29%、重量平均分子量:790
Figure 2018057611
Figure 2018057611
Figure 2018057611
表1〜3に示すとおり、本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー(a)、ポリオレフィン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂と非オレフィン系樹脂との混合樹脂(b)、軟化剤(c)を含む樹脂組成物で構成され、軟化剤(c)の含有率、及び 樹脂(a)+樹脂(b)中の樹脂(a)含有率が特定の範囲内にある芯部(A−1)、鞘部(A−2)で少なくとも構成される芯鞘複合繊維不織布層(A)を含む多層積層体である実施例1〜13は、耐粘着性、柔軟性、汚れ防止性、及び耐薬品性に優れる。
比較例1は、実施例1の芯鞘複合繊維の芯部を構成する樹脂(A−1)及び鞘部を構成する樹脂(A−2)とをそれぞれ等重量部ブレンドした樹脂を、単軸押出機(口径40mm、L/D=24、押出温度230℃)を使用し、メルトブローン装置にて平均繊維直径15μm、平均重量100g/m2の実施例とは異なる断面形状の繊維(芯鞘複合繊維ではない)で構成される不織布層(A)を得たが、得られた積層体は耐粘着性、耐薬品性、及び汚れ防止性が悪化する結果となった。
比較例2は、鞘層(A−2)の成分である軟化剤(c)の添加量を20重量%超えとし、実施例1と同様に積層体を得たが、得られた積層体は耐粘着性、耐薬品性、及び 汚れ防止性が悪化する結果となった。
比較例3は、鞘層(A−2)の(b)成分である非オレフィン樹脂含有比率を50重量%超えとし、実施例1と同様に積層体を得たが、得られた積層体は柔軟性が悪化する結果となった。
比較例4は、鞘層(A−2)の樹脂成分(a)の含有率を10%未満とし、実施例1と同様に積層体を得たが、得られた積層体は柔軟性が悪化する結果となった。
比較例5は、鞘層(A−2)の成分である樹脂(a)の含有率を50重量%超えし、実施例1と同様に積層体を得たが、得られた積層体は汚れ防止性、耐薬品性が悪化する結果となった。
比較例6は、芯層(A−1)の成分である軟化剤(c)の添加量を20重量%以下とし、実施例1と同様に積層体を得たが、得られた積層体は柔軟性が悪化する結果となった。
比較例7は、芯層(A−1)の成分である非オレフィン系樹脂の添加量を50重量%超えとし、実施例1と同様に積層体を得たが、得られた積層体は柔軟性が悪化する結果となった。
比較例8は、芯層(A−1)の成分である樹脂成分(a)の含有率を50重量%未満とし、実施例1と同様に積層体を得たが、得られた積層体は柔軟性が悪化する結果となった。
以上のとおり、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
本発明の多層複合構成体は、優れた柔軟性と耐粘着性(滑り性)を併せ持ち、かつ 薬剤などの染み出しによる衣服の汚れ、薬剤の飛散、或いは 薬剤臭気の飛散が大幅に抑えられる事より、医療用分野、特に、経皮吸収製剤、温湿布剤、絆創膏、ハップ剤、ドレッシング、包帯、テーピング材、医療用衣服、スポーツ用衣料、スポーツ用品などに適用できる。

Claims (5)

  1. 少なくとも、以下(a)および(c)、または(a)(b)および(c)を含有する芯鞘複合繊維不織布層(A)を含む多層積層体;
    (a)少なくとも2個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(X)と少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(Y)とからなるブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体を含む熱可塑性エラストマー樹脂組成物を少なくとも1種類以上含有したエラストマー、
    (b)ポリオレフィン系樹脂、或いはポリオレフィン系樹脂に少なくとも1種類以上の非オレフィン系樹脂である、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、或いはウレタン系樹脂を含有し、かつ(b)中の該非オレフィン系樹脂含有率が50重量%以下である混合樹脂、
    (c)炭化水素系ゴム用軟化剤
    であって、
    1)芯鞘複合繊維の芯成分における樹脂(a)+樹脂(b)中の樹脂(a)の重量比率が50〜100重量%、かつ芯成分における軟化剤(c)の含有率が20重量%より大きく、
    2)芯鞘複合繊維の鞘成分における樹脂(a)+樹脂(b)中の樹脂(a)の重量比率が10〜50重量%、かつ鞘成分における軟化剤(c)の含有率が20重量%以下、
    である多層積層体。
  2. 不織布層(A)に粘着層(B)、及び 剥離可能な保護フィルム(C)が積層した請求項1記載の多層積層体。
  3. 粘着層(B)と接していない不織布層(A)側に、機能性薄層(D)を積層してなる、請求項1または2記載の多層積層体。
  4. 機能性薄層(D)が、0.5〜5μm厚みのエチレンービニルアルコール共重合体系樹脂)、或いはポリエステル系樹脂である請求項1〜3のいずれか記載の多層積層体。
  5. 粘着層(B)が薬剤を含有してなる、請求項1〜4のいずれか記載の多層積層体。
JP2016197674A 2016-10-06 2016-10-06 多層積層体 Active JP6880477B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016197674A JP6880477B2 (ja) 2016-10-06 2016-10-06 多層積層体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016197674A JP6880477B2 (ja) 2016-10-06 2016-10-06 多層積層体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018057611A true JP2018057611A (ja) 2018-04-12
JP6880477B2 JP6880477B2 (ja) 2021-06-02

Family

ID=61907865

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016197674A Active JP6880477B2 (ja) 2016-10-06 2016-10-06 多層積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6880477B2 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10168726A (ja) * 1996-12-03 1998-06-23 Chisso Corp 長繊維不織布及びそれを用いた吸収性物品
JPH10212650A (ja) * 1997-01-22 1998-08-11 Chisso Corp 長繊維不織布及びそれを用いた吸収性物品
JP2005281202A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Nichiban Co Ltd 経皮吸収型貼付剤用支持体及び経皮吸収型貼付剤
JP2006028695A (ja) * 2004-07-20 2006-02-02 Toyobo Co Ltd 伸縮性不織布および伸縮性複合不織布
JP2014095161A (ja) * 2012-11-08 2014-05-22 3M Innovative Properties Co 不織布及び伸縮性積層体
JP2015059285A (ja) * 2013-09-20 2015-03-30 株式会社クラレ 不織繊維構造体
WO2016143833A1 (ja) * 2015-03-09 2016-09-15 三井化学株式会社 不織布積層体、伸縮性不織布積層体、繊維製品、吸収性物品及び衛生マスク

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10168726A (ja) * 1996-12-03 1998-06-23 Chisso Corp 長繊維不織布及びそれを用いた吸収性物品
JPH10212650A (ja) * 1997-01-22 1998-08-11 Chisso Corp 長繊維不織布及びそれを用いた吸収性物品
JP2005281202A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Nichiban Co Ltd 経皮吸収型貼付剤用支持体及び経皮吸収型貼付剤
JP2006028695A (ja) * 2004-07-20 2006-02-02 Toyobo Co Ltd 伸縮性不織布および伸縮性複合不織布
JP2014095161A (ja) * 2012-11-08 2014-05-22 3M Innovative Properties Co 不織布及び伸縮性積層体
JP2015059285A (ja) * 2013-09-20 2015-03-30 株式会社クラレ 不織繊維構造体
WO2016143833A1 (ja) * 2015-03-09 2016-09-15 三井化学株式会社 不織布積層体、伸縮性不織布積層体、繊維製品、吸収性物品及び衛生マスク

Also Published As

Publication number Publication date
JP6880477B2 (ja) 2021-06-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20200046871A1 (en) Medical articles using miscible composition
US9273233B2 (en) Medical articles and methods of making using immiscible material
JP5670987B2 (ja) 皮膚に適用するホットメルト接着剤
JP5597187B2 (ja) 粘着剤組成物及び粘着テープ
JP6663179B2 (ja) 伸縮性積層体およびそれを含む物品
JP2002069405A (ja) 粘着剤組成物および粘着テープもしくはシート
JP5770188B2 (ja) テープ材用支持フィルムおよびテープ材
JP5770187B2 (ja) テープ材用支持フィルムおよびテープ材
JP4786189B2 (ja) 皮膚貼付用粘着剤組成物および皮膚貼付用粘着シート
KR20070110433A (ko) 점착제 및 첩부제
JP6948326B2 (ja) テープ材用支持フィルム、テープ材、およびテープ材用支持フィルムの製造方法
US20130281905A1 (en) Support-free surgical interface for wound
CA2344133A1 (en) Base film for medical adhesive tape, and medical adhesive tape, adhesive plaster and first-aid adhesive tape produced using the film
US20060194493A1 (en) Pressure sensitive adhesive for surgical drapes
WO2013076875A1 (ja) 貼付材
JP2010064997A (ja) 貼付材並びに貼付製剤
WO2016103449A1 (ja) 貼付材
JP6880477B2 (ja) 多層積層体
JPWO2013077134A1 (ja) 貼付材
JP6528154B2 (ja) ビソプロロール含有貼付製剤
JP6948327B2 (ja) テープ材用支持フィルムおよびテープ材
KR20130079241A (ko) 패치 제제
JP4863568B2 (ja) 貼付材及び絆創膏、並びに救急絆創膏
JP2017039706A (ja) 皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物、及びこれを用いた貼付材
JP2015188500A (ja) ハイドロコロイド型粘着剤組成物及びこれを使用した創傷材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190617

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200722

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200908

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201022

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210406

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210415

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6880477

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150